「第2回、
イェーーーーー!」
「キャーーーーー!」
「うおーーーーーー!!!」
「いぇーーー!」
「やったーーー!」
「わーい!」
「……」
「……」
「……」
:うおおおおおおおおおおおお!!
:第2回!!!
:やっぱりあった!!
:ないって言ったのなんだったんだよ
:ありませーん(ありました)
数人分の歓声と拍手で幕を開けたこの配信。コメントのノリも良いので、これだけ見ればもう既に立派な、大手の箱コラボのような勢いであった。
上下に4段ずつ並ぶ解答席に、左端にはみ出して設置された司会席。
席と言っても、これを正しく呼称するならば、どちらかと言えば台だろう。正面から見れば長方形。台でモデルの下半身を隠すようにして、画面内を所狭しと9人ものライバーが立ち並ぶ。
その画面構成は、クイズ番組のようなイメージで簡易的に作成されたものだ。
背景自体は第1回でも用いた教室に多少の小物を置いて視覚情報を増やしただけ。
これがまあ、猫缶だったりマイクだったり、各ライバーに関連しそうなものを適当に作ったので、ごちゃついているだけなんだけれど、なんだか文化祭の舞台裏みたいな賑やかさがあった。
解答席はシンプルな装飾がされているそれっぽいもので、一番目立つのは解答モニター。このモニター部分だけが解答用のフリップとして使用できるように稼働する。
他のネームパネルや早押しボタンなどのパーツは、実用性がありそうながらも簡易的に付け加えただけで、一切のギミックのないハリボテだ。
「さて、早速始めていきたいところですが! 今のタイトルコールで声を出さないノリの悪い不届きな輩が、どうやらいましたね。1人ずつその心を伺って行きましょう!」
:うぜぇwww
:晒し上げ
:そんなのあるんだw
:その心は!
: 心 か
:コメント欄にはウルキオラもいます
「はいでは佐土原恭子さん、どうぞ」
「キョーコちゃ~ん!!」
どこぞの佐土原恭子推しを名乗る三期生が合いの手を入れ、俺を含めたノリのいい数名が小さく笑う。
「ちなみにここでクソ返答をした場合、マイナス点が付与されます。さあ、解答をどうぞ!」
:誰?
:キョーコちゃん!
:なんだこれ
:点とかあるんだ
:もうやりたい放題すぎる
:クイズ番組っぽいのに常識が通じねえww
「……ああ、すみません、らぐ? というもので、音声のタイミングが合わないみたいなんです」
「はい、佐土原恭子さんは貧弱なノートPCを使っているため、参加できなかったとのことです。これはまあ情状酌量の余地がありますね?」
「ある~♡」
「ありますッ!!」
「……あるわね!」
「無罪……っ!」
:あるのか?
:ある!
:買えよ
:そうだったのか
:よくそれでマイクラとかできたな
:来ただけで出来てなかった定期
「はい、それでは無罪放免! 減点なしです!」
俺の問いかけに対し、コメント欄にもなんとなくありなしが書き込まれる他、野次馬のように各々が適当に言うので、それっぽくまとめる。
というか『無罪……っ!』って言ったの詩星せるりだな……。あの未来では考えられないアドリブというか語彙力というか、ノリというか。
せるりちゃん、配信者として成長してるね……っ!
おっと。何かに精神が乗っ取られた。
「といいますか、佐土原恭子さん。普段通りの口調でお願いしているのですが、俺がいる配信では毎回敬語ですよね。もっと気軽に、自分の配信枠のようにやってやってください!」
「そうですよぉ~! 私もいつも通りのキョーコちゃんが、見たいですっ♡」
「善処……、してみるわ」
「キョーコちゃん~♡」
ただ、先輩たちを差し置いてキャッハーしてると反感を買いかねないので、コラボの空気に他のライバーが慣れて、もっと軽口が飛び交うようになるといいんだけど。
「続いて神海まりもさん! ここでは容赦というものはありません。答えていただきましょう! 減点される点数は内容に応じて変動します!」
『機材の都合でラグが……』
解答モニターに手書きの文字が表示される。
「はい、神海まりもさんの使用機材はクソザコPCで……ってそんなわけあるかぁ!」
:www
:ノリツッコミw
:お前のPCが弱いわけないだろ!
:FPSゲーマーだろ!!
:今日の遠藤元気だね
まだリスナーに説明がされていない内から勝手に使用された解答モニターは、各々の判断で勝手にリアルタイム表示ができるように上手いこと設定がされている。
ライバーそれぞれの画面を配信を総括する俺のPCに共有し、一部分を切り取ったものを、解答モニター部分に表示するという、無理矢理な力技だ。
メモ帳アプリを使用してもいいし、ペンタブがあるならペイントソフトを映せばいい。
極端な話、紙に手書きで書いたものをスマホで撮影し、自分でPC内に取り込むか、俺に送ってくれればどうにでもする。
プログラミングができたなら、絶対にもっといい方法がある。
おかげで俺のPCが火を噴きそうだ。送風ファンが頻繁に大きな音を立てており、防音室内が暑い。
最悪配信中に落ちるなこれ。
:そういえば動いてないね
:うごけ―!
:動かないの?
:時が止まっている
:不具合ですか?
コメントもそろそろ指摘が多くなってきたので、言及する。
「お気づきの方もいますので、ここで補足です。VNIVEARTHのLive2Dと機材の都合により、全員の身体を1つの画面上で同時に動かすことはできません!!
配信を管理している俺のパソコンはすでに火を噴きそうになっています。防音室は灼熱火炎地獄です」
「ちゃんと水飲んでください~♡」
「お大事に……」
:高級モデル
:グラマーいないんだったな
:灼熱火炎地獄エンドレス
:もっと良い機材買えよ社長!!
「ですのでこのように、全員が制止した状態で進行をします。表情が出ないのは、ご容赦ください。
それでは神海まりもさん、このままだと虚偽の報告でマイナス500点です。どうしますか?」
『マイナス500点でいいです (´ω`)』
:やる気なし!
:草
:500!?
「
「はい拳藤ジャスティスパンチさん、どうぞ」
「えぇっ!? オレその名前で呼ばれるんですか!?」
:草
:草
:名乗ったのはお前だ
これにはカラクリがあって、俺が配信の心得としてライバーたちに伝えているものに、とにかく笑っておけ、というものがある。
これには、可愛さや愉快さといった、配信上の空気を整えるというのもあるが、やはり一番は、ここが笑うポイントですよとリスナーにわかりやすく示すという意図がある。
いわゆる『ガヤ』。
特にこの配信前の打ち合わせでは、肩肘張らずに気楽に笑って欲しいと全員に伝えてある。ツボに嵌って長く大笑いしてしまうと配信事故っぽくなるが、それはそれで見どころなのでよし。
9人もいれば、少し面白いことが起これば誰かしらが小さく笑い、それは立派にガヤとして配信を盛り上げてくれている。
全員がいるこの場でその効果を実感できるだろうし、今後はもう言わずとも、これがVNIVEARTHの基本となるだろう。
「ははは。はい、ジャスパンさん、質問をどうぞ」
「ジャスパン……。点数って何ですか? 優勝とかあるやつですか?」
「はい、良い質問です! この第2回コンプライアンス研修では、皆様にクイズ形式で争っていただきます!」
「な、なんだって!?」
「バトルです~♡」
「醜い蹴落とし合い……」
「ご、ごくり」
:なんだこの茶番www
:草なんだわ
:楽しい
:ノリが良すぎる
拳藤ジャスパンの質問は仕込みだ。特に強い選出の理由はないが、それぞれにこんなタイミングでこんな質問をしていいよと打ち合わせで伝えている。
ガヤや野次はアドリブ。大雑把な流れと、進行上あったら円滑に進む質問などを先に提示しておいて、覚えてるかカンペ見て気づいたら気分で発言しても良いよ、という形式。
質問なんてなくても別に1人で解説しちゃえばいいんだけなんだけど、掛け合いを通した方がリスナーも楽しみやすいだろう。
各々の見せ場も用意できるし、上手くやれるならば、利しかない。
こちらから提案がなくとも、頻度を弁えれば自由に発言して良い。黒宮院みやみなんかは大丈夫そうな気がしたので、もうこちらから推奨する発言はなく、自由にして貰っている。
「あの、質問ですっ……!」
「波羅劾ざくろさん」
「ゆ、優勝すると、何があるんです……!?」
なんかもう京都弁が出始めているぽんこつ情報屋。さっきの「ご、ごくり」も彼女だ。
ただの萌えキャラじゃねーか。2回ほど行われた個人配信を経て、もう既にぽんこつぽやぽや妹子犬みたいに扱われつつある。
これがあの波羅劾ざくろの姿か……?
ともかく、俺は何かを憂うようなわざとらしい演技で返事をする。
「優勝ですか。……勝ち負けを気にするなんて、人は愚かな生き物ですね」
:おいwww
:お前が競うって言い出したんだろ
「す、すみません……」
:あー!
:泣かせた!!
:ざくはよわよわなんだぞ!!
:いじめるな!
:パワハラだ!
「はははは。いじめてないいじめてない。そうだよね、波羅劾ざくろさん」
「は、はい! 遠藤先輩は素敵な先輩です!!」
「よく言えました」
「良かったみんな、これでジャスティスパンチされずに済みます……」
「ジャスティスパンチ!! シュッシュッ」
:!?
:お前もジャスパンするのかww
:遠藤ジャスティスパンチ
:まずい
:やっぱパワハラじゃねえか
:ざく……
:なんかDVが似合う女
:シュッシュ!?
:素材揃ちゃったね
:ちんぽシュッシュ!! ちんぽシュッシュ!!
油断するとすぐこれだ。見なかったことにしよ。
「皆様お気付きでしょうが、冗談です。
さて優勝すると何があるのか、気になりますか?」
「「なりま~す」」
「なる~♡」
「見事、このコンプライアンス研修で優勝した暁には──
──願いが1つ、叶えられます!!」
「わー!」「なんてことを!!」
「願いが!?」
「なんでも1つ!?」
「か、叶っちゃうの~~……の~……」
:願いを!?
:なんでも!?
:なんでもとは言ってない
:研修で優勝するってなんだよww
:最後の誰?
:浮いてるやついて草
:キョーコちゃん!?
最後に1人で尻すぼみに『の~』となっていたのが佐土原恭子。
うむ。浮きまくるのも見どころだ。ラグで遅れてなにか言うの面白いからめげずに続けて欲しい。司会に被らないようには気を付けないとだけど。
「はい、今日はポイントの少ない練習、リハーサルのようなものですが、今後数回に渡って似たような箱コラボを行っていく予定です」
事前に用意しておいたスケジュールカレンダーを表示する。
それは来月8月のもの。日程だけを記載していて、内容は『???』と隠されている。毎週金曜日の夜にやるよってだけの情報だ。ぶっちゃけ、夏休み企画の前フリである。
この形式の箱コラボを週1で行って、全4回の合計点で競い優勝を決める、バラエティ特化の施策だ。
VTuberというコンテンツがまだまだ発展中の2019年。
ゲームや雑談といったライバーらしい配信から離れると、『Vである必要がない』と指摘されがちだが、むしろ俺はVらしさに欠けることで目新しさを出していきたい。
なにより、なんだかんだで知ってるVTuberたちがわちゃわちゃするだけで楽しめると深く理解しているので、この路線を前面に押し出すのが俺の理想でもある。
まあもっとぶっちゃけると、ゲームの許諾とるのが予想以上に苦しいので、こうするのが最善だと判断して舵を切ることにしたんだけど。
思えば某大手企業も初期からこういう企画系のトークがあった。あそこもちゃんと権利を意識していたので、許諾を考慮すると自然とこうなるのだろう。
先人は偉大だ。
「運営に叶えられるものならなんでも叶えられます。運営の力を超えるような願いは叶えられません!!」
:神龍かよ
:大体却下されるやつ
:VNIVEARTHの財力がわからん
:社長の株でしか稼いでません
「ですので、次回の本格スタートまでに願いを考えておいてください!
まだ収入のない会社なので、肩叩きくらいが一番助かります!」
:世知辛い……w
:しょぼすぎて草
:VNIVEARTHめちゃくちゃすぎるわ
「グアムに行きたいかー!?」
「「「行きたーい!」」」
「新車が欲しいかー!?」
「「欲しーーい!!」」
「社長とピクニックに行きたいかー!?」
「「「「「「……」」」」」」
『いらねっす (乂'ω')』
:wwwwwww
:社長;;
:ここまでほぼ無言だろ
:本当にいるの?
「さて神海まりもさん、これでもまだマイナス500点でもいいですか?」
『ハイエンドPC買えます?』
「たぶん無理。神海まりもの要求スペックとか絶対パーツごとに選ぶでしょ」
『ちぇー ( ' 3')』
:まりもってこんな愉快な奴だったのか
:フリップを有効活用してやがる
:配信では文字すら打ってくれないのに
:まりエンきてる?
:緑じゃないのにまりも、緑の遠藤
:遠藤テメェ!!
『まあ、乗ってあげるよ ( ˘ω˘ )』
「神海まりもはマイナス1000点スタートでーす」
『( ᴗ ̫ ᴗ )スイヤセン』
:草
:職権乱用
:これが権力か……
:見損なったぞ遠藤
「では、タイトルコールに参加してくれますか? さもなくば-5000点です。神海まりもは優勝できない、どころか罰ゲームです。さあ、お答えをどうぞ!!」
あの神海まりもが喋るのか、リスナーが見守る中、その返答とは──
『それって、パワハラですよね?』
「すいませんでした」
──という茶番である。
:遠藤も実は弱いよね
:小物が似合う男
:真面目なときはかっこいいよ
:↑それはないw
全体コラボで喋らないはさすがに浮いてしまうので、この機会にこういうキャラで面白いやつなんだぞって印象付けておかなくてはいけない。
今まではコメント欄に一瞬現れてほんのちょっと盛り上がって、切り抜きで取り上げられる程度にしか認識されていないというのが、神海まりもの現状。
解答モニターがあるこの形式であれば、彼女の真価も発揮されやすいはず。
……上手く行くといいんだけど。
念のため、俺の謎に登録数の多い切り抜きアカウント『頸椎』でも9人全員のキャラ紹介を兼ねた切り抜きを作成して投稿しておく予定だ。
「さて最後に社長、あなたです!」
:社長!?
:ここまで無言だけど、いたの?
:いたんだ
「……エンド。キミには、ボクの気持ちがわかるかい?」
「何がです?」
「急にこんな大勢の前に出されて、喋れるわけがないじゃないか」
「は?」
「普段キミくらいしか話し相手がいないのに、ここにはボクを除いて8人もいる。寂しかったんだよエンド。今日は司会で敬語だし、距離を感じるよ。キミこそ普段通りの口調でいいんじゃないか……?」
「えー……、以上、VNIVEARTH社長のコメントでしたー」
:え、えぇ……?
:いや草
:こんなのが社長とか
:コミュ障なのかよww
:話題に入ってこれない社長
:助けてエンド;;
伊能凛、こいつ狙ってやってんのかな。
マイクをオフにして、静かに防音室の戸を開く。
社長席で、1人寂しくゲンドウポーズをとるその光景は、どこか寂しそうに見えた。
その時、伊能凛が顔を上げこちらを向く。
「エンド! やっぱりボクもそっちに──」
防音室の戸を閉める。
「社長の生存を確認。元気そうです」
:wwww
:防音室入れてやれよww
:話題にも防音室にも入れない男
:┌(┌^o^)┐ボクモ イレテ クレナイカ !?
あーくそ。あっちにもマイクがあるからリスナーにも聞こえてた。
「はい、これだけでかなりの時間を消費しました。大体どういうノリなのかは通じたと思うので、ここで参加者には自己紹介をして貰います!
デビュー順に行きましょう! 我らがVNIVEARTHの姉御から、どうぞ!」
「──待たせたわね!!
アンタたち、手洗いうがいはしてる? アタシ以外に感染なんて、許さないんだから!
VNIVEARTH一期生、
:ぺす!!
:もうお前以外に感染できねぇよ!!
:やったーぺっすんきたー!
:待ちわびた!!
:俺たちのぺす姉だぞ!!
:ここまでなんか騒いでただけ!!
:お前を見に来たぞ!!
:コメントこわいんだけど
「……VNIVEARTH所属、一期生の
:誰?
:お花屋さんなんだ……
:エプロンしてたからそうなっただけだよ
:新人かな?
:花の知識、皆無!!
『まりもー ٩('ω')و』
:まりも!!
:٩('ω')و
:٩('ω')و
:台パンブチ切れ根暗女じゃん
:は?
「配信に来てくれたみんな、初めまして!
初めましてじゃないみんな、いつもありがとう!
:せるりちゃーん!!
:初めましてじゃないよー
:いつも感謝しろ
:クレイジーサイコレズ
:みなちゃん見てるかー^^
:歌ってみた聴いてるよー!!
「平日は毎日頑張って働くみなさまぁ、いつも頑張っててえらいっ♡ 今日は土曜日。皆様の楽しめる時間になれば、幸いです♡
VNIVEARTHの三期生、
:見てるぞ!
:うっ疲労に染み渡る
:毎回挨拶違うの笑うわ
:この媚び媚びボイスが……キクぜ……
:勃った
:なんかやばいコメントあった
:でも遠藤の嫁なんだよな;;
:遠藤お前だけは許さない
「今日も試合のゴングが鳴ったァ!! お前らの鼓膜にジャスティスパンチ!!!
VNIVEARTH三期生!
:ジャスティスパンチ!!
:先輩や同期がやばすぎておかしくなった男
:狂人のふりする一般人
:持ちこたえるじゃなくてそろそろ勝とうとしろ
「あっと、……えへへ、配信に来てくれてありがとう。
VNIVEARTHの四期生、
:かわいい
:今日はゆるふわなのね
:だって配信時間結構経ってるし
:もう気が抜けちゃったか
:ガワだけでバズった女
:真面目に考え過ぎて挨拶がまだ決まってません
:かわいい
:ママーこの子犬飼いたいー!!
──そして。
「VNIVEARTHの社長、伊能凛だ」
:死ね
:短い
:VNIVEARTHの癌
:株だけしてろ
:喋るたびにクズエピソードが出てきて株を落とす男
:遠藤のチャンネル登録外します
:クレイジーサイコホモ
:助けてエンド;;
挨拶ごとにファンのコメントが流れて来て、特色がわかって面白いなこれ。
「集結、VNIVEARTH! ということで、この
「……まだ1人、いますよね」
司会進行を続けようとした俺を、詩星せるりが遮った。
まだ1人──ああ、そうか。
俺か。
「──ようこそ。
俺の名前はみなしごエンドレス。このVNIVEARTHの『王』になる男だ」
7月も末。
あれから何度か配信を重ねた三期生と四期生は、無事VNIVEARTHライバーとしてリスナーに受け入れられている。
社長は配信する度に、無策で挑んでは醜態をさらす残念キャラへとどんどん株を下落させていった。
俺が切り抜きをするまでもなく、初動で500人を超えるチャンネル登録があり、第三者の切り抜きが出回ったのと、社長ということでVNIVEARTHのLive2Dモデルや内情を知りたがる層が登録したことでなんやかんや1000人を超えてしまった。
しかし配信内容に見どころがないので、普通に叩かれ、登録は外され1000人を割った。
俺の意図してなかった部分でとある失言をやらかしたこともあり、過激な発言の多い感染者以外からもボコボコに叩かれている。
自業自得だ。思い知れ。
伊能凛の配信は今や、VTuberを舐めてた社長を
その一方で、波羅劾ざくろは何かがおかしかった。俺の切り抜き無しの初動で登録者1000人を超え、数日で2000を超えた。
イラストレーターの間でキャラデザがバズってファンアートが量産され、そして中のキャラとのギャップでわけわからんほどバズり、兄がいることがバレていないのに3回目の配信ではすでにリスナーから妹属性を認定され、お兄ちゃん気取りのリスナーが量産されている。
現在の登録者数は5000を超えようとしているところ。新人にして、わずか1週間でVNIVEARTH所属ライバーの登録者数を一気にぶち抜いていった。
本当にバズった時どうなるかというのを、思い知らされたのだった。
まだ本人が配信に自信がない状態で身の丈に合わない過剰な登録者数を得てしまったので、VNIVEARTHの女性陣で順番にコラボをすることでサポートに回ってもらっている。
そしてこれが偶然上手く噛み合っていて、彼女特有の企画として始めたニュース番組コーナーには毎回違うアシスタントが付くものだとリスナー間で認識されるようになり、抵抗なくサポートを行える上に知名度を相乗的に上げられるようになったのだ。
よって箱全体の登録者数も増え、デビュー予定は当面無しで、俺も萬屋ぺすとのモデルを作るくらいしかタスクがないため、夏の企画に時間を割くことができる。
新人に倍近い登録者数を見せつけられて、萬屋ぺすとがかなり落ち込んで相談してきたので、一晩かけて元気づけた。
登録者2000人記念で初めて歌ってみたを投稿して、感染者にもベタ褒めされて有頂天だったところを新人にぶち抜かれたのだ。今日もちょっとだけ怖気づいていておとなしい。
ちゃんと相談してくれてよかった。モデルのver.2、早く作り始めないと。
そんな順風満帆なVNIVEARTHの、夏企画の宣伝と予行演習として、今回の配信は企画されたのだった。
【箱コラボ】第2回 VNIVEARTHコンプライアンス研修会! 【VNIVEARTH】
ライバーの能力と、機材のスペック事情、そして俺の配信管理。
現状のVNIVEARTHが、どこまでやれそうなのかを、この配信で見極める。
無理そうならば、夏の配信企画では先に収録をして録画を配信することとなる。
安定を求めるならそれが安全策だが、それだとコメントの空気に対応できないので、俺がVTuberの醍醐味としている『体感型コンテンツ』としての魅力が薄まってしまう。
はたして、コメントもある生配信で、全員参加の企画を行うことができるのか──。
【誰のビジュアルを先に見たい? VNIVEARTH人気投票!!】四期生のデビューにともなって、二次投票の受付を開始します!! 現在公式Tvvltterにて公開されている画像は、制作途中のラフ段階のものです。そこで、本アンケートの結果に基づいて完成させる順番を考慮いたします。皆様の推しにぜひご投票ください!(※なお一期生については、本編では未改修のためネタバレが含まれます)
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萬屋ぺすと
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佐土原恭子
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神海まりも
-
詩星せるり
-
遠藤
-
黒宮院みやみ
-
拳藤正義
-
波羅劾ざくろ
-
伊能凛