過去に戻ったので、破滅する推し箱の未来を変える。   作:匿名

49 / 49
#046 結婚するなら

 正直に言って配信が始まる前からすでに異様だったそのコメント欄は、その配信主が現れることによって、よりこの世のものとは思えないほど悍ましいものへと進化する。

 

「みなさまぁ。私の配信に、おかえりなさい♡

 お風呂、掃除してくれます?

 ご飯、作ってくれます?

 それとも、わ・た・し♡ の口座に送金してくださいますぅ?

 哭泣員(こっきゅういん)のみなさまぁ♡ 見てますかぁ? あなたの黒宮院(こっきゅういん)みやみですよぉ♡」

 

:ただいま!!

:帰って来たよ!!!!

:なんかやばいこと言ってなかった?

:俺の掃除した風呂にみゃみが入るのか!?

:メシ作らせろ!

:金も送るぞ!!!

:ライバーもリスナーもイカれてて草

:クソ嫁w

:何もかもが終わってる配信

:開始数秒でこれである

 

 微妙に長い挨拶に対して、それを迎えるのはこのノリの良過ぎるコメントたち。

 どこぞの一期生のリスナーが似たような熱量のやばいコメント欄なので、三期生である彼女はおそらくそれを真っ当に受け継いだ形となるだろう。

 

 というかライバー側が出迎える立場で挨拶してるけど、リスナーの方が先に配信枠で待機してる時点ですでに構図が滅茶苦茶だ。

 言っていることも滅茶苦茶だし、考えるほどに何もかもが正気を疑うような配信だ。

 

 ここまで1分ちょっと。

 

 この混沌(カオス)に片足どころか下半身を浸っているかのような配信を、俺は真面目な顔で見ていた。

 俺にとっての黒宮院みやみというのは、現在のVNIVEARTHにおいて一番理解不能な、バグのような存在。

 

 波羅劾ざくろが、俺のずるとも言える未来由来の知識が上手いこと噛み合って運良く相乗的に作用し爆発した、理詰めの最高傑作だとするならば。

 

 黒宮院みやみは、俺の意図しない何かが悪魔合体して錬成された、既知の外にある突然変異種なのだ。

 

 そんな彼女を、俺は今日こそ正しく分析し、今後の運営に活かすための戦略に落とし込もうとしている。

 

「ふふふふっ♡ 今日もみなさまがぁ、元気そうで、何よりですっ♡」

 

:元気だぞ!

:みゃみも元気そうで何より

:今日はいつにも増して上機嫌だな

:愛してるぜみゃみ

 

「私もぉ、私の事好きって言ってくれる、あなたがぁ、大好きですっ♡」

 

:クソッ適当なこと言いやがって……!

:誰にでも媚びるくせに!!

:でもっ……悔しい!

:俺の【魂-ソウル-】は癒されているッ!!

:ASMRでもないのに、勃った

:なにこのコメント欄きっしょ

:草

:みやみの配信を聞いていればわかる

:この女に調教された者たちだ、面構えが違う

 

 妙に小気味良く、テンポ良く、ノリノリで紡がれる彼女の言葉は妙に心地よく、そしてやたらと淫靡だ。

 コメントも冗談の域を超えた感想を述べているが、割と彼女の語り口自体が、冗談を超えた変な方向性に特化した表現力を持っている。

 

 俺は彼女のこの配信スタイルを、悪友的な親近感だと分析している。

 

 口から出てくる言葉が全て、悪ノリを根源として生み出されている前提がすでに固定リスナーには浸透していて、いわば100%のエンターテインメントというか、どんなことを口にしてもこちらを楽しませることを目的としていると認識がされているのだ。

 

 その本質は、後で言う『メスガキ煽り』が近いだろうか。

 

 ……。

 

 VTuberの分析だとしても、メスガキ煽りとかいう言葉を口にしたくねぇ……。

 

 しかし、だからと言って、同じ箱の男性ライバーを夫だとする発言をしておきながら、ここまで男性リスナーに特化した支持を得るのは普通に異常だ。

 

 その対象の男──俺がいじられキャラを自ら演出していて、いやこいつがガチ恋対象なわけないやろ(笑)という空気に持っていくことができたとしても、だからと言って──いや、だからこそ、計算してこの空気にするために最初から全開フルスロットルであの無秩序なデビュー配信を決行したのであれば、やはり彼女はとんでもない逸材だと言える。

 

 何度把握しようとしても、こんな結果になる。

 

 この薬やってそうな配信の主が、これを計算づくでやっているのか、好き勝手にやったことで偶然こうなったのか、判断が難しい。

 

 直接聞いても、半々ですぅと曖昧な返しをするだけで、そんなことよりと雑談をしたがってしまう。

 VNIVEARTHのライバーで一番見た目が好きなのとか聞かれても、返事に困る。

 

 彼女のLive2D(ガワ)を今から変更することはできないのだし、そこは申し訳ないが仕方がないと割り切って欲しい。

 

:なんかいつもよりテンション高い?

:みゃみが嬉しそうで俺も嬉しいよ

 

「ふっふふ~。良いことが、あるんです♡ 詳しくは、そうですねぇ、8月の後半になると、わかります♡」

 

:良いこと!?

:収益化か!?

:ASMRか!?

 

「あぁ、ごめんなさぁい、そういうのじゃ、ないんです。配信にはあんまり関係がないかも、です」

 

:なんだ

:解散

:クソ女がよ

 

「うう~、ごめんなさぁい。よよよ……みゃみは駄目な女ですぅ~。

 ぐす……ぐすん。……ちらっ♡」

 

:なんだコイツゥ……

:謝ってる要素がないw

:馬鹿にしやがって!

:この媚び媚びが癖になんだ

:スパチャをッ! させてくれッ!

 

 いや意味わからんわ。プロレスというか、もうリスナーと冗談だけを投げ合ってるというか。

 

 ボケ倒すことの多い俺にも近い要素はあるが、俺の場合はツッコミ待ち。

 コメントにツッコミを任せ、そのツッコミ内容を想定して立ち回るやり方だが、彼女の場合はボケにボケを返す永久のボケループである。

 

 まぁ、確かに、この異常な距離の近さというのは、男性リスナーにとって癖になる、のだろう。

 

「みなさまぁ~♡」

 

:うっ

:お前はASMRマイクを買え

:片耳だけイヤホン付けるんだ。飛ぶぞ

:あの遠藤も推奨した使い方だ

:遠藤!?

:その名を口にするなころすぞ……

:あいつ実は理解ってる側だよな

 

 うっわ。

 

 確かに俺は以前、三期生コラボで黒宮院みやみに反撃するために、彼女の言葉を切り取ってASMRに改造して有効活用みたいなことを言った。

 

 あれがきっかけで、俺が実はその手の性癖の上級者であると、勝手に性癖の伝道師のように語るリスナーが数名ほどいるのだ。

 

 風評被害が過ぎる。

 

「ふふふ~♡ 今、私の旦那様の名前がコメントに見えましたね~」

 

:やめてくれ!!!!

:旦那!?

:はいはい茶番

:持ちネタです

:ネタ……なんだよな……?

 

「みなしごエンドレスさま~♡ 私の許嫁、旦那様♡ ですね。ううう、家が決めたことなのです。私はみなしご家に嫁入りいたしますぅ……よよよ」

 

:嘘だろ……;;

:やめてくれ……

:遠藤……!

 

 何かとつけてこの設定の寸劇するんだよな。

 これ自体が火遊びみたいであんまりよくないのに、実態はもっと悍ましいのがなぁ。

 

:このシチュが、こう、クるんだよ

:へへへ、胸がキュッとな……

:背徳感だぜ

:なんか脳汁あるんだよなぜか

:でも遠藤は許さねぇ

 

 わけのわかんねえ飴と鞭を使ったリスナーの調教。

 

 これが俺の目指す普通の箱か……?

 

「実は、ですねぇ。8月の後半には、エンド様とオフコラボをするんです♡」

 

:そのオフコラボ、ちょっと待ったー!

:いやだーーーーー!!!!!

:そんな奴より俺たちとオフコラボしよう

 

「ふふふふふふ~♡」

 

 いや、ギャグっぽくなってるけど、なんでその発言がギャグっぽくなるんだよ。

 

 地味にこれ、VNIVEARTHのスケジュールを漏洩してるし。リスナーが全く信じてないから冗談になってるけどさ。

 

 やっぱりこんな配信は参考にならない。

 

「──冗談、です♡」

 

(※見るに堪えないコメント群のため割愛)

 

 なんだろうな、これは。

 

 マジで。

 

 距離感バグった女友達が、すっごい意地悪くからかってくる、みたいなシチュエーションのロールプレイ、とでも表現するのが一番近いか。

 

 冗談しか言わないのだと、前提として理解しているからこそ、じゃれあいとして成立している。

 

 あの未来の黒宮院みやみはこんな配信はしていなかった。

 

 センセーショナルというか、エキセントリックというか、そういう衝撃的な言動のネタでリスナーの目を引き付けるのは俺も多用する武器ではあるけど、これと同じ要領を上手く取り込み応用したというのが、あの未来の彼女との大きな違いだと思う。

 

 なんかもっと、メンヘラ系に喚いてた印象がある。

 

 あれと比べるとなんか逆ベクトルに陽キャ染みたノリの良さで、確かに、見ていてかなり心地よい。

 

 それとコメントで会話できるなら、強いか。

 

:頼むからASMRで今のやってくれよ

:音声作品だな

:売ってくれ!

:こんなの買うしかないだろ!

 

「ASMRですかぁ……。マイク、結構するんですよねぇ。運営さんに、相談してみましょうかぁ……」

 

:マジ!?

:頼むぞ運営!

:遠藤見てるか!? 頼むぞ!!

:いや遠藤は見てないだろ

:マネは見てそう

 

 ASMRは……、えぇ、ASMRはぁ……駄目だろ。

 

 センシティブが過ぎる。

 

 俺はVNIVEARTHを健全な箱にしたくて……その、不祥事とは縁遠く……というか、こう、小学生でも安心して見られるような箱に……。

 

 ……。

 

 波羅劾ざくろのキャラデザの時点で、結構きわどいんだよなぁ。

 

 勢いでこれでもかとピアスやら涙ぼくろとか盛ったけど、割とTvvltterとか掲示板だと子供が見たら性癖が歪むって言われてんだよなぁ。

 

 確かにその通り。

 

 性癖ストラクチャーデッキとかいう書き込みが、記憶に新しい。

 

 一線は越えてないのになぁ。

 

 黒宮院みやみだって、露骨に性的なことをしているわけではないのにも関わらず、なんかセンシティブだし、リスナーのコメントも、やばい。

 

 このリスナーとのじゃれあいだけで、30分、1時間と、まったりというかねっとり雑談をやり遂げるのが、黒宮院みやみというVTuberなのだった。

 

 俺は未来を知っているがゆえに、この2019年ではむしろ時代錯誤とまで呼べるほどに、ゲームの許諾というものに拘っている。

 

 個人の配信者には許可されていても、事務所に所属していると──つまり商業利用となると、話が違ってくることも多く、別に配信=違反で即削除というわけでは全くないのだけれど、俺としては、クリーンな活動を行っている印象を強めたい。

 

 そんな俺の意を汲んでくれいて、VNIVEARTHライバーは雑談や独自企画での配信が多いという中小VTuber事務所としては珍しい傾向にあるのだけど、特に黒宮院みやみは、雑談の比率が多い。

 

 毎回同じようなことをやっているだけなのだけど、コメントによって差異が生まれるため多少のバリエーションがあり、そしてコメントを送ることに意味があるのであれば、リスナーも配信に参加したいと思うわけで、チャンネル登録者数は微増を続けている。

 

 このサイクルができるのも強いな。

 

 ただしマンネリが紙一重にあるやりかたであるため、やはり参考にするのは難しいか……?

 

 強みの維持、とすれば応用が可能か。

 リスナーが切り抜きなどで知って、そのライバーを見ようと思ったきっかけ。それを実際の配信でもリアルタイムで見ることができるとなれば、配信の継続視聴や、チャンネル登録にも繋がるのかもしれない。

 

「あ、そういえばぁ。私、あの映画見てきましたよ~」

 

:あの!?

:どのだよ

:あれだろ

:どれだよ

:例の

 

「ふっふふ~♡ さぁて、どれでしょう~♡」

 

 俺がごちゃごちゃ考えている間に、配信はもっと他愛のない雑談になっている。VNIVEARTH特有の、なんでもクイズにするやつだ。

 

 露骨な尺稼ぎである。

 

「ヒントはぁ、今とっても話題な作品です♡」

 

:ジオウだろ

:気象少女

:神海の新作か

:まりも!?

:↑ちがうww

:ミュウスリーの報復リメイク!

:マイストーリーか?

:あ

:まずい

:じゃあホビーストーリー4だな

 

 ……なんだこのラインナップ!?

 

 世間的に賛否両論だった作品が1つ2つと見受けられる。

 

 配信の心得として、普段から不必要な貶すようなことはあまり言わないようにと指示しているけど、ちゃんと守ってくれるか?

 

「正解はぁ~、マイストーリーです~♡」

 

 よりによって一番感想が荒れたやつじゃねーか。

 

 某世界的RPGのV(ファイブ)を題材としたその映画は、特に賛否両論で、SNSでもかなりホットな話題であり、かつ取り扱いの難しい作品だ。

 

 時事ネタとしてかなり強い雑談のネタにはなるが、取り扱いを間違えれば炎上にさえ繋がるという、慎重な発言が求められる話題だ。

 

 俺からまだその映画見てないライバーに、こういう感想は言わないようにとネタバレするのも意味不明だし、何も防衛策を講じてはいなかった。

 

 こ、黒宮院みやみ、大丈夫だよな……?

 

「ゲームをやったときのことを思い出しちゃいましたねぇ……。みなさまはぁ、ビアンカとフローラ、どっち派でしたぁ?」

 

:ビアンカ!

:フローラ

:フローラだろjk。金と装備もついてくる

:酷いやついて草

:ビアンカしかないだろ

:主人公がいなくてもフローラは結婚する、ビアンカは未婚のまま。じゃあビアンカしかねぇよなァ!!

:幼馴染を裏切れねぇよ

:言うほど幼馴染じゃ無くね?

:ガキの頃ちょっと一緒にお化け対峙しただけだし

:デボラなんだよなぁ

:DSとかガキかよ

:僕はベラがいいです

:ル ド マ ン

 

「やっぱりみなさんも好きなんですねぇ~。今になっても色んな意見に分かれて議論がされる、名作ですね♡」

 

 なんかすげぇまともなこと言ってる……。

 

 え、なんだ。これがさっきまでリスナーを歪なSM調教プレイしてた奴が言うことなのか?

 

 炎上するような部分には触れようともしないし。

 

 危ない薬とかやってなさそうな発言だ。

 

 ビアンカはビア、つまり酒。

 フローラはフロ、つまり風呂。

 家に帰ってきた夫に対して、妻が酒か風呂か聞いてくるのが由来である。

 デボラは知らん。

 

 ──だとか、俺だったら豆知識にするところなんだけど、そういう理屈っぽさがない方が親しみやすさに繋がるのかもしれないと、彼女の配信を見ていて思った。

 

「まあ、私が結婚するのは、エンド様なんですけどね~♡」

 

:!?

:なんで……

:遠藤テメェ!!

:やめてくれ

:急にリスナーを絶望させてくるの草

:みやみ! 俺と結婚しよう!!

:その結婚、ちょっと待ったーー!!!!

:茶番定期

 

 あれ。この流れで俺を燃やすネタになるんだ。

 

「ふふふふふ~♡ 私の結婚式には、何人の哭泣員がその結婚待ったしに来てくれるんでしょうねぇ~」

 

 などと、リスナーを煽って遊んでいる悪女に。

 

 1つのコメントが突き刺さる。

 

:ざ「エンゲージリングって知ってますかい?」

 

「……え、えん、嚥下(えんげ)?」

 

 それを察したリスナーに伝播し、コメント欄がその単語で埋まっていく。

 

:エンゲージリングww

:その話はまずい

:みゃみ、お前の旦那はもう……

:┌(┌^o^)┐

:まずいww

:あ

:エンゲージリング

:エンゲージリング

:遠藤×伊能

:遠藤も初配信で、男は男同士で恋愛するべきって言ってたしな

 

「……ぁ、ぅ、ゎぁ……」

 

 それらのコメント欄を見つめ、目を閉じて項垂れる。

 無言でこの動作をゆっくり行い、1分以上の溜めを作ったあとのリアクションが──

 

「うっ……♡」

 

 ──いや俺のリアクションに被せてくるのかよ。

 

:お前もかいww

:似た者夫婦w

:みゃみ……やめてくれ……

:嘘だよな……

:でもなんかすごいエッな声でしたね

 

 ネタに走ってダメージボイスの声真似をしていた俺と違って、キャラの声のまま、それも妙に艶っぽいものという、彼女らしいリアクションでもある。

 

 このオチに持っていくために、モデルを大袈裟に動かして無言のまま()を演出していたり、配信の技量がやたら高いんだよな……。

 

 配信経験者であったことから、元々デビュー配信の時から手慣れたトークスキルを見せていたけど、VTuberの活動を始めてから、VTuberの配信としても異常に上手くなったというか、なんかすごいVNIVEARTHらしく染まったというか。

 

 あの未来の黒宮院みやみの配信とは、明確に格が違うように感じる。

 

 登録者数だって、おそらくこの8月時点で倍以上の違いがあるはずだ。

 

 何が違うのか、何が彼女をこうも覚醒させたのかと考えた時。やはり挙げられるのは、環境の違いだろう。

 

 萬屋ぺすとが表立って活躍しているのがまず大きな違い。

 そして運営やライバー間における連絡手段をしっかりと整えたことや、箱内コラボを盛んにしたことで、ライバー同士も刺激を受けやすいようになっている。

 

 結果から逆算するならば、俺や萬屋ぺすとの配信技術を、素直に吸収し効率よく運用している、とするべきか。

 

 ただその運用の仕方、応用の仕方がとにかく綱渡り過ぎて、参考にできない。

 これを全て狙ってやっているというのであれば、彼女は俺には想像もできないような緻密なところまで計算していることになる。

 

   *

 

「はふ~~~~」

 

 配信が終了したことを念入りに確認して、私は大きく息を吐く。

 

 今日も無事、やり切りましたぁ~。

 

 座ったまま大きく伸びをして、達成感に任せてわちゃわちゃ伸ばして縮めてと腕を動かす。なんて言う動きかわからないけど、両手でえいえいおー! としている。

 

 ……配信が、楽しい。

 

 リスナーのノリが良く、私が調子に乗って適当なことを言いまくっても、何でも好意的に返してくれる。

 

 配信するにあたって考えることはたくさんあるけれど、亜紀人さんが配信の注意事項をわかりやすく提示してくださってるおかげで、それにさえ気を付けていれば、あとは割とノリでどうにかなる。

 

 さすが旦那様……♡

 

 と、この冗談だけは線引きを間違えないように、特に気を付けないといけない。

 

 私の狙いは、このネタを浸透させていくことで、名実ともにVNIVEARTHの名物カップルだとファンに認識されていくことなのだから。

 

 その前に亜紀人さんに嫌われてしまっては、元も子もない。

 

 ときどき尻軽女というコメントも目に付くけど、亜紀人さんならそういうキャラが持ちネタでやっていると理解してくれるはず。

 

 よし。

 

 自分へのご褒美として甘いものとか美味しいものとか食べたりしたいところだけど──ここは我慢。

 

 何と言っても、今月の終盤には、()()がある。

 

 カロリーには気を付けて、少しでも体型を良くする。

 肌ケアもいつもより丁寧にして、ちゃんと良く寝て……少しウォーキングとかも、した方がいいんですかねぇ。

 

 亜紀人さんは長めの黒髪が好きと言っていたので、ダークブラウンにしていたのを黒に戻して、清楚なコーデにしましょう。

 いやでもちょっとは攻めた服があってもいいかもしれません。

 

 日数があると何着か必要ですよね、服も買いに行かないと。

 

 彼の好きな食べ物はラーメン。

 それだと差し入れはしにくいので、他にもないかと聞いた時に言っていた、肉じゃがとか、そっちを練習しておきましょう。

 肉の種類だと鶏肉が好きでしたね……これは肉じゃが以外にも、家庭的な料理をいくつか作って、良妻アピールをしましょう。

 好きな野菜はネギ。

 

 パンよりご飯派。たけのこ派。

 

 ビアンカ派。

 

 ……お淑やかさよりも、親しみやすさ、ですね。

 

 色々と遠回しに質問をして、私なりに考えた結果。

 結婚するなら、ある程度明るくて元気で、手を引いてくれる人の方が好みだと分析しました。

 

 無理して大人の女を演じるのではなく、自然体の愛を伝えればいいんですよね。

 

 みやみは心得ました。

 

 バイト先にも、ちゃんと長期休暇を入れられましたし、計画は順調ですよぉ。

 ……代わりにお盆時期が連勤ですが。

 

 

 7月が終わる頃に、VNIVEARTHの全体会議として行われたサーバー通話で、ライバー全員にとある提案があった。

 全員のスケジュールさえ合うようであれば、やりたいことがあるのだという。

 

 ライバーの半数以上が学生であるVNIVEARTHでは、あとは距離や家の都合の問題。

 かくいう私も、フリーターなのでバイト先にスケジュール調整をお願いして、連休を用意した。

 

 8月。

 

 お盆が明けた次の週──

 

 ──VNIVEARTHライバー全員が事務所に集まり、数日間のオフコラボが行われる。

 

【誰のビジュアルを先に見たい? VNIVEARTH人気投票!!】四期生のデビューにともなって、二次投票の受付を開始します!! 現在公式Tvvltterにて公開されている画像は、制作途中のラフ段階のものです。そこで、本アンケートの結果に基づいて完成させる順番を考慮いたします。皆様の推しにぜひご投票ください!(※なお一期生については、本編では未改修のためネタバレが含まれます)

  • 萬屋ぺすと
  • 佐土原恭子
  • 神海まりも
  • 詩星せるり
  • 遠藤
  • 黒宮院みやみ
  • 拳藤正義
  • 波羅劾ざくろ
  • 伊能凛
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

前世の妹が今世の彼氏に告白したらしいんだが(作者:雷神デス)(オリジナル現代/コメディ)

家族の幸せと引き換えに、自分の幸せを磨り潰した末に死んだ前世の俺。▼新たに女として産まれた第二の生、ハイスぺ彼氏を自らの手で育て上げ、惚れさせることで何の努力もせず楽して生きていける環境を作ったぞ!これで俺は勝ち組人生、やったー!▼ごめん今彼氏に告白してきた子、俺の前世の妹だったわ。ちょっと俺と別れて、あの子と付き合ってくんない?え、ダメ?▼どうしよう▼そん…


総合評価:6506/評価:8.78/連載:16話/更新日時:2026年05月18日(月) 21:00 小説情報

ぽんこつ美少女Vtuberと最強無職 ~元無敗王者を人気配信者が放っておいてくれない~(作者:世嗣)(オリジナル現代/冒険・バトル)

 ▼ 2083年、VRゲームが一般化した時代。▼ 大人気対戦ゲーム「ヴァーチャル・スクエア」では数多のプロプレイヤーが存在する。▼ そんな彼らが「最強」だと語る一人の存在がいた。▼ 曰く、『無敗』。公式戦で負けたことがないのだと。▼ 曰く、『始祖』。今の戦い方は彼の影響で生まれたのだと。▼ 曰く、『伝説』。彼は一年間活動したのち、夢が覚めるように引退したのだ…


総合評価:6763/評価:8.57/連載:40話/更新日時:2026年03月29日(日) 13:00 小説情報

分身スキルの最強戦術って自爆特攻じゃね?(作者:sasarax)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

なお、それを何も知らないヒロインの前でやったとする。▼「俺が死んだと思ったって? いやそれ分身だから」▼そんな感じの主人公が周囲の人の脳みそをこんがり焼いたり、美味しいご飯を食べようとしたり、がんばってお金を稼いだり、分身が巻き込まれた事件の後始末をしながら、異世界でゆっくり成り上がっていく物語。▼※カクヨムでも連載中です。


総合評価:4781/評価:8.59/連載:17話/更新日時:2026年05月19日(火) 17:43 小説情報

人の生き様大好き系上位存在が蔓延る世界に生まれ落ちた生存本能極振り転生者(作者:せぞんのう)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

その世界には人間の輝きが大好きな悪魔が無数にいた。▼死を経験したことで生存本能に意識を極振りした転生者のルセラは、悪魔を利用してでも生き残ることを画策する。▼しかしその姿は悪魔たちにとって、性癖ど真ん中をぶち抜く行為だった。▼しかも生き残るためにあらゆることをやってのけるこの異常者の行動は悪魔の想像の遥か斜め上を行く所業ばかり。▼やがて、生存本能極振り転生者…


総合評価:8897/評価:8.86/連載:10話/更新日時:2026年05月08日(金) 07:05 小説情報

幼馴染(天使)が幼馴染(偽)だった。天使なのはガチだった(作者:ビスマルク)(オリジナル現代/恋愛)

▼『アンタの幼馴染、あれ偽物だよ』▼ 幼馴染に告白する勇気を得るために学校で流行っていたおまじないをしようとしたらガチのお呪いで脳内に悪魔が入って来た。▼ 更にそいつは僕の幼馴染が異世界から来た天使であり、悪魔と戦うためにわざわざやってきたという。▼ そう、全ては嘘だった。僕に超絶美少女な幼馴染などおらず彼女との関係は一ヵ月程度しかなく本物だと思っていた過去…


総合評価:7325/評価:8.83/連載:48話/更新日時:2026年05月19日(火) 07:03 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>