問 x, y, a は実数とする。次の不等式 (*) を考える。
-x2 + (a-1)x + a < y < x2 - (a+1)x + 2 (*)
(1)「どんな x に対しても、それぞれ適当な y をとれば不等式 (*) が成立する」ための a の値の範囲を求めよ。
(2)「適当な y をとれば、どんな x に対しても不等式 (*) が成立する」ための a の値の範囲を求めよ。
「よし、挑戦だ! まず(1)だけど……この不等式を満たす y が存在するためには、そもそも f(x) と g(x) の間に隙間がなければならないから、『すべての x において、上の放物線が下の放物線より上にあればいい』ってことかな?」
「その通りです。不等式 (*) が成り立つ y が存在するためには、任意の x に対して (下側の式) < (上側の式) が言えれば十分です。つまり、すべての x で次の不等式が成り立っていれば、その隙間に y を放り込むことができます」
-x2 + (a-1)x + a < x2 - (a+1)x + 2
整理すると: 2x2 - 2ax + 2 - a > 0
「あ、これはさっきやった『常に成り立つ二次不等式』の形だね! 判別式 *1 D が負になればいいんだ!」
判別式 D/4 = (-a)2 - 2(2 - a) < 0
a2 + 2a - 4 < 0
「解の公式より……」
A, (1) -1 - √5 < a < -1 + √5
「正解です。では(2)はどうでしょう? 今度は『先に y を一つ固定して、その y がすべての x で挟まれるようにしなければならない』という、より厳しい条件になります」
「えっ…… y を固定するの? ……あ! ということは、下の放物線の最大値よりも、上の放物線の最小値の方が大きければ、その間に共通の y を一本通せるってことか!」
「素晴らしい。その直感を数式にしましょう。f(x) = -x2 + (a-1)x + a、g(x) = x2 - (a+1)x + 2 と置いたとき、条件は次のようになります」
f(x) の最大値 < g(x) の最小値
「えーっと、それぞれ平方完成 *2 して頂点を出すと……」
f(x) = -(x - (a-1) ÷ 2)2 + (a-1)2÷ 4 + a
g(x) = (x - (a+1) ÷ 2)2 - (a+1)2÷ 4 + 2
「最大値・最小値を比較すると」
(a2 + 2a + 1) ÷ 4 < (-a2 - 2a + 7) ÷ 4
2a2 + 4a - 6 < 0
a2 + 2a - 3 < 0
(a+3)(a-1) < 0
A, (2) -3 < a < 1
「……できた! (1)よりも範囲が狭くなってるね!」
「よくできました。
『各 x に対して、対応する y が存在する』のは関数の値域や上下の配置問題。
『ある特定の y が、すべての x に対して成立する』のは定数による範囲の制約(最大・最小)問題。
この『 y が x に依存して動けるかどうか』の差が、そのまま立式と計算の手法を分ける境界線です。」
「なるほどね……!」
「ちなみにですが」
「今回の問題を、記号をもちいて表現することもできます。」
「え?」
「(1) は ∀x ∃y 、(2) は ∃y ∀x です」
「え?」
■ 全称記号: ∀ (For All)*3
意味: 「すべての〜」「任意の〜」「〜がいかなる値であっても」「これは『例外を一切許さない』という強い宣言。
例えば、∀x と書けば、『数直線上のどこにある x を連れてきても、この後の式が成り立つよ』という意味。
■ 存在記号: ∃ (Exists)*4
意味: 「〜が存在する」「適当な〜をとれば」「少なくとも1つ〜がある」全部ではなく、『たった1つでも条件に合うものが見つかればOK』 という意味。
∃x とあれば、『探せばどこかに条件を満たす x が隠れているよ』とわかる。
早稲田大学2007年の類題です。
マークではないので、ヒントが少なく難しくなっていると思います。
ルートどう表示しようか迷ってたのにふつーに記号あった!