サーヴァント銀河打者   作:個体識別番号0111

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キャスターによる特訓です。先輩

 

「ふう……やっと落ち着きました。確かに、これでは満足に話もできません。」

 

「わりぃなあ。オレがランサーとして召喚されていれば、セイバーなんざ一刺しで仕留めていたんだかね。いやあ、やっぱキャスターは合わないわ。冬木の聖杯戦争でキャスターなんてやってらんねえっての。」

 

「ランサーだったら……って?」

 

「そういうコトもあるんですよ、先輩。英霊の中には複数のクラス適性を持つものがいます。この人は槍の使い手でありながら、魔術師の側面も持つ、高レベルの英霊と思われます。……憶測にすぎませんが、きっとトップサーヴァントの一人です。妖精情報誌にも載っていそうな。」

 

「ちなみに私もランサーの適性はあるよ。あんまり、ランサーって感じじゃないんだけど。」

 

「そういうこった。アンタらはカルデアって組織のマスターだって言ったが……まあ、そのあたりはいいか。サーヴァントの鉄則でな、自分の時代以外の事情には深く関わらない。あくまで兵器として強力するだけだ。」

 

「こそこそ(ナナシビトさんやマシュは、兵器って感じしないんですけど、どういうことですか?)」

 

「こそこそ(サーヴァントごとのスタンスの違いってやつ。あのキャスターは真面目なタイプで私は不真面目なタイプ。私は召喚されたからって絶対従うってわけでもないし。何だったら好き勝手するタイプ。)」

 

「アンタらの目的はこの異常の調査。オレの目的は聖杯戦争の幕引き。利害は一致しているんだ。お互い、陽気に手を組まないか?」

 

「……それが合理的な判断だけど。その場合、貴方のマスターは誰になるの?」

 

「そりゃあそこの坊主だろ。アンタにマスター適性はないしな。いや、ホントに珍しいな。魔術回路も質も一流なのにマスター適性だけないなんて。何かの呪いか?」

 

「うるさいわね、どうでもいいでしょうそんなコト!藤丸、そいつはキミに任せるわ。せいぜいうまく使いなさい。」

 

「決まりだな、この街限定の契約だが、よろしく頼むぜ。となれば、あとは目的の確認だな。アンタらが探しているのは間違いなく大聖杯だ。」

 

「大聖杯……?聞いた事がないけど、それは?」

 

「この土地の本当の❝心臓❞だ。特異点とやらがあるとしたらそこ以外にありえない。だがまあ、大聖杯にはセイバーのヤロウが居座っている。ヤツに汚染された残りのサーヴァントもな。」

 

「残っているのはバーサーカーとアーチャー?どうなの、その二体は。強いの?」

 

 

「アーチャーのヤロウはまあ、オレがいればなんとかなる。問題はバーサーカーだな。アレはセイバーでも手を焼く怪物だ。近寄らなけりゃ襲ってこねえから無視するのも手だな。」

 

「状況は分かりました。我々はMr.キャスターと共に大聖杯を目指します。Mr.キャスター、案内は頼めますか?」

 

「ミスターはいらねえよ。道筋は教える、いつ突入するかは坊主次第だ。」

 

「助かります。では探索を再開しましょうか。よろしく頼むよ、藤丸君。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん!はっ!とりゃ!」

 

「……………。」

 

「ちょっと、キミ。藤丸。キリエライト、見るからに落ち込んでいるわよ。アナタ、一応マスターなんでしょ何かケアしてあげなさいよ。」

 

「……やっぱり……アレ?」

 

「………はい。わたしから宣言するのは情けないのですか…」

「……その。わたしは先輩の指示のもと、試運転には十分な経験を積みました。なのに……わたしはまだ宝具が使えません。使い方すら分からない、欠陥サーヴァントのようなのです……」

 

「フォウ……」

 

「ああ、そこを気にしていたのか。マシュは責任感が強いからなあ……でもそこは一朝一夕でいく話じゃないと思うよ?だって宝具だし。英霊の奥の手が一日二日で使えちゃったら、それこそサーヴァントたちの面目が立たないというか、」

 

「まあ、マシュは元々英雄だったわけでもない、サーヴァント初心者なんだし宝具の使い方が分からないのも仕方ないんじゃない?」

 

「あ?そんなのすぐに使えるに決まってんじゃねえか。英霊と宝具は同じもんなんだから。お嬢ちゃんがサーヴァントとして戦えるのならもうその時点で宝具は使えるんだよ。なのに使えないってコトぁ、単に魔力が詰まってるだけだ。なんつーの、やる気?いや弾け具合?とにかく、大声をあげる練習をしてねえだけだぞ?」

 

「そうなんですか?そーうーなーんーでーすーか!?」

 

「違うマシュ!もっと!もっっっと!お!お!き!な!こ!え!で!」

 

「こ!ん!な!か!ん!じ!で!す!か!!!」

 

「ファーーーー!?」

 

「ちょっと、いきなり大声ださないで!鼓膜が破れてわよ、痛いんだけど!」

 

「ぁ……申し訳ありません、所長。でも、大声をあげればいいとキャスターさんが……」

 

「いや、モノの例えだったんだか……まあ、ともあれやる気があるのは結構だ。藤丸。お嬢ちゃんがこう言ってるんだ。少しばかり寄り道して構わねえな?」

 

「二人して、純真なマシュをからかわないでくれ」

 

「ふふ、ごめん。まあマシュ頑張って。あんたならすぐに宝具を使いこなせるようになるよ。」

 

「なに、ただの特訓だ。すぐに終わる。今のオレはキャスターだせ?治療なら任せておけ。まずは……ちょい、ちょいと。厄寄せのルーンを刻んでだな……よし出来た。」

 

「マリー。私の近くに、まあまずないとは思うけどもしものためにね。」

 

「え?なにしてるのアナタ。なんでそんな物騒なルーンを藤丸に刻んでるの?」

 

「まあ、やっぱりサーヴァントはマスターを守らなくちゃな。ほら、来たぜ坊主。」

 

「(形容しがたい叫び声)」

 

「なにしてくれてるんですかー!?」

 

「せっ、先輩、わたしの後ろに!先輩指示をお願いします……!」

 

「よしよし、こんだけ集まれば十分だ。つまるところ、宝具ってなのは英霊の本能だ。なまじ理性があると出にくいんだよ。なーんで、お嬢ちゃんにはまず性も根も使い果たしてもらうって寸法さ!冴えてるな、オレ!」

 

「もしかして、バカなんですかー!?」

 

 そこからはめちゃくちゃな数の敵がオレの方に向かって襲って来た。けど本当に危なそうな奴はナナシビトさんが前もって排除してくれていたから。オレとしては案外冷静にマシュに指示をすることが出来た。

 マシュは、たくさんの、本当にたくさんの敵と戦った為多くの疲労が溜まっていってるみたいだった。けど最後までマシュは宝具を発動することはできなかった。

 

「限界、です―――これ以上の連続戦闘、は―――すみません、キャスター、さん―――こういった根性論ではなく、きちんと理屈にそった教授、を―――」

 

「――分かってねえなあ。コイツは見込み違いがねぇ。

まあいいか、そん時はそん時だ。んじゃあ次の相手はオレだ。味方だからって遠慮しなくていいぞ。オレも遠慮なしで藤丸を殺すからよ。」

 

「っ……!?」

 

「なに言ってるのアナタ、正気!?この訓練で藤丸の命を狙う必要はないでしょう!?」

 

「サーヴァントの問題はマスターの問題だ。運命共同体だって言わなかったか、オレ?おまえもそうだろ、藤丸?お嬢ちゃんが立てなくなった時が手前の死だ。」

 

「……!マスター……下がって、ください……!わたしは―――先輩の足手まといには、なりませんから…!」

 

「そうこなくっちゃな。んじゃあまあ、マトモなサーヴァント戦といきますか!」

 

 今回は、ナナシビトも手伝ってはくれず正真正銘のマシュとキャスターの対決。正直に言ってマシュに勝ち目は無い。相手は経験豊富の英霊なのに対して、マシュはここに飛ばされるまではただの女の子だったんだから。そもそもの経験値が違う。けど、この戦いはただの命のやりとりじゃないマシュの特訓だ。だからオレがマシュのためにやるべきことは……

 マシュの、本能を呼び覚ますことだ。

 

「ハァ―――ハァ―――ハッ―――!」

 

「おう、そろそろ仕上げだ!主もろもろ燃え尽きな!」

「我が魔術は炎の檻、茨の如き緑の巨人。因果応報、人事の厄を清める杜―――倒壊するはウィッカー・マン!オラ、善悪問わず土に還りな―――!」

 

霊基臨改(うんめいへんこう) ランサー(存護)

 

「ぁ―――あ、(守らないと……使わないと、みんな消える―――偽物でもいい。今だけでもいい。わたしが……わたしがちゃんと使わないと、みんな無くなってしまう―――!)」

「ああ、ああぁあああ―――!!!」

宝具 

 

「あ…わたし……宝具を、展開できた……んですか……?」

 

「―――ヒュウ。なんとか一命だけはとりとめると思ったが、まさかマスターともども無傷とはね。喜べ……いや、違うか。褒めてやれよ藤丸アンタのサーヴァントになったお嬢ちゃんは、間違いなく一線級の英霊だ。」

 

「先輩……わたし、いま……!」

 

「うん。すごかったよ、マシュ。かっこよかった。」

 

「っ……!」

 

「フォウ、フォーーーウ!」

 

「おめでとうマシュ。これで1人前のサーヴァントだね。」

 

「……驚いたな、こんなに早く宝具を解放できるなんて。マシュのメンタルはここまで強くなかったのに……」

 

「そりゃあアンタの捉え方が間違ってたんだよ。お嬢ちゃんはアレだ守る側の人間だ。鳥に泳ぎ硬くを教えても仕方がねえだろ?鳥には高く飛ぶ方法を教えないとな。だがまあ……それでも真名をものにするには至らなかったか。」

 

「あ……はい。宝具は使えるようになりましたが、まだ宝具の真名も、英霊の真名も分かりません……」

 

「……そう。未熟でもいい……仮のサーヴァントでもいい……そう願って宝具を開いたのね、マシュ。あなたは真名を得て、自分が選ばれたものに―――英霊そのものになる欲が微塵もなかっただから宝具もあなたに応えた。あーあ、とんだ美談ね。御伽噺もいいとこだわ。」

 

「あの、所長……」

 

「マリー、嫉妬しないで。マシュはあんたのためにも頑張って宝具を習得したんだから。」

 

「ごめんなさいね、マシュ。なんとかこの心内を整理したくなったの。あまり気にしないでほしいわ。でも真名なしで宝具を使うのは不便でしょ。いい呪文を考えてあげる。宝具の疑似展開なんだから……そうね、ロード・カルデアスなんてどうかしら。カルデアはあなたにも意味のある名前。霊基を起動させるには通りのいい呪文でしょう?」

 

「は、はい……!ありがとうございます、所長。」

 

「いい名前をもらったね、マシュ。」

 

「ロード・カルデアス……うん、それはいい。マシュにぴったりだ!そうなるとすぐに試したくなるのが人情だよね。キャスター、マシュの相手を頼めるかい?」

 

「ロマン。却下。今、マシュも立香も連続戦闘の疲労で限界。試すのは後にして、今は休憩の時間だよ。」

 

「そのとおりだ。ナナシビト。ボクの配慮が足りなかったよ。すまないマシュ、藤丸君。興奮のあまり君たちのことを考えていなかった。」

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