護守天聖ガンゲット 異伝 〈アマツノソウコウ〉   作:毒撒

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どうも、毒撒です!

ティタアカそっちのけでガンゲットの二次創作小説を書いていきます()。1話1話を短めに、話数を増やしていく方針なので、完結までどうか気長にお付き合いください!


本編
始章


────天が、堕ちる。

 

 これは、比喩や冗談で済むような表現ではない。文字通り───天国そのものが堕ちること(・・・・・・・・・・・・)………つまり、あの日のことを表している。天国に住む全ての者達なら誰しもが知っているであろう、災厄が降り掛かったあの日のことだ。

 ちょうど天国が、地国で言う秋に差し掛かった頃、天国の原初生物によって引き起こされたこの未曾有の事態は、まるで終末のようだった───生還した天使曰く、”辺りが炎で包まれ、空があまりに暗く感じられた、死神(モルス)達がついに天使達を皆殺しにかかったのかと思った”とのこと───ことから、後に天国で「終分の日」と名付けられ、跡地には純度の高いTエメラルドの結晶を使用した結晶板が建てられた。

 

 その結晶板には、こう刻まれている。

 

 

”終分の日”跡地

 

集ってしまった9匹の妖狐により

 

多くの命が聖竜に返された

 

二度と、この悲劇が天国を襲わぬことを

 

切に願う

 

 

 

 

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「………これで、何度目じゃ」

 

 まるで天から産み落とされ、そのまま地上に落下したかのような小さなクレーターの中央で、イチョウの葉に塗れた黒仕立の服を身に纏う少女は、手足を開き、大の字で仰向けに倒れながら、気怠げに呟く。目元を除き、顔全体を覆う白いマスクのせいで表情までは分からないが、少なくとも喜ばしい表情をしていないのは容易に理解できた。

 少女は上半身を起こして立ち上がり、自身の着る服を見るや否や、両手を開いては閉じを何度か繰り返したり、片足立ちで器用にくるりと一回転した後、ふぅむと呟く。

 

「………間違いなく、あの頃と同じ体じゃ。仏様は”一周したね、おめでとう!”とでも言いたいのか?」

 

 こんぐらっちゅれーしょんっ、と頭を抱えた少女は半ばヤケクソに叫ぶ。幸い、周囲は人っ子一人いない森───イチョウだけでなく、様々な草木が生えている───なので、その叫びを通りすがりの者に聞かれ、街で言いふらされ笑いの種にされるような事はなく、ただ森の中と、澄んだ青空に叫びは消えていく。

 やがて、諦め………もしくは観念したかのように少女は溜息を一つついた後、先程から気になっていた、クレーターの外側に鎮座している大きな機械(ブツ)に目を向ける。

 

「これが、今までのわしの脳味噌代わり、という事じゃな」

 

 

………淡い黄色をメインに彩られたそれは、まるで神社の拝殿前で座り込む狛犬のように座り込み、僅かに見えるセンサーを静かに───だが力強く───緋色に輝かせた。

 

 

「………んじゃあ行くかの、ネーティル」

 

 

 低演算形態のガンゲット・ネーティルを見上げながら、少女………聖・ネーティルは、ひっそりと呟いた。

 

 

 

 

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 ハゼル公国がある大陸、その西端には”カタナ半島”と呼ばれる半島がある。まるで刀剣のような形をしている事から名付けられたその半島の、さらに西端にはとある国の城下町があり、海沿いに港やら民家やらが建ち並び、少し離れた小高い丘の上には立派な平山城が築き上げられている。

 純金が使われた天守閣や、強固な石垣、水の綺麗なお堀、そして城下町を一望できる櫓。その国の権威を示すとも言われている城の景観は、とても綺麗に整えられており、お役人と共に、賑わう町を優しく見守っている。そんな城やお役人に見守られ、民もお殿様や国、なにより自分や家族のため、仕事に励み、経済を回し、他の民と接することで、町をより一層賑やかにする。

 

 

「捕れたての新鮮な鰹はどうだい!今なら安くしとくよ!」

 

 

「ほらあんた、とっとと働いて家賃稼いできなよ!」

 

 

「この櫛、とても綺麗だわ………!これを作った職人さまはどちらに?」

 

 

「今年の米は素晴らしい!幸先が、良いッ!!」

 

 

 

 町は活気に溢れ、まさに良い国そのものであった。そんな国の城の、立派な櫓の一角で、紋付袴を着た青年とその家臣が、町の風景を眺めていた。

 

 

「………やはり平和が一番。こうして民が笑い、それを見て俺が笑う。ここはまこと素晴らしき国かな」

 

「若殿、そういうのは若殿には似合いません」

 

「うっさいわ」

 

 

………二人の会話は、若殿とそれに使える家臣とは思えないほど、距離感の近さを感じるものであった。こんな国に、一度は住んでみたいものである。

 

 

「それで、若殿。例の噂についてなのですが………」

 

「噂?………あぁ、またあの化け狐の話か」

 

 感傷に浸った雰囲気の中、家臣は少し言いづらそうな表情をしながら、話を切り出す。最初は頭に(ハァ?)を浮かべていた青年だったが、次第に思い出し、ピンときたように口にする。

 

 

 曰く、ここ最近の深夜、人っ子一人いない時間帯に、狐のような面を付けた背丈の小さな者が、炎を手から浮かべて城下町を徘徊している、と。

 曰く、その者は誰かに姿を見られてしまうと、滑るように町の北東の森に消えていく、と。

 曰く、もしその者を追いかけて森の中に入っていってしまうと、10mを超える大きさの狐に襲われ、丸飲みされてしまう、と。

 

 

「国民はおろか、ついにはこの城の者たちの中からも”それらしき者を見た”と言う意見が出ております。やはり、あの森に斥候(せっこう)を放つべきでは………」

 

「あのものぐさ親父、俺に余計な仕事まで回しやがって………」

 

 青年は天を仰ぎ、あぁクソッタレと嘆く。

 この国の殿様であり、青年の父でもあるその男は、家臣や国民からの信頼は厚く、やる時はしっかりやる優秀な男であるものの、極度の面倒臭がりであるお陰で問題性の低い仕事が来た際はそれをあらかじめ察知しては度々城を離れ、どこかで遊び呆けている。今回も例に漏れず、化け狐の話が初めて噂された頃には雲隠れしており、そのしわ寄せは全て若殿である青年に回ってきているのである。

 

「………下手に出陣しては民衆に不安を抱かせてしまう。俺が行こう」

 

「若殿自らがですか!?若殿の身にもし何かあれば………ッ!」

 

「別に一人で行くとは言ってない。もちろん護衛も連れて行くさ。それに、”化け狐などいない”と俺がしっかり証明してやれば、民も安心して眠れるだろう?」

 

 家臣はひどく心配しているが、青年は気にしないどころかむしろ不敵な笑みまで浮かべている。小さな頃には世話係を務め、今では側近となった初老の家臣にとって、この不敵な笑みを浮かべた青年は、もう何を言っても聞かない状態であるとはっきり理解していた。

 

 顔を青く染め、不安そうにする家臣に、青年は堂々と言いつけた。

 

 

天之国(あまつのくに)次期当主”(むすび) エニシ”が命ずる!手隙の武士は俺に続け!今晩は狐狩りだ!!」

 

 ”明日は狐鍋だ!”だの”誰ぞ、刀を持てぃ!!”だのとやたら高いテンションで───仕事から解放され、体を動かすチャンスに心の底から喜んでいるのだろう───叫びながら、青年………結 エニシは櫓の梯子を降りていった。




ガンゲット・ネーティルはそのうちアップします。フレームの素材探さなきゃ……
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