「伊織!!かぐや、彩葉のバイト先に行きたい!」
「お前、まず酒寄に話しとけよそれ」
どう考えても、いきなり同居人が来たら流石の酒寄も焦るだろ、決して決して!!前に一回行ったときに水をピッチャーでぶっかられたのが地味にトラウマになってるとかではない
「なんで?」
「なんでって、いきなり知り合いがバイト先にきたら動揺するだろ」
「嬉しいからだね!!」
「違うからな?」
やはり、地球人と宇宙人では価値観が違うのかもしれない
「制服姿の彩葉、きっと可愛いんだろうな~~」
「あいつは元がいいからな」
かぐやとか酒寄とか綾紬とか諌山がそうだが、素材がいいやつは何着せても大体似合うと思っている
「伊織っていっつもそんな感じなの?」
「どういうことだ?」
「こういうのを『朴念仁』って言うんでしょ?」
「それは鈍いやつに言う言葉だな」
大体、どこでそんな言葉を覚えてきたんだ
「とにかく、彩葉が『いいよ』って言ってくれたらいいんだよね?」
「言ったらな」
あいつの事だし、『絶対ダメ』って言ってそうだけど
「絶対だからね」「はいはい」
「約束だからね!!」「お前もちゃんと酒寄の許可を取ってからにしろよ」
「分かってるよ~~」
ほんとに分かってんのか?
「そろそろ彩葉帰ってくるから戻るね。」
「はいはい、お休み」
パタパタと聞こえるような足取りでかぐやは部屋に戻っていった
「俺も寝るかね」
「伊織、ちゃんと彩葉の許可とってきたよ!!」
「マジか」
酒寄がそんな許可を出すとは思えなかった………参考までにどうやって許可を取ったか聞いてみると
「こう、手を胸の前で握って涙目+上目遣いで『お願い』って言ったら『いいよ』って」
「ちょろ」
あいつ、ちょろくね?大丈夫か?
「ほら、約束通り彩葉の許可も貰ったしデートしよ」
「生後数日が色気づいてんじゃねえよ。」
「痛った!デコピン禁止!」
決してかぐやとの関係は男女の甘い蜜月な関係ではなくどちらかというと保護者と子供のようなものだ………誰に対しての言い訳なんだ?
「ありがとうございました~」
家ではかぐやが伊織君のところで遊んでるか、配信をしているかまたはその両方がされているであろう頃、私は苦学生らしくバイトに勤しんでいる。
「いらっしゃいま………せ………」
新しいお客様がご来店されたので営業スマイルで出迎えると
「彩葉!!遊びに来たよ」
「おい、かぐやお前ほんとに許可貰ったのか?酒寄驚いてんじゃん」
何故かかぐやと伊織君が腕を組んで来店してきた。
「…席にご案内いたします。」
「ワクワク」「ワクワクしてるところ悪いがさっさと帰るぞ」「え~~!!何で!!」「お前が嘘ついたからだろ」「~~~♪」「口笛で誤魔化すな」
2人を席に案内しているが、まだ腕を組んでる。なんか、心がモヤモヤする………もしかして娘を取られた親の気持ちってこんなんだろうか?
「ご注文は?」
「かぐやはパンケーキ」「俺はココアで頼む」
「かしこまりました」
伊織君、コーヒーとか飲むのかと思ったけどココアなんだ………可愛いところもあるんだな
「伊織、こういう時ってコーヒーとかじゃないの?」「苦いのは苦手なんだよ」「子供舌ってやつだ」「赤子に言われたくねえ」
「酒寄先輩、私が水もっていきますので休憩に入るようにって店長が」
「分かった」
そろそろ休憩の時間だったのかと思い店長の方を見るとこちらにウインクをしてきた。多分、知り合いが来てるんだから気を利かせてくれたのだろう………余計なお世話だと思ったが二人には聞きたいこともあったのでちょうどよかった、普段ならあまりしないが制服から着替えて二人の席にお邪魔させてもらおうと思いバックヤードに引っ込んだ
「かぐやお前、酒寄びっくりしてたじゃん」
許可とったって聞いたから連れてきたのに聞いてた話と違うじゃん
「ドッキリって楽しいよね?」「俺相手ならまだしも酒寄にはやめろや」
あいつの営業スマイルが見事にひきつってたのに気づいてたんか?こいつ?
「お客さま、お水をお持ちしまし…きゃ!」
「危ね!!」
スタッフさんが水を持ってきたがどこにつまづいたんだってところで足を引っかけてしまいこけそうになったのを左手でスタッフを抱えて右手でお盆を確保して被害ゼロに抑えた。
『おおお~~~!』
周りの他のお客さんも称賛の拍手をしてくれた
「大丈夫ですか?」
「は、はい//大丈夫です//」
なんか顔赤いけど大丈夫だろうか?
「………伊織君はスタッフを口説くのが好きなのかな?」
どうやら騒ぎを聞きつけてきたらしい酒寄がめっちゃ冷たい視線でこちらを睨むように質問を投げかけてきた
「俺をナンパが趣味なやつみたいな言い方やめてくれ」
生まれてこの方、ナンパなんてしたことない。あと、一度この店に来た時に水をぶっかけられたことがあるからちょっと警戒してただけだ。
「ふん!どうだか」「何怒ってんだよ?」「怒ってないし!!」「彩葉怒りんぼ~」「怒ってないから!!」
何処か不機嫌な様子を出しながら酒寄は俺とかぐやと同じテーブルに着席した
「酒寄さん?お時間は?」
「今は休憩中」
「彩葉制服可愛いね」
「そんなおべっか言ったって駄目」
なんとかして酒寄の機嫌を戻せないだろうか?ヤチヨとか居れば楽なのに…
「………二人は付き合ってるの?」
「は?何言ってんだ?」
酒寄は何を血迷ったのかかぐやと俺を恋人同士だと勘違いしていた。恋人なんて生まれてこの方出来たことなんてない。
「だって、二人来店したときにずっと腕組んでたし」
「あれは、かぐやがナンパされたから仕方なく」
ちょっと離れた隙に声をかけられていたので助けようとしたらかぐやが速攻で腕組んで『ダーリンお待たせ』とか言い出しただけである。
「あ、もしかして彩葉嫉妬してるの~~?」
「はぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!誰が嫉妬なんか!!」
「酒寄、少なくとも俺に赤子と付き合う趣味はない」
「伊織はかぐやを何だと思ってるの!?」
何だとって………電柱生まれの宇宙人兼居候だろ?
「これは、どっちかと言えば娘に彼氏が出来た親の気持ちだから………多分」
「ママじゃん!」
「ママ呼びはやめて差し上げろ」
齢17だかにして一児の母扱いは流石に可哀そうすぎる……
「じゃあ、伊織はパパじゃん!」
「パパじゃねえよ!!」
確かにかぐやがガチ赤ん坊の頃に育てるの手伝ったりしたけど!!かぐやの見ため自体は同学年くらいに見えるから余計に犯罪臭がしてしまう。せめてお兄ちゃんとかだろ
「パパ~かぐやケーキ食べたい」
「パパ呼びやめろ。あと、一品だけって約束だろ」
「私がかぐやの分払うけど?」
「お前は財布を出すな」
ただでさえ、驚かすような形でバイト先に来てしまっている+苦学生に金を出させることなんてしない
「ほら、食べ終わったんなら帰るぞ」
「ええ~~もっと可愛い制服の彩葉見たい!!」
「我儘言うな!!酒寄だって仕事してんだから」
「伊織だって可愛い彩葉見たいんじゃないの!!」
「何言ってんだ、酒寄はいつでも可愛いだろ。分かったら帰るぞ」