子供の頃から、自由に憧れていた。
うちの家系は有名な財閥の一族らしいけど、僕には関係ない。ただ普通に、子供らしく遊んだり、親に褒めてもらいたかった。でもそれが叶うことはない。
親は僕に関心がなかった。多分愛情もない。僕のことは、ただのアクセサリーとしか思っていないんだろう。なにせ小さい頃から、俺は完璧であることを強いられてきた。
文武両道・品行方正。自分で言うのもなんだけど、僕はずっとこの言葉が当てはまるように生きてきた。だってそうしないと親に怒られるから。
「キョウヤ、なんだこの点数は?」
テストで90点をとった時、父にそう詰められた時のことを思い出す。あの時ほど恐ろしいものはないね、氷点下は余裕だった。ちなみに母はマジで空気。食事の用意だって使用人がやるからマジで何のためにいるのか分からん。まあどうでもいいか。
とにかく、僕の日常は息の詰まるようなものだと言うのは分かってもらえたと思う。でもそんな俺にも友達はいる。
「らる…」
「大丈夫だよ、ラルトス。いつもありがとう」
「らる!」
1人目はラルトス。友達ってか相棒だけど。高校入学の時だったか、流石にポケモン1匹も持ってないのは世間体が悪いってことで渡されたポケモン。スマホロトムすら持たせないのにそこは気にするんだ、と思ったのは内緒の話。
最初こそお互いに警戒していたけど、すぐに仲良くなった。今では立派な相棒だ。サイコパワーで俺を助けてくれるしね。そして2人目にして最大の親友が……
「アラタ!」
「よーキョウヤ、バレなかったか?」
「大丈夫だって、僕の夜逃げスキルは一流だから」
「夜逃げって……そんなふうに言うなよな」
この金髪ヤンキーこそが僕の親友・アラタ。俺は夜な夜な家を抜け出して、アラタとその友達…要はヤンキーたちの溜まり場に遊びに行っている。
最初は小さな反抗のつもりだったんだけど、アラタに出会ってからは完全に息抜きになっている。ちなみに初めてアラタに出会った時は殺されると思った。だって金属バット持ってホイーガ連れたヤンキーが目の前にいるんだもん。
「ホイーガ、ポイズンテール!」
「ラルトス、避けてねんりき!」
「らる!」
「あぁっ!ちきしょ〜、ホイーガお疲れ!」
「ラルトスもお疲れさま。」
僕らはこうしてバトルをしたり、駄菓子を食べたりして一緒に遊ぶ。それまで全く知らなかった世界だから、それを教えてくれたアラタには本当に感謝している。おや?ラルトスの様子が……?
「るら!」
「おぉ!キルリアじゃん、やったなキョウヤ!」
「ふふ、もうすぐだと思ったんだ。おめでとう、キルリア」
「るら♡」
真夜中の幸せな日々。いつか本当に家を出て、自由を手にするんだ。そう思っていたけれど。
ある日の夜のこと。今日も今日とて家を抜け出そうとすると、ダイニングの電気がついていることに気がついた。こんな夜中に親が起きているのは珍しいから、聞き耳を立てたんだ。
「明日、キョウヤの縁談を進める。相手方も乗り気なようだ」
「はい」
「ようやくキョウヤが私たちの役に立つ。ここまで育てた甲斐があると言うものだ」
「………」
……気がつくと、僕は走っていた。気づかれたかもしれないけど関係ない。縁談だって?冗談じゃない。なんだって勝手に結婚まで決められなきゃいけないんだ。これじゃあ一生奴隷じゃないか。
「キョウヤ!?」
「アラタ……」
どうやらいつの間にかアラタのところまで走ってきていたらしい。僕はアラタに色々吐き出した。縁談のこととか、両親への今までの文句とか色々。
「…そうか」
「アラタどうしよう、俺このままじゃ……」
「キョウヤ、オレの話を聞け。……逃げるんだ」
「えっ?」
「明日にはもう決まるんだろ、だったら今日中に逃げるしかねえ。オレらも全力で手伝うから、お前は逃げるんだ」
「でも、アラタ……」
「でももへったくれもねえ!!お前このまま人生棒に振っていいのかよ!!」
「……良くない!!」
「よし、行くぞ!!」
そこからは早かった。家に戻って、僕の荷物を運び出した。念の為ねむりごなを使えるバタフリーを手持ちに入れてる子にもついてきてもらって。といっても結局俺の荷物はカバンひとつに入るくらいしかなかったんだけど。
急いで駅に走ると、アラタが適当に切符を買ってくれた。行き先は……ミアレシティ?マジか、結構遠いな……
「キョウヤ、これ」
「え、これってスマホロトム?なんで?」
「なんでって…今度お前誕生日だろ。オレらで金出し合って買ったんだ。古い型だけどちゃんと使えるから大丈夫だと思うぜ!」
「アラタ……」
あぁ、僕はなんていい友達を持ったんだろう。アラタと他の友達にもハグをして、ミアレ行きの電車に乗った。
キョウヤ
ご存知ZAの男主人公。イケメンで文武両道・品行方正。非の打ちどころがないね!
キルリア♀
キョウヤの相棒。キョウヤ大好き。
コメント・評価お願いしますなのだ