過去に戻ったので、破滅する推し箱の未来を変える。   作:匿名

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#069 今明かされる衝撃の真実

「VNIVEARTH夏の決起集会2019〜!!」

 

「やったー!」「わぁ〜……」『٩('ω')و』「いえー!」「すごーい!」

 

 萬屋ぺすとのタイトルコールに、女性陣がはしゃぐ。掛け声が雑なのもまた愛嬌だろう。

 ツッコミどころを作ってコメントを稼いでいるのかもしれない。俺の伝えている配信戦略にもありがちなやり口だ。

 

 画面内のLive2Dモデルは動かないが、各自が笑顔を浮かべている状態での静止画を貼り付けている。

 音声も楽しそうな雰囲気が伝わってくるので、コメントか神海まりもの発言文字しか動いていない配信画面ではあるが、配信の華やかさ自体はそう損なわれてはいなかった。

 

「今から1時間、いやもっとかも。とりあえずのんびり──

 

 

 ──お寿司を食べます!」/big》

 

 

:寿司!

:いいなー

:寿司食いねぇ!

:俺はカップ麺

:うんまい棒しかねぇ……

 

「ふふふ〜。しかも! 今日のお寿司は事務所の奢りよ〜!」

 

:!?

:すご!

:事務所の奢り!?

:金持ちかよ

:誰も収益化してない事務所で!?

:いいぞ株稼ぎ係

:ヴニヴァに入ると寿司が食えるのか!!

:やばww

 

 配信場所はVNIVEARTHの事務所兼スタジオ。今頃VNIVEARTHの女性ライバー6人が出前の寿司を囲んでいることだろう。

 

 事務所から配信されているということはリスナー達には伝えられていない。

 特定防止のために明言を避けているがおそらく誰かの家にでも集合しているのだろう、と解釈がされているようだった。

 

 SNS上でも今日集まっているのが事務所とは一切言っていない。ライバー側もそんな体で配信を進める手筈になっている。

 

「社員さんが企画してくれたのよね。ありがとうVNIVEARTH。ありがとう社員さん」

 

:よくやった社員

:褒めて使わす

:もっと頻繁にぺすに良いもん食わせろ

:金は社長のでは……?

:社長の金でライバーに寿司を食わせる社員

:感謝されない社長で草

 

「しゃ、社長にも感謝してるわよ! ありがとうございます、社長!」

 

:ぺすから感謝されるとか、敵か……?

:社長を燃やせ

:伊能凛お前は俺らの逆鱗に触れた

 

 どうしろっちゅうねん。この世の理不尽がそこにあった。

 

 待機時間を経てから本編が始まり数分、同時接続数とコメント数を順調に増やしていく配信内へ、唐突、この場にいる者の大半に望まれていないであろう異物の声が混入する。

 

 

『──配信に使うなら経費になるからね』

 

 

:遠藤やん

:は?

:邪魔だ帰れ

:音が変じゃない?

:通話音質で草

 

 俺である。それもマネージャー南條としてではない、VTuber遠藤としての俺である。

 

 スマホのスピーカーから出力してマイクに拾わせているとわかるような音質。実際に男性陣は別の場所から配信に参加していて、具体的には俺の自宅からスマホを介して音声だけを届けている。

 

 これもリスナーの男女オフコラボに対する忌避感を考慮しての采配だ。

 

 ……。

 

 南條と遠藤が同一人物であることをバレないようにするための、苦肉の策とも言う。

 

『この場合の経費っていうのは、配信で使ったものをライバーから会社に申請して費用を後から口座に振り込み。会社はその金額を確定申告で経費として申請する。経費で消費すれば収入が減って減税に役立つ。って仕組みだね。

 たまに漫画家とか小説家が経費で食べ放題ーっとか言うのはこのパターンもあるし、それか作家本人が減税するために申請するパターンもある。

 バイトとかしてるとあるよね、領収書くださいってお客さん。あれは多分その人が勤めてる会社に申請する用の方が多いと思うよ。ちなみにだけど、レシートのまま申請すると仕事と関係ないもの買ったときに会社にバレて突っ返されちゃうから、手書きがいいって言ってたらちゃんと書いてあげてね。品名隠して通すのはズルだし良いこととは言い難いけど、逆恨みでクレームになっちゃうこともあるよ』

 

:うるせぇw

:豆知識お兄さんが来たよ

:なんか今の不正のやり方講座じゃなかった?

:うんちく野郎

:寿司も経費になるの?

 

『うーん、まぁならなかったらならなかったで俺の自腹でいいよ』

 

:よく言った!!

:もっと自腹切ってどうぞ

:企画した社員って遠藤じゃね?

 

 レスポンスがいいからいつまでも喋っていられそうになる。話のネタがあればこういうコメント欄はありがたい。

 

 このコラボ配信で俺がずっと喋っているわけにはいくはずもないので、場面転換のために俺は息を大きく吸う。

 

《big》『はーっはっはっは!!

 

 俺の名前はVNIVEARTH2期生みなしごエンドレス! いずれ社長を転がしてVNIVEARTHの王になる男!

 

 通話での参加だが、ちゃんと男性陣もいるぞ!』

 

『拳藤正義ですッ!! 奢りの寿司を食うために来ました! あとミュージカルも!

 

 はい社長』

 

『……社長の伊能凛だ』

 

:うわ出た

:遠藤テンションおかしくない?

:急に落ち着かなくなるな!

:真夏の夜の夢に男3人で同じ部屋で下ネタミュージカルして盛りあってたってマジ??

:コメント最悪すぎて笑う

:VNIVEARTH二期生みなしごエンドレスが名前?

:寿司食いに来た男

:「はい社長」←かわいい

 

 詩星せるりの配信で流したミュージカルを歌った音源は録音したものだが、一応別の場所で集まって歌ってましたという体をとる。

 

 こういうのを誤ると後からリスナーへの説明が大変になるので、何かを偽るなら徹底して話を通しておかないといけない。

 

:社長のテンションひっくw

 

 あからさまに不機嫌な社長を指摘するコメントがあったので、読み上げて話題を振る。

 社長はもっといじっていけ。お前はライバーから雑に扱われる不憫マスコットになるのだ。

 

『社長テンション低いって言われてますよ。なんでテンションが低いんですか?』

 

『キミがそれを言うのかい? エンド。他ならぬキミが……』

 

:なんだ

:?

:お前はテンション高杉w

:目の前にいるのにサツヨコするからでしょ

 

『ボクはキミの次に自己紹介したいって言ったのに、有無を言わさずデビュー順にしてしまったじゃないか……!』

 

:草

:サイコホモ

:社長さぁ

:┌(┌^o^)┐ジコショウカイ イッショニ シヨウ エンド

:間に挟まる男ジャスパン

 

『なんかすいませんッ! 社長ッ、オレ……オレッ! そんなつもりじゃ……!!』

 

 拳藤正義が乗っかってきたのでそれをオチにすることにしよう。

 

『では本編に戻りましょう。マイクを現地の萬屋さんにお返ししまーす』

 

「ニュース番組のレポーターじゃないの……。

 

 ええっと、それでは! せっかくなので我らがVNIVEARTHの社長に音頭をとって貰いましょう!」

 

 いやマイクすぐ返って来たんだけど。

 

『ボクか……。フフ、想定してなかったね。社長の伊能凛だ。ねぇエンド、こういうときは……』

 

 音頭を任された社長はまたねっとりと遠回りな回りくどい話をしだしそうだったので、俺は遮って食事の開始を宣言してしまうことにする。

 

『社長ごちそうさまでーーーす!! いただきまーす!!!』

 

「「「「『いただきまーす!!!』」」」」

 

『……。エンド……』

 

 こういうことするかもっていうのは前もって伝えてあったので、他の人もノリノリで乗ってくれる。

 

 小さく俺の名を呟く社長を置き去りにして、黒宮院みやみや波羅劾ざくろあたりが『ごちそうさまでーす』と添えていく。

 

『じゃあまず(みんな)、1人ずつどれを食べたいか発表してってね。被ったらじゃんけんをします』

 

「え゛……っ」

 

 俺が急に差し込んだ横槍を受けて、萬屋ぺすとが何かショックそうに(うめ)き声を上げた。

 

『配信だからね。少しは企画っぽくしないと』

 

:遠藤さぁw

:うーんこれは有能社員

:カス

:モラハラかなんかに該当しそう?

:配信ハラスメント

:ウキウキで食べようとしてたぺす、お預けで草

:低い声のぺす貴重 助かる

:乾くぞ

:普通に食わせたれw

 

「うぅ〜、ヴニヴァース〜……!!」

「そういうところありますよね」

「まぁまぁ、やってみましょう〜♡」

「うちは最後で平気ですから!」

 

 ライバーのキャラクターとしてそれっぽい反応を順当にしていく4人。

 

『寿司じゃー! ٩('ω')و 寿司ィィィ!!! ٩('ω')و』

「お茶いただきます」

 

 そして一期生のマイペース2人組も、これはこれでもはやキャラクターどおりのリアクションをしていると言えるだろう。

 

『俺はイカから貰おうか』

『じゃあオレ、ネギトロいいすか!?』

『……』

 

『社長無言でウニ持ってかないでください。せめてネタの名前くらい言ってください』

 

『ウニだ……』

 

 男性陣は軽く流す。やはり本題ではないのだ、3人しかいないし時間はかからない。

 

「じゃ、じゃあー、アタシはこれ、ハマチかしら? まずは白身よね」

『いくらー!!! ٩('ω')و』

「この玉子……? 食べてみてもいいですか?」

「えっと……サーモンにします!」

「私もイカにしちゃいます〜♡」

「穴子いただきますね」

 

:なるほど最初はハマチ

:ちぃおぼえた!

:これからはぺすと同じ順番で食えるようになるのか

:↑天才か

:遠藤ナイスゥ

:ホタテもいいぞ

:いくらー! ٩('ω')و

:クソガキw

:玉子食べたことないみたいな人いて草ww

:これってサビ入りですか?

:せるみなキテんね

:彼女の好みを覚えてる女

:普通にせるりんだけでも可愛い定期

:いっぱい食べて

:みゃみ;;

:おのれ遠藤……!

:腹減った

:推しと同じ順番で食べようとしただけなのに遠藤の顔が浮かぶのか

:穴子なんだw

:初手甘いものとかかわヨ

:俺と同じ順番や

 

 やべぇコメント欄がかつてないほどの速度で流れていく。

 

 各ライバーが選んだネタに対しても反応があるのに、そこへライバーの声や口調に言及、更にはリスナーの好きなネタとかの自分語りが加わって場は混沌と化している。

 

「んー、おいし〜」「サーモン。ほむ……」「……」「……」「むふふ〜♡」「はく……もむぉむ」

 

:かわいい

:かわいい

:かわえぇ

:好き

:あぁ〜^^

:いっぱい食べて強くなる

:かわいい

:最高か

:BGM消せば耳はむASMRになるのでは?

:もっと奢れ

:これすき

:うまそうだな

:あっあっ

:俺も奢りたい

:なんだこの感じ

:飯テロ

:かわいい

:これが愛……

:コメ欄早くて草

:最高の動画

:かわいいいいいい

 

 寿司食ってるだけなのにこのコメントの勢いである。当社比2倍。いや盛った。1.85倍ってところか。

 

 美味しいもの食べて笑顔な女の子は可愛い。俺の配信マニュアルにも載っていることだ。

 これは割と真理に近いことで、いっぱい食べる君が好きと言われるのも本当に理解ができる。皆で一緒に寿司を食おうと企画してよかったと心から思う瞬間だ。

 

 おじいちゃんおばあちゃんが孫になんでも食べさせようとするのも、こんな感じの原理なのかもしれない。

 

 高い飯とかでも財布はまるで気になりもしない。遠慮なく美味しそうに食べる姿こそが喜びなのだ。

 

 それにしても、ちゃんと配信向けにリアクションしてくれてるなぁ。

 

 ……約2名を除いて。

 

『タダ寿司うめーw ('ω')』

 

 あ、画面に文字出てきた。その舐め腐った文面はともかくとして、らしいと言えばらしい発言でもある。

 

『2個目いくぜー。俺は……甘エビ貰おうかな』

『あーいいっすねぇ。じゃあオレも甘エビを……』

『ならボクも甘エビを……』

『被ったな!? じゃんけんだ!!』

『えっ、3つありますけど!?』

『被ったらその時点でバトルだ! 決闘をするぞ! 決闘開始の宣言をしてください! 社長ォ!』

『……??』

 

 カードを取りに走る慌ただしい音が遠ざかるのを最後に、男性陣の通話はミュートにする。また何か必要があったら時にオンにして口を挟めばいい。後は女性陣に任せよう。

 

:どこ行くねーん

:そして帰らぬ人となった

:完全に男子部屋のノリで草

:もう戻ってくるなよ

:普通に男組も見たいんだけどw

 

 ちなみに本当に決闘なんかするわけがない。普通に夕食である。

 

「げ、元気ね……。じゃあアタシ達も2個目いくわよー。マグロ、が欲しいかしら」

「あ、私もマグロ……」

「あら、じゃあいいわよ。アタシ他のに変えるから──って、いくつもあるんだから被ってもいいじゃないの。ね?」

「そうですよね……っ! 一緒に食べましょう!」

「仲良く食べるのが、一番ですよねぇ……♡」

「うちはかっぱ巻きとかで大丈夫ですので、お気遣いなく……」

 

:wwww

:平和

:ざくろ;;

:慎ましい子……

:後輩だからな

:わざわざかっぱ巻きある出前頼んだのか……

:Vも縦社会よ

 

 それからはじゃんけんだの仕切る奴もいなくなったので、リスナーに分かるようにどれ食べるかだけは伝えながら食事は進んでいく。

 

「それにしても、何かと私たちを戦わせようとする事務所ですよね……。はむ」

 

:バトルジャンキー

:配信ねえ

:うざいよな

:うざくなかったわ

 

「ごく。配信だからねぇ……。何もしないと見どころもなくなっちゃうから、色々考えてくれてるのよ」

 

 詩星せるりが呟いた話題に萬屋ぺすとが乗っかる。そこへ波羅劾ざくろも連動する。

 

「……人気投票とかもバトルですよねぇ。ああいえ、文句とかじゃなくって、すいませんっ!

 あ、ああ、後はバランとかいただきます……」

 

「いいんですよぉ、ざくろちゃ〜ん。もっと言ってやれ♡ 運営さぁ〜ん、グッズ化が1位だけだなんて、けちですよぉ~♡」

 

:ざくろ;;

:それ食いもんじゃねぇぞ……

:バランって?

:ああ!

:それってハゲクリボー?

:1位だけじゃなぁ

:食事中にセンシティブやめろw

:けち♡ けち♡

:寿司食ってる生臭い声でやられてもな

:生臭い声、それもいいな

:↑!?

 

 なんかやべーコメントの連動も起こってるけど俺は知らん。

 

 お前ら配信もちゃんと聴いてくれ。この戦いに対する疑念も今後の前振りを兼ねた話題提起なんだ。

 

「上位3人! ドドーンと! っていうのは難しいのかしらね……。この前調べたけど安くはないものね。絵を描いてくれる人への依頼料もあるし」

 

「本当ならこのお寿司もご馳走して貰えるほど私たち稼いでないですもんね……」

 

「か、身体でお返しますよぉエンド様〜♡」

 

:えっ

:コラボでも飛ばすねこの女

:いやかなり控えめだぞ

:コラボだから控えてくれないと困る

:つか緊張してそうw

 

 鋭いリスナーもいる。俺も少し気になっていた、黒宮院みやみが普段の配信やコラボよりもずっとおとなしいのだ。

 

 緊張か……いや、疲れもあるか。やっぱり口ではああ言っていても、身体は疲労を貯めているのだろう。

 マネージャーの仕事とは文字通りマネジメントである。ライバーが健康を崩さないようにサポートはしっかりせねば。

 

『アバッキーきゅうりあげるー ٩('ω')و』

「神海先輩……! ありがとうございます!」

「まりもさん、それ、いくらのきゅうりですよね」

 

 なんか後ろで面白いことしてる。後でちゃんと切り抜こう。クソガキマスコットまりもん。

 

 

 ──およそ1時間半。普通に食事するだけならばかかり過ぎている時間が経過している中で、萬屋ぺすとが惜しむように切り出した。

 

「それじゃあ、今日はこの辺にしようかしらね」

 

:そんなー

:このままオールしようぜ

:そういや仕事は?

:オフコラボだよな? 間に合うの?

 

「仕事……? なんのことかわからないわねぇ。ま、こういうときは休むものなんじゃない? アタシはよくわからないけど!」

 

 今日は誤魔化すんだ……。

 

 配信初期から社会人だって普通に言葉の端々から出てたし、今更なんだけど。最近の雑談でもお盆休みの扱い方とか完全に社会人の会話だったけど。

 

 コラボの場だし、キャラロールを優先したか。

 

 欲しいコメントが意外とタイミングよく来なそうだったので、俺がサクラアカウントで投稿する。

 

:一晩中配信してよー

 

「ふっふっふ……。それは、来週……ね!」

 

:!?

:マジ!?

:あるのか!?

 

「実のところ今日のはリハーサルみたいなものなのよね」

 

「はいっ! 下見というか、実験? 試運転……みたいな? ですかね!」

 

「ふっふっふっふっふ……。本命は来週の金土!!」

 

:お!

:あれか

:それだ

:どれだよw

:なんかあるって言ってたやつ!

 

 ここでリスナーは始めて知ることになる。

 

 俺が今月の頭からずっと、大喜利の度に提示していた配信のスケジュールが記されたカレンダー。

 そこには大喜利だけでなく何かありそうな黒塗りの『?』があって、各ライバーもこの夏はまだ何かがあると仄めかしていた。

 

 そのやたらと勿体振られた内容。

 

 ──配信に来てくれるなら、その日丸ごと空けておきなさい! ずっと画面の前で待機よ!

 

 とか冗談っぽく言うまではされていたからさすがに察しているような書き込みはあったけど、でも本気で言っているようなガチの予想はなかったと思う。

 

 今明かされる衝撃の真実、である。

 

 いやそんな大袈裟なものでもないけど。

 

「なんと!

 

 ──来週の金曜日の夜から土曜の夜までの丸1日間!

 

 ──VNIVEARTHライバーで、お泊り配信合宿をやるわよ!」

 

:!?

:オフコラボで!?

:お泊り!?

:配信合宿!?

:丸一日!?

 

「VNIVEARTH24時間配信ですねっ!」

「ちゃんとやれるとえぇんですが、不安です……」

 

「丸1日くらいの間、常にVNIVEARTHのライバーが誰かしら配信してることになるわ」

 

「それってぇ、普段の土日でも似たような状態になることもたまぁーにありますけど、何か違うんですかぁ?」

 

:たし蟹

:まりもとか長時間やってるしありえるな

 

「今回は、特別よ! なんと言ってもオフコラボ中なんだから、同じ部屋に何人か常にいる中での配信になるのよ! 気軽に他の子がお邪魔してくるわ!」

 

「邪魔するなら帰ってぇー」

 

「ほな帰りまーす……ってコントじゃないの! うぅノリツッコミ……苦手なのよ。こほん」

 

:自分でやって恥ずかしがるなw

:いいぞ。

:なんかすごそう

:特別か?

 

「ふふふふふ〜。私たちのあーんな声とかが乗っちゃうかもしれないんですねぇ♡」

 

:オフで遠藤といちゃつくみゃみの声うわあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!

:こわ

:勝手に発狂するな

:通報した

 

 黒宮院みやみのリスナーである哭泣員は、萬屋ぺすとのリスナーである感染者という双璧を為す狂人リスナーである。

 

 その性質はどう見ても同じものではないが、それでいながらしかし着眼点は同じところにあった。

 

:オフコラボって、男も来るのか……?

 

「来るに決まってるじゃない。VNIVEARTH全員参加よ」

 

 そんな真実が明らかになってしまえば、そりゃもう、暴動が起こるというもの。

 

:ふざけんな!

:中止中止!

:ぺすを守れ!

:遠藤を殺せ!

:ついでに社長とシスコンも殺せ!!

 

「アンタ達ねぇ……。男性陣は別の建物で別の配信枠よ。VNIVEARTHがそんな配慮しないわけないじゃない」

 

:さすがだぜ

:俺は信じてた

:見直したぞ

:やっぱヴニだよなぁ

:男ども、生きてていいぞ

 

 とんでもない手の平返しである。

 

「もー。んもー。もっとアタシの選んだ事務所を信じなさいよ。他の子怯えてるわよ……」

 

「こわ……」

「助けてエンド様〜♡」

「物騒やわぁ……」

 

 全く怯えていない白々しい言葉たちだった。ライバーもリスナーも、ひどい茶番が繰り広げられている。

 

「佐土原恭子ちゃんは、どうかしら……?」

 

「早くて読めないわ」

 

『うおぉぉぉ! 社長を倒せぇぇ!!! ٩('ω')و』

 

 画面下部に赤字ででかでかと神海まりもの文字が表示される。

 

 無法地帯か。

 

:楽しみ

:お盆連休終わってもまだ生き甲斐がある

:5日間も働かなきゃかよ

:なげーww

:夏はこれからよ!

 

 お盆中はどうせ大規模箱たちが企画で埋めてしまうから、お盆が終わった次の土日にずらしたという側面もあった。

 

 それでも良い方向へ解釈してくれる人もいるもので、実際のところこれから月末までにいくつか企画が残っている。

 

 しかしやはりお盆の連休にぶつけてこそと言うものだろう。

 

 例のパンデミックによる巣ごもり需要もある。今よりもVNIVEARTHは多くのリスナーを得ているだろうし、来年は早めに計画して、ちゃんとお盆に大型企画を開催したいものだ。

 

 そうなるように、基盤を整えておかないと。

 

「それじゃあまた金曜日! 大喜利大会で集合よ!」

 

「「「「「おー!」」」」」

 

 VNIVEARTHの代表ライバーとして萬屋ぺすと音頭を取り、ライバーたちが声を合わせた。

 

 まぁ、まるであたかも再集合みたいに言っているけど、このまま1週間近くは事務所で生活することになる。

 

 オフコラボ配信はしないが、この間に収録できそうな企画を裏で進めるなどして時間を活かそう。

 

 8月もあと2週間。夏は長いようで短いのだ。

 

 

 俺はよく、知っている。

 

 

【誰のビジュアルを先に見たい? VNIVEARTH人気投票!!】四期生のデビューにともなって、二次投票の受付を開始します!! 現在公式Tvvltterにて公開されている画像は、制作途中のラフ段階のものです。そこで、本アンケートの結果に基づいて完成させる順番を考慮いたします。皆様の推しにぜひご投票ください!(※なお一期生については、本編では未改修のためネタバレが含まれます)

  • 萬屋ぺすと
  • 佐土原恭子
  • 神海まりも
  • 詩星せるり
  • 遠藤
  • 黒宮院みやみ
  • 拳藤正義
  • 波羅劾ざくろ
  • 伊能凛
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