ルドラサウム大陸へ侵攻してきた悪魔たち、だが創造神となったランスの前に、下級の悪魔たちは次々と敗北していった。
「…第参階級あたりまでの悪魔では歯が立たぬ、か…大陸の拠点の1つであった悪魔回廊は早々に占拠されたと聞くが、ドラゴンほどではないにしろ、人間もやるものだな」
「ラサウム様、御子様方は如何ですか?人間界への進軍を希望する御方もいらっしゃったかと…」
「…我が生みの親、とやらの影響か…余りに早く決着が着いては楽しみがないと、我が魂が訴えるのだ…ルドラサウムが消える前は、機会さえあれば、魂さえ集まれば直ぐに我自身が戦いに出向こうと思っていたというのに、神々の奴らが去った今となっては、どこか腰が重くなってしまう。三魔子どもを遣わしては、早々に片がつく故、つまらぬ」
「あなた様の勝利は確実にございます、仰せの通り、我が君や御子様方の出陣がなってしまえば、余りに簡単な戦争…いえ、戦争というのも烏滸がましい、一方的な蹂躙となりましょう。失言をお許し下さい」
ラサウムが戯れに夜伽役の女悪魔との会話を楽しんでいる。何人か侍らせていた女悪魔のうち、先ほど1人がラサウムの胃袋に収まったが、閨のまとわりつくような淫靡な空気、ラサウムの白い巨体にうっとりと身体をよせる美女たちの蠱惑的な雰囲気は、いささかも揺らがない。ラサウムの性奴隷兼妻であるテェロ・エティエノは、静かに彼等の会話を聞いていた。
あの創造神?ランスという人間は、片っ端から女悪魔を抱きまくっている。あの男は、倒した、あるいは性交した悪魔から魂を奪ってしまえるらしい。奪うというよりは、魂が元の場所へ、かつて属していた輪廻の流れへ還ってしまうという方が正しいだろう。ルドラサウムの魂は悪魔の身体や力の源でもあるため、能力まで奪われてしまう。そしてランスのレベルは、何故か無限に上昇していく。
またそれこそゲームのように、悪魔界側が、これも何故か弱い悪魔から順に派遣するという戦法をとっているがゆえに、ランスは悪魔たちの能力と悪魔が有するルドラサウムの魂の欠片を次々に吸収していく。段階的に、そして着実に強くなっている。ランスを核として、人間や魔人や魔物、一部の神々などで構成された大陸の連合軍が、悪魔軍と戦うノウハウと実力を高めていっている。諜報員からも、たまたま出向いた第壱階級の悪魔の1人がランスに、ランスの軍に死闘の末に倒され力を奪われたこと、女悪魔は階級に関係なくヒィヒィ言いながらランスに寝返るという島津家を敵に回した時のような事態が続発していることも報告されている。
(ルドラサウムの性格が、何故今になって我が君に強い影響を及ぼしているのか…わらわが忠言したとて、我が君の御機嫌を損ねて殺されるまで犯し倒されて復活させられるだけ…何もできない、時を待つしかない…)
絶対的であるが故の余裕から、自身に手向かうひ弱な敵対者を肥育する、という目論見もあるのだろうが……ルドラサウムの魂を奪うことの意味を軽視したラサウムの過ちか、今になってルドラサウムが自身の魂に何か影響を及ぼしているのか、ルドラサウムが力を失ったが故にラサウムが何らかの運命の中に組み込まれてしまったのか…
今はまだ僅かな可能性だが、かつての創造神が意図せずして産み落としたバグの歩む道の先に、悪魔王NTR正史ルートへ到達し得るフラグが生じていることに、ラサウムは未だ気付いていない…
一方、ランスは女悪魔たちとのセックスをたっぷりと楽しんで、風呂でソーププレイをさせながら汗を流した後は、ベッドでゆったりとくつろいでいた。次元を越えて移動できるように改造した、聖魔教団の技術を導入したランス城は、悪魔界のあるエリアにて次の戦いに備えて鎮座しているところだ。
「ふー…しかし、女悪魔とやればやるほど精力も体力も上がっていくな…俺様だからこそのパワーアップというわけだな、我ながら才能が恐ろしい。天界の天使を犯す時とは、また別の感覚だな」
ガハハと笑いながら写真集を読み始めるランス。
「…」
「お、おおお、さすがは悪魔界のエロ本だな…ヌタヌタの穴奴隷でもこんなの着ねーだろ…うぉ、すっご…この服なら、今度取り寄せてチルディに着せてみるか…」
「…」
「ぐおっ、なんだアリスちゃん、頬をつねるな」
「……最っ低……こんな、こんなのが創造神だなんて…あの方の御力が汚される…」
「汚されるって言ってもなぁ、エールがくれるって言ったんだし」
力を失って、いまやランスの女としてハーレムに強引に加えられている女神ALICEは、ランスの肩に抱かれながら歯軋りした。
「あの方を気安く呼ぶなっ、親子関係だの何だの、たかがプレイヤーの次元の理屈で勝手なことを…それに、いい加減自室に戻って眠りたいのだけれど、離してもらえない?」
「おいおい、今晩はアリスちゃんが俺様の夜伽をしてくれる約束だろう?」
「知らないわよ、そんなの!」
「10分前くらいに風呂場で決めたぞ、全く、元は一級神とやらの偉い女神なんだ、創造神様のスケジュールくらい把握しておけ」
ALICEは怒りのオーラを発するが、ランスは涼しい顔だ。悪魔たちに奪われていたルドラサウムの魂を、悪魔狩りと女悪魔食いを繰り返して大量に蓄えているランスからすれば、ただでさえ能力が衰えてランスに敗れ、衆人の前で犯されたALICEなど、何らの脅威にならない。
「そんな怖い顔をするな、怒る暇があったら創造神様のハイパー兵器様のお世話でもしたらどうだ」
「嫌よ!!!」
「非友好的な態度は非生産的だ、いかんな」
ランスは、がばっとALICEの細い、華奢な身体を押し倒す。
「は、離せ!やめ…!!あっ…」
「ガハハ、友好的にお楽しみといこうじゃないか、おほー、相変わらずやわっこいなー、すべすべだー」
「嫌、嫌っ、い、あぅんっ!!や、やぁっ、………!あん、だ、やんっっ、うんっ、んっんっんっんっんっんっんっ……」
………
……
…
朝を迎えて、ランスは清々しい目覚めを味わう。心地よい疲労感と満足感。そして視界に映る、ベッド上にまるで金色の野のように煌めき広がる、セックス地獄で力尽きた女神の髪、そして朝の光を浴びる彼女の皇帝液だらけの肢体に、ため息をつく。性臭や汗の匂いに加え、女神の纏う男を強烈に誘惑する女の香りが、早朝のランスの脳を甘く覚醒させる。
「ん、グッドだ。流石は俺様、俺様のハイパー兵器。このような芸術を作るとは」
寝バックの体位で寝落ちしたランスに文字通り犯し潰されたALICEは、ぴくぴくと痙攣しながら、ランスが寝た後も奥深くまで突き刺さったハイパー兵器のために強制的に眠らず徹夜で快楽漬けにされ充血した瞳で、恨みがましくランスを睨みつけた。
「うーむ、完全にぐったりして、少しやりすぎたか…うげ、シーツが肌にべったりだ、バリバリ剥がれる…今日はこのまま寝てろ。秘書はクエルプランちゃんがやる予定だしな」
ランスの身勝手な言葉に、言い返す気力もない。神聖な身体を何もかも穢され、しゃぶりつくされた彼女は、憎悪に満ちた目をしながらもランスに屈服するしかなかった。
「…」
「創造神様、の仕事をする前に、と…」
「え、……きゃっ!」
ランスに抱きしめられ、筋肉質な身体にALICEは全身をすっぽりと包まれてしまう。
「うーむ、何度触ってもいいものだ、アリスちゃんの肌に髪は…マジで飽きないな…ちと、いや大分かぴかぴするが、まあ俺様の皇帝液だしなぁ」
きっ、と睨みつけるも、力が、覇気が込められない。未だ慣れない受肉の影響を含む、疲労と寝不足のためだけではない。
ランスがALICEの身体を、力任せではなく、まるで優しく労るように抱きしめている。ランスとしては彼なりの後戯であり、かつALICEの身体の感触を楽しむことが主目的の行為だが…
「とりあえずゆっくり休んでおけ。用があればビスケッタさんに頼め。ビスケッタさんにも、目が覚めたアリスちゃんが呼んだら、すぐにお世話するよう伝えとく」
「…」
「しっかし、まさに絶世の美女…俺様のための俺様だけの俺様の女だな、抱きしめてるだけで充足感というか満足感というか、力が漲る気がするな」
「…」
英雄たるべく、俺様に相応しいかわいこちゃんで英気を養わなければ、そう言いながら普段の振る舞いから想像できないような優しい手つきで髪を撫でられる。嫌悪すべきはずなのに、夜通し注ぎ込まれた快楽の熱は流石に冷めているのに、何千年も存在してきたなかで今まで味わうことがなかった行為に依然として戸惑いを覚え、大きな手で撫でられた箇所が熱を帯びるかのような感覚を味わう。
この手が、結果的には、神々の作り上げた遊戯盤をひっくり返してしまった。今は大陸の命運を握っている。あの方が創造された世界全ての行く末を背負っている。力が衰え、素裸で悪魔共の食卓に並ぶも同然だった筈の無力な神々の命運もだ。そんな重圧を抱えていることを微塵も感じさせないのは、この男が馬鹿だからなのか。
そうだ、馬鹿なのだ。性交以外に、何も考えているはずがない。クエルプランも堅物で賢しらぶるくせに馬鹿だから、こんなゲテモノに誑かされるのだ。あの方が、私たちにはついぞお見せにならなかったような表情を、あの男にはお向けになるのは、この男が歴代プレイヤー史上かつてない馬鹿であるからこそ、至高の玩具であるからこそだ。
これほどまでの馬鹿だから、私はこいつを利用して、あの方を、あの方の世界を、私自身を守らせているだけなのだ。あの方のためにプレイヤーを手駒として動かす、今までと何も変わっていない。だから、私は………
ALICEが、ランスに聞こえないほど小さな声で一言、罵倒する。罵倒した、はずだ。本人にもよく分からない。意識せず、ランスの逞しい身体に回した腕に少しだけ力が入る。
「……………………ばか……」
もう一度罵倒する。
「ん、何か言ったか、アリスちゃん?」
「……………」
………
……
…
その日の朝の創造神様業にて、たまたまALICEの髪の毛が1本ランスにくっついていたことに気付いたのがきっかけで、遂にクエルプランが自制できずに嫉妬心を暴発させる珍事が起こった。さらに、最近は絶世の美女たる女神や女悪魔にランスが夢中になっているのに焦りを感じていたために、ランスの女たちが、また珍しくシィルまでもが、クエルプランに同調してランスに冷淡な態度をとっている。クルックーは普段以上に無愛想になり、アムはいつも通り創造神を暗殺しようとしてきた。
ランスはかえって上機嫌になり、朝っぱらから体育館でハーレム大会を開いた。悪魔界からの総動員令を拒みランス城に保護されていたフェリスとダークランスは、大陸全土を征服し、一級神をぶち犯し、とある宿敵の第壱階級悪魔すらぶち殺し、まさか悪魔界を本気で征服するのではないかとすら思えるランスが大乱交に耽る姿を前に、真面目に考えるのをやめて真顔でその様子を見ている。
魂の回復量に応じて悪魔の契約なぞ遥かに凌駕する能力を発揮し得る創造神の権能、その力を利用し無限発射して盛りまくるランスを、ラサウムの宮城から遠視していたテェロ・エティエノは、創造神の暴れ狂うハイパー兵器を興味深げに眺めていた。一瞬、ラサウムは自身が未だかつて体験したことのない感覚、ごくごく僅かだが、背筋に悪寒が走ったことに不思議そうな顔をしていた。