5回の転生を経て元の世界に戻ることに成功した俺、脳を焼かれた奴全員登場して大変なことになった件。 作:黒芋炒め
痛い、痛い、痛い。
炎の遠距離攻撃から始まった最終決戦は、おおよそ半時間が経とうとしていた。
(流石に今までの敵の比じゃない)
流石ルース団のボスというべきか。これまで戦ったことのある幹部などとは一線を画するような強さがあった。事前にカズくんから説明があったが、全ての属性にある程度の耐性があるのは正直反則である。
魔法少女側はボスに深いダメージを与える事が出来ず、どちらかといえば劣勢寄りだった。
(私に出来る事は…)
いや、一つしかない。火をまとわせて殴る事だ。一見ただの物理攻撃にしか見えないこの技は、貫通力と瞬間火力が他の魔法とはレベルが違うほど練り上げられている。この攻撃なら、ボスでも致命傷になり得るだろう。
問題は、私がこの技を出せるのかという一点のみである。
(やるしかないだろう!)
私なら大丈夫だ。今までの魔法少女活動で多くの敵をこの技で倒してきた。きっと大丈夫だ。
私は加速し、ボスの間合いに入る。ここで、幾度も使ってきたこの技を───
『たすけて』
「ッ」
打つ事が、できなかった。
敵の間合いに入って、1番危ないこの場所で───私は固まった。固まってしまった。
相手の攻撃が来る。もう回避はできない。致命傷を避けようとする。足がうまく動かないせいで避けれない。もう攻撃がそこまで迫っている。
(まず)
結局私はここでも足を引っ張るのか。今まで散々迷惑をかけてきて、ここまで来て致命傷を喰らうのか。
そう思いながら避ける事が出来ない攻撃を───
「愛理、下がってろ」
最愛の人に、また庇ってもらっていた。
「由梨、サポートしてくれ」
「仰せのままに」
「「私たちに任せて」」
「分かった、じゃあちょっと任せるわ」
「愛理、ちょっとこっちに来てくれ」
カズくんに呼ばれてようやく何が起こっていたのかを理解する。そして私は、またカズくんに守られたと理解して絶望する。
「ごめん」
「大丈夫だ」
大丈夫ではないだろう。カズくんにも色々と戦略を考えていたはずだ。それを、勝手に行動した挙句敵の前に首を差し出すことをしたのだ。
「それと愛理、気にしすぎるな。」
「…………。」
「タイミングは完璧だった」
「………でも」
「おそらくあと一回、同じようなチャンスが来る」
「…え?」
カズくんがいうには、あと一回致命傷を与える事ができるチャンスがあるらしい。でも、私に出来るだろうか。一回のチャンスをモノにできず、半年で一度も繰り出すことのできなかった攻撃を、私は出来るのだろうか。
「いいか愛理」
「……ん」
「俺たちがいる」
「……?」
「すまん、主語が足りなかったな」
「どんな事があっても、何があっても、俺たちは味方だ。確かにあの事件は間違いだったのかもしれない。無理に乗り越えろとも言わない。でも、愛理は今後その感覚と共存していかなくてはいけない」
「………」
「トラウマだってあるだろう。きっとうなされた日だったあると思う。ただ、忘れないで欲しい。俺たちは──俺は、お前の味方だ。大丈夫、お前なら必ずやり遂げれる」
「……………」
「だからさ、あんな奴とっととぶちのめして、笑顔でまた歩き始めようぜ」
「……うんっ!」
私はまた彼に救われた。これで何度目だろうか。
でも救われて嬉しい気持ちになったのは、あの日自転車で轢かれそうになった時以来かも。
私はそんな事を思いながら、戦場に復帰していった。