プロジェクトセカイ feat  仮面ライダー   作:ミッツー116

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2号登場回です


第三話

 

 そこは薄暗く気味の悪いという言葉がピッタリの空間だった。赤黒い岩に見えるがぶよぶよした肉のようなもので天井や壁ができている。光源など何処にもないのにうっすらと周りが見える。そんなところに一人の男が上機嫌に歩いている。

 

 

 「〜〜♪」

 

 

 口にした2人で分けて食べるシャーベット型のアイスを2つ同時に食べながら歩き、今まさに食べ尽くしたそれを地面に突き刺し両手を合わせる。

 

 

 「あーめん」

 『何をしている』

 

 

 空間そのものから声が響く。今から自分が向かう先にいる人物の声だ。この空間にいる限り、この人物には常に見られている。

 

 

 「お墓だよ〜蜘蛛くんと蝙蝠くんの。蝙蝠くんなんか、俺が手下用意してあげるって言ったの無視して死んじゃったもんな〜。虫の蜘蛛くんは無視しなかったのに!なんつって!」

 

 

 弔う気など全くないであろう軽薄そうな態度を取りながら男は答える。そして再び進行方向に歩き出すと何かを見つけたように走り出しアイスの容器を蹴飛ばす。

 

 

 「お?おぉ〜!まさかまたもう生まれるの〜?」

 

 

 男の視線の先には肉の岩が不自然に盛り上がり、まるで胎児のエコー画像のように蠢いていた。しばらく眺めていると岩から手が飛び出し異形が出てくる。

 赤土色の肌にいくつものぶつぶつが目立ち、体の中心部に黒い星が呼吸のように開閉を繰り返している。よく見ると頭頂部にうっすらと黒い粒が2つありそこが目のようだ。

 

 

 「お〜ヒトデだ。ヒトデノーネイム?英語じゃなきゃダメなのか。」

 

 

 そう言うと突然横を向き話しかける。

 

 

 「知ってる?ヒトデの英語」

 

 

 話しかけた岩の裏からマッシュヘアーのメガネの青年が現れる。

 

 

 「知らない」

 「知らないか…なんだろうなヒトデ」

 「確実に知ってそうな子は今留守なんだよね。君は知らない?」

 

 

 そう言うと奥に椅子を持ち込んで座るゴスロリファッションの女性に声をかける。

 

 

 「知ってたとしたらあなた達と話す理由があるのかしら。」

 「釣れないな〜俺は仲間だと思っているのに。」

 

 

 軽薄な男の発言を余所にメガネの男も疑問を口にする。

 

 

 「しかし最近はすごいね。怪人がポンポン生まれる。蝙蝠が死んでもう2匹生まれた」

 「お?ヒトデくんの前にも生まれたの?」

 「サボテンが出てきたよ。」

 「サボテンノーネイムか…サボテンって英語?」

 「知らない。」

 

 

 男達の会話を遮るように空間そのものから声が響く。

 

 

 『スターフィッシュノーネイムよ…今カクタスノーネイムが作戦行動中だ。ライダー達が活性化しているのを種火にこのセカイも活性化している。お前も外にいき暴れるのだ』

 「リョウカイ…」

 

 

 そう呟くとスターフィッシュノーネイムが光に包まれ消える。

 

 

 「…英語知ってるなら教えてくれりゃいいのに」

 「サボテンは英語じゃなかったね」

 

 

    第三話    「ハカイの鉄拳」

 

 

 「帰ったって…なんで?いや残る理由もないけどさ。」

 「うーん、離すとちょっと長くなる」

 

 

 そう言うと線記は話し出す。なぜほとんど帰ったのか、その謎は優二がバットノーネイムを倒した直後に戻る。一同はセカイから優二の戦いを見ていた。

 

 

 「優二が勝った!」

 「スゲー!まじで仮面ライダーじゃん!」

 

 

 優二の戦いをみてそれぞれ反応をする。一度変身するところは一歌は見たものの戦うのは初めて見た。異形の存在と戦う幼なじみをみるのは気が気ではない。牙にかみつかれたときなどは全員背筋が凍った。

 

 

 「あれ?帰ってこないな」

 「…バイク探してんじゃないかあいつ」

 「あぁ…乗り捨ててたね」

 「何やってんの…」

 

  

 帰ってくるまでしばらくかかりそうなのを感じ取ったのか線記は改めて辺りを見回す。セカイという不思議な場所、面白いものがあるに違いない。すると予想外のものを見つける。

 

 

 「あれ!これ一歌のギターじゃね!」

 「え?あ、ほんとだ私のギター…でもなんでここに」

 「ここは皆の想いで出来てるからね。思い入れのあるものはこのセカイにもあったりするよ。」

 

 

 その言葉を聞きほかのメンバーも周りを散策する。と言ってもこの教室の中だけだが。

 

 

 「うわ!フェニーくんだ。これ色的に皆で買ったやつじゃない?」

 「本当だ。これはちゃんと8つあるんだね。」

 「ふふ、セカイの想いの持ち主じゃないとしても…みんなちゃんと大切な想いの一部なのよ」

 「志歩ちゃん…」

 「べ、別に私の想いとは限らないでしょ。咲希とかじゃないの。」

 「うわ、照れてる。」

 「素直じゃないな」

 「僕はちゃんとわかってるよ」

 「う、うるさい…」

 

 

 それぞれがはしゃぐ中咲希だけがギターの前から動かない。何かを確認すると大きな声を上げる。

 

 

 「ね、ねぇ!楽器揃ってるみたいだし!皆で一回弾いてみない!?」

 「え?」

 

 

 突然の提案に一歌達は困惑の声を上げる。

 

 

 「いいな~!俺たちもやろうぜ!」

 「…3人じゃ無理でしょ」

 「優二が帰ってきたらだよ!それまでは…一歌達の聞いとくか!」

 

 

 完全に聞くつもりの線記の発言を聞いて一歌達は相談を始める。

 

 

 「え、えっと…どうしよっか二人とも…」

 「私は…どっちでもいい」

 「わ、私はやってみたいな」

 「やろうよー!」

 

 

 咲希が強くリクエストし始めたタイミングで予想外の場所からの援護が来る。

 

 

 「私も聞いてみたいな」

 「ミク?なんでだ」

 「きっと、このセカイの想いに関わることだと思うし。何より、一歌達の音に興味があるから」

 

 

 その発言に観念したのか志歩はセカイにあったベースを持ちチューニングを確認する。

 

 

 「志歩ちゃん!やってくれるの!?」

 「言っとくけど、やるからにはちゃんとやってよね。」

 「もちろん!」

 「じゃ、じゃあ私も…」

 

 

 ミクの言葉を皮切りにそれぞれが準備を始める。それを前に線記達も椅子を用意して聞く体勢を整える。

 

 

 「えへへ、嬉しいな〜」

 「な、なんか前に3人並んで座られるの緊張するね」

 「なんも考えず並んだけどオーディションみたいになった」

 「強みを教えてください。」

 「はい!仲良しなところです!」

 「内面?」

 

 喋ってる間に準備が完了し、いよいよ演奏が始まる。

 

 

 『〜〜〜♪』

 「うわ~懐かしい〜」

 「…」

 

 

 一歌達の演奏に線記が驚嘆の声を上げ最初は神妙な顔をした新一と剣も次第に柔らかい表情になっていく。ところが突然志歩がストップをかける。

 

 

 「ストップ、ちょっと待って。」

 「へ?どうしたの志歩ちゃん?」

 「一歌、咲希、走りすぎ。ちゃんと穂波の音きいて。」

 「ご、ごめん…」

 「…こうなるから嫌だったのに。」

 「…チーム内でしっかり問題共有できるのは好感が持てますね」

 「面接官まだやってる」

 

 

 少し空気が重くなるのを察したのか剣が独特な仲裁に入るがいまいち効果がない。すると突然ミクがたちあがり、ギターを持って話しかける。

 

 

 「ねぇ、次は私も入っていいかな?」

 「え?ミクが?」

 「聞いてたら弾きたくなってきちゃって。志歩、いい?」

 「別にいいけど。中途半端は嫌だからね」

 「うん、大丈夫」

 

 

 そう言うと4人にミクを加えて再び演奏を始める。だが、先ほどとは全く違うものになった。

 

 

 (なにこれ…!すごい…ミクの音に導かれているみたい!)

 (うわ~!これ、楽しい!)

 (…!)

 (すごい…こんなに叩けるなんて…ミクちゃんにささえられてるのを感じる…)

 

 

 ミクが入ったことにより演奏が何段階も引き上げられる。自分がどう演奏すれば音がより広く、ふかくなるのか。集中力が引き上げられ、先ほどの重苦しい空気のことなど頭から吹き飛んでしまうほど。

 

 

 「しかしついさっきカンペで恥かいたやつとは思えn」

 「は~い、お口チャックよハカイ」

 「もごもごもご。」

 

 

 そのまま一歌達は一曲を演奏しきる。そして終わるや否や咲希や線記が大はしゃぎを始める。

 

 

 「すごいすごい!!今の私たちすっごく上手だったよね!」

 「上手かった!!すげぇ!」

 「上手い人の演奏でほかの人のレベルが引き上げられることはあるけど…ここまで凄いのは初めて見たよ。」

 「ふふ、先輩の威厳を見せれたかな」

 「まさかそれが目的じゃないだろうな」

 「ち、ちがうよ!」 

 「…かっこいいのが持たない奴だな」

 

 

 ひとしきりはしゃいだあと咲希がみんなに切り出す。

 

 

 「ねぇ…皆、もう一回バンドやらない?今日だって楽しかったし、また皆で一緒に…」

 「…咲希」

 

 

 咲希の誘いに3人は突然黙る。突然空気が変わったことに線記は違和感を覚える。別段おかしな流れではない。いや、そもそも再会してから何処か様子のおかしいところがおった。

 

 

 「私は、遊びでバンドはやらないから」

 「し、志歩ちゃん!」

 「外じゃミクは居ないんだから…こんな演奏できないでしょ。それじゃ。」

 

 

 そう言うと志歩は「Untitled」を止めて外に出てしまう。

 

 

 「ごめんね、私も…」

 「ほ、ほなちゃんもやりたくないの?どうして…?」

 「…本当にごめんね」

 

 

 咲希の質問に答えることはなく穂波も出ていってしまう。

 

 

 「どうなってんだ…?」

 

 

 思わず心の声が漏れる。自分の記憶では皆仲のいい幼なじみだった。今の様子はおかしい。自分がいない間になにがあったというのか。

 

 

 「…まぁ、こうなるわな」

 「!?」

 

 

 予想通りと言わんばかりに鞄を拾い新一も出ていこうとする。その発言を聞いた線記は待ったをかける。

 

 

 「それどういうことだよ!なんか知ってんのか!」

 「知らないのはお前だけだ。いや…今はもう一人いるか。」

 「…?それって優二のことか?お前らなにがあったんだよ!」

 「…一つ教えてやる」

 

 

 そう言うと新一は振り向き線記の目を見ながら鋭い目で言葉を放つ。

 

 

 「俺とあいつはもう友達でも何でもない」

 「なんだよそれ…どういうことだよ…」

 「…それだけだ。じゃあな、久々に会えてよかったよ」

 「待てよ新一!」

 

 

 言いたいことを言い終えたのか新一はセカイから出ていく。線記はそれに歯噛みしたあと剣のほうに向き直る。

 

 

 「お前も知ってるんだろ剣!」

 「!僕は…」

 「教えてくれ!一体何があったんだ!?」

 

 

 両肩を掴んで問い詰めてくる線記にしばらく悩むも苦虫を噛み潰すような顔で口を開く。

 

 

 「君が…優二くんと仲良くする気なら…」

 「…!?」

 「聞かないほうがいいよ…」

 

 

 そう言い残すと剣もセカイから出ていってしまった。

 

ーーーーーーー

 

 

 「これがさっきあったことだよ」

 「なんか…俺が原因っぽいよな」

 「お前まじなにやったんだよ」

 「さぁ…」

 

 

 話の流れ的に一歌か咲希に聞けば分かりそうだが、バンドを断られた咲希を慰めるのに忙しそうだ。

 

 

 「はぁ…しゃーねー、焦ることもねーし今日のとこは帰るか。」

 「いいのか?」

 「俺は6年待ったんだぜ?ちょっと伸びるだけさ。」

 

 

 そう言うと彼もセカイから出ていく、一歌たちに声をかけようかとも思うが…

 

 

 「…」

 「咲希…」

 

 とてもかけれる雰囲気では無かった。

 

 

ーーーーーーー

 

 

 自身の部屋に帰った優二は部屋にあるギターを眺めていた。記憶にないギター。幼なじみとの約束のために潜在的に自分は捨てなかったのだろうか。疑問は尽きないなか不思議と手を伸ばしてしまう。

 

 

 「いや…弾けるわけないよな。」

 

 

 弾いてた記憶なんてない。そもそも楽器など学校の授業以外で触ったことなど…そう思いながら指で弦を弾く。プンーーと小気味いい音が響く。

 

 

 (…なんか、こうか)

 

 

 指を何度か動かし弦を弾く、下にはじきすぐ上にはじく、何度か往復させジャカジャカと音を鳴らす。不思議と指が止まらない。こうしたらどうなるのか、これなら音はどうなるのか色々試してしまう。気づけばコードを調べてその夜は終わってしまった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 「優二、おはよう…」

 

 

 朝の教室で線記が声をかけてくる。昨日のハイテンションな彼を見ると雲泥の差だ。恐らくなんだかんだ考え込んで寝れなかったのだろう。だが、優二はもっとだった。

 

 

 「線記、おファ〜〜ァ〜…よう」

 「あくびが凄い。夜更かしか?」

 「いや、実はさ…」

 

 

 そう言うと机の横からギターケースを取り出す。それをみた線記は先ほどの眠気は何処へやらギョッと目を開く。

 

 

 「おま、それギターか?」

 「昨日弄ってたら止まらなくなってさ…」

 「まさか、バンドやるのか?」

 

 

 線記がギターと優二を交互に見ながらたずねる。昨日の新一達の反応を見るにバンドをやるのは厳しいものがあるのは一目瞭然だが…。

 

 

 「そこまで考えてるわけじゃないんだけど…やれたらいいなとは思うよ。」

 「優二…お前…!」

 

 

 優二の言葉に胸のモヤが晴れていくのを感じる。念願の再会から予想外の展開ばかりだったが、初めて嬉しい予想外が来た。

 

 

 「それで…やっぱり忘れてることを思い出すのが絶対いるから…手伝ってほしいんだけど」

 「まかせろ!何でも手伝うぜ!」

 

 

 線記が答えると優二は鞄をガサゴソいじり始め何かを取り出す。出てきたのはトンカチだった。

 

 

 「ずっと考えても思い出せなかったからこれで後頭部なぐってほしいんだよ」

 「寝ろ!」

 

 

 何とかトンカチを使おうとする優二を説得し、昼休みに一歌たちに聞きに行くことで納得させた。

 

 

 「そして昼休み」

 「雑な導入みたいだ」

 「それじゃC組いくか」

 

 

 C組の教室のドアを開けるや否や大声で一歌たちを呼ぶ。

 

 

 「「一歌ーー!!咲希ーー!!」」

 「あいつら叫ぶ以外の呼ぶ手段ないのか」

 「ど、どうしたんだろ」

 「呼ばれてるのお前らだし行ってこいよ。おれ弓と待ってるのから。」

 

 

 新一に促され一歌と咲希がやって来ると早速本題にはいろうする。だが突然優二の頭を頭痛がおそう。

 

 

 「んぐっ!?」

 「優二!?」

 「この感じは…怪人だ…」

 「悪い…ここは任せる!すぐに終わらせてくるから!」

 

 

 そう言って優二が走り去っていく背中を見つめる3人。すると一歌が線記に声をかける。

 

 

 「用事ってなんだったの?」

 「あぁ、一歌たちに何があったのか聞きたくってな。多分…約束ってのが関係あるんだろ?」

 「!」

 

 

 線記の発言に驚きつつ何処か予想していたのかバツの悪そうな顔をする。

 

 

 「一つ…聞いていい?」

 「…何だ?」

 「今から話すことを聞いて…線記が優二のこと嫌いになるかもしれないって言ったら…どうする?」

 「え…?」

 

 

 一歌の予想外の質問に面食らってしまう。自分が優二を嫌うような事態?こんなこと聞くからにはよほどのことなのだろう。そしてしばらく考える。

 

 

 『そこまで考えてるわけじゃないんだけど…やれたらいいなとは思うよ』

 「俺は…」

 

 

 その頃新一と弓は教室内から一歌達のことをみていた。

 

 

 「呼び出したのに優二は何処行っちゃったんだろ?」

 「…まさか」

 

 

ーーーーーーーー 

 

 

 校舎裏、車が出入りでき人が少ない駐車場に向かって優二は向かっていた。駐車場が見えてきたのを確認し走りながらドライバーを装着する。

 

 

 「変身!」

 『CHANGE THE RIDER!!』

 『オモイマッシグラー!!』

 「速攻で終わらすぜ!」

 

 

 マシンを呼び出し現場に向かう。感知能力の示す場所に向かうと高架下でスターフィッシュノーネイムと戦闘員が警官隊と交戦していた。

 

 

 「撃てー!!」

 

 

 号令により一斉にピストルが火を吹きスターフィッシュに着弾、火花を散らすも少しのダメージも感じられない。スターフィッシュは跳んで警官隊の一人を捕まえると別の警官隊にぶつける。その後次を襲いにゆっくりと歩き始める。鈍重な動きで近寄ってくるこちらの理解を超えた生物に警官たちは理性を失い闇雲に銃を打ち込むしかできない。

 その隙を突くように襲おうとする戦闘員をライダーはバイクで轢く。

 

 

 「ここは俺に任せて逃げて!」

 「なんだお前は!?」

 

 

 

 突然現れたライダーに驚く警官、優二は知らないがこの警官は以前一歌に話を聞いていた新一の兄であった。そんな彼を余所にライダーはバイクを走らせる。一人二人三人と轢いていき方向転換の隙をつこうと襲ってくる怪人を蹴り飛ばす。戦闘員の全滅を見た警官がけが人を連れこの場を離れようとする。

 

 

 「この場は任せたぞ!…仮面ライダー!」

 「!了解!」

 

 その言葉を受けたライダーはスターフィッシュに向けバイクのスピードを上げ距離が近づいたのを見計らいジャンプ、勢いを乗せたパンチの体勢をとる。

 

 

 「ライダーパンチ!」

 

 

 掛け声とともに繰り出される鋼鉄をも粉砕するパンチ。実際ぶつかった時の音も鋼鉄を殴った時のようだった。

 

カキーン!!

 

 

 「…かってぇ〜!」

 

 

 腕を振りながら痛みを和らげようとする。見てみると怪人の姿が赤土色から灰色に変わっている。どうやら身体を硬化させることができるようだ。ライダーが変化に戸惑っていると姿が赤土色に戻り手を握るように曲げた右腕で殴りつけてくる。

 

 

 「ごほぉっ!?」

 

 

 ノーガードで食らった協力な一撃に肺の中のすべての空気が肺ごと出るのではないかという吐き気に襲われながら大きくふっとぶ。間違いなく今まで出会った怪人のなかで一番の剛腕だった。

 

 

 「だったら!」

 『ガヴ!』

 『ポッピングミ!ジューシー!』

 

 

 姿をガヴセレクトに変更し右腕にパンチングミを装着する。そのまま巨大な腕の遠心力を利用し回転しながら近づき強力なパンチを繰り出すとそれに合わせて相手も再び硬化する。

 

ぐに〜

 

 

 「んな!?おわぁっ!?」

 

 

 殴りつけた腕がぐに〜と変形し元に戻る反動でライダーの方が吹っ飛ぶ。現状最も打撃力のある姿による一撃を弾かれた。こうなってくると打つ手が一気に思いつかなくなる。何とか打開策を見つけようとガヴブレイドをベルトから生み出しスターフィッシュに向かっていく。

 

 

 「はっ!ほっ!やっ!」

 

 

 掛け声とともに剣を何度も相手にぶつけるが甲高い金属音が鳴り響くばかりで一切ダメージが入らない。むしろ何度も金属の塊をぶつけ合わせるこちらの腕がジンジンとしびれてきた。それでもと剣を振るう、が。

 

 

 「はっ!」「ふん!」「あっ」

 

 

 大振りな一撃を放とうとした瞬間硬化を解除し剣をはじき飛ばされる。そのままスターフィッシュの腕が腹にめり込み流れるように橋の柱に殴り飛ばされる。壁にめり込み全体にヒビを作るほどの一撃に悶えているとスターフィッシュが近づいて腕を振るってくる。

 

 

 「くそっ!」

 

 

 大きく地面を転がりながら回避し相手に向き直る。武器を落とした以上素手しかない。ブランクスフィアをライドコンバーターにつけ身体能力を引き上げ肉弾戦に移行する。

 勢いを込めたパンチを放つが相手の腕にはじき落とされ返しの相手の腕がこちらの喉を掴み圧迫してくる。苦し紛れに前蹴りを放つが硬化していない状態でもダメージを与えることができない。予想以上の防御力を前に意識が遠のいていくのを感じる。両手で相手の腕を掴み振り払おうとするも完全にパワー負けしている、

 

 

 (これは…まずい)

 

 

 視界が白黒になり手足の感覚がなくなってくる。酸素不足による死の気配を感じながらゆっくり意識を手放そうとしたとき、スターフィッシュが何かに殴り飛ばされる。

 

 

 「ゲボっ!ごほっ!ハァっーハァっー」

 

 

 解放され肺いっぱいに空気を吸い込む。何が起きたか理解できずに顔を上げるとそこには予想外の人物が立っていた。

 

 

 「新一…?」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 「おい!ハカイとか言うやつはいるか!」

 

 

 教室のセカイ、一歌たちがセッションを行った教室に突然やってきた新一の声が響く。中で優二の戦いを見ていたセカイとハカイは顔を見合わせる。

 

 

 「いる」

 「この映像…やっぱりまた戦っているのか」

 「あぁ、劣勢だ。」

 

 

 パンチングミをはじき飛ばされるライダーの姿が画面には映っている。それをみた新一は居てもたってもいられずハカイに問いかける。

 

 

 「俺にもベルトがあるはずだな!」

 「あぁ、こいつだ」

 

 

 そう言うと巨大な腕がついたドライバーを取り出す。すると話を聞くまもなくドライバーを新一がひったくる。

 

 

 「あとはあの玉か。」

 「…渡す前に言っておく。ライドスフィアは本当の想いを見つけないと使えない」

 「なんだと…?」

 

 

 ハカイの説明に新一は思わず聞き返す。本当の想い。ライダーになるほどの強い想い。自分にそんな物があるとしたら…悩んでいるうちにハカイはスフィアを新一に手渡す。するとスフィアは赤く輝き始める。

 

 

 「!」

 「本当は分かってるんじゃないのか?自分の想いが」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 「ヒトデか、初陣はサボテンがおあつらえ向きだと思うがな。」

 

 

 そう言うとハカイから受け取ったドライバーを腰につける。

 

 

 『ハカイドライバー!』

 

 

 ドライバーの起動を確認するとドライバーを掴むように付いている腕型のパーツを持ち上げ、スフィアを起動する。

 

 

 『デュアル!!』

 

 

 スフィアを腕につかませるようにはめ込む。そして右手を天に、左手を体の横側で広げる。その後体の前で両手を大きく回転させ顔の右側で強く握りしめる。

 

 

 「変身!!」

 

 

 叫び声とともにベルトの腕をたたきつける。スフィアがベルトにはめ込まれ新一の上に赤い球状エネルギーが現れ巨大な手がそれを粉砕する。こぼれだしたエネルギーが新一にかかり強化スーツを形成する。最後に腕にのこった破片を握りつぶし新一の頭に被せ、腕が外れるとヘルメットが装着されている。

 

 

 『LETS ACTIVE DUAL!!』

 

 

 優二と同じ模様で肘と膝までは逆三角の模様で色が深い赤、それ以外の場所は鮮やかな赤色になったヒロイックなカラーリング。胸部に特殊な装甲は展開されず両手両足にリングが一つずつ付いている。ヘルメットは赤いマスクに緑の複眼。2本の触角が複眼に重なるように生えており怒りの表情のようにも見える。

 新たな戦士の登場にスターフィッシュは目に見えて動揺する。

 

 

 「ば、バカな!仮面ライダーだと!!こいつに仲間がいるなんて聞いてないぞ!」

 

 

 そのスターフィッシュの言葉に新一、新たなライダーは反論する。

 

 

 「俺はそいつの仲間じゃない。」

 「な、なに?ならばお前は何だ!名を名乗れ!」

 

 

 その言葉に自分のベルトとマスクを軽く指で撫でてから新ライダーは口を開ける。

 

 

 「俺はお前たちの敵…仮面ライダーデュアル」

 

 

 デュアルが名乗りをあげたのと同時に2人がお互いにむけて走り出す。ある程度距離が縮んできたあたりでデュアルのスピードが落ち始める。右腕と右足を後ろに、左腕と左足を前に、見ようによっては弓を引くような体勢で後ろに伸ばした拳を強く握る。そしてスターフィッシュがその腕の一撃をデュアルの顔にむけて放つ。それに合わせるようにデュアルの上半身が動く。身体をねじるように前に動かしながらそれに合わせて右拳を前に突き出す、全身の力を利用したパンチ。

 

 

 「ごほっ!?」

  

 

 スターフィッシュが驚きと苦痛の声を上げる。放たれたデュアルの拳、何の変哲もないそれが硬化していないとは言え自分の防御を貫いた。さらに自分の拳はデュアルの顔スレスレを通り過ぎている。

 

 

 「強い…」

 

 

 思わずライダーは声をあげる。今の新一の動きは自分とは別次元なことを肌で感じた。相手の間合いを読みスピードを調整、動きを予測しギリギリで相手の動きが当たらない体勢。以前自分が蜘蛛男の糸をギリギリで避けたときとは違う。相手の動きを予測したことによる無駄を省いた最小限の動き。この場にいる人物で彼が最も強いことを自分もスターフィッシュも今の一撃で理解した。

 

 

 「ふん!」

 

 

 スターフィッシュは痛みに悶えているが今のはただの一撃でしかない。これに続いた一撃を既にデュアルは放てる。ねじった身体を逆に、元に戻すように回転する。それに乗せ左拳を思いっきりスターフィッシュの腹にねじ込みライダーがぶつけられた橋の柱に殴り飛ばす。ヒビ割れていたそれはたやすく粉砕され川にスターフィッシュは爆発レベルの水しぶきを上げながらつっこむ。

 

 

 「ごほぉっ!ごほっ!ごほっ!」

 

 

 たった2発、2発のパンチを打ち込まれただけで自分はグロッキーになってしまっている事実が信じられない。

 

バシャッ

 

 

 何かが水に入る音がする。するとそこにはこちらに向かって歩いてくるデュアルがいる。勝ち目のない戦いに体のそこから冷えがくる。

 

 

 「どうした?」

 「!」

 

 

 突然話しかけてきたデュアルに驚き過剰反応してしまう。そんなスターフィッシュを気にせずデュアルは言葉を続ける。

 

 

 「身体を硬くできるんだろ?やってみろよ」

 「…!?」

 

 

 言葉を紡ぎながらデュアルは拳を握りしめる。

 

 

 「それごと砕いて終わりにしてやる」

 

 

 デュアルの言葉に腹のそこから熱が蘇ってくる。怪人としてのプライド。ただの人間になめられている事実。そんなことあってはならない。スターフィッシュの身体が灰色になる。鋼鉄をも凌ぐ防御力。この状態なら優二のライダーキックなら弾いてしまうだろう。そう、優二のライダーキックなら。

 デュアルがベルトの腕を持ち上げスフィアのスイッチを押す。そしてそのままベルトにたたきつける。

 

 

 『FULL ACTIVE DUAL!!』

 

 

 その音声とともにデュアルの身体にエネルギーが迸る。だが、変化はそれだけでは終わらない。左腕、両足のリングが消える。そして右手のリングが4つにふえ顔の右側で拳を握りしめ、スターフィッシュの前で止まる。

 硬化した身体でデュアルをにらみつけるスターフィッシュ、それに対しデュアルは言葉と拳でかえす。

 

 

 「ライダー…バンチ!!」

 

 

 結局、自分の最善手としては逃げることだったろう。機動力ではバイクがある優二の方がデュアルより優れているし、優二だけを引き付けて勝負すればまけることはなかった。そんな反省会を内心でしながら、砕かれたスターフィッシュの破片は消えていった。

 

 

 「あ、ありがとう新一。」

 

 

 川から上がってきたデュアルにライダーは礼を言う。正直、今自分たちは微妙な関係だが助けてくれた。そのことにまだ可能性を感じながら話しかける。

 

 

 「なぁ、俺お前に話したいことがーー」

 

 

 瞬間、デュアルの拳がライダーの顎を撃ち抜いた。

 

 




設定

 仮面ライダーデュアル 
  新一が変身するライダー。パワーに優れており両手両足に合計4つ付けれるパワーアンクルによりつけた部位のパワーが上がる能力をもつ

 スターフィッシュノーネイム
  ヒトデ型の怪人。活性化の影響で高い戦闘能力を有している。身体を鋼鉄よりも硬くする能力を持ち生半可な攻撃は通さない。
  同時期に生まれたカクタスノーネイムに会いたかった。


次回予告

 「思い出したー!」
 「今度はサボテンか」
 「私たちだけでもバンドやってみない?」
 「線記くんはどうするの?」

 『第四話 バンドを目指せ!』
 
 「おれはこのために帰ってきたんだ!」
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