【Mimecraft】まりるりコラボ【神海まりも・VNIVEARTH】
「まりるりコラボ~!」
「……」
「配信に来てくれたみんな、初めまして!
そして~?」
「……」
「あ、あはは……こちらがVNIVEARTH一期生、
「……」
「はは、は……」
「……」
「……」
「……」
なんだこれ。
2019年、この時代でもすでに世界的な有名タイトルである某サンドボックスゲームの第一人者であり金字塔のこのゲームは、Vtuberに限らず多くの配信者から親しまれてきた。
各々の個性を発揮しやすい多様性のある幅広い遊び方が出来ることや、広い表現の幅によってアート作品としての側面も持ち合わせ、また生存を賭けたサバイバル的な戦闘の要素も併せ持つ。
そして、このゲームがここまでの人気を得て発展を遂げて来たのには、マルチプレイが容易なことが大きく関係している。
サーバーを用意出来れば、他の配信者ともリスナーとも安全なコラボを行うことが出来る。
そしてドット調のブロックというシンプルながら奥深いオープンワールドで、各々が個性を発揮しながら自由なプレイを行う。
Vtuberにとっても、そのゲームコンセプトは配信に合致していて、コラボ配信に使いやすいメリットがあった。
特にLive2Dという、3Dモデルと比べて簡易的なモデルで行う配信者にとっては、この画面内で自由に動き回りコミュニケーションをとるという構図はさながら3Dコラボ配信という、普段の平面の配信とは異なるイベント感を演出しやすい。
そして何よりも。
VNIVEARTHのような企業所属のライバーでも、事実上フリーで使用できるという商業的な使用が許可されているのが一番大きい。
コンプライアンスに触れるような遊び方や、公序良俗に反するようなことさえしなければ、ほぼ自由に使える。あとは公式イベントと誤認させるような宣伝とか。
困ったらとりあえずマイクラコラボ。
そう言われるほどまでに、このゲームは安定の択として扱われている。
困ったら、とりあえず。
そう、俺はもう困ったのだ。
せっかく箱なのだから、VNIVEARTHには詩星せるりと萬屋ぺすとの『せるぺす』コラボ以外にもコラボ配信を行って欲しいと考えた。
しかし、一期生の
強制しないと言った以上、コラボ配信を行う打診にすら渋い顔をされてしまうだろう。顔は見えないけど、そんな気がする。被害妄想。
名前の『まりも』は、平仮名文字で思いついたのがこれだったらしい。
神海は、まりもなのに深海なら面白いかもと思ったところ既存の名前としてネット上にあったので、字を変えたとのこと。
リスナーの相談へ親身になって返事をする包容力を持ちながら、本人はVtuberへの理解がほとんどないらしく喋らない神海まりもにすら登録者が劣る。名前も適当だし、エプロンを付けていたからなんとなくお花屋さん設定にしたらしい。
この2人を遠回しにやんわりとコラボに誘い続け、ついに今日、神海まりもと詩星せるりのコラボ配信を行うことになった。
──そしてこれである。
「ま、まりるりコラボ~……」
「……」
:もう1人しゃべらなくて草
:放送事故
:これマイクミュートになってない?
:うちのまりもがすいません
モデレーターとして見守っている俺だが、コメントが荒れるとかそういうのとは全く別ベクトルのアクシデントに見舞われている。
アクシデントではないか? 十分に予想出来ていたことだし。
でもさ、でもさぁ。
マジで喋らないの逆にすごいよ。
無言の神海まりも。しかし操作キャラは小刻みにおじぎを繰り返していてうるさい。絵面がうるさい。
かくかくかくかくかく……これしゃがみ操作だっけか? しゃがむのを連打してるのか。
というか配信主は神海まりもなのに映してる画面は詩星せるりだな……。
まあ神海まりもの奇行が見やすくていいけど、まさかこれ狙ってやってるのか? だとしたらやり手だぞ神海まりも。
「……」
「え、えへへ……」
うんうん。とりあえず笑っておけっていう配信の心得は守ってるね、せるりちゃん。
……おっと、頭の中のminaが出て来てしまった。
笑っておけっていうのには、可愛いから以外にもちゃんとした意味がある。
配信内の人間が笑うことで、ここが笑いどころですよーとリスナーにわかりやすくする効果があるのだ。お笑い番組で言うところの観客である。
バラエティ番組でも多用される、笑い声や『えぇー?』という、よく聞くと全部同じような効果音の一種だとわかってしまう声には、その場面がどういうものなのか視聴者に伝える意味を持っているのだ。
それを可愛らしい声で行えるのだから、とりあえず笑っておけ。
一方、俺がやっておくべきことは、並行して配信を映しているスマホでもサクラとしてコメントをしておくことくらいか。
:コラボ相手に自分の自己紹介までさせる女
:草
:草じゃないが
神海まりも:うむ、くるしゅうない
:!?
:どの面下げてこのコメント打ってんだw
ええ……。ええぇ……。
ちょっと面白いけど、問題児過ぎないか? なんでこいつがオーディション受かったんだよ。
社長はどんなオーディションをしたんだ?
配信が出来るパソコンがあるかとかそういうのを聞いたとは聞いたけど、まさかそれしか聞いてないとか言わないよな。
俺は困っている。困ったから雑に取り付けたこのマイクラコラボで、困っている。
じゃあマイクラコラボ内でマイクラコラボをするしかないな(?)。
配信画面内では、神海まりもがおじぎをしながら詩星せるりの周りを取り囲むように回っている。
なんというか、
……
そこへ──
──救世主、来たる。
「──全く、見てられないわね! 」
:!?
:デジャブ
:なんだこのノリwww
:草
「アンタたち、手洗いうがいはしてる? アタシ以外に感染なんて、許さないんだから!
VNIVEARTH一期生、
VNIVEARTHの頼れる姉御、ぺすネキだ。
こんな時のためにと声をかけておいたのだ。こんな配信にも助っ人してくれるなんて、出来た人である。
いいぞ、やれー!!
:ぺす!?
:茶番wwww
:手洗いうがいしてる!!
:せるぺすコラボ
:ヘルペス
「詩星せるり! 神海まりも! アンタたち、それでも配信者なの!?」
「すみましぇん……」
「……」
「あぁぁ、ごめんなさい責めてるんじゃないの。違うの違うの。ごめんね……」
萬屋ぺすとさん……?
「せるりちゃんもデビューして2週間、立派にやれてるわ。まりもちゃんもサーバー設定とかコラボ配信の準備ありがとうね……」
「萬屋先輩……」
「……」
:ママ……
:登場時の勢いはどこに行ったんだよw
:VNIVEARTHのおかん
神海まりも:そうだそうだもっと褒めろ!
:草
:お前は何なんだよwww
神海まりもさぁ……。それ口で言ってくれよ……。
詩星せるりと萬屋ぺすとが会話している構図で向き合う様子が映る画面。
その背景を右から左へ神海まりもが何度も通り過ぎていく謎の状況。これ画角に入らないように周りを大きく回ってるんだよな。器用だなこいつ。
なんかコメント欄も盛り上がってる感じあるんだよなぁ。
神海まりもの無言は戦略だった?
あえてコメントでしか発言しないことで個性を出そうとしている……?
そんな戦略知らないぞ。再現性がなさすぎる。
応用できない成功体験は、才能ありきの偶然に過ぎない。それは一部の人間にしか出来ないことで、凡人が同じことをしても何にもならない。
俺の戦略には無い
「コラボ名も神海まりも先輩が考えてくれたんです」
「すごいわねぇ、良かったわねぇ」
「……」
神海まりも:せやろ?
:でもなんか聞いた事あるよなぁ?
:まりるり
:ちからもちっぽい名前
:まり(も)×(せ)るり だから
:確かにセンスはある
「ふふふ……」
「えへへ……」
「……」
「ふふ……」
「えへ……」
「……」
「……」
「……」
「……」
あれー?
もしかしてこれ、そういうギャグか?
天丼的な?
詩星せるりと神海まりもはともかく、萬屋ぺすとまでまったく喋れないなんてあるか?
事前に伝えていた、冗談で用意したサブプランがある。
そっちをやれって誘ってるのか?
あ、萬屋ぺすとの自キャラが画面に向かってチラチラしてる。
画面のこっちにやれって言ってるのか?
困ってるのか誘ってるのかわからないけど。
じゃあ、やるかぁ……。
「はいはーい、VNIVEARTHの王に、俺はなる!
二期生みなしごエンドレスでーす!!」
:は?
:誰だよ
:出た
:いや誰だよ
「変な人だ……」
「よくわからない人だ……」
「キチ○イ」
「今、放送コードアウトなこと誰か言わなかった!?」
:神海まりも!?
:シャベッタアアアアアアア!!!
:しゃべってないぞ
:いや喋った
:SR配信引いたな
「だめだめだめ、お前は喋るな神海まりも! いやもっと喋れ!」
:一言で矛盾するな
:テンション高いね
:お前コラボしないって言ってたのなんだったんだよ
:今日のお前よくしゃべるな
:声でっっか
「いや、俺がツッコミをしないとツッコむ人がいないと思って……」
:急に落ち着くな!
:スンッ
実際のところ、俺の配信の持論だと、俺が普段やっているような感情の起伏が少ないいわゆる『冷笑系』は配信者として褒められたものではない。
クールなキャラクターというのは女性ファンを獲得する為に必要な属性だが、結局は切り抜きなどでバズるのは、はっちゃけたわかりやすい面白さなのだ。
俺は、みなしごエンドレスは、別に数字を求めていないのでこのようなハイテンションな振る舞いはしないつもりでいたけれど、ただ客観的に見て今のVNIVEARTHにそれが務まる
思えばあの未来でもこのポジションの所属ライバーはおらず、それが全体コラボの盛り上がりの欠けとなっていたのではないかと今なら思う。
常に大声で叫ぶようになってしまうとただうるさいだけで不快感が勝ってしまうので、程度は弁えないといけないんだけど。
汚れ役のできるツッコミキャラ。どうせみなしごエンドレスなんてもう汚れてるようなものだ。彼には道化になってもらおう。
ものは試しだ。
「あの……え、エンド──遠藤さん?」
「1人で盛り上がってるところ悪いんだけど、せるりちゃん怖がってるから、ね?」
「……」
「同じ箱のライバーが辛辣なんだけど、
:残当
:普通はそう
:お前はやばい奴だよ
神海まりも:この人ひとりで喋ってるよ~
時間差で煽ってくるな。
持ちネタとしてはありだけど、レスポンスが遅いのは難点だなあ。
「まあまあまあ。おしゃべりもこの辺にして少し動こうか。
詩星せるりはこのゲーム初心者。やり込んでる神海まりもに基本動作を教わろうって回なんだよこれは」
:急に仕切るじゃん
:この配信から出ていけ
:遠藤お前を殺す
「ここは俺の配信じゃないので俺への殺害予告は禁止でーす。
で、この際だし萬屋ぺすとと俺も初心者だから、一緒に教わればいいんじゃないかなって」
:お前も初心者なのかよ
:何しに来たんだ
「アタシは経験者よ! 巨大ドラゴンでも楽勝ね!」
:あっ……
:ぺすお前は……
:後輩に見栄を張るな
:俺恥ずかしいよぺす姉
「感染者の
:つかお前はしれっとコラボするなよ
:そうだそうだ!
:社長とイチャついてろ
「まあまあまあまあまあ。そう言わずに……」
「行きましょっか」
「そうですね」
「……」
俺がコメントと戯れている間にさっさと移動を始める女性陣。
うん。いいぞ。配信上の俺の声が小さくなっていく。
これで良いオチになっただろ。
俺はこのままフェードアウトしようかな。
などと呑気に自分の操作画面で自キャラを動かしていると、なんか、ぶつかってるな?
いやこれ撃たれてるのか。弓矢。
うん?
えー、……死んだんだけど?
【Endlessはスケルトンに射抜かれた】
:遠藤もう死んでて草
:あいつあれでゲーム下手なのかよww
:リスナーの想いがゲームに伝わった
「あっ、神海先輩待ってください!」
「ちょっとまりもちゃん、そんな動きされても付いて行けないわ!」
「……」
配信画面では神海まりもがきもい挙動で断崖絶壁を通過していくところで、残りの2人は見事に置いて行かれていた。
画面の奥で神海まりもは小刻みに動いて痙攣している。煽ってんのか。
【Seruriは高い所から落ちた】
「せるりちゃん!? えっと、復活は最初にいた場所だから……? とにかく、アタシが迎えに行くから待ってなさい!」
【pesutoは餓死した】
神海まりも:草
:草じゃないんだが
:www
:下手糞集団www
あれ、俺も含めてみんなゲーム下手なのか……?
いやだって俺はゲームしてる時間なんかないし……。
【Endlessは溺れた】
【Seruriはクリーパーに爆破された】
【pesutoはゾンビに突き落とされた】
【Endlessは餓死した】
etc. etc. ...
配信開始から50分、死亡ログが積み重なった末に詩星せるりが神海まりもが作っている拠点に辿り着いた時。
そこには、配信ではとても映せないような夢の国の住人がブロックで形成されようとしていた──
「──それは駄目!! 馬鹿!! 馬鹿!!!」
俺はリモートで配信内に音声を載せて直接ツッコミを入れ、急いでモザイクをかける。
神海まりも、こいつは予想以上にやべーぞ……。
何がやべえって、ダメなこととかわかった上で面白がってやっている。
俺が対処しなければアウトだけど、俺が対処するのも予想してやってそうなあたり質が悪い。
良い意味でも、悪い意味でも問題児。
1時間が経ったところで神海まりもとのコラボ配信は終了する運びに。締めの挨拶に俺は参加しない。みなしごエンドレスは犠牲になったのだ、配信の犠牲にな。
神海まりもの登録者数が少し増えて、これで150人になりそう。
喋らずにこれが出来るのか……。
【sadoharakyoukoはスケルトンに射抜かれた】
あっ。
詩星せるりと萬屋ぺすとが締めの挨拶を終えようとする中、死亡ログが追加された。
行けたら行くの返信メッセージで逃げられたと思ってた佐土原恭子も、実は来てたのかよ。
これが実質、VNIVEARTH二期生までの最初の合同コラボとなった。
:ゲームヘタクソ漫才集団ww
【誰のビジュアルを先に見たい? VNIVEARTH人気投票!!】現在公式Tvvltterにてシルエット画像を公開中。4期生デビュー後に内容が明らかになりますが、これは制作途中のラフ段階のものです。そこで、本アンケートの結果に基づいて完成させる順番を考慮いたします。皆様の推しにぜひご投票ください!(※なお一期生については、本編では未改修のためネタバレが含まれます)
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萬屋ぺすと
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佐土原恭子
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神海まりも
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詩星せるり
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遠藤
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黒宮院みやみ
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拳藤正義
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波羅劾ざくろ
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4期生の2人目