問 次の命題 (1), (2), (3) について真のときは証明を与え、偽のときは反例を与えよ。
(1) x, y を実数とする。
(x + y)2 ≦ (xy + 1)2 である。
(2) a, b, c を実数とする。すべての実数 x について
ax2 + bx + c > 0 ならば、b2 - 4ac < 0 である。
(3) a を整数とする。2次方程式 x2 + 5x + a = 0 が有理数の解を
もつならば、a は偶数である。
「ケイちゃん!」
「……なんだか頼み方が雑になってませんか?」
「そんなことない!」
「……次やったらもう教えませんから」
「ケイちゃんんんん⁈」
「……はぁ。こんな大人――まあ、いいです」
「まず (1) です。不等式の証明の基本は、(大きい方) - (小さい方) ≧ 0 を示すこと。差を取って整理してみてください」
(xy + 1)2 - (x + y)2
= (x2y2 + 2xy + 1) - (x2 + 2xy + y2)
= x2y2 - x2 - y2 + 1
「先日から何度も言っていますが、文字が複数あるときは、次数の低いものを探してください。……今回はどちらも二次ですから、x2 について括りましょうか」
x2(y2 - 1) - (y2 - 1)
= (x2 - 1)(y2 - 1)
「前提条件として
「負の数と負の数を掛ければ、結果は正になりますよね。したがって、
(x2 - 1)(y2 - 1) ≧ 0 が成立します。よって、この命題は真です」
「問題文に載せられた条件に付いては、このように式変形をする際に使用することが多いです。条件の確認も逐一できるように練習しましょう」
A, 真(証明略)
「次に (2) ですが、まず、前提として考えなくてはいけないことがあります。」
「これは『2次』不等式とは書かれていません。つまり a = 0 の可能性を考慮しなければいけません」
「もし a = 0 のときは bx + c > 0 になりますね。これがすべての実数で成り立つには、b = 0 かつ c > 0 であればいいわけです。例えば a = 0, b = 0, c = 1 という例を考えてみましょう」
「このとき、不等式は 1 > 0 となり常に成立しますが、判別式は……」
b2 - 4ac = 02 - 4(0)(1) = 0
「あれ。0になった?」
「こういう場合もあります。というわけで、0 < 0 は成り立ちませんから、この命題は偽です。最高次の係数が文字のときは、必ず 0 になる場合を分ける。これが鉄則です」
A, 偽(反例:a = 0, b = 0, c = 1)
「最後は (3) です。2次方程式が有理数の解をもつ条件は、解の公式における根号の中身――すなわち判別式 D が 『整数の二乗(平方数)』 になることです」
D = 52 - 4(1)(a) = 25 - 4a
「これが平方数 k2(kは整数)になると仮定します」
25 - 4a = k2
4a = 25 - k2
「ここで、右辺の 25 - k2 が 4 の倍数(偶数)である必要があります。 25 が奇数なので、つまり k2 は奇数、したがって k も奇数です。k = 2n + 1 と置いて代入しましょう」
4a = 25 - (2n + 1)2
4a = 25 - (4n2 + 4n + 1)
4a = 24 - 4n2 - 4n
「両辺を 4 で割ると」
a = 6 - n(n + 1)
「n(n + 1) は連続する2整数の積ですから、必ず偶数になります。6 も偶数ですから、偶数から偶数を引いた結果、a もまた偶数となります」
「おお……!」
「整数問題では 『平方数を利用する』 ことと 『偶奇性(パリティ)*1に着目する』 のが定石です。覚えておいて損はありませんよ」
A, 真(証明略)
平方数についてですが、少しだけポイントをまとめておきます。
平方数について
1. 範囲の絞り込み(不等式の利用)
平方数は必ず 0 以上 !この性質を使って、未知数の候補を絞り込める!
2. 余りによる判定(剰余類)
平方数を特定の数で割ったときの「余り」の種類は非常に少なく、式の矛盾を突くのに最適!
3. 因数分解への変形(積の形を作る)
「(整式の2乗) = (定数)」、「(2乗) - (2乗) = (定数)」の形を作ることで、積の組み合わせ問題にできる!
九州大学1977年の類題です。