mina。
私のファン。
mina。
私の友人。
mina。
私のパートナー。
mina。
私の理解者。
mina。
私の恩人。
mina。
私の道標。
mina。
私の大切な人。
mina。みな。ミナ。
ミナちゃん。
ある日突然現れて、私のファンだと名乗った謎の人物。
弐コ弐コ動画で歌い手をしていた『
1本あたりの動画の再生数は100とちょっと。
今思えば、そんなに歌が上手いわけじゃなかった。
生配信もしてなかったし、私にはキャラクター性がなかったから、タレントとしての数字は見込めなかった。
そんな私を見つけ出して、私の歌を好きだって言ってくれた人。
私が女性なのは歌声でわかるから、性別だけを目的にしたDMは何度か貰っていた。
そういう出会い目的みたいな、下心が透けて見える人からしか興味を惹けていないことが悲しかった。
でも、ミナちゃんは違った。
歌い手として外見イメージすら持っていなかった私に、姿をくれた。
挨拶よりもまず先に、私の歌を聴いて思い浮かんだという私の姿を、イラストにして贈ってくれた。
まるでプロのイラストレーターみたいな、当時の私にはもったいないようなイラストだった。
『
*
【雑談】(>ᴗ<#)告知があります!【詩星せるり・VNIVEARTH】
「配信に来てくれたみんな、初めまして!
:挨拶それなんだw
:ずっとはじめまして
「えへへ……まだ私の配信が初めてだって人も多いと思うから、このままでいいかなって」
これはミナちゃんのアドバイスでもある。
何度か配信をして、今では1700になろうとしている私のチャンネル登録者数だけど、これは切り抜きがバズったり、実際に配信を見ずに登録している人がほとんどだと思う。
だからこそ、リアルタイムで初めて見る人が多いうちははじめましてのままでいいかもねっていうのがミナちゃんの意見だ。
はじめましてのままでいることで、それをツッコむコメントをお約束として狙えるんだって。
だから、ちゃんとした挨拶を考えたあとも、あえてはじめましてで始めるのも予定にしている。
ミナちゃんはすごいなぁ。挨拶だけでもこんなに色々考えてる。
:本当かなぁ
:サボってない?
:手抜きじゃないか?
「そんなぁ。手抜き、うむぅ~……、手抜きかも……もにょもにょ」
:あざとい
:初めてじゃないのに覚えられてないみたいで傷つく
「あっ、ごめんなさい! そうじゃないんです。
でもそうだよね……ずっとはじめましてのままなのも、失礼かもだよね」
:別にええんやで
:気にするな
:失礼ではあるだろ
:持ちネタにマジレスw
「ううん、いつか挨拶は考えようと思ってました!」
:そうなの?
:ボブは訝しんだ
:せるりの挨拶聞きたい
「えへへ……ありがとうございます! 挨拶、すっごくいいのを考えますね!
思いつかなかったら……みんなにも手伝ってもらうかもです!」
:楽しみ!
:おお
:俺らも手伝うぞ!
コメントはすごい乗り気だ。
こういうリスナー参加型の企画は増やしていった方が良いってミナちゃんは言っていた。
挨拶も配信で決めると良いかもって言われてたから行ってみたけど、本当にリスナーもこういうの好きなんだ。
:本当に挨拶変える予定あったの?
「ありましたよ~。ふふふ。ミナちゃんにも、最初のうちだけは挨拶このままでいいかもねってアドバイス貰ってましたし」
:でたわね
:もう隠す気がないみなちゃん
:てぇてぇ
:謎のVtuberプロデューサー友人
「ミナちゃんはすごい子なんです! 配信用に私のオシャレをしてくれて、歌の歌い方や、配信の仕方も教えてくれて、初配信前には練習にも付き合ってくれて、私の事よく見てくれてるし、私の事なんでもわかってくれるし」
:またwww
:いつもの
:狂人
:てぇてぇ……
:化けの皮が剥がれた
「最近は先輩方のお色直しもしてるみたいで……」
:ぺす!?
:ぺすの話か!??
:してねーよ
:なんで感染者いるんだよw
突然出て来た萬屋先輩のリスナーに驚く。
本当に、リスナーに愛されてる人なんだなぁ……。私も見習わないと!
「あ、萬屋先輩のリスナーの方々も来てくれてるんですね! ありがとうございます!」
:ぺすの大事な後輩だからな
:ぺすを愛する俺らはぺすのために箱ごと推すぞ
:こわ
:あの先輩のリスナーこわいよ
「ふふふ……。私も萬屋先輩みたいに、リスナーのみんなと仲良くなりたいと思っています! 萬屋先輩と感染者の方々が仲良さそうに会話をしているの、本当に楽しそうで。
頼りにもなる素敵な先輩です……!」
:せやろ
:俺らのぺすだ
:えっもう俺らも仲良しだろ
:せるりあんだってせるりのこと大好きなんやで
うぅ、不意打ち。
嬉しいけど、本当かな。リスナー数が多くて実感がない。萬屋先輩みたいに、配信に来てコメントする人の大半がリスナーだとわかるようになれば実感できるんだろうけど。
本当にすごい先輩だと思う。ミナちゃんも言ってた、萬屋ぺすとさんはVtuberとしてのレベルが高いんだって。
頼れる先輩。3回目の配信までは一緒に配信をしてくれて、おかげで今はこうして1人でなんとかコメントを読めるようになってきた。
「みんな……! ありがとうございます!!
だったら尚更、もうはじめましては卒業しないとですね!!」
:そうだ
:心からの挨拶待ってるぞ!!
「あたたかいコメント……。全部は読み上げられませんが、1つ1つ心に染み入ります」
:みなちゃんって一期生もデザインしてるんだ?
:過労
:一期生ってなんか事情があってママがいないんだよね?
:パパもいないぞ
:みなしごってことか
:みなしごエンドレスはまずい
うっ……。
なんかコメントが変な方向に進んでる。
ミナちゃんからは角が立たない程度にプロレスとしてボコボコに叩いてもいいって言われてるけど、あんまり悪く言うのも悪いしなぁ……。
ミナちゃん結構あの人に遠慮ない口ぶりなんだよね。
あれ……。
なんか、あんというか、嫉妬。
とりあえず、ここは私の判断でスルーしようかな。
遠藤さん。あの人なんか怖いし、見なかったことにしよ。
他のコメントないかな……。
:みなちゃんが他の人のデザインするの、モヤらんの?
「あぁ……正直言うと、モヤモヤします。私だけのミナちゃんが、私以外の人を描いてると思うと……、実は……」
:じぇら……じぇら……
:ヤンデレww
:デザインしたのか? 俺以外の人を……?
「うぅ。でも、これはミナちゃんにとっても良いことなんです。
ミナちゃんもイラストレーターとして実績を積んで、それがミナちゃんのためになるんです。今は我慢なんです……。会えない時間が愛を育みます」
:遠距離恋愛ww
:このモデル作れるなら実績とか十分じゃね?
:↑Live2D自体は別の人が設定してるから実績にならないんじゃね?
:へー
:ここのリスナー詳しい人多いね
:遠藤が説明してくれる
:というか遠藤がその設定してるらしいし
:遠藤って誰だよ
また遠藤さんの話してる……。
でも良かった、私の言い方間違ってないよね?
一期生にミナちゃんをとられたってニュアンスが強くなると、余計な対立に繋がっちゃうからそれだけは気を付けてって、ミナちゃんに注意されてる。
コメントを見る限り大丈夫そう。
:本当に仲良しだね
:最近なにかして遊んだ?
「遊べてないんです……。私も配信があって、ミナちゃんの方もデザインとかあって。
ミナちゃん会いたいよ~。服とか選びたい。パステル系よく着る……というか派手なものはあんまり持ってないみたいだし、やっぱり清楚系かな……。白いワンピース、麦わら帽子……。
逆に黒のシックなコーデ、ううん、いっそゴズロリなんかもいいんじゃない? ミナちゃんが着るなら私も着るよ。色違いでペアルックしちゃおうよ。ミナちゃんは天使みたいなイメージあるし、ミナちゃんが白で私が黒だね……!!(以下略)」
:せるりちゃん壊れちゃった
:あーあ
:迂闊なコメントするから……
配信タイトルにもなっている告知。
歌ってみた動画投稿のお知らせは、配信終了間際まで忘れ去られたまま、私はミナちゃんについて語り倒していた。
これもVtuberとしてのキャラになってるから、いいんだよね?
ミナちゃん。
*
mina。
私の大切な人。
mina。
一度も会ったことがない人。それどころか、私はその人の声を聞いたことすらない。
何度も通話がしたいとお願いしてきたけど、すべて断られている。
LIIVEでのやりとりを始めてからは、なにかの間違いででてくれないかと何度もLIIVE通話をかけている。
でも。
私の通話に応じたことはない。
通話を断る理由を、考えたことがある。
1、本当に声に自信がない。
ミナちゃん本人が理由としていつも言うことだ。
声はコンプレックスになりやすい。人それぞれ声は違うものだけど、それにも傾向や幅があって、例えば教室なんかで声が特徴的なことをいじられ笑われでもしたら、私だって自身をなくしてしまうかもしれない。
2、プライバシーの保護。
身バレ防止を徹底して、声を絶対に出さないというのも理解できる。
インターネットで仲良くなったからって気が緩んで通話をしないのは、むしろ偉いことだ。
ネットリテラシーがしっかりしてる。歌った動画を投稿していた私なんかとは大違いだ。……耳が痛い。
3、私は信頼されていない。
これはあんまり考えたくない。
4、実は有名人。
実は誰でも知っているような有名人で、声だけでもその正体がわかってしまうのなら、通話が出来ないのもしかたがない。
5、リアルで関わりがある。
これも考えたくないけど、実はミナちゃん私のリア友だったりする……?
ちょっと怖いくらい私の事を理解してくれるし、意外と可能性はゼロじゃない。それだと私がみんなに秘密にしてる歌ってみた活動がばれていたわけで、もしそうだったら恥ずかしいなんてものではない。
え、まさか……、
6、年齢を偽っている。
私と同じ女子高生のような反応と話題選びをしているけど、ときどき古いコピペや漫画のネタが会話に出ることがあって、年齢が違うことだってありえる。
実は50代だとか、まさか小学生だって言うなら、声でそれはばれてしまう。
あんなにいろんなことをしてる時間があるのだから、この線はなくもない。
7、声を出せない環境にいる。
都会の常に人ごみの音が聞こえてくるような場所、線路の近くですぐ電車の音がするとか、環境的に通話が出来ない場合もある。これは身バレにも繋がる。
8、声を出せない環境にいる。
私みたいに……ううん、私よりも親が厳格で、通話をしたり大きな音を立てると怒られてしまうのかもしれない。だとしたら、通話のコール音とかも、迷惑なのかな……。
9、声を出せない環境にいる。
可能性だけなら。
病院に入院している人ってことも考えられる。
同じ病室の人の声が入っちゃたりとか、同じ病室の人への迷惑とか、ナースさんに怒られちゃったりとか。
10、もっと声を出せない環境にいる。
常に銃口を突きつけられて、私とVtuber活動するように命じられている。
音声は禁止。助けを求められては適わないから。
これは……ないよ! 私とミナちゃんの友情は、脅されて演出されてるものなんかじゃないんだ。
そして。
これは一番考えたくないけれど。
ミナちゃんが──
──実は男の人だって、可能性もある。
もしもそうだったら、私はすごく、ものすごく、悲しい。
でも、そういう目で見てしまえば。
ミナちゃんは1度も自分の年齢・性別・職業を名言していない。
それに気づいたとき、私は怖くて聞くことが出来なくなってしまった。
もしも、違ったら。
もしも違った上で、嘘の答えをされたらと思うと。
私とミナちゃんの信頼関係が、完全に壊れてしまう、偽物になってしまうと思って。
だから、私の信じるミナちゃんを、信じることにする。
このままずっと最後まで、会うことがないのなら。
きっとそれが真実になる。
だから、配信では私の理想のミナちゃんを語る。
私がミナちゃんと話したことや、私がミナちゃんにして貰ったものは、嘘じゃないんだから。
私が感じたことは、私が考えたことは、本物なんだから。
──私だって、馬鹿じゃない。
ミナちゃんが、実は男の人だって可能性もある。
でも、それならそれで、いいと思っている。
mina。
ネットの片隅で、ろくに再生数も伸びない底辺歌い手をしていた私を、好きって言ってくれた人。
mina。
私の歌を、好きって言ってくれた人。
mina。
誰よりも私を理解してくれて、誰よりも私の歌を理解してくれた人。
一緒に好きなものを語って、一緒に動画を作って、一緒に再生数が伸びたことを喜び合って。
ミナちゃんとの時間は、絶対に、嘘じゃないから。
『
──『
minaなんだから。
私の中の思い出は、本物だ。
mina。
会ったこともない、声も聞いたこともない。
ある日突然現れて、私を好きだって言ってくれて、私の手を取って、導いてくれた女の子。
優しくて、可愛くて、笑顔が素敵で、髪が綺麗で、神秘的で、何よりも代えがたく尊い。
まるで、私の元に舞い降りた、天使のような少女……なんて。
mina。
今の私の、全て。
mina。
私の中の小さな世界に舞い降りて、私の中を占領する、天使様。
mina。
私だけの、天使様。
もしも、これが嘘だったとしても──
──最後まで、嘘のままでいてよね。
【誰のビジュアルを先に見たい? VNIVEARTH人気投票!!】現在公式Tvvltterにてシルエット画像を公開中。4期生デビュー後に内容が明らかになりますが、これは制作途中のラフ段階のものです。そこで、本アンケートの結果に基づいて完成させる順番を考慮いたします。皆様の推しにぜひご投票ください!(※なお一期生については、本編では未改修のためネタバレが含まれます)
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