プロジェクトセカイ feat  仮面ライダー   作:ミッツー116

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新章第一話。
色々詰め込めれて楽しかったです。その割に文字数少ないけど。
BEYONDS短編入れ忘れがあったので一つ増やしました。


今回出てくる1-A座席表


◯  ◯  ◯    ◯  龍我  こはね
◯  ◯  ◯    ◯  ◯   剣
◯  ◯  みのり  ◯  ◯   ◯
◯  ◯  志歩   ◯  ◯   ◯
◯  ◯  太陽   ◯  ◯   ◯
◯  ◯  ◯    ◯  ◯   ◯


第一話

 

 

 ーー生きるとはどういうことだろう

 人ならふと考えてしまうこともあるだろう。その答えをいつの日か見つけたり、考えても無駄だと諦める、あるいは意味などないとひねくれてしまうのか。

 

 

 ーーでは死とはなんだろう

 生きることとは違って考えない人も多いと思う。生きてるうちから死の事など考えたくないし当然かも知れない。

 

 

 ーーある日、俺は唐突に理解した

 死とは何なのか、人が死ぬというのがどんな時なのか。

 

 

 ーーそれを理解した日からずっと、自分の生きる道を探している

 

 

 

 ある日、街が暗闇に包まれ月だけが輝く空で異常な事が起こっていた。巨大な影と影が何度もぶつかっては離れていく。

 片方は人型、手には自身の半分ほどもある剣と銃を持っている。

 片方はノッペリとした身体に背びれと尾びれを携えた巨大なジンベイザメのような怪物、ホエールシャークノーネイムだ。

 ホエールシャークは身体を大きく振り回しその巨体でもう一体を吹き飛ばす。

 人型が空中で体勢を立て直すとホエールシャークが大きく息を吸い込む、するとその中に水が溜め込まれていくのが見えこちらも銃を向ける。

 銃口から出た閃光が放たれたと同時にホエールシャークが大量の水を放つ。互いの攻撃が直撃しホエールシャークは天高く吹き飛び人型はバラバラになりながら地上に落ちていった。

 

 

 「ん?なんか落ちてきた?」

 

 

 路地裏で水を飲んでいた中性的な少女が近くのゴミ捨て場の異音に気づき近づく、そこには銃をもしたバックルのようなものが落ちていた。

 

 

 「ん〜?なんやこれ」

 

 

 袋にも入れず剝き出しで捨てたのか、何となく気になり拾い上げる。汚いとは思うが放っておけず懐にいれると近くの建物に入っていった。

 

 

 「うわぁ!?なに!?」

 「なんか落ちてきたね」

 

 

 少し離れた場所で男女の二人組も同様の状況に出くわしていた。こちらは腕を模したものと刀を模しているものだ。

 

 

 「え?何で空からこんなのが…」

 「取り敢えず交番じゃない?」

 

 

 バックルを拾い上げると男はさっさと歩き始め女も着いていく。 三人にとって自分たちの運命を左右するものとの出会いとしては余りにも呆気ないものだった。

 

 

 「いってー…」

 

 

 また別の場所で一人の男が頭を押さえながら歩いている。手には地球儀を模したバックルを持っているが他の面々のような動揺はない。

 

 

 『相手のダメージも浅くない。今日はもう出てこないだろうな』

 「鼻から変なニオイがする…ゴミ捨て場に突っ込んだぞおい…」

 

 

 スマホから聞こえる声に耳を傾けながら鼻の違和感をどうにか拭おうとする。怪我などはないが散々だ。

 

 

 「…やっべぇ、他のドライバーここらへんにないぞ」

 『そこまで遠くに落ちたわけではないと思うけどなぁ』

 

 

 男は自分の落ちた付近をしばらく漁るが目当てのものはない。ここではない場所に落ちたなら探すのは困難だ、明日交番にでも行くかと夜空を見上げる。

 2色の目はホエールシャークが消えた夜空、その先のどこかを見つめていた。

 

 

 第一話  「一斉起動」

 

 

 朝、清々しい陽気が広がり始める中目覚ましの音で少女は目を覚ました。

 まだ眠い目元をこすりながらメガネをかけると部屋の中にある水槽に近づく、しかしその中には水は入っておらず別の用途で使われているのが分かる。

 

 

 「おはよう、パール伯爵」

 

 

 水槽の中身、ヘビのパール伯爵に挨拶すると洗面所に向かう。

 鏡の前にたち歯磨きを済ませるとヘアゴムを取り出し髪を細いツインテールにまとめる。

 

 

 「…ハァ」

 

 

 ルーティンのようになった流れの中で鏡の中の自分にため息を吐く。いつ見ても何の特徴もない自分に飽き飽きする、夢や目標もなく何か誇れるものもない事がコンプレックスだった。

 

 

 「…学校いかなきゃ」

 

 

 朝食を済ませ制服に着替えると家を出る。

 少し前に満開になった桜が散り始める季節になったのを見ると時の流れを感じる。入学して1週間ほどだが一瞬だった。

 

 

 (このまま、何もしないまま大人になるのかな)

 

 

 入学してから周りが新しく何かを始めたという話をよく聞く、それ以外にも将来に向けた勉強を高校から本格的に始める人も多い。

 逆に自分はどうか、将来やりたいことも見つけられず試しにいくつか部活なども体験したが何もピンと来なかった。

 

 

 「ううん、まだ諦めるのは速いよね」

 

 

 沈みかけた気持ちを何とか前に向けようとする。それに学校で良いことがなかったわけではなない。少ないが友達はできたのだ。

 

 

 「こはねー!!おはよう!!」

 「おはよう!こはねちゃん!」

 「声デカすぎでしょ…おはよう、こはね」

 「太陽くん!みのりちゃん!志歩ちゃん!おはよう!」

 

 

 教室のドアを開けると同時に大きな声で挨拶が飛んでくる。目を向けると大きく手をブンブン振りながら笑顔を見せるオレンジ髪の少年と茶髪の少女。その横で呆れた顔をしながらも銀髪の少女も小さく手を振っている。

 

 

 「おはようこはねちゃん、今日も太陽くんたちは元気だよ」

 「おはよう一之瀬くん。ふふ、朝から凄いよね」

 

 

 自分の後ろの席から銀髪の青年が話しかけてくる。入学してから今日までで仲良くなれたメンバーだ。

 主に太陽が片っ端から声をかけた結果最終的にこのメンバーで固まった。それともう一人、隣の席の中学からの同級生が主に話す相手だ。

 

 

 「おはよう、兜くん」

 「…おはよう」

 

 

 すこし気まずそうに返事をしてくるその男子を見つめる。

 白い頭髪に1本の赤いメッシュが入った赤と金のオッドアイ、染髪やカラーコンタクトで高校からがらっと見た目が変わった。

 中学の時は黒髪黒目でメガネだった彼が再会と共に別人になっていたときはひどく驚いたものだ。向こうも同じ中学の人間がいたことに驚いていたが。

 

 

 「龍我〜ご機嫌斜めか〜?」

 「朝なんてこんなもんだろ…」

 「太陽くんが元気すぎるよね」

 

 

 男子が集まって話すのを見ながら考える。仲良くしているメンバーだがどうも自分と比べてしまう。

 みのりや志歩は自分の夢に向かい日々努力しているし太陽の誰とでも社交的な一面は羨ましい、剣もサッカーの腕前が全国レベルだ。

 

 

 「…私もいつかやりたいこととか見つかるかな」

 『見つかるよ、きっと』

 「へ?」

 

 

 どこからか声が聞こえ周りを見回すも声の主であろう人物は見当たらない。こはねが首をかしげる中始業のベルが鳴り皆が席に戻っていく、その手元のスマホの光にこはねが気づくことはなかった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 「あれ…ないや…」

 

 

 放課後、とあるCDショップにこはねは来ていた。

 母親に頼まれてお使いに来たのだがどうやら売り切れてしまったようだ。

 

 

 「どうしよう…お母さんがっかりするよね」

 

 

 ここから家までにもうCDショップはない。母親を悲しませたくないこはねは携帯で他の店を探すことにすると近くの路地裏に支店があることを発見する。

 

 

 (あそこの通り…あんまり行かないしよく怖い人たちが出入りしてるんだよね…)

 

 

 何かトラブルに巻き込まれたらと思うと足がすくむ。しかし頼み事をしてきたときの母の楽しそうな顔を思い出す、もしこのまま帰ればきっとこちらを責めたりはしないが落ち込むだろう。

 

 

 (怖いけど…行ってみよう)

 

 

 店を出て神山通りと呼ばれる場所に向かう。

 建物が立ち並んだ結果日の光が入らず昼間にも関わらずすこし薄暗い、壁には落書きが立ち並びシャッターを閉じた店ばかりなのも恐怖を増長させる。

 

 

 (早く…終わらせなきゃ…)

 

 

 地図アプリに従い道を進んでいく。少し歩くと支店を見つけ中に入る。

 

 

 「あ、あった!」

 

 

 目当てのCDを見つけほっと息をつく。後は帰るだけ、そう思い外に出ると携帯をひらこうとする。

 

 

 「え…うそ…!?そんな!」

 

 

 電源を何度も押すも画面は暗いまま、どうやら充電が切れてしまったらしい。

 

 

 「ど、どうしよう…これじゃ帰れないよ…」

 

 

 家に帰る手段を無くし焦るこはね、誰かに道を聞こうとするも自分より大きな男性や派手な格好の女性に声をかけられずにいた。

 

 

 

 「…」

 

 

 その後方に突然人影が現れる。人影は焦るこはねの様子を見つめ近づこうとし、また離れる。

 

 

 「ハー…ハー…!」

 

 

 近づく、離れる、近づく、離れるを繰り返しながら遂に背後まで到達しゆっくりと手を伸ばす。

 

 

 「どうしよう…どうしよう…!」

 

 

 焦っているこはねは後ろの人影に気づかない。そして遂にその肩に手が置かれた。

 

 

 「…小豆沢」

 「きゃあ!?か、兜くん!?」

 

 

 近づいていた人影、龍我にこはねは驚いて大声を出す。なぜこんなところにいるのだろうか。

 

 

 「なんか困ってるみたいだが…どうした?」

 「あ、携帯の充電が切れて地図アプリをひらけなくて…家に帰れなくなっちゃったの」

 「そういうことか…」

 

 

 話を聞くと龍我はスマホを取り出す。

 

 

 「家何処だ?送って行ってやるよ」

 「え?そ、そんな!悪いよ!」

 「帰れないんだろ、ここらへん暗くなると危ないぞ多分」

 

 

 口ぶりからして龍我自身ここに詳しい訳ではないようだ。しかし実際怖い、ここは言葉に甘えようかと思ったその時。

 

 

 『待てよ龍我!ベルト探しはどうするんだ!』

 「へ!?」

 「そんなこと言ってもしょうがないだろ。小豆沢ほっとけっていうのか?」

 『そうかもしんないけどさぁ…』

 

 

 突然スマホから人間が飛び出すと龍我と会話を始める。異様な光景にこはねは目をパチクリさせるがしばらくすると正気を取り戻す。

 

 

 「か、兜くん…それ何…?」

 「え?あぁ…これは…ビデオ通話だ」

 「ビデオ通話…?」

 

 

 龍我の説明に信じられないという顔をするも自分が知らないだけかと一旦飲み込むことにする。それよりさっきの会話に気になることがあった。

 

 

 「兜くん、何か探し物をしてたの?」

 「あぁ…探し物っていうか…落とし物だな」

 「そ、それじゃあ私を送ってる場合じゃないんじゃ…」

 「いやでもな…」

 

 

 頭を掻きながら龍我は困った顔をする。お互い相手に遠慮をしている状況だ、とはいえ置いていくのも忍びない。

 

 

 『見つけてから送るってのはどうだ?』

 「結構探したけど見つかる気配ないだろ」

 『そのことなんだが…どうやら風が向いてきたみたいだぜ』

 「どういうことだ?」

 

 

 携帯画面から飛び出した男ーーセカイが笑みを浮かべながら告げる。何か打開策があるらしい。

 

 

 『誰かに拾われたのか痕跡があちこちにあって見つけられなかったが、どうも3つとも同じ位置で今止まってるんだ』

 「何でだ?」

 「あ、もしかしたら別々の場所で拾われたけど交番とかに預けられたんじゃないかな」

 「なるほど」

 

 

 セカイがドライバーのエネルギーを探知出来ると言うから手伝ってもらったが正解だった。二人は最寄りの交番に向けて歩き出そうとする。

 

 

 『ちょっと待て!逆だよ逆!』

 「へ?逆?」

 「それだと余計通りの奥に行っちゃうけど…」

 

 

 ひとまず指示通りに進んでいくと階段に出る。どうやら下に降りると何かの店に繋がっているようだ。

 

 

 「こ、この下に降りるのか?」

 「も、もしかしてとっても怖い人たちに拾われちゃったんじゃ…」

 「入らないの?」

 「「!?」」

 

 

 戸惑っている二人は後ろから声をかけられる。驚いて振り向くと中性的な女性が立っていた。

 

 

 「ごめんごめん、びっくりさせたな」

 「え、いや、その」

 「こういうとこ来るの始めて?」

 「あ…はい…」

 「ほな、ついてき。大丈夫怖ないから」

 

 

 そういうと女性は前に出て階段を降りていく。少し戸惑うが2人も着いていくき中に入る。

 中はカラフルな照明が部屋を染めながらステージのようなところで二人組の男女がパフォーマンスをしていた。

 

 

 「杏ちゃ〜ん、お客さんやで〜」

 「え?何〜?精神集中じゃなくて客引きしてきたの〜」

 「入口のとこに立っててさ〜んじゃ後よろしく〜」

 

 

 店員であろう人物に声をかけると女性はステージに向かって歩いていく。

 

 

 「え〜と、始めてくるお客さんだよね!同年代の女の子珍しー!隣の男子は?もしかして彼氏?」

 「ふぇ!?ち、違います!!」

 「それじゃ、友達?」

 「は、はいあの…ここって」

 「ここはWEEKEND GARAGE!!音楽とごはんを楽しむ場所だよ!今はバー営業に変わる前のカフェ営業中!」

 「WEEKEND GARAGE…」

 

 

 どうやら飲食店のようだが馴染みのない形だ。奥の方のステージでは何人かの客が頼んだであろう飲み物を持ちながらパフォーマンスを見ている。

 

 

 「セカイ、誰がベルト持ってるか分かるか?」

 『流石に特定はむずいな…ここなことは間違いないんだが…』

 

 

 一人一人話しかけるしかないのだろうか、あまり考えたくない選択肢だと思いながらステージを見る。

 

 

 「〜〜♪」

 

 

 女性が自らのパートを歌い上げている。人前であることを一切意識せず見事な表現力で歌い上げる姿に感心しているとサビが終わり間奏に入る。

 

 

 「んなっ!?」

 

 

 間奏に入ると男の方が前に出たと思うと身体が上下反転し高速で回転する。そして足を上に上げたまま急静止すると片手で身体を持ち上げそのまま飛び跳ね立ち上がったタイミングでラスサビが始まり歌い始める。

 

 

 「わぁ…!凄い…」

 「今やってるのは『カナリア』ってグループでね、私と同じ学校の子なんだけどダンス寄りのチームなんだよ。」

 「俺絶対怪我するわあんなの…」

 

 

 派手なパフォーマンスでの盛り上がりを維持したまま歌が終わる。客に手を振りながら二人組がはけていくと入れ替わるように先ほど声をかけてきたルミと呼ばれた女性がステージに上がると客席の女性から声が上がる。

 

 

 「ルミさ〜ん!!」

 「わ、凄い歓声が出てる…さっきの人だよね?」

 「ルミは女の子人気高いんだよね〜」

 「確かに…凄いかっこいいですもんね」

 

 

 中性的な外見も相まってすごく美形だ。手に持ったマイクを眺める横顔だけでも絵になる。

 音楽が鳴り始めたのを確認すると客席に向き直る。

 

 

 「それじゃあ…行くよ?」

 

 

 そのセリフと共にルミが歌い始める。先ほどの2人と比べると派手なパフォーマンスはなく時折客に向かって指を差したりなど程度だ。しかし歌唱力は上をいっているように感じる。派手に動いていた2人と比べるのも違うがそれでも上手いと感じる。

 

 

 「杏ちゃん!上がってきなよ!」

 「へ!?」

 「お!いいね〜。いい感じに盛り上がってるし混ぜてもらおうかな!」

 

 

 突然の誘いに杏はノリノリでステージに上がっていく。隣にいた人物が突然ステージに上がる事態に思わずこはねが戸惑う中マイクを受け取った杏が歌う。

 

 

 「〜〜!!」

 「…っ!!!」

 

 

 杏の声が店中に響く、ルミと比べても遜色ない歌声だなと龍我が感じていると隣のこはねの変化に気づく。

 頬が紅潮しキラキラした目をステージの杏に向け瞬きすら忘れているようだ。

 

 

 「凄い…!なんか…ドキドキする…!」

 

 

 こはねの胸の中を杏の歌が支配する。人生で感じたことのない鼓動が高まる感触に戸惑いながらもその歌を聴くのをやめられない。

 永遠に続くような衝撃、しかし刹那のようにステージが終わり杏とルミがこちらに戻ってくる。

 

 

 「ふ〜!気持ちよかった〜。どう?楽しんでくれた?」

 「はい!すごくかっこよかったです!ドキドキして…胸がいっぱいになって…」

 「私は?私は?」

 「あはは!ありがと〜!今日のステージはもう終わりだからまた来てくれたら嬉しいな!」

 「はい!」

 

 

 興奮したこはねを尻目に龍我は思考する。これでステージが終わりというならいよいよベルトを拾った人物を探し始めないといけない。正直憂鬱だ。

 

 

 「アンアン〜何話してるの?」

 「あ、翼!瑠璃!お疲れ〜。」

 「し、知り合い?邪魔しちゃ悪いかな…」

 「気にしすぎだよ瑠璃、始めて見る人だけどどなた?」

 「そう言えばまだ名前聞いてなかった!ねぇ名前…」

 

 

 杏が口を開こうとしたとき持ったままにしていたスマホからセカイが飛び出す。

 

 

 『近い!』

 「うわぁ!?何!?」

 「近いって何がだ?」

 『ベルトだ!多分今近づいた奴らの中に…』

 

 

 その時、セカイの言葉を遮るように扉が開き2人の男子が飛び込んでくる。

 

 

 「うわぁ!!彰人に冬弥!?」

 「お前ら外でろ!とんでもない事になってるぞ!!」

 「とんでもないこと?」

 「…まさか!」

 

 

 突然の言葉に龍我は何かに気づいたのか外に飛び出す。遅れてこはねたちも飛び出すと信じられない物を目にする。

 

 

 「な、何…あれ…」

 「魚…?」

 

 

 空にふよふよと浮かぶ巨大な魚体。形はジンベイザメのようだがこんな都会の真ん中、それも空を飛ぶなどどう考えても普通ではない。

 

 

 「セカイ!何でここまで気づかないんだ!」

 『特に暴れねぇと分かんねぇよ!俺等を探してふよふよしてんだろ!』

 「このポンコツレーダーが!」

 「か、兜くん…?」

 

 

 突然様子の変わった龍我にこはねが戸惑う。会話もなんだかおかしい、まるであのジンベイザメを知っているようだ。

 

 

 「仕方ない…何とか倒すか…」

 『そんな龍我に朗報があるぜ』

 「今度はまともな報告であれよ」

 『ベルトの位置が相当近い。これならお前が呼び出せば飛んでくるぞ』

 「なるほど…ナイスだ!」

 

 

 そういうと龍我は懐から地球儀のついたバックル、セカイドライバーと赤いゴテゴテしたスフィアを取り出す。

 

 

 「兜くん…?何する気なの…?」

 「小豆沢!危ないからみんなと店に戻ってろ!」

 

 

 そういうと龍我はスフィアを起動させる。それに連動するように他のスフィアも起動する。

 

 

 『ファング!!』

 『ウィング!!』

 『アーム!!』

 『レギンス!!』

 

 

 音声が思ったより近いことに振り向くとステージにいた三人の懐から光と共にスフィアとドライバーが出てくる。

 

 

 「うわっなにこれ」

 「な、何!?なんか光ってる!」

 「お、落とし物が変なことに…」

 「…本当に近いな」

 『よし!いけ龍我!』

 

 

 その言葉をうけ龍我はスフィアをベルトにはめる。するとベルトを腰の位置に下げたあと…上に思いっきり放り投げる。

 

 

 「え!?」

 『やれ!合体だ!』

 「行くぜ!ライドイン!」

 

 

 上に投げたドライバーから出た光が龍我を降り注ぐとそのまま中に吸い込まれる。他のドライバーも動揺に三人を吸い込む。

 

 

 「え、えぇぇぇぇ!?!!?」

 

 

 中に吸い込まれた龍我が赤い光で出来た通り道を落下しながら服装が変化していく。

 赤いライダースジャケットと真っ白に黒い横ラインの入ったズボン、最後にフィンガーレスのグローブが装着されると通り道を抜け椅子が4つ並んだコックピットの自分のベルトが置かれた椅子に転送される。

 

 

 「ダイナミックフォーメーション!!」

 

 

 叫ぶと同時に前面に設置されたレバーを上げる。

 モニターの画面に『DYNAMIC FORMATION』の文字が表示されると外側で変化が起きる。

 それぞれのベルトに取り付けられたスフィアからゴテゴテしたパーツが分離すると巨大化しそれぞれ変形する。

 

 

 『ダイナミックファング!』

 『ファストウィング!』

 『アームタンク!』

 『レギンスブレード!』

 

 

 それぞれのパーツが恐竜、戦闘機、戦車、大剣に変わり宙を舞う。

 恐竜の尻尾が外れ足が折りたたまれるとコネクタが露出する。恐竜の頭が胴体にくっつくように首が収納されると胴体から上に向かって人間の頭が飛び出す。

 戦車の砲身が分離し車体が半分に割れると恐竜の腕が左右に伸ばされそこにキャタピラがかぶさると先端から巨大な手が生えてくる。

 大剣は刃部分が外れると2つに別れ足のコネクタに接続されると先が折れて足になる。

 戦闘機は尻尾があった位置にそのままくっつき尻尾は大剣の持ち手とくっつき新たな刃となる。

 砲身が折り曲がり持ち手となるとそこを掴み銃にする。

 

 

 「完全合体機人!!ダイナミック・ジン!!」

 

 

 合体完了とともにコックピットで龍我が叫ぶ。その様子を他の席に転送された三人が見つめる。

 

 

 「!?なんでいるんだお前ら!」

 「いや今気づいたんかい!」

 「何なんだよこれ…」

 「わ、わ、私どうなっちゃったのぉ!?」

 

 

 突然の事態に4人全員が戸惑う。特に突然ロボットに乗せられた三人のショックは大きい。そんなときモニターからセカイが出てくる。

 

 

 『どうやらドライバーの適合者だったらしいな。いや、もしかしたらコイツらが拾ったのもドライバーの方が引き寄せられたのかもしれない』

 「これ今までどおりで大丈夫なのか!?」

 『出力が上がってることだけ気をつけろ!下手すると街に被害だ!』

 「了解!」

 

 

 ダイナミック・ジンが剣を何度か振るって出力を確かめる。4人だから単純に4倍というわけではないがそれでも倍以上の出力が出ているようだ。

 

 

 「ダイナミック・ジン!レディーーゴーー!!!」

 

 

 叫びとともに空飛ぶホエールシャークに向かって飛ぶと両者へ勢はいよくぶつかり、ホエールシャークだけが大きく吹っ飛ぶ。

 

 

 「ボエッ!?」

 

 

 以前戦った時よりパワーが跳ね上がっていることに戸惑っているとジンの剣撃がその巨体を切り裂く。

 思わず悲鳴を上げるとその隙に足でさらに上空に蹴り上げられる。

 

 

 「よし!いける!」

 

 

 吹き飛ばされたホエールシャークがヒレを思いっきり振るうと魚群が飛び出してくる。

 

 

 「オキアミってやつか!?」

 

 

 魚群から逃げるように飛び回るジン、しばらく続けるもキリがないと判断したのが向き直るとその瞳に光がともる。

 

 

 「ダブルイレイザーガン!!」

 

 

 両目からビームが放たれ魚群を焼く。予想以上に戦況を有利に運べていることに手応えを感じていると空のホエールシャークが大きく口を開く。

 

 

 「またこないだの水攻撃か!今度は負けねぇ!!」

 

 

 銃で迎撃しようとしたときモニターに新たな文字が表示される。

 

 

 「これは…!?必殺技ってやつか!よし!」

 

 

 再びレバーを押し上げるとジンの身体が緑色に輝き始める。モニターのメーターがどんどん上がっていき、最高地点まで到達する。

 

 

 「エネルギーフルチャージ!ターゲットロックオン!ツインウェポンアクティブ!」

 

 

 全身にたまったエネルギーが武器に充填される。剣で大きく円を描くと巨大なサークルが現れそこに銃身を突っ込むと胸の恐竜が口を開く。

 

 

 「テラクロスストリーム!!」

 

 

 龍我が技名を叫ぶとともに恐竜の口から大きな衝撃波と銃身から極太のビームが放たれる。衝撃波でコーティングされたビームとホエールシャークの水がぶつかり合うも一瞬の拮抗も見せる事なく押しのけ爆散させる。

 

 

 「終わった〜…」

 「これで帰れる…」

 「!見て!あれ!」

 

 

 安堵している他の2人を置いてルミが叫ぶ。指を差した先ではホエールシャークの爆煙から何かが飛び出していた。

 人型だがホエールシャークと同じような背びれの周りに小判型の吸盤、両腕にもヒレのような物が付いている。コバンザメ型の怪人、レモラノーネイムだ。

 

 

 「もう一体いたの!?」

 「違う!同じ怪人だ!こないだもそうだった!」

 

 

 先日この街で出会ったときはレモラの姿だった。戦いが劣勢になったと見ると巨大化しホエールシャークに変わったのだ。

 こちらも合体で対抗したが連戦のエネルギー不足で負けてしまった。

 

 

 「…不味い!?」

 

 

 地面に急降下したレモラはそのまま地面を滑るように高速で移動しながらある地点を目指す、そこには。

 

 

 「へ!?」

 「小豆沢!!」

 

 

 下で戦いを見ていたメンバーからこはねを掴むとそのまま逃げ去る。人質、そして不要になったらそのまま糧にしようというのだ。

 

 

 「追わなきゃ!」

 「この巨体じゃ町中薙ぎ倒す事になるよ!」

 「じゃあどうすれば…」

 「問題ない!」

 

 

 焦る三人を制した龍我がコックピットのドライバーを腰に巻きつけると再び弓を操作する。

 

 

 「ライドオフ!」

 

 

 そのセリフとともに龍我の身体が天井に吸い込まれ再び光の道を通る。

 その中で上から小型化したダイナミックファングのパーツが降ってくると全身に装着される。

 腕は2つが一つにくっつくと右手に強化アームとして取り付けられ顎が胴体を背中から噛みつくように装着される。

 尻尾はそのまま腰に装着されると光が残りの部位の強化スーツと竜を模したヘルメットをかぶせ変身が完了する。

 赤き竜の戦士、仮面ライダーレックスへと変形した。

 

 

 「すぐに助けてやるぞ小豆沢!!」

 

 

 両足からローラーが出てくると高速でレモラを追いかけ始める。

 それを眺めながら合体を解除されたメンバーはそれぞれのロボに変形しながらコックピットが分割され孤立していた。

 

 

 「これって…」

 「私たち…」

 「落ちる〜〜〜!!!???」

 

 

 爆音が後ろで響くのを無視しながらレモラを追いかける。スピードはこちらが上なのか距離が近づいていくと相手もこちらに気づきヒレを振るうと光の刃が飛んでくる。

 

 

 「当たるかよ!」

 

 

 イナバウアーのような体勢で初撃を躱すと続く刃を壁を垂直に駆け上がる事で回避する。こちらに追いつかれると判断したのか手に持ったこはねを見せつけるように突き出す。

 

 

 「キシャシャ!!」

 「手出し出来ないだろってか?確かに、でもな…」

 

 

 相手の真似をするようにこちらも右手を前に突き出す。

 

 

 「手を伸ばすことは出来る!」

 

 

 そう叫ぶと右手が勢いよくワイヤーで射出される。予想外の光景に驚いているとその手がこはねの身体を捕まえる。

 レモラは何とかその手を離そうとするが中々離れない。

 

 

 「そ〜らよっとぉ!」

 

 

 ワイヤーが急速に縮むとレックスが勢いよく近づいてきて思いっきり蹴りを顔面にぶつける。そのままローラーを高速回転させ顔を削るとたまらずレモラがぶっ飛びこはねを離す。

 

 

 「大丈夫か?小豆沢」

 「う、うん。ありがとう…」

 

 

 こちらにお礼をいうこはねは何でもないよう振る舞っているが足が震えている。それをみたレックスは懐から3色のスフィアを取り出す。

 

 

 「こいつとは中学からの長い付き合いなんだ…お礼はさせてもらうぞ!!」

 『オーズ!!』

 

 

 起動させたスフィアをベルトにはめるとそのまま弓を勢いよく戻す。

 

 

 『CHANGE THE OOO!!』

 『タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タトバタ・ト・バ!!』

 

 

 空中に赤、黄、緑の球状エネルギーが現れるとそれぞれ頭、上半身、下半身を包み込む。

 頭はタカを模したヘルメットに変わり上半身にはトラを模したクローが右腕に装着、足は緑色に変わっていた。

 仮面ライダーレックス、オーズセレクトに変身するとローラーではなくジャンプで距離を詰める。

 

 

 「おらよ!」

 

 

 右腕のクローで思いっきりレモラを斬りつける。火花を散らしながら相手も反撃してくるがタカの力を宿したヘッドの視力の前ではかすりもしない。

 そもそもこの怪人の戦闘力は高くない、変形さえなければ前も勝っていた。そしてもう同じ真似はさせない。

 

 

 「ふん!」

 

 

 バッタの脚力で思いっきり蹴飛ばす。負けを悟ったのか背中を向けて逃げ去るレモラを見つめながらその手にオーズの専用武器、メダジャリバーを取り出すとベルトを操作する。

 

 

 『FINISH THE OOO!!』

 「セイヤァァァァ!!!」

 

 

 掛け声とともに剣を振るうと光の軌跡が街ごとレモラを切り裂く。そのままゆっくりと景色がずれていくも途中で止まり、巻き戻しのようにすべてが戻るとレモラだけが爆散する。

 それを見届けたレックスは変身を解除する。

 

 

 「俺の勝ちだ」

 「あ!いた!お~い!」

 「ん?」

 

 

 自分を呼ぶ声に振り向くと杏たちがこちらに手を振りながら近づいてきていた。

 

 

 「どうした?」

 「どうしたじゃないよ!みんな動かし方も戻り方もわかんないからずっとロボが横たわってるんだけど!?あとちゃんと説明して!」

 「あ~そりゃそうか…でもな…」

 

 

 龍我は空を見上げるとこはねの方に向き直る。

 

 

 「もう遅いし、明日にするか。小豆沢を家に送らないとだしな」

 「へ?」

 「あいつらに操作教えるなら…これでいいか」

 

 

ーーーーーーー

 

 

 「それじゃあ、また明日な」

 「うん…また明日」

 

 

 家の前、こはねは自分を送ってくれた相手に礼をいいながら手を振るがその視線は高い。

 

 

 「よし、飛ばせ」

 「い、行くよ〜?せー、の!」

 「うぉ!?」

 

 

 暴風を放ちながらダイナミック・ジンが空を舞う。光の軌跡を残しながら空中を上下左右に乱舞だ。

 

 

 「止め、止めろーー!!落ちるーー!!」

 「止め方わかんない!止め方わかんない!」

 「お母さーん!お父さーん!翡翠ー!」

 「死ぬーー!?」

 

 

 夜空に響く悲鳴を聞きながらこはねは思った、大変な事に巻き込まれてしまったなと。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 怪人のセカイ、そこに設置されたデスクでショートヘアの男がモニターを見ていた。

 その画面にはダイナミック・ジンがホエールシャークノーネイムと戦闘する姿が映されている。

 

 

 『テラクロスストリーム!!』

 「データにない挙動に戦闘力の向上…人数が増えたことが原因か、新たな調査が必要だな」

 

 

 そういうとパソコンを操作し今のデータを何かに組み込む。

 

 

 「さて…どうなるかな」

 

 

 そう呟く視線の先には無機質な人影が大量に並んでいた。

 

 

 




設定
 完全合体機人ダイナミック・ジン
  ダイナミックファング、ファストウィング、アームタンク、レギンスブレードが合体した巨大ロボ。
  バランスの取れたステータスをしており扱いやすい。セカイドライバーさえあれば他のベルトに使用者がいなくても合体可能であり龍我は一人の頃から使っていた。


 仮面ライダーレックス
  龍我の変身するライダー。ローラーを生かした高速移動からの右手の強化アームによる近接戦闘を得意とする。
  アームからは衝撃波が放出でき攻守に転用出来る優れもの。


 仮面ライダーレックス オーズセレクト
  仮面ライダーオーズの力を宿した姿。右手のアームがトラアームへと変化しておりローラーが消えたりと変化が多い。他のメダルやメダジャリバーの召喚など対応力も広い。

 
 ホエールシャークノーネイム
  ジンベイザメ型の怪人。他の怪人とは比べものにならない巨体に加え人型ですらない。飛行能力や魚群攻撃、大量の空気中の水分を放出するなど多彩な能力を持つ。
  対抗手段のない相手にならとことん強いが同サイズのダイナミック・ジンに敗れた。


 レモラノーネイム
  コバンザメ型の怪人。ホエールシャークノーネイムの真の姿。地上での高速移動やヒレからの光刃などが使えるがそれほど戦闘能力は高くない。人間を捕食しようとした時に龍我と初交戦し、ホエールシャークに変形し打ち倒した。


次回予告
 「なぜ、こんなことになったかというと」
 「セカイにようこそ!歓迎するぜ!」
 「巻き込まれるのは御免だ」
 「こういうのはこだわらないと」

 『第二話  始動』
 「へ、変身!」
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