プロジェクトセカイ feat  仮面ライダー   作:ミッツー116

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 なんか筆が早い気がする!投稿日を見るに気のせいかも知れません。しかし前回の間隔より早いのは事実なのです。


第六話

 

 

 前回から再び日が明け、さらに早くも時間は放課後。ワンダーランドのセカイに司達は集まっていた。

 何を隠そう類や神楽の問題を解決するための話し合いをするためだ。しかし、やってきたセカイはそれどころではなくなっていた。

 

 

 『ホッパホパー!』

 「アッハハ〜!待て待てー!」

 『スチーーム!』

 「お〜まさにギャラクシー鉄道スリーナインデース!」

 『コゾー!』

 「これは素晴らしい…俺の研究意欲がズンズン刺激されるぞ!」

 『ゴリー!』

 「いい筋肉じゃねーか!筋トレに付き合ってもらうかな!」

 『ユ〜フォ〜』

 『何だ〜?ツカイが気になるのか〜?』

 「あ、みんな。遊びに来てくれたのかな」

 「スゥー…」

 

  

 ミクと追いかけっこをする巨大なバッタ、空飛ぶ列車と並走する目のついた機関車、それ以外にもハカイ達もおかしな生き物とそれぞれ戯れておりよく見るとそこら中でぬいぐるみ達と一緒に遊んだり思い思いに過ごしている。

 

 

 「何だこれはぁぁぁぁ!!」

 

 

 第六話 「結成!掲げるその名は」

 

 

 「あっはい私達の仕業です」

 「座長達待ってる間が暇でな」

 「病院で寝ていろ!」

 

 

 悪びれた様子もなく言い切る青空と翡翠に向かって司が叫ぶ。また病院から抜け出しただけでなくセカイに謎の生物までバラまいている。

 一応病院服を着ていることから入院自体はしているのだろうが安静と言う言葉を知らないのか。

 

 

 「いや〜あんな狭いところに閉じ込められてるなんて可哀想じゃないですか、私達もケミーも」

 「病室やスフィアに閉じ込められるなど生物の尊厳を無視している。我々は決して屈しない」

 「こいつらはともかく貴様らは治療のためだろうが!」

 「ていうか…この子たちなんなの?」

 「ケミーだよ!錬金術で生まれた生き物で、こないだ私達が使ってたスフィアの力の源!でも、こんなふうに出せるなんて知らなかった〜!あ!ユニコン!」

 

 

 あくまでスフィアで力の再現をしているだけだと思っていたがこんなふうにケミーたちを呼び出すことまで出来るとは。自分の使うケミーの姿を見つけたジェルが思わず駆け出すのを見送りながら寧々は司に声をかける。

 

 

 「ねぇ、類たちのこと話し合うんじゃなかったの?」

 「ハ!そうだった…全員!集合してくれ〜!」

 

 

 本来の目的を思い出した司が大声で呼びかける。その声に気づいた者たちが急いで駆け寄ってくる。

 

 

 『ホッパ!』『スチーム!』『サボ!』『レスラー!』『ユーフォ〜』『ビィートルクス!』

 「すまない、言い方が悪かった。ケミー?の皆は集まらなくていい」

 「いいじゃないですか、皆の案も貰いましょうよ」

 「い、いやしかしな…」

 『ホパ〜?』『ビィー!』

 

 

 集まったケミーの内の何体かに視線を移す。どうにも虫をモチーフとした個体がいるようなのだがどいつもこいつもデカい。

 虫が苦手な自分としては勘弁してもらいのだが。しかしそれを口にするのも恥ずかしいため出来るだけ目に入れないようにしながら話すことにする。

 

 

 「うむ…それでは始めるか。類と神楽の話だが…どちらから話すか…」

 「緊急性が高いのは神楽くんだよね。敵に捕まってるようなものだし」

 「お兄ちゃん…」

 

 

 ジェルの言葉にえむが不安そうな表情を浮かべる。その頭に手を置くと翡翠が口を開く。

 

 

 「恐らくそちらはあまり心配しなくてもいい、奴らのやる事の予想はついてる」

 「…?何故だ?」

 「これまでの怪人の行動パターンを考えていた」

 「え〜と確か…」

 

 

 最初に見たハウンドがワンダーステージを襲い、それが変化したオルトロスとゴーレムは街で暴れた。

 ピエロは執拗にワンダーステージのメンバーを狙いハーピィはヒュプノと共謀しこちらを罠にハメてきた。

 

 

 「こう振り返ると…揃いも揃って迷惑ですね」

 「これで何が分かるの?」

 「恐らくだが、意図的に我々とぶつけられている」

 「へ?」

 

 

 ゴーレムを除けば最初に現れるのは何時も自分達の目の前だった。それも大勢の人間がいる場所にたまたま自分たちがいた訳でもない。

 特にピエロやハーピィはどう考えても計画的にタイミングを計って現れている。

 

 

 「でも、最初にハウンドが現れたときにいたのってえむちゃんと私と司くんでしたよね?あの時って私まだライダーじゃなかったですけど」

 「恐らく怪人を操ってるのはあのヒュプノとか言うライダーだ。そしてこれまでの奴等の言動…」

 『あなたは絶望の中で死んでいくの』

 『オマエ、やるのは最後って言わレタ』

 「あの女の狙いはえむ、もしくは神楽を精神的に追い詰めることだろう」

 「へ……!?」

 

 

 予想外の結論にえむは驚く。ここまで現れた怪人を指揮していた人物の目的が自分達と言われれば無理も無いだろう。

 

 

 「な、何でそんな事…私達を追い詰めたいって…」

 「そうですよ!何でそんな事を…」

 「理由に関しては確信を持って言えないが…恐らく趣味だろう」

 「しゅ、趣味!?」

 

 

 思わず叫んでしまう青空に頷くと翡翠は続ける。

 

 

 「そうでもなければ不合理な点が多すぎる。青空の事をわざわざ痛めつけるような真似も、ショーの邪魔のために人目につかない場所に偶然移動した私を襲った事も、神楽を催眠して同士討ちさせることもな」

 「そっか…ショーを邪魔するにしても直接ステージを襲うなりすればいいもんね」

 「奴が自分好みのシチュエーションにこだわっているとしか考えられない。もっとも、今のターゲットが2人かは怪しいが…」

 「変わってるかもなんですか?」

 「オマエにな」

 「えぇ!?」

 

 

 神楽と青空の同士討ちに関してだけはここまでの推測では違和感がある。催眠状態では神楽の苦しむ表情が見られないからだ。

 えむだけが狙いの可能性や自分の手で仲間を傷つけることで苦しめたい可能性もあるがそれでもやはり青空を催眠したほうが効果的だろう。

 

 

 「ピエロが隠れていたステージの地下はショーが終わった後の一時的な倉庫としても使っていた場所だ、つまり…」

 「そこにいれば自然とショーの後で俺たちを襲えたということか…」

 「出会った直後私をステージに放り上げようとしてきたが、ピエロはヒュプノの命令を無視していた部分もある。この矛盾は無視してもいいだろう」

 「ここまでを総合すると…次もえむ達が嫌がりそうな事をしてくるってこと?」

 「予想はついてる、だいたいのタイミングもな。だから問題は類の方だ、どうする座長」

 

 

 翡翠の言葉に司は頭を悩ませる。以前青空は寧々と仲直りすれば類も多少話を聞いてくれるのではないかと言っていた。しかしそれだけで上手くいくかは正直不安だ。

 ただ頭を下げるだけでは足りない、何かもっと自分の想いを類に伝える方法はないものか。

 顎に手を当てながら考えているとKAITO達が使っているステージが目に入り、1つの考えが頭に浮かぶ。

 

 

 「…そうだな、これが一番だ。いや、類に戻ってきてもらうにはこれしかない」

 「司くん、何か思いつきました?」

 「よし、皆聞いてくれ!」

 

 

 皆の注目を集めると靴を脱ぎ揃えてからベンチの上に立つ。

 

 

 「ショーをするぞ!!」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 司達との話が終わった後、それぞれ解散し一旦変えることになり翡翠は病室のベットの上にいた。

 傷口が開いたせいで縫い直してまた2、3日入院生活はひどく退屈だ。時間を潰すために持ってきてもらった本を読んでいると突然空間に穴が空く。

 

 

 『ケミーライズ!ワープテラ!』

 「アニキ、いる?」

 「今回は個室でよかったな、大部屋ならパニックだ」

 「ごめんね、ちょっと話したいことがあって」

 

 

 病室にテレポートで面会に来る妹分に呆れながらも本を置く。わざわざこんな方法で来てまで話したいなら無碍には出来ない。

 

 

 「アニキはさ…司くんの事怒ってないんだよね」

 「…まぁ、アイツがキレてる場面に出くわしてないからな。腹に穴空いたせいで。それに…思うところもある」

 「思うところ?」

 

 首を傾げ不思議そうにするジェルに少しバツの悪そうな顔をすると悩みながら口を開く。

 

 

 「まぁ…私も色々後悔の多い人生ってことだ。コンプレックスもあるしな」

 「…意外、アニキからそんなの感じたことなかった」

 「人を羨ましがって生きるのは不毛だからな。何とか自分なりに楽しく生きれるよう頑張ってるのさ」

 「自分なりか…」

 

 

 暗い表情をするジェルにどうしたものかと考える。青空達から聞いた話では相当怒っていたらしい。

 一応ショーにも協力してくれる事になっているがまだ踏ん切りがつかないのだろう。

 

 

 「本当はね、司くんが本当に反省してるんだって事は分かってるんだ。じゃなきゃ、こないだの作戦であんな危険な役割を引き受けるわけないし…」

 

 

 先日のえむを救い出すための作戦。ワンダーテレフォンを檻に挟む役割は本来ジェルか翡翠がやるつもりだった。

 しかし何かあった時の対応や青空に援護が必要だった時のために司は自分がその役目を引き受けると言い出したのだ。

 そんな危険な役目を自らしたのは本気で仲間の事を思っているからに他ならない、それは分かっている。

 

 

 「でもどうしても頭の中で踏ん切りがつかなくて。ちゃんと謝ってもらったし、もう十分なはずなのに…」

 

 

 自分自身の感情のはずなのに自分で整理をつけることが出来ず歯がゆい思いが頭を支配する。

 両手を膝に預けながら俯いていると頭を翡翠に撫でられ顔を上げる。

 

 

 「アニキ…急に何を」

 「いいんじゃないか、そのままで」

 「え?」

 

 

 思ってもいなかった言葉に呆気に取られていると翡翠が手を戻して笑みを浮かべながら答える。

 

 

 「別に心の中が矛盾することなんて不思議なことじゃない。許したい気持ちと許せない気持ちがあったっていいさ」

 「…でも、そしたらどう接すればいいか分かんなくて…」

 「分からないまま接しておけ、いつか答えが出るかも知れないし、そのままがオマエと司の関係になるかもしれない。おまえらだけのな」

 「私達だけの?」

 

 

 友、仲間、恋人、世の中にはさまざまな関係性がある。そのどれもが最初はこの世になかったはずだ。

 誰かが他者と関係を結びそれに名前がついた。ならば自分が誰とどう関わるかに拘る必要はない。

 

 

 「自分の思う通りにやってみな。もし問題が起こったら私が何とかしてやる」

 「アニキ…ッ!」

 

 

 思わず翡翠に飛びつく。力の限り抱きしめ満足すると離れる。その顔には先程までの暗さは無い。

 

 

 「ありがとアニキ!思ったままにやってみるよ!」

 「あぁ、頑張れ」

 

 

 再びワープテラのゲートを作り出すとその中に消えていく。それを見送ると翡翠は息を吐き、しばらく目を瞑った後ナースコールを押す。

 

 

 「すいません、傷開いた気がします」

 

 

 強く抱きしめ過ぎであった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 とある高級住宅街、そのなかでも一際目を引く巨大な屋敷に1台のリムジンが止まる。

 町中で見かければ誰もが一度は乗ってみたいと羨むであろうそれから黒い長髪をなびかせた制服姿の美しい美女、魔杖夜が降りてくる。

 ひとりでに開いた門を通り屋敷の中に入ると並んだ使用人たちが出迎える。

 

 

 「おかえりなさいませ、お嬢様」

 「ただいま帰りました皆さん。今日もお出迎えありがとうございます」

 

 

 使用人たちに優しい微笑みを返しながら階段を上がり自室に向かう。親に頼み鍵付きにさせた扉を開けると入ると同時に鍵をかけ直しさらにチェーンもかける。

 バックを机に置くとベットに腰掛け壁際に座らせた人物、神楽に向けて話しかける。

 

 

 「お留守番ご苦労さま。いい子にしてたかしら?」

 「………」

 「やれやれ、返事がないのも考えものね。……さて」

 

 

 服の中に手を入れるとそこからあるものを取り出す。それを神楽に見せびらかすように揺らしながら笑う。

 

 

 「これ、何か分かる?正解は…」

 

 

 その取り出した物体、ピエロノーネイムの残した仮面を床に置く。本来倒されれば無に帰るはずのノーネイムが残した身体の一部、それが何を意味するかはすぐに明らかになる。

 スフィアを起動させ杖を呼び出すと力を解放し地面に魔法陣を作り出す。

 

 

 「さぁ、休暇は終わりよ。目覚めなさい」

 

 

 仮面が浮かび上がると激しく震え、そこから骨が軋むような音がしながら頭が生えてくる。本来顔につけるために生まれた仮面から顔が生えてくる異様な光景に慄く暇も無く首が生えどんどん身体が揃っていく。

 四肢が生えきると懐からハンカチを取り出し振るとそれが帽子に変わり被る。

 

 

 「おかえりなさい、ピエロノーネイム」

 「チッチッチ」

 

 

 夜の言葉に指を揺らしながら否定するとトランプを取り出す。そこに書かれた絵柄こそ彼の真名、トランプに必ず2枚用意されており一度死んだ彼の復活を表した名前。

 親指と人差し指、中指を上に向けながら名乗りを上げる。

 

 

 「ジョ〜カ〜!」

 「ジョーカーノーネイムね、分かった分かった」

 

 

 意気揚々と上げられた名乗りを流しながら神楽に向き直る。ひとまず役者はそろった。後はあちらの出方を伺うだけだ。

 神楽の顎を指で持ち上げながら笑みを浮かべると口を開く。

 

 

 「あなたの大切なもの、あなた自身の手で壊してもらうわ」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 数日後、夕暮れ時のとある商店街ーー

 

 

 「あるところに、1人の錬金術師がいました」

 

 

 そこでたった一人、自作のロボットを周りに並べながら類がショーをしている。その光景に通りすがりの人々は物珍しそうに視線を向けながら通り過ぎていく。

 

 

 「ある日のこと、旅の一座が街でショーを披露するところを見た錬金術師は思いました。『僕もこんな素敵なショーがしてみたい』と」

 

 

 その言葉と共にロボット達が動き出す。

 

 

 「錬金術で作った人形と共に街の中でショーをすると人々はとても喜んでくれました。嬉しくなった錬金術師はずっとそうしてショーを続けましたとさ、めでたしめでたし」

 

 

 ロボットの動きはショーをする役と観客に別れている。しかし、ショーが終わると観客側も演者役に交じり始める。

 

 

 「ですが、このお話には続きがあります。ショーを見た街の人々が自分達もショーをしたいと錬金術師に頼んできたのです」

 

 

 ロボット達は今度は全員揃ってショーをし始める。しかし、1人、また1人とロボットが減っていく。

 

 

 「最初は皆で楽しくショーをしていました。しかし、錬金術師の突拍子もないアイデアに街の人々はついていけなくなり、次々と彼の元を去っていきました」

 

 

 最後に1体だけロボットがポツンと残る。ロボットはそれでも小さなセットに立ちショーを続ける。

 

 

 「どちらが悪かった訳でもありません、ただ考え方が違っただけ。再び一人きりになってしまった錬金術師はその後も一人でショーを続けましたとさ」

 

 

 話が終わり類は改めて周囲を見回す。そこにいる観客の数は少ない。そもそもあまり人通りも多くはなかったがそれ以上に自分がショーに入り込めていなかった。

 反省を次回に生かそうと後片付けを始める、その時だった。

 

 

 「類くぅぅぅーーーん!!!!」

 「え?」

 

 

 突然聞こえてきた自らを呼ぶ声。声の方角に目を向けると空の彼方からワンダーテレフォンに乗って青空が飛んできている。

 

 

 「ヒャッホー!!こんにちは類くん!」

 「青空くん…またショーの話かい?悪いけど、何度言われても僕は…」

 「ん〜半分正解半分外れ!」

 『テレフォンモード!!』

 

 

 スライダーを戻し画面を操作すると見せつけてくる。音楽アプリの画面に開かれたUntitledを再生すると2人は光に包まれセカイに移動する。

 

 

 「確かに誘いに来ましたけど、今日はお客さんとしてですよ!」

 「お客さん…?」

 

 

 青空の言葉に首を傾げていると何処からかエンジンやプロペラの音が聞こえてくる。以前機関車があるのは見たが車などもあったのだろうかと音の先を見ると予想外の物を目にする。

 

 

 「あ、お迎えが来ましたよ〜!」

 『ダーッシュ!』

 『ウィール!』

 『オコオコ!』

 「これは乗り物…?いや、生き物なのか…?」

 

 

 突然きたケミーたちに驚きながらこれが何なのか思考を巡らせる。セカイ由来の生き物なのか青空達のライダーの力が関係しているのか。

 推測を続ける類を余所に青空はバイク型のケミー、ゴルドダッシュにまたがると両手を広げながら類に話しかける。

 

 

 「さぁ!どれに乗って向かいますか類くん!やっぱ男の子だしバイク…ハッ!じゃあ私が乗っちゃだめか!降りますね」

 「いや、大丈夫だよ。…君、お願い出来るかな」

 『オコ!』

 

 

 ヘリコプター型のケミー、ゲキオコプターに声をかけるとその身体のタイヤ横の柱を両手で掴む。

 類がしっかり自らの身体を掴んだ事を確認するとゲキオコプターは空中に飛び上がりその後ろをゴルドダッシュ、選ばれず悲しみにくれた車型のケミーのマッドウィールが追いかける。

 目的地の劇場にたどり着きゲキオコプターから降りるとケミー達が青空の持つカードに吸い込まれる。

 

 

 「さて、私は準備があるので裏口から入りますね。楽しみんでください!」

 「まぁ、ここまで来たからにはね」

 

 

 正直あまり気乗りはしていないが来なければ永遠に付きまとわれそうだ。一度来れば幾分ましだろう。

 中に入るとステージは幕が降りておりどんなショーが行われるのか予想はつかない。最前の席に座り開演を待つとすぐにブザーがなりショーが始まる。

 

 

 「ここは皆さんのいる世界とは少し違った不思議な世界。そこにはとある寂れたステージがありました」

 (翡翠くん…退院できたようだね。良かった)

 

 

 翡翠のナレーションと共に幕が上がる。怪我が治ったのかと類は心の中で胸を撫で下ろす、実際にはまだ入院中なのに抜け出しているのだが。

 舞台の上に作られた古びたステージの上に集まったメンバーの中心で衣装に身を包んだ司か叫ぶ。

 

 

 「ぬぉぉぉ!!何故客が来ないんだぁぁぁ!!」

 「うるさっ!静かにしてよリーダー…」

 「本当に言っていいのか?傷つくだけだと思うが」

 「いい!言ってみろ!」

 

 

 『リーダー ツカサ』

 この劇団のリーダー。ある日ステージにやってきてリーダーに就任した。スターになることを夢見ている。

 

 

 「リーダーの書く脚本は自分が目立つことばっかり考えてて構成が無茶苦茶だし」

 「うぐっ!」

 

 

 『管理人 ハカイ/エム』

 このステージをたった2人で運営する兄弟。ここを観客でいっぱいにすることが夢。

 

 

 「エムは発想が突拍子もないしハカイはそれのイェスマンだし」

 「うぅ~!」

 「おう…」

 

 

 『旅人 ソラ』

 ツカサと一緒にこのステージに来た。楽しいことが大好き。

 

 

 「ソラは台本が読めないし覚えられないし」

 「いや〜困っちゃいますよね」

 

 

 『歌姫 ネネ』

 スカウトを受けてステージに来た歌姫。引っ込み思案で人前に出ることが苦手。

 

 

 「歌が得意だからスカウトしたネネは人前だと歌えないし」

 「ご、ごめん…」

 

 

 『アルバイト ヒスイ/ジェル』

 ツカサ達が張り出した団員募集にやってきた近所の仲良しコンビ。給料目的。

 

 

 「私とジェルは金目当てでやる気がないし」

 「まだ1回も払ってもらってないけどね〜」

 「客が来ないからな…って自覚があるならやる気出せ!」

 「金払え」

 

 

 ステージの中心で騒ぐメンバー達からここがどれだけ客集めに困っているのかが伝わってくる。

 どうするべきか悩んでいるとソラが何かを思いついたかのように口を開く。

 

 

 「そう言えばレンコン術とか言う不思議な力を持った人がこの辺りに引っ越してきたとか…」

 「何だその根菜マスター」

 「もしかして…錬金術?」

 「それです」

 

 

 ソラの間違いにヒスイが呆れる中ネネが正しい答えにたどり着く。

 

 

 「ふむ…いい案かも知れないな!その不思議な力でショーを盛り上げてくれるに違いない!」

 「まぁ、どうせこのままじゃうちは潰れちゃうしね。行くだけ行ってみようか」

 「それじゃあいざ、しゅっぱ〜つ!」

 

 

 エムの言葉と共に舞台の方が回転しステージが裏側に回ると木の上に立てられた家が出てくる。中心で止まるとソラが両手をメガホンにしながら叫ぶ。

 

 

 「レンコンさ〜ん!出てきてくださ〜い!」

 「どうする、もし本当にレンコンが出てきたら」

 「それはそれでショーにお客さん増えそう」

 「申し訳ないけど、ご期待には沿えないよ」

 

 

 ツリーハウスの窓から一人の青年が顔を出す。

 

 

 『錬金術師 カイト』

 この辺りで近頃有名な錬金術師。不思議な力を使ったショーを行なっている。

 

 

 「なるほど、ステージを立て直すために僕の力を借りたいと」

 「そうなのだ!このままではわがステージは潰れてしまう!」

 「給料も出ないし」

 「かまわないよ、僕も一度きちんとステージでショーをしたいと思っていたしね」

 

 

 ツカサたちが事情を説明するとカイトは快く了承する。再び舞台が回転しステージに戻ると次々とケミーたちが現れる。

 

 

 『オコ!』

 『ウィール!』

 『リッパー!』

 「うわ〜!これ全部錬金術師さんが作ったの〜!?」

 「あぁ、残念ながら一緒にショーをしてくれるような相手は居なくてね。僕の力で彼らを作って手伝ってもらっているのさ」

 『サボ!』

 「見てくださいツカサ君。棘付きのレンコンですよ、やはりレンコン術師」

 「サボテンだ」

 

 

 錬金術にやり作られた生き物達にメンバーがそれぞれの反応を示す中ネネが浮かない顔をしていることにカイトが気付く。

 

 

 「どうかしたかな?何か気になることでも?」

 「あの…私人前に出るのが苦手で…あなたの力で何とか出来ないかなって…」

 「何だ、そういうことならいいものがあるよ」

 

 

 カイトはそう言うと地面に何かを描き出す。描き終えると両手を合わせながら何かを唱える、その瞬間何処からとも無く煙が漂いステージを埋め尽くす。

 

 

 「な、何だ!?火事か!?」

 「煙い煙い!」

 

 

 煙の中からツカサ達の騒ぐ声が聞こえる。しばらくして煙が収まっていくとステージの中心にネネロボが仁王立ちしている。

 

 

 「な、なんだこれはぁぁ!!?」

 「遠隔で動かせる人形さ。動かしてる人物の声を流すこともできる」

 「凄い…!これなら私でもショーが出来るかも!」

 「よーし、それじゃ皆でショーをやるぞー!」

 

 

 そう言うとツカサ達が準備を始めケミーもさまざまな種類が次から次へと現れショーの幕が上がる。

 魔王の手下の魔物の蝙蝠、狩人の仲間の忍者と鷹、そして赤い巨大な恐竜。

 多種多様な生物を錬金術師が考えた演出により最大限の魅力を引き出されたショーは街の人々を大いに喜ばせる。が、見せ場で突然ネネロボが動かなくなる。

 ショーを続けられず観客も去っていき、メンバーのみになったステージでツカサの叫び声が響く。

 

 

 「全部オマエ達のせいだ!こんなステージもうやってられるか!」

 「あ!ちょ、ツカサくーん!」

 

 

 怒号を残しながら消えるツカサを追いかけソラも走っていく。残されたメンバー達も一瞬お互いを見るもそれぞれその場を去る。

 ステージ上に誰もいなくなってしまうと回転し、場面がツカサに切り替わる。

 

 

 「クソッ、モヤモヤする…。む?」

 「うわーん!」

 『コゾ〜…』

 『ヘビ〜…』

 

 

 言いようのない気持ちを抱えながら道を歩いていると突然泣き声が聞こえてくる。声の聞こえてきた方角を見てみるとウサギのぬいぐるみが泣いており友人であろう白衣を来た小柄な生き物とヘビが困っている。

 

 

 「お、おい…どうした?」

 「うぇーん!」『コゾー!』『ヘビ!』

 「うむ…分からん…」

 「おーい!待ってくださいよ〜!」

 

 

 言葉が通じず困っているとソラが追いつく。ソラは現場にたどり着くと状況を確認し、顔を引きつらせる。

 

 

 「ツカサくん…いくら機嫌が悪いからって子供泣かせちゃ駄目ですよ…」

 「違うわ!たまたま居合わせたんだ!」

 「冗談はさておき、どうしましたかウサギさん」

 「うぇーん」

 

 

 ソラが聞いても変わらずウサギは鳴き続ける。しばらく考えるとツカサに向き直る。

 

 

 「よし!出番ですよツカサくん!」

 「は?」

 「こんな時こそショーでしょう!ささ!なんかやりますよ!」

 「アバウトすぎるだろう…ええい、ままよ!」

 

 

 突拍子もないアイデアだがツカサとしても目の前で泣いている子供を見捨てるつもりもない。

 何とかウサギを笑顔にしてみせようとさまざまなショーをしてみせる。その甲斐あってかウサギもすっかり元気になる。

 

 

 「ふぅ~、ハッハー!見たか!これぞ未来のスターの実力!」

 「楽しかった〜、ありがとうスターさん」

 「ふっ、当然の事をしたまでだ!」

 

 

 お礼を言うウサギに決めポーズをしながら答える。その姿をソラはニコニコと見つめながら声をかける。

 

 

 「うんうん、これぞショーの醍醐味ですね!」

 「…なに?」

 「悲しんでいた人が私達のショーを見て笑顔になってくれた!演者名字…料理?に尽きますね!」

 「…冥利〜?」

 「そうそれ!」

 

 

 ソラが何気なく発した言葉をツカサは思わず聞き返すと何かに気づいたように目を見開く。

 

 

 「そうだ…俺は誰かを笑顔にするためにショーをしていたはずだ…!それなのにあんなことを…」

 

 

 ウサギにしたショーで自分の原点を思い出す。それにより仲間たちへの行いを後悔したツカサはソラに声をかける。

 

 

 「ソラ!」

 「はい?」

 「済まなかった!」

 「え?何が?」

 

 

 ウサギ達と話していたソラが振り返ると勢いよく頭を下げる。謝られる理由が分からず困惑されるもそのまま続ける。

 

 

 「共にショーをしてくれる仲間に言ってはならない事を言ってしまった!許されることではないかも知れないが…もう一度俺とショーをしてほしい!」

「……」

 

 

 ツカサの謝罪をソラは黙って聞く。話が終わるとソラはツカサの腕を掴み引っ張る。

 

 

 「行きますよツカサくん!」

 「な、どこにだ!?」

 「皆のところです!」

 「話が飛んでないか!?」

 「そもそも気にしてたら追いかけて来ませんよ!来てない皆の方に謝った方がいいです!」

 

 

 話が終わるのを待つ間もなくソラはツカサを連れて走っていく。

 グルグルと舞台が周り場面が次から次へと変わるとメンバー達に順番に謝っていく。

 まずはエム、次にネネ、そしてジェル、ヒスイと続くと今度はカイトに謝る。しかし。

 

 

 「悪いけど、僕はもう君とショーをする気はないよ」

 「!!」

 「君にとってショーは自分がスターになるための道具でしかない。そんな人と一緒にショーをする気には僕はなれない」

 

 

 ツカサを冷たく突き放すカイトの言葉。それに対して一瞬悲痛な表情を浮かべるもすぐに決意を込めた表情に変わり言葉を放つ。

 

 

 「確かにお前の言う通りだ…俺は自分の夢のためにショーを利用していた…だが思い出したんだ!ショーで誰かを笑顔にすることの喜びを!そしてもっと沢山の人々を笑顔にしたい!観客も仲間も笑顔にするショーを!そのためにはお前が必要だ!」

 「……」

 

 

 錬金術師に向けたツカサの熱を感じさせる言葉を客席の類は黙って見つめる。

 疑うまでもなく自分達自身がモデルになった舞台、自分の立ち位置であろうカイトがどんな返答をするのかを待っていると舞台上のカイトが客席に振り返る。

 

 

 「さて、ここから錬金術師はどうすると思う?類くん」

 「え?」

 

 

 まさか舞台の途中に演者から話しかけられるとは思わず普段なら出さないような声を出してしまう。

 呆気にとられる類を前にカイトはそのまま続ける。

 

 

 「実はこの先はまだ決まっていないんだ。それに何より…気づいているだろうけど僕は代役でね、やはり本来の演者の答えが聞きたいな」

 「……分かりました」

 

 

 カイトの言葉に類はこのショーの脚本の真の意図を理解する。席を立ち舞台に上がるとツカサ…否、司と向き合う。

 

 

 「…ショーでなら、僕を納得させる事が出来ると?」

 「あぁそうだ!俺はこれ以上の想いの伝え方を知らん!あの日、俺はショーで感動を受け取った!だから俺の想いをお前に送るならこの方法が一番だと思った!」

 「…そうか、なるほどね」

 

 

 司と対照的に静かな態度の類の瞳は真っ直ぐ司に向けられている。周りも静かに見つめながら類の言葉を待っているとついにその口が開かれる。

 

 

 「観客も仲間も笑顔にするショー、いい言葉だ。でも、想いだけでは実現出来ない…それ相応の演出をつけないとね」

 「それって…!」

 「類!」

 「おっと、間違えないで欲しいな。僕は類じゃなくて…錬金術師さ」

 

 

 得意気な笑みを浮かる類に思わず一同は顔を見合わせ笑顔を見せると駆け寄る。

 

 

 「うぉぉぉ!!やったぞー!!」

 「類くーん!長かったー!」

 「仲直りというものの難しさを実感できるな…二度とケンカするなよ座長」

 「あぁ!!勿論だ!!」

 「声量も調子いい〜」

 「さて、それでは早速ショーの演出を見直そうか。見たところ寧々もロボを使わず出れるようだし…」

 「ん、ンンッ!!」

 

 

 再び類が仲間に戻った喜びを分かち合っていると大きな咳払いが聞こえてくる。そこには途中からショーから姿を消していたハカイが衣装のままタブレットを手に立っている。

 

 

 「その前に、こっちの代役もどうにかしてもらえるとありがたいんだが?この天才の無駄遣いなんでな」

 「代役…そういえば、神楽くんは何処に?設定からしてハカイくんが変わりなんだろうけど…」

 「まぁ色々ありまして。でも、大丈夫なんですよね!翡翠くん!」

 「あぁ。ハカイ、頼んでいたものはどうだった?」

 「あぁ、クロっちの助けで魔術の知見が出来たのが役に立った」

 「ウィ〜、お役に立てて何よりだよ〜!」

 

 

 ハカイの言葉に反応したかのように舞台袖から紫色の魔法使いの風貌をした存在、ジョブケミーの最高位の存在であるクロスウィザードが現れる。

 

 

 「クロっち…随分親しみやすい名前だな…」

 「いいでしょ〜。友達がつけてくれたんだ!」

 「それで、結果はどうだった?」

 「このとおりだ」

 

 

 司がクロスウィザードに戸惑う中ハカイはタブレットに映し出された映像を見せてくる。

 そこには類を迎えに青空が行った場面が映っている。

 

 

 「ん〜?これがなんです?」

 「より拡大する、見ろ」

 

 

 青空と類が話している商店街の路地裏を拡大する。そこには目玉に蝙蝠の翼が生えたような生物が2人を監視している。

 

 

 「なるほど、予想通りだ」

 「見られてた!?」

 「これは…怪人?」

 「アイツらは私達が類を再び説得しようとしていることを知ったはずだ。成否を知るすべは無いだろうが…行動を起こすなら今がベストだ」

 「何するかの目安もついてるんだったな」

 「私達が不在の間に神楽にやらせて両方にダメージを与えられるもの、自ずと絞られる」

 

 

 頭の中の推測を語りながら翡翠はワンダーテレフォンを取り出す。それを見て青空も自分のテレフォンを取り出すと気合十分に拳を突き出す。

 

 

 「よ〜し、それじゃあみんな!作戦通り行きますよ!」

 「うん!お兄ちゃんを助け出す!」

 「必ず全員揃ってショーをするぞ!」

 

 

 それぞれ青空の拳に合わせるように自分の拳を合わせる。

 

 

 「救出劇、スタートです!」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 一方、ワンダーステージに不穏な影が近づいていた。その戦闘をフラフラと歩く人物、鳳神楽はエビルスフィアを取り出すとベルトに装填し呟く。

 

 

 「変身」

 『LETS ACTIVE EVIL!!』

 

 

 姿を仮面ライダーに変化させるとツーサイドライバーを構える。

 その姿を後ろに立ち笑みを浮かべながら眺める夜はイグニスに指示を出す。

 

 

 「さぁ、やりなさい」

 「…」

 『必殺承認!』

 

 

 刀身にエネルギーを纏わせると振り被る。エネルギーが最高潮に高まると同時にイグニスは叫びながら振り下ろす。

 

 

 「アァァァァァ!!」

 『ダークネスフィニッシュ!』

 

 

 振り下ろすと同時に大きな爆煙が上がる。しかし指示を出した張本人である夜の表情はつまらなそうにしている、その原因はイグニスの刃の矛先にある。

 感情を操作されワンダーステージを破壊するはずだった一撃、しかしそれは地面に向かって突き立てられ大きな跡を残すのみだった。

 

 

 「あなた、本当にそれでいいの?」

 「……ゥア」

 

 

 夜は自分の能力で感情を増幅させる事が出来る。その時に相手の心も読み取れるのだ。

 それによりイグニスが嫌がりそうな事をやらせているが、それ以外にもこの行動をさせているのには意味がある。

 

 

 「これはあなたの望みでもあるはずよ?こんな場所がある限りあなたは幸せになれない、永遠に囚われたまま」

 「ウグッ…ァァァ!」

 

 

 頭を両手で抑えながらイグニスは苦しむ。夜は近づくとイグニスの頭を掴み目を合わさせるとその瞳を妖しく光らせながらさらに語りかける。

 

 

 「全て壊しなさい、あなたの手で。そうすることで初めてあなたは救われるのよ」

 「あが…う、うぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 水色だったイグニスの目が夜の魔術と同じ妖しい色に変わる。普段の彼からは想像出来ないような大声で叫びだすと剣を無茶苦茶に振り回して斬撃を辺りに飛ばし暴れる。

 爆発が幾つも巻き起こる中青空達が現場に着く。

 

 

 「神楽くん!」

 「やっぱりワンダーステージを壊させるつもりだったな!」

 「あら、遅かったわね」

 「ウォァァァア!!」

 

 

 イグニスは青空たちを視界に収めると襲いかかる。

 

 

 「え、ちょちょちょ!」

 「ふん!」

 

 

 突っ込んできたイグニスの剣を翡翠がヴァルバラッシャーで受け止める。鍔迫り合いに持ち込もうとするも弾き飛ばされ追撃を仕掛けようとイグニスが剣を振るう。

 

 

 「アニキ!」

 『アンカーモード!!』

 

 

 アルテマウェポンを伸ばすとジェルはイグニスの腕を縛る。しかし思いっ切り引っ張られると地面を転がり錨が外れてしまう。

 後ろから青空が近づきイグニスを羽交い締めにすると何とか離れないように全力でしがみつきながら夜を問い詰める。

 

 

 「神楽くんに何をしたんですか!」

 「そいつが悪いのよ?私の感情操作を無理に抵抗しようとしたから頭の中がバグっちゃったの。長く続けば廃人でしょうね」

 『マジカル!!』

 

 

 笑みを浮かべながらスフィアを起動させるとベルトに装填する。

 

 

 「さて、変身」

 『MY LOCK MAGICAL!!』

 

 

 ヒュプノに変身すると杖からエネルギー弾を放つ。着弾の衝撃で青空が弾き飛ばされると翡翠達と合流する。

 

 

 「状況は思ったより悪そうだぞ!」

 「早く助けないと神楽くんが!」

 「急ぎますよ2人とも!」

 「「「変身!!」」」

 『CHANGE THE GOTCHARD!!』

 『MY LOCK VALVARAD!!』

 『START ABILITY MAJADE!!』

 

 

 3人は前回の戦いと同じ姿に変身する。一斉にイグニスに向かって走り出そうとするとヒュプノの杖から呪文のような物が放たれセイレンを縛りひっぱる。

 

 

 「うわっ!」

 「こいつの力でアイツにかけた私の力を無力化する気でしょうけど、見え見えなのよね」

 「ジェル!」

 

 

 分断されたセイレンを助けようとカラットが走り出そうとするも突然横から殴り飛ばされる。

 地面を転がると起き上がり衝撃の正体を探す。そこには右手がフヨフヨと浮かんでいる。その光景に覚えがあるカラットは驚く。

 

 

 「こいつは…!?」

 「ヒヒヒ〜!こないだぶりだな〜!」

 

 

 耳障りな声と共にパーツが集まりジョーカーノーネイムへと姿を変える。それを見たカラットはヴァルバラッシャーを構えるとスカイに叫ぶ。

 

 

 「青空!悪いが神楽は任せるぞ!私はリベンジさせてもらう!」

 「え〜!作戦は!?っとと!」

 

 

 カラットへ抗議するもイグニスの攻撃で中断される。カラットはジョーカーに突っ込み武器を振るうも取り出された大鎌で受け止められる。

 

 

 「また腹に大穴空けてやるよ〜!!キヒャヒャ!」

 「品性のかけらもないな…負けたままは美学に反する!!勝たせてもらうぞ!」

 「出来るかな〜?」

 

 

 ジョーカーは身体を分解すると宙に飛び上がりトランプを取り出しカラットに投げつける。

 

 

 「お得意のやつか!舐めるなよ!」

 

 

 カラットはネライドライバーの能力を使いトランプを解析する。内部のエネルギーの溜め込んだ部分を正確に切り裂けば爆発することなく対処出来るはずだ。

 しかし、トランプの中にエネルギーが検出されない。疑問に思っていると突然トランプが巨大化し高速回転しながらカラットを切り裂き吹き飛ばす。

 

 

 「ヒッヒ〜!引っかかったー!」

 「新ネタ持ってきた訳か…だが!それはコチラも同じだ!」

 『ゲキオコプター!イグナイト!』

 『エンジェリード!イグナイト!』

 

 

 カラットが勢いよく立ち上がると水色と白色のエネルギーがベルトに入る。それを確認するとスフィアのスイッチを押し力を開放する。

 

 

 「ふん!」

 『ガッチャーンコ!バースト!』

 『カスタムアップ!エンジェコプター!』

 

 

 カラットの胸部に羽根の紋様が浮かび上がり、右手に天使の羽根を模した弓、左手に天使の輪を装備させたガドリングが現れる。

 仮面ライダーカラットヴァルバラドセレクトエンジェコプターカスタムに変身すると宙に飛び上がりジョーカーと空中戦を繰り広げる。

 両者の戦いが熾烈をきわめる中、セイレンとヒュプノもまた激しくぶつかる。杖から発される魔力は聖なる力を込めたセイレンの手に触れると消滅し、距離を詰められたところに放たれる掌底で吹き飛ばされる。

 

 

 「さっき自分で言ってたけど!あなたの力は私には効かない!おとなしく降参するんだね!」

 「あ〜、調子に乗っちゃって…私も最近知ったけど、せっかくだからあなたにも教えてあげるわ」

 

 

 勝ち気な言葉を放つセイレンに対しヒュプノは攻撃を受けた腹部を手で払うと杖を放す。

 武器を手放したことにセイレンが警戒していると懐から新たなスフィアを取り出し起動させる。

 

 

 「過去のデータからしっかり対策を取るのが大事ってこと」

 『サーベラ!!』

 

 

 新たなスフィアを起動させるとベルトに装填し力を開放させる。

 地面に浮かぶ魔法陣に描かれる数多の昆虫。それらがエネルギーで実体を作られ一斉に飛び出すと共に魔法陣が浮かび上がりヒュプノの姿を変える。

 魔法使いを模していた帽子や衣装は消失し一気に軽装になる。身体には最小限の装甲と頭に斜めに長剣が突き刺さると最後に魔法陣から煙が飛び出しその手に専用武器、煙叡剣狼煙を生み出す。

 

 

 『MY LOCK SABELA!!』

 『狼煙開戦!』

 『FLYING!STING!SMOG!STEAM!昆虫CHU♡だ〜い百科〜!!』

 「仮面ライダーヒュプノ、サーベラセレクトってわけ」

 「これは…くっ!」

 『アルテマウェポン!!』

 

 

 宿した力から能力を察するもアルテマウェポンを呼び出し錨を伸ばすことで遠距離攻撃を繰り出す。

 真っ直ぐ向かっていった錨が棒立ちのヒュプノに直撃しようとした時、錨に触れようとした部分が煙に変化しすり抜ける。

 

 

 『狼煙霧中!』

 「ほ~ら、行くわよ!」

 

 

 全身が煙に変わるとセイレンに纏わりつく。そのまま共に浮かび上がると地面や壁などにぶつけながら空中に飛び上がり、人型に戻ると必殺を放つ。

 

 

 『インセクトショット!』

 「ハァッ!」

 「うわぁぁ!!」

 

 

 ヒュプノの身体から昆虫の足が生えると彼女自身の足に重なりキックを放つ。セイレンの身体に勢いよく突き刺さると重力に従い地面に叩きつけられる。

 

 

 「がぁっ…あ…」

 「どう?中々強いでしょう?」

 「ジェル!グッ!」

 「余所見は良くないナァー!」

 

 

 苦しむセイレンを助けるために矢を放とうとしたカラットの腕がジョーカーの投げたナイフにはじかれる。状況がだんだんと悪くなる中、イグニスの刃をスカイもまたアルテマウェポンで受け取める。

 

 

 『ブレードモード!!』

 「神楽くん!正気に戻ってください!」

 「うぁぁぁ!!」

 「ぐあっ!?」

 

 

 攻撃を受け止めながら叫ぶスカイの言葉へ反応を示さずイグニスの斬撃が身体を捉える。

 火花を散らしながら地面を転がるもその闘志が弱まることはない。スカイは錬金術を使用すると地面のマンホールを浮かび上がらせイグニスにぶつけようとするも真っ二つに切り落とされる。

 

 

 「無駄よ!そいつの心は完全に消えている!」

 「あなたの言葉は信用出来ません!こないだも結局言葉届いたし!」

 『アンカーモード!!』

 

 

 ヒュプノの言葉を否定するとアルテマウェポンを変形させイグニスに向かって投げつける。簡単に弾かれるも自身もホッパー1の力で強化された脚力で飛び上がりイグニスにしがみつく。

 

 

 「神楽くん!聞いてください!類くんも戻ってきたんで貴方で最後です!そろそろ戻ってきてください!」

 「うるぁ!!」

 「あいたっ!」

 

 

 しがみついたスカイを振り払うとイグニスは力の限り斬りつける。しかしその場で踏みとどまるとスカイはイグニスの両手を掴み動きを止め続ける。

 

 

 「また皆でショーをしましょう!今度こそ大成功のショー!」

 「オラァ!」

 「ごっ!?」

 

 

 全力で掴み続けることで剣を封じるも前蹴りで腹を蹴り飛ばされ今度こそ吹き飛ばされる。しかし両足でブレーキをかけることで地面を削りながら体勢を意地する。

 

 

 「えむちゃんが待ってるんですよ!泣かしてていいんですか!」

 「ンンッ…!?グッ…!」

 「チッ!」

 

 

 えむの名前を出すとイグニスが明らかに動揺することにヒュプノが思わず舌打ちする。やはりあの女だけはどうしてもイグニスの脳内から消すことは出来ない。

 少しでも優越感に浸ろうとセイレンを踏みつける足の力を強めるもこちらを見つめる顔が苦痛以外の表情なことを感じ取る。

 

 

 「…!?」

 「アニキの作戦、上手くいきそうだね」

 「ジェルさえ抑えておけば神楽を助けられない、考えが読みやすい奴だ」

 

 

 ジョーカーの攻撃を防ぎながら放たれた言葉に嫌な予感が走りスカイ達の方を再び見る。

 スカイは不敵な笑みを浮かべると指を輝かせ錬金術を再度発動させる。

 

 

 「万物はこれなる一者の改造として生まれうく!!」

 

 

    万 これなる と

    物 一者の  し

    は 改造   て

     生まれうく

 

 

 スカイの放った力が地面に落ちたアルテマウェポンとマンホールに宿る。

 錨が伸びると錯乱するイグニスの身体を縛り上げ、その鎖を保護するためにマンホールが液体金属に変化しコーティングする。

 

 

 「今です!えむちゃん!」

 「うん!」

 

 

 青空の言葉を受けるとえむは戦闘前に手渡された矢印を象ったガッチャードの専用銃、ガッチャージガンを取り出すと1枚のケミーカードを構える。

 

 

 「お兄ちゃんに私の想いを届ける…力を貸して!ヴァンパイアさん!」

 『勿論だよえむちゃん、彼に本当のときめきを思い出してもらおう!』

 

 

 えむの言葉に応えるようにカードからハートマークが浮かび上がるとその中心にアイドルのような顔立ちの青年が現れる。

 オカルトケミー、ズキュンパイアの言葉に頷くとカードをスキャンさせる。

 

 

 『ガッチャージバスター!』

 「お兄ちゃん、ごめん!」

 

 

 謝罪の言葉と共に引き金を引くとハートの装飾がなされた矢印の弾丸がイグニスを撃ち抜く。

 込められたズキュンパイアの力により弾丸を放ったえむにイグニスの注目が向くと力の限り叫ぶ。

 

 

 「お兄ちゃん!戻ってきて!」

 「ウグッ!?ぁぁぁ!!」

 「っ!させるかぁ!」

 

 今までで一番の反応を見せると全身を揺らし暴れ、鎖を引きちぎる。

 ツーサイドライバーを操作しようとした時、司が突然走り出すと食い止めるためしがみつき叫ぶ。

 

 

 「兄ならちゃんと妹の話を聞け神楽!」

 「グゥッ!うぅ!」

 

 

 兄妹の話を出されるとより激しく苦しむ暴れ出す。凄まじい力だが司は決して離そうとせず、それを見たえむもより強く叫ぶ。

 

 

 「お兄ちゃん!お父さんたちがこのステージをこわしちゃうって聞いた時…嫌だって言った私を手伝ってくれるって言ってくれたの、凄い嬉しかった…!司くんたちが来てくれるまでずっと頑張れたのもお兄ちゃんがいてくれたからだよ!」

 「うぅぅ!!あぁぁぁっ!!」

 

 

 えむの言葉を受けたイグニスの両目が本来のエビルセレクトの色である水色と催眠の証である紫色で激しく点滅する。

 正気に戻りかけていると判断した司がさらに声をかけようとした時、イグニスが口を開く。

 

 

 「司…くんっ…!」

 「神楽!戻ったか!?」

 「スタンプを……!!押して…!」  

 「スタンプ…?これか!」

 

 

 イグニスの言葉の意味を考える。スフィアではないアイテムのことだと察した司が必死に視線を巡らせるとイグニスがツーサイドライバーをゆっくりと持ち上げる。

 意図を察するとそこに取り付けられたアイテム、バットバイスタンプを取り外すとスイッチを押す。

 

 

 「うおぉぉお!!」

 

 

 このアイテムの正しい使い方など知らない。だが悩んでいる暇は無い、直感の従うままにスタンプをイグニスの身体に押印する。

 

 

 「うがぁぁぁ!!」

 「う、うぉぉお!?」

 「司くん!」

 『トライケラ!キャッチュラ!』

 

 

 イグニスの身体から強いエネルギーが放たれると中から神楽が飛び出し余波で司が吹き飛ぶ。

 地面に激突する寸前でスカイの身体が青いマントをつけた巨大な蜘蛛に変わると糸で出来た盾で受け止める。

 

 

 「大丈夫ですか司くん!」

 「あぁ、助かっ……ぬぉぉぉ!!?キモい!」

 「あ、ごめんなさい。虫無理でしたね」

 『キャッチュ…』

 

 

 司の反応に青空が謝罪する中キャッチュラは悲しそうな声を出す。

 その中にはあくまで節足動物である自分は虫とは言い切れず現にインセクトではなくアニマルタイプのケミーであることからの抗議も含まれているが…言葉が通じず二人には届かない。

 

 

 「お兄ちゃん!」

 「えむ…くっ…」

 

 

 開放された神楽にすぐさまえむが駆け寄る。まだ身体にダメージが残り苦しそうに声を出す中震えながら腕を動かすとえむの頭を撫でる。

 

 

 「流石自分の妹…!胸に響くいい口説き文句だったよ…」

 「お兄ちゃん…!えへへっ!」

 

 

 普段の優しい兄に戻った神楽にえむは笑顔を見せる。その姿に笑みを返すもすぐに立ち上がり、目の前で暴れる自分自身であるイグニスエビルセレクトを見つめる。

 

 

 「さて…あんな恥部をいつまでも晒すのは自分的にはごめんなんだよね」

 「それじゃ、皆で一緒に頑張りましょう!2人とも!」

 「うぉ!」「きゃっ!」

 

 

 蜘蛛のままスカイは神楽に近づくとカラットとセイレンを糸で引き寄せる。

 2人を合流させるとスカイはスチームホッパーに戻る。

 

 

 「さて…それじゃいこうかな!」

 『パッション!!』

 

 

 神楽がスフィアを起動させると同時にスカイ達も自らの想いで出来たスフィアを起動させる。

 変身を妨害しようとエビルセレクトとジョーカーが攻撃を放つと4人が爆炎に包まれる。

 

 

 「みんな!」

 「いや、あれは…」

 

 

 寧々が思わず叫ぶも類があることに気付く。普段は彼らの周りを囲むように現れるカーテン、それが前方で4人を守るように繋がり広がる。

 神楽はそのカーテンの裏で腕を交差させるといつもより勢いよく掲げた腕を素早く下ろしながら逆の腕を広げ一礼する。

 

 

 「変身!!」

 

 

 カーテンの中から伸びた巨大な腕が神楽に衣装を着せる。カーテンが開くとそれぞれ姿を変えたライダーが並ぶ。

 それぞれ武器を取り出す中スカイは一歩踏み出すと騎士団長の敬礼のポーズを取り剣を天に突き上げる。

 

 

 「星の輝きを宿した、青空の戦士!仮面ライダースカイ!」

 『CHANGE THE FREEDOM!!』

 

 

 続いてイグニスが一歩前に出ると銃をクルクルと回しながら銃口でハットを押し上げ指を口元に持っていくと投げキッスをする。

 

 

 「心に焼き付く情熱の戦士!仮面ライダーイグニス!」

 『LETS ACTIVE PASSION!!』

 

 

 カラットは身体を軽く叩き小気味よい音を鳴らすと指で撫でる。

 

 

 「叩けば硬く、磨けば輝く。輝石の戦士、仮面ライダーカラット!」

 『MY LOCK JEWEL!!』

 

 

 セイレンはアンカーを伸ばしながらクルクルと回ると踵で蹴り上げ元の位置に戻しながら足を開いて立つ。

 

 

 「染まらず我流!自分らしくが美しい!純白の戦士!仮面ライダーセイレン!」

 『START ABILITY CLEAR!!』

 

 

 それぞれ名乗りを上げるとスカイとセイレンが武器を天に掲げ、イグニスとカラットが端で武器を斜め前に突き出す。

 

 

 「「「「我等、仮面ライダー!!」」」」

 

 

 ポーズを決めながら一斉に名乗りを上げると背後に大きな爆発が上がる。

 予想外の轟音にスカイが驚くとほかの3人も口を開く。

 

 

 「うわぁ!?な、なんの爆発ですか!?」

 「いや、そもそもこの名乗りいる?」

 「これやるヒーローは休止したのにね」

 「え、マジ?」

 

 

 呑気にそれぞれ好きに喋り出す4人、それに対して当然のように怒りの声をヒュプノは上げる。

 

 

 「あんたら…ふざけてんじゃないわよぉぉぉ!!」

 

 

 ヒュプノが叫ぶと同時に足元から泥がふきだしそこから泥人間が大量に生まれる。それを見た4人は気を取り直すと武器を構える。

 

 

 「どうやらコメディパートは嫌いみたいだね」

 「では、お望み通りアクションパートと行きましょう!」

 「脳内で各自かっこいいBGMを流しといてね!」

 「それじゃ…アクション!!」

 

 

 カラットが宝石のような腕と腕を勢いよく合わせるとカチンコのような音が鳴り響きライダー達が走り出す。

 それぞれ二手に分かれると泥人間達を相手に戦闘を開始する。

 

 

 『ブレードモード!!』『ガンモード!!』

 「行きますよ神楽くん!」

 「エスコートなら任せてよ!」

 

 

 その言葉通りにイグニスは先行すると腕を振る。すると腕からロープが現れそれを勢いよく振るうと前方の泥人間の軍団を一斉に拘束し、ハカイドライバーで強化された腕力で上に放り投げる。

 

 

 「はい、トス!」

 「それではレシーブを!」

 

 

 スカイは飛び上がると身動きの取れない空中でバタバタともがく泥人間達と対照的に縦横無尽に飛び回り斬り裂いていく。

 何度も往復しながら切り裂くとイグニスと泥人間を挟み込むような位置に突きアルテマウェポンをガンモードに変える。

 

 

 『アルテマチャージ!!』

 「それでは一緒に!」

 「シューーット!!」

 

 

 2人が同時に放ったビームに挟まれ泥人間達は一斉に爆散する。残る泥人間達を相手取るカラットとセイレンも協力して立ち向かって行く。

 

 

 「アニキ、いくよ!」

 「いいだろう、ほらパス!」

 

 

 セイレンの掛け声と共にカラットはボウガンを投げ渡す。2つの武器を持ったセイレンが跳び上がるとその足をカラットが掴み大きく回り出す。

 

 

 「「いっけぇぇぇ!!」」

 

 

 グルグルと独楽のように回りながら泥人間の軍勢に突っ込んでいく。ぶつかった者はアンカーの刃で斬り裂かれ離れた者とセイレンががむしゃらに乱射したボウガンの矢で貫かれていく。

 全ての泥人間を倒すと回転を弱めていきお姫様抱っこを経由してセイレンを地面に立たせる。

 

 

 「イェイ!やったねアニキ!」

 「ナイスコンビネーションだったな。流石私の妹分だ」

 

 

 カラットとジェルはお互いの健闘を称える。するとその足元にトランプが幾つも突き刺さり、大きな爆発を起こす。

 

 

 「キヒャヒャ!吹き飛んだ吹き飛んだ!…ひ?」

 

 

 不意をついた一撃が決まったことにジョーカーが下品な笑い声を上げながら喜ぶ。しかし煙が収まっていくとその笑顔も消える。

 煙が消えた位置に設置された2つのカーテン、それが消え去ると姿を変えた2人が立っている。

 

 

 『MY LOCK WOZ!!』

 『START ABILITY MAJADE!!』

 「アニキの敵討ち!頑張っちゃうよ!」

 「隣で生きてるんだが。まぁいい」『ジカンデスピア!ヤリスギ!』

 

 

 2人で走り出すとジョーカーが大鎌を取り出す。ジョーカーの振るった大振りな一撃を槍でカラットが受け止めるとガラ空きのボディにセイレンが掌底を叩き込み、怯んだ好きにカラットが強烈な突きを繰り出す。

 

 

 「うぐぅぅ!卑怯だぞ!2人がかりなんて!」

 「さっき大群出してきた奴がいう?」

 「せっかくだ、もっと卑怯に行ってやるよ」

 『誰じゃ?俺じゃ!忍者!フィーチャリングシノビ!シノビ!』

 

 

 カラットの姿が変わると大量に分身する。その光景にジョーカーが驚く間もなく鎌モードに切り替えたジカンデスピアを構え高速で次々と斬り裂いていく。

 それを見たセイレンも動く。身体からオレンジ色のエネルギーが2つ飛び出しベルトに入ると力を開放する。

 

 

 「いざ、本邦初公開!」

 『ファイヤマルス!』『インフェニックス!』

 『ガガガガッチャーンコ!』

 『エターナルフレイム!』『マーズフェニックス!』

 

 

 火星の力を宿したケミー、ファイヤマルスと不死鳥の力を宿したインフェニックスの力がセイレンに宿る。

 頭頂の一本角は鳥をイメージしたトサカに変わり手甲に丸い盾のような装飾が追加され全身の宝石が赤色に変わる。何処かパンクなモヒカンのような頭を撫でながらセイレンは炎を手に纏うとジョーカーに向かっていく。

 

 

 「おりゃあ!」

 

 

 ステップを踏みながら近づくとボクシングスタイルでジョーカーを連続で殴りつける。強烈な殴打により吹き飛ばされるとナイフを取り出し投げつけられるのをバック転で躱す。

 距離を取られてしまったがセイレンは焦ることなく手を振るうと手甲から炎の円盤が発射されジョーカーを焼く。

 

 

 「ぐぉぉぉ!!」

 「いい感じ!」

 「悪くない姿だ、一気にいくぞ!」

 

 

 2人がジョーカー相手に優勢に攻め続ける少し前に戻り、スカイとイグニスが泥人間達を一掃した頃。

 2人を分断するように2本の刃が振るわれる。振るわれた刃の内の1本、ヒュプノがスカイに向けて振るった一撃を自らの剣で受け止める。

 

 

 「お前のせいで私の計画が無茶苦茶だ!!殺してやる!」

 「それはすいませんね!私空気読めないってよく言われるんですよ!!」

 

 

 怒りに我を失ったヒュプノの剣を蹴りで弾くと反撃する。しかし確かに当たるはずの軌道なのに手応えが無い。

 前方を見ると斬撃の軌道をなぞるようにヒュプノの身体が煙になっている。さらに全身が変わるとスカイに纏わりつくように突っ込んでくる。

 それに対しスカイは完全に捕まる前に自らの飛行能力で空中に逃げると高速で回転し竜巻を作り出す。

 

 

 「こ、これは…!?うぐっ!」

 「スカイ!竜巻ぃぃぃ!!さらに!」

 『アルテマチャージ!』

 

 

 スカイの作った竜巻に煙になったヒュプノが巻き上げられる。さらに剣込めたエネルギーを竜巻に追加し煙になったヒュプノにエネルギーを流し込む。

 

 

 「うぐぁぁあ!!」

 「スカイ!天空落としぃぃぃ!!」

 

 

 剣を振り下ろすと同時に竜巻ごとヒュプノが地面に叩きつけられる。地面に落とされたヒュプノが人型に戻る中上を見上げるとスカイが剣を振り上げたまま急降下してくる。

 

 

 「はぁぁぁ!!」

 「うぐっ!?煙に…!?」

 

 

 攻撃を躱すために再び煙になろうとするも上手くいかない。身体に流し込まれたエネルギー、煙叡剣狼煙は自身の身体を自在に煙に変えられるが異物が流し込まれたせいか上手く機能しない。

 

 

 「おりゃぁ!」

 「がぁぁぁっ!?」

 

 

 スカイの斬撃にヒュプノが火花を散らしながら後退する。地面に膝をつくと魔法陣が浮かび上がる。

 

 

 「退き時…屈辱だわ…!」

 

 

 これ以上の戦闘は勝ち目が無いと判断したのか撤退しようとする。阻止したいがほかの2体の敵の相手もしなくてはならない。

 仕方なく離れようとするとヒュプノが叫ぶ。

 

 

 「覚えてなさい!貴方にはいつか特大の絶望を味わってもらうわ!」

 

 

 その言葉を最後にヒュプノが光に包まれて消える。それを見送ったスカイはイグニスに加勢しようと視線を移す。

 その先ではイグニスがエビルセレクトに向けて弾丸を放つも切り払われ振るわれた刃を銃身で受け止める。

 

 

 「神楽くん!今行きます!」

 「いや!ここは自分でやるよ!」

 「っ!でも…」

 

 

 加勢しようとしたスカイを制するもエビルセレクトの刃に吹き飛ばされる。地面を転がりながら体勢を整えるとレジェンドスフィアを取り出す。

 

 

 「自分自身の黒い部分だって言うんなら…ここで捨て去らせてもらう!」

 『レジェンド!!』

 

 

 ベルトに装填したスフィアの力を開放するとイグニスの身体をカーテンが包み込む。

 巨大な腕が宝石に包まれた布を着せることでイグニスの姿が変化する。首から下はスカイが使用したときと同じだが頭に宝石を埋め込まれた帽子が追加された仮面ライダーイグニスレジェンドセレクトに変身する。

 

 

 「さて…せっかく久しぶりに使うんだ、豪勢にいこう」

 『マッハ!!』『ライブ!!』

 

 

 自らの持つほかのスフィアを起動させると2つが光に包まれケミーカードに変わる。

 それをレジェンドライドマグナムに装填するとレバーを回転させ構える。

 

 

 「さぁ、ゲストを呼ぶとしようか」 

 『DRIVE LIDAR』『REVICE LIDAR』

 『LEGEND RIDE』『DUO!』

 

 

 引き金を引くと黄金のバイクにまたがり2人のライダーが召喚される。

 全身が白を基調にしたライダースーツに包まれ右肩には車輪が付いている青い瞳のライダー、コア・ドライビアを利用した次世代型ライダーシステムを使ったマッハで敵を追跡し撲滅する仮面ライダーマッハ。

 同じく白を基調としながら顔は翼を開いた蝙蝠を模した姿、腰にはエビルセレクトが武器として使っているツーサイドライバーが巻かれておりそれを武器として取り外すと構える。自らの悪魔と向き合う事を決めた正義を掲げる仮面ライダーライブ。

 現れると同時にエビルセレクトを指差すと決めポーズをしようとするマッハに対しライブは目の前の敵の姿を見ると全速力でぶつかりに行く。

 

 

 『ハァ!』

 「ぐっ!」

 

 

 走りながら放たれた銃弾を弾きながらライブに向けて斬撃波を放つもライブは地面を転がるようにして回避する。銃撃が止んだ隙を狙い近づこうとするも突然何かに殴り倒される。

 

 

 『ズーッと!マッハ!』

 『ゼンリン!』

 

 

 出遅れるのは主義に反するとばかりに能力を発動させたマッハが高速移動をしながら自身と同じくバイクを模した専用武器、ゼンリンシューターのタイヤを回転させるとエネルギーが纏わせエビルセレクトに押し当てる。

 高速回転するタイヤに装甲を削り取られていき衝撃に耐えきれず吹き飛ぶとその先にはイグニスが両手にアルテマウェポンとレジェンドライドマグナムを構えている。

 

 

 「ハッ!」

 「うぐぅぅ!!」

 

 

 2つの銃口から放たれた弾丸の雨に全身を撃ち抜かれ今度は逆方向に吹き飛ぶ。ダメージが蓄積し立ち上がれないエビルセレクトにイグニスはマッハとライブを呼び寄せると同時にベルトを操作する。

 

 

 『FULL ACTIVE LEGEND!!』

 『ヒッサツ!フルスロットル!』

 『必殺承認!』

 「さぁ、閉幕といこうか!」

 

 

 必殺を発動させると3人揃って跳び上がる。イグニスの前に幾つもの金色のカードが並びマッハは空中で高速回転すると宝石が飛び散りライブは背中に宝石が埋め込まれた蝙蝠の翼が生える。

 

 

 「ハァァァァ!!!」

 

 

 3人が同時に飛び散りを放つカードを1枚通り抜けるごとにイグニスの勢いと輝きが増していき先行してエビルセレクトを貫き続いたマッハとライブのダブルキックによりエビルセレクトの身体が爆散する。

 地面に着地したマッハがヘルメットのバイザーを上げると同時に煙が過剰なエネルギーが煙として排出され2体のライダーが光となって消える。

 

 

 「ご苦労さま」

 「やりましたね神楽くん!」

 「まぁね、さぁ残りは…」

 

 

 駆け寄るスカイに返事をしながら最後に残ったジョーカーノーネイムを探す。ジョーカーは爆弾トランプを取り出すとそれをカラット達に向けて投げつける。

 投げられたトランプが空中で分裂し雨のように降り注ぐのをセイレンが錬金術で浮かび上がらせた瓦礫をカラットがキカイの力で強化し防ぎきる。

 

 

 「2人とも!」

 「そっちは終わったらしいな。こっちは手こずってる」

 「最後のあがきがしつこい!」

 

 

 フラストレーションが溜まっているのかセイレンの赤い宝石から炎が噴き出す。それを見たスカイはガッチャードスフィアを取り出すと前に出る。

 

 

 「それじゃあコンビネーションで行きましょう!」

 「コンビネーションって…そんなのあった?」

 「アドリブですよ!ワンダーステージとケミー、夢のコラボレーション!」

 「適当だな!」

 「ヤラせるか!」

 

 

 妨害のためにジョーカーが爆弾トランプを投げつけるも目の前を横切るカーテンに弾かれる。カーテンが開かれると基本形態に戻ったイグニス達が飛び出してくる。

 

 

 「皆さん好きに動いてください!合わせます!」

 「信じるからね!」

 「くっ!」

 

 

 ジョーカーが身体を分離させると空中に逃げる。イグニスとカラットが銃撃を放つも小さなパーツに当てることが出来ない。

 それを見たスカイは何の力を使うかを決めるとスフィアの力を開放する。

 

 

 『ゲンゲンチョウチョ!』『バレットバーン!』

 「神楽くん!」

 「うぇっ!?なにこれ!」

 

 

 2つの力が混ざり合うとスカイが小さな光となりイグニスの手に収まる。光が消えると蝶を模したマント付きの銃へと変形したスカイにイグニスが若干引きながらも引き金を引く。

 

 

 「!?」

 

 

 弾丸はジョーカーに当たらず空を切るもその周りで破裂し鱗粉を撒き散らす。すると突然ジョーカーの周りを描く環境がサーカス会場に変わる。

 

 

 「お〜、いいねいいね〜!観客も沢山だ!」

 

 

 突然変化した光景が趣味に合ったのか喜ぶとトランプを取り出す。それをばら撒くと大きな爆発が起き観客達が悲鳴を上げながら飲み込まれていく。

 大勢の人間を苦しめられている事に笑いが抑えきれず顔を押さえながら大きな笑う。

 

 

 「……何やってんだアイツ」

 「バレットチョウチョの鱗粉は幻覚を見せるんだよ」

 

 

 カラットが困惑をする中セイレンがスカイの力を解説する。視線の先に空中で幸せそうに笑うジョーカーの姿。

 現実には爆発など起きておらず突然喜び出しただけだ。イグニスがアルテマウェポンで銃弾を放つと鱗粉に引火し逆にジョーカーが爆発に飲み込まれる。

 

 

 「ウギャァァァ!!?な、何だ!?俺のサーカスは!」

 「そんなものはな〜い!」

 

 

 爆発により落下し分離も解除されたジョーカーに向けてセイレンがアルテマウェポンを振るうも大鎌で受け止められる。

 馬鹿力で弾かれると腕が大きく上げられガラ空きの状態になりナイフが突きつけられようとする。

 

 

 「させません!」

 『バウンティバニー!』『パンパカパーカー!』

 

 

 銃になっていたスカイが別の力を取り込むと光に包まれまた姿が変わる。光がセイレンに重なるとその身体が突然浮かび上がる。

 

 

 「おぉ~!可愛い〜!」

 「やっぱり女の子には可愛い衣装ですよね!」

 

 

 その言葉通りセイレンの姿に変化が生じている。とは言え変身した訳では無い、ウサギ型のパーカーに首元にマントが巻かれた姿に変わったスカイを着ているのだ。

 軽やかに地面に着地すると連続で跳ねジョーカーを翻弄する。

 

 

 「そ~れそ~れ!ピョーンピョーン!」

 「煽っていく〜!」

 「こいつら〜!!」

 

 

 怒りのままに服に手を突っ込むと爆弾トランプを取り出そうとする。しかしその身体にアルテマウェポンのアンカーが巻き付けられると跳び上がったセイレンに引っ張り上げられる。

 

 

 「ラビットキーック!」

 

 

 自分に向かって跳んでくるジョーカーに向かってウサギの脚力が加えられた蹴りで地面に向かって蹴飛ばす。

 跳んでいた勢いも加わり強烈な痛みが走りながら地面にめり込む。苦しみながら立ち上がるとその耳に聞き覚えのある音声が聞こえる。

 

 

 『アルテマチャージ!!フル!!バースト!!』

 『ENEMY LOCK JEWEL!!』

 「さて、今度は当たるかな?」

 

 

 狙いを済ましたカラットがボウガンごと宝石になり固まる。そしてその輝きが最高潮になり身体の宝石が弾けると必殺の矢が放たれる。

 

 

 「ばかめ!」

 

 

 高速で矢が飛んでくるもジョーカーは帽子を脱ぐとその穴を矢に向ける。すると矢が中に吸い込まれていき、逆にカラットに向けて

矢が飛び出す。

 

 

 「それは貴方です!」

 『ワープテラ!』『エンジェリード!』

 

 

 矢とカラットの間に割り込むようにスカイが現れる。その姿は1つの輪、天使を模した羽根が生えたそれに矢が吸い込まれると再び矢が消える。

 

 

 「!?」

 「余所見は関心しませんね〜」

 

 

 ジョーカーの後ろからスカイの声が聞こえ振り返る。そこにはプテラの翼を生やしたもう一つの輪、そこから矢が飛び出すとジョーカーを貫き帽子も焼き尽くす。

 

 

 「これぞコンビネーションというやつだな」

 「ピエロを名乗っておきながら奇術に負けるとは情けないね」

 「乙!」

 「ぐ、ぐぐぐ…ぬぁぁぁ!!」

 

 

 カラット達の言葉に怒るとジョーカーは爆弾トランプを幾つも取り出す。しかしそれを投げつけるのではなくビリビリと破いていく。

 

 

 「なっ…」

 「もったいないよ!」

 「あれは…!?」

 

 

 トランプが破られていくと内部のエネルギーが露出し次々と頭上で融合していき、巨大なエネルギーを作り出していく。

 

 

 「どう見てもまずそうだね!」

 「アニキ!私達も必殺技を!」

 「あぁ…!しかし打ち勝てるか…」

 「うぅ〜ん」

 『CHANGE THE FREEDOM!!』

 

 

 自分たちも対抗するために必殺技を使おうとするもスカイの動きが止まる。頭の中に巡るのはこれまでの戦い。

 自分の力が足りなかった時、レジェンドのスフィアをイグニスが貸してくれた。ハーピィとの戦いでは自分達のエネルギーは融合し七色の輝きを放ち凄まじい力を放った。今も皆で協力し戦闘を優位に進めた。

 そして異なるケミーを組み合わせて新たな力を生み出すガッチャード達の能力、仮面ライダーは力を合わせれば強力な力を生み出せる。

 頭の中でアイデアが広がっていくと4人のアルテマウェポンが光輝く。

 

 

 「皆、武器を投げてください!」

 「えっ!?」

 「わ、分かった!」

 「そ~れ!」

 

 

 空に4人が一斉に武器を投げると空中で1人でに動き出す。

 ボウガンとガンが連結すると巨大化し4人で支えながら持つサイズになりアンカーの先にブレードがくっつくと弾丸として装填される。

 

 

 『アルテマキャノン!!』

 「出来た!必殺武器!」

 「だからこういうのやるヒーローは休止したんだって」

 「いっそ仮面戦隊って名乗るか」

 「とにかく、行くよ皆!」

 『アルテマチャージ!!』

 

 

 4人が一斉にそれぞれの武器の宝玉に触れるとエネルギーがチャージされていく。それを見たジョーカーも手持ちのトランプすべてを破り捨てていく。

 

 

 『フル!!』

 「貴様らがオレに勝てるはずがない!」

 『バースト!!』

 「おっと!前に言った事もう忘れちゃったんですか!?」

 

 

 最大限に高まったエネルギーをさらに込めていく。4人の想いが生み出した新たな武器、今までよりさらに強い力を生み出せるはずだ。

 そんなスカイに応えるようにアルテマキャノンは七色の輝きを放つ。

 

 

 『スタンディングオベーション!!』

 「我等ワンダーステージ!全員揃った時こそ最強だと!」

 

 

 その言葉と共にジョーカーとライダー達の間に道を作るように客席が現れる。ライダー側の攻撃の予感にジョーカーは溜め込んだエネルギーを放出する。

 

 

 「キィィィエロォォォーー!!」

 「重なる想いが結んだ絆が!世界を照らす輝きになる!」

 

 

 眼前にエネルギーが迫る中スカイは口上を叫ぶ。それに合わせてキャノンが輝くと同時に一斉に引き金を引く。

 

 

 「アルテマ!ワンダーブラスタァァァ!!!」

 

 

 目の前に迫ったエネルギーに放たれた弾丸がぶつかるとわずかな拮抗もなく貫いていく。目の前を弾丸が通り過ぎると観客達が次々と立ち上がっていきジョーカーに弾丸がぶつかる。

 その威力に耐えることが出来ず空に打ち上げられると現実を受け入れられず叫ぶ。

 

 

 「何故だ!パワーアップしたはずなのに!」

 「トランプのルール!知らないんですか?」

 

 

 火花を散らすジョーカーを指さすとスカイは叫ぶ。

 

 

 「ジョーカー持ってる人が負けなんですよ!」

 「ふざけるなぁぁあ!!」

 

 

 抗議の叫びを断末魔にジョーカーは爆発する。それを見たスカイは何時もの決め台詞を言おうとするもイグニスに静止される。

 

 

 「え?」

 「これにて!」

 「めでたしめでたし!!」

 「だとさ」

 「え、えぇ〜!」

 

 

 決め台詞を3人に取られたスカイは叫ぶと頭を悩ませる。一人だけ何も言わないわけにはいかない。

 かっこよく決めるためにはあまり間を置くわけにもいかず何とか絞り出すと腕で頭の上に丸を作る。

 

 

 「マル!!」

 「…なにそれ」

 「文章の最後につくやつです」

 「もしかして句点のこと言ってんのか?」

 「しまらないな〜」

 「おーい!お前たちー!!」

 

 

 各々に好き勝手言われる中、司達が駆け寄ってくるのを見て変身を解く。全員が集まると司はそれぞれのメンバーを見つめ口を開く。

 

 

 「やったな!」

 「えぇ!やっと8人揃いました!」

 「迷惑かけちゃったね」

 「全くだ。入院してる間にえらいことになりやがって」

 「でも、これでようやくショーが出来る」

 「そうだね、どんな演出をしようかな」

 「楽しみだねえむちゃん!」

 「うん!とーーーっても楽しみ!!」

 「よし!それではまずは!」

 

 

 司はワンダーステージに上がるとスケッチブックを取り出す。

 

 

 「改めて、名前を決めるぞ!」

 「ん?劇団ペガサス☆インザスカイはいいのか?」

 「久々に聞くと凄いダサいね」

 「ダサくない!だが、俺たちの再始動だ!ならば、全員で納得する名前をつけるぞ!」

 「う~む、名前かぁ」

 

 

 司の言葉にそれぞれ腕を組みながら考えるもすぐには出てこない。何かアイデアに繋がるものはないかと青空は神楽に話しかける。

 

 

 「ここって、何でワンダーステージって言うんですか?」

 「あぁ、確かショーを通して色んな世界を旅するワンダーランドって意味だよ」

 「あ、そうだ!司くん貸して!」

 「む、アイデアが出たか!」

 「これをこうして〜こう!」

 

 

 何か閃いた様子のえむが司からスケッチブックを受け取るとスラスラと描いていく。

 書き終えると両手で突き出すように皆に見せる。

 

 

 「え〜なになに、ワンダーランズ…ば、バツショウタイム」

 「バツは発音しないんじゃないか。座長の星と同じで」

 「てことは…『ワンダーランズ☓ショウタイム』!」

 「うん!楽しいショーの時間だよ〜って意味だよ!」

 「☓は何か意味があるのかい?」

 「それはね〜」

 「?」

 「ちょっと皆近づいて!」

 

 

 類の質問にえむは青空の方に視線を移す。突然見られたことに青空が首を傾げているとえむに促され全員ステージに上がる。

 

 

 「もっともっと!」

 「え、もっと…?」

 「固まれってこと?別にいいけど…」

 「フフ〜えいっ!」

 「ワッ!」

 

 

 全員をひとかたまりになるよう誘導すると抱きつく。突然の抱擁に戸惑う中えむが口を開く。

 

 

 「ここにいる皆の想いが重なって、ニコニコのショーができたらいいなって!」

 「ちょっ、苦しい…」

 「ギューギューだー!」

 「まぁ、いい名前なんじゃないか」

 「よく続けられるな…ぬぐぐ、よっし!」

 

 

 司が何とか抱擁から脱出すると空いたスペースから寧々と翡翠も出る。えむ達が不満そうにする中司は勢いよく叫ぶ。

 

 

 「よし!俺たちはワンダーランズ☓ショウタイムだ!えむ!あの掛け声だ!」 

 「あの掛け声?」

 「ほら、俺たちが来ていたときにやっていただろう!お前が名付け親だからな、お前の流儀で行くぞ!」

 「えー!?本当!?それじゃあみんな!ヒソヒソヒソ…」

 

 

 司の言葉にえむは嬉しそうにメンバーに耳打ちしていく。聞かされた一部のメンバーは恥ずかしそうだが断れる空気でもない。

 円を作るとえむが大きな声を上げる。

 

 

 「ワンダーランズ☓ショウタイム!これからも皆で〜」

 『頑張ろわんだほーい!!』

 

 

 




 設定
 仮面ライダースカイガッチャードセレクト各種ワイルドモード
 ケミーの力を人型ではない形で開放するもの。スフィアの中の力は知識のないものもオリジナルライダーの戦いの記憶を読み取ることで使用可能だがオリジナルが使っていないものは使えない弱点がある。
 しかしケミーそのものと交流した結果、自身で状況に合わせて力を貸してもらいオリジナル未使用形態も使うことが出来る。

 仮面ライダーイグニスレジェンドセレクト
 仮面ライダーレジェンドの力をイグニスが使用した姿。出来ることはスカイのときと変化はないがそのスペックは機動力よりもパワーに振られている。

 仮面ライダーカラットヴァルバラドセレクトエンジェコプターカスタム
 エンジェリードとゲキオコプターの力を宿した姿。素のヴァルバラドセレクトよりもネライドライバーの能力を活かせる形態。

 仮面ライダーセイレンマジェードセレクトマーズフェニックス
 ファイヤマルスとインフェニックスの力を宿した姿。肥大化した手甲によるボクシングスタイルと炎が武器。またその温もりは仲間を治癒することも可能。

 仮面ライダーヒュプノサーベラセレクト
 仮面ライダーサーベラの力を宿した姿。ヒュプノの弱点である近接戦をカバーすることが出来る。
 前回の敗北から学んだ夜が怜から貰った。

 ジョーカーノーネイム
 復活したピエロノーネイムが進化した姿。各種能力が強化されているが4人のライダーの前に敗れた。


 次回予告
 『ツカサリオン&おまけ短編集』
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