問 次の問いに答えよ。
(1) 正の整数 a, b について、ab ≧ 20 ならば、a, b のうち少なくとも 1 つは [ ] 以上である。([ ] には、あてはまる最大の整数を入れよ。)
(2) 命題 A「正の整数 a, b, c について、abc ≧ k であるならば、a, b, c のうち少なくとも 1 つは 6 以上である」
命題 B「正の整数 a, b, c について、abc ≦ k であるならば、a, b, c のうち少なくとも 1 つは 6 以下である」
命題 A, B がともに真となるような正の整数 k のうちで最大のものと最小のものを求めよ。
「この (1) だけど、 a = 20, b = 1 でも ab ≧ 20 は成り立つよね? だったら、[ ] に入るのは最大値の 20 じゃだめなの?」
「鋭い質問ですね。でも、この問題は 『ならば(常に成り立つ)』 という論理の向きにあるんです」
「常に……?」
「そうです。もし [ ] に 20 を入れてしまうと、
『 ab ≧ 20 ならば、少なくとも一方は 20 以上である』
という主張になりますよね。でも、反例を考えてみてください。例えば a = 4, b = 5 のとき、積は 20 ですが……」
「あ! a も b も 20 以上じゃない! ってことは、この主張が偽になるのか」
「その通りです。つまり、[ ] に入れる数字は、『積が 20 以上になるどんなペアを持ってきても、絶対に文句を言われない数字』 でなければなりません」
「それを踏まえて、解説していきます」
「この問題は、不等式と論理の問題ですね。直接考えるのが難しいときは、『対偶*1』を考えるのが定石です」
「『少なくとも 1 つは~』という言葉が出てきたら、対偶の出番ってことか!」
「その通りです。まずは (1) から。結論の『少なくとも 1 つは n 以上』を否定すると、『a, b ともに n - 1 以下』となります。このとき、仮定の否定である ab < 20 が常に成り立てばいいわけです」
「a, b が最大値である n - 1 をとるときでも、積が 20 未満になればいいんだね」
「そうです。(n - 1)2 < 20 を満たす最大の整数を考えます。
42 = 16 (20より小さい)
52 = 25 (20以上になってしまう)
なので、n - 1 = 4、つまり n = 5 です」
A, 5
「次は (2) だね。これも対偶を使うの?」
「はい。命題 A の対偶は『a, b, c がすべて 5 以下ならば、abc < k』です。これが真になるには、a, b, c が最大の 5 をとるときの積 53 よりも、k が大きければいいのです」
「53 = 125 だから、125 < k。つまり k ≧ 126 ということかな」
「正解です。同じように命題 B の対偶も考えましょう。『a, b, c がすべて 7 以上ならば、abc > k』となります。これが真になるには、a, b, c が最小の 7 をとるときの積 73 よりも、k が小さければいいのです」
「73 = 343 だから、k < 343。つまり k ≦ 342 だね」
「まとめると、126 ≦ k ≦ 342 となります。この範囲の整数で最大と最小を答えれば終了です」
A, 最大値:342、最小値:126
「おお……! 対偶を使うと、何を計算すべきか一瞬で見えるね!」
「複雑な条件は、否定をとることで『すべて~』という扱いやすい条件に変わることが多いです。これを覚えておけば、他の応用問題でも役立ちますね」
東海大2002年の類題です。