過去に戻ったので、破滅する推し箱の未来を変える。   作:匿名

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※今度こそコメディです。


#014 遠藤、絶対に許さない……!

【雑談】(>ᴗ<#)マシュマロ読みます!【詩星せるり・VNIVEARTH】

 

「次のマシュマロはこれです!」

 

[最近のトレンドとかありますか?]

 

「トレンド……やっぱりミッ……んん! ……やっぱり友達ですね! どの服が似合うかとか、部屋で一人の時でも考えちゃってます、ついつい!」

 

:あら〜

:推定みっちゃん

 

 あ、またやっちゃった。

 初配信でも言いかけてたし、気を付けないと!

 ミナちゃんは私だけのものなんだ……誰にも渡すもんか。私だけのミナちゃんだ……。

 

:仲良し

:てぇてぇ

 

「仲良しですよっ。一番の親友ですから!」

 

「良い友達がいるのね。……大事にするのよ。

 アタシは地元からこっちに来るときにみんな、交流がなくなっちゃって……。そうはならないようにね」

「はい! 絶対に大切にします!」

 

:ぺす……;;

:おかん

:おばさん

 

「おば…っ…!?」

 

 萬屋先輩がコメントを見て絶句してる。

 私にも見えた。誰だこんなひどいこと言うの。

 やっぱりネットは怖いんだ。ミナちゃんの名前は出しちゃいけない。私が守るんだ……。

 

:友達のこと大好きなんだね

 

「はい! 大好きです!」

「うんうん」

 

:友達もVになれ

:後方腕組みぺすネキ草

:喧嘩とかしないの?

 

「しませんよ〜。

 あ、でも一度だけ、行き違いで喧嘩しちゃったことがあるんです……」

 

:え?

:どんなの?

:決裂

 

「えっと……私がですね、人に騙されてたことがあるんです。人に騙されて、新しい挑戦をしようとしてて。

 そのとき、その友達が騙されてるよって教えてくれて。

 でも私、なんで反対するのって、悲しい気持ちの方が大きくなっちゃったんです。友達と一緒に頑張ったことがきっかけで、その挑戦が出来るようになったので、私と友達の、二人の努力実ったんだって思ってたので。それで私、馬鹿で、拗ねちゃって」

 

:おお

:長い

 

「その時なんです! ミナちゃんが私にVtuberやって欲しいって! 誘ってくれて! ミナちゃんが絵を描いて、私がその中に入る! 反対したのも、全部私と一緒に配信活動をやるためなんだって!! ミナちゃんも私と同じ気持ちだったんです! 私は早とちりで拗ねちゃってただけでミナちゃんも私のことを一番に考えててくれてたんです!私とミナちゃんは繋がってるんです!本物の友情、本物の愛が私とミナちゃんの間にはあったんです……!」

 

:怖い

:ずっと喋ってるよ

:正体現したね

:みなちゃん確定

 

 あっ……ああっ!!

 名前出しちゃった……私だけのミナちゃんが……。

 なにやってんだ私。いつかやっちゃうと思ってたし、ミナちゃんも『その時はしょうがないから全然いいよ、本名じゃないし』って言ってくれてたけど、でも私だけのミナちゃんが……。

 

 え、英語表記なのはバレてないもんね!

 

 私だけのあだ名呼びはバレちゃったけど、本当にミナちゃんを知ってるのは私だけなんだ……。

 

 そのとき──

 

 ──私の目に、1つのコメントが、映った。

 

:みなちゃんって「みな」しごエンドレスじゃねw

 

 そのコメントを見た瞬間。

 

 私の何かが、沸点に触れた。

 

「な、なんてこと言うんですか! ミナちゃんをあんなのと一緒にしないでください!

 ミナちゃんは優しくて、可愛くて、いろんなところをちゃんと見てくれてて、声も可愛くて、髪も綺麗で、天使のような、何でもできるすごい子なんです!!

 あんな……! エンドレス遠藤だとかいう、あんなよくわからない男の人と……!」

 

「せ、せるりちゃん落ち着いて……」

 

:草

:草

:エンドレス遠藤www

:www

:みなしごエンドレス遠藤www

 

 よりにもよって、私のミナちゃんを穢しやがって……!

 

 遠藤、絶対に許さない……!

 

 その日から、私の配信では『みなしごエンドレス』がNGワードに設定された。

 

   *

 

【みなしご】新人Vtube♂ ノンデリで早くも同期に嫌われてしまう【エンドレス】

 

 俺がVtuberとしてデビューしてから1週間が経過した。

 まだ2回目の配信もしていないのに、まとめサイトの記事が増えていたのは見なかったことにしよう。

 

 ノンデリは俺じゃないだろ……。

 これが偏向報道か。ネガキャンが過ぎる。

 

 土曜日。俺はVNIVEARTH(ヴニヴァース)一期生との会議を行おうとしていた。

 

 複数人ならばと話の場にdlscord(ドルスコード)を指定したのだが、2019年3月ではまだ普及していなかったらしく、アカウント登録が案内され大層(たいそう)不審がられたのだった。余談。

 あのVNIVEARTHだもんなあ。怪しい会員登録だって思うのも妥当。

 

 VNIVEARTH設立から3月目になってようやく作成された連絡網にて、残りの一期生にも新規モデル作成のメールを送った。

 

 無論、萬屋ぺすとには説明済み、了承済みであり快諾。

 

 しかし。

 

 残りの2人の返信メールは、示し合わせたかのように、同じ返答だった。

 

 ──VNIVEARTHを、辞めたい。

 

 その真意を伺うため落ち着いて話せる場を用意することにした俺は、VNIVEARTH一期生の全員に都合の良い日程を確認し、条件に適う週末を待ったのだった。

 

 VNIVEARTHの一期生は、『萬屋(よろずや)ぺすと』、『佐土原(さどはら)恭子(きょうこ)』、『神海(しんかい)まりも』の3人からなる。

 

 統一性もない3人。共通項といえばその立ち絵モデルのクオリティくらいか。

 

 あの未来で、萬屋ぺすとはVNIVEARTHの最後まで残っていたから名前と良くない噂があったことくらいは知っていたが、あとの2人に至っては俺がVNIVEARTHを知った頃にはすでに引退してしまっていたのでほとんど知らなかった。

 

 卒業ではなく、引退。

 そこに何があったのか、それが円満ではなかったものかと邪推することは出来るが、真相は置き去りになったまま。俺には知ることが出来ないことだ。

 ……もっとも、あの社長の体たらくを見れば、十中八九満足な活動が出来ていたとは言い難い。

 

 場合によっては謝罪が必要だろう。社長の代わりに。俺が。

 罵倒されることも覚悟しなければいけない。どんな罵詈雑言も、俺が受け止めよう。

 

 そうして迎えた会議当日。2人の反応は淡々としていた。

 

「……」

「そうは言われてもね。わたしも最初はやる気だったのだけれど、2月になるころにはね、もうすっかり、どうでもよくなっちゃって」

「……」

「ごめんなさいね。あの立ち絵? モデル? あれを貰うのは、ちょっと重いわ……」

「……」

 

 柔らかなお姉さん口調で喋っているのが佐土原恭子。

 一方で、一切合切何一つとして言葉を発していないのが神海まりもだ。

 

 なんか言えよ。

 

 何も言いたくないほどに怒っているのか確認したが、どうもそうではないらしい。

 だが、発言はない。

 

 これもうミュートにして通話の向こうで遊んでるんじゃないか?。

 

「それに関しては、本当に申し訳ありませんでした。社長の怠慢により、一期生の皆さんにはご不便と、ご迷惑をおかけしています」

 

「……そのことはもういいんです。メールでいただいた文章でお気持ちはいただきました。ですが、わたし──わたしたちは、むしろ熱心な活動を推進されていたら、辞めていたと思うんです」

「……」

「元々はオーディションに応募したのも気まぐれでした。ぺすとさんにも色々お話を聞いたけど、わたしたちは、その熱意には応えられない」

「……」

「あんなにすごいモデルをいただいても、見合う活動が出来ないんです」

「……ふすっふすっ

 

 どうしよう、佐土原恭子の話に集中できない。

 なんか頷いてるような音だけ聞こえてくる。

 

「神海まりも様はどうですか?」

 

「……」

「……」

「……」

「……」

 

『私はしゃべりたくないので、無理です』

 

 通話中なのにチャットの方で返信してきた。

 喋りたくない。じゃあ、Vtuber、無理かぁ……。

 

 あの社長はなんでこんな個性の塊ばかり集めるんだろうな。見る目だけは実はあるのか……?

 悔しいけど、ありそうな気がする。あの四天王を集めるんだしなぁ。

 

「喋るのが苦手、ですか。それは、仕方がないですね」

 

「はい。ですから、わたしたちはここで辞めておくのが良いと思うんです。これからのVNIVEARTHの足枷になる」

「……」

 

 ……通話だから辛うじてわかる。

 その言葉は、心から辞めたくて発せられたような苦痛のものではなかった。

 

 詩星せるりの配信で、萬屋ぺすとのトークの上手さに驚いた俺は、ずっと見ずにいた一期生のアーカイブを確認した。

 

 萬屋(よろずや)ぺすとはずば抜けたトークセンスとリスナー捌きに秀でていて、なんと俺の配信に対する持論に近い技術をこの時代ですでに持っていた。

 

 佐土原(さどはら)恭子(きょうこ)は持ち前の柔らかい雰囲気でリスナーの相談に親身になっていた。

 

 神海(しんかい)まりもは発言こそほとんどないが、独特なゲームセンスと、独特というか奇妙なキャラコントロールでリスナーの笑いを誘っていた。

 

 全員が、どうしようもなくつまらなくて、今すぐ辞めたいようには、見えなかった。

 

 それをわざわざ追い出すような形にしてしまうのは、本意ではない。

 

 本人の希望であれば卒業や引退を無理に引き留めようとは思わないのだけど、せめて。

 せめて、話し合いを通して結論を出したいと、俺は思ったのだ。

 

「萬屋ぺすと様」

「えっ、はい!!」

「萬屋ぺすと様は、人気ライバーになりたいですか?」

「それは、まあ……」

「登録者数100万人の、金盾ライバーを、目指したいですか?」

「出来るなら、目指したいわね」

「その目標に、この御二方は障害になり得る?」

「えぇ……? いえ、関係ないんじゃないかしら」

「だそうです。萬屋ぺすと様、お聞かせいただき、ありがとうございます。

 どうですか? 何も辞めることはないんです。所属することに費用は発生しませんし、こちらも何か負担しているわけではございません。

 御二方は、配信はお嫌いですか?」

 

「いえ……」

『別に』

 

「じゃあそれでいいんです。私自身VNIVEARTHを大きくしようと思っていません」

 

「えっ!?」

 

 萬屋ぺすとがちょいデカ声で驚きの声を上げた。

 あれ、まずかったか?

 

「ろくなバックアップもしなかったあの社長は言わずとも向上心がありません。

 あれと同じ考えなのは不服ですが、私にも、私と同じ志を持ってVNIVEARTHを改善しようと思ったクリエイターたちにも、この業界で成り上がろうという意志はないのです」

 

「えっ」

「えっ」

「えっ」

 

 3人の声が立て続けに聞こえる。

 というか今、神海まりもが喋ったか……?

 

 ──俺の行動と考え、それが周囲からどう見えるか、この時の俺は自覚していなかったのだ。

 

【誰のビジュアルを先に見たい? VNIVEARTH人気投票!!】現在公式Tvvltterにてシルエット画像を公開中。4期生デビュー後に内容が明らかになりますが、これは制作途中のラフ段階のものです。そこで、本アンケートの結果に基づいて完成させる順番を考慮いたします。皆様の推しにぜひご投票ください!(※なお一期生については、本編では未改修のためネタバレが含まれます)

  • 萬屋ぺすと
  • 佐土原恭子
  • 神海まりも
  • 詩星せるり
  • 遠藤
  • 黒宮院みやみ
  • 拳藤正義
  • 波羅劾ざくろ
  • 4期生の2人目
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