ハンケチの用意をお願いしたいなの気持ち。そんな話が書けてるといいな。
「結局芦花ってさ、どっちが好きだったの?」
「真実、突然どうしたの?」
親友の真実がいきなり変なことを聞いてきた
「だから、彩葉といおっちのどっちが好きだったのかな?って思ってさ」
そういう真実の視線の先にはいつも通り楽しそうにそして幸せそうに笑う二人の姿があった。
「だって、芦花。高校一年生の時にいおっちのことそれなりに気にかけてたじゃん」
「そうだっけ?」
なんて誤魔化したが私はちゃんと覚えてる。あの頃の不器用で優しい伊織君を
重すぎ…さっき、先生に頼まれた荷物が想像の倍くらい重くて腕が痛くなってきた
「綾紬、大丈夫か?」
「い、伊織君…ちょっと重いかも」
あんまり話したことないはずの伊織君が唐突に声をかけてきたのでちょっとだけ嘘ついてしまった
ちょっとどころではなく、結構重い
「ほら、どこに運べばいいんだ?」
そう言って伊織君は私から荷物を取って歩き出した
「伊織君!?そんな悪いよ」
「いいから、女の子が遠慮するな。こういう力仕事は男の仕事だから」
そう言って、伊織君は職員室まで荷物を運びきってしまい。お願いしてきた先生には
「女子に持たせるには重すぎるんで頼む相手には気を使ってやってください。困ったら俺でいいんで」
と言ってくれて、先生も私に『重い荷物を持たせてごめんなさい』と謝る事態になった。
「いおっちってさ、思ってる3倍は色々言うし周りを見てるよね。それで絡まれてる」
「うん、本人は普通にしてるつもりなんだろうけどね。」
彩葉と隣の部屋だって理由だけで、色んな人に面倒な絡まれ方されてることは当時知っており、前に一度そのことを興味本位で聞いたことがあるがその時は『酒寄が悪いわけじゃないから気にするな。』と返されてしまった。
「秋くらいに彩葉から伊織君に話しかけだしたのはびっくりしたよね」
「あれはびっくりしたよね~『彩葉に春が来たのか!!』って二人して」
2人はお隣さんなのに2人で話してる様子は入学当初から見た覚えはなかったし会話があっても授業とかに関する最低限な事務的なものだけだったからそれだけに彩葉から伊織君に話しかけたのを見た時はそれはそれは衝撃を受けた
「多分、あの頃から彩葉っていおっちの事好きだったよね?絶対」
「本人は認めないだろうけどね~」
『いやいや、あの時は別に!!//』とか言って否定してそう。
彩葉が伊織君を見る目が決定的に変わったのはヤチヨカップの時に彩葉が体調不良から回復してからだ
「私達でも分かるレベルで彩葉はいおっちに熱~~い視線送ってたもんね」
「うん、伊織君は全く気付く気配なかったけどね」
彩葉が伊織君に熱を帯びた視線を送って憂いのある表情をしていることに気づいていた。
「いおっちらしいよね~。優斗君もよくいおっちに対して『あいつは鈍い』ってよく言ってるしね」
確かに、稲葉君はよく伊織君に『伊織は鈍い』って直接言ってるのを見たことある。
「芦花だって、いおっちのSETSUNAの時に参戦してたじゃん」
「………あれは彩葉とかぐやちゃんの為にって聞いてたから」
「いおっち、あの時は芦花にだけ降参を促してたよね?」
あの時の伊織君は、何処か辛そうに己を責めるかのように眉間に皴を寄せて戦っていた。
そんな辛そうな顔をして強くなったって誰も喜ばないのに
「言いたいこと、たくさんあったはずなの伊織君のあんな表情を見て気づいちゃったんだ」
私は伊織君が好きで彩葉のことが好きでそんな二人は自分を全く顧みないで無茶無謀ばっかりしてそれを止められない私自身に負い目を感じてる。
伊織君と彩葉を本当の意味で受け入れて、止めることが出来るのはきっとお互いだけで
「私の言葉はきっとどんなに重ねても伊織君にも彩葉にも届かないんだろうなってさ…ちょっと思った」
「………」「真実?どうしたの?」
「芦花は偉いねって思ってさ。」
「何それ」
「偉い偉い」
そう言って、真実は私の頭に手を伸ばして撫でてきた
「芦花はもっと我儘になってもいいと思うんだよね。私は」
「そうかな?じゃあそうしよ」
「あ~!!背伸びするの禁止!!届かないじゃん!!」
「どうしたの?二人とも?」
「おっす、お待たせ」
所要が終わったらしい二人がこちらに戻ってきた。
「いおっち聞いてよ~芦花ったら私がよしよししようとしたら背伸びしてきたんだよ!!」
「………それは俺にどうして欲しいんだ?」
「じゃあ、彩葉が芦花をよしよししてあげてよ」
「私!?」
彩葉も真実の突然のお願いに動揺している様子だった。
真実の言う通り、偶には私も我儘言っちゃおうかな?
「伊織君と彩葉に撫でてほしいな~なんて」
「芦花がそう言うなら」「俺もか?」
彩葉の手前、私の頭に触れていいのか疑問を持った伊織君だったが
「芦花のお願いだしね。」「分かった、嫌なら言えよ」
彩葉がちょっと言葉を足しただけで伊織君は私の頭を撫で始めた。
………やっぱり、私は二人が好きだ。だからこそ間に割って入ることなんて出来ないししたくない。
優しくて大好きな二人だからこそ、幸せになってほしい。
辛い運命を歩んできた二人だからこそ、大事な人をもう失うようなことは二度と起きないで欲しい。
「彩葉」
「どうしたの芦花?」
どうか、この好きって想いが本人に届かないように
「幸せになってね」
「ありがとう、芦花」
「伊織君」
「どうした?」
大好きな二人がようやく掴んだ幸せを手放すことが無いように
「彩葉泣かせたら駄目だよ。」
「分かってる。」
あの日と同じことを言ったのにあの時とは違う答えが返ってきた。あの日と違い己を責めるような顔ではなくて、覚悟を持って笑顔で答えてくれた。
「もし泣かせちゃったら彩葉、私が貰っちゃうから」
そう言うと伊織君はぽかんとした顔をしたのちに
「それは困るな」
そう優しく微笑んだ
というわけでね、芦花は零士にも彩葉にも特別な感情を持ってましたってことでね。