俺が死んだと思っている仲間と会うのが気まずい 作:guruukulu
と、思ってたけど書いてるうちに長くなりました
一級魔法使いの朝は早い。
特にこの時期は、一級魔法使い選抜試験の準備や通常業務、活発化する魔物の対処など、多忙を極める。
そんな中俺は、ある人の家の前に来ていた。
「ゼンゼさ〜ん。入りますよ〜」
……返事はない。そのまま家の門を開ける。最初は入るのに躊躇いもあったが、今となってはそんなもの時間の無駄だ。
家に入るなり、手に持っていた朝食をテーブルに置いて寝室に向かう。
「ゼンゼさん。起きてください。朝ですよ〜」
「うぅ……あと5分……」
「はい! 起こしますね!」
バサァ!
「あぁ……布団が」
ゼンゼさんを無理やり起こして歩かせる。顔を洗ったあと、ゼンゼさんは席についてテーブルに置いてあった朝食を食べ始める。今日の朝食はサンドイッチだ。
「うん。美味い」
「はい。よく噛んで食べてくださいね〜」
そう言って、次はゼンゼさんの髪の手入れを始める。
ゼンゼさんにとっての髪は、文字通り「武器」であり、命の次に大切なものと言ってもいい。ブラシでしっかりと髪をとき、髪油を使って整える。最後に香水をかけて終了だ。
「ありがとう、トゥーリ。しばらく休んでもらって構わない」
「ありがとうございます……」
ゼンゼさんの髪は見た目以上に重く、手入れには多くの労力を必要とする。最初の頃と比べ大分スムーズに作業できるようになったが、それでも30分前後はかかる。
(体は鍛えてるはずなんだけどな……)
それでも俺がこんなに疲れているのは、やはり女性の髪の手入れに、まだ緊張しているからだろう。
さて、なぜ俺がこんな事をしているのかというと、その理由はゼンゼさんの立場にある。
ゼンゼさんは一級魔法使いになってから長く、その立場も自然と高いものになっている。俺にはできないが、ゼンゼさんにはできる仕事などが山ほどあるというわけだ。
しかし生憎、ゼンゼさんは朝が弱い。それに加えてゼンゼさんには髪の手入れがある。ゼンゼさんは肉体的にも精神的にも追い詰められていった。
そこで俺に白羽の矢が立ったということだ。
俺は家事力に関しては、人並み以上だしゼンゼさんとも仲が良い(たぶん)ので、忙しい時期は俺がゼンゼさんの世話係をすることになっている。
「トゥーリ。待っててくれてありがとう」
部屋の中から、いつもの服に着替え終えたゼンゼさんが出てくる。
「どういたしまして。じゃあ行きましょうか」
扉を開ける。北部支部に着いたら、まずはゲナウさんの雑用かな……
これが俺達一級魔法使いの日常だ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「──一級試験は例年通りなら第三次試験まである。次からは敵同士だな」
「そうだね」
部屋にはフリーレン、フェルン、ラヴィーネ、カンネの4人がいた。話は自然と試験のことに移る。
コンコン
「なんでしょう」
窓の外には、手紙を持った黒い鳥がいた。室内にペッと手紙を落とす。
窓に一番近いフェルンが手紙を拾い、ラヴィーネと内容に目を通す。
「次の試験の通知ですね。第二次試験の会場と日時。それと担当の試験官の名前ですね」
「試験官はゼンゼか。ついてねぇな……」
「せっかく第一次試験に受かったのに……」
「どういうことですか?」
まだ状況がよく分かっていないフェルンが尋ねる。
「ゼンゼの担当した試験は過去4回。全て合わせて、合格者はたった一人だ」
「へぇ。ちなみにその一人って誰か分かる?」
「もう会ってるぞ。この前の試験でマドレーヌ配ってた、あの優男だ」
「トゥーリさんっていうんだよね。私達の学校じゃ知らない人はいないよ」
「なるほど。気配からして、只者じゃないのは分かっていたけど、もしかしたら私の想像以上に凄い魔法使いかもね」
「本人からアドバイスとかもらえたら良いんだけどなー」
ラヴィーネが面倒くさそうに声を上げる。
「流石にこんな町中にはいませんよ」
「そうだよねー……」
─────────────
「ふんふーん♪ 一仕事終えたあとは気分がいいな〜」
午前中。大量にあった実務をなんとか終わらせ、俺は今、街に来ている。ゼンゼさんとゲナウさんは、二次試験の最終調整があるらしく、俺一人の休憩ということになった。
二人とも大変そうだったな。俺も残ろうとしたけど、「これは私達の仕事だ」って追い出されちゃったし。
本当に真面目な先輩方だな〜
さて、どうしようか。お昼を食べるにはもう遅いから、そんなガッツリは食べられない。いや? もうむしろ夕飯の分も含めて食べるか?
「おーい! トゥーリの兄ちゃん!」
「ん? あれ! おっちゃんじゃん! なんか久しぶりな感じだなー」
最近は忙しくてあまり顔をだしていないが、以前まではよく街にくりだして地元の人と交流したりしていた。
おっちゃんは串焼きの屋台をやっていて、とても気前のいい人だ。
「おう! ところで、最近は試験とかなんかで忙しいんだろ? こんなところにいて良いのかよ?」
「仕事はある程度終わらせてるから大丈夫。それよりなにか売ってくれないか? こう見えて、まだ昼食ってないんだよ」
「よっしゃ! 任せろ! 最高の串焼きを作ってやるぜ!」
やっぱり賑やかな人だなぁ。こういう雰囲気は嫌いじゃない。
「お。なんかいいにおいするな〜」
「お前さっき食ったばっかだろ……で、何食べたいんだ?」
「ほら。あそこの屋台」
「お〜たしかにうまそうだな。ん?」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。視線を移すと、そこにはヴィアベルとシャルフがいた。
もう一人、赤髪の大きな斧を持った青年がいたが、そちらははじめましてだ。
「ヴィアベルさんとシャルフさんじゃないですか。奇遇ですね。そちらの君とは、はじめましてかな?」
「あぁ。シュタルクっていうんだ。よろしくな」
「俺はトゥーリと言います。よろしくね〜」
シュタルクと俺は握手をする。その手の感触から、相手が只者ではないことがすぐに分かった。
「ヴィアベルとトゥーリはどういう関係なんだ?」
「こいつは凄腕の一級魔法使いでな。フリーレンたちも受けてる一級試験の試験官もやってるんだ」
「ただの雑用ですよ〜」
「それでもあの場にいたってことは、そういうことだろ?」
ヴィアベルが気さくに話しかけてくる。試験の時と印象が全く違った。
仕事とプライベートで、オンオフ切り替えているのかもしれない。
「皆さんの関係を聞いてもいいですか?」
「別に。俺とシャルフがこいつをフリーレンから借りただけだ。腕の立つ奴が必要でな」
なるほど。シュタルクはフリーレンの仲間だったのか。彼ほどの前衛がいれば、フリーレンたちも安心だろう。
「へい! 串焼きお待ち!」
話していたら、串焼きができたみたいだ。香ばしい香りが食欲をそそる。
「相変わらず美味そうですね〜。じゃ、お代を「いや無料でいいぜ!」良いんですか?」
「な〜に。トゥーリの兄ちゃんにはいつも世話になってるからな。最近、断頭台のアウラが討伐されたからな。客足は増えてんだ。安心して持ってけ!!」
「それじゃ、お言葉に甘えて〜♪」
おっちゃんから二本の串焼きを受け取る。めっちゃ美味そう。
「じゃ、お二人はまた二次試験で、シュタルクさんはまたどこかで会いましょう」
「おう。じゃーな」
3人に別れを告げて、どこか座れる場所がないか探す。
……シュタルク君いい子そうだったなー。またどこかで会えたらいいな。
「おら、シュタルク。串焼きだぞ」
「ありがとう。……なぁヴィアベル。1つ聞いていいか?」
「ん? どうした?」
「あのトゥーリさんって、本当に魔法使いなのか?」
「? あぁ、そうだ。何か気になることでもあったのか」
「いやぁ……
あの人と握手した時、一瞬戦士と勘違いしたんだよ。魔法使いとは思えないくらいゴツゴツした手でさ」
「……魔法使いにも接近戦が得意なやつは一定数いる。多分そのたぐいの奴なんだろ」
「ただ、ヴィアベル。トゥーリの使う魔法は……」
「そうだな。接近戦に向いてるとは思えねぇ。何か仕掛けがあるんだろ」
「ま! 考えてもしょうがねぇ。俺らが試験に合格したら、頼んでみるのも良いかもな」
──────
「あっゼンゼさん! お疲れ様です!」
北部支部に戻ると、ゼンゼさんと再び会った。どうやら最終調整を終えたようだ。
「これが二次試験の試験内容だ。遅れてしまってすまないな」
「いえいえお構いなく〜」
どーせ俺は見学だし、試験内容に口出しなんてできないからな。
そう思いながら試験内容を読み進める。
………………
…………
……
「あの。これ「もちろんトゥーリにもついてきてもらうぞ。
反応がはえーよ。まだほとんど喋ってないだろ。
「けど、いくらなんでもこれは……」
「ちなみに、その内容はもう既に各所に提出していてな。試験内容を変えることはできない」
「……もしかして。俺に報告するのが遅れたのって、故意ですか?」
「さぁ? どうだろうな」
俺は見え見えの嘘に、頭を抱えるしかなかった。
この世界でのop変化
・サビ前の一級魔法使いの影が映るシーン
ファルシュの横にちょこんと追加されています
・ゼンゼとゲナウが雨の空を見上げるシーン
ゼンゼの斜め前にトゥーリが追加
最前列だよ やったね
一級魔法使い選抜試験編終わったらどうする?(掲示板回は行います)
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そのままレヴォルテ編へgo!
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トゥーリ過去編
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ゼン✕トゥリ
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ゲナ✕トゥリ
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ラヴィーネ&カンネ✕トゥリ