タイトル、今回自信あり。詩的な雰囲気
「「あ、おはよう」」
ライブの次の日、夏期講習のため家を出ると同じタイミングで彩葉が隣の部屋から出てきた。
「かぐや、体調大丈夫そうか?」
「うん、朝から魚捌いてた、白甘鯛。」
「美味そうだな。」
他愛もない話をして教室へ向かっていった
「ーーーーであるからして」
かぐやの事が心配すぎて、授業の内容はほとんど頭に入らなかった。
彩葉も授業中にらしくもないミスをしていた。
家に着き、それぞれの部屋に戻ると一件のメッセージが来ていた。
『優斗:夏期講習終わったらツクヨミに集合』
ツクヨミにログインすると、稲葉しかいなかった。
「やあ、レイ。」
「よお、イナバ。一人か?諌山たちは?」
あのメッセージ的にてっきり、みんないると思っていた俺は正直少し面食らっていた
「どうしたんだい?酒寄さんが居なくてびっくりしたかい?彼女なら真実達と一緒にいて昨日のライブの感想を語られている頃だよ。」
そうだったのか。納得。
「そういえば、真実から面白い話を聞いたよ。」
「面白い話?」
なんだろう?もしかして黒鬼のホームぶっ壊しかけた話か?
「夏の終わりに花火大会があるんだが、真実の宿題を手伝うという使命があるため僕はいけないんだ」
「何してんだよ…もしかして、宿題手伝えって話か?」
自力でさせろよと言わんばかりの目をしていると、『やれやれ』と言わんばかりの動作をした稲葉が
「酒寄さんとかぐやちゃんを誘って、花火大会に行っておいでよ。って話だよ」
二人と花火大会か…
「まあ、とにかくこれを伝えたかっただけだから。ちゃんと二人誘って花火大会に行くんだよ」
「へーへー」
そういいながら俺はツクヨミをログアウトした
「ふう…花火か…」
稲葉に言われた花火大会、日にちは
「とりあえず、二人に声かけるか」
そう思い、二人の部屋に向かい始めた。
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『夏の終わりに花火はいかがかな~』
芦花から誘われた花火大会、みんな行くのか聞いたら
『夏休みの宿題を完全に放置したのでいけないのです。最近、名前で呼び始めたらしい【零士】と一緒に行ってきてくださ~い』
と二人の優しさ気づき、チラシをもう一度見ると日付が
『零士:今からそっち行って大丈夫か?』
『かぐや:いいよ~』
ふと、スマホの通知を確認すると、件の人物からこちらの部屋に向かってもよいかの問いに同居人がノータイムで許可を出していた。
「ちょうどいいし、声かけるか」
そう思い、リビングに向かった。
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「はい、れーじ。あ~ん」
「あ、あー…ウマ!」
リビングに向かうと、かぐやが零士に寿司を食べさせていた。食べさせ方が完全にカップルのそれにしか見えないのにお互い全く恥ずかしがってなかった
「かぐやさん、調子どうっすか?」
思わず、変なキャラを作って話しかけてしまった。すると
「彩葉!いいところに!はい!」
そういってかぐやはこちらにも寿司を差し出してきた
「……なにこれ旨過ぎ」
「明日は麺からラーメン作る!!」
「マジかよ。」
「すげー…」
ものすごいバイタリティに思わず関心してしまったが…今なら誘えそうだ
「……あ、遊ぼ?」
思わず、少しかぐやの真似をしてしまった誘い方になってしまった。
一瞬、かぐやと零士が目をパチパチさせた後
「いやった!やった!やったーーーーーーーーー!!」
「うおっと、かぐや落ち着いてくれ!危ね!刃物持ってるから!」
あまりの喜びっぷりにある意味驚いていた。
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まさか、彩葉の方から誘ってくるとはな…
「れーじ!お待たせ!」「ごめん、時間かかっちゃった」
「全然待ってないから、大丈…夫…」
浴衣をレンタルしていた二人が準備を終えたようで振り返ると
「見てー!彩葉ちょー可愛くない!!」
「へ、変じゃないよね?」
「めちゃくちゃ似合ってる!超きれーだから!大丈夫!!////」
感想を求められ思わず、本音を包み隠さずに伝えてしまった…はずかしっ!////
「あ、ありがとう////」
「かぐやは!どう!れーじ!」
「かぐやも似合ってるよ。」
「ぃやったーー!!」
「そろそろ行くか。」
「うん!」「そうだね」
そう話しながら会場に向かい始めた。
「彩葉、れーじに可愛いって言ってもらえてよかったね!」
「ちょ!かぐや!恥ずかしいって!////」
「ん?どうしたんだ?」
「何でもないから!!////」
「うひひっ!」
え~なんか理不尽に怒られたんだけど~しかもかぐや笑ってるし。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「現実さいこ~~~~!!」
こいつ、次から次に食いもの買うから両手が埋まってしまった。
「私はツクヨミも好きだけどね」
「俺は、どっちも好きだな」
現実には現実のツクヨミにはツクヨミの良さがあると思っている。あたりまえだけど
「何とか間に合ったな」
「まさか、全屋台制覇することになるなんて…」
「たのし~~~!楽しキングダム!!」
なんじゃそりゃと思っているとその横で彩葉が同じように手を掲げていた。
「うぇ~い、彩葉まねっこ~。れーじも一緒に!」
え!?一緒に!?「せーの」あーもうこうなったらやけだ!!
「たのしキングダ…ってやれよ!!」
せーの言いながらはしご外しやがって…
「「「っぷ、はははは」」」
いつものように三人で示す合わすかのように笑いあった。
「……ねえ、かぐや。いつもそれつけてるよね。」
彩葉が指摘したのは、出会った頃から付けているブレスレットの事だった。
「確かにな、あんま外してるの見たことないかも」
「ん-、なんか落ち着くんだよね。故郷ってかんじで」
「そっか、故郷か…」
…
「月ってさ、まじでなんもないの。味も、温度もなくて…与えられた役割をずーーっと繰り返すだけ」
「そうなんだ」
「なんかゲームのキャラみたいだな」
月の世界がそんなことになってるなんて知らなかったな。
「そんなんだからさ…かぐやだけ浮いてたんだ…」
それはそうなのだろう、すべてがプログラムのような世界で
でも、そんな
「わあ…奇麗…」
花火を見上げたかぐやがそんなことをこぼしていた。次々に打ちあがる花火の数々が俺たちの涙を隠すかのように
「もう嫌だ!退屈ー!逃げたーい!って思ったときに窓を見つけたの」
窓?そんなものがあるのか月には?
「窓から彩葉とれーじの世界を見た時に、みんな好き勝手で、複雑で、一回きりで自由に見えた。」
「私たちが?」
「でも、気づいちゃった。みんな本当の気持ちを抑えてるんだね。もっと大事なもののために」
「ふーん、大人じゃん」
「ん~?彩葉の真似かな?」
「似てないな。」
思わず茶化してしまった。
「れーじひどーい!バツとしてタコ焼きはかぐやが食べます!!」
「おわ!ちょっ!悪かったから!謝るから!取らないで!彩葉!助けてくれ!」
「自業自得でーす。」
マジかよ…
「……ねえ、彩葉聞いてもいい?お母さんの事好き?」
「好きか…どうだろう…わかんないな…でも、嫌いになれたらなって思ったよ」
彩葉の家はきっと父が死んでしまったときに何かしらの歯車が狂ってしまったのだろう
「そんなの彩葉、余計に可哀そうじゃん…」
泣きそうになりながら明るく振舞おうとするかぐやの顔が眩しかった
「ごめんね、本当は言いたかったよね。かぐやにはわかんないって」
そう、彩葉はそれを言わなかった。言おうとしなかった。
「違うよ、言いたかったんじゃない。言いたくなかったの」
彩葉の心の鎖はこの言葉が原因なのかと理解してしまった。
「彩葉…れーじは?家族の事好き?」
俺か?俺は…
「
そう、俺には家族の記憶がない。
「「!!」」
驚くよな、そういえば話したことなかった気がする。
「一番古い記憶は師匠と二人で暮らしていた記憶しかない。でも師匠が父親らしく振舞おうと努力してるのは知ってる…だから、師匠が家族みたいなもんだな。それに、かぐやみたいな妹もできたことだし。」
「そっか…」
かぐやは何かを覚悟したかのような表情をしていた。
「……ねえ、かぐや…月に帰っちゃうの?」
それは、どこかで確信を持ちながらも聞きたくて聞けなかったことだった…知ってしまったらもう戻れないような
「いやー、仕事放り出しちゃって…強制送還的な?」
「放り出すなよ…」
「いやー、面目ない。かぐやは、かぐや姫だったみたい。次の満月にお迎えが来る」
次の満月…『2030/09/12』この日にかぐやに月から迎えに来る
「お迎えって、うちに?」
「ん~多分ツクヨミにかな?」
「なんでツクヨミなんだ?VRなのに」
月には現世に干渉する術があるはずだ。あの電波ジャック規模の…でもなんでツクヨミに来るんだ?
「仮想の世界って、月ととても近いから。船がなくても干渉できちゃうの。この間のライブの時みたいに」
船?船ってなんだ?月にはあるのか?宇宙船が…
「また、逃げればいいじゃん」
「彩葉…」
「かぐやはもっと、ハチャメチャで!我儘で!めちゃくちゃで!だからおとぎ話とは違う!」
「そうだな、かぐやはかぐやだ。かぐや姫なんかじゃない。彩葉の親友で俺の妹のかぐやだ」
「…そんなハチャメチャかぐや姫にもお迎えが来ましたが!最後の日までちょー楽しく過ごしましたとさ!そういうのがいいじゃん☆」
「だから、笑って…彩葉、れーじ」
いつの間にそんな大人になってしまったんだろうか、俺と彩葉だけが泣いている
「これが私のエンディング!ちょー楽しく運命に向かって走ってく!…そりゃほんとはさ、もっともっと彩葉と歌いたかったし、れーじにも甘えたかったよ。新しい曲だって!そうだ!最後の日にライブしたいな!盛大に!派手に!」
かぐやの気持ちを後押しするように花火が打ちあがっていく
「うおお、腹に響く!煙の臭い!いいなぁ…」
花火を見る
花火も終わり、俺たち以外はみんないなくなっていた。
「帰らなくちゃ、帰れなくなっちゃう…」
それは
「そうだな、帰るか」
そういって、三人で帰った。そこに会話はほとんどなかった。
次の日に、かぐやは自身の卒業ライブを発表した。
もうね、正直に言います。展開確認で文庫版の超かぐや姫読みながら最近書いてるんですけどシーンが良すぎて滅なんですわ。
主人公の家族の記憶がないは実は序盤から伏線張ってましたどこかわかるかな?