しっかりと休憩を取った後、キャスターの案内で大聖杯に向けて移動をしていった。そうして洞窟に辿り着いた。
「大聖杯はこの奥だ。ちぃとばかり入り組んでいるんで、はぐれないようにな。」
「キャスター、明るくする魔術使えない?私たちはこの暗さでもいいけど、マリーは引きこもりだったからこの凸凹の地面だと辛いんだよ。」
「そんな事ありません。アニムスフィアの当主である私がこんな洞窟につまずくとでも?」
「うん。」
「大丈夫です!転ぶことなんてありえないわ!」
「天然の洞窟……のように見えますが、これも元から冬木の街にあったものですか?」
「ふー、でしょうね。これは半分天然、半分人工よ。魔術師が長い年月をかけて広げた地下工房です。それより、キャスターのサーヴァント。大事なことを確認していなかったのだけど。セイバーのサーヴァントの真名は知ってるの?何度か戦っているような口ぶりだったけど。」
「ああ、知ってる。ヤツの宝具を食らえば誰だって真名……その正体に突き当たるからな。他のサーヴァントが倒されたのも、ヤツの宝具があまりにも強力だったからだ。」
「強力な宝具……ですか。それはどういう?」
「王を選定する岩の剣のふた振り目。おまえさんたちの時代においてもっとも有名な聖剣。その名は、「約束された勝利の剣。騎士王と誉れの高い、アーサー王の持つ剣だ。」
「!?」
「アーチャーのサーヴァント……!」
「よく分かったねマリー。さっすが。マシュ、二人の近くへ警戒して。」
「はい。了解しました。」
「おう、言ってるそばから信奉者の登場だ。相変わらず聖剣使いを護ってんのか、テメエは。」
「……ふん。信奉者になった覚えはないがね。つまらん来客を追い返す程度の仕事はするさ。」
「藤丸、何か芸はできる?」
「えっ、何ですかいきなり、敵を目の前にして。トランプを使った簡単なマジックならできますけど……」
「いや、つまらん来客じゃなくて面白い来客なら通してもらえるかなと。私は面白いけどリーダーが通れないとだめじゃん。」
「誰がサーヴァントを目の前にしてそんな呑気なことができるの!きちんと警戒して!」
「ようはお前さん門番じゃねえか。何からセイバーを守っているかは知らねえが、ここらで決着をつけようや。永遠に終わらないゲームなんざ退屈だろう?良きにつけ悪しきにつけ、駒を先に進ませないとな?」
「その口ぶりでは事のあらましは理解済みか。大局を知りならがらも自らの欲望に熱中する……魔術師になってもその性根は変わらんと見える。文字通り、この剣でたたき直してやろう。」
「ハッ弓兵が何いいやがる。お嬢ちゃん、しっかりしてくれよ相手はアーチャーだ。アンタの盾がなきゃオレはまともに詠唱できねえんだが。」
「はい!ガードならお任せください!」
「私が前線で戦う。速戦即決でいこう。」
アーチャーとの戦いが始まった。まずは、アーチャーの高台からの狙撃。それをナナシビトが避けて、直線上にいたマシュがその矢?を弾いて体勢を立て直している内にナナシビトが双剣を構えたアーチャーと接敵。
アーチャーなのに、様になっている双剣にナナシビトはバット一本で戦っている。ためやや不利のように見える。けどキャスターの詠唱は滞り無く行われているため、キャスターの魔術による援護を含めるとこちらの優勢。けどそれは相手もわかっているからか殺陣はそこそこにして、ナナシビトから逃げながらの狙撃に切り替えてくる。
「マシュ構えて!やや左から、来るよ!」
「はい!先輩!」
飛んで来た矢は、マシュに防いでもらい。ナナシビトとキャスターにはアーチャーへの攻撃に集中してもらいダメージを蓄積させていき、アーチャーを撃破した。
「考えたな花の魔術師……!まさかその宝具に、そんな使い道があったとは…!」
「おう、未練なく消えろ消えろ。聖剣攻略はオレたちでやってやる。」
「……信頼していただけるのはうれしいのですが、わたしに防げるのでしょうか。」
「……その、音に聞こえたアーサー王の聖剣が。わたしには過ぎた役割のようで、指が震えています。」
「そこは根性で乗り切るしかねえわな。だがまあ、オレの見立てじゃ相性は抜群にいい。その盾が壊されることはない。負けるとしたら、盾を支えるお嬢ちゃんがヘマをした場合だろうよ。」
「じゃあ、大丈夫だね。マシュはオレたちの事を守ってくれる。マシュはすごい女の子なんだから。」
「はい。先輩、お任せくださいマシュ・キリエライトきちんと役目を果たします。」
「じゃあ、セイバーをやるのは私とキャスターってこと?マリーはどうする?一緒にセイバーに一撃入れてもいいけど。」
「やめとくわ。わたしにサーヴァントに一撃を入れられるとはとても思えないから。」
「お嬢ちゃん、別にセイバーに勝とうとしなくていい。アンタがすべきなのは後ろにいる坊主、マスターを護ることだ。アンタはマスターを護ることだけ考えろ。」
「……はい。そのアドバイスは、たいへん力になるようです。」
「ドクター、きちんとバイタルチェックはしてるの?藤丸の顔色、会った時より良くないわよ。」
「え!?あ……うん、これはちょっとまずいね。突然のサーヴァント契約だったからなあ……。使われていなかった魔術回路がフル稼働して、脳に負担をかけている。マシュ、キャンプの用意を。温かくてはちみつのたっぷり入ったお茶の出番だ。」
「それだけじゃないと思うけど。ずっと火の海の中を戦いながら歩いて来たんだよ。今は洞窟の中といっても、普通はグロッキーになるものだよ。ここで休憩しよう。」
「了解しました。ティータイムにはわたしも賛成です。」
「お、決戦前の腹ごしらえかい?んじゃオレはイノシシでも狩ってくるか。」
「いないでしょ、そんな生き物。そもそも肉はやめて肉は。どうせなら果物にしてよね。」
「マリー、果物もあるわけないでしょ?辺り一面火の海なんだから。アメなら持ってきてるからあるよ。食べる?」
「いいわ。ドライフルーツを持ってるの。」
「そう?あむ。ゴホッゴホッ……ヤバ。口の上の方にはねちゃった。」
「なんて、物騒なものを食べさせようとしてるの!?」
にしても、休憩の度に大富豪してるけど所長弱いな。一回も大富豪になってない。この中で一番の富豪の筈なのに……
「そろそろ大聖杯だ。今のが最後の一休みとなるが、やり残しはないな?」
「もちろん、準備万端だ。」
「そりゃ頼もしい。ここ一番で胆を決めるマスターは嫌いじゃない。まだまだ新米だが、おまえには航海者に一番必要なものが備わっている。運命を掴む天運と、それを前にした時の決断力だ。その向こう見ずさを忘れるなよ?そういうヤツにこそ、星の加護ってヤツが与えられる。」
アメ
あの奇妙なお菓子のこと
この世界では食べるとマスターは令呪が半画回復する。かなりすごいもの。けど半画だけ回復しても何の意味はない。必ず2袋食べよう。