模部です。
自分が所属してる伊織VR研究所は、業界でも類を見ないホワイト企業で大変素晴らしいのですが唯一不満があるとすれば
「すまん、彩葉」
「これはここのやつを流用すれば行けそうだよ」
「助かるわ」
「あとこれもいるでしょ?」
「ありがとな」
「零士、あれってさ」
「あれならここに置いておいたぞ。」
「ありがと、後はあれってさ」
「あの件ならこっちで片づけといた」
「助かる~~」
「模部、気持ちは分かるけどあんなん序の口だろ」
「先輩、あれそれだけで伝わるのが本当に序の口なんですか?」
最早、熟年夫婦の貫禄すら感じるんですけどあの人たち記憶が正しければ27とかじゃなかったでしたっけ?
「お前、所長と副所長が結婚して何年経ったか知ってるっけ?」
「いや、知りませんけど5年とかじゃないんですか?」
あの二人が学生時代からの仲なのは業界としても有名であるため大学を卒業してからを考慮しても5年とかが最大であると予想した。
「あの人達、婚約してからって意味じゃ10年の付き合いらしいぞ」
「は!?10年!?」
てか、10年前って高校生じゃん!?
「おう、前に所長に恋愛相談したときに『初手プロポーズだけはやめとけ』って言われたな」
「先輩は所長に何相談してるんですか…」
「ちょうどいいや、俺の中にためておくにはもったいない話をお前にもしてやるよ」
「糖分過多で糖尿病になりそうなので遠慮したいんですけど…」
「あれは、ここが出来て少しした頃だったかな~」
クッソ!勝手に話始めやがった!!
「所長、失礼かもしれませんが副所長の方が優秀じゃないですか?」
「お前さ、言いたいことは分かるけどそれを俺に直接言うのはどうなん?…気持ちは分かるけど」
「すいません、素朴な疑問なんですけど立場逆じゃね?って思うときがありまして」
健康やらなんやらの相談は所長に技術的な相談ってなると副所長にするよねって言うのが一般職員からの評価が中心だった。
「…お前にだけは話しとくか、実はさこの研究所を立ち上げる時が一番喧嘩したんだよね」
「それって、名前を決める時とかですか?」
「いや?そん時はとっくに籍入れてたから伊織VR研究所までは既定路線だったぞ」
さいですか…ここってできたの1年前だよね?
「それでさ~一応所長決めなきゃいけないからどっちがやるかで喧嘩になった。」
「それってどっちもやりたいからってことですか?」
当時は駆け出しではあったがどんな傷も目立たなくする人工皮膚であったりとかVRゲームとプレイヤーの意志力の相互関係の有無並びに有用性など、もはや何の研究してんだここって言いたくなるレベルの技術的革新が多くあったり、何ならライバー事務所も兼任してるとかマジで何の会社だよって言いたくなる時もある。
「だって、彩葉が所長になったらお偉いさんに会う機会あるじゃん、接待とかあるじゃん」
「そっすね、副所長も所長が接待受けるの未だに嫌がりますもんね」
「別に彩葉の前とかじゃなければ酒弱くないんだけどな」
この所長はマジで酒に関しては特殊体質なのか奥方である副所長やご姉妹の前だとくっそザコなのにきっちりしたパーティー会場や接待の時はアホ程酒に強くなるとかいう謎体質なのだ。
「話逸れたけど、接待に招いてくれる人って言い方あれだけどオッサンじゃん?」
「自分が言えた義理じゃないですけどそうですね」
「んで、その人たちが彩葉をやらしい目でみるじゃん?」
「まあ、副所長美人ですからね」
「それな、最近ますます綺麗になってさ~」
惚気だしたわ、言葉選びミスったな
「んで、大事な妻をそういうオッサンの目に入れたいわけないじゃん?てことは俺が所長になって防波堤になるしかなくね?」
「つまり?」
「俺の彩葉に色目つかうなくそカスどもって思って所長になったわ。」
「こっわ」
愛妻家なのは知っていたがそのレベルというかすげえ理由で所長になったなこの人
「愛妻家なのは有名でしたけど所長になった理由私的過ぎません?副所長そう言うの嫌がりそうですけど?」
「副所長も似たような理由で所長になろうとしてたらしいぞ、最終的にどうやって決めたかは知らん」
先輩はそう言うが、所長が接待を受けた次の日に首元に四季を問わず絆創膏があったりそもそも副所長と揃ってお休みを急に取る時もあるがそれは所謂仲良し(意味深)もしくはEx-YOtogibanashiをしてるからとかではなかろうかと邪推している。だって、所長げっそりしてるのに副所長つっやつやだもんそういう時は
「あと、うちの研究所って実は育休に関する制度がめちゃくちゃ整ってるの知ってたか?」
「そうなんですか?家族サービスをするときは事前に申告してくれれば絶対に休みにしてくれるのは知ってましたが」
そう、ここ伊織VR研究所が業界トップクラスのホワイトたる所以はこういった福利厚生の手厚さにある。
「ああ、あれも所長の意向なんだよね。『家族が一番』ってのがあの人の信条みたいなところあるから」
へぇ~と思ったが奥方である副所長への溺愛具合を見るとなんとなくわかる気がする
「んで、育休が超整っている理由はさ、『子育てって一人だと限界あるし俺も次はちゃんと育児に参加したいから』って」
「あの人達、まだ第一子も生まれてませんよね!?」
なんだその既に一度は育児を経験したような言い方は!?
「まあ、俺たちもいつ所長と副所長がそれこそ1年から2年くらい居なくなっても大丈夫なようにしておこうぜってことで」
「そうですね、所長の事だから家で出来る仕事にシフトして全部片づけそうですけどね」
「違いないわ」
今日は華金なのでしこたま飲んでも明日は休みだ、これを機に先輩に愚痴れるだけ愚痴ってしまおうと思い
「すいません、ビールお替りお願いします。」
追加のお酒を頼んだ
番外編として書いてほしいこと
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結婚挨拶
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文化祭
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稲葉と真実の出会い
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バットエンド√