護守天聖ガンゲット 異伝 〈アマツノソウコウ〉   作:毒撒

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どうも、会社の健康診断でC判定を食らった毒撒です。


他全部Aだったのに腹囲だけで叩き落とされた………痩せなきゃ………

それと、原作者「紺菜 将」様からガンガイガーのビジュを描いていただきました!原作者の愛がデカすぎる()
https://x.com/i/status/2046467467149791370


第五章 妖狐散歩

「おーい、そこの材木取ってくれー!」

 

 

「こっちだー!こっちの火の手がまだ強い!」

 

 

「この子のお母さん、何処ですかー!?」

 

 

 

「随分と復興が早いなぁ、お主の国は」

 

「皆強いのさ。俺がいない時だったのに、迅速な避難誘導で死傷者ゼロ─────凄いもんだよ」

 

 食事と充分な休息を取った2人は、城下町の様子を見に来ていた。かなりの建物が破壊され、今もなお火災が続いている地区もある。それでも、民は一丸となって、復興に臨んでいた。

 

「あっ、若殿!」

 

 そんな中、一人の男の子が二人に気づき、指をさして声をあげる。それに気づいた町民たちが、若殿だ若殿だ、と口を揃えてぞろぞろと近づいてくる。

 

「………おまけに随分と慕われてるようじゃの」

 

「らしいな。ありがたいこった」

 

 

「若殿!昨夜は、我々を守っていただき、本当にありがとうございました!」

 

 民衆の中から、初老の男性─────町長が、一同を代表し、エニシに深々とお辞儀をする。この町長こそ、昨夜の襲撃の際にいち早く避難誘導を開始するよう城の者に進言した切れ者なのだ。

 

「町長、頭をあげてくれ。俺一人では何もできなかった。貴方のいち早い行動が、国を救ったのだ」

 

「勿体ないお言葉でございます」

 

「既に、追加の物資や道具を町に運ぶよう、城の者に手配している。正午から城で炊き出しも行う。すまないが、もう少しだけ辛抱してくれ!」

 

 エニシは申し訳なさそうに宣言するが、むしろ町民達は歓声をあげて喜ぶ。流石は若殿!やら、これで復興も進む!やらと歓喜の声が響く。

 

 

 

 そんな中、最初に声をあげた男の子が、民衆の足の間をするすると通り抜け、エニシの目の前まで来て質問する。

 

「ねぇ、若殿様!隣にいるお面付けた人はだぁれ?女の人だよね?」

 

 エニシはしゃがんで男の子の目線の高さに合わせて、優しく語りかける。

 

「いいか、少年。今から言うことを、よく覚えて置いてほしい─────」

 

 

 エニシは少年の両肩をがっちり掴み、言い聞かせるように話す。

 

 

 

 

 

 

「いいか?今は多様性の時代なんだ。別にスカートは女性だけのものじゃないし、君だってフリフリの衣装とかを自由に着ていいんだ。次からあまりそういう事言うんじゃないぞ?でないと関係各所と各方面から消されかねないからな」

 

「幼子になんてこと教えてるんじゃお主ぃ!?」

 

 

 

 

「………冗談はその辺にしておこう。彼女は聖・ネーティル。昨日俺が使役していた巨大な狐の機巧………ガンゲットと言うらしいが、それに乗って一緒に戦ってくれた者だ」

 

 エニシの他己紹介に、民衆は大きくどよめく。疑問視する声、疑う声もあれば、称える声も聞こえてくる。人々が口それぞれに、思ったことを口に出していく。

 

 

「確かに、昨日の大きな狐と、その子の付ける仮面は似ておるが………」

 

 

「というか和服フリフリすぎない?」

 

 

『時代背景に合ってなくね?』

 

 

「おい誰だ今メタ発言したの」

 

 

 

「皆!一度静かにしてくれるか!!」

 

 町長が力強い声で場を静かにさせ、ネーティルに向き直る。

 

 

「ネーティル殿。貴方がどのような方なのか、我々には分かりかねます。ですが、一言だけ言わせてほしい」

 

 そう言って町長は、先程と同じ位頭を下げ、深々と礼をする。

 

「この町と、我々を護っていただき、本当に、ありがとうございます。民を代表し、お礼申し上げます」

 

 

「………頭を上げい。お主らを護れて、儂も良かったよ」

 

 ネーティルは照れくさそうな、恥ずかしそうな笑みを浮かべながら、辺りを見回す。誰もが笑みを浮かべており、横に立つエニシも、満面の笑みを浮かべていた。

 

 

(これが天之国、か………どことなく、懐かしい雰囲気がするのう)

 

「さっ、しんみりするのはここまでだ!復興を再開しよう!」

 

 エニシの号令で再び復興作業が始まり、民は解散していく。

 

「さて、んじゃ俺等も城に戻って色々作業を─────」

 

「………すまぬ、少し一人にしてもらえるかの?」

 

「え?まぁ良いが、何かあったのか?」

 

 

「いや、少しこの町を見て回りたいと思っただけじゃ」

 

 

 

 

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

「………この辺りは、比較的被害が少ないようじゃの」

 

 町のはずれの辺りはそこまで攻撃を受けなかったらしく、原型を留めている建物が殆どだった。辺りには人のいる気配はなく、被害の大きい地区へ復興の手伝いに行っているのだろう。あれほどの事があって尚そこまでの底力があることにネーティルは心の底から感心していた。

 

「しっかし、気が休まらんのう、この服は………」

 

 見繕ったエニシ本人は「黒スーツよりはマシ」と言っていたが、こちらの服も露出がそこそこ多めで、別に目立たないわけでは全くない。特に、ネーティルはスカートが特に気になっており、足回りの風通しの良さは何時まで経っても慣れなさそうだ。

 

「まぁ………あやつが選んでくれた服じゃからの」

 

 

─────結局の所、ネーティルはこの服をそこそこ気に入っていた。昔からずっとスーツしか着てこなかった為、違和感があるだけであり、別にこういった服装が嫌いなわけでは無い。むしろ、昔馴染みが選んでくれた服というバフも相まって、ちゃんと嬉しいし気に入っている。

 

(駄目だ、ニヤけるな………静まれ儂の口角っ!)

 

 自然と笑みがこぼれ、熱くなった顔を手でぱたぱたと仰ぎながら、どうにか別の事を考えようとしていた、そんな時だった。

 

「ねぇねぇ、お姉さん!」

 

「ん?なんじゃお主」

 

 ネーティルが声の方向を向くと、頭一つ分ほど小さい女の子がトテトテとネーティルに駆け寄ってくる。

 

「お姉さんでしょ?昨日でっかいお狐様にエニシお兄ちゃんと乗ってたのって」

 

「まぁ、そうじゃが………知っとるのか?」

 

「うん!エニシお兄ちゃんが言ってた!この国の新しい守り神なんだぞー、って!」

 

「あやつ、またそんな事を………」

 

 ネーティルは城の方向を恨めしそうに睨みながら、ひっそりと呟く。無意識に焚き付けてしまった無邪気な少女は?を浮かべ、首を傾げている。恐らく、ネーティルが城に戻った時、エニシは大変な目に遭うだろう。

 

「全く………あやつは昔からそうじゃ。人を振り回してばかりで………」

 

「昔から?お姉さんって昨日この町に来たんじゃないの?」

 

「あ゛っ」

 

 普段のネーティルからは出ないような声が出た。否、最早声と言っていいのかすら分からないほどの音が出た。まるで、ボロを出した数秒前の自分自身を引っ叩いてやりたい後悔や、この後どう収拾を付ければいいのかを必死に考える焦燥感がMP3として具現化し、ネーティルの口から飛び出した。

 

「あー………まぁ、その、昔少し仲が良かった頃があっての………あやつは覚えておらんじゃろうが」

 

「ふーん………ねぇ、昔のエニシお兄ちゃんってどんな感じだったの?」

 

 

 

「昔のエニシ………か」

 

 ネーティルは、かつての記憶を遡る。エニシと出会い、仲良くなり─────

 

 

─────そして、分かたれた記憶を。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひ、ひぃっ!?近寄るな死神!!この、化け物めっ!!!」

 

 

 

 

 

「なんだよ、あいつ。死神らしくねぇな………気持ち悪っ」

 

 

 

 

 

「アンタさ、なんで生まれてきたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「別に、やりたい事やって生きれば良くないか?」

 

 

「たとえ一人だろうと、誰かといようと、それで幸せになることが、お前や俺達を生んでくれた世界への恩返しになるんだ。他人に押しつけられた価値観で、不幸になる理由なんて誰にもねぇよ」

 

 

 

 

 

「あの時、何でお前に声をかけたのかって?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………お前はどこか、放っておけないからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………今とそんなに変わらなぬさ。誰かの為に自らを投じる、とんだ馬鹿じゃ」

 

 

「ふーん………ほんとに今と変わらないんだねっ!」

 

 少女は無邪気に笑う。それにつられて、ネーティルもくすくすと笑う。

 

 

「ところで………この町の近くに、見晴らしのいい場所はあるか?」

 

 

 

 

 

 

「おぉ、この町にこんな木が………」

 

 町のハズレから少し行った所まで歩いてきたネーティルは、お城の正反対に位置する、海沿いの丘にまで来ていた。そこにはとても大きな紅葉の木があり、紅の葉が風に乗せられてひらひらと辺りを舞っている。しかも、この木はネーティルの目覚めた森のどの木よりも大きく、誰が見ても長生きしているのは明確であった。おまけに、丘の先は水平線の先まで海が広がっており、まさしく完璧なロケーションだった。

 

「随分と長寿じゃのう。しかも、昨夜の被害を全く受けとらんではないか」

 

 近くにあった丸太のベンチに腰掛け、ネーティルはしばしこの景色を一人で堪能する事にした。潮風で紅葉が揺れ、心地よい音がネーティルの耳に伝わる。

 

 余談だが、元々ネーティルに狐の耳は生えていなかったのだが、とある理由によって後からTエメラルドを用いて追加された器官であり、しっかりとその機能を果たすことができている。

 

「いつか………二人で見に来たいものじゃな」

 

 

 

 

 

『度の過ぎた二次創作は、原作───そしてあらゆるコンテンツを汚す』

 

「!?」

 

 ぼんやりと景色を眺めていたネーティルの元に、いつの間にか糸目の男が近づいていた。その男が開いた目は─────

 

 

 

『そうは思わないか、聖竜?』

 

 

─────まるで反転したように、結膜は赤黒く染まり、角膜は白く染まっていた。




次回予告

第六章 妖狐審査
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