【イナズマイレブン】shout out the ペンギン   作:NEW謝

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shout out the ペンギン② 分からないけど、蹴ってみる。

 「尻が冷たくて痛い」

 

 部活動紹介を聞き終わったときに出てきた、本当に純粋な感想。

 どこの体育館もそういうもんか、と勝手に納得する。

 

 「あいたたたたた!」

 

 ただそれ以前の話ですよ。

 

 あの、ちょっと俺の身体は昔から鉄パイプのように硬いことで有名なのね。

 それでもう地元をブイブイ言わせてましたから。

 おん、結構なヤンキーとかにね、「おめぇ俺より体柔らかいんだからパン買って来いよ」って。

 いや、普通に”嘘”なんですけども。

 まぁなので、人ごみだけじゃなく、勝手に座り方の面とかでも結構苦労しちゃったんですよね。

 

 そう、あの勿論ね。

 学校側も冷房効かせてくれたり、休憩時間取ったりと。

 結構生徒側のことも考えた催しとなっているので、単純に俺が異常なだけなの。

 

 「で、俺は結局サッカー部かなぁ……今日もこれから向かうつもりだし」

 

 「へぇ、あの変に目立ってた部?」

 

 「……そーうだね。だいぶ目立ってはいたね」

 

 名前の順が俺の後ろということで、なんとなく話しかけてみた宮坂くん。

 金髪とは言え周りと並んでも違和感はなく、どこか個性といった範疇の髪の毛なわけ。

 案外現実こんなもんなのか……と思いつつ、彼を見逃すわけもないよね。

 

 

 「まぁ陸上部とも関わるかもしれないし、その時はよろしく」

 

 「関わる?」

 

 「えーっと、まぁなんだろう。うちの部長も陸上に友達がいるみたいだし、そんな感じかな」

 

 「あの部長さんがねー」

 

 あー……やらかした? 別に何も起きてはいないけど……。

 とにかく人のプライベートな部分を、勝手にペラペラと喋りすぎてしまった。

 風丸さんが陸上を辞める時、円堂さんと宮坂くんの関係は悪くないだろうか……。

 それだけ、ちょっと心配になっちゃって。

 ……よくないなあ。

 

 「あー、まぁそんな感じで……じゃあね」

 

 「うん、じゃあ」

 

 雑に宮坂くんとお別れをして、まだ二日目ってことでほとんど空っぽのバッグを持ち上げる。

 あー今日も疲れた、ちょっと休憩したいかなぁ……。

 いや、でもなあ。

 ……サッカー部、行こうぜ!

 

 

 「一人で練習してろって……やり方がわからん」

 

 円堂さんたちは部活動紹介と新入生獲得に向けて、どうやら反省会をするらしい。

 

 俺も全くおこがましい話ですけど、先輩というのをなしにさしてもらって客観的にね、

 壇上でタイヤ練習を見せつけられるのは流石に「これは、どうなのかねぇ」と思ってしまいましたよ。

 ……うん。

 

 が、しかし妙に印象残ってはいる。

 栗松・壁山をはじめとする新入部員、意外と今日にでも入部してしまうのではないだろうか。

 

 「本格的に始まってるなぁ、イナズマイレブン」

 

 教科書があるわけでも別にないんだけど、こうなんとなく肌で感じてるんだよね。

 なんかあるじゃん、電車で目を覚ました時にさ、「そろそろ最寄り駅じゃね?」みたいな感覚。

 ちょっと違くはあるんだけど、そういう第六感的な。

 

 「まぁけど、俺は河川敷で一人待つだけということでね」

 

 ……ほんとにそれだけ。

 

 担いできた組み立て式のサッカーゴール(先輩たちの手作り)を地面に預け、

 身軽になった体でボールを軽く転がしてみる。

 

 「下手だろうが……行動あるのみ」

 

 今朝読んでいた秘伝書っぽいあの本。

 本来はただのメモ帳ということで、ページ数もかなり少ない。

 だからできる限り読み返してみたわけ。

 

 「けどやっぱり、俺が今イメージするのは皇帝ペンギンにはなっちゃうよね」

 

 それは勿論、俺一人の力だけじゃ到底出せないような凄く大きなもの。

 TPとかレベルとかひっくるめて、そういうのが必殺技なんて呼ばれると思うんですけど……。

 

 『偽善者』

 『キモッ』

 『障がいしゃ』

 『アイツまじ死んだ魚の目してるってw』

 『○○くんは、うーん自分の中のこだわりが大分強い人なのかな?』

 

 「ふーっ」

 

 ──ちょっと……黙っててくれないかな?

 

 あー……考えないようにしてたことが、ここぞと押し寄せてくる。

 これで蓋してるとなると、俺ってどんな前世だったんだ……。

 

 ──まぁとにかくピッチに俺が見てる空気だったり、それから周りからの視線。

 個人的にはそういった緊張と高揚から無理やりペンギンを引きずり出すような(そんなGOでいうドローイングみたいな考え)。

 そして最後のページに書いてあった技の名前は……。

 

 「シャウト・ザ・ペンギン!」

 

 無駄に力み過ぎたキックが、バランスの悪いからだと相まってゴロゴロゴロゴロ。

 不格好に転がるボールは、当然の様にゴールから左に逸れていく。

 まぁ打った瞬間にもう分かっちゃったけどね……外れたなあって。

 

 「大丈夫大丈夫」

 

 ……大丈夫。全然学習してるから。

 

 ほら風が強ければさ、品のよいおじさんでもネクタイが裏返ったりする。

 人間そんなもんだ。

 相手はホームから覗き込んだ電車でもバルコニーから見た景色でも何でもない。

 

 「よし、もう一回」

 

 

 円堂さんたちが仕事を終えて、ようやく河川敷にたどり着きましたよ、って時。

 俺は多分疲れちゃって既に休憩していたかもしれない。

 いや長いこと動けなかったかもしれない、気力的な意味で。

 

 けど一応練習をしていない瞬間見られたら、「ずっとサボってたやつ」なんてレッテルを張られそうで、気力が続く限りは色々試しながらやってはいたんだよ。

 結局技を叫んだって、ひねりを加えるイメージで蹴ったって大した成果は得られなかったけど。

 

 それでも楽しかった。

 汗をかいたからか、幼少期に「アーストロブレイク!」とか「エッターナルブリッザアアード!」の練習をしていたからか……。

 あとデスソードとか。

 

 ──ただそんな悠長なことも言ってられず、

 俺たち雷門中のほかに、こっそりと訪問していた人たちが居たんだよね……。

 

 少しけだるそうに、下の河川敷を眺めている二人組。

 一見親子にも見える、同じタイプの狂気を持った二人。

 

 「円堂守……円堂」

 「お?あいつは……」

 「知っているのかい?明夫くん」

 「その明夫君て呼び方はやめてくださいよ……気持ちわりぃ。で影山さんだっけ? ……情けねぇ、あいつらは弱小のクズですよ」

 「弱小……施設に閉じ込められ、人並みの自由さえ効かない可哀想な少年。果たして、今の君に強さを語る資格はあるのかな?」

 

 橋に腰をかけた、長髪の男。

 彼が思案するのは”円堂”か”雷門”か、はたまた”炎のエースストライカー”の消息についてか。

 

 「っち、そんなことはどうでもいいんだよ、俺はあんたが本当に──」

 「ならば、我々帝国は雷門中と練習試合をすることとしよう」

 

 今の今までポケットに手を突っ込んでいた男性。

 外出許可証と言わんばかりに個人情報を書き込み、メモをビリっと破く。

 

 「興味があれば君も来るがいい、そこで”本物”の強さを証明しよう」




もし、ワクワクするところであったり重なるところがあれば、
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