プロジェクトセカイ feat  仮面ライダー   作:ミッツー116

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今までで最長の回。こういう時に分けるべきなんだろうなと学びました。


第五話

 

 

 怪人が生まれる謎のセカイ、そこで軽薄そうな男がテーブルの上に3枚の写真を並べていた。写真にはそれぞれ三人のライダーが写っている。

 

 

 「ど・れ・に・し・よ・う・か・な・て・ん・の・か・み・さま・の・い・う・と・お・り」

 

 

 手に食事用のナイフを持って順番に叩きながら歌う。

 

 

 『何のつもりだ?』

 「いやぁ~最近ブイブイ言わせてる子たちと遊ぼうと思ってさ。別に止めないよねぇ?」

 『構わない。お前たちが好きに暴れるのが私の望みの一つでもある。こちらの呼び出しにさえ答えればな。』

 

 

 その言葉を待っていたとばかりに不気味な笑みを浮かべ、ナイフを上に投げると落ちてきたナイフが1枚の写真に突き刺さる。その写真を手に取ると男はセカイから出ていった。

 

 

 第五話  「剣と紡ぐ 刃と音波」

 

 早朝のグラウンド、サッカー部が朝練に健全な汗を流す青春の1ページ。その1ページを双眼鏡で遠方から覗く2人の不審者がいた。

 

 

 「なぁ、線記…やめないかこれ」

 「何弱気になってんだよ。剣と仲直りしないとだろ?こんなとこでへこたれてどうすんだよ」

 「弱気とかじゃないんだよな…」

 

 

 わざとなのか気づいていないのか知らないがサッカー部側に完全にバレている。練習している選手はともかくマネージャーがずっとこっちをみてきて視線が痛い。それもこれもサッカー部に入っているという剣と話したかったからなのだが…

 

 

 「なんか…剣何処にもいないな」

 「うん…玉ひろいとかしてるほうにも見当たらない」

 「うーん、そろそろホームルームに戻んないとだしなぁ。」 

 「別の方法考えようぜ、うん。」

 

 

 そういうとそそくさと優二は教室に戻る。

 

 

 「あ、ちょ、待てよー!粘ろうぜー!」

 

 

ーーーーーー

 

 休み時間、中等部と高等部をつなぐ連絡通路に優二、線記、一歌、咲希は来ていた。

 

 

 「ここならあんまり人来ないよね」

 「そこまで生き来することないしな」

 「それじゃレッツゴー!」

 

 

 4人は「Untitled」を起動させ、セカイに入る。そして適当な教室にはいると黒板にチョークで文字を描き始める。

 

 

 「あれ?一歌たち何してるの?」

 「作戦会議!」

 「作戦会議ぃ?」

 

 

 セカイが聴き直すなか文字を書き終えた線記が口火をきる。

 

 

 「それではこれより!『俺たちのバンド再結成作戦』を開始する!」

 「「「おー!!!」」」

 「作戦の主目的を言ってみろ!咲希隊員!」

 「はい!志歩ちゃんたちとまたバンドをやることであります!」

 「なるほど…そういう感じね」

 

 

 なにがしたいか理解したセカイたちも椅子に座り話に加わる。

 

 

 「まず、誰から誘うかだよね。」

 「ほなちゃんじゃない?オッケーしてくれそうだし。」

 

 

 ミクの言葉に咲希が答える。確かに温和な穂波の方が難易度は低そうだ。

 

 

 「うーん、俺は志歩だと思うけどなぁ」

 「え?どうして、ゆーくん?」

 「いやこないだの話を聞いた限りさ」

 

志歩の場合

 『遊びのバンドならやるつもりないから』

 

穂波の場合

 『ホントにごめんね…』

 

 「穂波のやりたくない理由がわかんないじゃん?だったらわかってる志歩からの方がいいのかなって」

 「なるほど、一理あるな」

 「まぁどのみち二人とも誘うんだし、方法は考えといた方がいいよね」

 

 

 志歩のいう遊びのバンドや中途半端はいやというセリフから方向性は見えてくるが、具体的な方向は思いつかない。

 

 

 「もう本人に聞いた方が早い気がするな」

 「この会議なんだったんだよ」

 「それじゃお昼に誘いに行ってみようか」

 「じゃあそんときに剣を俺たちは誘ってみるか」

 「俺が話すよ、約束のこと謝らないとだし」

 「頑張ってね、みんな」

 

 取りあえずの方向性が決まりセカイから出る。一歌たちが出ていったあと、ミクとセカイは2人で話し始める。

 

 

 「一歌たち、またバンドやれるといいね。」

 「んー…だなー」

 「ちょっと聞いてる?」

 

 

 心ここにあらず、そんな表現がピッタリの状態。不審に思い問いただすことにする。

 

  

 「なにか気になることあるの?」

 「ライダーの覚醒が早いな…って」

 「そうなの?」

 

 ミクの疑問にセカイは説明を始める。

 

 

 「俺がここに来て半年くらい…そこでようやく優二がライダーになったのに、一ヶ月でもう2人増えた。」

 「うーん最初の一人目が大変なだけとか?」

 「もしくは…なにかきっかけがあったか」

 

 

 それを聞くとミクは首を傾げる。何のことだか分からないが異常事態らしい。だがそもそもの疑問がある。

 

 

 「でも、ライダーが増えるぶんにはイイんじゃない?」

 「…俺たちにとってはな」

 「だから、いいでしょ?」

 

 

 ライダーが増えるのはいいこと、俺たちにとってはそうだ。だがそれはもう一つの側面をもつ。

 

   

 「怪人を生み出してる原因、それがもし人為的なものなら…」

 「ライダーが増えるのが嫌な人がいるかも…ってこと?」

 「そいつらがもっと過激な行動に出るかも知れない。」

 

 

 机の上の最後のドライバーをながめる。最後のライダー、それが早く目覚めることを祈るばかりだ。

 

ーーーーーーーー

 

 

 「そして昼休み」

 「雑な導入」

 「A組にゴー!」

 

 

 昼休みに入ると4人でA組に向かう。何時もどおりドアをあけ大声で叫ぶ。

 

 

 「「志歩ー!剣ー!」」

 「志歩ちゃーん!つるくーん!」

 「ちょ、ちょっとやめてよ。恥ずかしい…」

 

 

 大声に気づいた志歩が駆け寄ってくる。しかし剣の姿がない。

 

 

 「志歩、剣は?」

 「朝の部活にもいなかったけど」

 「今日休み、多分サボりだよ。私にも何の連絡もないし」

 (サボりじゃないときは連絡があるのか?)

 

 

 いないとは困った。出来れば早いところ約束の件を謝りたいのだが。

 

 

 「志歩、剣のいそうな所に心当たりないか?」

 「…あるけど、なんで?」

 「大事な話があるんだ。」

 「…」

 

 

 志歩は優二の目をじっと見つめる。しばらく続けると志歩は口を開く。

 

 

 「それ、剣のためのことなの?」

 「それは分からないけど…大事なことだと思うんだ。」

 「はぁ…携帯出して。メッセージでいくつか送るから。」

 「…!ありがとう!」

 

 

 志歩からのメッセージを受け取り。優二と線記は走り出す。

 

 

 「ちょっと!午後の授業は!?」

 「体調不良で早退します!」

 「い、いや無茶苦茶でしょ…」

 

 

 少し前と比べるとなんだか優二の様子が変わった気がする。気安くなったというか…昔に戻ったようだ。

 

 

 「そういや志歩には今謝ればよかったんじゃ!」

 「ああいうところでグチグチしゃべるの志歩嫌がりそうじゃん!」

 「確かにな!」

 

 

 走り去っていく優二達に対して一歌と咲希はその場に残る。それを見た志歩も考えを察し喋り出す。

 

 

 「…それで?2人は別の用事ってわけ?」

 「志歩、改めて言うね。私たちと、バンドやってくれない?」

 「またそれ…何度も言ってるでしょ。私は…」

 「私たち遊びじゃなくて本気だよ!本気で志歩ちゃんとバンドやりたいって思ってるの!」

 

 

 一歌と咲希が真剣な眼差しでこちらをみてくる。昔から、こうなると2人は頑固だ。ただ、だからといって不用意に承諾できない。半端な気持ちはどちらも傷つくだけなのだ。

 

 

 「私の出す条件をクリア出来たら、いいよ。」

 「何でもやるやる!」

 「それじゃ、私の出す課題曲を演奏しきること。それが出来たら一緒にバンドでも何でもやってあげる」

 「課題曲…」

 

 

 志歩の条件に息を呑む。音楽にストイックな志歩のだす課題曲。難しいことは間違いない。だがやるしかない、4人で再びバンドをやってみせる。そう決めたのだから。

 

 

 「絶対やってみせるよ!『私たちのバンド再結成作戦』の名にかけて!」

 「…なにそれ?」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 「本当にここにいんのか…剣のやつ」

 「趣味悪いな…」

 

 

 十数年前に放棄された団地。その前に優二たちは来ていた。

 

 

 「そういやあいつオカルト趣味だったな…」

 「新一がいたらどうなってたことやら」

 「俺がなんだって?」

 

 

 突然聞こえた声に振り向くとそこには新一が立っていた。

 

 

 「新一!?なんでここに…」

 「一歌と咲希を連れ出した時点で剣関連だと思ってな…しかし。」

 

 

 新一は団地を見上げる。手入れなどされるわけなく好きに伸びた草木、ボロボロの壁、窓が割れた中からうかがえる薄暗さ、何処からか聞こえてくるカラスの声、何故か暗く見える空。

 

 

 「こ、ここに入る気か?」

 「怖いなら来るなよ。」

 「こんなとこだと思わなかったんだ!」

 

 

 情けない叫び声をあげる新一。そんなときカラスが後ろの木から飛び立ち羽音と木の揺れる音が鳴り響く。

 

 

 「わぁーーー!!!」

 「帰れよもう」

 「どっから入ったんだろ?別に越えれる門だけど、ホラゲだとどっかに穴あるよな」

 「逆にお前は気にしないなぁ!」

 

 

 何も気にせずなかに入っていく優二。そこそこ広い団地を一人で探させるわけにもいかず線記も入っていく。

 

 

 「えっ、ちょっ、お前ら」

 

 

 まだ決心が付いてないのに先に入っていく2人を前に狼狽える。正直入りたくない…が。来た道を振り返る、十数年放置された団地に続く道。ここまでも相応に不気味だ。一人で帰るのはごめんだった。

 

 

 「ま、待てよ!お前ら!」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 団地のなか、実際に剣はいた。立て付けの悪く最初に来たときに強引にあけたままになっているドアから屋上に入り寝転ぶ。心霊スポット巡りは好きだがそこまでホイホイ行ける場所に乱立していない。ここも雰囲気はいいが何の曰くもないただの廃墟であり落ち着くために時々来る秘密基地なだけだった。

 

 

 「はぁ…何やってんだろ僕…」

 

 

 学校をサボって廃墟の屋上で物思いにふける。これではただの中二病だ。だが、どうにも優二たちと会う可能性のある学校に生きたくなかった。

 

 

 「これの欠点は志歩ちゃんにも会えないことだな…」

 「あ、剣!」

 「!?」

 

 

 誰もいないはずの空間に突然声が響く。まさかと思い振り向くとよりにもよって優二がそこにはいた。

 

 

 「な、なんで優二くんがここに…」

 「剣を探しに来たんだよ…ここ広すぎ、手分けしたわ。」

 

 

 そう言いながら近づいてくる優二に対し大きく距離をとる。こんなところにまで来て避けているのだ、しゃべるつもりなどない。

 

 

 「ちょ、ちょっと待ってくれよ剣。お前に話したいことがーー」

 「僕はお前と話したいことなんかない!」

 「っ!気持ちは分かる。ひどいことをした、だけど」

 「思い出したからってなんだ!君が僕たちを裏切ったことにかわりはない!今さら…何を話すって言うんだ!」

 

 吐き出すように優二を非難する言葉が出てくる。完全な対話の拒否、自分がどれほど彼の心を傷つけてしまったかを感じる。だがそれでも、どうしても伝えなければならない。そう思い近づいた所に隣の棟から爆発音が聞こえてくる。

 

 

 「あっちは!?新一と線記がいる棟だ!」

 「なんで2人が一緒に!?」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 「なぁ、ここ広いから手分けするって話だったよな」

 「あぁ、だから二手に分かれたんだ」

 「…ここ、棟の数3つなんだけど」

 「…最後は皆で見れるな」

 「バカ言ってんなよ」

 

 

 余りにも怖がりな新一に呆れつつ並んで歩く。先ほどからどの部屋も2人で入るし同じ部屋でも見える位置から動かない。まじでいる意味がない。邪魔である。

 

 

 「はぁ…ついでだから話すか」

 「…何をだ」

 「大体わかってんだろ?」

 「…」

 

 線記の追求に押し黙る。相変わらず昔からウソが苦手な男だ。

 

 

 「取り敢えず共有しとくと、優二のやつ俺等のこと思い出したぞ。約束ってやつも。」

 「!」

 「一歌と咲希にも謝ったし、ここにも剣に謝る気できてんだよあいつ。だからさ、話だけでも聞いてやってくれよ。」

 「…」

 

 

 線記の言葉に返答はなくそのまま歩き続ける。いきなりこんなこと言われても気持ちの整理がつかないだろう。取り敢えず今は剣の捜索を続ける。そんな時だった。

 

 

 「それじゃ〜まずは俺で話を聞く練習でもするか〜?ヒーローくん?」

 「「!?」」

 

 

 2人の前に怪しい雰囲気の軽薄な男が現れる。

 

 

 「一応聞くが…知り合いか?」

 「あんなのと友達と思われるのは心外だぜ…」

 

 

 2人の発言に大きく手を広げながら話し始める。動作がいちいちこちらをバカにしたような男だ。

 

 

 「そ、初対面。これから仲良くしようぜ?」

 「なら、まずは自己紹介からしてもらおうか」

 「そうだな〜お・れ・は」

 

 

 懐から1枚の写真を取り出す。穴の空いたそれーー優二の写真を見せつけるようにしながら男は答える。

 

 

 「こいつの敵…かな」

 「優二のやつ…なんでこんなやつに恨まれてんだ?」

 「いや…こいつ、まさか…」

 

 

 不審者に絡まれる幼なじみに疑問を抱く線記に対し新一は頭に一つの可能性を浮かべる。信じられないがこの男はもしや…そう考えると男は懐からドライバーを取り出す。

 

 

 「何…!?」

 「嘘だろ!?」

 

 

 男がドライバーを持っていること、何よりその形状に驚く。未知のドライバーだからではない、見知ったドライバーだからこそ驚く。地球儀を模したドライバー、腰に装着すると同時にそれは自らの名を叫ぶ。

 

 

 『セカイドライバー!!』

 「こいつ…優二のドライバーを奪ったのか!?」

 「いや…恐らく同型のベルトがあるんだ!」

 

 

 新一たちが驚いているなかで男は黒色のスフィアを起動させる。

 

 

 『ジャスティス!!』

 「ちゅ、変身♪」

 

 スフィアにふざけて口づけしたあと軽い動作でベルトにスフィアを入れて回す。男の周りから赤黒い泥のようなものが吹き出しまとわりついていく。

 

 

 「うぇぇぇぇぇ…」

 「気しょくがわるいな…」

 『CHANGE THE JUSTICE!!』

 

 

 泥が固まり全身を覆う。漆黒という言葉が正しく全身を覆い、それ以外の要素はない。複眼さえも光の加減でかろうじて輪郭をとらえることができるものだった。

 

 

 「俺は仮面ライダー…スワンプ」

 『ジャスティスブレード!!』

 

 

 長剣を逆手に持ちながら名乗りをあげる男を前に2人はドライバーを装着する

 

 

 「行くぞ線記!」

 『ハカイドライバー!!』『デュアル!!』

 「おう!」

 『ネライドライバー!!』『ガン!!』

 「「変身!」」

 『LETS ACTIVE DUAL!!』

 『MY LOCK GUN!!』

 

 

 変身を完了させ構えをとる。三人の間にしばしの沈黙が流れるとともにスワンプがデュアルの前に現れる。

 

 

 (速い!)

 「ちょっとどいてて♪」 

 

 

 前蹴りがデュアルの腹部を貫き吹き飛ばす。ロックがそれに反応するより前に首を掴み、爆発音を上げながら天井を突き破り屋上に上がりロックを解放する。

 

 

 「がはっ!ごほっ!こいつ!」

 『チューニングマグナム!!』

 「俺と遊んでくれよ。スナイパーくん♪」

 

 

 一方の一階では前蹴りを食らってふっとばされたデュアルが痛みをこらえて立ち上がっていた。 

 

 

 「ぐっ、あいつ…ふざけやがって…」

 

 

 すぐに線記を助けなくてはと思い階段に向かおうとする線記の前にスワンプの変身のあとにのこった泥から戦闘員が生まれる。

 

 

 「こいつら…いろいろ繋がってきたな」 

 

 

 ロックの銃撃がスワンプめがけて連射される。スワンプはその弾丸を長剣を振るい全てをはじき落としながら近づいてくる。

 

 

 「くっ!」

 「ほ〜らよっ!」

 

 

 弾丸を剣で弾いてくる予想外の回避方法にマグナムのモードチェンジで対抗しようとするもスワンプの刃がロックを襲う。ロックのマスクが刃の予想進路を算出してくるのに従うことでギリギリで躱すがその軌道を再び戻るように振るわれた返しの刃に切り裂かれスーツから火花がちる。

 

 

 「(速すぎる!)んなろっ!」

 

 

 ここまで近いと銃の意味がない。相手を突き放すために蹴りを放つも弾かれ逆に相手の足払いでその場に倒される。

 

 

 「楽しいなぁ!」

 

 

 長剣をもった右手でロックを殴る。何度か殴ったあと右手に黒いオーラがたまると、それまでとはケタ違いの威力の拳が放たれる。

 あまりの威力に床が崩れそのまま次々貫いていき、一階の床まで二人して落ちる。

 

 

 「ガアッ…」

 

 

 あまりにも大きいダメージに声すらほぼ出ない。許容量を超えたのかロックのスーツが光となって消えていき、限界を迎えた線記が気を失う。一階で戦闘員を相手にしていたデュアルが叫ぶ。

 

 

 「線記!こいつ!」

 

 

 スフィアを起動させ全身にエネルギーが立ち込める。周りの敵を一気に巻き込み回し蹴りで粉砕しスワンプに向き直る。

 

 

 「次は君と遊ぼうか、ヒーローくん♪」

 「上等だ…!」

 

 

 神経を逆なでする声、ここまで短期間で人を嫌いになったのは人生で初めてだ。2人がぶつかろうとしたときスワンプの後ろの壁が粉砕されバイクに乗ったライダーが現れる。

 

 

 「うぉぉぉぉぉ!!!」

 「っ!優二…」

 「お〜全員集合か♪」

 

 

 突っ込むや否やスワンプの足元で気絶している線記を発見する。隣の棟から屋上でこの男と戦っているのは見たが近くに来てベルトに気づく。

 

 

 「ドライバー…!?ダークライダーまで要るのか…」

 「…」

 

 

 線記を倒したスワンプに警戒を強めながら構える。デュアルもライダーとの共闘に複雑な気持ちを抱きながらも構えをとる。しかしスワンプのほうは構えない、というより別のことを考え始めている。

 

 

 「ん〜、ん〜〜〜!」

 「なんだ、どうしたんだ?」

 

 

 煮え切らないスワンプにライダーが問いかける。するとスワンプは長剣を持ち上げ…ドライバーの横に帯刀する。

 

 

 「やめとこ♪」

 「何…!」

 「初めては1人ずつ丁寧にやりたいし…喧嘩中の君たちのコンビじゃ俺には勝てないだろうしね♪」

 「…!」

 

 

 写真をわざわざ見せつけてきたところなどから察していたがこちらの事情をある程度調べてきている。スワンプが携帯を取り出し操作すると地球儀のような光に包まれ消える。

 

 

 「今の…!」

 「セカイに消えるときの…」

 

 

 スワンプが消えたことでライダーとデュアルだけが取り残される。微妙な雰囲気の2人に沈黙が流れると、デュアルは気絶した線記を担いでこの場を去ろうとする。

 

 

 「ま、待てよ!何処に行くんだ!?」

 「病院に連れて行く」

 「ちょっと待ってくれ!俺新一と話したいことが…」

 「俺にはない。それと」

 

 

 足をとめデュアルがライダーの方に振り返る。

 

 

 「気安く名前で呼ぶな。俺とお前は友達でも何でもない」

 「!」

 

 

 そう言い残すと再び背を向けて歩き出す。その言葉にショックを受けながらライダーもバイクで空けた穴から外に出る。隣の棟の屋上を見ると剣もいない。前と同じで帰ったのだろう。

 

 

 「結構きついな…」

 

 

 結局なんの事態も進展しなかった。むしろ実質的な絶縁宣言のようにも思える。どうしたらいいのか、もう自分には分からなくなっていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 「えー!悪い仮面ライダーが出てきたのー!?」

 

 

 次の日、放課後セカイで集まりお互いに昨日会ったことをはなす。線記は骨にもダメージがいっていたようで入院になった。

 

 

 「悪いことする仮面ライダーって本当にいるんだね…」

 「まぁそんなこと言い出したら仮面ライダー自体…って話だけどな」 

 「うーん…線記くん大丈夫かなぁ」

 

 

 咲希の言葉を聞きながら線記から今朝きたメッセージを確認する。意識は戻ったようで暇なのか連投してきている。

 

 

 『おきたー!!』

 『ナースっていうほどエッチな格好してないな』

 『テレビカード買おうにも財布がねぇ』

 『病院食噂ほど薄くもないぞ』

 『ナースやっぱりエッチかも』

 「あいつメッセージ越しでもうるさいなぁ」

 「あはは…元気そうで良かったね」   

 「すぐ退院らしいしな」

 

 

 線記の無事を確かめながら志歩の勧誘の件に話をもどす。2人はいま課題曲の練習をしていた。

 

 

 「う〜!難しい〜!」

 「さすが志歩だよね…これが弾けるんだ」

 「うーむ、むずそう。」

 

 

 バンドをやることを決めてからギターの練習を始めたことでその分この課題曲の難しさもよくわかる。

 

 

 「でも、志歩は本当に真剣に考えてくれてると思うわ。」

 「そうだな、難しいが…経験者の復帰のハードルとして越えられないハードルじゃない。」

 

 

 心の何処かで志歩もバンドをやりたいと思ってくれているのだろうか。真意は分からないがそうならいいなと思う。そうなってくると他のメンバーをどうするかが悩ましいが…今は気にしても仕方ない。

 

 

 「そういやハカイとかセカイにもバンドの知識あるんだな。他所から来たのに」

 「前にも言ったがここの影響で再構成されてるからな。そんなことより…お前剣はどうするんだ?」

 

 

 強い拒絶を示した剣、もう団地にも来ないだろう。志歩から聞いたことも察しているだろうし…だが次に会えそうなタイミングには心当たりがある。

 

 

 「昨日志歩に剣と話したいって言ったときにさ」

 『それ…剣のためのことなの?』

 「…それがどうかしたのか?」

 「あの二人はさ、強い絆で結ばれてるとおもうんだよ。」

 

 

 同じクラスだからなのかもしれないが一緒にいることがほとんどだ。だからこそ、恐らく志歩とのセッションの日には剣も近くに見に来る可能性が高い。

 

 

 「その時に何としても見つけて話すよ」

 「そうか、まぁせいぜい失敗しないようにすることだな」

 

 

 そう言うとハカイは教室から出ていく。それを見たミクは苦言を発する。

 

 

 「もっと素直に応援したらいいのに」

 「お、また線記からメールだ」

 『病院でそういう気分になったらどうすればいいと思う?』

 「退院するまでブロックしようかなこいつ。」

 

 

 怪我人なことへの同情を打ち消してあまりある鬱陶しさである。そんな優二を余所にセカイとルカは一歌たちへの指導を続ける。

 

 

 「大分良くなってないか?」

 「ええ、これなら日曜日までには十分仕上がるとは思うわ」

 「そ、そう?まだまだだと思うけど…」

 「まだ二日目なこと考えたら上々だよ」

 

 

 一歌たちの成長を感じていると咲希の身体がふらつく。そばにいたセカイが肩を掴んでささえるが、何処か咲希の元気がない気がする。

 

 

 「っと。大丈夫か咲希?」

 「え、えへへ…ちょっと疲れちゃったのかも…」

 「ずっと練習してるもんね。今日はもう終わろっか。」

ーーーーーーーーー

 

 

 週末、志歩とのセッションの日。ライブハウスの前に一歌たちは集まっていた。

 

 

 「う〜!緊張してきた〜!」

 「そうだね…練習はしてきたけど、完璧とは言えないし…」

 「ま、まぁノーミスを求められてはいないだろ…多分」

 

 

 ミクたちはミスしてしまった時の立て直しも教えてくれた。あとはどれだけ自分たちのリズムを崩さず最後までやり切れるか。そんなことを考えているうちに志歩がやってくる。

 

 

 「お待たせ、皆。そろってるみたいだね」

 「志歩ちゃん、うん!ばっちりだよ!」

 「それじゃあ入るけど…優二は来るの」

 「あぁ、途中で抜けるかもだけど」

 「?よく分からないけど…じゃあ行こっか」

 

 

 ライブハウスに向かう志歩たち、それを遠く離れたところから剣は見ていた。正直ライブハウスには入ってドア越しくらいにしておきたいが演奏する三人はともかく優二には気づかれる恐れがある。出てきた様子で判断するかそのタイミングで志歩に連絡することで確かめることにする。そう思っていると何かの気配を感じる。

 

 

 (まさか線記くんあたりが隠れて…!?)

 

 

 そう思って振り向くも誰もいない。しかし視線を感じる。何かはいるそう思って目を凝らし隅々まで観察するとおかしなものを見つける。

 

 

 「なんだこれ…?」

 『ゥヮー!』

 

 室外機の横に小さい謎の物体を見つける。四角い手のひらサイズのおもちゃのようでポップな顔が描いている、そして何より動いて喋っている。この絵柄の色合い、最近見たような違和感を感じると今度は機械の蜘蛛が降りてくる。本格的に意味が分からないが何が起こるのかは薄々感づいた。ここを離れようとしたとき。

 

 

 「いた!剣!」

 「ちっ、やっぱりこの変なのは君のか…」 

 「まぁね、このあたりを見晴らせてたんだ。お疲れ様ゴチゾウ、スパ太郎。」

 

 

 優二がねぎらいの言葉をかけるとゴチゾウたちは喜びの声を上げながり光になってスフィアに消えていく。志歩が見たら喜びそうな存在だと思うが今はそんなことはどうでもいい。

 

 

 「何処までも付きまとう気なんだね」

 「嫌なら1回話聞いた方が早いと思うぜ」

 「勝手なことを…」

 

 

 正直優二自身も無茶苦茶言っている自覚はあるがこうでもしないと話が出来ない。観念したのか逃げようとしない剣に近づいていく。

 

 

 「剣…ごめん!」

 「!」

 

 

 優二の謝罪に動揺するが、持ち直す。会いたいと言っていた時点で予想できたことだ。そしてこのあと言われそうなことも予想できている。

 

 

 「どうか許してほしい。それで…また俺と一緒にバンドをやってほしいんだ。」

 「どうして?」

 「どうしてって…」

 

 

 剣の発言に優二の方が黙る。許せないなどは言われるかと思っていたが、質問が返ってくるとは思わなかった。

 

 

 「君は僕らのこと忘れてたんだろ?だったらそのままいてくれたらよかったんだ。今さら…こんなふうに掘り返さなくてよかった。」

 「剣…」

 「別に…君だけが悪いわけじゃないよ…あんなの、ただの子供の口約束だし、一歌ちゃんたちがバラバラになったのだっていつまでも仲のいい人なんて多いわけじゃないんだから当然だよ…そう思えば楽なんだ、そうすればいいんだよ…」

 

 

 剣が胸のうちを吐露する。きっと、自分と違いずっと志歩たちのことを見てきたんだろう。今一歌たちの関係が良くないのは分かる。原因こそ知らないが仲のよかった4人がギクシャクしている。そしてきっと俺が知らないだけで剣だって何とかしようとしたはずだ。だが何も出来なかった、それが彼の心を疲れさせてしまったのだろう。何もしないほうが楽だ、よくあることだから仕方ないと。

 自分には何も言う資格はないだろう、誰か他の人間が言ってくれるかもしれない、それでも言いたい。ずっと忘れて何もしなかった、これまでのツケを払う時だ。

 

 

 「それを…お前はやりたいのかよ!」

 「!何を…」

 「辛いからって…苦しいからって!やりたいことまで見えなくなってるんじゃないのか!ただ何もせずボーッとするのが望みかよ!」

 「…!お前が!忘れたからだろ!僕たちを、約束を!」

 「別にいいんじゃなかったか!でもいいぜ、文句があるならぶつけてみろよ!」  

 「…!だったらぁ!」

 

 

 剣が優二に向かって走り出し思いっきり殴り飛ばす。優二より体格にも優れ鍛えられた一撃に優二は思ったより吹っ飛ぶ。

 

 

 「ぐふっ!なんだ、蚊に刺されたかと思ったぜ…」

 「もっと刺してやろうか…」

 「いいぜ、もっと来いよ!」

 

 

 その言葉に剣は再び優二に拳を振るうも捕まれ取っ組み合いになる。

 

 

 「だいたい陰気なんだよなお前も新一も!言いたいことあるなら言えよ!」

 「言ってるだろ!君が許せないんだよ!肝心なときにいないくせに今さら出てきて!」

 「遅れたから頑張ってるんだよ!今からでも間に合うはずだ!」

 「そんなこと分からない!」

 「分からないから頑張ってるんだろ!一歌も!咲希も!志歩も!今必死に向き合ってる!お前はそれもバカみたいって言うのか!」

 「バカみたいなんて言ってないだろ!」

 「バカにしてるんだよ!自分は現実見えてるみたいな顔しやがってぇ!」

 

 

 優二が怒号とともに放った拳が剣にクリーンヒットする。ライダーとしての戦いが生きたのか徐々に優二が優勢になってきている。

 

 

 「お前が頷くまで…やり続けるぞ俺は…なんでか分かるか…」

 「何でさ…言ってみろよ…」

 

 

 息も絶えだえで全身の痛みを耐えながら話す。お互いやりすぎだろこいつと勝手な文句を考えていて子供のケンカのようだ。

 

 

 「お前と…!新一も!4人で一緒にバンドがやりたいからだ!昔みたいに!」

 「そんなの…どうやって信じろって言うんだ…」

 

 

 剣も相当頑固だ、彼の心には数年間捻じれ続けたものがある。まっすぐ戻すのは至難の技、戻るまで殴り続けるしかない。そう思って拳を握りしめると、懐のブランクスフィアが光り始める。

 

 

 「え…これって」

 

 

 本当の想いを込めろと言われたスフィアに色が付いている。それを見た優二は気づく。

 

 

 「見ろ!これが証拠だ!」

 「…?」

 「俺の想いがこもったスフィア!今言ったことが…再会して、皆と接して生まれた俺の本当の想いだ!それがこれに宿ったんだ!」

 

 

 スフィアを剣に突きつけながら叫ぶ。これ以上の目に見える証拠は自分にとってはない。これで分かってくれないならもう一度ファイトだ。そう思っていると頭に頭痛が走る。

 

 

 「っ!こんな時に…いや、ちょうどいい!」

 「どういうこと?」

 「ついてこい!俺の想いの力を見せてやる!!」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 「優二は何処に行ったわけ?」

 「わかんないけど…大事なことだとは思う。」

 

 

 ゴチゾウ達が剣を発見し優二が向かった直後。一歌たちはライブハウスに入っていた。

 

 

 「確認するけど今から三人で私の出した課題曲を演奏して、納得の行く演奏が出来たらバンドをやる、出来なかったらこの話はなし。もう関わらないで」

 「うん、わかってる。でも…絶対やってみせるから」

 

 

 一歌たちの覚悟を感じながらそれぞれ配置につく。志歩がリズムの合図を取り演奏を始める。

 

 

 (よし、出だしは完璧…!)

 (いい感じ…!ミクちゃんたちとの練習の成果出てる…あんなに頑張ったんだもん…絶対またみんなで…!)

 (すごい…一歌たちすっごく上手くなってる…これなら…)

 

 

 一緒にバンドができるかもしれない、頭に浮かんだ想像を振り払う。まだまだ途中、判断は早い。演奏は最後までクオリティを維持できなければ意味がない。そう、最後まで演奏出来なければ。

 

 

 (あ…れ…何か…視界が狭く…)

 (何…いい感じなのに咲希の音が…?)

 「あぶない!」

 

 

 倒れそうになった咲希を一歌が受け止める。咲希は頬が熱を帯び、息も上気していた。

 

 

 「咲希!?」

 「ふぇ…?どうしたの皆…」

 「すごい熱…咲希、体調悪かったんじゃ…」

 「っ救急車!」

 「大丈夫…今回のはただの風邪だから…」

 「そんな…なんで…言ってくれれば」

 「志歩ちゃんと…バンドやりたかったから…」

 「咲希…そんな…」

 

 

 自分のせいで咲希に無理をさせてしまった。胸のなかが罪悪感でいっぱいになる。

 

 

 「ごめんね志歩ちゃん…こんなふうに体調管理もできないんじゃ…バンドなんてしてくれないよね…」

 「そんなことない…咲希が本気だってちゃんと伝わったよ。」

 「志歩…それじゃあもしかして…」

 

 一歌の言葉に首を横に振る。まだだめだ、想いに応えるというならやらなければならないことがある。

 

 

 「…私の気持ちを伝える前に、話を聞いてほしい。私も本気で一歌たちに向き合いたいから…それを聞いて、まだバンドをやりたいか聞かせて。」

 「…うん、聞かせて。でも、なに聞いたって大丈夫だよ。私たち、志歩への想いが変わることはないから」

 

 

 一歌たちの言葉に鼓動が速くなる。強い想いを聞けば聞くほど不安になる、もしこれで見捨てられたらと思うと立ち直れないだろう…でも、一歌たちだって乗り越えたはずだ。

 

 

 「話さないといけないことは2つ、私が入ったらどうしても付きまとうことだから…」

 「2つも…?」

 「一つは本気でバンドをやりたいって話。私、中学生のころに一応ガールズバンド組んでたんだ。でも、長続きしなかった。」

 

 

 過去のことを思い返す志歩は辛そうだ。だからこそ、それでも話してくれる覚悟が伝わってくる。

 

 

 「私は、バンドでプロを目指したかった。練習をやり込んで、自分たちの曲を作って、誰かの心を響かせる演奏がしたい、そう思ってた。でも皆は違った、楽しくできたらいい…青春の思い出作り…それだけだった」

 

 

 それが間違っているわけではないと今ならわかる。いや、当時だってわかったはずだ。どんな気持ちで音楽をやるかは自由、だが見え始めた夢を前に感情的になってしまった。

 

 

 「だから、バンドを抜けた。ライブハウスでバイトをして、サポートで入ったりしながら本気でプロを目指してるバンドを探すのに切り替えたの。これが1つ目」

 

 

 志歩の音楽への情熱、それが引き起こしてしまったメンバーとの齟齬。慎重になってしまうのも頷ける。

 

 

 「もう一つは、私が皆を避けた理由。正直…勝手な話だと思う。」

 「私たちを避けてた理由?」

 「中学のころ、まだ私たちは仲良かったけど…別のクラスだったでしょ?その時、別の友達を作ったりも皆はしてた。私はろくに出来なかったけど」

 

 

 少し自嘲気味に話す。確かに人見知りなところはあるが志歩だって優しい人物なのに昔から上手く伝わらない。

 

 

 「クラスの子からお昼に誘われたり、遊びに誘われたりするのを全部断ってた。たまに一歌たちと遊んで…空いた時間にベースが弾ければ満足だったから。でも…それが原因で…」

 

 『日野森さんってお高くとまってるよねー調子に乗ってるって言うか〜』

 『たまに会ってる子とかもよく付き合えるよね。弱みでも握られてんのかって感じ』

 『それか、一人でいる寂しい子に構ってあげる私優し〜って自分に酔ってるんじゃない笑』

 『うわありそ〜笑』

 

 「皆の悪口まで言われ始めてた。実際、穂波も友達との付き合い方に迷い始めてるみたいだった。だから離れた…そうすればこんなこと言われなく済むと思って…勝手だよね…」

 「そんなことない!志歩は私たちのこと考えてくれて…」

 「ううん、一歌たちならきっとちゃんと言えば向き合ってくれた…でも、私が苦しむ一歌たちを見たくなくて逃げた、私のためなんだよ…」 

 

 

 志歩の目からは少し涙がこぼれそうだ。彼女のめったに見せない弱い部分、一歌は居てもたってもいられず抱きしめる。

 

 

 「!」

 「ごめんね志歩…気づいてあげられなくて…」

 「そんなことない…一歌のせいじゃ…」

 「でも、もう一人にさせないから。私たち何言われたって志歩のそばから離れないから。」

 「…いいの?そんなこと言われたら、私我慢できないよ?」

 「いいよ。幼なじみなんだから、我慢なんてしないで。私たちとバンド…してくれる?」

 「うん、する。一歌たちと…また一緒に」  

 

 

 一歌の言葉に志歩が頷く。その言葉につられて泣きそうになる、これからの話などもしたいが口を開くと出てしまうだろう。

 

 

 「退院したぜーーー!!」

 「「「…」」」

 「ん?何か空気読めてないやつ見る目されてる?」

 「お、思ってないよ」

 「思ってる」

 「志歩ちゃん!」 

 「?てか優二は?いるって言ってなかった?」

 「そういや遅いね…」

 「…まさか」

 

 

 スマホを取り出すとセカイが飛び出してくる。

 

 

 『怪人だー!!』

 「やっぱりか!」

 「向かわないと…」

 「いや咲希体調悪そうだな!別に戦うわけじゃないんだから休んでていいぞ!」

 「優二達が心配なんでしょ…一歌、咲希のこと見ててあげて。優二は私が見てきてあげるから」

 「志歩…いいの?」

 「…優二とも仲直りしないと、でしょ?」

 「…!うん!」

 「よし!行くぜ!」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 町中で人々が逃げ惑っている。その方向の先には一体の異形。背中からは二対の透けるほど薄いマント、手にはレイピア状の剣、黄色と黒の縞模様柄の顔はまるで騎士の甲冑のように見える。

 蜂型怪人、ワスプノーネイムがその刃で人々を斬り刻んでいた。

 

 

 「見つけた!覚悟しろよお前!」

 

 

 いつにもましてやる気のある優二が到着する。自分の想いが込められたスフィアを取り出すと後ろの剣にこえをかける。

 

 

 「見てろ剣!俺たちの想いの強さ!お前に見せつけてやる!」

 「…」

 

 

 優二の発言を剣は黙って受け止める。振り返ることなくスフィアを起動させる。

 

 

 『ビギンズ!!』

 『セカイドライバー!!』

 

 

 ベルトを装着し地球儀の弓をずらしてスフィアを装填する。右手を斜めに突きだし左手をそのしたにベルトに沿わせるように構える。その後両手を逆に回転させながら肩で止めた右手の上に左手を移動させる。既に身体に染み付いた変身ポーズ、だが今日からは違う。

 

 

 『本当の想いを見つけることで力を得る』

 『これは使えないのか!?』

 『本来の力を発揮出来るか分からないが…』

 

 

 恐らくこれこそが本来の姿。その初変身となれば気合もはいる、背負うものも重い、いつもより重心を落とし言葉を叫ぶ。

 

 

 「変身!!」

 『CHANGE THE BEGINS!!』

 

 

 星を映した藍色の球状エネルギーに包まれる。スーツが形成されると写っていた星が胸に刻まれ、球状エネルギーが収縮しヘルメットになる。

 今まで緑だった部分は星空のような深い藍色、胸部のシックスパックは消え装甲がなくなってしまったものの獅子座を描いている。 姿の変化を見届けるとともに身体に今までになく力を感じる、これが本来の仮面ライダーとしての力なのかと理解する。

 

 

 「なんだ?また新しいやつか?」

 「そう思っても無理はないな。いや、あながち間違いでもないか」

 

 

 そう言うとライダーは思考したあと口を開く。

 

 

 「ライダーも増えてきたんで新しい名前を名乗らせてもらう!俺は…仮面ライダービギンズ!ここから始まる…新しい仮面ライダーだ!」

 

 

 そう言うとライダー…ビギンズの手にベルトから光が飛び出し剣を生み出す。

 

 

 『ライドガン✕ソード!!』

 「武器か…ありがたい!」

 

 

 強く握りしめワスプに向かって走り出す。それに対してワスプもまたレイピアを構える。届く距離に来ると互いに刃を振るいぶつかり合う。そのまま鍔迫り合いに発達するとビギンズは能力の向上を実感する。

 

 

 (こいつのパワー、今までなら弾き飛ばされてた!力がすげー上がってる!)

 

 

 互いに何度も武器を振るい火花が散る。パワーは互角、ここからどう勝利に持っていくかに互いの腕は掛かっている。

 

 

 「「ハァッ!」」

 

 

 再びの鍔迫り合いに入る。だが、今度は力勝負にはならなかった。ワスプはレイピアをガン✕ソードの周りを沿うように回転させ強打し弾かれる。

 

 

 「ッ!!」

 

 

 弾かれた武器を全力で握りしめ飛んでいくのを回避する。今までのパワーとスピードなら不可能だったことだ。

 

 

 「今だ!」

 

 

 レイピアをビギンズに向かって突き出す。突き出された刃が左胸に突き刺さる、だがそこから先はワスプに予想外の展開になる。

 

 

 「うぐっ…」

 

 

 心臓まで貫通させるつもりだったレイピアは浅くしか刺さっていない。前ならそれでも吹き飛んでいただろうがその場に踏みとどまっている。さらにここからガン✕ソードの真価が発揮される。手を思いっきりふると刃が回転し持ち手に対し角度のついた、銃のような姿になる。それをワスプの腹に押しつけ引き金を引くとエネルギー弾が発射されワスプを火花を散らしながら吹っ飛ばす。

 

 

 「グゥゥゥゥ!?」

 

 

 予想外のダメージにワスプが苦悶の声をあげる。格段に上がった戦闘力、このチャンスに攻め込むことで仕留められる。そう思い走り出そうとしたビギンズの視界が歪む。

 

 

 「ッ!?」

 

 

 視界が揺れ、手足の力が抜ける。強化されていなければ立つのすら困難だろう。自分に起きた異変の正体、敵の姿からして一つしかない。

 

 

 「驚いた、毒の効き目まで薄いとは」

 

 

 レイピアには強力な毒が仕込まれていた。こちらに近づいてくるワスプ、先ほどのような近接戦闘はもうできない。銃口を向けるが手が震えて狙いが定まらない。

 

 

 「優二くん!」

 

 

 剣の声が聞こえるが身体が動かない。絶対絶命のピンチ、その時。

 

 

 『チューニングマグナム!』

 

 

 何処からか飛んできた光弾がワスプに着弾する。何事かと思うと変身したロックが現れワスプに光弾を放ちながら走っていく。

 

 

 「志歩!優二を頼む!」

 「わかった!」

 「志歩ちゃん!?」

 

 

 志歩がビギンズの元に走っていく。それを見た剣もあとを追う。ビギンズは限界が近いのか膝をついている。

 

 

 「優二!?大丈夫!?これ…人に戻した方がいいの!?戻さないほうがいいの!?」

 「待ってくれ…あいつは俺が…!」

 「…何言ってんのさ。その体じゃ無理でしょ」

 「言ったろ…俺たちの…想いの強さを見せるって…」

 「…」

 

 

 何とか立ち上がろうとするが力が入らない。そんなビギンズを志歩が何とか止めようとする。

 

 

 「ちょ、待ちなって!無理に決まってるでしょこんな状態で!」

 「志歩…お前にも謝らないとな…ずっと忘れてて…」

 「遺言みたいだから黙って!あとでちゃんと聞くから!」

 

 

 剣が手を握りしめる。自分がどうすればいいのか、もう分かっている。分かっているはずだ。なのに体が動こうとしない、この体はもう傍観者としか動けないのか。

 

 

 「このやろ!飛ぶな!」

 

 

 ワスプのマントが高速で振動し羽根へと変わる。銃を乱射するが動きをとらえられない、ハチの飛び方はひどく不規則だ。スナイパーモードに切り替えて対応しようと銃を操作する。その隙を見逃さなかった。

 

 

 「飛べ!我が同胞よ!」

 

 

 ワスプが叫ぶと頭の黒い部分から大量の蜂が飛んでくる。飛んできた蜂はロックにたかり牙や針で攻撃してくる。それほど威力はないが火花がパチパチとなる程度のダメージはありこの数をいつまでも受けつづけるのはまずい。

 ドライバーの引き金を引くと中のスフィアが起動し全身にエネルギーが迸り蜂を焼き尽くす。

 

 

 『スナイパーモード!!』

 「このっ!あれ?」

 

 

 反撃に移ろうと銃を構えるとワスプがいない。何処に消えたのか、空を見上げると背中に何かが刺さる感触を感じる。

 

 

 「がっ…」

 

 

 後ろに回ったワスプのレイピアがロックに突き刺さる。ビギンズより装甲の薄いロックはより深く刺さり毒が速く全身に回り倒れる。

 

 

 「線記!」

 「二人とも離れてろ…」

 「だから無理だって!」

 

 

 いよいよ二人ともやられた。ワスプがこちらに向けて歩いて来る。冷や汗をかきながらスマホを取り出し電源を入れる。

 

 

 『状況はわかってる。ドライバーを渡す、一之瀬お前が何とかしてくれ』

 「ま、待ってよ!新一くんは…」

 『向かってるが到底間に合わない。』

 「そんな…」

 

 

 セカイのなかに逃げ込めば自分たちは助かるだろう。だがそうなればこの化け物は野放しになる。新一が来るまでにどれだけの人が犠牲になる?スマホからドライバーとブランクスフィアが出てくる。だがどうしろというのか、自分は未だ本当の想いに向き合えないのだ。そんな自分にスフィアが輝くわけがない。

 

 

 「剣…」

 

 

 目の前で悩む剣を志歩は見つめる。目の前で心優しい幼なじみが悩んでいる。彼をどうにかして助けることができないのか。

 

 

 「志歩…」

 「優二…!」

 「俺じゃもうアイツを倒せない…だから…剣を頼む」

 「頼むって…どうする気なの」

 「お前たちを信じる…」

 

 苦しみをこらえながらライダースフィアを起動する。すると左腕にライドコンバーターが現れそれにそのままスフィアをはめ込む。全身に緑色のエネルギーが溢れ多少体が動くようになる。

 

 

 「うぉぉぉぉぉ!」

 「こいつ!まだ!」

 

 

 ワスプに掴みかかり動きを止める。時間を稼ぐことしか出来ないだろう。その間に自分のやるべきこと、剣を見つめる。今度は自分が彼を助ける番だ。その方法はきっと幼なじみが教えてくれた。

 

 

 「剣!」

 「志歩ちゃ…!?」

 

 

 志歩が思いっきり抱きつく。突然の超展開に剣の頭がパニックになる。

 

 

 「なななななな何をこんな時に何を」

 「大丈夫だよ、剣」

 

 

 志歩が剣に優しくこえをかける。慣れないことをしてる緊張からか速くなった鼓動を感じる。

 

 

 「剣は、自分が思ってるよりずっと優しいし強い。私知ってるから」

 「そんなこと…」

 「中学の時、別の学校だったよね。部活が強制だから始めたサッカー部でめちゃくちゃ記録残してさ、毎日忙しそうだった。それでも…皆が来なくなるまで最後まで約束の公園に来続けてた」

 「それは…ただ信じたくなかっただけだよ…皆が離ればなれになりそうなのを」

 「つまり誰よりも信じてたんでしょ?皆のこと。それにそれだけじゃないよ。」

 

 

 ビギンズがワスプに吹き飛ばされる。一度倒れるとなかなか立ち上がれないところをレイピアで串刺しにしようとしたところを光弾が激突する。ロックの銃口がこちらを向いていた、毒で震えて狙いが定まらないが跳弾用のラビットモードを連射し無茶苦茶な起動の弾幕で攻撃する。

 

 

 「私が一歌たちのことを避け始めたころ、ずっと一緒にいてくれたでしょ」

 「…別の学校の僕が学校外で会うのは、クラスの人にもバレないと思って」

 「理由つけなきゃ駄目?心配してくれただけでしょ、嬉しかった」

 「…」

 「剣」

 

 

 体を離し顔を見つめる、一番伝えなければならないことを伝える。自分が知っている、剣が知らない剣のことを。

 

 

 「剣の中には誰よりも強い想いがあるよ。私たちのことが大切で、守りたいって想いが」

 「僕の中に…」

 「あとは自分に正直になるだけ、そしてそれは絶対大丈夫」

 

 

 志歩が微笑みながら剣に伝える。

 

 

 「本当に大事なときは自分の気持ちを伝えてくれるって私知ってるから。」

 「…!」

 

 

 剣が志歩から離れベルトを掴む。開きかけの中心に穴の空いた刀をもしたドライバー、それを腰に装着するとその名が叫ばれる。

 

 

 『ツカイドライバー!!』

 「!?」

 

 

 ロックの跳弾を攻略し変身を解除させたワスプが音に気づきこちらをむく。

 

 

 「また新しいライダーか!死ねぃ!」

 

 

 レイピアを剣の方に向けると刃が高速で射出される。

 

 

 「剣!」

 「逃げろ!」

 

 

 手にブランクスフィアを握りしめ、レイピアの針を蹴り飛ばす。

 

 

 「え」

 「うそん」

 

 

 ブランクスフィアを握りしめ見つめる。志歩に言われた想い。そんな物が本当に自分にあるだろうかと思う。到底信じられない、だが。

 

 

 『お前たちを信じる…』

 『剣の中には誰よりも強い想いがあるよ』

 「みんなは信じてくれてるんだ…!」

 

 

 だったらそれに答えよう。志歩や、優二や、皆が信じてくれる自分。それに変身するための力がこれだ。スフィアが黄緑色に輝く、スイッチを押し、その名を叫ばせる。

 

 

 『ソード!!』

 「これ以上…僕の友達に手出しはさせない!」

 

 

 ベルトにスフィアを装填し、左手で刀を閉じると同時に斜め前方に突き出し、その後今度は閉じた刀を右手で開き腕を交差させる。

 

 

 「変身!!」

 『START ABILITY SWORD!!』

 

 

 交差した両手を開き真っすぐにする。全身を球状エネルギーが包み込むと巨大な刀が現れエネルギーを切り裂きライダーの輪郭を作り出す。全身の形が整ったあと切り刻まれた破片が一つにまとまり両手に飛び込む。すると鋭い閃光が顔に向かって放たれ横一文字の複眼を作り出す。両手に飛び込んだ破片が長剣に変わり腰横に帯刀する。

 体のほとんどは真っ白で黄緑の線がいくつも入っている。ラインは背中にものび『TURUGI』と文字を作っている。友の期待を背に刻んだ戦士がここに誕生する。

 

 

 「優二くん風に言うなら仮面ライダーソード?ちょっとダサいな…」

 

 

 皆がのぞむ自分になると決めたなら名前もそれにふさわしい物がいい、それならそのまま名前にしよう。

 

 

 「仮面ライダーツルギ!これにしようか」

 

 

 名前を聞いて地面に倒れた線記とビギンズは吟味する。

 

 

 「自分の名前そのままにするか普通?」

 「いやー非常にありですよこれは」

 「僕は顔だけじゃなく名前もかっこいいんでね」

 

 

 手に持った長剣、『インビジブレード』を右手にもつ。それを見たワスプは内心嘲笑する。先ほどのでライダーどもの剣の腕は自分に及ばないことは理解した。焦るほどでもないそう考えた瞬間だった。

 

 

 「フン!」

 

 

 ツルギが長剣をぶん投げる。ワスプの隣をスレスレで通り過ぎ後ろの壁に突き刺さる。

 

 

 「なに!?」

 

 

 まさかの武器を手放す行為に驚く。何か狙いがあるのかと思い後ろに突き刺さった壁を確認すると、そこにツルギが立っている。

 

 

 「!?」

 「ふん!」

 

 

 驚いたワスプのマントをきり裂く。これで飛行を封じ込んだ。いつの間にか刃が再生したレイピアで追撃の袈裟斬りを受け止めると前蹴りを腹にねじ込まれる。

 

 

 「ごほぉ!」

 

 

 鍔迫り合いを続けたまま顔面を剣を持たない左手でぶん殴る。

 

 

 「がっ!」

 

 

 別々の急所に攻撃を食らったことで怯んでいる隙に下から思いっきり斬り上げを放ち吹き飛ばす。地面に転がって苦しむワスプに再び剣を投げる。ギリギリで地面を転がることで当たることはなく近くの地面に突き刺さる。

 

 

 「ふぅ…」

 

 

 何とか回避したところツルギの姿が光になって消える。次の瞬間刺した剣の側に光が集まりツルギになると剣を掴み再び斬り上げで吹き飛ばす。

 

 

 「ハァ!ハァ!クソ!」

 

 

 能力の種が分かり隙を隠すためすぐにたちあがる。剣の側へのテレポート、剣を使うが剣にこだわらない攻撃手段もやりにくい。毒による即殺を狙うしかない。顔から大量の同胞をツルギに飛ばす、ロックと同じくこれで隙を作り刺し殺す。大量の蜂を前にツルギはドライバーを閉じて即座に開く。全身をエネルギーに包んだ状態で蜂に向かって走り出す。

 

 

 「ハァっ!」

 

 

 剣を連続で振り蜂を次々斬り落とす。エネルギーを纏った斬撃は範囲が広がり効率的に蜂を全滅させる。しかし開けた視界にワスプはいない、後ろに回り込んでおりレイピアをガラ空きの背中に突き出す。

 

 

 「…さっきの針飛ばしで隠し玉は終わりかな?こんな使い回しするくらいだし。じゃあ僕の勝ちだね。」

 

 

 振り下ろした剣を持つ手と逆の背中に回された手、そこにはもう一本のインビジブレードが握られておりレイピアを防いでいた。

 

 

 「ハァ!」

 

 

 両手に持った剣を振るう。一本しかないレイピアでは防御しようにもしきれない、右の剣を弾く、左の剣で斬られる、左の剣を止める、右の剣に突かれるのループ。技術を物量で無効化されていた。

 

 

 「アァァァァァア!!!」

 

 

 現実を受け止められない。自分が負けるなど。何とかしなければ。右の剣を弾くと、左の剣で切りかかってくる。パターン化された動きを突く。左の剣撃を食らった直後、2本の刃が弾かれるか攻撃したかで両方使えない一瞬の隙を着いた渾身の突き。起死回生の一撃を放った瞬間、天に舞う自分のレイピアが見えた。

 

 

 「カフッ!」

 

 

 鈍い痛みに気づく、顎ごと剣を足で蹴り上げられた。呆けていると両手の剣で吹き飛ばされる。地面に転がるとツルギが片方の剣をワスプに投げる。

 

 

 「斬られるのと蹴られるの、どっちがいい?」

 

 

 見え透いた挑発、2択を強要し別の手段も考えられる。上等だ、完璧なカウンターで逆に仕留める。ツルギの投げた剣を掴み、構える。 

 

 

 「それじゃあ、両方だ!」

 

 

 剣を上に投げると、ツルギがベルトのスフィアのスイッチを押し開いて閉じると姿が消える。全身にエネルギーが迸る状態で空中の剣の横に現れたのをみて、こちらも構える。

 

 

 『MASTER ABILITY SWORD!!』

 「ライダーストライク!」

 「!?」

 

 空中で剣を『蹴る』。高速回転しながら向かってくる予想外の一撃、だが予想外なことをしてくるのは想定内。間に合う、剣を振り抜くと、そこには剣はない。握っていた剣は空中のツルギが持っていた。体をきり裂かれながら相手の隠し玉に気づく。

 

 

 (剣の方を…テレポート出来たのか)

 「敵を信じてどうすんの…って話だよね」

 

 

 ツルギが着地すると同時にワスプが爆発する。すると線記とビギンズの体から毒が消える。

 

 

 「お!治った!…けど」

 「剣の戦い方エグいな」

 

 

 ベルトからスフィアを取り出し閉じると変身が解消されると剣のバランスが崩れる。すかさず志歩がそれを支えた。

 

 

 「お疲れ様、剣」

 「ハハ…かっこよかった?」

 「最高だったよ」

 

 

 そう言うと剣が目を閉じる。いろいろ会って疲れたのだろう。今日はゆっくり休ませて上げたい。膝の上に休ませるとスマホを取り出しUntitledを再生しようとする。その時遠くから一歌が咲希に肩を貸しながら歩いてきていた。

 

 

 「咲希!?どうしたの!?」

 「ゆーくん…ちょっと体調悪くて…ってその顔どうしたの!?」

 「敵そんなに強かったんだ…でも様子見るに勝ったんだよね?」

 「あぁ、剣のおかげでな。この傷も含めて」

 「?どういうことだ?」

 

 

 合流して話す皆を見ると剣に話しかける。

 

 

 「明日からは、私たちもあそこに入ろうね。それでいつかは…皆一緒に」

 

 

 そう呟くと剣が寝言を話し始める。

 

 

 「?何言ってんだろ。」

 「…ムニャ。志歩ちゃん…好き…」

 「は、ハァ!?何言ってんの!?」

 「何か志歩が叫んでるぞ」

 「怪我人相手にキレないでくれ」

 「剣もボロボロ…そんな強かったんだ…」

 「あ…うす」

 「ノーダメだったと思うけどな?来た時点で怪我してたし。」

 

 

 合流した剣たち、その様子を物陰からこっそりと新一が見つめる。剣が丁度変身したタイミングで到着し、戦う必要なくワスプが倒された。そしてこれで…次は自分と穂波が誘われる番だろう。到底受け入れられない、そう思っていたのに剣は受け入れた。それを見て新一は一つの想いを確信する。

 

 

 『僕は彼を許せない…君と同じでね』

 「俺は…お前とは違う」

 




設定
 仮面ライダーツルギ
  剣が変身するライダー。自由に出し入れできる2本の長剣『インビジブレード』を使って戦う。インビジブレードの側にテレポートする能力をもつ。手段を選ばず攻撃も剣にこだわらない変則的な戦いを得意とする。


 ハカイドライバー
  新一のドライバー。エネルギーを自由に扱う能力がある。また使用者にはパワーが異常に発達する副作用がある。

 ネライドライバー
  線記のドライバー。マスクに周囲をスキャンし銃撃をサポートする機能がある。また使用者には視力が異常に発達する副作用がある。

 ツカイドライバー  
  剣のドライバー。どんな武器でも使いこなす能力をもつ。また使用者に聴力が異常に発達する能力がある。

 仮面ライダースワンプ
  ??????が変身するライダー。長剣『ジャスティスブレード』を逆手に持った戦闘が得意。ほかのライダーとは一線を介した力を持つ。

 ワスプノーネイム
  蜂型怪人。レイピアを使った剣撃、羽根での飛行、小型の蜂怪人の召喚、毒など多彩な能力をもつ。自身の戦闘力に自身があり油断っぽい。事前にスワンプからライダーの情報を聞いていたこともあり初見の事態に対応出来なかった。


次回予告。
  「ほなちゃんを誘うのはあきらめるよ…」
  「それ、ほかの友達のことも信じてないってことだからね」
  「じゃあ新一誘う方法考えるか」
  「仲直りってどうしてたっけな」

 『第五話 ダブルライダー』
  
  「これで心スッキリだ」
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