俺は彩葉の前から消えるべきなのだろうか……
かぐやなら、彩葉に笑顔を取り戻すことができるだろう。
彩葉なら、きっと紅葉さんに認めてもらえるようになれるだろう
なら俺は?俺は彩葉のために何が出来た?
朝久さんの時だって……
『朝久さん、顔色悪いけど大丈夫か?』
『……大丈夫だよ。零士君は心配症やな。僕は元気だから』
この時、無理やりにでも休ませておけばよかったのかもしれない。今思い返してもどう見たって強がりにしか見えなかったのに
それから一か月後に朝久さんが亡くなった、彩葉が泣いてることが俺には辛くて見てられなくて
『俺は絶対にお前のそばを離れない約束だ』
なんて約束をした。約束したこと自体に後悔はないし間違ってないと思いたい。
でも、それは
極論、俺なんていなくてもよかったんじゃないか?
アイツの言う通り、俺の存在が原因で彩葉が苦しんでるとしたら?
アイツの言う通り、俺が隣にいるせいで彩葉が辛い思いをしなきゃいけないとしたら?
それは俺の願いではない。
俺の願いはただ、あいつに……大好きな彩葉にただ笑っていてほしいだけなんだから
「パパ?大丈夫?」
「ん?ああ、かぐやか。大丈夫だよ」
そういうと怪訝な表情をしてこちらを見てきた
「ほんとに?」
「ほんとだから勝つことだけ考えろよ。次で決着つくからな」
ふぅ~~~俺も気持ち切り替えないと不味いな。
「零士」
「彩葉!?どうしたんだ!?何かあったのか!?」
彩葉が今にも泣きそうな顔で俺を呼んだ、その顔を見た俺は超慌てた
「お兄ちゃんに何言われたの?」
「……別に何も」
「嘘、ならなんで零士は泣いてるの?」
彩葉にそう指摘されて目元を拭うと涙が零れていた
「VRだと感情表現がオーバー気味になりやすいってだけだろ。」
「それなら、本当は零士は泣きたいってことじゃないの?」
「教えて、お兄ちゃんに何言われたのか」
そう言われて自然と言葉が出てしまった。
「………………俺が居なけりゃ彩葉はきっと強い子になってた。俺が居るから彩葉が弱くなるって」
「それで?」
「泣いて喚くだけのガキだって」
「それで?」
やめろ、それだけは言うな。言ったらダメだ。言ったら俺は本当に彩葉にとって邪魔になってしまう。
「俺が居る限り、彩葉が紅葉さんに認められることはないって」
「それ言われて零士はどう思ったの?」
「………………そうなのかもしれないって思った。俺が出来たことは所詮、隣に居てやれることだけ。朝久さんとの思い出も紅葉さんの期待からも朝にぃとのつながりも何も守ることができなかったガキだって思った。」
「うん」
「彩葉に心から笑っていてほしいだけなのに俺は無力で何もできなかった。」
「あの日、かぐやが彩葉のPCから曲を引っ張ってきた時に。俺は無力だと思った。」
「できることなんてたかが知れてるし、別に俺じゃなくてもいいんだと思った。」
「あの日した約束も、所詮は俺の自己満足で彩葉が本当に苦しい時に俺は何もできなくて」
「それは違うよ。零士」
彩葉?
「私はお父さんが死んで悲しくて辛い時も、お母さんの期待に応えれなくて応え方が分からなくて辛い時も、お兄ちゃんが東京に行っちゃって悲しかった時もいつも貴方が隣に居てくれたから頑張れた。強くなれた。」
「零士、零士はお兄ちゃんのことどう思ってる?本当に憎い、嫌いって感情だけなの?」
俺にとってあの人は………
「朝にぃは、俺にとって憧れなんだ」
「うん、知ってたよ。だって零士お兄ちゃんをキラキラした目で見てたもん」
バレてたのか、ちょっと恥ずかしいな
「運動も勉強もゲームもなんでも上手でさ。」
「そうだね、プロになっちゃうくらいだもんね」
「勝ちたい気持ちもあったしそれと同じくらい負けるところを見たくなかった」
「うん、零士いつも負けてばっかだったのにどこか嬉しそうな顔してたもんね」
「マジ?」
「まじまじ」
マジか~~
「………………だからこそ許せなかった。彩葉を置いて行ったこと」
「うん」
「意味もなく彩葉を泣かせたことが許せなかった。」
「零士はどうしたいの?」
「俺?」
「うん、お兄ちゃんに色々言われて色々考えて悩んで苦しんだ零士はどうしたいの?」
俺がどうしたいか?そんなの一つに決まってる
「勝ちたい」
「うん」
「勝って胸張って彩葉の隣に立ちたい。俺が居てもいいんだって自信もって彩葉と一緒に生きていきたい」
「そっか、ねえ零士。私、一つだけ零士がお兄ちゃんに勝ってること知ってるよ」
「え?」
「じっとしててね」
そう言った彩葉は俺のネクタイをつかんで自分の方に引っ張って
キスされた
「!?!?!??!?!?!?!?!?!??!?!?//////////」
まさかの事態に頭の中がパニックになっていた。
そこからたっぷり数十秒後に離れた。
「っぷは」
「いいいいいいいいいいい彩葉さん!?//」
「私ね、零士のこと子供の頃からずっと好きなの。お兄ちゃんよりも大好き」
「私が好きな男の人って意味では零士はお兄ちゃんに勝ってるんだよ」
「彩葉…」
「零士、今から一つだけ約束して」
「お兄ちゃんに勝って私を迎えに来てね。王子様」
それだけ言って彩葉は最終ラウンドに向けてかぐやと一緒にレーンに向かった
「よお、零士。彩葉に別れの言葉は済ませたか?」
「朝にぃ」
レーンには帝アキラが待ち構えていた
「……『朝にぃ』か、懐かしいなその呼び方」
「ああ、俺とアンタが仲良かった頃の呼び方だ」
「朝にぃ、
「ハンデをよこせってことか?」
「違う」
「じゃあ、なんで?」
「これは伊織零士と酒寄朝日の男の決闘だから」
「いいよ、どっちかがくたばるまでやろうか」
そう言って朝にぃは武器を捨てた
そこからはゲームとは思えない空気だった
殴って殴られて、殴って殴られて
現実だったらお互いに顔がぼこぼこになってるだろうなってくらい殴り合った。
HPバーなんて無粋なものはお互いに全く見てないくらい泥臭かった
左の拳には
右の拳には
「ああああああああ!!!!」
「おおおおおおおお!!!!」
クロスカウンターでお互いの顔面に拳が交差し同時に倒れた
「………………強くなったな、零士。」
「朝にぃ」
「ごめんな、お前らを置いて行って」
「それ、俺じゃなくて彩葉に言ってやれよ」
「そうか……そうだな……零士……彩葉を……妹を頼むな」
「あぁ、任せろ」
「っふ、お前の勝ちだ」
そういって朝にぃはダウンしていった
その言葉を聞いた瞬間に思わず拳に力が入った
「ッしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
完全勝利
投稿時間について
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朝7時頃に
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夜18時頃に
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できたもんからさっさと寄越せ!
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お前の好きにしたらええんやで