【全年齢版】超A級小姓 SAO世界を往く Ifや別ルート・スピンオフなど。 作:渚カエデ
俺は今、モヤモヤした気分になっている。その理由はランマルから《僕、リズベットさんと付き合うことになりました。》という趣旨のメッセージが届いたからだ。
まさか俺よりも先に彼女ができるなんて思ってもいなかった。あのマスコット枠タイプのランマルに……
俺は彼と同じく女性的な容姿だが、彼と同じく女性が恋愛対象だ。
正直なことを言うと、そろそろ彼女が欲しいなあ〜っと思っていたところだが、今は攻略が優先で恋愛なんてしてる場合じゃないと、自分にブレーキをかけていた隙にランマルに恋愛で追い抜かれていたというところだ。
そろそろ彼女探し……しようかな……と思っていたが、俺のフレンドはキリトやアスナ、ランマルやクライン、エギル、ネモやゴッホ、シリカぐらいしか居ない。
女友だちの少なさも彼女ができない原因かもしれない。
それとも自分の性格が原因かな?。
いっそのこと、ランマルに女の子を紹介してもらおうかな〜っと彼にメッセージを送ろうとした途端、新しいメッセージが届く。差出人はシリカだ。内容は。
《すみません。ルナさん。明日、予定はないですか?ないのでしたらまた四十七層のフローリアに行きませんか?せっかくピナも復活したことですし。ピナにも会って欲しいんです。》
明日か……特に予定もないし、ピナにも会ってみたいから俺は即答で行きますと返答した。
返答後に《ありがとうございます。8時ちょうどに四十七層のゲート広場で待ってます。》とメッセージが届いた。
さて、明日は早いし、シャワー浴びて寝るか。
翌日、俺は転移門を使って四十七層へ飛んだ。
四十七層に到着した時の時刻は7時55分だった。約束の5分前だったけど、ゲート広場の端っこにはすでにシリカがいた。
なんだかソワソワしてるように見えるのは気のせいかな?
彼女の横にはピナと思われる水色の小型フェザーリドラが旋回飛行していた。
ルナ「おはよう。シリカ、ピナ。」
シリカからはなぜか返事が来ない、っと思っていると。
ピナ「キュルルル!」
ピナが鳴き声を発し、それで我に返ったのか、シリカが挨拶を返してくれた。
シリカ「お、おはようございます!ルナさん。」
ルナ「この子が教えてくれなかったら、ずっとソワソワしてたよね。シリカ。どうしたの?」
シリカ「な、なんでもないです。」
ルナ「わかった。あんまり詮索するのも良くないしね。とりあえず教えてくれてありがとね。ピナ。」
ピナ「キュルル!」
こころなしかピナが頭を下げたような気がした。
ルナ「ところで……これからどうする?花畑デートする?」
シリカ「デ、デート……」
この子……今日はなんか様子が変だな……
ルナ「デートと言っても、周りからは女友だち同士にしか見えないけどね。」
シリカ「あ、そうですよね……じゃあ、花畑デート……行きましょうか。」
俺の【女友だち同士】という言葉で再び、我に返ったようでシリカは歩き始める。
あの時と同じく俺たちは花畑の通路を歩いていた。それにしてもシリカの肩に乗っかっているピナがカワイイな〜。ちっちゃいというのもあるんだけれども、ずっとシリカから離れずにいるのも彼女のことを信用しきっている様子がうかがえて、まるでペットみたいだな〜っと感じる。
シリカ「あ、紹介が遅れました。この子がピナです。ピナ、挨拶して。」
ピナ「キュルン!」
ルナ「俺の名前はルナだよ。よろしくね。ピナ。」
ピナ「キュルル!」
シリカ「ピナ……この子から見たら初対面の相手なのに全くルナさんのことを警戒してない。もしかして……ルナさんって動物によく懐かれるほうですか?」
ルナ「まあ、そうだね。小さい頃に動物園のふれあい広場に行ったら、リスが俺のところに結構集まってきたからね。」
シリカ「そうなんですか。ルナさんって動物相手だと表情がすごく柔らかくなるタイプなんですね。」
ルナ「そうかなぁ……自分じゃあよくわからないかな。」
シリカ「それはそうですよね。自分の表情なんて鏡を見るか、他人に言われないと気づきにくいですしね。」
ルナ「そうだよね。ところで……ピナとはどうやって出会ったの?」
シリカ「そうですね……話は長くなると思いますけどいいですか?」
ルナ「いいよ。」
それからシリカはピナとの出会いを話した。それは偶然が重なって運良くレアモンスターである小型フェザーリドラをテイム、つまり心を通わせたことから始まった。それからはピナと一緒に戦ったり、ピナを連れていることで注目度が上がって、ピナ目当てのギルドに誘われたことがあるなど、ピナとは様々な思い出があることを彼女は話した。
ルナ「そうだったんだ。色々あったんだね。」
シリカ「そうです。今じゃピナはあたしにとってかけがえのない存在です。」
ピナ「キュルン!」
ピナも嬉しそうな鳴き声を上げる。
シリカ「あ、せっかくですから……モンスターと戦ってみませんか?あたし、あれから結構強くなったんですよ。」
ルナ「大丈夫なの?あそこのモンスターのこと……結構気持ち悪がっていたけど。」
シリカ「今は多少慣れました。」
ルナ「そうなんだ。じゃあ行こうか。」
シリカ「はい!」
俺たちは街のメインストリートを抜けて、フィールドへ出る。
そこには前と同じく植物形モンスターがウヨウヨしていたが、シリカは難なく撃破していく。
シリカがモンスターに囲まれると、ピナがブレス攻撃でモンスターの一部を一掃するなど、見事な連携プレイが取られていた。
もしかして俺、今回は戦う必要はないのかな……なんて思っていると、突然視界が逆さになる。
シリカ「ルナさん!」
どうやら今回は逆に俺が逆さ吊りにされたようだ。しかも剣はツタに引っ張られた時に落としてしまった。
シリカ「今助けます!」
シリカはツタに短剣ソードスキルをお見舞いし、俺はそのまま地面に落下する。
シリカ「大丈夫ですか!」
ルナ「大丈夫だよ。ありがとう、シリカ。」
シリカ「いえいえ。せっかくですから二人でこのモンスターにトドメをさしましょう。」
ルナ「わかった。行くよ!シリカ!」
シリカ「はい!」
俺たちは同時にソードスキルを発動し、巨大植物モンスターを撃破した。
シリカ「いい感じにそろいましたね。」
ルナ「そうだね。シリカ。」
それから俺たちは数体、モンスターを倒したあとに街へ戻り、遅めの食事をとった。
店を出ると街には夕日が差していた。
花畑を見ると、朝や昼間にはたくさんいたカップルもほとんどいなくなっていた。
シリカ「ルナさん、花畑の真ん中に行きましょう。」
ルナ「わかった。」
俺とシリカ、ピナは花畑の通路を通ってちょうど花畑の真ん中あたりにたどり着く。
ルナ「着いたね。シリカ。ピナ。」
ピナ「キュルルル……」
夕日の光に照らされる花畑、なんとも美しい光景だ。
俺は思わず、記録結晶で花畑を撮影した。
俺が記録結晶をしまったあと、後ろにいるシリカから声がかかる。
シリカ「……あの……ルナ……さん……」
ルナ「どうしたの?」
シリカの声と表情は、まるで何かを決意したかのような雰囲気を醸し出していた。
シリカ「ルナさんって……今……好きな人……いませんよね……?」
ルナ「うん。恋人は欲しいけど攻略があるから……」
シリカ「でも!あたしには今、好きな人がいるんです!それは……あなたです!ルナさん!」
え!?シリカが……俺のこと……好き?
シリカ「あの時、色々と助けてもらったことであたしはルナさんに惚れちゃったんです!今のあたしが前より強くなれたのは……ルナさんのことを助けられるような人になりたかったからです!」
そうだったんだ。さっきの強さの秘訣は……俺と肩を並べて戦いたかったからなんだ。
シリカ「まだ攻略組に入れるほどの強さにはなってないかもしれません。でも……あたし、諦めません。いつかはルナさんと対等な強さを持つパートナーになりたいんです!」
ルナ「そうだったんだ……ありがとう……俺一人のために……」
シリカ「これも恋心がなせることです。というわけで……ルナさん!あたしと付き合ってください!!」
なんだろう。今までは妹のように感じていたのに……彼女に好意を伝えられると、なんだかこっちまでドキドキする。
よし!俺も答えを出そう。
ルナ「シリカ……君のことは今まで妹のように感じていたけど……今は違う……君の努力を聞いて俺は考えが変わった!シリカ!俺も君のことが好きだ!だから……付き合ってくれませんか!」
それを聞いたシリカは眼から涙を流す。
シリカ「良かった……あたしの努力……無駄じゃなかったんだ……」
ルナ「そうだよ。君はホントに頑張ったよ。だから俺もそれにこたえたんだ。俺も改めて強くなることを決めたよ。君を守るために!」
シリカ「あたしだって!ルナさんを守りたいんです!」
俺たちは互いに駆け寄って抱き合う。
上空には、まるで俺とシリカが結ばれたことを祝うかのように、ピナが旋回しながら飛んでいたのだった。