プロジェクトセカイ feat 仮面ライダー 作:ミッツー116
「いってて…」
「動いちゃダメよ、じっとしてなさい」
ステージのセカイ、そこで烈が愛莉の治療を受けていた。横には同じく治療を受けた拳治が顔に絆創膏を貼った状態で座っている。
「う〜すっごく痛そうだよ〜」
「いや…それはそうだけどさ…」
怪我を気遣うリンに対してセカイの様子がおかしい、その原因は烈にあった。
「いや…へへっ、痛っ、えっへへへ…」
「笑ってない?」
「触れるな、怖いから」
「ある意味逞しいわねこいつ…」
推しに治療されて喜ぶ烈を眺めているとセカイと同じく外部から流れついたサイドテールのピンク髪の少女ーネライが話し出す。
「う〜そんなことより葵くんのこと考えなきゃ〜、まさかあっちに着いちゃうなんて〜」
「あいつ…一体どういうつもりなのかしら」
救急箱を片付けながら愛莉も口をひらく、その疑問に対し拳治は自分が聞いた話を共有する。
「奴らの計画が上手く行けば自分の選んだ人間を生き残らせる契約をしたらしい」
「あのスニアとかいう奴が言ってたのと同じ権利ですね…」
「だからってそのために他の人間が犠牲になることをよしとするなんて…」
「…多分奴が助けたいのは遥だ。そのためにこの契約をしたんだろう」
「このこと、遥ちゃんにどうやって伝えればいいんでしょう…」
烈の言葉に愛莉たちも黙ってしまう。
「遥、悲しむでしょうね…」
「自分のために幼なじみがあんなことしてりゃな…」
「遥ちゃんに伝える前に改心させるしかないですよね」
「改心か…」
ここまで黙っていた太陽が口を開くとどこかに歩いていく。
「ちょっと!何処に行くのよ!」
「みのりの練習見てくる!」
「あ、ねぇ!」
愛莉の静止を無視しステージに向かう、そこではみのりが雫とミクと共にライブの練習をしていた。
「よっ!進捗どんな感じだ?」
「太陽くん、えぇ順調よ。この調子なら週末に披露できると思うわ、でも問題は…」
「遥ちゃんが来てくれるかだよね。でも、私は大丈夫だと思うんだ」
みのりは真っ直ぐ言い放つ、その目は揺るぎない確信があるようだった。
「多分私たちが声をかけたらアイドルのことだってことはわかっちゃうと思うけど、私たちが遥ちゃんのために何かしたいって想いをきちんと受け止めてくれると想う!だから大丈夫!」
みのりはしっかりと言い切る。
「…みのりがそういうんなら大丈夫そうだな、俺よりよっぽど遥に詳しいだろうし」
「本当は私より葵くんに詳しい話を聞いたほうがよかったんだけど…でもあの時」
『君たちがやるなら勝手にやればいい』
「私たちのことを止めることも出来たのにしなかった、それって私たちのやり方に任せてくれるってことだと思うの!だから…真っ直ぐ想いを遥ちゃんに伝えたい!」
「…よし!遥のことは任せるぜ!」
みのりの言葉を聞き太陽は何かを決めたのかスマホを取り出す。それを見たミクが首を傾げる。
「?太陽くん、何処に行く気なの?」
「遥のことはみんなに任せるから…遥のところ行ってくるぜ!」
「え?」
その言葉を最後に太陽がセカイから消える。
「今の…どういう意味かしら?」
「分かんない…」
第六話 「蒼き望み、ロケットで飛べ」
「…人気アイドルの部屋に来たと思ったら、そこは南極でしたってエッセイ本を出そうかな」
「週刊誌に載るかも怪しくない?」
姿見に化粧台や筋トレ用具などが置かれた部屋、ここまでは普通だがベットと勉強机に大量のペンギンが置いてある。特に勉強机が凄い、壁につけられた台の上にまでズラッと並んでいる。視線を感じたりしないだろうか。
いや待て、壁にまで巨大なペンギンの絵がある。位置的に朝起きたら見下される位置だ、深夜に起きたらびっくりするだろ。
「正直もう少しドキドキ展開だと思ったんだが…これだとトンチキだな」
「急に来といて随分な物言いだね…それで用事って?」
メッセージで話したいことがあるから家に行きたいと突然言われたときは驚いた。平時なら教えるわけないが…状況的に大事な話だと思い教えた。
「いやー正直拍子抜けの話だと思うぜ?アイドルは関係ないし」
「え?」
てっきり真依の話を聞いてその事で自分に何か用があるのだと思っていた。
「今日は葵の話を聞きに来たんだよ」
「葵の?」
「そう、思い出話」
「お、思い出話?」
いよいよ目的が分からない。何故このタイミングで葵のことを聞きたいのか、なかなか仲良くなれないと嘆いていたがそこまでなのか。
「さぁ好きなだけ遡っていいぜ。最近生い立ちまで遡られたからな」
「…そこまで行かなくていいよ、多分太陽とみのりに比べたら私たちが知り合ったのは最近。小学生くらいだから」
「へー」
そういうと遥は話始める、自分と葵が出会った時のことを。
ーーーーーーーー
当時はまだ自分は今ほど社交的ではなかった、感情表現が得意ではなく両親にも心配をかけていたと思う。そのため自然とクラスでも1人だった。
(休み時間…暇だな、何すればいいんだろう)
他の子供たちが友達と遊ぶなか自分は1人椅子に座っているだけだ。何度か混じったが上手く溶け込む事が出来ず結局一人になってしまった。終わるまで椅子でひたすら待つしかない、そんな時だった。ドアの前でひたすらけん玉をしている男の子が目に入ったのは。
「よっ、ほっ、あ…」
(下手だな…)
何度も繰り返しチャレンジしているが上手くいかない、一番大きい皿に乗せようとする勢いが強くて弾かれる。もっとゆっくり…そう、多分その方が…しばらく見ていると突然乗る。
「あっ、えっ、あっ」
突然乗ったことに男の子が戸惑っていると、目が合う。しばらく見つめ合い、気まずい時間が流れる。何か言ったほうがいいのだろうか。こちらが困っていることに気づいたのか男の子が口を開く。
「あ、えーと…乗った、よ」
「え?あ…うん」
「…」
会話が広がらないことを悟ったのか今度は逆の皿に乗せようとし始める、が。
(いや、だから上げ過ぎなんじゃ…)
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「止めていい?」
「いいよ」
「何で葵は入口でけん玉ずっとしてんの?」
「じゃあ葵視点も話そうか。私聞いたことあるから」
「頼むわ」
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(休み時間って何すればいいんだろ)
当時の葵も遥と同じくクラス内に友人がいなかった。いや、彼に関しては今でも友達作りは得意ではないが。そんななか、あるものが目に入った。
「みんなー!トランプやろー!」
「やるやるー!」
入口に設置されている箱、そのなかにはトランプなどの室内で遊べる道具が入っている。今もトランプを取り出し皆が集まっている。自分もあれを使えば友人ができるかもしれない、そう思い中をのぞく。
「けん玉…」
存在は勿論知っているがやったことはない。それに一人で遊ぶものだ、そこまで考えると一つ思いつく。もしこれが上手く行けば…
『わー!すごーい!』
『葵くんけん玉出来るんだー!』
『俺にも教えてくれよ!』
一躍人気者かもしれない、そう思いけん玉を箱から取り出すとチャレンジする。
「よっ、ほっ、あ…」
けん玉を思いっきり振り上げる、すると勢いよく上がったあと糸が伸び切り反動で落ちる。上手くいかなかった、もう少しゆっくりか…そんなふうに調整していると唐突に成功する。
「あっ、えっ、あっ、」
上手くいった。あとはこれを誰かに見せればいいが、そもそも誰に見せるのか。そもそも乗せる瞬間を見せなければ意味がない、焦っていると女の子と目が合う。もしかして見てくれていただろうか。
「あ、えっと…乗った、よ」
「え?あ…うん」
「…」
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「この出会い方でよくここまで関係続いてるな」
「葵は昔から継続力があるよ。この時も…結構話してくるまでかかったからね。確か…2週間後だったかな?」
「その間ずっとけん玉じゃないよな」
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玉がゆっくり宙をまい、けん先に突き刺さる。遂にすべての部位に乗せる事に成功した、これまでで最高難易度だった。思わずガッツポーズをしながら遥の方を葵は向く。
「さ、刺さった!刺さったよ!」
「う、うん。そうだね」
小皿と中皿に比べてもかなり苦労していたことは知っているが反応に困る。一緒に喜べばいいのかどうなのか分からない、すると葵も困ったことに気づく。もうけん玉でやれることがない、難しい技にでも挑戦するか。そこまで考えふと、遥に近づいていく。
「え、え〜と…や、やる?」
「へ?」
「あ、いや、別に嫌ならいいんだけど…」
まさか話しかけられると思っていなかったため呆けた声を出してしまう。だが、2週間近くずっとけん玉が成功するたびに見つめ合い本当は話しかけたかったであろうことは間違いない。それに、ちょっとやってみたかったのは事実だ。
けん玉を受け取り、一度試す。まずは大皿だ。
「あ、乗った」
「えぇ!?い、1回目で…」
「…ずっと見てたから。えいっ」
「えぇ…また…」
ーーーーーーーーー
「今思いだしても…いや、むしろ今のほうが面白いかな?あんなに色んなチャレンジ動画をあげてる葵がただのけん玉に一喜一憂してるところ」
「それがきっかけで仲良くなったのか…なんか随分特殊な気がする…そうでもないのか?」
「どうだろうね、でも…私は教室にけん玉があったこと荷感謝してるよ」
今でも思い出す。あれから葵は自分と仲良くなろうとしてたのだが感情表現が薄い遥に対し自分のトーク力に問題があると思ったのかしばらく四苦八苦したあと…けん玉以外の箱の中身に頼ることにしたのだ。
折り紙、コマ、あやとり、家からトランプを持ってきて手品までやりだしたり。この頃あまり会話らしい会話は出来ていなかったが間違いなく始めての友達でずっと一緒にいた。
「それで…何でこの話が聞きたかったの?」
「ん?あー…葵と仲良くなるためにあいつのことを知ろうと思って」
「ふーん、そっか」
少し引っ掛かるが追求はしないことにする。少なくとも悪意は感じない、少し考え…太陽に対しある質問をする。
「ねぇ、太陽はさ…葵がネットに動画上げてること知ってる?」
「あー、そう言えばみのりの奴が言ってたな。結構人気で遥の知りあいの有名人で紹介されたとか」
「その動画がね、私がアイドル辞めてから更新されてないんだ。葵と話すなら聞いてみてくれない?私が聞いたときはもう意味ないからって言ってたんだけど…気になるから」
「ふーん、おけ。それじゃあ俺も遥に聞きたいことがあるんだけど教えてくれるか?」
「?いいけど」
ーーーーーーーーーー
何処かの山奥、そこで葵は立ち尽くしていた。周りからは煙が上がっており手には先日手に入れた流星マークのスフィアが握られている。
「いや〜勤勉だね〜、手に入れたスフィアを早速試すとは。生き当たりばったりじゃなくて評価がたかいよ」
後ろから紫苑が話しかける。ここにいることは話してないはずだが、何らかの手段で監視していたのか。そう考えていると足元にハンバーガー型のメカが動いている。
「パパラッチは嫌いなんだよね」
「おや、何か嫌な思い出でも?まぁ君がボスの信用を得るまでの辛抱さ」
悪びれた様子のない紫苑に対し嫌悪を覚えながらも話はそのまま続ける。
「こないだのベルト2本回収したのはきちんと報告してくれてるんだろうね?なんなら僕の口から言ってもいいけど?」
「ちゃ〜んと言ったよ、それに君は僕らのセカイに入れない」
「…これがあっても?」
まだ装着したままのドライバーを指しながら問いかける。
「ドライバーは元々とあるセカイのもの、それが別のセカイに流れついた際に性質が多少変化しただけなんだ。流れついたセカイ以外にも入れるほど万能じゃない」
「あっそ」
そういうと話は済んだとばかりに歩き出そうとする。
「待ちなよ、日比谷太陽の始末はどうする気なんだい?」
「…そのことなら、間違いなくやつが誘いに乗るタイミングがある」
「ほぉ…それはどんな?」
「その時が来たら話すよ」
それを最後に今度こそ山を降りる。その背中を見つめながら紫苑は歪に笑う。名前の通り太陽のような男がどんな苦痛の表情を浮かべるかを想像しながら。
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「ただいまー」
しばらくして葵は家にたどり着く。ここ最近疲れがたまっている気がする、ライダーのためにトレーニングをしたり妙な連中の相手をしているせいだろう。動画を辞めて身体がなまっているせいもあるのかもしれない。そんな時、疲れを癒やす天使が現れる。
「ニャー」
「お〜アクア〜何時もお出迎えありがとうね〜」
歩いてきたオスの猫、アクアを抱き抱え頬ずりする。学校での彼からは想像出来ない姿だ、烈辺りが見たらキショいと口に出してしまうだろう。そのまま抱き抱えてリビングに向かう。
「マリンは今日もキャットタワーかな〜?シャイだね〜も…う…」
「お!おかえり葵!邪魔してるぜ!」
「ニャー」
自宅の椅子に太陽が座ってマリンを撫でている。シャイなマリンが初対面の人間の膝の上に寛いでいることに怒りを覚えながらアクアをゆっくり地面に下ろすと太陽の首根っこを掴む。
「取り敢えず来い」
「お、首根っこ掴むの流行ってんのか最近?」
マリンを太陽が下ろすのを確認するとそのまま2階の自室まで引きずっていく。ドアを開けると中に押し込み自分も入ると鍵を閉める。そこで一旦葵は一息つく、突然太陽が自分の家に現れたことに理解が追いつかない。だが太陽は太陽で予想外の展開に驚いていた。
「お、おぉ…!?」
それを一言で言うなら青だった。壁紙、天井、床に至るまで青い。インテリアや家具も青で統一しており地球儀や世界地図のような青を含むものが点在している。
この部屋で唯一青くないものといえばゲーム用のモニターの黒だけだろう。様々な種類の青色に囲まれ体感温度が10℃ほど下がった気がする。
「気持ち悪い…!」
「いきなり来て随分な物言いだね」
「いやお前と遥に原因があるよここまで来ると」
こいつ遥ちゃんの部屋にまで行ったのか。目的の分からない男に怒りを覚えながら折り畳み式の円形テーブルを出し向かい合うように座る。
「で、何の用?」
「うーん、何の用って言われるとなぁ。ただ話をしにきただけなんだよ」
「説得ってわけね…」
「いや別にそういうわけでも…」
「はぁ?」
だったら何のために来たのか、今やるべき事などそれしかないはずだ。
「遥にさ、葵とどうやって仲良くなったか聞いてきたんだよ。特殊だなお前ら」
「…逆に普通に仲良くなるって何さ。僕の友達は遥ちゃんだけだからそれがスタンダードだけど?」
「う~む、哲学だ」
両手を組みながら考えるしぐさをとる。本当に何をしに来たんだろう。まさか雑談か?
「あぁそうだ、遥に聞いてほしいって言われたことあるんだよ」
「…何?」
「ネットに動画挙げなくなった理由気になるらしいぜ」
「そのことか…情けない話だよ」
「恥ずかしいことをさらけ出すことで人は絆を育むのさ」
「何言ってんの、はぁ…」
深いため息を吐いたあと葵は口を開く。
「遥ちゃんがアイドルになってから…当たり前だけど会う機会は減ったんだよね。遥ちゃんの家に行ったなら分かると思うけど、結構距離あるし」
「う〜ん確かに、チャリメチャ漕ぎしたわ」
「元々学校くらいでしか顔を合わせないし、親同士が予定合わせてどっか行くとかじゃないと一緒に出かけたりも出来なくてさ」
このまま行くと遥との仲は自然消滅するような気がした。そんな時に思いついたのが動画だ。
「初めて会った時と同じ…けん玉の動画をとってネットに挙げて遥ちゃんにリンクを送ったんだ。『遥ちゃんに負けないように僕も頑張ってみるよ』なんてカッコつけてね。実際は何とか唯一の友達を失わないようにしてただけなのに」
そう言っている葵は今までとは違った表情だ。恥ずかしい話と言っていたがそんな様子はない、この顔は今日別のところでも見た。
遥も葵も、お互いのことを話す時、とても穏やかな表情をする。
「あの配信は遥ちゃんだけのためのものなんだ。その必要がなくなった今続ける意味はない、とことん利己的なものだったんだから」
「…利己的って言うのは違うと思うぜ」
「…何で」
「遥に聞いたんだよ、この家の場所聞くときに一緒に」
「後半捨て置けないんだけど」
やはり遥から漏れていたのか、そこしかないとは思っていたが幼なじみのプライバシー管理能力が心配だ。事務所の教育とかはどうなっていたのだろう。
『私に負けないようにって毎日動画をあげててね、最初はけん玉ばっかりだったのがあやとりとかコマとか色々やるようになって…スポーツとかもやってたかな。毎日チェックして…私は勇気をもらってた。私の大好きなものだから…葵さえよければ続けてほしいなって。』
「…そんなこと言ってたんだ」
「葵は自分のためでも遥もちゃんと喜んでたぜ、もっと胸張ればどうだ?」
太陽の言葉に葵が黙っていると突然太陽がドアに向かって歩き出す。
「え?マジでもう帰るの?」
「え?うん。満足したし」
「いや、止めるでしょ普通。このままだと今度は君を襲うんだけど僕」
「やめろって言ってもやめないだろお前?分かるぜ、俺も同じだから」
「え?」
太陽の言葉に葵は思わず呆けてしまう。自分と彼が同じとはどういうことだろうか。
「幼なじみの事が何より大事でそのためなら何だって出来る。それがどんなに大変でもな」
「…逆の立場だったら君も同じことをすると?」
「俺とお前はおんなじだ、だから間違いなく言える」
太陽は葵の方を真っ直ぐ見つめながらいう。
「お前は遥を悲しませるようなことはしない、絶対にな」
「…遥ちゃんは他の人が犠牲になっても気にしないと?」
「ハハッ、みのりの推しがそんなやつだったらショックだな」
そう言うとドアを開け外に出る、しかし何故かすぐに戻ってくる。
「あ、そうそう。今度の週末、遥のためにセカイでライブやるから見に来いよ。きっといいもの見られるぜ!じゃまた週末!」
そう言うと今度こそ出ていく。本当に雑談だけして帰っていった、このためだけにわざわざ家の場所を聞いてきたのだろうか。
「僕とおんなじね…」
スマホを取り出し動画サイトを開く、遥が勇気をもらっていたという自身の軌跡。
「僕のやることは変わらないよ、遥ちゃん」
ーーーーーーーー
「う〜緊張する〜」
「なんでお前が緊張してんだ」
「だって落ち着かないじゃないですか!」
遂に訪れた週末、遥にメッセージを送ったがきちんと来てくれるようだ。ステージでリハを行うみのりたちを眺めているとセカイが太陽に話しかける。
「太陽くん、葵くんがはいってきたみたいです」
「お、それじゃ向かうかな」
「葵って…何でやつがここに!?」
「?呼んだから」
「ハァ!?」
「じゃあ俺葵と見るから〜」
そう言って手を振りながら太陽は走っていく。
「あいつ何考えてんだ…?」
「さぁ…あれ!遥ちゃんですよ!」
「いよいよ始まるか…」
セカイに入ってきた遥が観客席に入るとステージが暗転し、ライトが戻ると共に衣装に着替えたみのりたちがステージに上がってくる。
「こんにちは!花里みのりです!今日はライブに来てくれてありがとう御座います!初めてのライブ…今日来てくれたお客さん、ずっと練習を手伝ってくれて今も隣で一緒にいてくれる先輩たち、応援してくれる友達、そして…私の憧れのアイドル!遥ちゃんに捧げます!」
「みのり…」
みのりがステージの上で喋っているのを見て遥の胸が熱くなる。本当に自分のためだけにこれだけの物を用意してくれたのだ。
「ずっと私に希望を届けてくれた遥ちゃんのおかげでアイドルを目指して…こうやってステージに立ってます!だから、このライブで…今つらい思いをしている遥ちゃんに希望を届けます!それでは皆さん、楽しんでください!」
その宣言と共に音楽が鳴り始め、みのりたちのパフォーマンスが始まる。
「みのり…凄い」
(練習の成果バッチリね!声も出ているし振りも縮こまってない!)
(お客さんへの意識も出来てる、肩の力は抜けてないけど…一生懸命なのが伝わってくるわ!)
その姿に観客も盛り上がる。思わず遥の鼓動も速くなる。初めて会った時の拙いダンスからここまで上達しているとは。
(ううん、違う。単純な上達だけじゃない、みのりのパフォーマンスからはみのりの想いが伝わってくる。みんなに希望を届けたい、その想いが)
遥を救いたい、その一心でされるパフォーマンス。その一挙手一投足からみのりのまっすぐな想いが観客に伝わり歓声となる。
そのライブを最後尾の通路の影で葵も見ていた、そこに太陽が現れ声をかける。
「どうよ!いいライブだろ?俺的には遥にも負けてないね」
「…そうなんだ、僕は分かんないや」
「見たことないのか?」
「何回かはあるよ。でも、僕はアイドルとして見てなかったから…」
ステージのボルテージが上がっていき盛り上がりが最高潮になっていく、すると太陽が葵に近寄る。
「お、そろそろだぞ葵!きっとお前も気に入る演出だぜ!」
「は?それどういう…」
次の瞬間、ステージが真っ青になる。観客全員のペンライトが青色に輝く、最後尾だからこそ一面が染まっているのが分かり海のようだ。
「これって…!?」
「ここでライブしてると時々なるんだってさ。そこそこ盛り上げないとならないらしいから、クオリティ上げるの苦労したぜ。俺がやってるわけじゃないけど」
「凄いな…これ…」
「お前の部屋もこんな感じだよな、ま!特等席はここじゃないんだけどな!」
「特等席?」
そう、このペンライトの海を一番よく見える場所はここではない。その場所に立っている人物、パフォーマンスを終えたみのりが客席の遥に手を伸ばす。
「遥ちゃん!ステージに上がらない!?」
「!」
「ここからの景色を見せたいんだ!遥ちゃんが言ってた通り、ステージから見ると海みたいで…!この光の数だけ皆に希望を届けられたッて思うと…とっても胸が暖かくなって…だから!遥ちゃんにもまた見てほしいの!」
「みのり…でも私は…」
本当は自分もステージにまた上がりたい想いがある、でも無理なのだ。今も膝が震えている、観客として見ているだけなのにこれでは…
「大丈夫だよ、遥ちゃん!」
「へ…!?ミク、リン…!?」
「行くよ〜せーの!」
ミクとリンが遥をステージに持ち上げるとみのりが引きあげる。ステージの上にたった途端膝の震えが増す。立っていられなくなり、コケそうになる。
「だ、ダメ…私…!!」
「大丈夫よ、遥ちゃん」
「私たちが支えて上げるわ!」
両側から雫と愛莉が遥の肩を支える。するとみのりが遥の手を優しく包み込む。
「遥ちゃん、見て!」
「あ…」
みのりに促され顔を上げる。 そこに広がるあの日の景色、ステージから見た希望の光。
「…!綺麗…!!」
思わず言葉がこぼれる。やはりこの景色が自分は大好きだ、一瞬でも忘れようとした事が信じられない。そう思った時、スマホが輝き始める。
「え…」
「これって…」
「うわ〜!!本当の想いが曲になるんだ〜!!」
裏から拳治たちと見ていたはずのネライが走ってくる。その言葉に画面を見るとUntitledの名前が変わっていっていた。
「それじゃぁ…遥ちゃん…!」
みのりが少し涙ぐみながら遥を見つめると彼女もまた同じ顔で頷く。
「ごめんね、みのり…私も…やっぱりアイドルやりたいみたい。勝手だよね…真依の希望を奪って…色んな人に迷惑かけたのに…」
「そんなことないよ…だって…だって私は遥ちゃんのライブ見たいもん!」
感極まったのかみのりが叫ぶ。
「イィィィヤッッタァァァァ!!!」
「お前らって推しの復活をあれでしか表せないの?」
「はい」
遥の復活を喜ぶ一同を遠くから葵たちもまた見つめる。
「これで遥ちゃんはまたアイドルをやれるね」
「お前的にはどうなんだ?遥がアイドルやるのって」
「…決まってるでしょ」
葵は懐からスマホを取り出し外に出る準備を始める。
「彼女がアイドルだろうとなかろうと大切な幼なじみだ…だから、全力で応援出来るさ」
「へへ、だよな!」
「太陽くん」
スマホの変わり始めているUntitledを開きながら葵は太陽に伝える。
「僕は校舎裏の山で待ってる。終わったら来て」
「…分かった!」
葵の姿が消える、その頃ステージでは遥を加えた4人がUntitledが変化した曲でパフォーマンスを始めていた。
「っし!俺も準備するか!」
ーーーーーーーーー
裏山で立つ葵、後ろに聞こえた足音に振り返るとそこにはみのりたちが揃っていた。太陽をのぞいて。
「葵?みんなを呼び出してどうしたの?」
「…ここに来るまでに誰か説明しない?普通」
「しようしようとは思ったぞ」
「実行には移せなかったですけど」
「意味ない…」
「?」
遥に何も教えられていない状況に葵が呆れているとその後ろから紫苑が現れる。
「まぁ彼女こそ一番知るべき存在ではあるけど…気を使うのは当然だよね。それより…」
「…太陽くんは?」
葵が当然の疑問を口にする。そもそも太陽しか呼んでいないのに何故それ以外が揃っているのか。
「いや僕らも言われたから来ただけで…」
「後ろの人誰?」
「では、またこれで」
『ハカイドライバー!!』
「それ…!?」
葵と同じドライバーに驚きつつ正体を察した遥が烈と拳治を見る。
「二人とも!」
「なんだ?」
「いやなんだじゃなくて…変身!」
「したいです僕らも」
「彼らのベルトは奪わせてもらったよ」
「!?」
「色々あったのよ…」
知らない間にとんでもない事態になっている事に遥が驚いていると足音が聞こえる。振り返ると太陽か走ってきていた。
「太陽くん!」
「来たね、本命が」
「太陽はベルトあるの?」
「えぇ…でも2対1になるわね…」
太陽が黙ってドライバーを装着するとスフィアを装填し変身する。
『CHANGE THE TAIYO!!』
「真剣そのものだね〜。なら、僕らも」
紫苑がスフィアを取り出すと、それを葵が静止しながら前に出る。
「最後の1人…きっちり始末させてもらう」
『ハカイドライバー!!』
「葵…!?」
「あんた…遥の前でやる気なの!?」
その言葉に対しスフィアを取り出しながら葵は答える。
「言ったはずだよ、僕は僕のやり方で遥ちゃんの希望を守る」
『メテオ!!』『METEOR READY?』
「変身!」
『LETS ACTIVE METEOR!!』
巨大な腕が天体を持ってくると光が降り注ぐ、その光の中で葵が変わる。
オーソドックスなライダーマスクに流れ星のようなクリアパーツが装着され、左肩から流線的なアーマーが現れ全身が星空のように変わる。
仮面ライダーブル、メテオセレクトに姿を変えた。
「さて、行くよ」
その言葉を合図にお互いに向けて走り出す。タイヨウが大振りな拳を振るうも捌かれカウンターのパンチを顔にくらう。
「うっぷ!」
「ワタァ!」
思わず上がるタイヨウの悲鳴をかき消すようにブルが怪鳥音と共に顎を蹴り上げる、そこからさらに身体に高速のラッシュを叩き込むと右腕の機械ーーメテオギャラクシーのスイッチを押す。
『JUPYTER READY? OK! JUPYTER!』
ブルの右腕に木星をもした武装が現れタイヨウをおもいっきり殴り飛ばす。
「太陽くん!」
烈が思わず叫ぶ中タイヨウはゆっくり立ち上がるもダメージが大きいのか動かない。ブルは近づくと片手の指を胸に当てる。
「これで終わりだ」
「!!」
開いた指を閉じるように拳をぶつける。強烈な破裂音と共にタイヨウの変身が解ける、そして。
「ブファッ!!」
「!!」
口から大量の血を噴き出しそれがブルのマスクを染める。そのまま太陽は仰向けに倒れ動かなくなる。
「太陽くん!」
「みのり!いくな!」
思わず駆け寄ろうとするみのりを拳治たちが抑える。
「お前…!一線を越えたぞ…!」
「…」
その光景を横目に変身を解いた葵は紫苑の方を向く。
「くくっ、さすがの仕事っぷりだね葵くん」
「…さっさと今回の報酬をもらえる?あんな吐血まで食らったんだから良いものにしてよ?」
「なら…これを」
葵の言葉に紫苑は懐からスフィアを取り出し投げる。葵は受け取るとそれを手の中で弄び始める。
「それは便利だよ。戦闘でも対応力が高く、なおかつこないだ君に見せたような小型ガジェットをいくつも使えるんだ」
自慢気に紫苑が性能を語る中葵はスフィアをじっと見つめる、するとポツリと呟く。
「…色が好みじゃないな」
「…え?」
「色」
彼は手に持ったスフィアを紫苑にむける、そのスフィアは白い球体にオレンジでロケットが描かれている。
「僕は青色が好きなんだよね」
「す、すまない?それなら別のものを…」
「だからこれは」
葵が手を伸ばしながらスフィアにかけた指をゆっくり離していく。
「好きそうな人にあげよう」
完全に放たれたスフィアが落下していく、その先にあるのは太陽の…
「いったぁ!?鼻になんか落ちてきたんだけどぉ!?」
「「「「!?」」」」
大声を上げながら起き上がった太陽に一同が困惑する。
「あ!?これかぶつかったの!葵これ落としたのお前だろ!!」
「いや余りにも演技がひどくてムカついて…何その血?」
「これ?食紅」
「喋んないとおもったらそんなの口に詰め込んだの?」
困惑する面々をほって二人は話し続ける。その光景を見ていた紫苑は苛立った様子で叫ぶ。
「どういうことだ貴様ぁ!」
「うわ!急に叫んだ!」
「怒らせちゃった」
「説明しろぉ!」
何時もの平静さを失った紫苑を無視しながら太陽に手を貸し起き上がらせるとようやく話し始める。
「この言葉、今度は君に贈るね」
「あ?」
「君とは仲間なんかじゃない」
「!!」
紫苑を見つめながら放たれた言葉に思わず額に青筋が浮かぶ、それを冷めた目で見つめながら続ける。
「最初君が話を持ちかけてきた時点で信用してなかったんだよね僕」
「なぜだ!!僕の話の何処がおかしかったんだ!!」
「おかしいんじゃなくて信用出来ないって言ってるの」
そう言うと葵は紫苑の話の致命的な部分を指摘し始める。
「確かに、僕らには敵の規模なんか分からない。それで勝つと言い切るより君たちについていい汁吸う方が勝つ確率は高いかもね。だけど…そもそも妙な化物操る集団のボスを信用出来ないって話」
「!」
「勝つ確率よりも信用出来る方を選んだ…最もこの形は僕も予想外だけど」
本当は一人で何とかするつもりだった。自分が信用出来るのは遥とその遥のためなら自分は何だって出来るという決意だけだ、だがしかしそこに一つの誤算が生まれた。
「幼なじみのためなら何でも出来る、なんて言うバカがこの世には居るんだよね。そんなやつ…こっちを騙す頭は無さそうでしょ?」
「えっへん!ん?褒められてないのか今の」
「褒めてる褒めてる」
「ではえっへん!」
葵の言葉と太陽の呑気な態度に紫苑の頭から湯気が出ているのではないかと錯覚してしまう。
「そんな理由で勝算のない戦いに挑むのか!?バカみたいだと思わないのか!」
『シニカル!!』『LETS ACTIVE CYNICAL!!』
「確かに現状勝ち方なんて思いつかない、でも僕には大好きな言葉があるんだ」
怒りのままに変身したシニカルを前に葵も太陽と共に変身の準備をする。
「今日はダメでも明日はいい日になるってね!」『メテオ!!』
「ハハッ!!いいよなそれ!」
葵の宣言を聞いた太陽が鼻にぶつかったスフィアを起動する。
『フォーゼ!!』
起動したスフィアをベルトに装填し、右手を天にかざした後ベルトに戻し片手を胸の前で握る。
『THREE』
身体の横で合わせた手を前に持ってきながら葵は片手を突きだしもう片方は顔の前に持っていく。
『TWO』
2人が変身する前に叩き潰してやる、スニアが泥の弾丸を発射する。
『ONE』
「「変身!!」」
『CHANGE THE FOURZE!!』
『LETS ACTIVE METEOR!!』
弾丸が着弾と同時に爆発する。しかし、二人には傷一つない。地面から噴き出す煙に映し出されたエネルギー、巨大な天体から降り注ぐ光が2人を包み守りながら変身させる。
オレンジだった体色が白く変わり頭もロケットをもした形に変わる。宇宙に轟く友情の戦士、仮面ライダータイヨウフォーゼセレクト。
「それじゃ行こうか」
メテオセレクトに変わったブルが歩き出そうとすると顔スレスレにタイヨウの手が飛び出してくる、見てみるとタイヨウが四肢を全力で伸ばしていた。
「宇宙キターーーー!!!!」
「危ないよきみ」
「仮面ライダータイヨウ!タイマン張らせて貰うぜ!」
「一人で戦うの?」
満足した様子のタイヨウが手をこちらに向ける。自分にもやれというのか、少し考えるとベルトからイメージが伝わってくる。しょうがないから付き合ってやろう。
「仮面ライダーブル、お前の運命は…僕が決める」
「一人で戦うのか?」
「好きにしなよ」
「それじゃ一緒にだ!」
スニアが両手を広げると泥が滝のように流れる、そこから今までと比べものにならない数の戦闘員が現れる。しかし、二人にひるんだ様子はなかった。
「いっくぜー!!」
背中からガスを噴出したタイヨウが飛び込むように戦闘員の集団の中心に向かう。攻め込んで来る戦闘員に向かって強烈なテレフォンパンチ、ヘッドバットなどのヤンキースタイルで攻め立てる。
「こんなのもあるぜー!」
『ROCKET ON』
タイヨウの右腕にオレンジの巨大ロケットが装着されると炎が噴き出し戦闘員の群れを巻き込みながら空を飛ぶ、天高く上がると急降下しながら叫ぶ。
「タイヨウロケットパーンチ!!」
ロケットの勢いを利用した鉄拳が戦闘員の群れを粉砕する。
「次は一気に!」
『CHAINALLEY ON』
『CHAINSAW ON』
『POPPING ON』
『HAMMER ON』
四肢に様々なガジェットが装着される。地面をぴょんぴょんと飛び回りながら鉄球やハンマーで粉砕し、チェンソーできり裂く。
『LAUNCHER ON』
『GATLING ON』
『JAYRO ON』
「撃てー!!」
空中をプロペラで飛びながら重火器を連射していく。爆発と弾丸で戦闘員が吹き飛びながら穴だらけになる。
「次はこれ!」
『LIGHT ON』
『PEN ON』
『WATER ON』
『CAMERA ON』
タイヨウの右手に電球、右足に筆、左足に蛇口、左腕にカメラが装着される。
「…?」
『?』
呼び出したタイヨウも戦闘員も使い方が分からず首を傾げる、その様子を見たスニアが歯を鳴らす。
「あいつ…ふざけやがって…!」
「もう目移り?こないだまで僕推しだったくせに」
「!」
「ホワチャア!」
いつの間にか後ろに回り込んでいたブルが怪鳥音と共に顔を殴る。スフィアに宿った拳法の力、星心大輪拳がスニアに打撃を与えていく。
「ホワ!アタ!フ〜ワチャア〜!!」
「〜〜!!ふざけているのか!」
やすいカンフー映画のようなブルに苛立ち泥の壁を作るが。
『MARS READY? OK! MARS!』
火星を模した拳が泥の壁を容易く粉砕しスニアを殴り飛ばす。
「やっぱり、こないだの説明から引っかかってたんだよね」
『見た目は泥だけど…実際はこのスーツや戦闘員を生み出すエネルギー。それをこのドライバーの能力で操作する、僕の基本戦術さ』
「ドライバーの能力で操作、つまりは僕ならこの壁を簡単に壊せる。気に入ったの何だの言っといて不利な相手を消したかったわけだ」
「…!!」
ブルの言葉に苛立っているとその手に何かを握っていることに気づく。
「いい加減雑魚の相手は飽きただろうし、交代してあげなよ!」
そういいながら拳治と烈に手の物を投げる。
「っと…これ」
「僕たちのドライバー!」
「いつの間に…!」
「殴った時に落としたよ、不用心だね」
取り戻されたベルトを装着しながら二人は前に出る。
「あいつ…これで許されたと思うなよ…?」
「まぁそう言うなよ、ほらこんなのも来てたからやるよ」
拳治が自身とは別に投げ渡されたスフィアを烈に渡す。これで気が済むことはないが今ブルと喧嘩している場合じゃない。
「あとで覚えとけよ!」『クイズ!!』
「はいはい、その時は手伝ってやるよ」『スマッシュ!!』
「「変身!」」
『MY LOCK QUIZ!!』
『START ABILITY SMASH!!』
クリムゾンの制服が消え◯と☓の描かれた装甲が装着されクイズセレクトに変わる。
「行くぜ!」
「…これどう使えばいいんだろう」
もらったから使ったがクイズで戦うとは?難しい問題を出したとしてマルバツでは結局半分の確率で正解される。頭を悩ませていると近づいてきた戦闘員の頭を掴みアイアンクローする。頭を掴んだ時、名案が浮かぶ。
「そうだ…!問題!」
頭を掴んだ戦闘員の方を向くと拳を握る。
「俺はお前を殴る、◯か☓か!」
とんでもない問題だ、戦闘員も泣きそうになりながらせめて正解しようと両手で◯を作る。
「正解は〜?」
次の瞬間、戦闘員を蹴り飛ばし他の軍団にぶつけると不正解のペナルティの落雷が戦闘員を焼き払う。
いい方法を思いついたとばかりに今度は並んだ戦闘員を見つめ問題を出す。
「俺は左を殴る、◯か☓か!正解は〜?」
走り寄ってくるクリムゾンを前に指定された方が必死で◯を、もう一人が必死に☓を作る。そして右の方を殴るとそのままの勢いでもう片方にぶつけながら吹き飛ばし不正解ペナルティに両方巻き込む。
「それでは最終問題です」
『ENEMY LOCK QUIZ!!』
戦闘員の前に巨大な◯と☓のパネルが現れ問題が唱えられる。
『この必殺技はどっちから出てくるでしょうか?』
何処からともなく鳴り響いてきて音声だけでは判断がつかない、戦闘員たちはきれいに半分ずつ◯と☓に並ぶ。
『ファイナルクイズフラッシュ!』
「クエスチョンヒール!!」
◯から飛び出してきたクリムゾンの必殺技が戦闘員をきり裂く、半数が犠牲になったがそれでも半分は残った。反撃のために振り向くと、再びパネルが現れる。しかし今度は左右反対…今☓に並んでる戦闘員は◯側に立つことになる。
「2連打ァ!」
連発された必殺技に戦闘員が切り裂かれる。その一方でスマッシュも必殺技を発動させる。
『MASTER ABILITY SMASH!!』
「ストロング!スピンキック!!」
スマッシュの放った回し蹴りにより戦闘員が全滅する。これで残るはスニアのみだ。
『CLAW ON』
「おりゃあ!!」
「くっ!」
紫の爪を装備したタイヨウの攻撃に対して泥の壁を作りガードする、しかし。
「葵!」
「任せて!!」
『SATURN READY? OK! SATURN!!』
土星を模した装備から飛び出した光輪が壁を切り裂くとそこからタイヨウが侵入し強力な頭突きで吹っ飛ばす。
「決めるぜ、葵!」
『FINISH THE TAIYO!!』
『ROCKET DRILL LIMITBREAK』
「あぁ!」
『FULL ACTIVE METEOR!!』
『METEOR LIMITBREAK』
「舐めるな!」
『FULL ACTIVE CYNICAL!!』
スニアが泥を展開する、戦闘員としての形に変わろうとしたそれが歪み頭上に光球として吸い込まる。命として生まれるはずだった物をただのエネルギーとして放つ。
「消え失せろぉーーー!!!」
怒りのまま放たれたそれに対しライダー二人は叫び返す。
「タイヨウロケットドリルキーーーーック!!!」
「ブルーメテオストライク!!」
2人の飛び蹴りが光球を容易く粉砕し、防御の泥の壁を貫きスニアをも貫通する。着地と共にタイヨウがドリルで回転すると同時にスニアが爆散する。
「ぐわあぁぁぁああ!!!!」
悲鳴と共にスニアの変身が解ける、しかし。
「まだだ…まだ!」
スフィアを握りしめながら立ち上がろうとする紫苑。その時、その足場に泥が噴き出す。
「!?戻れって言うのか…くそ!」
何かの意思を察したのか紫苑はそのまま泥に飲み込まれる、最後まで残る目で睨みつけながら叫ぶ。
「後悔するぞ…次はもっと恐ろしい目にお前らを合わせてやる!!」
その言葉を最後に完全に消える。タイヨウたちは変身を解除しながら見つめ合う。
「そういや君、人間相手に戦ったけどよかったの?」
「あ~それなんだけどさ、お前に殴られた時にさ」
変身を解除されたブルの拳、あの時葵が本気で遥を救おうとした気持ちが不思議と伝わってきた。
「だからあいつとも、殴り合ってわかり合うさ!」
「ヤンキー漫画じゃあるまいし」
「あ、そうだ!」
フォーゼスフィアを使っているうちに不思議と伝わってきたビジョン、それをやるために手を差し出す。
「ん!」
「え?」
「ん!」
戸惑いながら葵がその手を掴むすると腕を一度組んだあと握り拳に変え上、下と叩く。
「なにこれ?」
「ダチの証だ」
「…」
太陽の言葉に黙っているとこちらに向かって走ってくる遥たちが見える、それを見つめながら太陽に告げる。
「君の友達になったつもりはないんだよね」
「んなっ!またそれかよ〜」
「葵!大丈夫!?」
「お前一発殴ら…んぐっ!?」
「やめとけ」
「また首を掴まれてる…」
「恒例みたいになってるわね」
「ふふ、仲良しね」
それぞれの会話をするなか遥は葵に問いかける。
「ねぇ葵…私、またアイドルするんだけど…応援してくれる?」
遥が少し不安そうな表情を浮かべると葵は穏やかな表情をしながら答える。
「動画のネタ、考えないとだね」
「…!うん!」
その葵の肩を太陽が掴む。
「それじゃ葵!これからは葵も手伝ってくれるよな!」
「…まぁ、君たちが変なことしないか見ときたいしね」
「しゃ言質とった〜、これからは4人でアイドルとして頑張ろう!」
「スカウト成功だな」
「ツッコミが一人はキツイと思ってたわ、頼むで」
「!?ちょっと待って何の話!?知ってる遥ちゃん!?」
「私何も知らないや…みんなは?」
「「「知らない」」」
「ちょ、説明ーー!!!」
設定
仮面ライダータイヨウ フォーゼセレクト
仮面ライダーフォーゼ、ベースステイツの力がこもった姿。多数のモジュールを使い分けた戦闘を得意とする。
仮面ライダーブル メテオセレクト
仮面ライダーメテオの力がこもった姿。拳法を使った近接戦闘が得意。
仮面ライダークリムゾン クイズセレクト
仮面ライダークイズの力がこもった姿。スニアとは違い自分の行動をクイズにして解答をコントロールする。
次回
『第七話 BEYONDS結成編エピローグ&おまけ短編集』