問 次の式を因数分解せよ。
x3 + x2y - x(z2 + y2) + yz2 - y3
「ケイちゃん!お願いします!」
「はぁ……わかりました」
「この式をよく見てください。複数の文字が含まれていますが、y と z の次数に注目してください。特に、z は二次までしかありません。なので、z について降べきの順*1で式を並び替えてください」
(y - x)z2 + x3 + x2y - xy2 - y3
「ここで、後半の部分をグループ分けして共通の因数を見つけます。これにより、手間が大幅に軽減されます」
(y - x)z2 + x2(x + y) - y2(x + y)
「後半のペアの共通因数を括りだします。すると、
x2(x + y) - y2(x + y) = (x2 - y2)(x + y)
となりますよね」
「先生、共通因数で括った後は、残った部分がさらに分解できないか確認するのが定石です。忘れないでくださいね」
(x2 - y2)(x + y)
= (x + y)(x - y)(x + y) = (x - y)(x + y)2
「最後に、全体の共通因数を見つけます。最初の項は (y - x)z2 ですから、
これを -(x - y)z2 と変形して結合します」
-(x - y)z2 + (x - y)(x + y)2
「(x - y) で括ると」
(x - y) { (x + y)2 - z2 }
「中括弧の中は『二乗の差』ですから、和と差の積に分解できます。なので、最終的な計算結果は」
(x - y)(x + y + z)(x + y - z)
A, (x - y)(x + y + z)(x + y - z)
「おお……!」
「複雑に見える多項式も、最も次数が低い文字に着目すれば、実際の計算量は最小限で済みます」
「次の問題に行きましょう」
問 次の式を因数分解せよ。
(x+y+z)3 - (x3 + y3 + z3)
「先生、3次の展開公式は覚えてますか?」
「わかるよ!それだけは覚えた!(A+B)3 = A3 + 3A2B + 3AB2 + B3 だよね?」
「そうです。やればできるじゃないですか」
「ふふん!…… もしかして、全部展開するの?」
「ただ展開するのではないです。(A+B)3 の公式を使って、3次の項を消し去るんです。まずは x+y を A と置いて、展開してください」
{(x+y) + z}3 - (x3 + y3 + z3)
= (x+y)3 + 3(x+y)2z + 3(x+y)z2 + z3 - x3 - y3 - z3
「最後の z3 が消えた! あとは (x+y)3 同じように展開すればいいのかな?」
「その通りです。そこを展開すれば、残りの x3 と y3 も消えます」
(x3 + 3x2y + 3xy2 + y3) + 3(x+y)2z + 3(x+y)z2 - x3 - y3
「わあ、本当に3次の単独項が全部なくなった! 残ったのは……」
3x2y + 3xy2 + 3(x+y)2z + 3(x+y)z2
「ここからは一問目の復習にもなります。すべての項に 3(x+y) が隠れているのが見えますか?」
「最初の2つを 3xy(x+y) にすれば……全部にあるね!」
3xy(x+y) + 3(x+y)2z + 3(x+y)z2
= 3(x+y) { xy + (x+y)z + z2 }
「最後の中括弧の中身を整理して……」
3(x+y) (xy + xz + yz + z2)
「できた!」
「……先生?」
「まさかこの短時間で忘れたとは言わせません……。何か、忘れていませんか?」
「え」
「共通因数で括った後は、残った部分がさらに分解できないか確認するのが定石です。と、言ったはずですが?」
「い、いや。もうこれ以上は……」
「よく見てください!それでも大人ですか⁈(y+z) が隠れてるじゃないですか‼」
「あ。ほんとだ」
= 3(x+y) { x(y+z) + z(y+z) }
= 3(x+y)(y+z)(z+x)
A, 3(x+y)(y+z)(z+x)
「……できた! 」
「なにが、「できた!」ですか!はぁ……まだまだですね」
「そんなにプンプンしなくても」
「うるさいです。ちゃんと復習しておいてくださいね」
一問目は摂南大2006年の類題です
二問目は京都産業大2004年の問題です