5回の転生を経て元の世界に戻ることに成功した俺、脳を焼かれた奴全員登場して大変なことになった件。   作:黒芋炒め

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第8話 『ルビーの魔法少女』大倉愛理⑥

 またカズくんに救ってもらった私だったが、もうくよくよしている暇なんてない。

 

「ごめん、待たせた」

 

 戦場に戻り、2人でボスとの戦闘を何とか繋いできた幼馴染2人に告げる。

 

「待たせすぎ」

「その様子だと大丈夫そうね」

 

 肩からの出血、ボロボロの戦闘服、切り傷だらけの足。かなり満身創痍な2人だが、返してくる言葉はいつも通りだった。こんな時でも変わらない2人にどこか安心感を覚える。

 

「私に任せて」

 

 と言っても、"その時"が来るまではボスとはまともにやり合わない。カズくんが合図するまではひたすら彼を信じて回避し続けるだけだ。

 最早正面の異物は勝負を決めようとしていたのか言葉も発していない。いや、言語ではない発狂したような声は聞こえている。

 

 さっきに比べてボスの攻撃は単調になっていた。とはいえガードはまだ硬いが。

 避ける、避ける、軽く反撃する、避ける、避ける、避ける─────

 合図が来るまで避け続ける。"その時"にフルパワーが使えるように。信じてくれた皆──そしてカズくんの期待に応えるために。

 

「由梨今だっ!!!!」

「バインドッ!!」

 

 合図が来た。完全にボスは罠にハマっている。今だ、今しかない。手に炎をまとわせて────

 

『────』

「やっちまえ!!愛理!!」

 

 今まで聞こえていた声は不思議と聞こえず、代わりに聞こえてきたのは最愛の人の声だった。力が漲る、今できる自分の最大限のフルパワーを手に込める。

 

「いけええええええっ!!」

 

 自分でも叫びながら走る。さっきも入ったこの間合い、足は動き続けていた。

 

「貫けえっ!!」

 

 完全に貫通した。間違いなく致命傷になったはずだ。そのまま倒れ込みながら、燃やして焦がし尽くした。

 

 

 

 

 

 

「大丈夫!?」

「大丈夫よ」

 私は立ち上がる。私の魔法はほぼ枯渇状態になるまで使い切った。

 

「あいつは?」

「あそこ」

 

 指さされた方を見る。そこには倒れ込み、蜃気楼のように消え始めていた。確実に倒した証拠だ。これで、元の平和な世界が戻ってくる。

 

「紛れもなく、貴方の功績よ」

「そんな事はないよ」

「謙遜しないの」

 幼馴染の1人が、驚いた顔をする。

 

「私たちが勝つ事が出来たのは、5人で力を合わして協力する事が出来たからでしょ?」

 

 誰1人として欠けていれば、勝っていたのは間違いなくルース団の方だったであろう。そう確信しているくらい、強力な相手だった。

 

「それもそうね」

 

 どこか納得したような表情を見せた幼馴染。

 それにしてもこの子がライバルだと、勝てるか不安になるくらい顔が良いな、とふと思った。

 今日くらいは勝利の余韻に浸って良さそうだな、と思いながら私たちは彼を迎えに────

 

 

 その時だった。後ろから耳をつんざくような悲鳴と爆発音が聞こえたのは。

 

「……え」

 

 その時の光景を、私は2度と忘れないだろう。瓦礫の中から出てくる赤い池、泣き叫ぶ女の子、状況が理解できない女の子、何もできず呆然としている女の子、そしてどこを見ても見つからない最愛の人。

 

 誰がどう見ても状況は明らかだった。

 間違いなく致命傷を負い、消えかけていたボス。その状況を見て勝ったと思い込んだ私たち。そして、最後の最後に謎の手段で爆発装置を持っていて、それにいち早く気づいたカズくん。

 

 何が起きたのか、理解できない───否、理解したくなかった。脳が理解を拒んでいる。理解してしまえば、私は間違いなく壊れる。

 でも、最愛の人がいないのは事実で───

 

「嫌ああああああああああああ!!!!!!」

 

 その時、私は壊れた。

 彼がいない事実と、最期まで約束を守れなかった私に対しての怒りで。

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