プロジェクトセカイ feat 仮面ライダー 作:ミッツー116
話の長さの調整に成功しました。これくらいでポンポン書いていきたいね。
とある一室、そこで癖っ毛の青年が机に向かい何かを書いている。その表情は何の感情も読み解くことが出来ず無表情で仕事でもしているかのようだ。
しばらくそのまま机に向かい続けるとペンを置き、書いていた手紙を見返すと封筒に入れペンで何かを書く。
『遺書』
机の上に封筒を置くと椅子を部屋の真ん中に持っていきその上に立つ。照明から垂らしたロープの輪っかを掴むと瞼を閉じゆっくり息を吐く。
意を決したように輪っかに首を通すと椅子を蹴り飛ばす。
「ッ!!ォッ…!…!」
首が圧迫される苦しみから青年は濁った声をだす。バタバタと身体を揺らすと何かが千切れるような音と共に青年の身体が床に落ち、その横に照明が音を立てながらぶちまけられる。
喉から空気が漏れるように息をしながら両手で顔を押さえるとそのまま動かなくなる。
『もし貴方がこれを読んでいるのなら、私は死ぬのに成功したのでしょう。』
第一話 『代行者』
暗い部屋の中にカタカタとという音が響く。音の発生源では白い髪を伸ばした少女がパソコンのキーボードを一心に叩いている。
その頭につけられたヘッドホンからは彼女が今作ろうとしている楽曲の音が漏れているが集中しているのか気づいていない。
音楽とタイピングの音だけが聞こえる部屋の中でしばらくその光景が続くとヘッドホンから人の声が聞こえてくる。
『K、こんな感じで歌詞どうかな』
穏やかな声色が聞こえてくると送られてきたメッセージを開く。一通り目を通すと通話アプリのミュートを解除し少女が口を開く。
「いいと思う」
『どんな感じ?僕もみたいな〜』
少女の返答に反応するかのように楽しげな声が聞こえてくる。それに対して少女は何か反応を示すようなことはなく再び自分の作業に戻る。
『ちょっとAmia、自分の作業に集中しなさいよ』
『えななんが早く描いてくれないと何も出来ないもーん』
『描けた分だけでも進めといたらいいでしょもう』
再び新しい声が聞こえAmiaと呼ばれた人物を注意する。咎めるその声は気の強そうな印象を受けるが当の本人は気にした様子もなく楽しそうなままだ。
2人の会話を流しながら作業を続けていると最初に聞こえた声の主が再び口を開く。
『ごめん、そろそろ私落ちるね』
『雪は明日も学校だもんね〜おやすみ〜』
『いやあんたもでしょ』
雪と呼ばれた声の言葉に時計を見る。気づけば集まってから数時間ほど経過している。自らの携帯を取り出すと何かを確認し再びマイクのミュートを解除する。
「ごめん、私も今日はおちる」
『えっ!珍しい!いつもは解散後もずっと作業してるのに!』
『そういえば…明日は何か用事があるんだっけ?』
「うん、実は…」
雪やAmiaとは違い通信制の高校に通う彼女は何時も他のメンバーよりもずっと遅くまで作業をし朝になることも多い。
そもそもが出不精なため生活のほとんどを家での音楽活動に費やしているのだが明日だけは別だった。
「ネットで音楽活動している人たちが集まってパーティーをするらしくて…それに呼ばれてるんだよね」
『それ、大丈夫なの?変な集まりじゃない?』
「一応他にも女の人も来てるらしいし…何より、会いたい人がいるんだよね」
『あ、もしかしてKが時々言ってる人!?確か…Cageだっけ?』
「うん。来るらしいんだよね」
自身と同じように動画サイトに楽曲を投稿している『Cage』。自身が活動を始めた頃にはすでに活動しておりたまたま流れてきたのを機にチェックするようになった。
曲調が似ている影響か互いのファンの層が共通しており参考にすることもあるため今回名前が出てきたときにそれまで乗り気ではなかった話に興味が出たのだ。
『私はあんまり聞かないけど…どんな感じなの?』
『僕らと似てるけど…あっちの方がちょっと明るいかな?ネットでは暗い曲しか書けないって言われてるけど』
『確か…ユニット活動もしてるよね。Cageが男の人って分かったのも確かそれがきっかけだし』
『僕は相方の配信の方が好きかな〜作業中も観たりするし』
『集中しなさいよ』
三人の言葉に明日のことを考える。定期的にある用事以外で外に出るのは何時ぶりだろうか。そもそも全く知らない人物に会うことが今から少し怖い。
しかしどうしても行きたい理由があった。自身と似た曲調、しかし何処か自分よりも明るい曲を作る彼に。
ーーーーーーーーーーー
窓からの陽光が顔を刺し、照明が落下した部屋で青年が目を覚ます。首に走る鋭い痛みに顔をしかめながらロープを外すとため息を吐きながら立ち上がる。
「もうこんな時間か…学校に行かなければ」
壁に立てかけてある制服に手をかけると着替え始める。制服に袖を通すとテーブルの上のリストバンドをはめ鞄を手に取る。昨晩まで命を絶とうとしていた人物とは思えないテキパキとした動きで準備を終えると部屋を出る。
「朝食は…トーストでいいか」
1日を過ごすにあたり朝食を抜くのは主義に反する。急いでトースターに食パンを突っ込むと焼けるまでの間に冷蔵庫からバターを取り出し必要な量をすくい取り冷蔵庫に容器を戻す。
チーンッ!
「フッ!」
飛び出してきた食パンを掴むとバターを素早く塗り咥えると外に出ていく。一人で暮らすには余りにも広い洋館、豪華すぎる庭園を抜け門を開けると表に止めてあるバイクにまたがる。
「行ってきます」
両手を家に向かって合わせながら出発を告げるとエンジンをかけ出発する。ヘルメット越しに過ぎていく景色を眺めながら学校に向かうと視界の端で立ち止まる同じ学校の生徒を見かけて止まる。
「おい〜どうすんだよあれ〜」
「知らねぇよ〜、お前が手はなすからだろ〜」
上を見上げる生徒の視線を追いかけると木の上に体操着入れが引っかかっている。経緯は分からないがあの男子生徒のものだろう。
バイクを道路の脇に止めると近づいていく。
「どけ」
「え」
木の下に来るとヘルメットを上に向けて放り投げる。正確な軌道を描いたそれは体操着入れを落とすと真っすぐ落下しどちらも青年の手に収まる。
「ほら」
「おーサンキュ…って常世かよ!礼言って損したぜ…」
「行こうぜ、関わるとろくな事になんねぇよ…」
捨て台詞を吐くと去っていく2人を見送るとヘルメットを再び被ろうとする。しかし頭の上に上げた両手からヘルメットがすくい取られ振り返るとイタズラっぽい笑顔を見せた女子生徒が立っている。
「おはようございます!全くん!」
「青空か、おはよう」
「俺もいるぞ全治郎!おはよう!!」
「おはよう」
ブロンドの髪に空色が混ざった独特な長髪をなびかせた女子生徒、戴天青空からヘルメットを取り返しながらその後ろの男子生徒、天馬司にも挨拶を帰す。
数少ない友人に出くわしたことでバイクに乗るのをやめることにしヘルメットをミラーにかけると手で押しながら会話をする。
「その首の痣どうしたんだ全治郎」
「あざ?あぁ、跡残ってたのか」
「何したらこんなの着くんですか?」
「首を吊ろうとしたらだ」
「「はぁ!?」」
無表情で放たれた予想外の言葉に2人は思わず叫ぶ。すると青空が焦った様子で全治郎の襟を掴みながらブンブンとその身体を振り回しながら詰める。
「何やってるですか全くん!そういうのやめてくださいって言ってるじゃないですか!定期的に死ぬ死ぬ期間が来るんだから!」
「痛い痛い振り回すな首に響く」
「自業自得だ」
初めてではない自殺未遂に怒りながら道を進む。首の痛みを堪えていると唐突に全治郎が後ろに振り返る。
「?どうした」
「誰か見ている」
「え〜?誰もいませんけど」
「……確かに」
角もない一本道に隠れられるようなスペースもない。にもかかわらず感じる視線に違和感を感じながらもそのまま進んでいくことにする。
ーーーーーーーー
『しかし身体強いですよね…前にお風呂で感電して死のうとした時も生き残ったらしいし』
『運もいいからな、煉炭を使ったら部屋の壁に穴が空いているのが判明したらしい』
『長年住んでいる家の欠陥をあんな形で知る事になるとは思わなかった』
怪人のセカイ、そこで仮面ライダースワンプに変身する男が空中に映し出した全治郎達の映像を見ている。
そんな姿を後ろで他の面々が眺めていると夜が口を開く。
「あれ、どうなってんの?」
「どれだ」
「いや、だから…あれよ」
「あぁ〜分かったかも」
男と映像を交互に指さす夜に紫苑は言いたいことを察する。会話を盗み聞いていた男が振り返るとその顔を見た怜もまた察したのか答える。
「あいつはな…人間じゃない」
「そういうこと」
男が自分の顔に手を当てる、映像のなかの全治郎に酷似したその顔に。するとその顔がこのセカイと同じ赤黒い泥に変化し蠢くもすぐに元に戻る。
「…あまりにコイツらに興味ないから知らなかったわ」
「僕も含まれてる?それ」
「いつか足元を掬われるぞ」
三人の会話を流しながら男は映像の方に向き直る。全治郎はセカイを認識し始めている、だからこそ自分の視線にも気づいたのだ。
待ちに待った時が来たことを察すると足元から泥を吹き出させ外に出ていく。
「さぁて…ご対面と行こうか」
ーーーーーーーー
「でね〜、俺も結構忙しいんだけどさ〜」
(うぅ…来なきゃよかった)
都内の某パーティールーム。外の見える窓際の席に座るKは早くも後悔に包まれていた。
このパーティーの主催であり自分をしつこく誘ってきた男、その男に捕まりもうずっと話されている。
話の内容も何やら自慢話のようなのだがよく分からない、世の女性には受けがいいのだろうか。そういう人相手にしてくれればいいのにと内心思いながら何とか逃げ出す方法を探す。
「すいませ〜ん、今着いたんですけど〜…」
Kが頭を悩ませていると透き通った声が聞こえてくる。その声に聞き覚えがあるKが振り返ろうとするとそれよりも早く男が立ち上がり振り向く。
「おっ!待ってたよCage…ちゃん…」
両手を広げて振り返った男の動きが止まる。その視線は上を向いており笑顔の固まったままの表情が彼の驚きを表している。
入ってきたCageが目深に被っていた帽子を脱ぐ。平均的な身長の主催者を見下ろせるほどの身長、白と黒が交互に並んだ派手な髪は一度見たら忘れないだろう、目までかかった前髪からも伺える整った顔立ちを見せると主催者の男が口を開く。
「おと…こ?」
「あ、はい」
(知らなかったんだ…)
どうやらCageの事を女性だと勘違いしていたらしい、呼ぶ前に下調べなどしなかったのだろうか。そういえば自分を呼ぶときにCageの話題を出してきた時もちゃん付けだった気がする。
しかし実際声だけでは判別出来ないであろう中性的な声をしており顔も出して活動していないためそう言った勘違いが多いことも事実だったなとサークルメンバーの話を思い出しているとCageが話しかけてくる。
「あの…もしかしてニーゴのKさんですか?」
「え…そうですけど…どうして…」
「廊下歩いてる時に中の声が聞こえてきて…」
「そんなおっきい声出してましたかね…。ていうか、声を聞いてわかるってことは…」
「あ、はい…結構曲聞いてて…」
「そうなんですね…!」
あちら側も自分の曲を聴いてくれていたとは思わずつい声に力が入る。いつの間にか主催者の男もどこかに行ったようで無言の時間が流れる。
「え、え〜っと…席とか好きに座っていい感じですか…?」
「あ、はい…特に決まりはないと思います…」
「そうですか…どっか周りに人が居ないところ…」
肩からかけたショルダーバックの紐を強く握りしめた姿から緊張が伺える。もしかすると自分と同じであまりこういった場に慣れていないのかもしれない。
特に話す相手も居ないようならここに来た目的をさっさと果たしてしまおうと話しかける。
「あ、あの…お話したいんですけど大丈夫ですか…?」
「あ、はい…大丈夫ですけど…ここは止めたほうがいいかも…」
「え?どうして…」
「向こうの方…」
「何だと〜テメェ!」
Cageの指さした方向に視線を送ると男たちの激しい言い争いが始まっている。周りの人間がなだめようとしているがヒートアップした二人には聞こえていないようだ。
「どうしたんだろう…」
「お酒が入ってるせいもあるでしょうけど…きっかけは歌の編集のことみたいです。強めのエフェクトかけてるのは歌に自信がないからとか言っちゃったみたいですね」
「すごい…よく聞こえますね…」
「あぁ…まぁ昔から…。それより、ここなんか落ち着かないし…別のところで話しませんか…?」
ここに来たばかりだが、正直自分もここの空気には馴染めそうもない。今なら抜け出しても引き留められたりもしないだろし了承することにする。
「それじゃあバレないうちに…ん?」
「どうしました?」
「なんか垂れてるみたいな音が…あれか」
「ホントだ…なんだろあれ」
天井を見上げたCageにKも視線を追いかけるとなにか染みのような物からポタポタと泥のような物が落ちてきている。
さらに染みが広がっていき垂れてくる量が増えると他の参加者も気付き始める。
「きゃっ!なにこれ!」
「なんだこれっ…ヘドロみてぇな…」
「おいおい、そこそこ高い場所だったんだぞここ!」
主催者の男が不満を叫びながら染みの下に行く。すると広がった染みから今度は塊になった泥が落ち周辺に飛び散る。
「うわっ!くそっ!最悪だ!」
「なんか…変じゃないですかあの泥…」
「……なんだこの音」
「Cageさん?」
一人でに広がり続ける染みにKは不気味なものを感じる。今の泥の塊も漏れ出したと言うにはあまりに量が多く一塊だ。
思わずCageに話しかけるも彼はなにかを怪しむように落ちた泥を見つめる。
ドクン…ドクン…
「鼓動…?」
「きゃあぁぁぁ!!?」
泥の中から聞こえる異音の正体にCageが気づくと泥が腕に変わり女性参加者の足を掴む。泥の腕がそのまま上に伸びると身体を形成し女性を逆さに持ち上げる。
「な、なにあれ…!?」
「化け物…!?」
人型の泥は徐々にその輪郭を露わにしていく。縦に伸びた特徴的な頭、筋肉隆々な上半身と腰回り、小さな耳がついたその顔はあからさまに動物を模していた。
「馬…?」
『ブルルルル!』
「おい!離せよ!」
参加者の一人が勇敢にも立ち向かう。しかし怪人、ホースノーネイムがその腕を振るうといとも簡単に吹き飛ばされ壁に打ち付けられる。
意識を失い動かなくなった姿にようやく理解が追いついてきた人々は悲鳴を上げながら出口に向かって走り出す。
「きゃあぁぁぁ!!!」
「逃げろぉぉ!!」
「Cageさん、私達も…」
「はい…でも…!」
耳を抑えて苦しそうにしながらCageは出口の方を見る。人々が狭い出入口に集まり過ぎたせいで完全に塞がり通り抜けることなど出来そうにない。
他の出口を探して辺りを見回すとホースと目が合う。
「やっばい…」
「ど、どうしましょう…」
2人が思わず後ずさり窓際のテーブルにぶつかる。逃げ場のない状況にKが焦りを感じているとCageが突然振り返りなにかに気づくとKに抱きつきしゃがませる。
「伏せて!」
「えっ…」
2人がテーブルの下に隠れた途端、窓ガラスが割れ勢いよく何かが店の中に着地する。飛び込んできた何かはそのまま駆け出すとホースを蹴り飛ばし掴まれていた女性を抱きとめる。
「大丈夫?」
「は、はい…!」
「あれは…」
女性をゆっくり下ろしながら立ち上がる姿をCageはよく観察する。全身を派手なピンク色に染め上げた装甲、指先には指紋を模したような模様が描かれている。腰には銃を模したドライバーが巻かれており右側のホルスターに弓矢がジョイントされている。
その弓矢を謎の戦士が掴むと指紋型の模様が読み取られ機械音声がなる。
『ヒットシューター!!』
「さて、いくよ!」
戦士が弦を引くと矢に光が灯り離すと同時にその光のみが矢として発射される。飛び出した矢は吸い込まれるようにホースに当たると火花を散らしながらその身体が吹き飛ぶ。
『ブル!』
「ハァッ!」
痛みに怒りを覚えたのかホースは勢いよく走り出し戦士に向かうもタイミングを完全に見切った回し蹴りで逆にカウンターをくらう。
その後も筋肉隆々の腕を連続で振るうホースの一撃を見切りながら回避するとテーブルを飛び越えホースに向かって蹴り飛ばす。
『ブルァ!』
蹴り飛ばされた机をホースは力強く粉砕する。粉々になっていく破片越しに戦士を狙うもすでにそこには居なくなっている。
消えた戦士を探そうとしたその時、腹部に押し当てられた感触に視線を落とすと弓を構えた戦士が弦についたツマミを回しながら矢を放つ。
『ハートシューティング!!』
『ブルァァァ!!』
先ほどよりも威力をました一撃にホースが戦士が入ってきた窓の隣を割りながら外に吹き飛ぶ。戦士がそれを追いかけ外に飛び出したのをCageは立ち上がり窓から視線を追いかけると思わず口を開く。
「仮面…ライダー…」
「え?」
戦士は地面に降りるとホースを追いかけようとするも立ち止まる。理由はその視線の先に映る光景。
いつの間にか消えているホースノーネイム、そして誰かの通報により来たであろう警官たちだ。
並んだパトカーから拳銃を構える警官たちの中で、ただ一人構えずに頭を抱える一人の警官ーー門寺誠は自分の不幸を憂う。
「また怪人騒ぎにライダーか…こないだの司君たちの時とは違う相手のようだが…」
怪人騒ぎと聞いて思わず飛び出してきたのは自分なのだが本当に出会う頻度が多すぎる。
吹き飛ばされて泥に消えていったホースも気になるが今はライダーの方だ。
何とか穏便に済ませようとメガホンを手に取った時、ライダーが弓矢を構える。
「待ってくれ!何もしなければコチラも危害は…!」
「…!誠さん…?」
「!?」
突然呼ばれた自分の名前に驚く。戸惑った様子のライダーは気を取り直すと弓を上に向かって構えなおし、それを放つと矢じりだけが伸びていき建物の屋根に引っかかる。
しっかりと固定されたことを確認すると警官隊に向かって手を小さく振る。
「…それじゃみなさん!バイバ〜イ」
「待てっ!」
静止の言葉を無視し伸びた矢じりが戻るとその勢いのままライダーは屋根に向かって飛んでいく。
屋上に着地するとそのまま走り去っていくのを何も出来ないまま誠は見送る。
「なん…だったの今の…」
「……」
窓から見ていたKは困惑を隠せずにいる。隣のCageはなにかを考え込むようにしながら振り返るとKに話しかける。
「取り敢えず…今日は解散でしょうね」
「…そうですね」
話しかけられて振り返ったKは部屋の惨状を改めて確認する。吹き飛ばされて倒れた男性やライダーが蹴飛ばし怪物が砕いた机、盛大に割れてしまった窓に飛び散るガラス片で無茶苦茶だ。
このあと警察にも話を聞かれてしまう事を考えると今日はもう何も出来ないだろう。ここに来たのが完全に無駄足になってしまったのを感じているとCageが口を開く。
「あ、あの…そういえばなにか話したいことがあるって…」
「あ、はい…でもさすがに…」
「…あの、ニーゴって一応新曲出した告知用にSNSありますよね」
「あぁ…あれはAmia…サークルの子のアイデアで…」
元々一人でやっていた時は何もしていなかったが多くの人に聞いてもらうためには宣伝も大事だとAmiaからアドバイスされたことから始めた物だ。
もっとも、本当に新曲を出した時しか使わないが。
「…メッセージって開放されてますか?その…話したいことあるって言ってたし」
「メッセージ…?何も設定いじってないから多分初期設定のままだと…」
「じゃ、じゃあまたメッセージ送りますね。文面でも通話でもいいですし…その時に話しましょう!それじゃあ僕あそこの人助けて来ます!」
その言葉を最後にCageは倒れた人に向かって走っていく。自分を気遣ってくれたであろうことに久しぶりに人のぬくもりを感じるとなにか出来ることはないかと探し始める。
程なくして警察が上がってくると保護され、その日は解散となった。
ーーーーーーーー
神山高校、放課後ーー
「ぜ〜ん〜、くん!今日は予定ありますか?」
「どこかに寄ろうかと考えているんだ、一緒にどうだ?」
「…」
帰りのホームルームが終わると共に青空と司が話しかけてくる。遊びの誘いを受けながら鞄に手を伸ばすと椅子から立ち上がり出口に向かって歩きながら会話していく。
「悪いな、今日は家にいないといけないんだ」
「なにか用事があるのか?」
「照明の修理が来るんだ」
「あぁ…」
ツッコみづらい予定に2人が困る中靴場で履き替えると2人に手を振って別れを告げバイクを停めている駐車場に向かう。
キーを刺しヘルメットを被ると携帯を取り出し時間を確認する。
「さて、時間もあまりあるわけではないが…夕飯の買い物もしなくてはな」
エンジンをかけると最寄りのスーパーに向かって走っていく。一人暮らしなため夕飯の準備も当然自分でやっている。
今日は朝もトーストで弁当も用意できなかったため購買のパンで済ませた。夕飯はしっかりとしたものを用意したい。
頭の中で献立を考えながら走っていると視界の先に紫色の髪をした女性が歩いているのを発見し隣に止まる。
「まふゆ」
「あ、全治郎。今帰り?」
「あぁ。まふゆは帰り道こっちじゃないだろ。どうしてここに?」
「お母さんにお使いを頼まれたんだ」
見知った様子でまふゆと呼ばれた女性と全治郎は話す。相変わらずの無表情な様子に対し和やかな笑みを浮かべるまふゆは全治郎の首の跡に気づくと手を当てる。
「どうしたの、これ?」
「あ、えぇっと…汗疹だ。エアコンが壊れて部屋が熱くてな」
「まだ4月なのに?」
正直に伝えた司たち相手の時とは違い嘘をついてしまう。無理のある内容だが追求されるようなことはなく安心するとまふゆが立ち止まる。
「え」
「?どうした」
「あれ」
まふゆが前を指さす。自然とその指の先を追いかけていくと全治郎の身体が固まる。
目の前に立つ人物の顔を見た途端、時間が止まったのではないかと思うほどの静寂が頭を支配し目の前の男の歪に笑う顔に心臓の鼓動が強くなるのを感じる。
「よう、何時ぶりだ?」
会ったことの無い人物だ。しかしその顔を自分はよく知っている、恐らくこの世界の誰よりも。
ずっと探し求めていた男、自分の人生が変わってしまった原因、全治郎の頭の中を過去が駆け巡る、自分と同じ顔をした目の前の男との出会いで。
ーーーーーーーー
特に、何の変哲もない家に生まれた。いや、もしかしたら人よりも恵まれていたかもしれない。
大手銀行に務める父が若くして購入した一軒家で家族3人で暮らしていた。
その日は専業主婦の穏やかな母が大好物のハンバーグを作ってくれる日だった。夕飯前に帰ってきた父を出迎え、母が作ってくれたそれにケチャップとソースをたっぷりかけて食べた。
父と一緒にお風呂に入り、自室のベットで母に寝かしつけてもらい、1日が終わる、そんないつもと同じ何でもない日のはずだった。
「ん…?なに…」
ガサガサという音で目が覚めた、覚めてしまった。真っ暗だと眠れなくてつけてもらったオレンジ色の豆電球がうっすらと照らす部屋に動く人影。
自分と同じくらいの子供がオイルタンクを両手で持ち部屋に液体を撒いている。中身を全て出し終えるとタンクを適当に放り投げ取り出したマッチに火をつける。
子供が振り返えるとその顔が火に照らされながらハッキリと見える、自分と全く同じ顔をした子供が。
「ひっ!!」
恐怖に顔を引きつらせる自分とは対照的に不気味な笑みを浮かべるとマッチを地面の液体に落とす。すると一瞬で炎が広がり部屋が火の海になる。
「うわぁぁぁぁ!!!」
人生で一番の悲鳴を上げると逆に目の前のもう一人の自分は大きく笑い出す。その足元から泥が吹き出すと沈んでいくように消えていき部屋には自分だけが取り残される。
「お父さん!お母さん!ゲホッ!ゴホッ!」
両親に助けを求めようと叫ぶも煙を吸い込んでしまい大きく咳き込む。命の危険に涙を浮かべながらもどうすることもできずにいた次の瞬間、何かに引火したのか突然大きな爆発が起き全治郎の身体が窓から外に吹き飛ばされる。
「うわぁぁぁ!!」
2階の窓を飛び出し道路に飛び出すとたまたまゴミ捨て場に落下する。爆発の衝撃で薄れていく意識の中最後に見えた景色はあちこちから火の手が上がる自分の家。
助けを呼んだのに父も母も来れなかったのはきっと両親の部屋は先に燃やされたのだ。
炎に包まれていく自らの居場所に手を伸ばしながら、全治郎は意識を手放した。
ーーーーーーーー
あの日から自分の人生は一変した。誰に話しても信じてもらえない真実を話すことをやめ理解されることを諦めた。
その元凶が今目の前にいる。自然と拳に力が入るとバイクから降りようとするも、目の前の自分は懐から何かを取り出す。
「再会を喜びたいところだけど、その前に確かめたいことがあるんだ」
『セカイドライバー!!』
取り出したそれを腹に押し当てると帯が出現し腰に巻き付く。その後今度は丸い物体を取り出すとスイッチを押しドライバーにはめ込む。
「変身」
『CHANGE THE JUSTICE!!』
足元から泥が吹き出すと全身を包み込んでいく。全身を漆黒の装甲で統一された姿、黒い宝石のようになっている複眼は光を宿さず何処をみているか分からない。仮面ライダースワンプへと変身を完了させると泥を剣に変え逆手に持ち替える。
『ジャスティスブレード!!』
「さて、どうするの?」
「どうなってるの、これ…」
目の前で友人と同じ顔をした男が突然謎の変身を遂げた事にさすがに戸惑ってしまう。全治郎はどうしているかと隣を見ると外していたヘルメットをまふゆ被らせるとバイクを方向転換させる。
「まふゆ、乗れ」
「う、うん!」
促されるままシートの後ろ側に座ると全治郎の腰に手を回ししっかりとホールドする。
固定されたことを感じ取ると全治郎はアクセルを全開にし一気にその場を離れていく。その背中を見るスワンプは剣の刃を撫でながら少し残念そうに呟く。
「まだ持ってなかったか…まぁでも、もう待つ気はないんだよね」
高速で走るバイクの風を感じながらまふゆは運転する全治郎に話しかけようとする。ヘルメット越しでも届くよう必死に声を張り上げると疑問をぶつけていく。
「あれなんなの!」
「……っ!?」
「確かに呼び名がないと困るよね〜。まぁ仮面ライダースワンプとでも呼んでよ」
バイクの隣を平然と並走しながら言い放つスワンプに驚きながらも全治郎はさらにスピードを上げようとする。しかしそれより早くスワンプが剣をバイクに突き立てコントロールが効かなくなる。
「っ!まふゆ!」
「きゃっ!」
後部座席のまふゆを抱き上げるとシートに足を乗せ勢いよく跳び上がる。空中で回転することで勢いを殺しながら地面に着地するとバランスを崩し転倒したバイクを挟むようにしながら着地する。
「さて、足もなくなったし次はどう…!」
言葉を言い終わる前にバイクが爆発し巨大な爆炎が巻き上がる。庇うように顔を腕で覆うと収まった炎の向こう側に全治郎達の姿がないことに気づく。
「逃げ足早っ!足を斬るべきだった?」
ーーーーーーー
爆炎に乗じて逃げ出し、2人は海岸沿いの倉庫まで走ってきていた。まふゆの手を引きながら前を走る全治郎は視界の先に荷台が開いたままのトラックを見つける。
「まふゆ、中に入れ」
「う、うん…」
背中を押されながら促されトラックの荷台に乗り込む。次に乗るであろう全治郎のために中心まで移動してから振り返るとその手は荷台の取っ手を掴んでいる。
「ッ!待って!」
「どっかに運ばれそうになったら抵抗しろよ」
静止しながら駆け寄るも間に合わず扉が閉められる。全治郎は外側からロックし開かないようにすると振り返った途端スワンプに首を絞められトラックに押し付けられる。
「涙ぐましいねぇ〜。まぁそもそも狙いは君だけだけど」
「お前は…なんなんだ!」
圧迫感にこらえながら叫ぶ全治郎の首に剣が向けられる。スワンプが楽しそうに首を傾けながら切っ先を少し刺すと全治郎の首から血が垂れてくる。
「知る必要はないだろ?今から死ぬんだから」
「!」
「それじゃあさよなら!」
振り被った剣を突き立てる。中から扉を叩き続けていたまふゆの眼前に貫通した刃先が飛び出し思わず尻餅を着く。
「ッ!全治郎!」
刃を突き立てられたであろう友人の身を案じ思わず叫ぶ。しかし返事が帰ってくることはなく脳内を最悪の想像がよぎる中、1つのことに気づく。
貫通した剣の刃先、人体に突き刺さったなら流れるべき血がそれには一滴もついていないことを。
ーーーーーーーー
刃が突き立てられようとした瞬間、全治郎は激しい閃光に包まれた。視界が真っ白に染め上げられ何が起こったのかも分からずにいると、気づけば見渡す限り白い空が続き所々に鉄骨が突き立てられた謎の空間に出る。
「これは…まさか天国ってやつか」
「だとすれば神ってやつは趣味が悪すぎる」
「!?」
思わず口を出た言葉に返事が返ってくると思っていなかったため勢いよく振り返る。
そこにはモノトーンのクラシックな服に身を包んだ男が立っている。男は全治郎の身体を値踏みするように眺めながら口を開く。
「さて、時間がないからさっさと済ませるぞ。お前にはヒーローをやってもらう」
「ヒーロー…?」
「さっきお前を襲ったみたいな奴を倒してもらう。コイツを使ってな」
そういうと男はスワンプが使っていたのと同じベルト、セカイドライバーとブランクのスフィアを取り出すと全治郎に手渡す。
渡されたそれをしばらく見つめるも力無く落とすとその場に座り込む。
「…俺には無理だ」
「なに?」
うなだれるように俯く全治郎の言葉を男は聞き返す。状況が状況だけに断られるとは思っていなかった。
「お前分かってるのか?急がないとあの女殺されるぞ」
「あいつの狙いは俺だ。まふゆをわざわざ襲うとは限らないだろう」
「チッ!本気で言ってるならとんだマヌケだし、ビビリなら筋金入りだな…」
どうにか動かす方法はないかと思案していると全治郎の腕のリストバンドに気づき、首についた痣と交互に見る。
「ふ~ん、なるほど?」
「なんだ」
「いや別に?ただ…これならなんとかなるかもな」
「は?」
ーーーーーーーーー
「フンッ!」
スワンプが剣を振るうとトラックの扉を切り裂き中に侵入する。ズカズカと歩いてくる姿にまふゆは後ろに下がり距離を取ろうとするもスワンプに服を掴まれる。
「離して!」
「残念ながらそうもいかない。あいつが逃げ出した以上、別の策を考えないといけないからな。お前は使えそうだ…」
自分を餌に全治郎を狙おうとしていることを知ったまふゆはさらに強く抵抗しようとするが足を払われ床に倒れ込む。
胸ぐらを掴んだスワンプが顔を近づけるとそのまま喋りかけてくる。
「さて、せっかくだし多少は楽しませてもらうとするか?あいつもそっちの方がいい顔しそうだしな」
「ッ!」
近づいてきたスワンプに向かってまふゆがビンタを放とうとするも服を掴んでいた腕で掴まれる。
人間離れした力で握られ強い痛みに顔をゆがめるまふゆを面白そうにスワンプは見つめる。
「いいねぇ、気の強い子は好みだよ?」
「そうか?俺は普通に可愛い子が好きだけどな」
トラックの外から聞こえてきた声に振り向く。そこには両手を組んだ全治郎が得意気な笑みを浮かべながら立っている。
その姿を見たスワンプは仮面の下で好戦的な笑みを浮かべながら飛びかかる。
「ほぉら出てきてくれたぁ!!」
人間では到底捉えられない速度で近づき剣を振るう。しかし全治郎は一切余裕を崩すことなく後ろに倒れるように躱すと連続バク転で距離を取っていき最後に勢いよく跳び上がると地面に直立する。
「おぉ~、素晴らしい身体能力だ。予想以上だぜ」
「全治郎…?」
自分の手を見ながら何やら嬉しそうにしている全治郎にまふゆは首を傾げる。そんな様子を気にも留めずドライバーを取り出すと装着する。
『セカイドライバー!!』
「来たか…!待ってたよこの時を…!」
「まぁ焦るなよ、こっちも上手くいくか不安なんだ」
スワンプの言葉に応えながら今度はスフィアを取り出す。藍色のそれは初代仮面ライダーのような絵柄をしておりスイッチを押すと起動されその名を叫ぶ。
『セカイ!!』
「…なに?」
スフィアの名前を聞いたスワンプが予想外と言わんばかりに聞き返す。その言葉を流しながらドライバーに装填させると全治郎は左手の甲でドライバーをなぞりながら左の腰に据える。
右手を斜め上に突き出すと身体の前に伸ばしながら横切らせていき右側に移動させると手首を返す。
「変身!」
その言葉と共に地球儀の弓を操作しスフィアの顔が発光する。何処からか霧が立ち込めると全治郎の身体を包み込みシルエットのみが浮かび上がる。
影の形がギチギチと音を立てながら変わっていくと複眼が光輝き霧を吹き飛ばす。
『CHANGE THE WORLD!!』
バッタを模したヘルメットに両手足を覆う藍色のグローブ、胴体についた藍色の装甲は六つに分かれており緑色で縁取られている。
装甲のない部分はくすんだ色のグラデーションになっており不完全な印象を受ける。
「上手くいったが…60点ってところだな」
「お前…何者だ?」
今までよりも警戒を露わにした様子で問いかけるスワンプに全治郎は少し考えた様子で答える。
「そうだな…通りすがりの仮面ライダー…ってところかな」
「ふざけるな!」
ライダーの答えが気に入らなかったのがスワンプは剣を構え向かっていく。それに対してライダーは右腕に炎を灯すとスワンプに向けて投げる。
「っ!?」
「どんどんいくぞ!」
驚きながらも剣ではじき落としたスワンプに対しライダーは足から炎を吹き出すと勢いよく飛びかかる。
腕を振り上げると光が集まり形をなし、その名を叫ぶ。
『アルテマウェポン!!ブレードモード!!』
「ぐっ!」
振り下ろされた剣を逆手に持った自身の刃で受け止める。それに対して再び光が逆の手に宿ると勢いよく斬り上げを放ちスワンプを斬り裂く。
『ジャスティスブレード!!』
「これは…あの力…!」
自身と同じ武器を取り出したライダーにスワンプは何かに気づく。忌々しそうにベルトを操作するとスワンプの剣にエネルギーが灯る。
『FINISH THE JUSTICE!!』
「ハァァァァ…!!」
エネルギーが高まっていくスワンプを見ながらライダーはアルテマウェポンを投げ捨てるとベルトのスフィアをジャスティスブレードの歯車に取り付け回転させる。
『ワールドスラッシュ!!』
「ライダースラッシュ!」
ライダーが技名を叫ぶと藍色のエネルギーが刃に宿る。互いに必殺の準備を整えると走り出し勢いよくぶつける。
「でやぁぁぁぁ!!」
「そぉらぁぁぁ!!」
ジャスティスブレード同士がぶつかり合うとエネルギーが共鳴し巨大な輝きを引き起こす。
つよい光にまふゆも思わず目を閉じてしまうもなんとか耐えようとしていると段々光が収まる。
「…逃げたか」
武器を下ろしたライダーの言う通りそこにはもうスワンプの姿はない。武器のスフィアを取り外しベルトに戻すライダーにまふゆは何処か警戒した様子で近づいていく。
それに対しライダーはこめかみに指をしばらく当てるとその指をまふゆに向ける。
「大丈夫だったか?まふゆ」
「あなた誰、もしかしてだけど…」
「ふ〜む」
再びこめかみに指を当てるとその指を立て、腕を広げながら口を開く。
「常世全治郎…じゃ不服か?」
「ふざけないで」
「ハァッ、ハァッ、おい!なんだ今のばくは…つ…」
「ん?」
ライダーをにらみつけるまふゆにどうすれば良いか悩んでいる時誰かが走ってくる。
スワンプとの戦いの音を聞きつけてきたのであろう茶髪をゴムでまとめた青年はライダーの姿を見ると驚いた表情で固まる。
「まぁそりゃ驚くか。いったんここを離れて…」
「見つけた…」
「は?」
青年は付近に落ちていた鉄パイプを拾うとしっかりと握りしめる。そのまま表情を怒り一色に染め上げるとライダーに向かって走り出す。
「仮面ライダァァァ!!」
「おい、なんだ!」
自分に向かって勢いよく振り回される鉄パイプを何度か回避すると手で掴み受け止める。
「付き合ってられないな!」
「ぬぁっ!?」
その場で回転すると勢いをつけて青年を海に向けて放り投げる。水しぶきを上げながら派手に着水する様子を横目にライダーはまふゆに手を振ると跳び上がる。
「じゃあなまふゆ!また今度!」
「あ!待ちやがれ!」
倉庫の屋根に跳び乗るとそのまま走り去っていく。青年は後を追いかけるために周りを見るも上がれるようなところがない。
「おいあんた!引き上げてくれ!」
「……」
「あ、おい!おーい!ふざけんなぁ!!」
青年の言葉を無視してまふゆはどこかに去っていく。なんとか上がれるようなところはないかと探していると手が差し伸べられ咄嗟に掴む。
「ハァ…!助かった…!」
「何してるの満さん。すごい声がきこえたけど」
自身を引き上げてくれた人物の顔を見る。モデルのような高身長に黒と白の派手な髪色の青年、ようやく警察の聴取が終わったCageがそこにはいた。
「影か…ついに見つけたぞ…仮面ライダーを…!」
「僕も見たよ、びっくりした」
Cageの本名を呼ぶ満という青年は仮面ライダーを見つけたことを恨めしそうに報告する。
仰向けになり空を見上げながら手を伸ばすと握る。
「待っていろよ…必ず復讐してやる…!」
設定
仮面ライダーオリジン セカイセレクト
セカイスフィアを使って変身した姿。他のセカイドライバーの力を断片的に使える謎多き姿。
ホースノーネイム
馬を模した怪人。強靭な筋力を生かした攻撃が得意。女性を優先的に狙う習性がある。
次回予告
「なんだここ」
「もしかして…K?」
「なんなんだよ仮面ライダーって!」
「折角だから楽しまないとな」
第二話 『復讐者』
「お前は俺が殺してやる!」