地球上全ての地図には乗っていない大陸に、それはある。
地球上全ての人類がその存在を知らない。
あるいはごく一部のオカルトマニアが、都市伝説的に名前を知っているかもしれない。
太平洋のど真ん中に位置する存在を知られていない国、魔法大国ヘルベルトとはそのような国だった。
シンジが第3新東京市に行く一年前。
バン! バババババババン!
「やった! ついに成功した!」
「やったな!おめでとう!」
「おめでとー」
ここは、ヘルベルト郊外にある訓練場。
ヘルベルトに住む魔法使いは、皆ここで魔法の練習を行う。
訓練場にはどんな強力な魔法が当たっても壊れない、もしくは破壊されても自動修復されるようになっている的が1000枚ほど浮かんでおり、
皆その的に向かって魔法を放って練習している。
ここで1人の青年魔法使いがみんなから祝福されている。
どうやら、ずっと練習してきた魔法がついに成功したらしい。
「ここまで長かった・・・」
「これなら次の能力試験突破できるんじゃない?」
「そうよ!きっといけるわ!」
この魔法使いが練習していた魔法は連続爆破魔法、ボムコンティー。
基礎魔法である爆破魔法を広範囲にわたり連続して爆破する難度の高い魔法である。
この青年魔法使いは半年かけてこの魔法を完成させた。
「よし!もっと精度をあげて確実に成功出来るようにしなきゃ!」
青年魔法使いが決意を新たにしていると、
ボン、ボォォォォォォカァァァァァァァァンンン!!!
「!? な、何だ?」
「あっちから聞こえたぞ!」
訓練所の端で大きな爆発音が聞こえ、辺りは騒然とする。
気になった野次馬たちが集まってくる。
爆発音が起きた一帯は、その威力の大きさを示すかの如く、煙が充満して状況が確認できない。
「うわ、煙すごいな・・・」
「みなさん、ここから離れてください! ウィンド!」
訓練所の職員らしき人が風魔法、ウィンドを発動。煙がはれていく。
爆破が起きたあたりは的のみならず、半径100mの建物の壁が破壊されていた。
そんな爆心地から離れたところに、1人の少年が立っていた。
「・・・! シンジさん!!」
「ごめんなさい・・・ やり過ぎちゃいました・・・」
そこに立っていたのは、ヘルベルトでは知らぬ者はいない少年、碇シンジだった。
「大丈夫ですか??お怪我は?」
「えぇ、大丈夫です」
「シンジさん、何があったのですか?」
「実は、ボム魔法を発動したらこんなことになっちゃいまして・・・」
「!! ボ、ボム魔法でですか!」
聞けばシンジはいくつかの魔法を試し撃ちした後、そういえば最近やってなかったなと思い、基礎魔法の一つである爆破魔法、ボムを試したところ、
あまりにもすごい威力でシンジ自身も驚いたという。本来、ボム魔法はそこまで威力はないのだが、あたり一体を破壊されている状況から、シンジの魔法力は相当なものであることを示している。
碇シンジ 魔法大国ヘルベルトの魔法使いである彼は、本来日本という国で生まれた、ごく普通の男の子だった。
ところが、シンジにはヘルベルトの魔法力が備わっていると判明し、彼が小学1年生の時にヘルベルトにつれて来られ入国。ヘルベルトの住民となる。
ちなみに、ヘルベルト出身の魔法使いは、『ヘルベルトの民』と呼ばれている。
その後シンジは、彼の師匠から手ほどきをうけ、メキメキと頭角を表す。また、あることをきっかけに、シンジは魔法をさらに上達させ、
史上最強の証である『赤マント』の称号を史上最年少で受けるまでにいたった。
また、その絶大な強さをもちながらも、その力に驕らず、謙虚で優しい朗らかな性格と相待って絶大な信頼と尊敬を受けており、年下、年上関係なく敬意をもって『シンジさん』と呼ばれている。
ちなみに、赤マントを授与されたのはシンジ以外には彼の師匠のみであり、この二人が揃えば向かうとこ敵なしと言われている。
話を戻そう。
破壊してしまった部分を、職員と協力して復旧魔法で破壊前の状態に戻したシンジは帰路についていた。
シンジの住んでいる家はヘルベルトの中ではごく一般前な一軒家で、魔法を使用する前提の家となっている。
程なく自宅に到着する。
ガチャ
「ただいま帰りました」
「おぅ、帰ったか」
「はい。いま夕飯作りますね」
家の中ではシンジの師匠、リュージュが待っていた。
リュージュ 魔法大国ヘルベルトの史上最強の魔法使いの1人。
ヘルベルトが保有する魔法戦闘部隊の前総大将。
その辣腕は現在も語り継がれるほどのもので、引退してからも語り草となっている。
現在は外の国でヘルベルトの魔法力を有している人を探す部隊を率いている。
シンジと出会った経緯は、リュージュが日本を調査した際、膨大な魔法力を有している人がいると感知した。これは異例中の異例である。
本来の探し方は、魔法陣を展開し周りの人の反応を見る方法である。
ヘルベルトの魔法陣は、魔法力を有している人にしか見えないため、急に魔法陣が現れたら戸惑うだろう。その反応を見て魔法力を有しているか判断する。
だが、今回の場合はそうではなく、魔法力の感知だった。
雨の中感知した場所に向かうと、1人の男の子が傘も刺さず横たわっていた。
他に誰もいない。間違いない、この子だ。
また、リュージュは思考を読み取るスキャニング魔法を使用してしまい、この子の境遇を知ってしまったので居た堪れなくなった。本来ヘルベルトに連れてくるのは成人になってからと決まっているが、その決まりを背いてヘルベルトに連れてきてしまった。
この少年こそが碇シンジであり、シンジとリュージュの出会いである。
その後リュージュはシンジを我が子のように育てようと決意する。
最初はシンジの境遇から、ココロを開いてくれず苦慮していたが、リュージュが根気よく育児をし徐々に会話も増え一年が過ぎた頃には笑顔あふれる素直な少年へと成長していった。
シンジは、あの”地獄”から解放してくれ、ここまで育ててくれたリュージュ、そして自分を受け入れてくれたヘルベルトとその人々に多大な恩を感じていた。
いつかは自分もヘルベルトの民として恩返しがしたい。
そしてこの思いは、”とある出来事”をきっかけに、さらに増大していくことになる。
ちなみに、その後シンジが住んでいた保護者と、NERVの保安部員に暗示魔法がかけられており、シンジがヘルベルトに行ったことに気づくことはなかった。
また、NERV保安部が書いた報告書が、ちゃんと上層部に出されていたため、NERV自体も気づかなかった。
また余談ではあるが、未成年であるシンジを連れて来た後、リュージュは国王にこっぴどく叱られたらしい。
ところ変わってシンジ、リュージュ宅
「「いただきます」」
シンジが作った夕食を食べる2人。
「そうだシンジ。夕飯食べ終わったら昨日の国王の訓示について話すことがある」
「? なんですか?」
「ああ、シンジ、お前に関わる重要なことだからな」
「? そうですか」
国王の訓示とは、ヘルベルトの国王から伝えられる人類の危機である。
魔法大国ヘルベルト。その目的は人類の平和と安寧を維持すること。そのためには、それらが脅かされる危機に対して、裏から秘密裏に排除している。
つまり国王の訓示がなされると言うことは人類滅亡の危機が迫っていることを示していた。
今回の訓示内容は、使徒侵攻、それによるサードインパクト、そして人類補完計画。
夕飯を食べ終わった後、リュージュとシンジは向かい合って座った。
「さてシンジ、昨日の国王の訓示だが、どうやら一筋縄ではいかないようだ」
「ん? どう言うことですか?」
「どうやら使徒という生き物には、我々の魔法が効かないみたいなんだ」
「えっ!どういうことですか?!」
「調査隊が活動前の使徒を発見してな、魔法戦闘部隊を派遣して攻撃を試みたがダメージを与えられなかったそうなんだ。しかも原因も不明ときてる」
「ウソ!それじゃあ•••」
「あぁ•••私とシンジの魔法でも太刀打ちできないだろう」
それはシンジとリュージュのみならず、ヘルベルト全国民にとって絶望だった。
史上最強の魔法使いでさえ敵わない敵。どうすれば良いのだろうか。
「•••だが、使徒を倒す方法があるらしい」
「えっどんな方法ですか?!」
それは今後のシンジの運命を決めることとなる。
「NERVという組織をしってるか?」
「えぇ、確か日本にある非公開組織だとかなんとか。何をやっているかは知らないですけど•••」
「実はそこで使徒に対抗する兵器を開発しているらしい」
「!!」
「その名は、『エヴァンゲリオン』」
「エヴァンゲリオン•••ですか」
兵器の名前を聞いたが、これのどこに自分にかかわるのかピンと来ていないシンジ。
「ここからがシンジにとても関わりのある話になる」
「? どういうことですか?」
「どうやらこのエヴァンゲリオンとやらは、操縦できる人が限られていてな、その1人がシンジらしい」
「! それは確かなんですか?」
「あぁ間違いない。NERVに潜入している者からの報告だからな」
つまりシンジには使徒を倒す手段が与えられたということになる。
シンジは嬉しかった。やっとヘルベルトへ、師匠へ恩返しできると。人類を守ることができると。
「使徒の侵攻が始まるのは、長く見積もっても一年以内だそうだ。だからシンジにはいずれNERVのある日本に行ってもらう必要がある」
「なるほど、わかりました」
「しかもそれだけじゃない」
「? どういうことですか?」
「使徒を倒さないとサードインパクトがおきて、人類が滅んでしまうらしいが、どうやらそれを人工的に起こそうとしている者がいるらしい」
「えっ!」
「その人物が提唱しているのが、『人類補完計画』とのことだ」
「なるほど」
「そして、この人類補完計画を提唱したのがNERVの総司令なんだ」
「え!NERVは使徒を倒すための組織ではないんですか?!」
「詳しくはわからない。そしてNERVの総司令というのが•••」
「? 誰なんですか?」
「•••碇ゲンドウ。お前の実の父親だ」
「!!目的は?」
「それもわからん」
まさか10年も会ってない父親の名前を聞くとは思わなかった。
しかも父親が人類滅亡の片棒を掴んでいるとは。
「そしてNERVと共に人類補完計画を遂行している組織がある」
「それは一体」
「SEELE」
「!!!」
SEELE。久しぶりに聞いた名だ。まだ生きていたのか。シンジにとってもヘルベルトにとっても因縁の相手。
「そう怖い顔をするな。かっこいい顔が台無しだぞ」
「もう!茶化さないで下さい!」
「ははっ! そこまで言えれば上出来だな」
「もう!」
「ひとまずシンジは使徒を倒しつつ、なぜお前の父親が人類補完計画を進めることになったのか調査してほしい」
「わかりました。スキャニング練習しておきます」
「あぁ。お前ほどのスキャニングが上手い魔法使いもそういまい」
「師匠の方が上手いですよ」
「ははっそう謙遜するな」
「だって僕の師匠ですもん」
「あと魔法はあまり期待できないかもしれない。格闘訓練も追加しよう」
「わかりました」
一年後の使徒戦に向けて準備を始めた。
全ては人類の平和のために。
「そういえばNERVには、あやつの娘が働いているみたいなんだ」
「そうなんですか」
「あやつも心配しておった。もしできれば気にかけてやっておくれ」
「わかりました」
————————
あれから一年後。いよいよ日本に行く日をむかえた。
数日前、実の父である碇ゲンドウから内容のほぼない手紙が来た。
(元々いた家のポストにシンジ宛の手紙が来た場合、自動でヘルベルトに転送されるまほうがかけられている。)
正直ゲンナリした。10年あっていない実の父からの手紙なのに・・・
しかし、自分には使命がある。ヘルベルトの為、そして人類の平和のため。
「シンジ、気をつけるんだぞ。何かあったらすぐに駆けつけるからな」
「大丈夫です。必ず成し遂げます」
「何があっても、お前は私の息子だからな」
「はい。ありがとうございます。行ってきます」
「あぁ。行ってらっしゃい」
こうしてシンジは転送魔法でNERVのある日本、第3新東京市に向かっていった。
—————————
(ついに始まるのか…この戦いが)
第3新東京市に到着したシンジが見たのは、眼前に広がる使徒と戦闘機の戦いだった。
しばらく眺めていると、撃墜された戦闘機がこっちに向かってくる。
(やばっ戦闘機がこっちに落ちてくる。まぁでもちょうどいい。外の国では初めて使うから、肩慣らしにやっとくか)
(プロテクト!!)
防御魔法プロテクト 自分の周りにバリアを張り自分の身を守る魔法である。バリアの強度や大きさは魔法使いの力量による。
ちなみにシンジは、N2爆雷でさえも守ることができる。
無事にプロテクトが使えることを確認し、墜落からの身を守ったシンジは、迎えにきたミサトの車に乗ってNERVを目指した。
途中、使徒に対しN2爆雷を使用され、衝撃波から車とミサトと自分自身を守りつつ。
その後、ミサトが使徒に対し何か複雑な感情があると感じたシンジは、またも魔法の練習をすることにした。
(この後、人類補完計画の目的を探るためにも重要だから練習しとくか。スキャニング!!)
読み取り魔法スキャニング 対象の思考や感情を読み取ることができる魔法。
基本的には読み取りたい人物に触れることで、思考や感情を読み取ることができる。
また、触れる場所も重要で、脳に近ければ近いほど簡単に読み取ることができる。
さらに上級者ともなれば、触れなくとも相手を見るだけで読み取ることも可能だが、その場合かなりの集中力が必要になる。(ちなみにシンジはこれも出来る)
また、スキャニングをやりすぎると、『スキャニング疲れ』という現象に見舞われ、しばらくの間スキャニング含む他の魔法も使えなくなってしまうため、基本的には、ここぞという時にしか使用しない。
ちなみに、一番手っ取り早い方法は、お互いの額をくっつける方法で、物の数秒で全ての思考と感情を読み取ることができる。
ただし、双方とも脳みそをいじくりまわされる苦痛を味わうことになる。
シンジはミサトの肩、首筋を触れスキャニングを発動。ミサトの感情を読み取った。
(使徒、人類の敵、そして父の仇、復讐、父、愛していた?、父、使徒への復讐)
それは使徒にたいする父の仇にくわえ、父への複雑な感情だった。
(なるほどね・・・使徒に対しての感情はこういうことだったのか。この人もお父さんに苦労されているんだね)
自分も父親に苦労をかけられたので、親近感が湧いていた。
その後、NERVに到着した後リツコと合流してエヴァの眠るゲージへと足を運んだ。
(手紙をくれたくらいだから、この先に父さんもいるだろう。そうしたらスキャニングして、なぜ人類補完計画を行うのか確かめなきゃ。
大丈夫。スキャニングはさっきもやったし、視認で読み取れなかったらどさくさに紛れて、頭でも触ればわかるだろう。大丈夫!僕ならできる!)
やっと自分に役割が回ってきた。ヘルベルトに恩返しする機会が訪れた。自分に与えられた役割を全うすべくシンジは気合を入れ直す。必ず成功する、シンジはそれを信じて疑わない。
しかし現実とは、そううまくいかないものである。
——————————
(なんであんな遠いところにいるんだクソ親父!!!)
エヴァがいるゲージに到着したあと、実に10年ぶりに父親であるゲンドウと対面した。
•••対面したのだが、ゲージ上部の囲いにゲンドウが立っている。距離はかなり遠い。しかもシンジとゲンドウの間にはガラスが隔たっている。
これだと視認でのスキャニングは使えない可能性が高い。
(とにかくやるだけやってみよう。僕だって師匠と同じ赤マントだ。スキャニング!!)
シンジはものすごい集中力で、ゲージ上にいるゲンドウを睨みつける形でスキャニングを使用した。
ゲンドウ、ミサト、リツコが何やら話している。自分をエヴァに乗せようと話を進めているのだろうか。
正直そんなことはどうでもいい。どうなろうと自分はエヴァに乗って使徒を倒す、そのために来たのだから。
だから今はもう一つの使命である人類補完計画の目的を把握するため、ゲンドウをスキャニングしなければならない。
シンジはさらに集中してスキャニングを実行。
(•••ダメだ、全然読み取れない•••距離が遠すぎる)
やはりダメだった。距離が遠過ぎてスキャニングが出来ないと悟ったシンジは、ゲンドウに近づくしかないと考えていた。
どうすればいいかと考えようとした、その時
「乗るなら早くしろ、でなければ 帰れ!!」
「•••」
(カチン•••)
ゲンドウのあまりに酷いいいように、流石のシンジもカチンときた。
(わかってる。僕はエヴァになって使徒を倒すために来たんだ。でもこの言い方はあまりにも酷すぎないか。ムカつく•••。•••いいこと思いついた。ちょっと生意気で反抗期な子供を演じて、ここに降りてきてもらうついでにプライドもズタズタにしちゃおう)
「ここまで降りてきてよ。そして僕に頭を下げて、『お願いします。乗ってください』って言ってよ。そしたらエヴァに乗るか、考えてあげる」
「「「!?」」」
これはゲンドウがシンジの元へ来てもらうための作戦だった。
ゲンドウが降りてきてくれさえすれば、スキャニングで目的が達成できる。
さらにゲンドウもシンジをエヴァに乗せたいはずだ。だからゲンドウも降りてくるはず。
そう思っていたのだが、
(•••降りてこいよ!! なんで降りてこないんだクソ親父!!!)
結局のところゲンドウは降りてこなかった。しかもミサトやリツコから頭を下げられ、使徒の攻撃がゲージまで響いてきたため、やむなくゲンドウスキャニング作戦を断念。ひとまず使徒を倒すことを優先することにした。
(はぁ•••ちょっと甘く見ていた。少しカチンときて冷静さを失っていたなぁ•••)
エントリープラグ内でシンジは反省していた。
もう少し冷静になっていたら、他の言い方をしていたらゲンドウは降りてきたかもしれない。ちょっと性急しすぎたか。
(仕方ない。まだチャンスはあるだろう。ひとまず今は使徒戦に集中だ!)
シンジは気持ちを切り替え、最初の使徒戦に挑んだ。
———————————
使徒戦は大変だった。ヘルベルトの民としても初めての実戦。
慣れない兵器に悩みつつも、発令所と連携しながら戦いを進めていく。
しかしシンジが一番驚いたのはエヴァそのものだった。
それはエヴァが使徒に掴まれ、光の槍を叩きつけられていた時のこと。
ガン!ガン!ガン!
ピシ!
(クソっどうすればいい。エヴァの装甲も持たない•••)
シンジは焦っていた。連続して使徒からの攻撃を受けエヴァの装甲にヒビが入っていた。
自分自身にプロテクトをかけていたのでフィードバックのダメージはそれほどなかったため気にしていなかったが、早くしなければエヴァがやばい。
しかし、使徒がエヴァの頭を掴んで離さない。
(クソッタレェェェエエエ!! ボーーム!!)
その時、ありえないことが起きた。
ボォォォォカァァァァァアアンンン!!
(!!! 爆発した? まさか、魔法使えるのか? エヴァ越しで?!)
シンジが無意識のうちにヤケクソで放った爆破魔法ボムが、エヴァの右手から発動したのだ。
つまりこれはエヴァ越しでシンジの魔法が使えることを示している。
(魔法が使えるならいけるぞ!!)
こうしてシンジは使徒戦を有利に進めた。
途中ATフィールドに阻まれつつも、リツコからの助言で突破し、破壊魔法デストロイでコアを破壊。使徒の自爆をエヴァのATフィールドとプロテクト魔法で塞ぎ切った。
—————————
ゲージに戻り、ミサトとリツコが迎えにきたあと、青葉シゲルの案内でシャワー室に向かう道すがら。2人は親しげに会話していた。
「シゲルさん!お久しぶりです!」
「こちらこそ、お久しぶりです。シンジさん!」
2人は熱くハグをした。
青葉シゲル 特務機関NERVのメインオペレーターの1人であり、魔法大国ヘルベルトからNERVに潜入調査しているヘルベルトの民、つまり魔法使いである。
シンジほどではないが、それでもかなりの実力者である。
「こちらでの生活はどうですか?」
「はい。おかげさまでなんとかやっていけてます」
「そうですか。それはよかった」
軽い近況報告の後、2人にとっての本題に入る。
「•••ところで、このNERVってどういう組織なんです?」
「いまも全体像の把握にはいたっていません。他の仲間と協力して、後ほど中間報告をヘルベルトに上げる予定です。あとでシンジさんにも送ります。
「ありがとうございます。あと、マルドゥック機関についても調べてほしいです」
「マルドゥック機関ですか?」
「はい。なんでも僕をエヴァパイロットに選定した機関らしく、どういう理由で決めたのか気になりまして」
「わかりました。確認します」
それ以外にもいくつか依頼をし、シンジはシャワールームに入っていった。
——————————
この後は病院に検査入院。
起床した後、シゲルが置いていったであろう書類を確認し、NERVの情報を得る。
(なるほど。使徒殲滅の組織だがそれだけではない。おそらく人類補完計画の実行部隊だろうな。そして地下深くに何かあるらしいが、まだ潜入にはいたってない•••か。潜入は僕も得意だから、タイミングを見て僕が潜入しようかな?)
書類を魔法で消した後、退院までストレッチしていた。
この後はレイのお見舞いに行った後、エレベーターでゲンドウと遭遇。
肩にぶつかるふりをして、スキャニングを行ったが一瞬すぎてよく分からず。
その後も視認でのスキャニングを実施したが、突然シンジにぶつけられた動揺からか、(何だ、シンジ)(どういうつもりなんだ)と言ったことしか読み取れず、これまた人類補完計画の目的を読み取ることに失敗した。
スキャニングはその時に思っている思考や感情が優先的に読み取れてしまうため、視認や、手で触れるスキャニングで、より深く読み取るには時間が必要なのだ。
(なかなか上手くいかないなぁ)
ところ変わってコンフォート17ミサト宅改めてシンジ宅。
ここ数日を振り返り、1人反省していた。
(でも、まだ始まったばかりだしもっと頑張るぞ!)
決意を新たに就寝した。
——————————-
「使徒再来か•••あまりに唐突だな」
「15年前と同じだよ。災いは何の前ぶれもなく訪れるものだ」
「幸いとも言える。我々の先行投資が、無駄にならなかった点においてはな•••」
「そいつはまだわからんよ。役に立たなければ無駄と同じだ。」
「さよう、いまや周知の事実となってしまった使徒の処置、情報操作、ネルフの運用は全て適切かつ迅速に処理して貰わんと困るよ?」
「その件に関しては既に対処済みです。ご安心を」
「しかし、碇君•••ネルフとエヴァ•••もう少し上手く使えんのかね?」
「零号機に引き続き、君らが初陣で壊した初号機の修理代。国が一つ傾くよ?」
「聞けばあのおもちゃは君の息子にあたえたそうではないか?」
「人、金、時間。親子揃ってどれだけ使えば気が済むのかね」
「それに君の任務はそれだけではあるまい?人類補完計画•••これこそが、君の急務だぞ」
「さよう。その計画こそがこの絶望的状況下における唯一の希望なのだ。•••我々のね。」
「いずれにせよ、使徒再来における計画スケジュールの遅延は認められん。予算については一考しよう」
「では、あとは委員会の仕事だ」
「碇君、ご苦労だったな」
「碇、後戻りはできんぞ。」
「わかっている、人間には時間がないのだ」
(•••シンジ、お前は一体•••何者なんだ)
続く
第一話の裏についても少し語りました。
次回、シンジ学校へ行く!