俺が死んだと思っている仲間と会うのが気まずい   作:guruukulu

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今回は短めに日常回



と、思ってたけど書いてるうちに長くなりました


3.優秀な先輩!!流石だよ先輩!!

 一級魔法使いの朝は早い。

 

 特にこの時期は、一級魔法使い選抜試験の準備や通常業務、活発化する魔物の対処など、多忙を極める。

 

 そんな中俺は、ある人の家の前に来ていた。

 

「ゼンゼさ〜ん。入りますよ〜」

 ……返事はない。そのまま家の門を開ける。最初は入るのに躊躇いもあったが、今となってはそんなもの時間の無駄だ。

 

 家に入るなり、手に持っていた朝食をテーブルに置いて寝室に向かう。

 

「ゼンゼさん。起きてください。朝ですよ〜」

「うぅ……あと5分……」

「はい! 起こしますね!」

 バサァ!

「あぁ……布団が」

 

 ゼンゼさんを無理やり起こして歩かせる。顔を洗ったあと、ゼンゼさんは席についてテーブルに置いてあった朝食を食べ始める。今日の朝食はサンドイッチだ。

 

「うん。美味い」

「はい。よく噛んで食べてくださいね〜」

 

 そう言って、次はゼンゼさんの髪の手入れを始める。

 ゼンゼさんにとっての髪は、文字通り「武器」であり、命の次に大切なものと言ってもいい。ブラシでしっかりと髪をとき、髪油を使って整える。最後に香水をかけて終了だ。

 

「ありがとう、トゥーリ。しばらく休んでもらって構わない」

「ありがとうございます……」

 

 ゼンゼさんの髪は見た目以上に重く、手入れには多くの労力を必要とする。最初の頃と比べ大分スムーズに作業できるようになったが、それでも30分前後はかかる。

 

(体は鍛えてるはずなんだけどな……)

 

 それでも俺がこんなに疲れているのは、やはり女性の髪の手入れに、まだ緊張しているからだろう。

 

 

 

 

 さて、なぜ俺がこんな事をしているのかというと、その理由はゼンゼさんの立場にある。

 

 ゼンゼさんは一級魔法使いになってから長く、その立場も自然と高いものになっている。俺にはできないが、ゼンゼさんにはできる仕事などが山ほどあるというわけだ。

 

 しかし生憎、ゼンゼさんは朝が弱い。それに加えてゼンゼさんには髪の手入れがある。ゼンゼさんは肉体的にも精神的にも追い詰められていった。

 

 そこで俺に白羽の矢が立ったということだ。

 俺は家事力に関しては、人並み以上だしゼンゼさんとも仲が良い(たぶん)ので、忙しい時期は俺がゼンゼさんの世話係をすることになっている。

 

 

「トゥーリ。待っててくれてありがとう」

 部屋の中から、いつもの服に着替え終えたゼンゼさんが出てくる。

 

「どういたしまして。じゃあ行きましょうか」

 扉を開ける。北部支部に着いたら、まずはゲナウさんの雑用かな……

 

 これが俺達一級魔法使いの日常だ。

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「──一級試験は例年通りなら第三次試験まである。次からは敵同士だな」

「そうだね」

 

 部屋にはフリーレン、フェルン、ラヴィーネ、カンネの4人がいた。話は自然と試験のことに移る。

 

 コンコン

 

「なんでしょう」

 窓の外には、手紙を持った黒い鳥がいた。室内にペッと手紙を落とす。

 窓に一番近いフェルンが手紙を拾い、ラヴィーネと内容に目を通す。

 

「次の試験の通知ですね。第二次試験の会場と日時。それと担当の試験官の名前ですね」

「試験官はゼンゼか。ついてねぇな……」

「せっかく第一次試験に受かったのに……」

「どういうことですか?」

 

 まだ状況がよく分かっていないフェルンが尋ねる。

 

「ゼンゼの担当した試験は過去4回。全て合わせて、合格者はたった一人だ」

 

「へぇ。ちなみにその一人って誰か分かる?」

「もう会ってるぞ。この前の試験でマドレーヌ配ってた、あの優男だ」

「トゥーリさんっていうんだよね。私達の学校じゃ知らない人はいないよ」

「なるほど。気配からして、只者じゃないのは分かっていたけど、もしかしたら私の想像以上に凄い魔法使いかもね」

「本人からアドバイスとかもらえたら良いんだけどなー」

 

 ラヴィーネが面倒くさそうに声を上げる。

 

「流石にこんな町中にはいませんよ」

「そうだよねー……」

 

 

 

 

 

 ─────────────

 

 

 

 

「ふんふーん♪ 一仕事終えたあとは気分がいいな〜」

 午前中。大量にあった実務をなんとか終わらせ、俺は今、街に来ている。ゼンゼさんとゲナウさんは、二次試験の最終調整があるらしく、俺一人の休憩ということになった。

 

 二人とも大変そうだったな。俺も残ろうとしたけど、「これは私達の仕事だ」って追い出されちゃったし。

 本当に真面目な先輩方だな〜

 

 

 

 

 さて、どうしようか。お昼を食べるにはもう遅いから、そんなガッツリは食べられない。いや? もうむしろ夕飯の分も含めて食べるか? 

 

「おーい! トゥーリの兄ちゃん!」

「ん? あれ! おっちゃんじゃん! なんか久しぶりな感じだなー」

 

 最近は忙しくてあまり顔をだしていないが、以前まではよく街にくりだして地元の人と交流したりしていた。

 おっちゃんは串焼きの屋台をやっていて、とても気前のいい人だ。

 

「おう! ところで、最近は試験とかなんかで忙しいんだろ? こんなところにいて良いのかよ?」

「仕事はある程度終わらせてるから大丈夫。それよりなにか売ってくれないか? こう見えて、まだ昼食ってないんだよ」

「よっしゃ! 任せろ! 最高の串焼きを作ってやるぜ!」

 

 やっぱり賑やかな人だなぁ。こういう雰囲気は嫌いじゃない。

 

「お。なんかいいにおいするな〜」

「お前さっき食ったばっかだろ……で、何食べたいんだ?」

「ほら。あそこの屋台」

「お〜たしかにうまそうだな。ん?」

 

 聞き覚えのある声が聞こえてきた。視線を移すと、そこにはヴィアベルとシャルフがいた。

 もう一人、赤髪の大きな斧を持った青年がいたが、そちらははじめましてだ。

 

「ヴィアベルさんとシャルフさんじゃないですか。奇遇ですね。そちらの君とは、はじめましてかな?」

「あぁ。シュタルクっていうんだ。よろしくな」

「俺はトゥーリと言います。よろしくね〜」

 

 シュタルクと俺は握手をする。その手の感触から、相手が只者ではないことがすぐに分かった。

 

「ヴィアベルとトゥーリはどういう関係なんだ?」

「こいつは凄腕の一級魔法使いでな。フリーレンたちも受けてる一級試験の試験官もやってるんだ」

「ただの雑用ですよ〜」

「それでもあの場にいたってことは、そういうことだろ?」

 

 ヴィアベルが気さくに話しかけてくる。試験の時と印象が全く違った。

 仕事とプライベートで、オンオフ切り替えているのかもしれない。

 

「皆さんの関係を聞いてもいいですか?」

「別に。俺とシャルフがこいつをフリーレンから借りただけだ。腕の立つ奴が必要でな」

 

 なるほど。シュタルクはフリーレンの仲間だったのか。彼ほどの前衛がいれば、フリーレンたちも安心だろう。

 

 

「へい! 串焼きお待ち!」

 

 話していたら、串焼きができたみたいだ。香ばしい香りが食欲をそそる。

 

「相変わらず美味そうですね〜。じゃ、お代を「いや無料でいいぜ!」良いんですか?」

「な〜に。トゥーリの兄ちゃんにはいつも世話になってるからな。最近、断頭台のアウラが討伐されたからな。客足は増えてんだ。安心して持ってけ!!」

「それじゃ、お言葉に甘えて〜♪」

 

 おっちゃんから二本の串焼きを受け取る。めっちゃ美味そう。

 

「じゃ、お二人はまた二次試験で、シュタルクさんはまたどこかで会いましょう」

「おう。じゃーな」

 

 3人に別れを告げて、どこか座れる場所がないか探す。

 ……シュタルク君いい子そうだったなー。またどこかで会えたらいいな。

 

 

 

 

 

 

 

「おら、シュタルク。串焼きだぞ」

「ありがとう。……なぁヴィアベル。1つ聞いていいか?」

「ん? どうした?」

 

 

「あのトゥーリさんって、本当に魔法使いなのか?」

 

「? あぁ、そうだ。何か気になることでもあったのか」

 

「いやぁ……

 

 

 

 

 

 あの人と握手した時、一瞬戦士と勘違いしたんだよ。魔法使いとは思えないくらいゴツゴツした手でさ」

 

「……魔法使いにも接近戦が得意なやつは一定数いる。多分そのたぐいの奴なんだろ」

「ただ、ヴィアベル。トゥーリの使う魔法は……」

「そうだな。接近戦に向いてるとは思えねぇ。何か仕掛けがあるんだろ」

 

「ま! 考えてもしょうがねぇ。俺らが試験に合格したら、頼んでみるのも良いかもな」

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

「あっゼンゼさん! お疲れ様です!」

 

 北部支部に戻ると、ゼンゼさんと再び会った。どうやら最終調整を終えたようだ。

 

「これが二次試験の試験内容だ。遅れてしまってすまないな」

「いえいえお構いなく〜」

 

 どーせ俺は見学だし、試験内容に口出しなんてできないからな。

 そう思いながら試験内容を読み進める。

 

 

 

 ………………

 

 

 …………

 

 

 ……

 

 

 

 

 

「あの。これ「もちろんトゥーリにもついてきてもらうぞ。()()()()()な」……」

 

 反応がはえーよ。まだほとんど喋ってないだろ。

 

「けど、いくらなんでもこれは……」

「ちなみに、その内容はもう既に各所に提出していてな。試験内容を変えることはできない」

 

「……もしかして。俺に報告するのが遅れたのって、故意ですか?」

 

 

「さぁ? どうだろうな」

 

 

 俺は見え見えの嘘に、頭を抱えるしかなかった。

 




この世界でのop変化

・サビ前の一級魔法使いの影が映るシーン
ファルシュの横にちょこんと追加されています


・ゼンゼとゲナウが雨の空を見上げるシーン
ゼンゼの斜め前にトゥーリが追加
最前列だよ やったね

一級魔法使い選抜試験編終わったらどうする?(掲示板回は行います)

  • そのままレヴォルテ編へgo!
  • トゥーリ過去編
  • ゼン✕トゥリ
  • ゲナ✕トゥリ
  • ラヴィーネ&カンネ✕トゥリ
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