【全年齢版】超A級小姓 SAO世界を往く  Ifや別ルート・スピンオフなど   作:渚カエデ

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今回から本編の幕間ストーリーが始まります。

この話はアインクラッド 77層での話です。
シリカは片思いの相手であるルナに振り向いてもらうために、何を始めるのか……


ホロウ・フラグメント編 幕間
幕間① 頑張るシリカ


シリカ視点

 

 

 

あの時は「あたし、ルナさんのお手伝いをします!」……なんて言ったはいいものの、今のあたしのレベルじゃ、迷宮区なんてとても行けないし……。

こんなことなら、なにか生産系のスキルも取っておけばよかったなあ……。戦闘しなくても経験値を稼げたのに。

ピナ「きゅるぅ……」

シリカ「どうしようピナ。あたし、ただの役立たずだよ……」

ルナさんの役に立てない自分を憂(うれ)いていると、カフェに新しい客が入ってきた。

???「こんにちは、シリカちゃん」

シリカ「あ、ベーカリーさん」

この人はネモさんのギルド【NLS】のベーカリーさん。ギルドでレストランを営んでいる女性だ。

ベーカリー「今、ちょっと空いてる?もしよかったら私の買い物に付き合ってほしいんだけど、いいかな?」

シリカ「あ、空いてますよ」

ベーカリー「ありがとね、シリカちゃん」

そういえば、ベーカリーさんって料理上手だったよね。ということは、ルナさんの胃袋をつかむ料理を教えてもらえるかもしれない。

 

 

 

あたしたちが訪れたのはアークソフィアの食品店。ベーカリーさんはここの買い物に付き合ってほしくて、あたしを誘ったみたい。

そういえばルナさん……どんな女の子が好みなのかな……。

たとえば……スタイルのいい女性かな?それならストレアさんかも?

うう……あのスタイルには勝てないよ……。

あ、でも料理上手になれば惚れ直してくれるかも。

ベーカリー「シリカちゃん?」

シリカ「ひゃ、ひゃい!」

あたし、上の空になっちゃってたみたい。

ベーカリー「ねえ、シリカちゃん。SAOのショップって、アイテムの購入以外にも、店員NPCに自分の作ったアイテムを置いてもらうこともできるって知ってる?」

シリカ「初耳です!」

ベーカリー「武具とか薬品だとスキルが必要になるけど、簡単な加工食品ならシリカちゃんでもできるでしょ」

シリカ「はい!」

これで経験を積んで、ルナさんの隣に立てるようにしないと。

ベーカリー「すみません店長さん。この子にできそうなクエストありますか?」

店長「そうだねえ……こんなのはどうだい?」

シリカ「えっと、チーズとかピクルスとか発酵食品が多いですね……」

ベーカリー「サンドイッチの素材に使えそうだよね♪」

シリカ「あ、これなんていいかも。リンゴのシロップ漬け!甘くておいしそう」

ベーカリー「ふふふ、つまみ食いもいいけど、全部食べちゃったら経験値にならないよ」

シリカ「べ、ベーカリーさん。からかわないでください。あたし、そんな食いしん坊じゃないですよ!」

ベーカリー「ごめんね〜。冗談だよ」

……だけど、これなら料理系スキルがなくても、料理を作ることができるよね……そしたら、ルナさんに……

ベーカリー「シリカちゃん、どうしたの?上の空になってるけど」

シリカ「な、なんでもないです!ちょっとぼーっとしちゃってました」

ベーカリー「ふふふ、そういうところも可愛いよね。シリカちゃん」

あ〜、また上の空になっちゃってたよ……あたし、ルナさんに狂わされちゃったみたい。

シリカ「と、とりあえず、どんなクエストがあるのか教えてください」

ベーカリー「え〜っと……畑をモンスターから守るクエストなら、ちょうどお礼にベリーとかもらえるから、それがいいんじゃないかな。今のシリカちゃんのレベルと、クエストの要求レベルの差があまりないから、安全にアイテムを集められるよ」

シリカ「そうなんですか!?ならやります!」

ベーカリー「その意気だよ、シリカちゃん!私も果物が欲しいから手伝っちゃうね」

シリカ「よろしくお願いします!」

 

 

 

ベーカリー「行くよ!シリカちゃん!」

シリカ「はい!ベーカリーさん!」

いのしし形モンスター、最後の一匹にトドメを刺す。

あたしたち二人のダガー技を喰らったモンスターは、そのまま光の粒子と化して消えたのだった。

ベーカリー「おつかれさま、シリカちゃん!」

シリカ「はぁ……お疲れ様でした、ベーカリーさん!」

ピナ「きゅるぅ!」

畑を守りきったあたしたちに、農家のNPCが嬉しそうに駆け寄ってきて、報酬の詰まった袋を差し出してきた。

 

 

 

街へと続く道を歩いていると、前から緑色の長い髪をした、とても綺麗なプレイヤーが歩いてきた。

???「……可愛い使い魔だね。その様子だと、畑の怪物は無事に退治できたみたいだ」

ピナ「きゅる?……きゅるるぅ♪」

シリカ「あ、はい! おかげさまで!」

あれ……ピナが初対面の人に懐くなんて珍しいな?

???「おや?ずいぶん可愛い小竜を飼ってるみたいだね」

シリカ「あ、その子、ピナっていうんです。ピナ、挨拶して」

ピナ「きゅるん!」

???「僕からもこんにちわ、ピナ」

シリカ「この子、下の層でテイミングしたんです。今じゃ、可愛いペット兼相棒なんです」

???「へえ、君があの【ビーストテイマー】のシリカなんだね」

シリカ「はい。そこまですごくはないと思いますけど」

???「謙遜しなくていいんだよ。これからもピナと一緒に頑張ってね」

シリカ「はい!」

その人は優しく微笑むと、「気をつけて帰るんだよ」と言い残してふらりと去っていった。

シリカ「今の、綺麗な人でしたね……」

ベーカリー「あの子、エルキドゥさんっていうの。実はルナちゃんともフレンド登録してるみたいだよ」

シリカ「えっ、ルナさんのフレンドなんですか?」

ベーカリー「うん。うちのキャプテンから聞いた」

へぇ、あんな綺麗な知り合いがいるんだ……。しかも物腰が柔らかい……。

 

 

 

あたしたちはさっきの食品店の店長さんに報酬品を渡した。

店長「ありがとう、本当に助かったよ! これはお礼の新鮮なベリーとリンゴだ。持っていっておくれ」

シリカ「わぁ……! ありがとうございます!」

これで、リンゴのシロップ漬けの材料はバッチリ揃った。

待っててくださいね、ルナさん。あたし、絶対においしいのを作ってみせますから……!

胸の前で果物の袋をぎゅっと抱きしめながら、あたしは心の中で、大好きなあの人の姿を思い浮かべていた。




キャラ紹介
ベーカリー
CV 花守ゆみり

ネモがギルドマスターを務めるギルド【NLS】のメンバー。ギルドの資金稼ぎの一環として、レストランの運営をしている少女。
ネモとはリアルでは家族関係で、彼の妹でもある。
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