プロジェクトセカイ feat  仮面ライダー   作:ミッツー116

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 時系列が複雑化してきたのでまとめるとこんな感じになります。


 3月中旬
 優二、仮面ライダービギンズに変身
  
  ↓
 龍我、仮面ライダーレックスに変身

  ↓
 神楽、翡翠、ジェルが変身。そのうち描写します

 4月突入
 入学式、レオニとRE'BEGINSが再開。

  ↓
 仮面ライダータイヨウが覚醒、司と青空の面接はこの時期

  ↓
 順次RE'BEGINSとBEYONDSが仮面ライダーになっていきビックフットとスニアを倒す

  ↓
 龍我とこはねがストリートに行く、ダイナミック・ジンが初めて4人乗りに。

  ↓
 司と青空がフェニックスワンダーランドに顔合わせに行く。今ここ。

 今は裏で同時進行でストリートライダーズ編がやっていて、その内やるニーゴのストーリーも同タイミングになる予定です。





第二話

 

 

 フェニックスワンダーランド、その片隅にあるワンダーステージに集まる4人の人影。そこでは人々を楽しませるショーの練習が今日も行われて…

 

 

 「練習出来るかぁぁぁ!!」

 

 

 いなかった。金髪の青年、天馬司の叫び声が響き渡る。あまりの勢いに三人の前髪がオールバックになるほどの音圧を発揮すると言葉を続ける。

 

 

 「ろくな脚本もない!衣装もない!なにより人数が足りない!」

 「よ、4人いれば何とかなるんじゃ…」

 「人員が優秀ならな!まともな脚本家も演出家もいなくては話にならん!」

 

 

 まくし立てるような司のあんまりな物言いに思わず青空も頭を掻く。抗議するようにえむが目を☓にしながら反論する。

 

 

 「わ、私とお兄ちゃんはショーに詳しいよ〜!」

 「お前らが問題だ!!」

 「ふぇ!?」

 「何の知識もないことを自覚して意見を出さない青空と違って妙な意見を出しまくるお前らの方が困る!!」

 「か、会議にはあらゆる意見が…」

 「えむのトンチキな案を全肯定するだけのお前の何処に意見がある!!肯定するなら実践可能な方法を提示しろ!!」

 「うぐぉぉお…」

 

 

 理詰めでの反論に神楽たちは押されてしまう。黙って聞いていた青空は頭の中で会話を整理すると結論をだす。

 

 

 「つまりえむちゃんの案を実現させる天才科学者がいればショーが出来ると」

 「は!なるほど!!」

 「違うわ!まともな演出を考えられる奴を探すんだよ!!」

 

 

 青空の出した変な結論を軌道修正する。脚本は自分でも考えられるが演出面は機材などに詳しい人物がいるべきだ、最高のショーの為にここは妥協できない。

 

 

 「メンバーを集めるぞ!!」

 

 

 第二話  「結成!劇団ペガサス☆インザスカイ!!」

 

 

 「しかし演出家の当てなどなく」

 「う〜む…」

 

 

 勢いよく啖呵を切ったものの頭を悩ませ唸る。パーク内の他のステージにいる演出家に頼めないかと思うがやはり専属が一番だろう。

 どうにか出来ないか考えていると何かが浮かんでいるのを発見する。

 

 

 「ドローン…?」

 「あんなのパークの催しにあったかな」

 「行ってみよー!」

 

 

 興味津々といった様子で走り出すえむの後を追う。ドローンがこの施設の共用ならステージにも使える可能性はあり無駄ではないはずだ。

 追っている内に人混みになっている場所を発見すると何とか掻き分け最前に出る。そこでは紫色の髪の青年がドローンやロボットの中心でショーをしている。

 

 

 「うわぁ~!ロボットさんのショーだぁ~!」

 「司くん!ロボですよロボ!ロボ!」

 「わかったわかった!しかし…ふむ」

 

 

 1人の男と数機のロボットやドローンで行われる奇抜なショー、しかしその実緻密に計算されているのを感じる。手や光を使った視線誘導、見せ場のドローンやロボが目立つように他の機体の位置を調整、様々な仕掛けを内蔵させており飽きの来ない工夫が施されている。

 確かなショーの知識に根ざした見事な演出だ、何処のステージの催しなのだろう。出来れば話だけでも聞けないだろうかと考えているとここに来てから誰かと通話を始めた神楽が電話を切り男に話しかける。

 

 

 「あの、許可取りしてないですよね?勝手に通路などを占領されるのは困ります」

 「は?」

 

 

 神楽の言葉に司が呆ける。言われた側の男はあまり気にしていない様子で手を広げながら口を開く。

 

 

 「おやおや、お客さんかと思ったら関係者の方かな?」

 「取り敢えずこれを片付けて…」

 「待て待てどういうことだ!」

 「それは…」

 

 

 言葉の真意を聞くために神楽に問い詰めようとした時、大きな声が近づいてくる。振り向くと警備員が怒りを露わにしながらこちらに走ってきていた。

 

 

 「コラー!!また出たなー!!」

 「どうやら今日は店じまいかな、皆さんそれではまたいつか!」

 

 

 そう言うと男はすごいスピードで走り出す。ロボットやドローンも追従するように駆け出すとあっという間に見えなくなってしまう。

 

 

 「速いですね〜」

 「終わっちゃった〜」

 「まさか…無許可だったのか!?」

 「最近ロボットやドローンを使ったショーを勝手にやる奴がいるって聞いてたけど…あれだったんだね」

 

 

 あんなに堂々とやっていて無許可だとは思わなかった。呆気に取られながらも司は顎に手を当てながら何かを考え始める。

 

 

 「?どうしました司くん」

 「……よし!奴をスカウトするぞ!」

 「えぇ?」

 

 

 今しがた問題になっていた人物をスカウトしようと言い出す司に神楽は思わず信じられないといった声を出す。それに対し司は自身満々といった様子で話を続ける。

 

 

 「奴の演出の実力は本物!それに加えあの高いロボットなどの操作能力は我々の人数の少なさをカバー出来る!何より無断でするほどのショー好き!仲間にする以外の道はない!!」

 「わ〜!!ロボットさんたちとショーが出来るの〜!?」

 「……でも、誘うってどうやるの?自分的には方法が思いつかないんだけど」

 「う〜む…」

 

 

 神楽の言葉に司は頭を悩ませる。既に見えなくなってしまった男を見つける手段が無いのは確かだ、またショーをやりに来るのがいつかも分からずそれまで自分達のショーが出来ないのは避けたい。

 困った様子の司を眺めていた青空は理解できないような顔をして首を傾げて口を開く。

 

 

 「え?分かりますよ?」

 「は?」

 「だって…」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 「本当にいるんだろうな…同じ学校の隣のクラスなんかに」

 「いますよ…見たことありますし。あ!」

 「いたか!?」 

 

 

 週明けの学校、昼休みに司と青空の二人は自分達のクラスの隣の教室を覗きに来ていた。曰く学校で見かけたことがあるという青空の言葉を信じ、ここまで来たが本当にいるのか怪しい。今はこれに縋るしかないのも事実なのだが。

 

 

 「宝田くんがいます!」

 「なに…?」

 

 

 その言葉に視界を凝らすと緑色の目の背の高い男子生徒が一人で弁当を広げている、その姿は確かに先日フェニックスワンダーランドで出会った宝田翡翠だ。まさか同じ学校の生徒だったとは。

 

 

 「アニキ〜!お昼一緒に食べよ〜!」

 「む、あいつもか!?」

 

 

 反対側の扉から大きな声が聞こえそちらを向くと上着を着ずにシャツにネクタイだけのラフなスタイルの女子生徒、聖ジェルが弁当を片手に叫んでいる。

 アニキと呼ばれた翡翠は広げていた自分の弁当を一度しまうとそちらに向かう。

 

 

 「あ、ちょいまち!」

 「む?おい!」

 

 

 突然翡翠達に向かって走り出した青空を追いかける。青空の存在に気づいた二人は目を丸くしながら口を開く。

 

 

 「お前は…ここの生徒だったのか」

 「奇遇〜」

 「あの!このクラスに紫色の髪のロボットを使う人っていませんか!?」

 「お前、突然すぎるだろう…」

 

 

 いきなり本題に入る青空に呆れる司を余所に翡翠は顎に手を当てて考える。

 

 

 「…2年に上がった時に転校してきたやつがそれかもな、確か名前は神代類とか言ったか」

 「うお~!有力情報!何処にいるか分かります!?」

 「屋上によくいるって聞くぞ、あまりかかわりはないからこれ以上は知らんが」

 

 

 トントン拍子に情報を得られた、後は実際に屋上に行って確かめてみるだけだ。二人に礼を言って屋上に向かおうと考えていると青空がさらなる提案をする。

 

 

 「2人とも、ショーとか興味ありません?メンバー集めしてて。バイト代も出ます」

 「おい!勝手に誘うな!」

 「え?でもメンバー全然足りなくないですか?」

 「ショーの経験がないやつを呼んでも仕方ないだろう!」

 「私もないですし…喋れないロボットにも出来るんだから工夫次第じゃないです?」

 「むぅ…確かにそれはそうかもしれんが…」

 

 

 突然勧誘を始めた青空を咎めようとするも意外に一理ある意見に黙ってしまう。実際メンバーがもっと欲しいのは事実だ、司が頭を悩ませている横でジェルたちも話し合う。

 

 

 「アニキ、どうする?」

 「そうだな…」

 

 

 顎に当てた手を擦るようにしながら考える。演技の経験などは特にないしこの頼みを聞かなければいけない理由もない、しかし頭の中に少しある考えがよぎる。

 

 

 「ショー、つまりは演劇か…引き受けてもいいぞ」

 「お!本当ですか!?」

 「じゃあ私も!アニキがやるなら私もやる〜!」

 「お〜!一気に2人も増えましたよ司く〜ん!」

 「はぁ…まぁ、こうなったものは仕方がない」

 

 

 人数が増えた事以外にもポジティブに考えられる要素もあるはずだ。自由奔放な青空やえむ、えむに甘い神楽など規律に緩いメンバーが現状多すぎる、ジェルはともかく翡翠の方は中々マトモそうだしまとめ役として自分以外にも冷静な人間は欲しかったところだ。

 

 

 「ところで、兄妹なんです?」

 「いや、違う」

 「日本では尊敬する男性をアニキと呼ぶと聞いて!」

 

 

 やっぱりそうでもないのかもしれない。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 「最っ低!!」

 

 

 宮益坂高校2-B、穏やかな昼下がりに女子生徒の叫び声と乾いた破裂音が鳴り響く。叫んだ女子生徒が振りかぶった腕により放たれた平手打ちにより頬を赤く染めながら神楽は走り去る女子生徒を見つめる。

 

 

 「追いかけなくていいの?」

 「あぁ、朝比奈さん。あれはもう修復不可能だよ」

 

 

 心配してくれたクラスメイトに柔らかい笑みを浮かべながら特に気にした様子もなく答える。よくあることだ、女性に人気の彼はよく告白され付き合う事も多いが破局も多い、その原因も神楽自身にあるが。

 

 

 「女の子と2人で出かけてるのを見られちゃってね、浮気だと思われてさ」

 「違うなら言い訳すればいいのに」

 「来るものは拒まず、去るものは追わずが信条何だよね。それに…あわよくばと思ってたり?」

 

 

 実際には彼氏へのプレゼントの為に経験豊富な神楽のアドバイスが欲しいと言われたから引き受けたのだが嘘くさいだろう。下手に口論してまで仲を取り持つより別れてしまったほうが早い。

 

 

 「でも別れて寂しいのも事実だし…朝比奈さんが慰めてくれない?」

 「悪いけど、今は勉強に集中したいから」

 「釣れないね」

 『CALL!!CALL!!』

 「っと、失礼」

 

 

 もう少し粘りたかったがワンダーテレフォンの着信を優先する。セカイからの着信なら要件は大体2つ。1つはショーに関すること、もう1つは…

 

 

 『怪人が出た、翡翠たちにも伝えたがお前の方が近い』

 「了解、ヒーローの出番ってわけね」

 

 

 携帯を切ると教室の外に出て走り去る、しかし一度戻ってくると扉から顔を出しクラスメイトに声を駆ける。

 

 

 「体調悪くて早退するから、先生に言っといて☆」

 「なんてことなさそうだけど…」

 「あ~痛い痛い、失恋で胸が〜」

 

 

 わざとらしく胸を抑えながら教室を後にすると屋上に出る。懐からワンダーテレフォンとドライバーを取り出すとテレフォンを操作しながらドライバーを巻く。

 

 

 『スライダーモード!!』

 『LETS ACTIVE PASSION!!』

 

 

 変身と同時に変形したスライダーに乗ると高速で現場に向かう。どんどん遠くなっていく学校を背にスライダーが自動的に示した方向に跳んで行くと町外れの工場にたどり着く。

 

 

 「うわぁぁぁ!」

 「助けてくれぇ!!」

 

 

 逃げ惑う作業員を追いかけ回す泥人間を見つけるとアルテマウェポンを取り出し発砲する。自分を追いかけていた相手が撃ち抜かれた呆気にとられる作業員達の前に降り立つと庇うように前にでる。

 

 

 「もう大丈夫、早く逃げて」

 「わ、わかった!」

 

 

 突然目の前に現れた謎の人物に戸惑いながらも一目散に逃げていく作業員達を尻目に泥人間達との戦闘に移る。青空たちはまだ到着していないがこれくらいなら一人でも何とかなる。

 

 

 「ふっ!」

 

 

 ナイフを手に襲いかかろうとしてくる大群にトリガーを引き銃を連射する。火花を散らしながら倒れていく仲間の姿に近接は出来ないと判断したのかナイフを傾け切っ先をイグニスに向ける。

 すると先端に空いた穴から弾丸が放たれこちらに向かって飛んでくるが跳び上がり躱すと上部の足場に着地し、武器の変形用のボタンとトリガーを同時に押す。

 

 

 『アルテマチャージ!!』

 「ハッ!」

 

 

 足場からジャンプし軍団を飛び越えるように横切りながらトリガーを引くと銃口から高濃度のエネルギー弾が連射され盛大な爆発と共にすべての敵を飲み込む。

 狙い通りすべての敵を仕留められた事を確認すると現場を後にしようと歩き出すもすぐに足をとめる。

 

 

 「…アンコールかい?」

 

 

 イグニスの声かけに反応するかのように物陰から何かが現れる。頭部と肩が一体化しているかのような四角い体格、腕の先も四角くブロックを組み立てて作ったかのようだ。その全身をコンクリートのような材質で固められた怪人、ゴーレムノーネイムが現れると両手を振り上げながらこちらに突進してくる。

 

 

 「お喋りは嫌いかい!」

 『アルテマチャージ!!』

 

 

 見るからに硬そうな姿にチャージした弾丸を放つ。着弾すると火花が散るものの勢いを衰えさせることはなく突っ込んでくる姿に跳び上がり再び足場に着地する、ゴーレムは躱された後も気付かず走り続けると工場の巨大な機械にぶつかるとそれを粉々にしながら飲み込まれる。

 

 

 「…おわっ!」

 

 

 まさか今ので終わったのかと怪しんでいると土煙の中から壊れた機械の破片が投げつけられる。咄嗟に躱すも立っていた足場に大きな穴が空く、もう少しで自分もああなっていたのかと身震いしていると追撃のように次々と破片が投げつけられる。

 足場を走り躱し続けるも次々と穴が空いていき突然限界が来たかのように足場が崩れる。地面に追突し背中の痛みを堪えながら立ち上がるとこちらに向かいゴーレムが突進してきている。

 

 

 「ぐっ!!」

 

 

 突進してきたゴーレムを両手で受け止める。ハカイドライバーの能力で腕力は他のライダーより強化されているはずだが耐えられず、壁をぶち抜きながら外に吹き飛ばされ地面を転がる。

 しばらく転がった後うつ伏せで地面に倒れながらもアルテマウェポンを操作する。

 

 

 『アルテマチャージ!!』

 

 

 再び銃にエネルギーを溜め始めるもゴーレムは構わず再び突撃してくる。イグニスもそれに気づきながらも倒れた状態から動かずエネルギーを溜め続け一度耐えたゴーレムもそれを気にせず攻めの姿勢を崩そうとしない、その様子に仮面の舌で笑みを浮かべる。

 

 

 『フル!!』

 「ちょっと甘いんじゃない?」

 

 

 新たな音声と共により輝きをましたエネルギーが銃口より放たれる。ノーガードで喰らったゴーレムが大きく吹き飛びながら地面を転がる、よろよろと立ち上がったその姿は身体にヒビが入り満身創痍だがイグニス自身も大きく肩で息をする。

 

 

 (結構きついな…)

 

 

 これまでの戦いで感じたことの無いレベルの疲労感がイグニスを襲う、これまで泥人間とは何度か戦ってきたがここまで消耗したことはない。それほど数が出てこないことと基本3人で戦っていたこともあるがここまで違うとは。

 もう少しコンパクトに戦うべきかと考え始めていたところに大きな声が聞こえる。

 

 

 「お待たせしましたー!」

 「おや、来たね」

 「とうっ!」

 

 

 振り返るとスライダーに乗った青空達がこちらに向かい飛んでくる。飛び降りた3人を迎えイグニスは再びゴーレムに向かい合う、これなら何とかなるだろう。

 全身のヒビからして防御力も落ちているはず、パワーに優れた形態にアルテマウェポンを変形させれば消耗を抑えながらダメージを与えることもできるはずだ。

 互いに向き合い戦いが再開されると思われたその時、ゴーレムが地面から現れた泥に飲み込まれ消える。

 

 

 「えっ」

 「……逃げた?」

 「マジかよ」

 

 

 駆けつけた途端に逃げ出されたことに呆気に取られてしまう。ここまでなかなかの距離を跳んできたというのにとんだ徒労だ。肩を落としながらベルトを外し変身を解除する。

 

 

 「せっかく急いで来たのに〜」

 「しかし自分で帰った感じじゃなかったな、奴はやる気なように見えた」

 「ママにでも呼び出されたかな?」

 

 

 ぼやく青空を置いて翡翠は疑問を口にする。怪人の目的をハウンドから聞き出したがまだ謎は多い、ここで逃げ出す意味が何かあるのだろうか。

 

 

 「は!こうしてる場合じゃなかった!早く戻りましょう!」

 「?どうしたの急に」

 「司くんが演出家を今頃スカウトしているはずです!お祝いだ〜!!」

 「…まだ早いだろ」

 『スライダーモード!!』

 

 

 急いでワンダーテレフォンを変形させると青空は学校に向かって飛び去る、それを追いかけようと翡翠達も自らのテレフォンを取り出すも一度神楽に向き直る。

 

 

 「そうだ、一応言っておかないとな」

 「おや、どうかしたかな?」

 「私達もワンダーステージで働くことになった」

 「これからよろしくね!」

 「……は?」

 『『スライダーモード!!』』

 

 

 言いたいことだけ言うとさっさと飛んでいく二人を呆然と見つめる。しばらくその場に立ち尽くしていたが自分もスライダーを呼び出すと学校に向かって飛び去っていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 「お帰りなさい、あれ食べなさい」

 

 

 突然景色が自らの故郷に代わり戸惑うゴーレムを夜は優しく出迎えると近くに置いたコンクリート片を指差す。ゴーレムは指示に従いそれを口に運んでいく、すると身体のヒビがみるみる内に埋まって元の綺麗な身体に直っていく。

 

 

 「…キグナスはどうした?」

 「街に送ったわよ、ついでに同時に生まれたこの子も面倒見てあげることにしたの」

 

 

 その様子を白い目で見ながら話しかけてきた怜の疑問に答える。サンクションのリモコンをもらってキグナスと共に送り出すついでにゴーレムを工場で暴れさせたらこのザマだ。

 あのままでは押し切られて終わり、せめてもう少し善戦させたい。

 

 

 「物語には溜めが必要…溜めに溜めたから気持ちいいのよ」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 『私達怪人と戦ってくるのでスカウトはお願いしますね!』

 「すごい文章だな…改めて思うと」

 

 

 怪人と戦いに行く時の青空の言葉を思い出しながら司は屋上に向かう。戦いに置いて自分の出来ることはない、ならばせめて戻ってきた時にとびきりの報告をしてやろう。

 決意と共に屋上の扉を勢いよく開ける。

 

 

 「頼もー!!って…ん?」

 

 

 飛び出した屋上を見回すも誰もいない、まさか翡翠の情報が外れていたのか。唯一の手掛かりだったというのに空振りだったことに肩を落とし、教室に戻ろうと振り返ると探していた男のドアップの笑顔があった。

 

 

 「のわーー!!」

 「ふふふ、いいリアクションをするね」

 

 

 企みが成功したことに笑顔が意地の悪そうなものに変化する、一体何処から現れたのか疑問に思っているとドローンが飛んでくる。

 

 

 「僕のことを探している人がいると聞いてね、特徴を聞いてドローンで探して見たら屋上に向かっていたから後をつけさせてもらったよ」

 「いたなら声をかけろ!初対面の人間を後ろから驚かせるやつがあるか!!」

 

 

 もっともなことを叫ぶ司の怒号も何処吹く風といった様子で響かない。仮に勧誘に成功しても上手くやっていけるのだろうかと不安を感じていると男が口を開く。

 

 

 「それで、どうしてボクを探していたんだい?もしかしてファンかな?」

 「はっ!そうだった!!お前に素晴らしい提案がある!!」

 「提案?」

 

 

 首を傾げる男に対し司は得意気な笑みを浮かべながらポーズを決め叫ぶ。

 

 

 「神代類!この俺の行う史上最高のショーの演出!!それを任せる栄誉をやろう!!」

 「悪いけどそういう話はお断りかな」

 「早い!!」

 

 

 決めた提案をノータイムで断られ思わず叫ぶ。

 

 

 「なぜだ!!ここは『君に演出をつけられるなんて光栄の極み!是非ボクにその役目をやらせて欲しい!』と感涙するところだろう!!」

 

 

 自意識過剰な想像を織り混ぜながら話す司に困ったように男、類は頭を掻きながら口を開く。

 

 

 「悪いけど一人でやるのが性に合っていてね、誰かと酌むつもりはないんだ」

 「むむむ…いや!お前は俺と組むべきだ!!」

 「え?」

 

 

 勧誘に乗り気ではない類の様子に司は歯噛みするもすぐに持ち直す。この男にはまだ自分の素晴らしさが分かっていないのだろう、ならば分からせてやるのみ。

 

 

 「この俺!天馬司は未来のスターとなる男!貴様の演出の12000%を引き出し最高のショーへと昇華させてみせよう!!どうだ!やりたくなっただろう!!」

 「すごい自信だねぇ、その数字に根拠はあるのかな?」

 「ない!あるのは確信だ!」

 

 

 あまりに荒唐無稽な発言を自信満々に話す様子にいっそ感心する。逆にここまで言う人物が何処まで自分の演出に耐えられるのかは興味があるかもしれないがどうするか、頭を悩ませていると中庭に人影を見つける。

 

 

 「…ではこうしようか、ボクが紹介する人物も入れてもらえるなら今回の話を引き受けさせてもらうよ」

 「おお!むしろ大歓迎だ!!人手を欲していたところだからな!!」

 「では、後日顔合わせと行こうか。色々準備したいものもあるのでね」

 「うむ!了解だ!」

 

 

 トントン拍子に話が進んでいくことに司は喜びの表情を見せる。流れが向いてきた、当初は不安もあったがやはり自分こそスターになるべき存在なのだ。これからの自分の歩む栄光の道を想像するだけで胸が膨らみ笑いがこみ上げてくる。

 

 

 「いや~お待たせしました、徒労徒ろ…」

 「フハハハハハ!!!」

 「さぁて、どんなショーにしようかな」

 「お邪魔しました〜」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 数日後、フェニックスワンダーランド。

 

 

 「わ〜!本当に前ショーしてた人だ〜!ねぇねぇ、あの空を飛んでたロボットさんって私たちのショーでも使える!?」

 「あぁ、ドローンだね。もちろん使えるよ」

 「マジですか!?じゃあじゃあ!乗って飛べるくらいのサイズのはいけますか!?」

 「1人を乗せてステージ上で短時間なら容易く可能さ。今からでもさせてあげようか?」

 「「うぉぉぉお!!」」

 「馴染むの早いなぁ」

 

 

 類から顔合わせの準備が完了したとの連絡があったので集まってものの数分でこれだ。青空とえむの性格があってこそな気がするがそれにしても打ち解け過ぎではないだろうか、男性陣は若干胡散臭いなこいつと警戒しているのに。

 

 

 「アニキ、自己紹介する?」

 「そうだな…思えば神楽の妹ともまだちゃんとやれてないし」

 

 

 以前の戦いの後青空とは済ませたが翡翠とジェルはセカイに寄らずにそのまま帰ったため司たちとはお互い名乗っていない。類と翡翠はクラスメイトだが関わりは特にないのだ。

 

 

 「おや、どうやら本格的に顔合わせかな?それではボクも彼女を呼ぶとしようか」

 「む、条件に言っていた人物だな。うむ!この俺のスターダムの一助となる栄光を受けた幸運な人物だ!!高らかに呼ぶがいい!!」

 「では呼ぶとしようか。寧々、降りておいで」

 「……降りて?」

 

 

 芝居がかった口調の司を置いて類は空を見上げる。少し嫌な予感を感じながら他の面々も同じように視線を移すと緑色の何かがこちらに飛来してくる。

 デフォルメされた漫画のキャラのような等身、ファンシーな緑色の衣装に身を包んだ少女を模している、全身を包む超合金、両足からジェットを噴出しながら飛んできたそれは足を地面に向けるとゆっくり土煙を上げながら着陸する。

 

 

 「…8人になると思っていたが、違ったな」

 「7人と1機」

 「言っとる場合かー!!!」

 

 

 呑気な感想を述べる翡翠とジェルに司が突っ込む。いや、よく見ると翡翠は眉がピクピクと引き攣っている、そこまで心臓は強くなかった。もっとも問題なのはこれを容易く受け入れるであろう2人がいることだ。

 

 

 「うわぁ~!!空飛ぶロボットさんだ〜!!」

 「すごいすごい!かっこいー!!」

 「順応力羨ましいなぁ」

 

 

 我が妹ながら感心するなと神楽が考えていると司が類に詰め寄る。参加させたい人物がこんなおかしなロボットとは聞いていない、いや類を使うにあたって演出にロボットは使うだろうと思っていたが。

 

 

 「落ち着いてくれたまえ司くん、この子は他のロボット達とは違うのさ」

 「何がだ!?どう見ても同じにしか見えないぞ!」

 「この子は自立型ではなく遠隔操作型…簡単に言えば操縦している人間がいるのさ」

 「…そいつが言っていた人物ということか?ならさっさと呼んでこい!顔合わせがロボット越しでいいはずがないだろう!!」

 

 

 最もな意見だが類は困ったように眉をひそめると両手を広げる。

 

 

 「すまないが少々人見知りでね、こういった形を取らせてもらったんだ。ステージに上がるぶんには問題ないだろう?」

 「あるわ!!」

 

 

 類の反論を一喝するとロボットの方に向き直り指を突き立て叫ぶ。

 

 

 「良いかロボ!俺たちはステージの上で歌もダンスもやる!そんな体ではどちらも満足に出来ないだろう!!」

 「意外に正論で詰めるな」

 「当然だ!」

 

 

 ビシッ!という擬音が聞こえてきそうなほどのキレで司は言い放つ。これは少々ロボ側が厳しいかと思われた時ロボが口を開く、いや喋り出す。口は開閉しないようだ。

 

 

 『ふ〜ん、歌とダンスが出来ればいいんだ?』

 「…なに?」

 

 

 司の言葉を確認するかのように聞き返すとロボは体の向きは前を向いたまま滑らかに地面を後ろに向かって進む、いわゆるムーンウォークを披露するとそこから上下反転し高速回転するブレイクダンス、高らかに足音を鳴らしながらのタップダンス、そこに両手をリズムよく合わせたコサックダンスを披露する。

 

 

 「…出来てるな、ダンス」

 「ま、まだだ!!歌は歌えないだろう!」

 

 

 見事なダンスを披露したロボに焦ったのか司はまくし立てるように歌を要求する。予想外の展開に戸惑っているのかすごい量の汗をかいた姿を横目にロボの目が光る。どうにもこれが喋る合図らしいと考えていると、世界が一変する。

 

 

 『〜〜♪』

 「なっ」

 「わぁ〜…!」

 

 

 ロボのスピーカーから透き通るような歌声が聞こえてくる。曲は有名な演劇の劇中歌、話を知っているものがこの歌声を聴けばその風景が鮮明に浮かび上がってくるだろう。ここまで文句を言っていた司も口を大きく開けて呆然としている。

 

 

 『…で、まだなんかある?』

 「ぬぐぐ…」

 「これは負けか、取り敢えずまず自己紹介から頼む」

 

 

 悔しそうに歯噛みするしかなくなってしまった未来のスターを横目に翡翠が自己紹介を求めるとロボは目を光らせる。

 

 

 『草薙寧々、類とは幼なじみ。よろしく』

 「ふむ、つまりこれはネネロボか」

 「寧々ちゃんとロボはイコールだから必要ないんじゃないかい?」

 「こういうのは名前からキメるのが大事なんだ、何なら最後にZでもつけるか」

 「ネネロボZ!?」

 「ふふ、改良後につけてみようか寧々」

 『何なのこの集団…やっぱ春って変な奴増えるな…』

 「今一番変なのはお前だ!!」

 

 

 寧々とネネロボを受け入れる体勢に入ってしまったことにまだ釈然としないがもはやツッコミ疲れたのか追及しないことにする、それに今の名前をつける流れで思い出したこともある。

 

 

 「オッホン!頼もしい仲間も増えたところで皆に発表がある!!」

 「発表?」

 「わが劇団の名前!それをこの俺が考えてきたぞ!!」

 「?」

 

 

 意気揚々と発された言葉に青空たちはそれぞれの反応を示す。

 

 

 「ワンダーステージが名前じゃないんですか?」

 「それは場所の名前だ」

 「わぁ〜!どんなのどんなの〜!?」

 『こういうの、一人で決める普通?』

 「そもそもあるんじゃない?元々の名前が」

 「前の劇団が辞めてから空欄になってるよ、自分たちもショーはしてたけど名前はつけてなかったから」

 「ふむ、なるほどね」

 

 

 司はそれぞれの言葉を聞き満足そうな笑みを浮かべる。皆が自分の言葉を心待ちにし期待に胸を膨らませているのを感じる、この名前を見せた瞬間に感動で泣くものも出るかもしれない。頭から足まで勘違いであることに気付かず持参したスケッチブックを勢いよく開く。

 

 

 「劇団!ペガサス☆インザスカイ!!」

 

 

 高らかな発声と共に片手を振り上げポーズを決める。完全に決まった、皆の反応が楽しみだ。

 

 

 「………………」

 

 

 スケッチブックの中の文字を眺めたまま全員動かない、感動のあまりリアクションを忘れてしまっているようだ。仕方がない、もう一度やり直してやろう。

 

 

 「劇団!!ペガサス☆インザスカイ!!!」

 

 

 先程と同じように、しかしより大きく声を出しながら名前を告げる。その甲斐あってか先程とは違い、ネネロボの目が光り反応を示す。

 

 

 『ダサッ』

 「………え」

 

 

 聞き間違いだろうか、ディスられた気がする。今度は司が固まるとネネロボはもう一度目を光らせる。

 

 

 『ダサい』

 「何ぃぃぃぃ!!?」

 

 

 聞き間違いではなかった、驚きを隠せず叫んでしまうが気を取り直すと抗議の声を上げる。

 

 

 「俺が考えた素晴らしい名前の何処がダサいと言うんだ!!」

 「何処がダサい…か、分析は難しいね。しかし強いて言うなら」

 『シンプルにダサい』

 「それだね」

 「なぁーーーーー!!!」

 

 

 まさかの全否定にも等しい返答に再び叫ぶ。こいつらのセンスが悪いだけだと自分に言い聞かせると青空達の方を向く。すると何故か頬を赤らめた青空が口を開く。

 

 

 「司くん…名前にペガサスとスカイって、私との匂わせですかもう!恥ずかしいじゃないですか〜!」

 「あ、そういう?」

 「違うわ!!」

 

 

 変な発想に行き着いた青空にツッコむと後ろから肩に手を置かれる。振り向くと翡翠が司に優しく微笑みながらスケッチブックを掴む。

 

ビリッ!!

 

 

 「なぁーー!?」

 「この☆がダサい」

 「勝手に取るなー!!」

 「何なら後半全どりでもいいんじゃないアニキ」

 「寄るな!!近寄るな貴様ら!!」

 

 

 このままではただの劇団ペガサスにされてしまう。我が子のようにスケッチブックを抱きしめる司にジリジリとにじり寄る2人を横目にネネロボはため息を吐く。

 

 

 『類、本当に大丈夫なのここ?』

 「なかなか愉快なショーが出来そうだねぇ」

 「きっと昔みたいな皆が笑顔になってくれるステージになるよね!」

 「不安だ…」

 

 

 えむと2人だけだった時も振り回されていたのだがまさか悪化するとは、しかも可愛い妹ではない分こっちのキツさはひどい。頭の痛みを抑えるように手を置くとワンダーテレフォンがなる。

 

 

 『CALL!!CALL!!』

 「もしもし、もうこれ以上悩みの種を増やさないで欲しい」

 『?何言ってるのか分からんが全員揃ったみたいだな、こっちに来てくれ』

 「え、いや今取り込み中…」

 

 

 言葉の途中でテレフォンから光が発され強制的にセカイに取り込まれる。

 

 

 「いやもう本当皆勝手…ねぇ類くn」

 

 

 景色が変わる慣れ親しんだ光景に辟易としながらも隣の類に声をかけ、異常に気づく。

 

 

 「何でいるの!?」

 「これは…一体…?」

 

 

 何故かセカイの中に一緒に入っている類に驚く。本人も突然の事態に目を丸くさせているが巻き込まれたのは彼だけではなかった。

 近くにあったからか一緒に入ってきたネネロボの隣に立つ人物、ブレザー姿の薄い緑色の長髪を携えた少女がそこにはいた。

 

 

 「え?え?な、何…?どうなってんの…?」

 「…もしかして」

 

 

 彼女のの姿に神楽は一つの考えが浮かぶ。戸惑いながら辺りを見回すその手に握られたコントローラー、何よりネネロボに酷似したその容姿、このことから導き出される答えは一つだけだ。

 

 

 「あの子が草薙寧々さん?」

 「突然場所が変わった?眠らされて移動させられた…立っていることからそれはないしネネロボまで持ってくる意図が読めない。何らかの立体映像…しかしこの匂いや空気の質感はどう考えても現実…いやなら」

 「お、お〜い」

 

 

 答えを知るであろう類に確認を取ろうとするも自分の世界に入ってしまいブツブツと独り言を吐くだけだ。こうなれば本人に聞くしかないかと考えていた時、司の顔に高速で何かがくっつく。

 

 

 「むぐっ!?」

 「司く〜ん、やっと会えた〜」

 「もごごっ!む〜〜!!」

 「会えた早々死にそうになってるが」

 

 

 司が何とか引き剥がそうと悶えていると同じ方向からセカイ達が歩いてくる。

 

 

 「よかったね〜!ずっと会いたがってたもんね!」

 「オー!ベリー感動的デース!」

 「…そろそろ不味いんじゃねぇか」

 

 

 その言葉の通り司の顔色が段々青くなっていく、命の危機を周りが感じ始めるとツカイがパペットを着けているのとは逆の手で司の顔から謎の物体を離す。

 

 

 『ちょいちょい!一旦ストップだぜ!』

 「え〜そんな〜」

 「プハァッ!!死ぬかと思ったぞ…何なのだ一体!」

 

 

 呼吸の自由を取り戻すと先程まで自分にくっついていたものの正体を確かめようと視線を向けるとツカイの手にその物体が収まっている。

 フワフワとした毛に覆われた体、垂れ下がった耳と使い古したようにクタクタの様子、何処からどう見てもそれは。

 

 

 「ぬいぐるみ!?」

 「喋るぬいぐるみ…一体どうなってるのかな、中身を見てみても」

 「夢しか詰まってないからやめろ」

 

 

 好奇心が抑えきれないと言わんばかりに解剖を試みる類を翡翠が抑えていると司は違和感を覚える。なぜこのぬいぐるみは自分を知っているのか。

 首を傾げていると青空が声をかけてくる

 

 

 「どうしました?司くん」

 「いや…あのぬいぐるみはなぜ俺の名を…」

 「ミクちゃん達も知ってたじゃないですか、想いの持ち主ってやつだからでしょ?」

 「う〜む、確かにそうか」

 

 

 言われてみると確かにそれで簡単に説明がつくことだ、しかし何故か違和感を拭えない。このぬいぐるみだけはミク達とは別物のような気がする。

 司の様子に青空が同じように首を傾げ出しているとジェルがはしゃぎ出す。

 

 

 「わ〜!可愛い子がいる〜!!」

 「え!どこ!?どこですか!?」

 「ネネロボちゃんのとこ〜!」

 「あ、あの…」

 

 

 寧々の存在に気づいた女性陣が集まり始める。人付き合いが苦手という先程の説明通り困った様子に類が助け舟を出そうと近づくと何処からかテレビが運ばれてくる。

 

 

 「さぁ楽しい教育テレビの時間だ」

 「またこれか」

 「まぁ寧々ちゃんと類くんに説明が必要だしね」

 「おや、ここの説明をしてもらえるようだね。寧々、こっちにおいで」

 「う、うん…」

 「あ~、お話させて〜」

 「はいはい、お前はこっちだ」

 

 

 ハカイがセカイの説明動画を流し始めると類が寧々を隣に呼び2人で見始める。ジェルが悲しそうに手を伸ばすも翡翠に持ち上げられ離れた位置に置かれる。

 余ってしまい手持ち無沙汰になってしまった青空達も駄弁り始める。

 

 

 「そう言えば、これどうすれば色付くんですか?」

 「説明を受けただろう…本当の想いを込めればいいんだろ」

 「アバウトすぎません?」

 「まぁ確かに、他の3人がどうやったか聞けばいいんじゃないか」

 「私も聞きたーい!」

 「いや、自分たちは持った瞬間色ついたんだよね」

 「え〜!何で私は付かないんですか〜!」

 

 

 不満気に叫ばれるもそんな事言われても困ってしまう。助けを求めるように視線を移すと気づいたセカイがこちらにやってくる。

 

 

 「オー、ではもう少し詳しくスフィアの説明をしまショーウ」

 「はい!お願いします先生!」

 「切り替えが早いな…」

 

 

 先生と呼ばれ気を良くしたセカイは何処からかメガネとホワイトボードを取り出すと三つの円を描く。

 

 

 「まずスフィアは皆さんの想いを込めたものとライダーの力を込めたもの、さらにそれが生成方法で2つに別れマース。つまり、合計で3種類ほどのスフィアがあるのデース」

 

 

 あの円はスフィアのつもりだったらしい、その内の1つをペンで差しながら説明を続ける。

 

 

 「まず、皆さんの想いを込めたスフィア。神楽ボーイ達が使っているものと同じデース、それぞれの込めた想いや資質により能力違いが出マース」

 「自分なら身体能力の強化が強く出てて、翡翠くんは防御力が高くなってるみたいな感じだね」

 「ふむふむ」

 「勘違いしてしまうかもしれませんが、これは想いで生まれる歌とは違いセカイに関する想い出なくても平気デース」

 

 

 ミク達が司に頼んでいたこと、本当の想いを思い出せばUntitledが正式な歌に変わるということだ。

 

 

 「皆さんがこのセカイに入れているのはドライバーにマッチしたから、そしてドライバーがこのセカイの影響を受けている事でここに親和性の高い人物を呼んでいることは事実デース。しかしそれでもドライバーの機能に大きな影響は無く、そこに込める想いも個人の意思が重要視されマース」

 「う〜ん、難しくなってきました」

 「俺の想いで出来たセカイではあるが、お前がスフィアに込めるのはそれとは関係ないということか?神楽達と俺は面識が無かったわけだし当然だが…」

 

 

 話が複雑化してきた結果青空の頭から煙が出始める、何とか司が要訳してくれようとしているが難しそうだ。

 しかし本当に重要なのはここから、これが青空の悩みを晴らすヒントになるとセカイは感じる。

 

 

 「スフィアに込める想い、それは何も大それた夢などではなくて良いのデース。正しいかどうかや他者に認められるかなど関係なく、大事なのはあなた自身がそれにどれだけ強く想いを抱けるか」

 「強い想い…」

 「イェース、それは自分の胸の中にふとした時に浮かんだほんの些細なものかもしれませんし偶然出会ったものが人生を揺らがせることがあるようにある日突然見つかるかもしれません。それまではゆっくり過ごせばいいですよ」

 

 

 セカイの言葉に悩んでいた頭のモヤのようなものが晴れ、自分のはどんな感じになるのだろうと想像していると残る2つの円の上に「ライダー」と文字が書かれる。

 

 

 「残る2つはライダーの力を使えるスフィア、これを話すにはまず我々の生まれから話さなければイケマセーン」

 「生まれ?」

 「イェース、我々は此処とは違うセカイから来たのデース」

 

 

 既にどんな場所だったか、一体誰の想いから生まれたものだったのかも思い出せなくなってしまった故郷。しかしそこで生み出されたドライバーやスフィアの事は不思議と自分は覚えているのだ。

 

 

 「ミーのいたセカイは仮面ライダーの大好きな少年の想いから出来ていました、ドライバーやスフィアもその影響で出来たもの。そして想いの持ち主はセカイを認識した後意図的にライダーへの想いを込めることでその力を内包したスフィアを生み出したのデース」

 「ふーん、では結構幼い子のセカイだったんですかね」

 「俺の知り合いに高校生くらいでライダーが好きな奴もいるし、そうとも限らないだろう」

 

 

 1つ目のパターンの説明を終えると最後の円を差す。

 

 

 「もう1つは、ブランクのスフィアに勝手にライダーの力が宿るパターンデース」

 「勝手に?」

 「イェース、当人の想いやその時の状況に適したライダーの力が勝手にスフィアに宿るケースも存在してマース」

 「自分も1つ持ってるよ、ほら」

 

 

 そう言うと神楽は1つのスフィアを取り出す、今まで使っているところをみたことがない黄色のスフィアだ。形状も独特な部分としてスイッチが上だけではなく下にも付いている。

 

 

 「始めて変身して戦った後にいつの間にかあったんだ、資質が原因のパターンだろうね」

 「どんな感じになるんですか?」

 「これはね…」

 「「!!」」

 

 

 神楽がスフィアの説明に入ろうとした時、青空とセカイに頭痛が走る。2人の頭の中に外の様子が浮かぶ、ゴーレムが街で建物にその剛腕を突き立て破壊しようとしている。

 

 

 「これって…」

 「怪人が出たみたいだね…翡翠くん!!ジェルちゃん!!でばーん!!」

 

 

 頭痛の正体を察した神楽が翡翠達を呼ぶ。声に気づくとあちらも怪人の出現と判断したのか走ってくるが、類たちも来てしまう。

 

 

 「どうしたんだい?大きな声を出して」

 「あ~説明が難しいな…」

 「…あっ、そうだ!」

 「嫌な予感がするな」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 「早く逃げろー!!崩れるぞー!!」

 

 

 とある商社のビルの出入り口で男性社員の叫び声が響く。地響きのような音がが鳴る度にビル全体が揺れ今にも崩れそうだ。ここだけ見れば地震か何かのように見えるかもしれない、しかし実際には揺れているのはこのビルだけ。街の中の1つの建物だけが轟音と共に揺れているのだ。

 

 

 「発砲、効果ありません!!」

 「ぐっ…!SWATでも何でもいいから来れないのか!」

 

 

 轟音の発信源に大量に停められたパトカーの影から警官達もまた叫んでいる、原因は目の前にいる謎の異形。全身がコンクリートで出来た化け物がその腕でビルの柱を殴りつけ破壊しているのだ、細かく砕くとその破片を喰らい全て平らげると次の破片へ。この繰り返しで既に何本もの柱が犠牲になりこのビルは崩壊寸前だ。

 止めるために拳銃による発砲も行ったがまるで効果がない。

 

 

 「何なんだこの化け物どもは…!」

 

 

 警官隊の一人が苦い表情でつばを吐く。ショッピングモールでの蜘蛛男騒動の捜査から散々だ、謎のヒトデにボコボコにされ今回はコンクリ男。厄払いにでも行ったほうがいいのだろうか。

 有効な対抗策も浮かばない状況に歯痒いものを覚えながらも何もしないわけにもいかず拳銃を向けるも弾切れなことに気づく。舌を鳴らすとヤケグソ気味に飛びかかる。

 

 

 「この…うぉ!?」

 

 

 流石に体にしがみつかれるのは鬱陶しかったのかその腕で吹き飛ばす。軽く振るわれた腕が顔にぶつかっただけで骨が砕ける感触を感じながら吹き飛び宙を舞いながら頭の中に父や母、まだ学生の弟の顔がフラッシュバックする。

 この高さと勢いで地面に叩きつけられては無事では済まないだろう、覚悟するように目を閉じ衝撃に備えると突然飛来した何かに腕を掴まれる。

 

 

 「おわっ!めっちゃ鼻血出てますよ!大丈夫ですか!?」

 「き、君は…?」

 「どうも、正義の味方です」

 「呑気だなお前は…」

 

 

 スライダーに乗った青空が可愛らしくウインクしながら返答すると後ろから呆れた顔をしながら司が出てくる。すると警官はその顔を見て何かに気づく。

 

 

 「まさか司くんか…?」

 「へ?お知り合いなんですか?」

 「あ!?誠さん!!」

 

 

 司側も誰か気づいたらしく驚いた声を上げる。

 

 

 「どういう関係で?」

 「あ、あぁ…俺の妹の友達のお兄さんだ」

 「そうなんですね!!………え、他人?」

 「違うわ!!」

 

 

 あまりにも関係性が遠い気がするがお互い顔を覚えているのだからそこそこ交流があるのだろうか。

 誠と呼ばれた警官は同じようなスライダーに乗って他にも何人か来たことで目を丸くしている、翡翠のスライダーに相乗りしていた類は飛び降りるとゴーレムを観察する。

 

 

 「あれは一体…」

 「百聞は一見にしかずとは言うが…まさか一緒に来させるとはな」

 

 

 怪人やライダーのことを説明している時間は無かったとは言えこれは流石に危ない気もする。残るスライダーに目をやるとフラフラと降りた寧々が顔を青くしている。どうやら酔ったらしい。

 

 

 「き、気持ち悪い…」

 「ごめんね?スピード出しすぎちゃった」

 「運転……運転?運転が荒いんだねジェルちゃん」

 「い、言ってる場合じゃないかもお兄ちゃ〜ん!!」

 

 

 えむの叫びにライダーたちはゴーレムに向き直るとあちらもこちらに気づいたのかビルから離れ腕をぶつけ合わせながらこちらとの臨戦の意思を見せる。

  

 

 「このスライダー!頑丈らしいんで壁にして隠れててください!」

 「あ、まて!」

 

 

 誠の静止の言葉を無視して青空達は4人並んでゴーレムの前に立ちはだかるとベルトを装着しスフィアを起動させる、後はポーズを取って変身するだけだが突然青空が制止する。

 

 

 「なんか…こう、ビシッとくるポーズ…」

 「「「変身!!」」」

 「あっ、ちょ、変身!」

 

 

 前回のファイティングポーズでの変身が今イチピンとこなかったため変えようとしていると他の3人に遅れてしまい慌てて続く。4人の体をカーテンが包むと内部でスーツが形成されそれぞれの姿を変える。

 

 

 『LETS ACTIVE PASSION!!』

 『MY LOCK JEWEL!!』

 『START ABILITY CLEAR!!』

 『CHANGE THE LEGEND!!』

 「ちょっと〜、待ってくれてもいいじゃないですか〜。ポーズを考えてたのに〜」

 「家で固めてこい」

 

 

 今イチ緊張感というものを感じられないスカイを注意するとビルが崩れ始める。ゴーレムは既に離れているが壊されすぎたようだ、倒壊すれば中に人がいた場合はもちろんそうでなくても被害は出る。あちらも対処しなければいけない。

 

 

 「ジェルちゃん!翡翠くん!あっちはお願い!」

 「分かった、行くぞ!」

 「り!!」

 

 

 カラットとセイレンがビルに向かっていくもゴーレムは特に止めようとしない、人数が減る分にはあちらにも都合がいいのだろう。アルテマウェポンを取り出し戦闘体勢を取るとスカイが口を開く。

 

 

 「なんか、変身してるのに本名で呼び合うの味気なくないです?」

 「え?じゃあ…スカイって呼ぼうか」

 「そっちは何ですっけ」

 「えっと…」

 「お前ら前見ろ!」

 

 

 その言葉に前を向くとゴーレムがパトカーをこちらに投げつけて来ている、ガンモードのチャージした弾丸を撃ち込み爆発が起き戦いの火蓋が落とされるとビル内部でカラット達も動き始める。

 

 

 「いつ壊れてもおかしくないって感じ!」『マジェード!!』

 「さっさと作業を始めるか!!」『ウォズ!!』

 

 

 同時にスフィアを起動させるとベルトに装填し姿を変える、セイレンは以前も使ったのと同じマジェードセレクトだがカラットは違う。

 全身を覆う装甲は黄色の物が混じり、描かれる文字は『デカい』『ハカイ』『ゴーカイ』の3種類、最後に顔に『キカイ』の文字が入るとベルトから軽快な音声がなる。

 

 

 『デカい!ハカイ!ゴーカイ!フューチャリングキカイ!キカイ!!』

 「いっくよ〜〜!えい!」

 

 

 セイレンの指輪が輝くと周囲の崩れた破片、それだけでは足りないのでデスクや花壇といった物も浮かび上がらせるとその形を変え壊れた部位を補填していく。全ての損傷を修復するとカラットの体からスパナ状のエネルギーが放たれビルの強度をより高める。

 

 

 「これでこれ以上喰われることもない」

 「よし、じゃあ戻って…」

 

 

 すぐにスカイ達のところに戻ろうとすると地面から泥が溢れ泥人間達が現れる。

 

 

 「まずはこいつらを倒さないとだな」『ジカンデスピア!ヤリスギ!!』

 「悪・即・斬!」『アルテマウェポン!!アンカーモード!!』

 

 

 カラット達が足止めされている頃、イグニスがチャージした弾丸をゴーレムに向けて放つ。しかし前回は効いたレベルまでチャージしたにもかかわらず一切意に介した様子もなくこちらに突進してくる。

 狙いを集中させるため両手で握り銃身の振れを抑えるも何の意味もなくゴーレムの剛腕が振り被られる。

 

 

 「ぐぉっ!」

 

 

 両手で受け止めるも防ぎきれず吹き飛ばされる、宙に舞ったイグニスが壁に激突し地面に倒れ込む中今度はスカイが攻撃を仕掛ける。左手に持ったレジェンドライドマグナムを連射しながらゴーレムに走る、どれだけ着弾しても効果が見られない中カウンターに放たれたラリアットを飛び越えるように回避する。

 背中側に回るとガラ空きのチャンスに連続の斬撃を放つ、最後に体を回転させながら勢いを利用した一撃を放って離れる。

 

 

 「…硬すぎません?」

 

 

 連続攻撃を食らわせたにも関わらずゴーレムは何ともないと言わんばかりに肩を回す。あちらの攻撃は当たらないが一撃で大ダメージ、こちらは当たるがダメージ0。互角というよりは少し不利か、戦い方を変える必要を感じるとイグニスがマッハスフィアを起動させ姿を変える。

 

 

 『ズーッと!マッハ!』

 「こいつでどうかな!」

 

 

 イグニスの体が白い軌跡を残しながら高速で移動を始め、銃身に備わった刃でゴーレムを切り裂く。当たる度に派手な火花を散らしゴーレムが怯むも大きなダメージは無い、しかし先程とは違い動きを制限させられている。この間にスカイも強力な一撃を用意する。

 

 

 『LEGEND ATTACK RIDE FI・FI・FINISH!!』

 「くらえーー!!」

 

 

 レジェンドライドマグナムから黄金のエネルギーが放たれゴーレムに着弾する。強力な一撃に吹き飛ぶと地面を煙を上げながら転がっていく、明確な好機に一気に攻めようと2人が走り出すとゴーレムは両手で地面を砕く。

 

 

 「ぐっ!こいつ…!」

 「……何やってるんでしょう」

 

 

 衝撃と飛び散る岩石により吹き飛ばされ強制的に距離を取らされる。再び攻撃をしようにもゴーレムは尚も地面を殴りつけ続けている、既に2人に届く距離ではないのにも関わらず地面を砕く行為の意図を読めずにいると突然殴るのをやめ自身の拳同士を打ちつける。

 

 

 「な、何だ!?」

 「岩が…浮いてます!!」

 

 

 スカイの言葉通りゴーレムの砕いた地面がひとりでに浮き始める、そしてゴーレム自身も浮き始めるとその身体に次々と岩がくっついていく。そうして身体を形作っていくと最終的に数メートルほどの巨大へと変貌する。

 

 

 「流石に不味すぎ!」『トマーレ!』

 

 

 スフィアのスイッチを押しながら弾丸を放つと道路標識を模したエネルギーが発射されゴーレムの身体に張り付くと電流が流れ動きを阻害しようとする。しかしゴーレムが動き出した瞬間いとも簡単に標識が粉々になり二人は巨大な腕で殴り飛ばされる。

 轟音と共にビルに叩きつけられ全身がバラバラになったのではないかと錯覚するほどの痛みに思わず両手を見つめるとダメージからガタガタと震える、痛みに耐えながら立ち上がろとするとゴーレムが片手をこちらに向けて震えている。

 

 

 「…?やばっ!!」

 

 

 ゴーレムの腕の岩石が勢いよく射出され2人に向かって飛んでくる、当たれば間違いなくただでは済まないと回避しようとするも上手く立ち上がることが出来ない。迫る痛みへの覚悟を決めようとした時、足元にワンダーテレフォンが投げつけられる。

 

 

 「それを使うんだ!」

 「!」

 『スライダーモード!!』

 

 

 投げつけられたテレフォンを変形させると急いでイグニスを掴み空に逃げる。先程までいた場所が岩により潰された光景にゾッとする中、投げつけてきた方向を見ると誠の前にあったワンダーテレフォンがなくなっている。一緒にいた司がえむと同じテレフォンに移動させられていることから自分の身を犠牲に助けてくれたのだ。

 

 

 「無茶しますね刑事さん!」

 「さてどうしようか…」

 

 

 ひとまず危機は脱したが状況は良くない。あそこまで巨大になった相手に自分達の攻撃が通用するのかイグニスが不安に思っているとスカイがスライダーを急発進させゴーレムに突っ込む。

 

 

 「ちょ!?」

 「ハァァァァ!!」

 

 

 近づいてくるライダーに向けて振るわれた腕を旋回するように回避するとスピードを乗せた斬撃を食らわせる。金属音と共に火花が散るも傷やダメージのたぐいはない、危険を侵した攻撃により得られたものはないが無駄とは思わない。あそこでじっと考えているよりずっとマシだ。

 

 

 「色々試してみましょうか!!」

 「しょうがないな…!」

 

 

 再び突っ込むスカイに付き合う覚悟を決めると牽制気味に銃を連射する。ダメージのない攻撃に意など介さないと考えていたが意外にも腕を振り回し弾丸を弾く、疑問に思いながらもスピードを乗せた斬撃を当てては離れるを何度も繰り返しすと足に攻撃を当てた瞬間その部位の岩が勢いよく回転しバランスを崩したのかゴーレムが倒れる。その光景に何かに気づいたのかスカイが叫ぶ。

 

 

 「分かった!!」

 「…!?何、何か気づいた!?」

 「あの岩くっついてませんよ!」

 

 

 あまりにも常識離れな光景に合体したのだとばかり思っていたがよく見ると上に乗せているだけで結合などをしているわけではない。恐らく岩を浮かした能力を使って巨大な身体を形作っているだけなのだ。

 

 

 「つまりあれは…」

 「壊せなくても思いっ切り殴れば取れる!」

 

 

 そうと分かれば話は早い、あの身体を少しずつ小さくして対処可能なサイズになったところを一気に叩いてしまえばいいのだ。対応が決まったがこちらが弱点に気づいたことはゴーレムも分かっている、何とか対策をしようと考えていると新たな難問が文字通り降ってくる。

 

 

 「問題、私はお前に攻撃する。◯か☓か」

 

 

 突然の声に顔を上げるとビルの高層階からカラットが落下してきている、その姿は再び変わっており◯や☓などが描かれた奇抜な物だ。このクイズに正答しなければペナルティがあるのは予想できるがゴーレムには発声器官がない、クイズは諦め迎撃するために腕を振るうもカラットは黒い布をビルに引っ掛け空中で制止する事で回避する。

 

 

 「正解は☓だ、殴るのは私じゃない」

 『ガガガガッチャーンコ!ミッドナイトスリーパー!ムーンケルベロス!!』

 

 

 答え合わせと言わんばかりに現れたセイレンが思いっ切り両足を殴りつけるとスカイ達が狙っていたように足の岩を吹き飛ばす、一度では終わらずまるでだるま落としのように連続で攻撃を繰り出すと最終的に上半身だけになったタイミングで離れると電撃が落ちる。

 

 

 「ガッチャ!」

 「ナイスだジェルこのまま決め…」

 

 

 絶好のチャンスとばかりに4人は並ぶと武器を構えるが、ゴーレムの行動に思わず止まる。大きな両腕を振り上げると地面に叩きつけその反動で空中に飛び上がる、物を浮かせる能力がありながら足がなくなると動けなかったことからあのサイズの自身を動かすことは出来ないだろう。

 しかしそれが意味するのは自由落下によるプレス攻撃、当たれば間違いなく大ダメージの攻撃にイグニス達が回避のためその場を離れる中スカイはアルテマウェポンを操作する。

 

 

 『アルテマチャージ!!フル!!』

 「おい!早く避けろ!」

 「いや、ここはチャンスと見ます!!」

 

 

 こちらに向けて落ちてくるゴーレムを見ながら剣の輝きを増していく。真っ逆さまにこちらを潰そうと降ってくるということは確実に攻撃を当てれるということ、どうせ躱しても同じことを繰り返してくるのは見えているのだからここは攻める。

 

 

 『バースト!!』

 「とんがってる物を思いっ切り踏んだらどうなるか、教えて上げますよ!」

 

 

 限界を越えてエネルギーが溜まったことを知らせる音声と共に剣を突き出し、そのままゴーレムに踏み潰される。目の前で起きた惨劇に言葉を失うと突然黄金の閃光がゴーレムから放たれる、次の瞬間綺麗に2つに割れると宝石を撒き散らしながら爆発し中からスカイが出てくる。

 

 

 「岩から生まれた、岩太郎です」

 「締まらんな…」

 

 

 思いつきでつい言ってしまったが確かにあんまりな台詞だろう。というわけでカッコいい決め台詞も言っておくことにする。

 

 

 「これにて、めでたしめでたし!!」

 

 

 ポーズを取りながら元気に叫ぶと何処からかパトカーのサイレンが聞こえてくる。警官隊が呼んでいた増援が今頃来たらしい、一足遅かったなと呑気に考えていると誠が走ってくる。

 

 

 「君たち!早くこの場を離れろ!」

 「え?何で?」

 「被疑者が爆散したからな…今最重要参考人は君たちになってしまう。かなり長時間拘束されるぞ」

 「そ、それは嫌ですね…分かりました!」

 

 

 司たちと共にスライダーで帰ろうとしながらカラットは疑問を投げかける。

 

 

 「いいのか?私達を見逃して」

 「命の恩人だからな。これからも頑張ってくれ、仮面ライダー」

 「はい!もちろんです!!」

 

 

 誠からの激励に答えると勢いよくスライダーを発進させる、送られたエールに頬を緩ませながら変身を解除すると背後の司に話しかける。

 

 

 「いや~応援されちゃいましたね司くん!」

 「俺はされてないだろ、お前らだけだ」

 「ショーへのやる気も高まるってもんですよ!そっちも皆で協力して頑張りましょうね!!」

 「やれやれ…まぁ、そのとおりだな!!」

 

 

 何だかんだこの状況にも慣れてきた、メンバーも揃って自分のスターへの道も整ってきたのだから気合を入れよう。司が決意を新たにしていると他の面々もそれぞれ話し合う。

 

 

 「翡翠くん、戻ったらそのベルトを見せてくれないかい?壊さないから」

 「うん、無理」

 「私も使ってみたいな〜、お兄ちゃん!貸して〜!」

 「使えないんじゃないかなぁ」

 「私…とんでもないところに来ちゃったんじゃ…」

 「毎日楽しいよ〜?フッフッフ」

 

 

 個性豊かなメンバーでバラバラだが徐々に打ち解け始める8人、その光景を離れた場所から一人の人物が見つめる。

 空中に浮かぶ魔法陣のようなものに立ち魔法使いの持つような巨大な杖を持ったその人物、間杖夜が妖しい笑みを浮かべる。

 

 

 「皆で協力して大勝利、これからの未来も明るい…そんなところから堕ちたとき、あなたはどんな顔を見せてくれるかしらね?」

 

 

 これから起こる事を想像しながら手の平を1人の人物の顔を乗せるように広げると握り潰す。その瞳には彼女の名の通り夜のような闇が広がっていた。

 

 




設定

 門寺 誠
  RE'BEGINS編の登場人物である門寺新一の兄。捜査一課の現役警察官だが正義感から管轄外のさまざまな事件に首を突っ込む。


 ゴーレムノーネイム
  全身が硬いコンクリートで出来た怪人。ライダーの攻撃をものともしない攻防一体の肉体や物体を浮遊させる特殊な能力を持つ。
  スカイ達を苦しめたが他の章のライダーだとデュアルやスマッシュ、巨大化してもダイナミック・ジンなら楽勝だったりする。今回は相性が悪かった。


次回予告
 「脚本を考えて来たぞ〜!!」
 「伐採じゃー!」
 「もう少し、練習していこうかな」
 「俺のリスクが高い!」

 『第三話  解散 劇団ペガサス☆インザスカイ』
 「もうたくさんだ!」
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