問 次の式を因数分解せよ。
a3(b - c) + b3(c - a) + c3(a - b)
「ケイちゃん!これは⁈」
「これは有名な『交代式』の問題ですね。」
「交代式?」
「はい。例えば、 a - b という式で a と b を入れ替えると b - a 、つまり -(a - b) になりますよね。
「2つの文字を入れ替えたとき、元の式を -1 倍したような性質を持つ式、これを交代式といいます。」
「なるほど……」
「進めていけばわかると思いますから、まずは式から確認しましょう」
「どの文字についても 3 次ですから、前回やったように a について降べきの順に整理しましょう。 (b - c) を展開するのは、必要になったらでいいです。初めから展開すると式が分かりにくくなるのでやめましょう」
(b - c)a3 - (b3 - c3)a + bc(b2 - c2)
「ここで、各項に (b - c) の共通因数が隠れています」
(b - c)a3 - (b - c)(b2 + bc + c2)a + bc(b + c)(b - c)
「おお!全部に (b - c) がある! 括りだしてみるね」
(b - c) { a3 - (b2 + bc + c2)a + bc(b + c) }
「先ほどと同様に、中括弧の中を次は次数の低い bについて降べきの順に整理しましょう。すると、 (c - a) が共通因数として出てきます」
(b - c) { (c - a)b2 + (c2 - ac)b - a(c2 - a2) }
(b - c)(c - a) { b2 + cb - ac - a2) }
「残った中括弧の中をさらに整理します。展開して、共通因数を見つけてください」
(b - c)(c - a) { (b - a)(b + a) + c(b - a) }
「見えましたか? (b - a) が共通因数です。これも括り出しましょう」
(b - a)(b - c)(c - a)(a + b + c)
「最後に符号を整えて終わりです」
A, -(a - b)(b - c)(c - a)(a + b + c)
「おお!できた!」
「中々筋が良いですね。次もいってみましょう」
問 次の式を因数分解せよ。
x4 + 2x2y2 + 9y4
「うーん……。上手くいかないな?」
「これは少しテクニックが必要な問題ですね。『無理やり 2 乗の差を作る』必要があります。このままでは手が出ないので、真ん中に適当な項を補って、完全平方式 を作ってみましょう」
「完全平方式……?」
「はい。完全平方式とは、多項式が (整式)2 の形にまとめられる状態のことです。因数分解の公式でおなじみの、これらが代表例です」
a2 + 2ab + b2 = (a + b)2
a2 - 2ab + b2 = (a - b)2
「今回は、この形にするように式変形するってこと?」
「はい。まずは、x4 と 9y4 に注目して考えてください」
「ええと、(x2 + 3y2)2 にしたいなら、真ん中は 6x2y2 が必要だよね?」
「その通りです。元の式には 2x2y2 しかありませんから、あと 4x2y2 足りません。なので、6x2y2となるようにしましょうか」
(x4 + 6x2y2 + 9y4) - 4x2y2
「計算すれば、元の式と同じになりますよね?」
「ホントだ!こんな感じで式変形することもできるんだね!」
「私も、これは中々面白い問題だと思います。」
「そして。これで 2 乗の差が作れましたね」
(x2 + 3y2)2 - (2xy)2
「あとは『 2 乗の差(平方の差)』の公式を適用して整理するだけです」
(x2 + 2xy + 3y2)(x2 - 2xy + 3y2)
A, (x2 + 2xy + 3y2)(x2 - 2xy + 3y2)
「テクニックがいろいろあるんだね~」
「便利なものですよ。使いこなせれば式を簡単にできますから」
「こういうのをいっぱい知りたいな!」
「その気持ちはわかりますが、テクニックに頼りすぎないようにしてくださいよ。複雑な問題が来た時に解けなくなってしまいますから」
「え?」
「『展開』『降べきの順で整理』『共通因数で括る』。こういう基礎ができれば結局は解けます。数学においては、このような本質を理解することが、どんな問題にも適応できる力に成りますから」
「おお……!かっこいいね!」
「……」