二人のビーストテイマー~プログレッシブver~   作:ほにゃー

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長らくお待たせしました。
 
本日より、プログレッシブ編始まります。




儚き剣のロンド
第1話 《ウルバス》の鍛冶屋


「ふざけんなよ!!」

 

半ば裏返った絶叫が広場に響く。

 

いつものレベリングを終え、耐久値の減った武器の耐久値を回復しようと鍛冶屋に向かう途中だった。

 

なんでも主街区《ウルバス》に、鍛冶スキルを取得したプレイヤーがいると聞き、メンテついでにどんな様子が見ようと思った。

 

その絶叫がなんなのか気になり俺とシリカはそっちの方に向かう。

 

「も、戻せ! 元に戻せよ!! +4だったんだぞ! そこまで戻せよっ!」

 

全身を金属防具で覆い、三本ツノのヘルメットを被ったプレイヤーが、じゅうたんを広げ、その上に小さな陳列棚や椅子、そして鍛冶に使う道具一式を所狭しと並べているプレイヤーに怒鳴っていた。

 

おそらく、あの怒鳴られているプレイヤーが件の鍛冶スキルを取得してるプレイヤーなのだろう。

 

「ねぇ、あの人どうしてあんなに怒ってるの?」

 

「話と状況から考えると強化に失敗したんだと思う」

 

あの人の持ってる剣は《アニールブレード》おそらく+4まで強化しているやつだった。

 

そして、鍛冶スキルを取得していたあのプレイヤーに+5への強化を依頼した。

 

その結果、失敗し+4から+3へ。

 

それによって頭に血が上り、そのまま連続で強化し、結果+0になってしまった。

 

「武器の強化の時、プレイヤー鍛冶屋は成功率七割を目安に強化依頼料を設定するんだ。だから、最初に失敗した時、追加料金を払って素材アイテムを増量してもらうか、出直して素材を持ち込んでくるべきだったんだよ。早い話、あの鍛冶屋の人は悪くないんだ」

 

シリカはふ~ん、と頷き、まだ様子を見ていた。

 

「でも、失敗して+0になったんなら、もう一度強化し直せばいいんじゃないの?」

 

「武器には《強化試行上限数》ってのがあって、試行上限より強化は出来ないんだ。《アニールブレード》の試行上限は八回。最初に+4だったから、四回強化してあって、そして、今、四回強化に失敗して試行上限の八回を使い切った。あれはもう強化出来ないんだよ」

 

「う~ん、それじゃあ、荒れる気持ちも分からなくないけど、鍛冶屋さんには問題ないんだよね?」

 

「ああ。むしろ、NPCの鍛冶屋よりは成功率は高いはずだし、強いて言うなら、運が悪かったってことかな」

 

シリカと話してると、急に男の人が騒ぐのを止めた。

 

そっちの方に顔を向けると、男の人の仲間だと思われる人が二人駆けつけて宥めていた。

 

「落ち着けよ。ほら、大丈夫だってリュフィオール。また今日からアニブレのクエ手伝ってやるからよ」

 

「一週間あれば取れるんだからよ。今度こそ、+8にしようぜ」

 

友達想いな二人の言葉に俺は感動すると同時に、羨ましく思った。

 

俺には、仲のいい友達はいないしな。

 

見た目の性か、誰も不気味がって近寄って来ないし、仮に近寄って来ても苛めの対象に寄ってくるような奴ばかりだ。

 

まぁ、虐めようとしてくる奴等は全員叩きのめしたが………

 

そう思ってると今まで黙ったままだった鍛冶屋がおずおずと声を掛けた

 

「あの……、ほんとに、ほんとにスミマセン。次は、次こそは頑張りますんで。あ、もう、うちに依頼するのはお嫌かもしれませんけど」

 

鍛冶屋の人はやや細いタレ目に無造作に真ん中から分けられた髪型で、見たが鍛冶屋として似合っていた。

 

「………あんたのせいじゃねぇよ……色々言いまくって悪かったな……」

 

 肩を落とし、力ない声でそう言った剣士がその場を去ろうとした時――

 

「あの……こんな事ではお詫びにならないかもしれませんけど、うちの不手際で+0エンドにしてしまったアニールブレード、八千コルで買い取らせてもらえませんか?」

 

ざわっと周囲がどよめく。

 

それもそのはず、手に入れたばかりの《アニールブレード》の相場が一万六千コルぐらいだが、《エンド品》でおまけに+0の《アニールブレード》なら、四分の一の四千コルもいかない。

 

それを、八千コルで買い取ってくれるとは、お詫びとしては破格の申し出だ。

 

三人の男の人たちも、呆気にとられながらもそれを了承した。

 

八千コルを貰い三人は引き上げ、野次馬もいなくなり広場には落ち着きが戻った。

 

「で、どうする?」

 

「どうするかな……」

 

正直、噂の鍛冶屋にメンテを頼み、それで腕が良さそうなら強化もお願いしようかと思ってたのだが、今の光景を見ると躊躇ってしまう。

 

「素材集めて持ち込みするか」

 

「それが無難だね」

 

素材を集める方向に決まってフィールドに向かおうとすると、近くで見知った顔を見付けた。

 

キリトさんとアスナさんだ。

 

アスナさんはシリカと同じ灰色のウールケープを身に着け、腰には細剣を帯びている。

 

だが、キリトさんは一層のボス戦でのLABで手に入れた黒いコートではなく、通常の防具にバンダナを付けていた。

 

「キリトさん、アスナさん!」

 

「お久しぶりです」

 

「あ、レイン君にシリカちゃん!久しぶりね」

 

「よぉ、お二人さん。元気だったか?」

 

アスナさんは嬉しそうに笑顔を向けて挨拶し、キリトさんはだるそうに手を上げて挨拶してくる。

 

「お前たち、これからどこ行くんだ?」

 

「素材集めに行く予定ですけど」

 

「なら、私達と同じだね」

 

「キリトさんたちも強化するんですか?」

 

「いや、俺はどっちかって言うとアスナのお手伝いだ」

 

キリトさんの言葉に?も浮かべながら首を傾げる。

 

「なんて言うか、話せば長いんだ」

 

「あ、あははは……ちなみに何を狩りに行くんですか?」

 

「ウインドワスプそれも、針」

 

うわっ……針ってドロップ率八パーセントじゃないですか。

 

大変だな。

 

「あ、シリカ。確かお前の短剣の強化に必要な素材ってウインドワスプの顎が必要だったよな?」

 

「え?あ、うん。そうだよ」

 

「なら、キリトさん。俺たちも素材集め手伝います」

 

「……いいのか?」

 

「はい。どうせ、顎を集めないといけないですし、そのついでに針がドロップしたら顎と交換でどうですか?」

 

「俺としては数は多い方がいいから嬉しいが、アスナとシリカはどうだ?」

 

キリトさんは確認を取るようにして二人に聞く。

 

「あたしはいいですよ」

 

「私も。手伝ってくれるならとてもありがたいわ」

 

「よし、じゃあ四人でウインドワスプ狩りと行きますか」

 

キリトさんはよいしょってベンチから立ち上がり体を伸ばす。

 

「あ、それとキリト君。私達と狩りをするならその趣味の悪いバンダナは外しなさい。悪いけど、ぜんぜん似合ってないから」

 

アスナさんの言葉にキリトさんは若干涙目になってバンダナを外した。

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