プロジェクトセカイ feat  仮面ライダー   作:ミッツー116

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今回のオリキャラ4人組は巨大ロボに乗るということで名前に元ネタをつけてみました。

兜 龍我 → マジンガーZ 兜 甲児
 
疾風 翼 → マクロスΔ ハヤテ・インメルマン

紅 瑠美 → コードギアス 紅月 カレン

宝田 瑠璃 → ssss.GRIDMAN 宝田 六花


男性陣は変形するパーツが下の名前になってます。女性陣はまたどこかで話す予定。
スパロボに出てるからGRIDMANはロボアニメ


第二話

 

 部屋に鳴る目覚ましの音で龍我は目を覚ます。まだ眠い目をこすりながらベットの上のメガネを取り出すと勉強机の方に歩き出す。

 

 

 「…ふーっ、よし行くぞ…」

 

 

 机の上のカラーコンタクトを取り出すと深呼吸する。一ヶ月ほど経ったがまだ慣れない。プルプルと震える指で何度かトライするとやっと入り瞬きをする。これをもう1回するのかと毎度辟易する。

 コンタクトを入れ終えると洗面所に向かい髪をセットする。こちらはなかなか慣れてきたのではないだろうか、いい感じにできている。

 

 

 「あんた…すっかり色気づいたわね」

 「…うるさいな」

 

 

 後ろからかけられた声に応える。振り返ると金髪の髪に寝癖を着けた姉がこちらを冷たい目で見ていた。

 

 

 「中学卒業した途端に髪染めだして…わかりやすく高校デビューね」

 「姉貴だって高校で金髪にしたくせに」

 「姉貴!!はぁ~カッコつけちゃって」

 

 

 こちらを馬鹿にした様子の姉をほってリビングにむかう。リビングに入ると部屋に置いてある仏壇に向かい手を合わせる。

 

 

 「おはよう、親父」

 「あら龍我、最近ちゃんとお父さんに挨拶するようになったわね」

 

 

 姉と同じく後ろに回って話す母親に血を感じながら立ち上がる。確かにこんなふうに父の仏壇に向かって手を合わせる事などなかった。すべてはライダーになってからだ。

 

 

 (今日はそこから話さないとかな)

 

 

 放課後またあの店で今日はこはねたちに昨日のことを説明しなければならない。窓から見上げた空は憂うつな気分とは裏腹に晴れ渡っていた。

 

 

 第二話  「始動」

 

 

 「また来ることになるとはな…」

 「でも、明るいと昨日ほど怖くないね」

 

 

 放課後、龍我とこはねは再び神山通りに来ていた。昨日は暗くてお化けでも出てきそうな雰囲気だったがまだ明るいこともありそういった様子はない。そこらにある落書きもしっかり見るとデザイン性があるのかもしれない。芸術に疎いので分からないが。

 

 

 「二人とも!」

 「この声…確かルミさ…」

 

 

 突然聞こえた叫び声に振り向く。そこにはルミが立っていたが昨日とは服装が違う。昨日は私服だったが今日は制服、それも自分たちと同じ宮益坂学園のものだった。

 

 

 「ルミさん…学生だったんですか!?」

 「えぇ!?ピチピチの高校2年生ですけど!?」

 「ピチピチて…」

 

 

 古い言葉遣いをしながら若さを主張してくるルミに呆れる。

 大学生くらいだと思っていたが思っていたより年齢差はなかったようだ。

 

 

 「…よし、入るか」

 「うん!」

 「ちょ、もうちょい話したいんやけど!?」

 

 騒ぐルミを無視して昨日二人で入った店に階段を降り入っていく。

 ドアを開けた中には共に戦ったメンバーと店員の少女がいた。

 

 

 「あ!やっと来た!」

 「宮益坂とここは距離あるからね」

 「ルミも一緒なんだ」

 

 

 中に入ると空いている席に適当に座る。すると待ちきれないという様子で杏が近づいてくる。

 

 

 「それじゃ!昨日のこと説明してよね!」  

 「分かった分かった、それじゃ早速…」

 『ちょっと待ったー!!』

 

 

 龍我が口を開こうとした時、大きな声が響く。聞き覚えのある声に携帯を取り出すとセカイが飛び出してくる。

 

 

 「わ!何これ!?」

 「どうしたんだよ?セカイ」

 『説明ならこっちでやれよ』

 「こっちって…こいつら入れないだろ」

 『ふふ、それはどうかな?』

 

 

 得意気に笑うセカイを見ると龍我は渋々と言った様子で携帯を操作しながら皆を集める。携帯から光があふれると6人を包み込み、収まるとそこには誰もいない。

 その時、扉が開くと2人の男子が入ってくる。それは昨日店に怪人の出現を伝えた2人だった。

 

 

 「ふむ、ここにいると思ったが…あてがはずれたか」

 「もういいだろ冬弥、巻き込まれるのは御免だ」

 「気になったが…しょうがないな」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 眩しい光に包まれたこはねの閉じた目にまた光が差し込む。しかし先ほどのような鋭いものではない、違和感を感じ目を開くとそこは先ほどまでの店内ではなく何処かの路地裏だった。

 

 

 「え、えぇぇぇ!?」

 「な、何!?また変なことに巻き込まれたの!?」

 

 

 突然の事態に隣の杏も戸惑う。この事態を引き起こした龍我は周囲を確認すると歩き出す。

 

 

 「位置的にこっちだ、ついてこい」

 「あ、ちょっと!」

 

 

 龍我に追いつくと隣に並ぶ。

 

 

 「急に歩かないで説明してよ!これなんなの!?さっきの誰!?」

 「着いたら説明する、よくよく考えたらあいつらの方が詳しい」

 「何処に向かって誰と話すつもりなのさ」

 

 

 質問攻めにあいながらも歩を進める。話す様子のない龍我に杏たちが不満げにしているとここまで口を開かなかった瑠璃が何かに気づく。

 

 

 「ここ…ビビッドストリートに似てない?」

 「ビビッドストリート?」

 「神山通りのことだよ。確かに、このラクガキとかまんまの見たことあるな」

 「同じ人が来て書いてるとか?」

 「こんな訳の分からない場所で?」

 「ついたぞ、ここだ」

 

 

 謎の空間への疑問が募る中龍我の指差す方を見る。そこにはガレージの立ち並ぶ一角に佇む喫茶店があった。

 

 

 「この店がなんなの?」

 「中に事情通がいるってことじゃない?」

 「んじょ、入るぞ」

 

 

 促されるまま続くように店に入る。中にはカウンターで洗い物をしている男とコーヒーを引く女性、奥のテーブルで男女が食事をしている。

 するとテーブルの男の姿をみてこはねがあることに気づく。

 

 

 「あ!携帯から飛び出してた人!」

 「お!来たな〜!!」

 

 

 こちらに気づいた男が嬉しそうに声をあげる。すると向かいの席の女性が立ち上がり近づいてくる。

 

 

 「ようやく会えたね、みんな」

 「へ!?あなたは…!」

 

 

 近づいてきた女性の容姿をみて驚く。

 裏地の青い英字のプリントされたパーカーに青と白の二重になったスカート。緑色の髪の根元をお団子にしたツインテールの少女、初音ミクがそこにはいた。

 

 

 「み、ミクちゃん…!?」

 「ど、どうなってんの…?」

 「ふふ、いい反応だねみんな」

 「初音、まずは説明から頼む。そのためにここに来たんだ」

 「それもそうだね、じゃあまずは何処から話そうかな」

 「その前にやることがあるだろう」

 

 

 驚くこはねたちを見ながらミクが話し出そうとした時カウンターにいた男が口を挟むと声をかけてくる。そのままカウンターを出てこちらに向かってくるその姿に思わず息を呑んでしまう。

 

 

 (お、おっきい…!)

 「…なんですか?やることって」

 

 

 カウンターでは分かりづらかったが男は相当デカい。身長が低い方ではない龍我や翼と比べても一回りほど違う。身長もだが筋肉が2人よりあるせいだ。

 女子陣を庇うように翼が前に出て対応すると目の前に長方形の紙が出され思わず受け取る。

 

 

 「注文しろ、店にはいったならな」

 「あ…はい…」

 「別に無理に注文しなくていいのよ?ま、味には自信あるけどね」

 

 

 予想外の要求に戸惑いながらもらったメニューを見るとウンターの女性も声をかけてくる。その茶髪の女性の姿もまた見覚えのあるものだ。

 

 

 「え…!今度はMEIKOまで!?本当にどうなってんの!?」

 「ふふ、注文が届いたら話し始めるね」

 「僕はコーヒーのブレンドで」

 「ウチはレモンティー!」

 「えっと…じゃあストレートを」

 「いつもの」

 「あいよ」

 

 

 注文を受けると男はカウンターに戻っていく。それを見ながら龍我たちは適当なテーブルに腰掛けると携帯から出てきた赤いパーカーの男が隣にくる。

 

 

 「いや〜!遂にこの日が来たか〜!待ちに待ったって感じだな!」

 「えっと…スマホから出てきてた人ですよね?」

 「そ!俺はセカイ!ここと同じ名前!」

 「ここって…お店の名前?」

 「え!?いや〜…もっと広い意味というか〜」

 

 

 どう説明するのが分かりやすいのか考えながら話しているのか手を捏ねながら上を見上げるセカイと名乗る青年。その様子を見かねたのかミクが近寄ってくる。

 

 

 「皆が入ってきたこの不思議な場所のことをセカイって言うんだよ」

 「入ってきたって…ここはどこなの!?」

 「皆の想いで出来た場所だよ」

 

 

 ミクはここについて詳しい説明を始める。誰かの胸に秘めた強い想いが時折不思議な世界を作ると。ここにある建物もミクたちさえも誰かの想いから生まれたものだ。

 

 

 「そんなこと…信じられないけど…」

 「彼女たちに嘘をついてる様子はないよ。ホントのことみたいだね」

 「まじか…」

 

 

 正直どんなぶっ飛んだ話が来るのか身構えてはいたがここまでとは予想外だ。想いがこんな空間になるとはとても信じられない。

 

 

 「ところで、誰の想いでできてるの?」

 「俺も知りたいな。まだ聞いてないぞ」

 「ん」

 

 

 翼と龍我の問いにセカイはこはねと杏を指差す。

 

 

 「え?」

 「正確には後2人いるらしいけど、2人がセカイに入れるのは想いの持ち主だからだ」

 「「えぇぇぇぇぇぇ!?」」

 

 

 名指しされた2人が声を上げる。他のメンバーも驚いているがよく考えるとベルトを持っていないのに入ってきてる時点で答えだ。

 

 

 「どうぞ、ご注文の品です」

 「あ、どうも」

 

 

 届いたココアを飲みながら一旦落ち着く。

 

 

 「意外に可愛いもの飲むね君」

 「甘党なんだ」

 「いいだろそこは」

 「それで、二人にはお願いがあるんだよね」

 「「お願い?」」

 

 

 ミクの言葉にこはねと杏が首を傾げる。

 

 

 「二人には本当の想いを見つけて欲しいんだ。それが歌になるのが私の望み」

 「本当の想い?」

 「ここの原点となった想い、皆の胸の中に秘めた夢とかかな」

 「夢…」

 

 

 こはねの表情がつい暗くなる。このセカイは自分の想いで出来ていると言われたがそんなこと信じられない。

 強い夢や目標がないからこそこんなに悩んでいるというのに。

 

 

 「夢かー、私はやっぱりお父さんのステージを超えることかな!」

 「…父親のステージ?」

 「杏ちゃんのお父さん…さっきの店のマスターはRAD WEEKENDっていうイベントをしたこの辺だと有名なアーティストなんだよ」

 「そう!伝説って呼ばれたステージをして、私の目標!」

 「…目標」

 

 

 目を輝かせる杏をこはねは見つめる。ステージでなぜあれほど彼女の歌に惹かれたのか分かった気がする。

 ひたむきな夢への想い、それが自分にはたまらなく眩しいのだ。自分もあんなふうになれたら。

 

 

 「それじゃあ、そろそろこっちの話もしてもらっていい?」

 

 

 一通りセカイの話を聞けたと判断したのか翼がドライバーを取り出す。

 

 

 「ふ〜ん、どっから話したもんかな〜」

 「まずあの化物の話から聞きたいもんだね」

 「それじゃあ…お~い、ツカ〜イ」

 

 

 カウンターの男を呼ぶ。どうやらあの男はツカイというらしい、セカイよりも変わった名前だ。

 

 

 「あいつらはノーネイム、とあるセカイから生まれた存在だ」

 「とあるセカイって?」

 「俺やセカイと同じ場所、一人の男から生まれた」

 「一人の男?それに同じ場所って…」

 

 

 手に持った洗い物を片付けるとそのままカウンターに両手をついて話を続ける。

 

 

 「俺とそいつは別の場所から来た。そこが何処かももう思い出せないがな」

 「セカイの中にいる生き物が外に出るのはよくあることなの?」

 「よくはない、だが不可能じゃない。外の人間の想いが干渉してこのセカイは生まれたんだ。こっちからも干渉出来て当然だろう」

 

 

 何らかの手段を用いれば外に出られる、だが方法までは知らなそうだ。前回の騒動で外にでなかったのもそのためだろう。

 

 

 「あいつらの目的は?」

 「そこまでは分からない。元々はセカイの持ち主を利用して外に出ようとしていたが…奴もおそらく元のセカイから追い出されたはずだからな。」

 「ノーネイムってのは外に出せても自分は無理なの?」

 「現状そう判断するしかない。おそらくノーネイムは生き物判定ではないんだろうな、ベルトと同じく外に持ち出せる物資と判断されているんだろう」

 

 

 無制限ではないのかもしれないがそれでも自分たちより軽い条件なのは確かだ。

 

 

 「今のところ目的として考えられるのは元いたセカイの持ち主を探しているか…自分が外に出るためにノーネイムを暴れさせる必要があるかのどちらかだな」

 「それで…彼を頼ったと」

 「へ?」

 

 

 いつの間にかココアの二杯目を飲み始めた龍我が惚けた返事をする。

 

 

 「そうだ、俺たちが見つけられたドライバーの持ち主はそいつだけだったからな」

 「俺が色んな奴の携帯回ってやっと見つけたんだぜ?大変だったー」

 

 

 ドライバーの時もそうだったがどうやら探知に長けているらしい。セカイに関わる人間だけだろうが人探しもできるとは。

 

 

 「それじゃあそんときの事でも話すか、そうだなぁ…朝から話してくれよ龍我」

 「俺かよ、まぁいいけど。なぜ、こんなことになったかというと…」

 「入り方独特だな」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 春休み、ベットの上で龍我は目を覚ました。ベット上のメガネをかけ、携帯で時間を確認する。もう昼間だ、長期休みだとどうにも生活バランスを崩してしまう。

 

 

 「『ショッピングモールに謎の大量負傷事件、蜘蛛男の目撃情報も!?』、なんだこのニュース。辛条くんは好きそうだけど」

 

 

 横たわりながらネットニュースを眺める。中学のライダー好きの同級生に送ってやろうかと思うが…流石に不謹慎なのでやめておく。

 

 

 「昼ごはん食べようかな…」

 

 

 眠い目をこすりながらリビングに向かう。父の仏壇を一瞬見るがすぐに興味を無くし机の上の書き置きを見つける。

 

 

 『なになに?冷蔵庫に昨日の残り物があるから温めて食べてね!!忙しいお母さんなんだなぁ』

 「まぁもう数年になるし慣れたよ…ん!?」

 

 

 突然聞こえた謎の声に驚き辺りを見回す。誰もいない部屋、テレビなどがつきっぱなしなわけでもない。気のせいかと胸をなで下ろす。

 

 

 『お~い、こっちこっち』

 「!?うわぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 声の方向に視線を下ろすと携帯から光る男が飛び出している。あまりの恐怖に絶叫しながら思いっきりソファに投げつける。

 

 

 『うぉぉぉおい!!酷すぎるだろ!!』

 「なに!?お化けぇ!!?」

 『だぁれがお化けだぁ!』

 

 

 一軒家のリビングに男子中学生と携帯の叫び声が響きわたる。はたから見るとおかしな光景だ。

 

 

 『ちょっとこっち来い!何もしないから!』

 「なんなんだよぉ…」

 『よ〜しよし、ほい』

 

 

 怯えながら近づいた途端携帯から光が飛び出す。収まると見知らぬ路地裏にいた。

 

 

 「う、うわぁぁぁぁ!!なんじゃこりゃぁぁぁぁ!!」

 「うるさいなぁお前」

 「おわぁ!!」

 

 

 後ろを振り返ると携帯から出ていた男が巨大化して後ろに立っている。もうキャパオーバーだ。

 

 

 「セカイにようこそ、歓迎するぜ!」

 「せ、セカイ…?」

 「ここの、そして俺の名前」

 「はぁ…」

 

 

 もう早く帰りたい、そんな思いが胸を支配しているとセカイが手を掴んで歩き出す。

 

 

 「ちょ、ちょっと!どこ行くんですか!」

 「MEIKOの店!立ち話もなんだしな!」

 「誰なのメイコって!?」

 

 

 引っ張られるまま店に連れて行かれ席に着く、何がなんだか分からず困る中MEIKOに声をかけられる。

 

 

 「ごめんなさいね、突然の事でびっくりしたでしょ?」

 「あ、まぁ…」

 「どうぞ、ご注文の品です」

 

 

 机の上にココアが置かれるが正直飲む気は起きない。突然連れてこられた店でバーチャルシンガーの経営する店で飲み物を出されるなど夢ではないのか。

 もう一人ここにいたバーチャルシンガーのミクもまたおかしな光景を生み出している。

 

 

 「セカイ、やっと見つけられてうれしかったのは分かるけど急に連れてきたらダメでしょ?ここに来るのが嫌になっちゃったら困るのはセカイだよ?」

 「うぅ…だってさミク…」

 「言い訳しないの、ちゃんと龍我に謝る。いい?」

 「分かりました…」

 「うん、いい子」

 「親子なの?」

 

 

 初音ミクの説教という今後人生で見ることはないであろう光景に思わずツッコむ。

 

 

 「ごめんよ龍我…俺テンション上がっちゃって…」

 「いやそれはもういいんだけど…僕ってなんで呼ばれたの?」

 「あ!その話する!?」

 「切り替え早いな…」

 「反省してないだろお前」

 

 

 セカイの反応に皆が呆れるなか意気揚々と話始める。

 

 

 「お前に頼みたいことがあるんだよ。え〜と…はいこれ」

 「…何これ?」

 

 

 セカイは懐からドライバーと灰色のブランクスフィアとゴテゴテしたパーツのついたスフィア、ファングスフィアの2つを取り出す。

 

 

 「これを使うとな、お前はすごい力を得られるんだ。世界を救うことも壊すこともできるくらいにな」

 「世界を…?」

 

 

 突然物騒な話をされたせいか胸がドキドキしてきた。目の前の男は何を言っているのだろうか。

 

 

 「それでな、似たような力を持ったやつが世界を壊そうとしてるはずなんだよ」

 「はずって…」

 「実際の目的自体はわかんないんだ、ただ外に出てまで悪党のやることなんか一つだろ?」

 「それを止めてほしいってこと?」

 「そうそう」

 

 

 セカイは龍我の手にベルトとスフィアを渡す。

 

 

 「まぁ考える時間もいるだろうから返事は今じゃなくていいよ。んじゃ、今日はこれで」

 「これでって…どうやって帰れば」

 

 

 言葉を言い切る前にセカイが龍我の肩に手を置く。すると次の瞬間には自宅のソファーに座っていた。

 

  

 「夢…じゃないのか」

 

 

 手の中のベルトとスフィアを見つめながら呟く。妙なことに巻き込まれた、もっと他に向いてる人がいそうなものだが。

 

 

 「はぁ…考えるのもしんどい、カラオケにでも行こ」

 

 

 上着を取りながら玄関に向かい外に出る。外はそろそろ桜が咲こうとしていた。

 

 

 「駅前のがいいよな…遠いけど」

 

 

 携帯のアプリのクーポンとにらめっこしながら考える。できる限り安く済ませたい、そんなことを考えると足に何かがぶつかる。

 

 

 「あ!ごめんよ、大丈夫?」

 

 

 視線を向けると小さな女の子が今にも泣きそうな顔をして見上げている。当たりどころでも悪かったかと考えていると少女が叫ぶ。

 

 

 「助けて!」

 「え?」

 「ママが…ママが…!」

 「お、落ち着いて。大丈夫だからゆっくり話してみて」

 

 

 ただ事ではない様子の少女を見て膝をつくと肩に手を置き諭す。単純な迷子とかでは無さそうだ。

 

 

 「おっきい虫さんが出てきて…ママが逃げなさいって…」

 「虫?」

 

 

 蜂に刺されでもしたのだろうか。とにかく現場に向かえばわかるだろうと思い少女の手をとる。

 

 

 「一緒に行こうか、案内できる?」

 「うん!」

 

 

 少女の先導を受けながら街を走る。しばらく進むと住宅街を抜けビル街の路地裏に出るとそこで信じられない物を見る。

 

  

 「……え?」

 

 

 地面に座り込んだ女性、その前に謎の人影が立っている。男が腕を振るうと女性の足に裂傷が刻まれる。

 

 

 「う…」

 「プシュルルル」

 「ママ!」

 「っ!行っちゃダメ!」

 

 

 目の前の母親に駆け寄ろうとする少女を止める。その横の人影があまりにも異形だったからだ。

 全身黄緑色、皮膚と言うより虫のような質感で両手が鎌になっている。顔の半分ほどを埋め尽くす大きな一対の球体はまさか眼球なのだろうか。

 カマキリを模した怪人、マンティスノーネイムは鎌を構えるとゆっくり近づいてくる。

 

 

 「っ!」

 『セカイドライバー!!』 

 

 

 咄嗟に懐からベルトを取り出し装着するとスフィアも取り出す。

 

 

 「えっと…こっちか!」

 『ファング!!』

 

 

 灰色のスフィアを投げ捨て派手なファングスフィアを起動させるとベルトに取り付ける。

 

 

 「へ、変身!」

 

 

 叫びながらベルトの弓を勢いよく操作しようとするとスフィアの外部パーツに干渉し弾かれる。

 

 

 『ERROR』

 「え!?」

 

 

 困惑するままベルトをどうにか操作しようとするも何度やっても弓はハマらないしスフィアのスイッチをもう一度押したりしても何も起きない。

 

 

 「あ…」 

 「フシュルルル…」

 

 

 いつの間にか眼前に迫っていたマンティスが鎌を振るうと顔を大きく切り裂かれる。

 

 

 「あぁぁぁぁぁあああ!!!!」

 

 

 激痛と共に傷口を手で押さえつけ地面にうずくまる。視界が真っ赤に染まり目尻に涙がうかぶ。逃げなければ殺されるかも知れない、焦りから急いで顔を上げるもそこには既にマンティスはいない。

 

 

 「早く逃げなさい!!」

 「ヤダ!ママも一緒!」

 

 

 足を切り裂かれ動けない母親から離れようとしない少女にマンティスが近づく。龍我の鮮血に染まった鎌をゆっくり舐め取りながら近づくその姿に再び龍我はベルトを動かそうとする。

 

 

 「動け…動いてよ…!」

 『ERROR』

 

 

 何度試しても同じ音声しかならないベルトを何度も拳で叩く。この際誤作動でもいいから何か起きてほしかった。

 スフィアのパーツは相当頑丈なのか殴った手に刺さり血が飛び散り始める。

 

 

 「動けっつってんだろ…!」

 『ERROR』

 

 

 片目が血で真っ赤に染まりながらベルトを叩く。視界の先でどんどん近づくマンティスを見て焦りが募る。

 

 

 『ERROR ERROR ERROR』

 「逃げなさい!」

 「ヤダ!」

 「フシュルルル!」

 

 

 いよいよマンティスが鎌を構える、それをみた龍我は両手を組むと思いっきり振り上げる。

 

 

 「動けぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 『E…RR…OR E…RR…O』

 

 

 バキッ!

 

 突如なったその音にマンティスは振り向く。視線の先では両手と顔から血を流した龍我の周りに何度も殴りつけた結果壊れて外れたスフィアのパーツが浮かんでいる。

 

 

 「変身…!」

 『CHANGE THE FANG!!』

 

 

 パーツが龍我にくっつきスーツを形成し、全身を包み込んだあと赤と緑のツインアイが光る。

 

 

 「変わった…」

 

 

 近くの窓ガラスに映った自分を見る。本当にテレビの中の特撮ヒーローのようだ。片目が血で染まったはずだが視界に異常もない、これもベルトの力か。

 

 

 「フシュルルル!」

 「!!」

 

 

 変身したこちらを驚異と判断したのか近づいてきたマンティスが両手の鎌を振るう。それに対しレックスは咄嗟に右手を盾にすると外装に包まれた腕が見事に受け止める。

 

 

 「う、ぁああああ!!」

 

 

 思いっきり声を上げながら腕を振り上げマンティスをはじき飛ばす。パワーも桁違いに上がってるのを感じながら今度はコチラから走り近づく。

 

 

 「おらぁ!!」

 

 

 力任せに振り下ろされた腕がマンティスの防御を崩し身体を爪が切り裂く。ほんの数秒の攻防、しかし既にレックスは肩で大きく息をする。

 当然だ、生まれてこの方喧嘩などしたことがない。しかも化け物との命がけの戦いだ、胸の鼓動が速くなるのを感じる。

 

 

 「フシュルルル!!」

 「ッ!!」

 

 

 カマキリの威嚇のようなポーズでこちらに走り寄るマンティスに対し再び右腕で防御しようとする。しかし今度は相手が走ってきた勢いが加わり腕が叩き落とされそのまま斬り上げでこちらが吹き飛ばされる。

 先ほどの光景を入れ替えたようだ。

 

 

 「がっ!う、ぐぅ…あぁ…!!」

 

 

 地面を転がりながら苦痛に呻く。身体に走る激痛に涙が流れそうになる。なぜ自分がこんなことをしているのかと文句が浮かびながらも身体に異変を感じる。

 

 

ドクン

 

 

 「ハァッ…、ハァッ…、ハァッ…!」

 

 

 息が荒くなる、心臓の鼓動が速くなり、視界が狭まるもその中心に敵の姿をしっかりと捉える。全身に血が巡り身体が芯から熱くなるのを感じながら右手を開く。

 

 

ドクン ドクン

 

 (なんだ…この感覚…)

 

 

 死を目前にしておかしくなってしまったのかもしれない。そんな様子を気にも止めずに優勢と判断したのかマンティスが鎌を振り上げながら走ってくるその瞬間、レックスの姿が消える。

 

 

 「ギギッ!?」

 

 

 突如身体に衝撃と痛みが走りマンティスが止まる。自分の身体に刻まれた横1本の傷。

 振り返ると両足からローラーを出したレックスが爪を構える。

 

 

 (頭がどんどんクリアになってくる…身体は無茶苦茶熱いのに…)

 

 

 マンティスが怒りで吠えながら近づいてくるのを何処か遠巻きに見つめながら車輪が回る。高速で近づいたレックスが相手の鎌を下から打ち上げると同時にその場で360°回転する。

 次の瞬間、マンティスの両手は宙を舞っていた。

 

 

 「ギッ…!!」

 『FINISH THE FANG!!』

 

 

 右腕から赤い光が漏れ出す中マンティスを思いっきり足払いし転ばせると踏みつける。反撃の隙を与えぬようローラーで腹部を削り取りながら振り上げた腕で頭を掴む。

 

 

 「レックスビットフィンガー!!」

 

 

 手の平から衝撃波が直接マンティスの内部に浸透していく。身体が赤熱化していき身体が徐々に膨張していく。

 

 

 「グキャァァァア!!!」

 

 

 限界に達したのか断末魔を上げながらマンティスが爆発する。至近距離でそれを見届けると身体から熱が急速に引いていくのを感じる。しばらくしてようやく動く気になりベルトからスフィアを抜き変身を解く。

 

 

 「………」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 「とまぁ、これをきっかけに仮面ライダーとして戦うことになったんだよな」

 「改めて見返すと酷い戦い方だ」

 

 

 空中に現れたモニターで回想を流しながら説明を終える。

 

 

 「お前がきちんと使い方説明してたらこんなことになってないだろ」

 「いやでもビックリしたわ、ファングスフィアで変身するんだもん」

 「へ?」

 

 

 セカイの発言にこはねが首を傾げる。確かに動作がおかしかったがそもそも変身用ではなかったのか。

 

 

 「お前らも見たろ?ダイナミックファング。ファングスフィアは本来あれを呼び出すためのアイテムなんだよ」

 「だからERRORだったんだ」

 「そ、それをこいつが無理やり起動しようとしたら想いに応えてスフィアが変質したんだ」

 「他の3つも合わせて変わったんだからお得だろ」

 

 

 ということは自分たちがもらったスフィアも変身に使えるのだろう。

 

 

 「それを使って私たちにも手伝ってほしいってこと?」

 「まぁな、でも強制じゃないぜ。命がけだし」

 

 

 大分分かってきたがまだ疑問は残っている。

 

 

 「ところで、セカイ君は怪人も探知出来るんだよね?なんでこのとき気付かなかったの?」

 「被害が大きいほど鮮明に分かるんだ、逆にこのときは一人の人間を執拗に襲ってたから引っ掛からなかった。悔しいがな…」

 「じゃあ結構暴れないとダメなわけ?」

 

 

 翼が不満げな目を向ける。怪人に対する唯一の対抗策な割には情けないと思っているのだろう。その目を見た龍我は懐からジュースの缶のようなものを取り出す。

 

 

 「まぁ一応他の手段も取ってはいる…」

 「?兜くん、そのジュースの缶みたいなのなに?」

 「お前は昨日見ただろ?俺が縦3色になるやつ」

 

 

 その言葉を聞いてこはねは思い出す。縦3色、たしかタカとかトラとか歌ってたものだろう。しかしそれが何の関係があるのだろうか。

 

 

 「スフィアの中には変身以外にも色々使えるのがあるんだよ。これはそれで出る『カンドロイド』っていう機械だ」

 

 

 こはねに説明しながら龍我は缶のフタを開ける。すると缶が変形しバッタの形になる。

 

 

 「わ〜!何これ可愛い〜!!」

 「こいつは色々種類があるんだが、バッタは遠距離でビデオ通話とかが出来る。空を飛べるやつと組ませてパトロールさせてるんだ」

 「なるほど、これなら被害が大きくなる前に知れるわけだ」

 

 

 バッタのカンドロイドが机に止まると目から光が照射され壁に映像が浮かび上がる、そこには町中で謎のロボが暴れる映像が映される。

 

 

 「そうそう、こんな感じに敵の出現を…」

 「…」

 『うわ〜!!助けて〜!!』

 

 

 カメラの映像を見つめたあと龍我とセカイはお互いを少し見つめ合う。

 

 

 「何か出てんじゃねぇかぁぁぁぁ!!」

 「またあのロボかよ!ノーネイムじゃねえから分かんないんだよ!」

 「くそっ!行ってくる!」

 

 

 龍我が光に包まれセカイから消える。あまりの急展開にこはねたちが困惑する中一人冷静な翼が口を開く。

 

 

 「あのロボは?」

 「こないだからちょくちょく現れるんだ!怪人でもないから俺達も感知できない!」

 「か、兜くんは大丈夫なんですか!?」

 「何度も同じやつが出てきて倒してる!だが…」

 

 

 改めて映像を見直す。右手と一体化した巨大な銃剣で街を襲う銀色の人型。

 

 「あいつ…今までのと違うぞ…!」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 怪人のセカイ、そこでは設置された巨大なモニターで街で暴れるロボの様子を一人の男が見ていた。

 

 

 「あら、いつものと違うじゃない」

 

 

 後ろからゴスロリの女が声をかける。この男が人型のロボに街を襲わせライダーをおびき寄せるのはこれが初めてではない、だがすべて同種で行われていたはずだ。

 

 

 「データ取りは十分済んだ。今までの偵察型の蓄積した情報から作った戦闘型第一号、今回はその初稼働だ」

 「ふ〜ん、いよいよ本格的に動くってわけね」

 

 

 モニターの映像を見ながら考える、彼女には一つ不満があった。

 

 

 「それにしても戦闘型第一号はダサいわね。こういうのはこだわらないと」

 「種類の判別が出来れば十分だ」

 「ならかっこいいのでも良いわよね?そうね…前のやつはリサーチャーだったから…ソルジャーってところ、後はロボ全体を指す名前も欲しいわね」

 「こだわると言った割には単純な名前だ」

 

 

 男の指摘に女は顔に笑みを浮かべる。

 

 

 「当然よ、だってこいつはただの1号機なんでしょう?つまり…あなたはもっとすごいものを作るつもり。そしたら飛び切りのをつけてあげるわ」

 

 

 女の言葉を受けた男は少しの間黙ると口を開く。

 

 

 「当然だ、こんなもので俺の才能は証明できない」

 「そうこなくてはね…そうだ、思いついたわよ」

 

 

 このロボ達に相応しい名前、男の目的にために生み出され続ける機械の兵士。

 

 

 「終わりに向かうもの…『ピリオドシリーズ』ってところね」

 「…なら、やつはソルジャーピリオドか」

 「分かってるじゃない」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 セカイから出てきた龍我が現場に到着する。そこはソルジャーピリオドの銃弾で至る所に穴が空き、刃であらゆる物が切り裂かれていた。

 

 

 「好き勝手やりやがって!」

 『セカイドライバー!!』『ファング!!』

 

 

 ドライバーにスフィアを装着すると外部パーツが外れ周囲を回り始める。

 両手を突きだし前で組むと右手の爪を立てながら顔の横で構える。

 

 

 「変身!!」

 『CHANGE THE FANG!!』

 

 

 パーツが身体に装着され強化スーツが形成される。右手のアームの可動を確認すると構える。

 改めて眼前の敵の姿を見る。まず目を引くのは右手が巨大な銃剣になっていることだろう、逆に言うとそれ以外は今までと変わらない。三角に並んだ3つの赤いカメラアイ、武骨な白い装甲、量産型といった様相だ。

 

 

 『気をつけろ龍我!前と姿が違うぞ!』

 「アプデでも入ったか?使いにくくなるだけだと思うがな!」

 

 

 脚のローラーを回転させると高速でソルジャーに近づく、間合いに入ると爪を振るうが何の前触れもなくソルジャーが後ろに飛ぶ。

 

 

 「何!?」

 

 

 予想外の挙動に驚きながら上を見上げる。正面からでは見えなかったが背中にロケットエンジンのようなものが付いている。そこから炎を噴き出す事で機動力を確保しているようだ。

 

 

 『高速移動出来る装備に遠近対応出来る右手…意識されてるな』

 「ファンか?サービスしてやるから降りてこいよ!」

 

 

 右手のアームを空のソルジャーに向けて射出する。しかし簡単に躱されると剣を構えて飛んでくる。

 

 

 『まずい!早く腕戻せ!』

 「ぐっ!焦った!」

 

 

 ローラーを逆回転させてバック走を始める。あちらの方が速そうだが腕が戻るまでの時間を稼ぐのには十分だ。あちらも理解しているのか右手をこちらに向けると弾丸を放つ。

 

 

 「よっ、ほっ!」

 

 

 足を開いて姿勢を低くし次の弾丸を逆に上に飛ぶことで躱すと腕が戻ってくる。アームがくっついた衝撃で回転しながら着地すると静止し相手の剣に向かって手掌を突き出す。

 

 

 「うぉぉぉぉ!」

 

 

 直に触れないために衝撃波を出した手と相手の刃がぶつかり火花が散る。押し込もうとエンジンを全開にする相手に対しこちらも車輪を全力で回転させ耐える。

 

 

 「…そらよ!」

 

 

 お互いに力が拮抗し膠着するかと思われたとき、レックスがその場で回転する。エンジンを全開にしていたソルジャーはそのまま進行方向に向けて飛び出しその後頭部を思いっきり蹴り出す。

 衝撃でバランスを崩したのか頭を地面に打ちつけながら転がっていくソルジャーを見てベルトを操作する。

 

 

 『FINISH THE FANG!!』

 「終わりだ!」

 

 

 右手にエネルギーが充填され、ソルジャーに向けて走り出す。立ち上がった頭を掴みエネルギーを注入しようとした瞬間、頭だけが外れ宙に飛び上がる。

 

 

 「いぃ!?」

 

 

 どんどん飛び上がる頭に引っ張られ腕がどんどんワイヤーを引き出しながら伸びていく。戻そうとするが巻き上げる力より相手の引っ張る力の方が強い、頭だけとは思えない。

 唯一の救いは頭が取れたらソルジャーが止まったことくらいだ。

 

 

 『おい!手を離せ!』

 「そうしたいんだけどさぁ!」

 

 

 そう、先ほどから腕が頭に張り付いたかのように動かないのだ。こうなれば相手の頭をこのまま破壊してしまおうとすると今度は急降下を始める。

 

 

 「んなっ!」

 

 

 急降下した頭はレックスの回りをグルグル回るとレックス自身のワイヤーでその身体を縛り上げてしまう。完全に縛られバランスを保つことが出来ず地面に倒れ込む。

 

 

 「これが狙いか…この!」

 

 

 頭をようやく握り潰す。酷い目にあった、この状況はどうやって抜け出せばいいかと考えていると何処からともなく新しい顔が現れソルジャーを再起動させる。

 

 

 『嘘だろおい…』

 「アンパンマンかよ…」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 「まずいぞ龍我!早く抜け出せ!」

 『分かってるよ!』

 

 

 バッタカンドロイドからの映像を見ながらセカイが叫ぶ。トドメの一撃を逆に利用された。

 レックスの勝利パターンを完全に読んだ対応だ、これまでのロボとの戦闘データで対策されていたのだろう。

 

 

 「ど、どうするの!このままじゃ危ないんじゃ!?」

 「クソッ!ここからじゃ何も出来ない!外に出られればなあ〜!」

 

 

 セカイが頭を抱えているとおもむろに翼が立ち上がり携帯を取り出す。

 

 

 「このUntitledってのを止めれば出れるんだよね」

 「へ?うん…そうだけど」

 「んじゃ、行ってくるよ」

 「行くって…」

 

 

 首を傾げるセカイを無視して翼は瑠璃とルミを立たせる。

 

 

 「助けに」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 「うおぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

 ソルジャーが乱射してくる弾丸を腕から出した衝撃波のバリアで防ぐ。身体をよじって何とか正面に手を向けたがピンチだ、ワイヤーがキツくてなかなかベルトに手が届かない。

 しばらく続けていると弾丸が止み、変わりにソルジャーが刃を構えて歩いてくる。

 

 

 (まずい…あれはバリアじゃ防げない)

 

 

 衝撃波の壁は薄くあの大剣を防ぐことは出来ない。何とか打開策を探っていると突然ソルジャーに砲弾が直撃し吹き飛ばす。

 

 

 「!?」

 「お~い、大丈夫〜?」

 

 

 声に振り返るとそこには翼たちが変形した戦闘機などが並ぶ。砲身から煙が上がっているところを見るに今の砲撃はルミのものだろう。

 

 

 「これがないと困るんでしょ?持ってきてあげたよ」

 「お前ら…よし!んしょ…んしょ…」

 

 

 何とか手を伸ばしベルトを操作する。

 

 

 「ライドイン!」

 「そんな状態でよくかっこよく叫べるね」

 「言うな!」

 

 

 レックスが一部パーツだけ残してベルトに吸い込まれる。光の中を通るなかで強化スーツからライダースジャケットに姿が変わるとコックピットに出る。

 

 

 「ダイナミックフォーメーション!」

 

 

 叫びとともにそれぞれの機体が巨大化しながら変形合体を完了させる。

 

 

 「完全合体機人!ダイナミック・ジン!」

 

 

 合体の完了とともに4人は自機のコックピットから共通のコックピットに移動する4人。

 

 

 「ふぅ〜やっと自由になれた〜」

 「よかったね、それじゃあ行こうか」

 「よーし!お姉さんに任せなさい!」

 

 

 ルミは意気揚々と叫ぶとジンを操作し銃口を向け砲撃を放つ。しかしソルジャーは空を飛び回避し地面が盛大に爆発する。

 

 

 「わー!!やっちゃたー!!」

 「こんな町中でビーム砲何か撃っていいわけないでしょ!下がってて!」

 

 

 ルミを叱責すると今度は瑠璃が操作しだす。空を飛ぶソルジャーに向かいこちらもジェットを吹かし飛び上がると追い越し、そのまま急降下による重量を活かした大剣による一撃を放つ。

 しかし横移動で避けられ地面が両断される。

 

 

 「うわー!!!」

 「お前らもう動かすな!」

 「合体はミスだったかなぁ」

 

 

 どう考えてもサイズ差がありすぎて攻撃が当たる気配がない。自分達もライダーとして加勢すべきだったか。

 

 

 「まぁメリットがないわけでもないぞ…ほら」

 「え?あぁ…」

 

 

 誰も操作していないせいで棒立ちになっているダイナミック・ジンにソルジャーが必死に攻撃を仕掛けている。

 空中からの射撃、足を何度も斬りつけ、ロケットエンジンで勢いをつけた突撃など様々だ。

 

 

 「効いてないね…」

 「俺が一人で乗ってた頃なら効いてるだろうけど、防御力も随分上がったみたいだ」

 

 

 こちらの攻撃は当たらず、あちらの攻撃は効かない。とんでもない泥試合の始まりを感じているとセカイが出てくる。

 

 

 『いい方法があるぜ!オーズを使いな!』

 「オーズを?」

 

 

 セカイの言葉に首を傾げながら詳しく話を聞くと龍我はオーズスフィアを取り出す。

 

 

 「よし!行くぜ!」

 『オーズ!!』

 『CHANGE THE OOO!!』

 『サイ!ゴリラ!ゾウ!』

 

 

 ダイナミック・ジンの腕の装甲が外れ脚はそのものが外れコネクタを露出する。

 頭部にサイを模したヘルメットが装着されると腕にゴリラを模したロケットパンチが、そしてゾウを模した巨大な足が取り付けられる。

 

 

 『サゴーゾ!サゴーゾォ!!』

 「ダイナミック・ジン!オーズカスタム!」

 

 

 変形したジンが両手で胸を何度も叩く。するとソルジャーの周りの空間が歪みその身体がどんどん地面にめり込んでいく。ロケットエンジンで抜け出そうにもそれ以上の力で地面に押し付けられていた。

 

 

 「今だ!!」

 

 

 ジンが大きく空に飛び上がると両足を揃えそのまま落下する。自身の重力操作能力により勢いを増した必殺の一撃。

 

 

 「ダイナミックスタンプ!!」

 

 

 巨大な両足でソルジャーを踏み潰す。足をどけるとそこには無残な残骸だけがのこっていた。

 

 

 「残酷…」

 「戦いは非情だ」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 「見るも無残な結末ね」

 「音声を聴くに乗ってる人間が増えたようだな」

 

 

 壊れたソルジャーへの興味を無くしたとばかりに男はパソコンを立ち上げる。今のデータの解析に入るようだ。

 

 

 「これからどうするの?」

 「方向性の違うアプローチをいくつか用意してある、そいつを試すところからだ。最もすべて試すとも限らんがな、それと…」

 

 

 男がパソコンを操作すると機械の山からいくつものドローンが飛び上がる。

 

 

 「新しい奴らを調べるのね」

 「ライダーとしても戦うだろうからな、本人の身体能力のリサーチは必要だ」

 「変身前を襲うとかは?」

 「ナンセンスだ」

 

 

 ドローンがすべて飛び去るのを確認すると男は次のピリオドシリーズの作製に取り掛かる。

 

 

 「俺の発明の素晴らしさを見せつけるなら強い相手を倒してこそだ。生身を倒しても意味がない」

 「あっそ、まぁ私はしばらく動くつもりはないから精々楽しませてもらうわ」

 「勝手にしろ」

 

 

 女は手に持ったドライバーを弄びながら男の作業を見つめる。その後の二人に会話はなかった。




設定
 ダイナミック・ジン オーズカスタムサゴーゾコンボ
  ダイナミック・ジンに仮面ライダーオーズサゴーゾコンボの力が宿った姿。本来スフィアでここまで強力な姿を引き出すことは今のライダーたちには出来ないが4人分の想いの力により可能となった。
  重力操作のほか両手のロケットパンチなどのパワープレイが得意。


 マンティスノーネイム
  カマキリ型の怪人。優二がライダーになった直後、まだ怪人のセカイが活性化する前の怪人であり力も知性も低い。自分より弱い相手を甚振ることを喜びとするが正確な実力差を測ることは出来ない。


 ソルジャーピリオド
  謎の男が作った人型戦闘用機械兵士シリーズ第一号。ロケットエンジンによる飛行や右腕としてつけられた銃剣で戦う。


 リサーチャーピリオド
  人型調査用機械兵士。これと言った特徴は無く町中で警官相手に初稼働しているところをレックスと戦闘になった。その後剣や鞭などの追加武装などを与えられた同型が何度もレックスと交戦し収集したデータが後継機作製に使われている。


次回予告
 「俺達であの夜を越える」
 「私の相棒になって!」
 「街に出てみるか」
 「厄介なやつだ!」

 『第三話 ViVidsとバッド、出会うとアウト?』
 「嫌いなタイプだね」
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