早めに言っとくけどこの小説あんま長く書く気はありません。15話くらいで終わられると良いな………
一方その頃脳内では
「あっちょっとリアバさん貴方は出ないでしょってかBSS状態じゃねえかおい待てェプロットを壊すなァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」
「………死神ィ?死神って言うと………鎌を持って魂を取りに来るとかいう、あの死神か?でもそれにしては………」
「それがそちらの死神のイメージか。じゃが、お主の思うとおり、儂はそのイメージと比べても───」
「ちっさいよな」
「美し───って、身長は関係ないじゃろうがぁっ!?!?」
「ともかくっ、別に儂は鎌も持っとらんし、お主らの魂もいらん!」
エニシの手を乱暴に振り払い、両手を腰に当てたネーティルはそう宣言する。2人の武士はもはや話について行けてないが、先ほどのやりとりで冷静さを取り戻したエニシのみ、ネーティルに質問する。
「なら、お前の言う死神、とは何なんだ?」
「おっ、よく聞いたな。話すと長くなる、お前たちは座ってよいぞ」
ネーティルの言葉に甘え、エニシはその辺の岩を押して程よい位置まで移動させ、その上に座り込む。武士達は、残るもう一人の見回りを探すべく、周囲を探索しに行った。
ネーティルはその辺から良い感じの木の棒を拾い、地面にカリカリと簡単な絵を描きながら説明を始めた。
「儂ら死神は、人の願いを変換したエネルギー[Tエメラルド]を喰らって生きておる。Tエメラルドはこの世のありとあらゆる人間の願いから発生し、辺りを漂っておる。あぁ、人間にはTエメラルドは見えんぞ。………儂は、人間に願いという名のご馳走をしてもらわんと生き続けられんのじゃ」
「………お前絵下手だな」
「黙っとれ」
ネーティルの雑な絵を見ながら、エニシは頭の中で考察する。その結果、一つの結論にたどり着き、それを口に出す。
「なぁ、お前が夜な夜なうちの城下町を彷徨いてるのって………」
「おぉ、気づいたか。やはり頭が回るな、お主は。お主が考えてる通り、儂が町に行っていたのは食事の為じゃ。人口密集地ほどTエメラルドが多い場所はないからの」
エニシの予想は的中していた。国民達が寝静まっている間に、ネーティルはエッホエッホと森から出てきて、昼の間に町に溜まったTエメラルドを吸い込み、人に見られたら即座に森に退散していたと言う。
「じゃあ、大きな狐に丸呑みされるっていうのは………」
「儂がこれに乗って追い返していたのじゃ。気絶しているところを口にくわえさせて、町の端にペッ、とな」
ネーティルが指差す先は、後ろに鎮座する巨大な狐もどき。何度見ても威圧感に押され、冷や汗を流すエニシは、ついにそのデカブツについてを質問する。
「これはガンゲット、と呼ばれる兵器じゃ。儂と同じ[ネーティル]の名を冠しておる。こいつは人の願いで稼働する───Tエメラルドのもう一つの使い道じゃ。………願えば動いてくれる大きな機巧人形、と言えば分かりやすいかの。儂がこれに乗り、Tエメラルドを流し込めば、自由に動けるようになる、という寸法じゃ」
エニシは色々言いたげな表情を浮かべながらも、何とかそれを深層心理の奥に押し込む。先ほどから奇天烈な様子を見続けて、エニシは遂に順応を果たしかけていた。
「………で、お前はこれをどこで手に入れた?それとも一から作ったのか?」
「そーれが全く分からんのじゃ。数日前そこで目を覚ましたら横にこいつがいたもんでの。さっきの説明は気がついたら覚えてた情報をそのまんま喋っただけじゃよ。何ならそれ以前のことも覚えとらん」
「おいマジかよ」
しれっと出てきた記憶喪失宣言&出所分かりま宣言を受け、遂にエニシは頭痛を感じ始める。そんな事を聞いた上で、最早エニシが取るであろう選択肢は一つに絞られた。
「………その話が全て本当だとしたら、国の近くに厄ネタを放置するわけにはいかないな。一先ずお前は城に来い。住処に目処が立つまでは置いてやる」
「えっ………良いのか?」
「良いも何もそれ以外の選択肢ないだろ。こんな森に女子を一人きりで放置するなんて俺のポリシーに反する。それに………
お前はどこか、放っておけないからな」
「っ!………そうか。では、お言葉に甘えさせてもらおうかの」
最初こそ遠慮気味だったネーティルだが、エニシの説得を聞くにつれて段々とマスクの隙間から琥珀色の目が見開かれていく。そして、彼女は何処か悲しそうにしながら、エニシの提案を了承した。
「じゃが、居候はこちらも申し訳ない。何かできることがあれば何でも言ってくれ。ガンゲットを使ってもよい」
「………あんまそういう事は言うもんじゃないぞ」
「?」
無自覚無防御少女ネーティルをなおさら保護せねばと決意したエニシは、岩から腰を上げ、どうやって国民に説明しようか、いっそ説明だけ親父に投げてやろうか、などと考え出す。
─────そんな時だった。
「若殿─────ッ!!!」
共に森に入っていた武士達と、町の巡回から合流したであろう複数の武士達が、エニシ達の元へ走って来ていた。
「どうした、お前達。俺は今からこいつを─────」
「城下町が、襲撃に遭っています!!」
「───何!?」
全くの想定外な報告に、エニシは目を見開き大きく動揺する。
普段は平和だが、天之国は元々戦に長けた国。その強さは今も尚健在である。おまけに、世界征服を進めるハゼル公国とは主に食料品で古くからの貿易関係であり、もし天之国が戦争に巻き込まれれば、ハゼル公国によって報復が行われるのは明確である。
「何処のどいつだ、俺たちの国にそんな事を………ッ!!!」
「恐らく、野良の賊かと思われます。既に迎撃態勢を整えましたが、その………敵にもこの巨大な機巧と似た奴が確認されたとの事です!」
「なんだと!?」
「ガンゲットを持つ死神は何も儂だけではない。おそらく、賊とやらが鹵獲なり脅迫なりをしているのだろう」
敵方にもガンゲットがいる事。それは賊に加担する死神がいるということを意味する。それを理解した時、既にエニシの口は開いていた。
「………ネーティル、ガンゲットは動かせるか?」
「儂が乗ればすぐに動かせる。じゃが、誰か人間を一人一緒に乗せなければ本気は出せん」
「なら俺が乗る」
「駄目じゃ!」
「なっ、どうしてッ!?」
ネーティルからの同乗に、エニシは理由も分からず声を荒げる。しかし、ネーティルは俯き、僅かに肩を震わせている。
「人が傷つく所など………死ぬ所など、儂はもう見たくないのじゃ」
「それは………それは、俺も一緒だ」
エニシはネーティルの正面に立ち、震える彼女の右手をそっと取り、自身の両手で包み込む。じんわりと伝わる温もりに、ネーティルはゆっくりと頭を上げる。
「あ………っ」
「うまく言葉にできないけどよ。俺は、もう大切なモノを失いたくないんだ………ッ」
エニシは、何処か縋るように、悲しげな瞳でネーティルを見つめる。彼女の手を包むエニシの手もまた、わずかに震えていた。
少しの間、静寂が辺りを包む。2人の心を表すかのように、冷たい風が頬をなぞる。
一度深呼吸をした後、エニシは覚悟を決めて、話し出す。
「………俺も怖い。俺もお前も死ぬんじゃないか、って。でも─────」
「────俺が怖気づいて、それで国の皆が死ぬなんてごめんだ………ッ!!」
「エニシ………」
ネーティルの手を包み込む力が、少しずつ強くなる。が、彼女は拒まない。
「俺は民と、国と………お前を守る。だからネーティル、お前も俺を護ってくれ。どうか─────
─────力を貸してくれ!!!」
「………っ!!」
………変わらないなぁ、お主は
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その頃、城下町では。
「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!?」
「あぁっ、火が!?か、母さんっ!?」
「慌てないで!落ち着いて、お城の避難所に!!!」
昼間の華やかな海沿いの町は、辺り一面炎に包まれ、町民達は逃げ惑っていた。丘の上の城を緊急避難場所として、役人達がそれぞれ避難誘導を行なっている。
そして、その真ん中に佇むのは、一体のガンゲット。黒を基調に、返り血のような濃い赤と黄色に彩られ、その手には雷を模した槍が握られている。
ガンゲット・ジェネラル。其れは、将軍の名を冠するにも関わらず、守るべき民に忘れられない程の悪夢を刻み込まんと、深紅のカメラアイを光らせていた。
「………駄目だ、火縄銃が全く効かない!?」
「だから破世流に武器を売ってもらったほうが良いとあれ程進言したというのに………ッ!」
「たらればを語っている場合ではないッ!とにかく、大砲でも何でも使って、民の避難の時間を稼ぐのだッ!!」
城の中でも混乱が広がっており、初の事態にどう対処すべきか分からず狼狽えている。軍事を中心に何とか防衛陣を敷いて迎撃を試みるが、鉄砲も大砲も、どんな火器もガンゲットの前には徒労に終わる。その上、ジェネラルの右腕に装備された速射砲による報復で、攻撃した以上のダメージを町が受けてしまう。最早打つ手無し。誰もがそう思わざるを得ないほど、状況は絶望的だった。
そして、遂にジェネラルは丘の麓までたどり着き、城に速射砲を向ける。
砲口が狙いを定め、鉛玉を城に叩き込む─────
─────事など、彼等が許さなかった。
「「させるかぁぁぁぁぁぁ!!!」」
男女2人の叫び声と共に、薄黄色で四足歩行をした巨大な何かが、今にも城を陥落させんとばかりのジェネラルに思い切り体当たりをする。予想外の出来事に、その体当たりの威力も相まって、ジェネラルは大きく吹き飛ばされ、海岸線に倒れる。
現れたのは、狐を模した低演算形態のガンゲット・ネーティル。胸部コックピットにはネーティルが、そして頭部コックピットにはエニシが乗っている。
「皆!無事か!?」
「その声………若殿!?」
「おぉ………妖狐を従えるとは、流石は若殿!!」
「私達は全員無事です!怪我人こそいれど、亡くなった者は確認できていません!」
「よかった………よかった………ッ」
城の広間では簡易的な医療施設として稼働しており、多数の怪我人こそ出てしまっているものの、町名簿と照らし合わせた結果、誰一人欠けずに城に避難できているという。
「おい、まだ気を抜くでない!黒いのがまた動き出したぞ!」
「ッ!?」
見ると、海岸で半身浴(?)状態にあったジェネラルは既に態勢を整え直しつつあり、既に槍先をネーティルに向けていた。
「致し方ない………ここは通常演算で─────」
「ふざけるなよ………」
「─────エニシ?」
「ふざけるな………ふざけるな、ふざけるなッ、ふざけるなッッッ!!!」
「もうこれ以上─────」
「奪われてたまるか─────ッッッ!!!!」
エニシの叫びに呼応するかのように、胸部コックピット内のレバーが、軋みながら勝手に下がる。
「なっ!?こちらからは何も………それに、このTエメラルド分泌量は─────」
そして、ガンゲット・ネーティルはゆっくりと、その身の形を変えていく。
─────2つの足で立ち
─────両腕を大きく開き
─────狐面を模した顔の装甲は上下に開き
─────琥珀色だったアイカメラは、染まるように、輝く緑色へと変色した。
[用語解説]
・NTR
[Nexus Rranscend Reign]の略称で、「限界を超えた繋がりの支配」という意味を持つ。
人間側のパイロットからTエメラルドが過剰供給され、死神による演算が追いつかなくなった際に起こる現象。この現象が発生すると、人間側から供給されるTエメラルドの一部が死神の演算を介さず、機体に直接流れ込んでしまう。この際、機体操作は勿論、演算形態の変更などの大半の制御は人間側が優先的に行うことになる。
簡単に言えば「死神にはそのまま機体維持とかの演算してもらうけど操作は全部こっちで決めさせてもらうからねー」状態。
ある意味高演算にやる暴走と対を成す状態で、こちらは長時間そのままの状態が続くと、人間の脳が焼き切れて死に至る。
人間側が天使レベルのTエメラルド分泌量を持つか、過去のトラウマによる発作などが主な原因と推察されている。
次回予告
第三章 妖狐躍進