キャラクター性やストーリー諸々を振り返るために絆ストーリーとかを見直すのは自分だけじゃないはず。
カガリとメイドの話・追憶編・
私、室笠アカネがメイド部に入ったのは1年生の頃。そして、彼女と初めて出会ったのも1年生の頃でしたね。
メイド部────C&C、正式名称『Cleaning&Clearing』表向きはメイドとして母校ミレニアムサイエンススクールへの御奉仕が主な活動となっていますが、諜報や工作活動を主とするエージェントです。お恥ずかしい話ですが、今日私はエージェントとしての初めての任務でミスを犯し、不良生徒達から追撃を受けてしまいました。捕まってしまえば、ただでは決してすまないでしょう。ですが、私とてもC&Cの一員。ただでやられるつもりは毛頭ございません。腹を括り一矢報いる覚悟で向き合おうとしたその時でした。
「てめぇらそこを動くんじゃあねぇ!!」
荒っぽい口調の大声が私たちのいる通りに響き渡りました。
声の主がいるであろう方向に目を向ければ、ミレニアムのセミナーの制服に身を包んだガタイのいい女子生徒が静かに佇んでいました。その生徒は他のセミナーの人とは違い左目を眼帯で覆っており、左腰に太刀を佩き、長い脇差を差した明らかに戦闘を得意とする人の佇まいでした。思い当たる組織と言えば...
「保安...部」
聞いた事があります。セミナーの保安部に百鬼夜行から非常に優秀な生徒が入部してきたと...。恐らく、彼女のことでしょう。メイド部にも一之瀬アスナ先輩という恵まれた身体つきの先輩がいますが、彼女は別の方向性で恵まれた身体つきであったと言えるでしょう。戦を主とする戦士としての身体つき。その一言に尽きます。長い間、戦うことを前提に鍛えられてきた身体.....。ボーッと見つめていた時、見つめていた彼女から声が掛かりました。
「おい、大丈夫か?」
「へ?あ、大丈夫です。助けていただき、ありがとうございます。」
「な、なんだよお前は!!」
「こいつの仲間か?」
「まあ、そんな所だな。援軍だよ。ミレニアム、セミナーからのな」
「へっ!その援軍が1人たぁ付いてねぇな!!」
「お?お?舐めんなよ?こちとら弱者も強者も平等にシバく『撫で斬り少女 まぢかる☆カガリン』だからな?舐めてかかると痛い目見んぞ?」
「お、お前は何言ってんだ!?」
「そうだふざけんじゃねぇ!!」
ダメかもしれない....。大丈夫なんでしょうかこの人。そう怪しい目で彼女を見てると不良達が戦闘態勢に入りました。
「この援軍に来た撫で斬りか鍋焼き少女か知らんがまとめて叩き潰すぞォ────!!!!」
「うはッ!!望むところッ!!」
「私も一緒に...」
「んん〜?いや、いい。いるだけ足手まといだ」
ぶっきらぼうで簡素。しかし、明確な拒絶の言葉。
「ですが....私も!!」
「そんな満身創痍な状態で何ができんのさ、逃げるだけで精一杯だったんだろう?そも、弾薬は残ってるのか?」
「私も戦う」そう言おうとした私を彼女は止めた。ぐうの音も出ない程の正論による言及に私は何も言えなかった...。
「お前ここまでに逃げるまでかなり奮戦したんだろ?その怪我の具合でわかるよ。交代だ、強者よ。貴女は十分戦った。あとはオレに任せて、休んでてくれ」
少し穏やかな気配をまとった鋭い目をこちらに向けそのように言っていただきました。内心、少し安心したと言いますか、どこか報われた....そんな気がしたのです。
ゆらり....と彼女は前に足を踏み出し不良達とおもむろに距離を詰め始めました。そして、このように言い放ったのです。
「挨拶は大事だ...掟のいの一番始めにも記されているんでね...。どうも。わたくし、ミレニアムサイエンススクール...セミナー保安部所属の2年生、戸隠カガリと申します。どうぞよろしく」
その挨拶を開戦の合図とするかのように弾丸の応酬が始まりました。すると彼女、戸隠カガリさんが私を廃車の裏目掛けて突き飛ばしました。
「悪ぃ、亜麻色髪のメイドさん。そこで休んでてけろ...」
「キャッ!?(片手でなんて力!?)」
「こういうのはどうだ?」
そう言い放ちながら左手で大きな拳銃のような飛び道具を構え3人の不良目掛けて丁度3発、光弾?のようなものを放ちました。恐らくは牽制目的だったのでしょう....牽制目的であるにも関わらず頭目掛けてというかなりの精度で撃たれた射撃であったため不良達は慌てて避けようとしました。
「んな!?」
「危ねぇ!?」
「チィッ!!」
「隙を見せたねぇ、お前さんら...。はい、おしまい」
「「ッヅァ─────!!!!」」
無論、彼女がそんな隙を見逃すはずもなく距離が最も近かった2人に突撃し流れるような自然な動作で太刀を抜き放ちました。横一閃に、埃を払うように薙ぎ払い、一太刀の元に2人を同時に制圧してしまいました。
「あんたで最後だ」
パァン───
「!?」
そして、最後の1人はノールックで撃ち倒してしまいした。これを多少の時間差があるとはいえ、ほぼ一息のうちに済ませてしまった。彼女、カガリさんのその実力は入部して早くも頭角を表してきたC&Cのネル先輩に匹敵....あるいは。
「あのぉ....」
「え?あ、はい!」
「おぉ、アッ....スゥーー。えと、大丈夫.....っス?」
「はい、お陰様で助かりました。」
「あ、良がったっス。あと、程々な力で突き飛ばしちゃったもんで...」
「いえいえ、びっくりはしましたが大丈夫ですよ?それよりも本当に、なんてお礼をすればいいか...」
「ああ、いえいえ。お礼なんていらないですよ。お互いお務めを果たしたまでですし」
意外と丁寧に受け答えしてくださる方のようですね。それと少し人見知りしたりする方なのでしょうか?
微笑ましく考えていた時でした。再びカガリさんが鋭い目に戻り。
「申し訳ない、も少し隠れててくれ」
「え?きゃっ...」
グイグイとまた廃車の陰に押し込まれ、思わずカガリさんに抗議の眼差しを送ろうとした時には、彼女の姿形は見当たりませんでした。
その後、私が逃げてきた方角から複数人の足音が聞こえてきました。推測するにその人数は少なくとも5人以上...不良達の援軍と見るのが妥当でしょう。
「おい、あそこだ!!いたぞ!!」
その言葉に思わず心臓が跳ね上がるかと思いました。しかし、その言葉は倒れている仲間達に向けられた言葉と理解して少し安心しました。いえ、状況的には微塵も安心できないんですけどね...。援軍に駆けつけてきた相手の人数は7人。カガリさんはどこに行ったんでしょうか?
「おい!!大丈夫か!?しっかりしろ!!」
「落ち着け、気絶してるだけだ」
「早く連れていこう、急ぐぞ!」
「追跡対象はどこへ行っt...な、なんだお前は!?」
「不味い!!敵襲だッ!!」
「相手は1人だ、数で押し込めッ!!」
不良達が周囲の状況確認をしている時でした、回収用の大きなゴミ箱の陰から凄まじい勢いでカガリさんが飛び出してきました。右手には変わらず太刀を握っていたのですが今左手に握っていたのは差していた長い脇差でした。疾風迅雷....その言葉を体現するように、彼女は弾幕の中を顔色一つ変えることなく走り抜け、自分の制空権内に入りました。
「弾幕が薄いな。まずは4人だ...」
稲妻のような二刀流の切り払いで声を上げる事を許す間も無く4人を同時に制圧してしまいました。すかさず前へと踏み込み2人目掛けて突進しました。その短い動作の中でカガリさんが離れた1人へと向けてなにか小さくて丸みの帯びた物を投げ入れてました。
答えは少しして分かりました。『炸裂弾』だったのです。私は唐突な爆発音による驚きと同時に恐れを抱きました。咄嗟に飛び出し、戦場を激しく動き回りながらも環境を細かく分析する観察眼と一方を見ながらノールックで正確に投げ込むその投擲の技術....。並大抵の鍛錬では到底会得できる技術ではありません。彼女は一体....
「お前らで5、6人目...」
不覚にも考え込んでるうちにカガリさんは、逆手に持ち替えた左手の脇差の柄頭で片方の下顎を殴りつけ、もう1人は右手の太刀による袈裟斬りで仕留められました。
最後の1人は炸裂弾の直撃を免れたようで仲間を倒されたことで逆上し手に持ったアサルトライフルを一心不乱にカガリさんへと乱射していました。
「テメェぇぇぇ!!!!よくも、よくも仲間をやりやがったなァぁぁぁぁ!!!!!」
「甘い....」
「ヒィィィィ!!??当たれよ!!当たれよ!!!!」
「目線や銃口の向きと気配で分かる....と言いたいけどそんなやけくそ気味に撃ってたら当たる方が難しいわ」
ズガァンッ!!
そう言い放ちながら、カガリさんは脇差で銃を切断し....え、今アサルトライフルを斬りました?え......?
「ひ、ヒィィィィィ....く、来るなぁ......」
「じゃあな」
あ、最後の1人が太刀の柄の部分で顔面を殴りつけられ、ドゴスッという鈍い音と共に倒れました。
結局彼女は、ほぼ銃を使うことなく敵を制圧してしまいました。それもほとんど無傷で。
「これで全員か」
「本当に倒した...」
「こちら、セミナー保安部の戸隠です。部長、対象は無事制圧。C&Cの生徒も無事です。はい......はい...ではそのようにお願いします。よし...」
「あ....あ、あの!!」
「おお、びっくりした...。あとは大丈夫ですよ〜、保安部経由でヴァルキューレがしょっぴいてくれる。あいつらは矯正局行きだそうな」
「そうですか....ありがとうございます。私がしくじってしまったばかりに...」
「気にしないでくれ。困った時はお互い様だ。何より同じミレニアムのために戦う仲間だろう?『仲間に降りかかる悲劇は己の悲劇と思え』....これも掟だ。気にする事はない。それより、名前...オレ、貴女の名前を知らないから...」
「あ、そうですね。ご挨拶が遅れてしまいました。C&C所属、1年生の室笠アカネと申します。どうぞよろしくおねがいいたします」
「改めて、セミナーの保安部所属。1年生の戸隠カガリと申します。こちらこそ、どうぞよろしくおねがいします」
あ、同い年だったんですね...。これが私、室笠アカネと戸隠カガリさんのファーストコンタクトでした。
※尚現在
「なあなあ、アカネぇ〜。蕎麦作ったんだ、一緒に食べよう♪」
「どうして蕎麦...い、いえ。では、少し待っていてください。そば茶を入れますね、カガリ」
すごく、カガリさんに懐かれています...。まあ、それも悪くはないのですけどね。
ちなみになんですがあの一件の後尋ねてみたら、彼女は百鬼夜行の武装組織『菅笠衆』に一員であることが判明しました。本人からも驚かれました。たしかにファッションや趣味で帯刀してる方もいるかもしれませんが、彼女のジャケットに刻まれた三ツ菅笠の紋これが決め手だったのです。
しかし、まさか菅笠衆の方と仲良くなれるとは思ってもいませんでした。彼女と一緒にいればいい学びができるかもしれません。彼女達の火薬の技術には目を見張るものがありますからね♪
カガリ「助けを求む声あらば、その声に応えるのが仁義なり!皆で叫ぼう『いざ族滅ッ!!』撫で斬り少女、まぢかる☆カガリン!!だ・ゾ♡」
アカネ「なんですか、その口上...」
カガリ「戦闘に入る前の口上。どうだ?」
アカネ「無いですね...」
カガリ「嘘だっ!?」