過去に戻ったので、破滅する推し箱の未来を変える。   作:休憩中:たぶん次回7/20

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#059 ファンサービス

 VNIVEARTH(ヴニヴァース)事務所。事務所と銘打ってはいるのにも関わらず、公式サイトの所在地には記載されていないという裏技というか抜け道で悪ぶってはみたものの、よく考えたら普通に収録スタジオってだけだなと思い始めてきたこの頃。

 

 実態として、実務の全てを収録スタジオでやってしまっているのがちょっとそれどうなのと指摘されるかもしれないだけで、言うほど法の穴を突くような冴えた発想ではない気がしてきた。

 

 カーペットやソファでそれらしい内装も加わってVNIVEARTHライバーがリアルで集結する準備も整ったというものだが、するとこれからこのスタジオに人の出入りが多くなるということ。

 

 それだと落ち着いて休むことができないのでは、と今更だが心配になってきたので、人の出入りが少ない方、俺の自宅の方も女性陣に使って貰うことも考慮し始めた。

 

「ここが私の自宅です」

 

 招かれた客人である神海(しんかい)まりもが、ひょこっと覗き込む。

 

『ここがあの男のハウスね』

 

「ははは。この家には――いや事実しか言ってませんね。そうです。(あの男)のハウスです」

 

 なんかボケて来たから適当に笑ってツッコもうと思ったけど、別にミームで会話してきただけでボケてるわけじゃなかった。

 むしろ、なにわろてんねん。

 

「風呂無し、狭い、壁薄い、古い。最低限の寝床としてしか使っていなかったので大した場所ではないですが、一応ここもライバーの皆さんに好きに使っていただいて結構です」

 

 存在自体は伝えていたが、ちゃんと案内するのは初めてだった。

 

「……」

 

 うーん、新たな秘密基地に少し楽しそうにしていた神海まりもだったが、ここに着いてから少しテンションが下がっている。

 

 いや、まあね。本当に狭いし古いし何もないから。なんか、ごめん。

 

「壁も薄いので、あんまり馬鹿騒ぎはできませんね。お泊り配信なんかでは確実にスタジオの方を使えるようにしますので、その辺はご安心ください。あくまで静かなところに行きたくなった時のためです」

 

 シャワーもないし、風呂は銭湯かスタジオのを使うしかない。スタジオから歩いて10分ほどか……壁の薄さも相まって、あまり女性陣にここを使わせるのは申し訳ない。

 

「ちょっと遠い仮眠室程度にお考え下さい」

 

『あざます』

 

 短いメッセージで返事を送った後、神海まりもは冷蔵庫を開いた。

 

 怪物的なエナジードリンクが2本転がっている程度。醤油やマヨネーズなどの使いきりでない調味料は申し訳程度に残っている。わさびとにんにくのチューブもある。

 

 ただそれだけなので、我ながら生活感が終わっている部屋だ。

 

 ……神海まりもの目が、濁っている気がする。

 

 いや濁っている。東京に来てからあんなに生き生きとしていた眼が、座っている。

 

 光は失われ、そこには深い闇があった。暗い昏い闇。この目は闇がよく見える。この悲しみは脳から特殊なチャクラを生成し写輪眼を発現させる――そんなことはないが、あたかも第二の秘密基地があるかのように言っていたのにその実態がこんな物置部屋(物はないけど)とくれば詐欺もいいところだろう。

 

 うっ。罪悪感。俺はこの少女の期待にも応えられないのか。

 

「わっしょい、わじマニア……!?」

 

 唐突に意味不明なことを呟いたのは俺ではない。

 となればもう1人の人物、神海まりもである。この部屋の殺風景さにわっしょいわっしょいと気が狂ってしまったというわけでもなく、それはとある漫画のタイトルである。

 

 神海まりもは、部屋の片隅に唯一あるインテリアである小さな本棚を見て、あれはなんだ……(おのの)いていた。

 

「どがしかでん、ダブルアーツ、チャゲチャ、LOCK ON、SWOT……」

 

 普段しゃべろうとしないあの神海まりもが長文を口にしている。よくわからない詠唱みたいになっているのが勿体ないけど。

 

 小さな本棚に並ぶのは、俺が趣味で集めていたジャンプ打ち切り漫画コレクションだ。

 学生時代、自転車で古書店を回った夏の思い出。寂しい青春の一幕。

 

「あんまりメジャーどころは持っていないんですよね。そういうのだけ集めていた時期があって――」

 

 ――言葉を失う。

 

 神海まりもの目が、輝いている……!!

 

「あれ、神海様は、もしかしてこういうの、わかります?」

 

 俺の問いかけに対して即座に頷いた。勢いよくスマホをタップする。

 

『東京に来たんだし、掘り出し物がないか中古屋を巡ろうと思ってた!!!!!』

 

 エクスクラメーションマークが5個も連結している。こいつ、打ち切り漫画愛好家なのかよ……。

 

 神海まりもの手には単行本が1冊あった。LIGHT WING。全3巻のサッカー漫画。

 

 ……作者の名字、同じだったね。

 

 見たことない漫画ばっかですねぇ……え、でもジャンプだ。たまげたなぁ……。全部最初の2~3巻しかないのはなんでです? だとか喧嘩売ってるようなことを言われた記憶が蘇る。この部屋に拳藤(けんどう)正義(せいぎ)を招いた時の感想だ。

 

「初版……!!」

 

 また驚くように呟いた。彼女にしてはよく喋る日である。単行本の奥付を見て版数を確認していて、なんかやけにわかってる感を出してくるぞこの女子高生。

 

 うーん。せっかくだし、俺もちょっと乗ってみるかな。

 

「……LIGHT WINGはSOUL CATCHER(S)の連載時に増刷されてますから、ね」

 

 増版時に買ったんじゃなくて、初版で揃えてますよそういう拘りありますよアピールである。

 神海まりもがこちらを見た。

 

『同志……! ( 'ω')و グッ!』

 

 おもしれー女。配信でやってくれこういうの。ネット的に、打ち切り漫画愛好家は属性として面白いぞ。

 

「よかったら、差し上げますよ」

 

「いいの!?」

 

 なんかもう普通に喋りそうな勢いだな。

 

「ええ。私はもう読みませんし、勿体なくて捨てられなかっただけなんです。保存状態までは気にしていなかったのであまり保証できませんが、帯は全部付いたままのはずです」

 

「エレメントハンターの2巻ある……!」

 

 打ち切りではないしVジャンプだけど、少ない巻数でちょっと相場が高い漫画にも気づく。むしろ無駄に詳しいのなんだろう。リアタイだった俺と違って、現在高校2年生の神海まりもにとっては調べようとしなければ収拾されない知識だぞ。

 

 帰るときに持って帰ってください、それか後から郵送しましょうか、などと話を進めながら、彼女と漫画本を漁っていく。

 

 今の俺が持っているよりも、ずっと有意義なはずだ。

 

 

   *

 

 お盆期間ということで、いつもよりも不規則な時間に配信が行われる。

 

 夜中に配信をするのもまた特別感のあるものであれば、然り昼間に行うのもまた特別なはずだ。

 日中は普通の人が活動する時間でもあるから、人が集まりにくいという配信者にとっての相性の悪さはあるんだけど。

 

「お盆の昼過ぎにさ、こうやって集まって貰えるのもありがたいことなんだけど、なんだかなって。予定とか……いやなんでもない。なんでもないって」

 

:はぁ?

:殺すぞ

:暇人ですが何か??

:(お盆とか関係)ないです

:なんだァ……テメェ

 

 冗談である。こういう軽口を言い合えるのも親しさの表れということで。

 

:この時間に珍しくない?

 

「珍しいね。ほとんどしてこなかったよ」

 

:じゃあなんで?

:暇なの?

 

「たまには作業配信とかしようと思って。モデル動いてないでしょ。ごめん今日はカメラに写すような状態じゃないから」

 

 今日は立ち絵を貼り付けるのみ。言葉通りにトラッキング用のカメラを配信に使っていない。

 

:動いてねーな

:うごけー!

:手抜きか遠藤テメェ

 

「たまにはね。ガチの雑談配信ってことで。ついでにマシュマロとか食べてもいいかも」

 

:雨が降るな

:槍が降る

:社長の血の雨がな

 

 リスナー間で大喜利大会が始まる。この無法地帯感、夏休みの暇人集会所の空気があって悪くない。作業しながらの雑談配信としてはちょうど良いくらいである。

 

:遠藤の雑談枠少ないからな

:仕事してんだろ

:ぺすの品質向上会議は??

:社長報告会もしろ

:┌(┌^o^)┐??

 

 うーんぐちゃぐちゃ。

 

 俺が運営側の人間ということもあって、俺の配信にはVNIVEARTH全体のリスナーが少しずつ集まっている側面がある。各ライバーへの要望とかは俺に言いに来るのが一番手っ取り早いし、そういう窓口としても最初は売り出してしまったからなぁ。

 

 総合雑談所みたいな用途に使われるのはむしろ理想だが、俺の配信に集めるのも今後を思えば改善の必要がある。せめて社長だ、いや無理だから、情報屋の波羅劾(ハラアバキ)ざくろか、いや彼女の負担が大きくなるし、拳藤正義にでも振ってみるか――いや属性的に接点がないか。

 

:ペネキどうすんのアレ??

 

 ちょうど良い話題を見つけたのでコメントを拾う。

 

「ペネキ、ペネキね。なんかすごいことになってるらしいね。専用のdlscord鯖もできてるし。著作権的な基準さえ守ってもらえれば開発は好きにやって大丈夫。改めてやっちゃいけないことだけまとめておくよ」

 

:有能

:判断が早い

 

 ペネキ。萬屋ぺすとのホームランダービー。

 

 某プニキのパロディとして俺が最小限の見栄えで作ったファンメイドゲームは、あくまでリスナーが作成して送られてきたという体で萬屋(よろずや)ぺすと本人に渡している。

 

 配信で使用されたペネキはVNIVEARTH公式サイトにも掲載しており、インストールなしでも誰でも遊べるようになっている。

 匿名の作者本人がソースコードを公開し開発を有志に委ねた、というところまでを俺が自演で行い、あとは成り行きを見守って発展がないようなら俺が別の匿名としてまた手を加えて――と予定していたが、これまた予想より上手くクリエイティブなリスナーの興味を惹けたようで、共同開発用にdlscordのサーバーを用意する者が現れた。

 

 萬屋ぺすと本人も配信で嬉しそうにしているし、その様子を見て感染者もやる気を出すという好循環。ほぼ感染者しかいないが、彼らを中心にやり取りが行われている。

 

 開発、というか改造の中心となっている数名には、例の強火感染者の代表である『豹柄鼠』もいたりする。Live2Dの話にもリグだのトラックだのこれ見よがしに専門用語出してきたリスナーだし、そこまで意外でもない。

 

 そして俺自身も適当な名前で参加し、アイデア出しや意見誘導などで密かに干渉していた。

 

 アイデア出しというか、俺には手の込んだ開発は出来ないけど出来そうな口ぶりの人が出てきたから好き勝手言っているだけとも言う。

 

 (ホワイト)ボールとか実装して欲しい、みたいな。言うだけならタダなのだ。

 

 WW(ワイドホワイト)ボール、WWW(ワンダーワイドホワイト)ボールが萬屋ぺすとを襲うことになるのかもしれない。萬屋ぺすとが一体何をしたと言うのだ。

 

 配信上ではあくまで部外者、開発には関与してませんよとどこか他人事のように言うようにしているが、俺は普通に開発内部にいるぞ。

 

 ちなみに、JavaScriptで作ったことについてはボロクソ言われている。flashかUnityにしておけと、詳しそうな(ツラ)をして滅茶苦茶文句を書き込まれていた。書き込み主は豹柄鼠っていう名前なんだけど。

 

 この選択肢を増やされたことで、JavaScript、flash、Unityと開発ソース別にチャンネルが別れてしまっていた。これではVNIVEARTH甲子園企画には間に合わなくなるかもしれない。

 さりげなく優先順位を誘導する必要があるだろう。

 

「最低限の禁止ラインさえ守ってもらえれば(みんな)の好きに作っていいよ。(みんな)で作ってるものだし、アプリ化して金儲けに使ったりとかはしないから安心して」

 

:言ったな

:好きにやらせてくれるのね

:言質取ったぞ!

 

(みんな)のペネキだし。遊びやすい窓口としてVNIVEARTH公式に掲載するとかならこっちも協力できる。Unityで作りたいって意見も問い合わせメールやマシュマロで貰ってるし、ダウンロードの案内をサイトに乗せるのもありだね」

 

:ほーん

:それサイトに広告付けたらヴニの収入にできん?

 

「それやっちゃうと勝手に商品にしないよって公言と違っちゃうでしょ」

 

:それくらいやっていいんじゃ?

:むしろしろよ

:俺らのゲームでヴニに金が入るならいいだろ

:↑お前作ってんの?

 

 うーん。金銭が絡むと、どうしても『遊び場』という空気ではなくなっちゃうからなぁ。

 

「逆に誰かが勝手に金儲けに使うようならVNIVEARTHが対処するよ。そういうのは任せてね」

 

:いやガチかよ

:強い

 

 リスナーで考えて、リスナーで盛り上がり、リスナーで楽しむ。リスナー主導の企画というのは、プロだとか商売だとかが絡まないからこそ盛り上がるものだと俺は思っているから、だからこそ侵してはいけない領域として維持しないといけない。

 

 公式である俺たちが商品として使うのも同じことだ。何も考えずに金儲けに使うのは不誠実だろう。

 

 完全個人で作ったものを、VNIVEARTHに権利を譲渡するくらいまでいくなら何かに使うかもしれないけど……これは追々、考えを進めよう。

 

「まあ、保留かな。他にも似たようなミニゲームがたくさん作られるようならミニゲーム集にしてもいいし、個人だけで作られるなら著作権的に安心して営利利用もできる」

 

:へー

:個人で作った方がVNIVEARTHのためになるのか?

 

「権利的にはね。不特定多数が関与してるから少なくともペネキはVNIVEARTHで広告付けたりみたいな使い方はしないよ」

 

:じゃあ俺も作るか

:頑張れ

:あんなの作れねーww

 

「ははは。俺もゲーム作りが出来たらねー。まず今やってるペネキを(みんな)で触って、ゲーム作りを学ぶのもいいかも。夏だし、高いクオリティになるならVNIVEARTHライバーでスコアアタック配信とかしてもいいね」

 

:えめっちゃ面白そう

:ぺすも言ってたな

:VNIVEARTHの甲子園な

:ぺすとから何か聞いてないのか?

 

 うん、俺がそういうのも出来るかもねって萬屋ぺすとに話したから。萬屋ぺすとを利用するようですまないが、萬屋ぺすとのためにもなるから許してくれ。

 

「ゲームづくりって言うとハードル高いけど、簡単な素材絵とか、普通にファンアートでもライバーのためになるよ」

 

:無茶言うな

:ハードルたけーんだわ

:お前は書けるのかもしれないけどさぁ!

:これだから書ける奴は

 

「イラストの描き方講座とか、今度してみるか……」

 

:いいね

:教えてくれんの??

 

「いいぜー。ファンアート描く方が感染者の皆にとっても有益だよ。萬屋ぺすともそっちの方が断然喜ぶ。全体コラボで『やべーリスナー』アピールするよりも助けになるし」

 

:ん?

:????

:なんか刺してきてない?

:ンだテメ

 

「ははは。はははは」

 

:いやおい

:なにわろてんねん

:俺らぺすの邪魔なんか

 

 VNIVEARTHのヤベーリスナーと言えば感染者、萬屋ぺすととかいう中小箱の強火リスナー持ち、みたいな悪い方向の投稿や書き込みがちょっとだけ見えることがある。

 

 たまには軽く言い含めておかないとね。

 

 

 昼間に行われる夏休みの作業雑談配信という、普段の俺からしたら特別感のあるぐだぐだな時間は3時間も続いた。主だった山場がないというのが逆に珍しい。

 

 何か配信に収穫があった方が満足感がある、配信者として需要があるだろうという考えから、雑談でも事前準備の比重が大きいのがみなしごエンドレスの配信。

 

 本当に仕込みの何もない、純粋なファンサービスと言われると不足している。神海まりもじゃないが、ファンとの交流としては俺もかなり少ない部類だ。

 

 だからこそ特別ともいえるし、正解はない。

 

 長い時間ずっと配信しているから常駐していたという人は流石にいないだろうが、この配信時刻もあって普段はリアタイできないような人も来たかもしれないし、入れ替わりでより多くの人が訪れる配信になった。

 

:今日の選挙配信は誰?

:ググレカス

:昨日のまりもん見てねーのかよ

 

 配信の締めにも丁度良い話題を見つける。これでまとめに入ろう。

 

「今日は佐土原恭子だよ」

 

:誰?

:そんなあたりまえのように言われても

:いや佐土原恭子だからww

:あの!?

:どのだよ

 

 影が薄いことを逆にネタにされる美味しいポジションではある。本人も偽りなく正真正銘に配信をする気はないので、労せずキャラ付けがされるので望ましい所ではある。

 佐土原恭子本人が嫌がらないのであれば、この路線で行く。

 

 VNIVEARTHのお花屋さん。配信をほとんどしない、のほほんとした普通のお姉さん。植物に詳しいという訳でなく、モデルにエプロンが付いていたからお花屋さんになっただけというもの。中の人も別に何か拘りがあるわけでもないらしい。

 

 まぁ――

 

 ――今日もそのままの印象だとは、思ってないんだけど。

 

:サドキョー

:1人だけモデルそのままだよね

:まりもだってアプデしたのに

:不遇されてんのか

:配信しないし、しゃーない

 

「今日の佐土原恭子の配信、ちょっとは覗いてみてね。準備したことも多少あるし、見てくれると嬉しい」

 

:しゃーねーな

:恭子には俺しかいねーからな。へっ

:↑誰だオメー

:そいつ感染者だぞ

:裏切り者は殺せ

 

 リスナー個人が自発的に面白いことを言おうとする。こういう雑談配信では大事なことである。

 

 切り抜きでも、こういうネタコメントが増えるようにコメントも合わせてピックアップしてるからね。

 自分も面白いこと言ってやろうと配信に参加するという楽しみ方だ。そういうタイプのリスナーは一定数存在する。

 

:恭子ちゃんの配信準備ってエンドもしてるの?

 

 エンド呼びとか珍しい。

 

 コメント主の名前も見たことあるな。というか見慣れている。よくいる人だし。昨日、配信がなくて心配したとコメントをしていた。

 こういう優しい人もいる。あとは黒子宮だとか黒宮院みやみだとか、そういう名前もよく見る。

 

「手伝った、と、言えるかな。まー配信を見てくれ」

 

:んん?

:適当言うなw

:遠藤の仕事ってことは……!?

:忙しいのお前??

 

「忙しいよ。あー忙しい。この作業配信3時間、ずっと作業だよ」

 

:乙

:配信してる暇とかあんのか?

:あるだろ

:なきゃデビューしてねぇって

:いや社長に命令されてVになった男だぞ

 

 社長叩きも、遠くない内に沈静化させないとなぁ。

 影が薄いいじりとは訳が違う。あまり長引いて社長の擁護派が出てくるとリスナーが対立してしまう。

 

 ……VNIVEARTHには、社長の唯一の味方がいるらしくて。

 一部の層に、そいつが社長の最高の相棒扱いされてるのもちょっと喜べないしね。今度はちゃんとした本ができてしまう。まずい。

 

   *

 

 そして20時。佐土原恭子の配信が始まるが――

 

 

 ――そこにリスナーの知る佐土原恭子の姿はなかった。

 

【誰のビジュアルを先に見たい? VNIVEARTH人気投票!!】四期生のデビューにともなって、二次投票の受付を開始します!! 現在公式Tvvltterにて公開されている画像は、制作途中のラフ段階のものです。そこで、本アンケートの結果に基づいて完成させる順番を考慮いたします。皆様の推しにぜひご投票ください!(※なお一期生については、本編では未改修のためネタバレが含まれます)

  • 萬屋ぺすと
  • 佐土原恭子
  • 神海まりも
  • 詩星せるり
  • 遠藤
  • 黒宮院みやみ
  • 拳藤正義
  • 波羅劾ざくろ
  • 伊能凛
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