プロジェクトセカイ feat  仮面ライダー   作:ミッツー116

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気づけば一つの章の終わりでびっくりしています。
もっとかかると思ってました。


第六話

 

 

 「優二くん、今日も来ないね」

 

 

 公園のベンチで幼い剣が話しかけてくる。中学に上がってもう半年、約束を果たすために毎日ここに通ってるが優二は一度もこない。

 

 

 「咲希ちゃんは?」

 「病院、最近また体調が悪いみたい」

 

 

 もしかしたらまた入院するかもしれない。そんな不安が胸に立ち込める、一歌たちも不安そうだ。話題を変えようと剣に話しかける。

 

 

 「…お前最近部活どうなんだ?」

 「まぁ順調かもだけど…」

 

 

 1年生にしてスタメン入りしチームを優勝へと導いた。正直フィクションなら主人公だが本人はそれほどうれしそうではない。

 

 

 「新一くんは?友達出来た?」

 「聞くな」

 

 

 人見知りの激しい新一には酷な質問だ。一歌が同じクラスだから基本一緒にいるが…一歌に友達が出来ているので側にいないことも出てきた。

 

 

 「俺だけじゃなくて志歩もいないからな」

 「私は別にいらないし」

 「穂波ちゃんはちゃんと作ってるのにねぇ」

 

 

 自分は部活を通じてしっかり友達を作っているから余裕そうだ。…この時、穂波が浮かない顔をしていることに気づけば別の未来もあったかもしれない。だが新一たちは見逃していた、終わりの始まりを。

 

 

 第六話  「ダブルライダー」

 

 

 「新一!ごめん!」

 「…」

 

 

 校舎裏、優二は腰を90度曲げた謝罪を披露していた。最後にのこったメンバー、彼にまだ謝られていなかった約束のことを謝るために呼び出していた。

 

 

 「…前にも言ったろ、気安く名前で呼ぶな。俺とお前は友達でも何でもない。」

 「…」

 「話しは終わりか?それならもう帰らせてもらう。」

 

 

 取り付く島もなくこちらに背を向けて歩きだす。その背中を見つめながら泣きそうな顔で振り向く。

 

 

 「どうしよう…」

 「「……?」」

 

 

 こっそりと後ろから見守っていた線記と剣がわざとらしく両手をあげ首を傾げながらお手上げポーズをする。

 

 

 (はっ倒してやろうかな)

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 「ごめんね…やっぱり私は」

 「ほなちゃん…」

 

 

 校舎内の連絡通路、そこで一歌たちは穂波の勧誘をしていた。しかしこちらも芳しくない。どうしても首を縦に振ってくれない。

 

 

 「私が言えたことじゃないけど穂波、断るなる理由くらい話したら?そうじゃなきゃ一歌たちも納得できないでしょ」

 「志歩ちゃん…」

 「そ、そんな…無理しなくても大丈夫だよ。話したくないこともあるだろうし…でも…」

 

 

 本音を言うなら一歌も気になる。だが穂波の気持ちを無視して無理に聞くのも嫌だった。そんな一歌の気遣いを感じ取ったのか穂波が口を開く。

 

 

 「中学生のころ、色んな人から相談を受けてたんだ…私なんかが聞いても解決しないかもだけど…1人で抱え込むのは辛いと思ったから色んな人から話を聞いてた。1人1人に寄り添って…でも…」

 

 

 確かに中学の頃の穂波はよく相談されていた気がする。優しく寄り添ってくれる穂波がそうなるのは当然だと思ったので不思議ではなかったが…それが原因で悩んでたのも知っていた。

 

 

 『穂波ってさ、誰の味方なの』

 『こないだ私の悪口言ってたよね?』

 『誰にでもいい顔するよね』

 「段々クラスの友達に避けられ始めて…一人きりになっちゃって…新一くんにも…」

 「…え?何でそこで新一が?」

 

 

 同じ中学ではあったがそんな話は聞いたことがない。何があったのだろうか。穂波は余計なことを言ったと気づいたのか話を戻す。

 

 

 「…だからね、決めたの。誰とも付き合わず…クラスの子とだけ仲良くすることに決めたの。誰にでもいい顔するって言われたくないから…」

 「そんなことない!穂波はみんなに優しいだけって私たち知ってるよ!」

 「ごめんね一歌ちゃん…でもね、私もう嫌なの…皆に仲間外れにされて…1人になるのは嫌なの…」

 

 

 涙を流しながら話す穂波に一歌は押し黙る。今の穂波にかける言葉がない。中学のころ、穂波が悩んでいた時に強引にでも一緒にいるべきだった。後悔の念に襲われていると咲希が口を開く。

 

 

 「ごめんねほなちゃん…私、ほなちゃんのこと全然考えれてなかった。自分のことばっかで舞い上がってて…」

 「そ、そんなことないよ咲希ちゃん。せっかく退院できたんだから…嬉しくなっていいんだよ」

 「ありがと、でも…私も一緒だよ。ほなちゃんにずっと嬉しい気持ちでいてほしいから…辛いことは考えてほしくないから…だから、もうバンドに誘うのは辞める…ごめんね、ほなちゃん」

 

 

 そう言うと咲希はその場から走り出す。そうでもしないと涙が流れてしまいそうだった。

 

 

 「っ咲希!」

 「一歌、一緒にいてあげて。私も後からいくから。」

 「分かった!」

 

 

 一歌が咲希を追いかけ走り出す。それを見届けた志歩は穂波に向き直る。

 

 

 「穂波、さっきのことだけど」

 「志歩ちゃん…?」

 「今言ってること、私たちもだけど…クラスの友達も信用してないってことだからね」

 「!」

 

 

 その言葉を最後に志歩は一歌たちのあとを追う。

 

 

 「志歩ちゃん…皆…私は…」

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 怪人のセカイ、そこではスワンプに変身する男が写真を見つめていた。

 

 

 「これで揃ったわけかぁ、さてどうしよっかなぁ」

 

 

 写真をみながら考える、正直少し飽き始めていた。自分の主目的は別にある。そう思っていると新たな怪人が生まれる。

 

 

 「それじゃあ、最後に一回一緒に遊ぼうか♪」

 

 

 その後はメインターゲットに専念する。そう決めると口を不気味につり上げた。

 

 

ーーーーーーー

 

 

 「それじゃあ、穂波を誘うのはあきらめるのか?」

 「うん、ほなちゃんの話聞いたら…それが一番かなって」

 「…そうか」

 

 

 放課後、セカイで再び作戦会議のために集まると咲希から穂波との会話について知らされる。細かい事情は剣も知らなかったようだ。

 

 

 「じゃあ新一どうやって誘うか考えるか」

 「この話の流れで!?」

 「だって俺らには関係ないし」

 「聞いたか巡音、こいつ俺よりデリカシーないぞ」

 

 

 線記の発言に若干引きながらも考える。実際どう誘えば頷いてくれるだろうか。

 

 

 「優二くん、もっとグイグイ行きなよ。僕の時みたいにさ」

 「自分で言うかそれ?新一に何言えばいいのか思いつかないんだよな。」

 「顔が怖くてビビってんのか?お前」 

 「違うわ」

 

  

 実際怖い顔だがそれは関係ない。よくよく考えるとどうして断られたかも分からないのだ。剣はどう考えているのか教えてくれたからこそぶつかり合うことができた。悩む優二をほって線記たちの話は逸れはじてる

 

 

 「あいつ顔怖くなったよな〜。昔はあそこまでまじゃなかったよ」

 「君等と話してる時の機嫌が悪いだけだよ。咲希ちゃんの面会の時とかは普通の顔してたし」

 「もともと新一硬いだけで穏やかな方だしね」

 「僕が中学サッカー三連覇した時の顔は面白かったよ」

 

 

 剣の言葉に悩んでいた優二まで目を丸くして線記と驚く。

 

 

 「そうそう、そんな感じ」

 「三連覇って日本一か?」

 「日本一」

 「…そりゃ武器も蹴り飛ばすよな」

 

 

 必殺技で武器を蹴り飛ばしていたことを思い出す。曲芸じみていたがそんな技能があるなら納得だ。優二達が飲み物を飲むタイミングで剣がさらに爆弾を投下する。

 

 

 「僕と志歩ちゃんが付き合ってること教えたらまた見れるかな」

 「「ぶふぅぅぅーーー!?」」

 「ぐわぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

 あまりの破壊力に飲んでいた飲み物をハカイに吹き出してしまう。

 

 

 「わ、悪いハカイ。拭くわ」

 「おぇぇ…口に入った」

 「それは叫んだお前が悪くね?」

 「いや2人でしょ」

 

 

 ある程度拭き終わると座り直して話をもどす。

 

 

 「しかしびっくりした、志歩と剣が付き合ってるって聞こえた」

 「俺もそう聞こえた」

 「そう言ったよ」

 「「……!?」」

 

 

 聞き間違いでないことに驚きつつ剣と志歩を何度も見る。

 

 

 「え、いや、だって、え、まじぃ?」

 「し、志歩が?一番そういうの興味なさそうなのに」

 「別に、剣が告白してきただけだし…」

 「それで乗り切るのは無茶だろ」

 「お、ここで初代ノンデリが出現」

 「へー、ふーん、そっかあ、ふーん」

 「志歩がなぁ…」

 「も、もういいでしょ…」

 

 

 恥ずかしさに限界が来たのか志歩がこの話題を強引に切り上げようとする。みんなの会話が盛り上がる中一歌は咲希を見つめる。

 

 

 (咲希、やっぱり元気ないな…)

 

 

 何時もなら入ってる会話に入ろうとせず黙ったままだ。何とか元気づけようと一歌は話を切り出す。

 

 

 「ねぇ、明日の放課後皆で何処か遊びに行かない?」

 「ん?いいけど、何で?」

 「えーと、志歩と剣がバンドに入ってくれたし…お祝いみたい

な」

 「…門寺誘えてからの方がいいんじゃないか?」

 「え、えーと」

 「…まぁ、いいでしょ。その時はまたやれば、お祝い事なんて何回やってもいいし」

 「…まぁそうか」

 

 

 剣の援護射撃で何とか話が通る。こちらを見る表現からして気づいてやってくれたようだ。

 

 

 「志歩はこういうところが好きなのかな」

 「ま、まだその話続けてたの…!?」

 

 

ーーーーーー

 

 

 次の日の学校、始業前に新一はメッセージで呼び出され屋上に向かっていた。たどり着いたドアを開ける、そこでは志歩が朝練中のサッカー部を見ていた。

 

 

 「なんの用だ?志歩」

 「良かった、ちゃんと来てくれて」

 「…アイツらとは別の用事だと思ってな」

 「今は同じ気持ちだけどね」

 

 

 そういう志歩の隣にたつ。下では剣が上級生を抜き去りシュートを決めていた。

 

 

 「バンドよりサッカーでプロを目指した方が良さそうだなあいつは」

 「穂波から聞いたんだけど、中学のこと…詳しく教えてくれる?」

 

 

 予想はしていたのか少し息を整えると質問に応える。

 

 

 「何処まで聞いた?」

 「穂波が中学生の時、周りから仲間外れにされたってとこ」  

 「なら十分だ、そこまで長い話でもない。」

 

 

 そういうと新一は話始める。正直意外だ、もっとこじれると思っていた。もっとも志歩以外ならもう少しこじれたかもしれない。何だかんだ女性陣なら大丈夫だと思うが…男どもは怪しい。

 

 

 「あれは中学の頃、穂波が悪く言われてる所をたまたま通りがかったんだ。」

 

 

 なんてことない普通の日常、教室の前を通ったらたまたま見えたクラスメイトと話す穂波。その表情が暗かったことでつい立ち止まって盗み聞きしてしまった。

 

 

 『穂波さ〜また私の悪口言ってたでしょ?』

 『ち、ちがうよ…あれはただ一人で悩んでたから相談を聞いただけで…』

 『そんなこと言って私たちのこと内心バカにしてるんでしょ?ほんとムカつく…』

 

 

 クラスメイトの口調に熱がこもっていく。穂波は完全に怯えきってしまっている、それを見てさらに怒りをため込むとその肩が掴まれる。振り向くとそこには新一が拳を握り締めていた。

 

 

 『お前ら…!!』

 「穂波が止めなかったら、俺はあいつらをぶん殴ってたと思う」

 「新一に殴られたら大怪我だろうね。まぁ私もその場にいたらキレそうだけど」

 「でも俺のやったことは逆効果だった。…穂波を余計に苦しめることになった。」

 

 

 それからすぐ、穂波は別のクラスの男子をたぶらかしていると言った噂も流れるようになった。何とかしようと穂波と話そうにも彼女自身、自分を避け始めた。

 

 

 「ま、あの頃の俺はバカで…余裕もなかった。優二が来ないことに苛ついて、咲希の体がまた悪くなって…お前も、いやこれはいいか…」 

 「…気を使わなくていいよ。そっか、そんな時期だったんだ…」

 

 

 つくづく自分のやったことに嫌気がさす。幼なじみのために離れたと言いながら実際には傷つけてばかりだ。

 

 

 「俺に、優二を責める権利なんかないんだ」

 「え…?」 

 

 

 突然予想外の言葉が出てくる。あれほど怒っていた優二を許すような発言、不思議に思っていると新一は胸のうちを語り出す。

 

 

 「あいつは俺たちのことを忘れて…何もしなかったのかもしれない。だけど俺だって…ずっとお前らの側にいたのに何も出来なかった。むしろ、あいつが戻ってきてから咲希も帰ってきて…志歩も剣も前を向き始めた。俺なんかお前らに何一つしてやれない。」

 「新一…」

 「なぁ志歩、仲直りってどうすればいいんだろうな」 

 

 

 新一からの質問に面食らってしまう。何とか答えて上げたいが…自分もそれが上手いわけではない。

 

 

 「子供の頃は簡単にしてたような気がするんだ。どうやってたかは思い出せないけど…」

 「…確かに、特に優二と新一はよく喧嘩してた。一番仲良かった気がするのに」

 「…スタンスが違うんだよな。俺たち」

 

 

 喧嘩していた理由は覚えているのか話し出す。仲直りの方法、それは分からないが手がかりを得られそうなものは心当たりがある。

 

 

 「セカイ」

 「え?」

 「セカイに行ってみたら?何かわかるかもよ」

 「あれ、お前らの想いで俺らには関係ないんだろ」

 「でもフェニーくんはあったよ。幼なじみみんなに通じる物、他にもあるんじゃない?」

 

 

 志歩の言葉に考える。可能性は高くない、だが無くもないだろう。

 

 

 「行くだけ行ってみるか…」

 「それじゃ…まってるね。今日私たち遊びに行くから。」

 

 

ーーーーーーー

 

 

 「何処行くよ?」

 「うーん、カラオケとか。学生と言えばカラオケでしょ」

 「それじゃ、一歌と優二にボーカル務まるか見せてもらおうかな」

 「プレッシャーだ…」

 

 

 放課後になり6人で街をぶらつく。特に行き先を決めていないので自由な時間だ。

 

 

 「咲希は?何処か行きたいとこない?」

 「へ?私は…皆が行きたいところでいいよ!」

 

 

 気丈に振る舞っているがやはりいつもより元気がない。何とかこの外出で元気を取り戻してほしいが。

 

 

 「しゃあ!楽しむぜ!」

 「「おぉー!」」

 

 

 そして6人で様々な所を回る。

 

 

 「こないだ来たタピオカ屋、志歩達も仲間に入った記念に飲もーぜ」

 「うーん、何度飲んでも…そこまで美味しいわけではないよね」

 「情報を食ってる」

 

 

 「話題のスイーツ店!」

 「インスタ映えを感じる」

 「咲希、皆で写真撮ろーよ」

 「よーし、任せて!はい、チーズ!」

 「僕の頼んだの映ってないな」

 「さすがに6人は無理あるでしょ…」

 

 

 「で?結局どうやって二人は付き合ったの?」

 「ま、まだ聞くの…?」

 「剣が教えてくれよ。人前でイチャイチャしたいタイプだろお前」

 「す、すごいこと言ってるね線記…」

 「志歩ちゃんが言いたくないなら僕もいわないよ」

 「彼女ファーストだ〜!ヒューヒュー!」

 

 

 「次は何処行く〜?あ、ここ…」

 「…あ」

 

 

 やっと少し元気が出てきた咲希が足を止める。ともにその方向を見ると昔幼なじみでよく遊んだ公園があった。

 

 

 「ここ、昔皆でよく遊んだよね…」

 「…遊具多いよな、ここ」

 「ブランコを線記くんが占領して咲希ちゃん怒らせたよね」

 「あったあった」

 

 

 暗い雰囲気を避けようと思い出話に繋げる。この話題には事欠かない、それほどここには思い出がつまっている。幾らか話した所で、突然優二がジャングルジムに登り始める。

 

 

 「よっ…と、身体でかくなりすぎて逆に登りづらいな」

 「15歳が公園の遊具で遊んでいる…」

 「いいだろ、子供離れがひどすぎて誰もいないし」

 「ま、そうかもね。志歩ちゃん登れる?」

 「いや、登んないから…」

 「私登る〜!」

 

 

 志歩以外はジャングルジムに登り、志歩はその下でジャングルジムの段差に座る。少し間を置いて優二が喋り出す。

 

 

 「俺はみんなの思い出ならジャングルジムが一番かなって」

 「え…?」

 「昔皆で流れ星を見ただろ?流星群だっけか」

 「覚えてる…確か、蟹座?」

 「獅子座でしょ」

 「覚えてないじゃねぇか」

 「皆で見たことは覚えてるもん!」

 

 

 咲希の反論に頬が緩む。そう、ここで流れ星をみた。皆でバンドをやった帰り道、咲希が流れ星を見つけてここからならよく見えると皆で集まった。

 

 

 「ここで流れ星に咲希願い事してたよな、覚えてるか?」

 「…うん、覚えてるよ」

 「皆でずっと一緒にいられるようにってお願いしたんだよね…。懐かしいな」

 

 

 皆で集まって遊んで、お菓子を食べて、バンドをする。そんな日々がずっと続いて欲しい、そう願った。

 

 

 「その願い事はさ、やっぱり叶えたほうがいいと思うんだ。約束と同じで。」

 「ゆーくん…でも…」

 「咲希、ずっと暗い顔してるぜ?穂波だって…クラスで暗い顔してる時あるし、やっぱ引っかかってるんだよ」

 「ほなちゃん、優しいから…。でも、それでまたほかの子から仲間外れになったら…悲しませちゃうから。」

 

 

 穂波が大事だから離れる、その言葉に志歩の表情が暗くなる。自分も一度は考えたことだが、結果的に皆を悲しませるだけだったのに。

 

 

 「今の話、致命的に間違ってることがある」

 「へ?」

 「穂波は優しい、そういっただろ?」

 「うん」

 「それならさ、咲希が悲しむことなんか望んでないよ。」

 

 

 優二は咲希に語りかける。ずっと何もしなかった分動かなければならない。

 

 

 「俺は皆のこと忘れて、それで新一に顎ぶん殴られて完璧に思い出した。だから分かる」

 「今とんでもないこと言わなかった?」

 「新一に殴られたの!?いつ!?」

 

 

 しまった。これはみんなに言ってなかった。大きく咳払いをして仕切り直す。

 

 

 「穂波は誰よりも優しい、だからきっと咲希が悲しんでたら穂波だって悲しいよ。だから咲希は、穂波のことあきらめないでいいよ」

 「でも、私…ほなちゃんを傷つけちゃうかも知れないことなんて」

 「…大丈夫だよ、俺が証人だ。」

 「へ?」

 

 

 キョトンとした表情をした咲希に伝える。正直自分で言うことではないのだが、この状況にはぴったりだろう。

 

 

 「俺、みんなにひどいことして傷つけたよな」

 「…うん」

 「でも咲希は許してくれただろ。それで、いっぱい楽しいこと一緒にやろうって言ってくれた。穂波だってきっと一緒だ」

 「一緒?」

 「無理に誘えば傷つけてしまうかもしれない…でも穂波を大事に思うこころが伝わればきっと前みたいに、それよりもっと強い絆が生まれるはずだ」

 「…出来るかな、本当に」

 

 

 不安そうにうつむく咲希に優二はジャングルジムで立ち上がり話す。不安定な体勢に少し落ちそうになるのを剣が後ろから引っ張る。

 

 

 「それじゃ!絶対に出来る根拠を教えよう」

 「根拠?」

 「一緒に居たいって流れ星にお願いしただろ?だから大丈夫だ!」

 「…3回言ってないよ?」

 「大丈夫だよ。だってあのとき、俺等8人全員同じことお願いしてたんだ。つまり8回分、2回やってもお釣りがくる…ぜ!」

 

 

 ジャングルジムから勢いをつけて飛び降りる。正直バランスを取るのがそろそろきつかった。

 

 

 「8人ってことは新一誘う方法思いついたのか?」

 「まだ!」

 「そんなはっきり言わないで欲しい」 

 

 

 しばらく考えた後、咲希は一歌と志歩に話しかける。

 

 

 「ねぇ、いっちゃん…志歩ちゃん…私、やっぱりほなちゃんとも一緒に…」

 「うん、穂波も一緒にやろう」

 「てか、私は最初からそのつもりだったけど?」

 「えへへ…そっか!」

 

 

 咲希の顔に本当の笑顔が戻る。空気も戻った所でそろそろ場所を移ろうとジャングルジムから降りる。

 

ヒュゥゥゥゥ

 「ん?」

 「剣?どうしたの?」

 「いやなんか…」

 

 

 風を切るような音が聞こえる。耳鳴りかと一瞬思うが、音が大きくなってくる。というより近づいてきている?音の方に振り返ると、自家用車が吹っ飛んできていた。

 

 

 「!?みんな伏せて!!」

 「へ?うわぁ!?」

 

 

 飛んできた自動車に対して伏せて回避する、が。線記だけ仰向けで倒れている。

 

 

 「せんくん!?」

 「大丈夫!?当たった!?」 

 「ギ、ギリギリセーフ…」

 「一体何が…」

 

 

 車が飛んできた方向を見る。そこには異常に発達した両腕を支えにこちらに近づく全身を黒い体毛に覆われた大男がいた。

 

 

 「デカいゴリラ!」

 「ビックフット!?UMAだ!」

 「怪人だろ!」

 「ん~~最初以外正解!」

 

 

 口々に叫ぶ中答え合わせとともに一人の男が出てくる。軽薄そうな男、以前スワンプに変身しこちらを襲ってきた男だ。

 

 

 「誰…?何で怪人と一緒に」

 「下がれ一歌!こいつ怪人の仲間だ!」

 「そ♪悪〜い人よ俺ちゃん」

 

 

 そういうと男はそのいやらしい目つきを剣に向ける。向けられた側はとてもいやそうだ。

 

 

 「そっちの君とは始めましてだね〜?サムライくん?それともナイトくんがいいかな」

 「用があるならさっさと言ってくれる?」

 「そんなの一つだよ♪」

 

 

 ウィンクしながら両手でドライバーを取り出す。それをみた優二達もドライバーを取り出し、それぞれがポーズとともに叫ぶ。

 

 

 『『セカイドライバー!!』』『ビギンズ!!』『ジャスティス!!』

 『ネライドライバー!!』『ガン!!』

 『ツカイドライバー!!』『ソード!!』

 「「「「変身!!」」」」

 『CHANGE THE BEGINS!!』

 『CHANGE THE JUSTICE!!』

 『MY LOCK GUN!!』

 『START ABILITY SWORD!!』

 

 

 それぞれが変身を完了させると志歩が呟く。

 

 

 「うるさくない?」

 「ご愛嬌だから…」

 「二人とも!俺あいつ嫌いだから任せたぞ!」

 「押しつけないでよ!」

 「釣れないなぁ!」

 

 

 そういうとロックはデカいゴリラ…もといビックフットノーネイムに向かい走り出し残る二人でスワンプの相手をすることになる。

 

 

 『チューニングマグナム!!』

 「食らえ!」

 

 

 ロックが先制とばかりに銃弾を放つとビックフットの身体を滑るようにそれる。

 

 

 「いぃ!?」

 

 

 思わずその場で急停止、詳しくスキャンする。どうやら独特な体毛の生え方が攻撃を軽減するようだ。これではどれだけ精密な射撃が出来ても意味がない。

 

 

 「撃ったら死ぬ敵であってくれよ!」

 「ウホォォォォ!!!」

 

 

 理不尽な展開に思わず叫ぶと雄叫びを上げながらビックフットが走ってくる。止めようと銃弾を連射するがやはり効果はない。ビックフットがその剛腕をこちらに向けて振るってくるのを両手でガードするがガードごと吹き飛ばされる。

 

 

 「ガハッ!!マジゴリラ…」

 『キャノンモード!!』

 

 

 全身の痛みをこらえながらモードチェンジさせる。引き金を引くとバレーボールほどの大きさの弾丸が発射されビックフットの上半身を爆炎が飲み込む。

 

 

 「どうだ!これならはじけないだろ!」

 

 

 手応えを感じさけぶ、思った通り着弾と同時に爆発するこれなら逸らされない。その時、マスクが高速で飛来する物体を煙から捕らえる。

 

 

 「あぶねえ!?」

 

 

 投げつけられた物、巨大な瓦礫をかわしビックフットに向き直す。煙が晴れたその姿は所々煙が上がっている以外大したダメージはない。

 

 

 「…何百発撃てばいいかな」

 

 

 ロックが焦りを感じ始める少し前、ビギンズ達の戦闘も始まっていた。

 

 

 『ライドガン✕ソード!!』

 「それが新しい武器?いいねぇ、楽しもうかぁ!」

 「気持ちが悪い!」

 

 

 ビギンズとスワンプの剣がぶつかり合う。鍔迫り合いになるもスワンプのパワーはワスプ以上、押し切られないように全身の力を込める。その瞬間、足をスワンプに蹴り上げられ地面に倒れ込む。そこを突き刺そうと刃が迫るも横から飛んできたツルギの斬撃がそれを弾く。

 

 

 「やるねぇ、さすがナイトくん!」

 「ふん!」

 

 

 ツルギが追撃に両手で剣を振るうが片手持ちの刃で受け止める。その隙を突こうとしたビギンズの突きを足で弾くと大きく跳んでこちらと距離をとる。

 

 

 「優二くん、こいつ…!」 

 「遊んでるな…!」 

 「あり?バレた?」

 

 

 鍔迫り合いも力を込めればこちらを押し切ることも出来たのにせず今も追撃をせず距離をとった。こちらと本気でやるつもりが感じられない。

 

 

 「前に言ったでしょ?俺は遊びに来てるの。いや、言ったのは残りの2人にか」

 「だったら舐めたままやられんだ、ね!」

 

 

 そう言うとツルギは剣を思いっきり投げつける。そしてビギンズとともにスワンプに向けて走り出す。

 

 

 「それの種は知ってるんだよね!」

 

 

 スワンプは飛んできた剣を上にはじき飛ばす。するとその間に二人は距離を詰め近接戦を挑む。先陣をきったツルギが殴りかかるもすれ違うようにきり裂かれる。続いてビギンズが剣を振るうも腕を掴んで止められ腹部を斬られる。そのタイミングでツルギが上に手を伸ばす。

 

 

 「まぁそろそろだよねぇ!」

 

 

 振ってきた剣をスワンプが裏拳ではじき飛ばす。だがはじき飛ばされた剣が光となり消えツルギの右手に収まりそのままスワンプをきり裂く、その後再び消え今度は左手に収まりダメージに怯んだ隙にビギンズとのダブル攻撃で吹き飛ばす。

 

 

 「ははっ!知っていても慣れないなあ!」

 「…よく言う」

 

 

 自分に攻撃されたにも関わらず高笑いをするスワンプに気味悪さを覚える。その手に持つ武器から上がる煙、攻撃の間に差し込み盾としていた。既にこちらに対応し始めている。さっさと決めないと手に負えなくなる、そう考えていると二人の背中に何かがぶつかる。

 

 

 「ん?」

 「「え?」」

 

 

 振り向くとロックがいる。ビックフットから距離を維持して戦う内にこんなところにまで来てしまったらしい。するとその先でビックフットが両手を掲げている。

 

 

 「ウッホォォォォォ!!!」

 

 

 掲げた両手をたたきつける。すると地面がひび割れビギンズ達の立っている場所が割れ中から炎が吹き出し三人を飲み込む。

 

 

 「え?」

 

 

 思わず素っ頓狂なこえをあげる。突然幼なじみが炎にのみ込まれ跡形もなく消えてしまった。それを見たスワンプは喜びの声をあげる。

 

 

 「おっほ〜〜!作戦成功だねぇ〜。いやぁ上手く誘導できたよ〜!ビックフットくんも偉い!良くできました!」

 「さ、作戦って…」

 

 

 炎にのまれた幼なじみを目の当たりにショックを受けた一歌達が思わず質問する。するとスワンプは自慢気に語り出す。

 

 

 「見ての通り、相手を一箇所に固めて一網打尽にする作戦。いやぁ、正直飽きててさぁ。気持ちよさそうな作戦一個試して終わりにしようと思ったら…見事成功ってわけ!」

 「そ、そんな…」

 「さて、じゃあ一回帰ろっかビックフットくん」

 

 

 ライダーをまとめて消して満足したのか撤退の準備を始めている。このままビックフットを暴れさせるつもりもないようだ。

 

 

 「な、何でこのまま…なにが目的なの?」

 「う〜ん?俺もボスが何企んでるかは知らないんだよね〜、自分の目的は別にあるけどこれは関係ないし。まぁ君たちを生かす理由があるとしたら…」

 

 

 スマホを取り出しUntitledを再生する準備を完了させ一歌達の方を向く。

 

 

 「このまま生かせばあの赤い彼にこのこと知らせてくれるでしょ?そしたら彼の怒ってる顔が見られて楽しそうだから、かな」

 「し、新一を怒らせるため?どうしてそんな」

 「く、くくく…」

 

 

 一歌の発言に男は下を向き笑い始める。そして顔を上げるとマスク越しでもこちらを馬鹿にしていると分かる態度で語り始める。

 

 

 「だってさ〜!!人が怒ってるところみるのって面白いじゃん!!しばらく会わないつもりだけどその分めちゃくちゃ怒ってるだろうし!その間ずっと俺を探すのかな〜!!想像するだけで馬鹿みたいだよね!!」

 

  

 あまりにも悪意に満ちた発言に言葉が出ない。目の前の人物は本当に同じ人間なのかと疑いたくなる。これまでの人生でみたどんな物よりも醜い。

 

 

 「それじゃ俺は帰るから、ちゃんとボッチのライダーくんに伝えといてね。バイバ〜イ♪」

 

 

 そういうと光に包まれビックフットとともに消えていく。突然すぎる展開についていけない中震える足で炎の出た穴に向かっていく。

 

 

 「みんな…」

 「そんな…こんなのってないよ…」

 

おーい、みんな~

 

 

 三人がショックを受けていると何処からか声が聞こえてくる。聞き慣れた優二達の声だ。

 

 

 「優二!?何処にいるの!?」

 

               こっちこっち〜

         右行ったり左行ったり〜

                  上向けば一発〜

 

 

 「上…?」

 

 

 言葉につられて上を向くそこには上半身が白いフワフワと下物体に変わったビギンズにロックとツルギが捕まりゆっくり降りてくる。

 

 

 「あ、危なかった…」

 

 

 地面に穴があき炎が吹き出してくる。どうにかしなくてはと一抹の可能性を賭けガヴスフィアを起動させる。

 

 

 『ガヴ!!』

 『CHANGE THE GAVV!!』

 『グルキャン!ペロペロ〜!』

 

 

 ビギンズの身体が硬い飴の装甲に包まれ二人の盾になるも勢いで空中に吹き飛ばされる。地面の街がジオラマサイズまで小さくなるレベルでようやく勢いが収まるが今度は落下が始まる。対処するため再びスフィアを押す。

 

 

 『ふわマロ!フワフワ〜!』

 『『…人がゴミのようだ』』

 『誰がラピュタだ』

 

 

 一つのスフィアで複数のフォームに変身出来ることは調べていたが間に合うかは賭けだった。見事成功したが二度と御免被りたい。

 

 

 「良かった…ゆーくん達が死んじゃったかと思った」

 「全く…心配させないでよね」

 「僕が志歩ちゃんを置いて死ぬことはないよ」

 「しかし辺りが無茶苦茶だな」

 

 すっかり遊ぶ空気ではなくなってしまった。少し話し合い解散することにする。

 

 

 「それじゃあ俺家こっちだから」

 「優二だけ違う方向だったなそういや」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 「はぁ…」

 

 

 町中で新一がため息を吐きながら歩いている。志歩との会話を経てセカイに行こうと思ったのだが、どうにも決心がつかず放課後になってしまった。

 

 

 (これじゃだめだ…どうにかしないと)

 「へ?新一くん?」

 

 

 何とかセカイに行く踏ん切りをつけなければ、そんな風に考えていると横から穂波の声が聞こえてくる。声の方を向くとケーキ屋から出てくる穂波がいた。

 

 

 「…どうしたの?とっても辛そうだけど…」

 「いや、別に…」

 

 

 心配してくれているがとても話せない。そもそも穂波も無関係でもないしこのことで悩んでいるのは穂波も同じはずだ。。そんなとき、穂波のもつ紙袋に目がいく。

 

 

 「それ…アップルパイか?」

 「へ…あっ!!」

 

 

 見られていたのに気づいた袋を後ろ手に隠す。別段恥ずかしがることでもないが、量が量だろう。そもそも一人で食べるものではないがそれが4つもある。

 

 

 「相変わらずだな」

 「ひ、一人で食べるわけじゃないよ!家族で…弟のためだから!」

 「今さら取り繕わなくてもいい、穂波がアップルパイ好きなの知ってるし」

 

 

 そんな会話をしているとふと思いつく。正直少しかっこ悪いが…

これしかセカイに行く手段が思いつかない。

 

 

 「穂波、このあと家に帰るだけか?」

 「そうだけど…どうかしたの?」

 

 

 首を傾げる穂波に対して話を続ける。

 

 

 「セカイに行ってみようと思うんだが…ついてきてくれないか?一人で行く踏ん切りがつかなくてな…」

 「え?でも…」

 「一歌達のことなら心配いらない。今日は遊びにいくって言ってたからな」

 

 

 その言葉を受けてもなお穂波は悩むが、しばらくして首を縦にふる。それを受けて新一はUntitledを再生させセカイに入る、しかしそこで予想外の場所に出る。

 

 

 「わぁ…!これって…」

 「すごい星空だな」

 

 

 屋上に出た二人は思わず空を見上げる。そこには満天の星空が広がっていた。暗い空をめいっぱいに照らす星々、これを外で見るなら場所は相当限られてくるだろう。

 

 

 「窓越しに空が夜なのは分かってたが…ここまでとはな」

 「すっごい…綺麗だね!」

 

 

 最近見ていなかった笑顔を穂波が見せている。

 

 

 「穂波は昔から星が好きだったな」

 「うん…星図も持ってて…皆で見たよね」

 「流星群の名前を咲希が覚えないことに怒ってたな」

 「そ、そんなに怒ってないよ…」

 

 

 空をみているだけなのにいくつもの思い出が蘇ってくる。こんなに二人とも大事に思っているはずなのに、どうして自分は素直になれないのか卑屈になってくる。

 

 

 「俺は…やっぱりあの頃が一番良かったよ。昔のこと懐かしむのは年寄りくさいけど…それでも良かった」

 「…新一くん」

 「仲直りの一つもしようと出来ないやつのセリフじゃないかもだけどな…」

 「新一くん、仲直りしたいの?」

 

 

 穂波の言葉に自分がつい本音を喋ったことに気づく。一度志歩に話したせいか口が軽くなってしまう。こうなってしまうと隠せない、いっそ相談してしまおうと思いそのまま話を続ける。

 

 

 「やり方が思い出せないんだ、よく喧嘩した気がするのに」

 「うーん確かに…新一くんと優二くんは特に喧嘩してた気がするけど、いつの間にか仲直りしてた気がする」

 「…穂波も覚えてないのか」

 「くだらないこと話してんな」

 「!」

 

 

 突然の声に驚き振り向くとハカイが貯水タンクの横に寝転んでいる。どうやら自分たちが来る前より早くからそこにいたようだ。

 

 

 「…こんな所で何してるんだ?」

 「下にいると初音の先輩ヅラが鬱陶しいんでな、ここで星をみていた。そんなことより、だ」

 

 

 ハカイは立ち上がり貯水タンクから降りると校舎に戻りながら話す。

 

 

 「どうやら自分を相当できた子供だと思い上がってるらしいな、お前らは」

 「…どういう意味だ」

 「さっきの仲直りの方法が思い出せない〜とかいう話だ」

 

 

 どうにもこちらを煽るような言い方をしてくる。一歌たちのセカイの影響を受けてるとは思えない性格の悪さだ。

 

 

 「きちんとごめんなさいして仲直り、なんて本当にちゃんとやってたと思ってるんだろ?そんなやつよっぽどの良い子ちゃんだけだぞ、大抵はなあなあで済ませてるんだよガキなんて」

 「じゃあどうしろと?」

 

 

 新一が語気を強くしながら返す。どうにもこちらも売り言葉に買い言葉の節がある。それに対しハカイは笑みを浮かべながらその場を後にする

 

 

 「何度も言わせるな、ガキはガキらしくしてろってことだ。ガキ2人」

 

 

 元は知らないが今のハカイは同年代である。そう思っているが口に出すことはなく穂波と目を合わせる。

 

 

 「今のまさか…励ましてるつもりなのかあいつ?」

 「す、素直じゃないね…」

 「志歩のが可愛くみえるレベルだな」

 

 

 そういうと少し星空を眺めて考える。ガキらしく…言い方はムカつくが要は難しく考えすぎということだろう。すると新一は穂波のアップルパイを指さす。

 

 

 「それ、一つもらっていいか?」

 「へ?いいけど…」

 

 

 そういうと穂波はアップルパイの包をあける。そこから切り分けられた一つを取り、口に含む。

 

 

 「あ、一つってそういう…」

 「丸々一個なわけないだろ。んぐっ!、甘い…」

 「新一くん、甘いの苦手だもんね」

 「まあな…」

 

 

 そういうと残りを一息に口に含み、何とか飲み込む。

 

 

 「ハァっハァっ…あいつは、あぁ言ってたが…穂波は俺ほどガキじゃないと思うぞ」

 「へ?」

 「だから、話し合えばちゃんとわかり合えるさ」

 「でも、私は…」

 「そこから先は、俺じゃなくてアイツらと話せ。残りのアップルパイでも食いながらな」

 

 

 そういうと見つめる先に一歌がいる。

 

 

 「一歌ちゃん!?どうして…遊びに行ってるんじゃ…」

 「今帰るところに新一からメッセージが来てて…」

 「Untitled再生するときにこっそりとな、穂波には悪いが。」

 

 

 そういうと新一はスマホを取り出しUntitledを再生しようとする。

 

 

 「し、新一くんは居てくれないの?」

 「そうだよ、私新一とも話したいことが…」

 「悪いな、俺には俺で話さないといけないやつがいる。穂波」

 「な、なに?」

 「今まで何も出来なかったが…一応俺のせいいっぱいだ。これが最後だから…あとは任せる」

 

 

 そういうと新一はセカイから出ていく。光の粒子が消えていくのまで見届け、穂波は一歌の方をみる。

 

 

 「一歌ちゃん…」

 「ここ、何だか懐かしいね。昔皆で見た星空みたい」

 「…そうだね、さっきも2人で同じこと話してた」

 「…そっか、よかった」

 「良かった?」

 「2人があの時のことちゃんと覚えて…大事にしてくれてて」

 「…そんなの、当たり前だよ…」

 

 

 今は離れているが、あの頃が大事な思い出なことは変わりない。それを忘れることがどうして出来るだろう。

 

 

 「穂波、私やっぱり4人でバンドがしたい」

 「一歌ちゃん…でも私」

 「ごめんね、穂波。私勝手だよね…穂波が一番辛い時側にいなかったのに一緒にいたいなんて。私自身逃げてたんだと思う、本当に皆バラバラになるのが怖くて…遠ざけちゃってたんだ」

 

 

 一歌が胸のうちを話す。正直、自分の弱いとこをさらすのは怖い。でも乗り越えたい、志歩や剣もさらけ出した。咲希もずっと病気と闘い続けた、みんなに胸を張れる幼なじみでいるためには乗り越えなければならないことだ。

 

 

 「私は、もう一度皆で一緒にいたい。みんなで遊んで…お菓子食べて…バンドやりたい!…穂波はやりたくない?私たちのこと嫌いになった?」

 「…なるわけないよ、皆のこと嫌いになんて…!」

 

 

 一歌の言葉に涙がこぼれてくる。どうして自分にここまで良くしてくれるんだろう、自分は何度も一歌たちを拒絶したのに。

 

 

 『ごめんね、ほなちゃん』

 『私たちもだけど…クラスの友達も信用してないってことだからね』

 「私、私は…」

 

 

 胸が締め付けられる、自分が言おうとしてることが虫のいいことだと分かっている。それでもこれが自分の本当の想いなんだとしたら、一歌たちにどうしても伝えたい。さっき話して気づいたのだ、自分は。

 

 

 『あの頃が一番良かったよ』

 「私も!皆とまた一緒にいたい!ずっと自分のことばっかり考えて…皆にひどいことして傷つけたのにこんなこといっちゃだめだけど…それでも一緒に…」

 「穂波…!いいんだよ…!私たち幼なじみなんだから…どれだけ迷惑かけたっていい…一緒にいようよ、皆で一緒にいよう」

 

 

 その言葉に思わず抱きつく。涙が止まらない穂波を一歌は優しく抱きしめ頭を撫でるら。その瞬間、ドアが勢いよく開き咲希と志歩が入ってくる。

 

 

 「「穂波/ほなちゃん!!」」

 「私もほなちゃんとやっぱり一緒がいい!誘わないなんてヤダ〜!」

 「…私も、やっぱり皆一緒がいい。それと…こないだはあんな言い方してごめん。きつい言い方しか出来ないの直さないとだよね…」

 「そんなことないよ…!皆優しすぎるよ…!うぅっ…」

 「えへへ、皆目真っ赤だね…」

 

 

 ようやく幼なじみがまとまった。その時異変に気づく。

 

 

 「あれ、2人ってどうやってここに私たちがいるの気づいたの?」

 「新一のメッセージ、2人が話してるから行ってくれってさっき」

 「ここから出てから送ってくれたのかな…あとで新一くんにもちゃんとお礼を言わなきゃ」

 「…じゃあ、剣と線記は?」

 

 

 あの二人がいないのなぜなのか。バンドのメンバーだけ呼んだ?あり得る可能性だが…嫌な予感がして叫ぶ。

 

 

 「セカイ!」

 「ちょっと待ってくれ、涙が…誰かティッシュ持ってないか?」

 「相場はハンカチでしょ。しょうがないなぁ、はいハンカチ。先輩に感謝してね」

 「え、いいのか?悪いな…ズピーーー!!!」

 「鼻噛むならそう言ってよー!!」

 「お前の察する力に問題があるんじゃないか?センパイ?」

 「もー!」

 

 

 コントを続ける三人に変わってルカが応える。

 

 

 「怪人が出たみたいなの!優二くんが戦ってるところに二人が向かってる!」

 「やっぱり…行こう!このこと直に伝えなきゃ!」

 

 

ーーーーーーー

 

 

 「うぉぉぉぉぉ!!!」

 『パンチングミ!ジューシー!』

 「ウホォォォォ!」

 

 

 ビギンズのグミの腕とビックフットの右腕がぶつかりあう。ビギンズの腕だけが弾き飛ばされグミの腕が粒となり飛び散り甘い香りが広がる。

 

 

 「クソっ!ゴリラが強すぎる!」

 『FINISH THE GAVV!!』

 『キッキングミ!ジューシー!』

 

 

 ベルトを操作し飛び上がり、今度は足にグミが集まり巨大な脚となる。飛び蹴りの体勢をとりビックフットに必殺キックを食らわせようとする。

 

 

 「ウッホォォォォ!!!」

 

 

 ビックフットが両手を突きだし迎撃する。2人の攻撃がぶつかり合い衝撃が辺りを傷つけていく、しばらくの拮抗のあとグミがはじけ飛びビックフットの両腕がビギンズにめり込み変身を解除されながら吹っ飛ぶ。

 

 

 「ぐあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 地面をバウンドし、ビルの壁にぶつかり止まる。ビックフットがトドメを刺すために近づいてくるのが見えるが動けない。セカイに逃げるためのスマホを取り出すことすら出来ず、眺めることしか出来ない中何処からかエンジン音が聞こえる。

 

 

 「これは…?」

 

 

 バイクを持つライダーは自分しかいない。何より、このエンジン音は知っている。バイクに詳しいわけではないがこれだけは分かる。何度もテレビの中から聞こえた音。

 

 

 「サイクロン…!」

 「うぉぉ!」

 

 

 突っ込んできたサイクロン号がビックフットを吹き飛ばす。予想外のモンスターマシンの一撃になす術なくふっ飛ばされたのを横目に乗っていた人物ーー新一がヘルメットを外すとそのまま近づいてくる。

 

 

 「大丈夫か?優二」

 

 

 そういいながら片手をこちらに差し出し語りかけてくる。その手をみて、少し悩むがつかむと立ち上がる。

 

 

 「ありがとう新i…門寺くん」

 「…」

 

 

 名前を呼ぼうとするが以前怒られたことを思い出し言い直す。それを聞いた新一は少し悩むと一つのセリフを口にする。

 

 

 「謝罪じゃない、そこは感謝だ」

 「え?あ、ありがとう門寺くん」

 

 

 突然の言葉に戸惑いながら訂正するも、新一はさらにセリフを続ける。

 

 

 「…苗字じゃない、ここは名前だ」

 「…!ありがとう!新一!」

 

 

 新一のセリフに気づき返事をする。彼が何をやろうとしているかの意図に気づきこちらも返す。

 

 

 「あんた、ホントはいい人なんだな」

 「!」

 

 

 優二のセリフに気づき戸惑う、こちらから返されると思わなかったの焦るも笑みを浮かべながら返す。

 

 

 「知らなかったぜ、俺ってマジでいいやつだったんだな」

 

 

 2人は見つめ合い笑みをこぼす。懐かしい、かつてはこうやってよくごっこ遊びをしていた。始めての趣味の合う友人、タイプが違うためによく喧嘩したがそれでも根っこは同じだからこそ最後には仲直りした。思えばあの頃もお互いには素直に謝れなかったかが…週を跨げば話さないといけないことがあった。互いの大好きなもののことを。それを話せば不思議と仲直りだ。今、目の前の怪人を打ち倒す戦士のことを。

 

 

 「行くぞ新一、俺とお前でダブルライダーだ!」

 「お見せしよう…仮面ライダー!」

 『セカイドライバー!!』『ハカイドライバー!!』

 『ビギンズ!!』『デュアル!!』

 

 

 優二は右斜め上に、新一は天に上を突き上げる、両手を広げながら右手だけを取れる横で両手を大きく回転させ顔の横で握りしめる。互いに準備は整ったあとは叫ぶだけだ。

 

 

 「ライダー!」「変身!」

 

 

 優二は球状エネルギーに包まれながら、新一は砕かれたエネルギーに突っ込むように飛び上がる。近くのビルの屋上に変身を終えた二人が着地する。

 

 

 「仮面ライダービギンズ!!」

 「仮面ライダーデュアル!!」

 「覚悟しろ!ここからはダブルライダーが相手だ!」

 

 

 2人はすぐにビルから飛び降りビックフットに向かっていく。振り下ろされた剛腕をデュアルが受け止め、ビギンズが隙を突くように拳を叩き込む。振り払ったビックフットの反撃をかわし背後に強烈なダブルチョップを食らわせるとビックフットを掴んで2人で飛び上がり、地面に向かって投げ飛ばす。

 

 

 

 「ウホォォォォ!!!!」

 

 

 いいようにされたビックフットが怒りのままに両腕を地面に叩きつける。地面がひび割れ炎が噴き出すのをデュアルは両手で押さえる。

 

 

 「でぇぇいやぁぁ!!!」

 

 

 掴んだ炎をハカイドライバーの能力で操作しビックフットに投げ飛ばす。炎に包まれたビックフットは悲鳴を上げながら地面を転がる。

 

 

 「お前化け物かよ…」

 「違う、仮面ライダーだ」

 「ウホォォォォ!!」

 

 

 ビックフットが叫ぶと辺りの地面から赤黒い泥が現れ戦闘員が現れる。

 

 

 「今までやってこなかったぞこんなん!」

 「雑魚は雑魚だ!」

 

 

 そういいながら2人はそれぞれ戦闘員に向かっていく。特殊な出方をしたように思えたが戦闘力は据え置き、問題なく倒せる。だが。

 

 

 「ウッホ、ウッホ」

 「あ!あいつ逃げてる!」

 「それが狙いか!」

 

 

 戦闘員をおとりに逃げ出すビックフットを追いかけたいがコイツらを見逃すわけには行かない。こんなのでも一般人には脅威だ。

 

 

 『ラビットモード!!』

 「ウホッ!?」

 

 

 逃げ出したビックフットの顔に光弾が直撃する。弱い部位への攻撃に思わず地面に転がる。

 

 

 「や〜っと銃が効いたなゴリラ野郎!」

 「だからビックフットだって」

 

 

 光弾の来た方向からロックとツルギが走ってくる。ここにきて頼もしい援軍が来てくれた。

 

 

 「助っ人はいるか二人とも!」

 「雑魚は引き受けるよ、ビックフットはお願い。」

 

 

 役割分担を申し出るツルギの提案を受け入れる。すぐ走るデュアルに対しビギンズは立ち止まり2人に向き直す。

 

 

 「二人とも!これ!無くすなよ!」

 

 

 2人にスフィアを投げ渡すとビギンズは走り出す。それを見届けると2人は渡されたスフィアを見つめる。

 

 

 「どう思う?これ」

 「使おうぜ!面白そうじゃん!」

 「気楽だね…」

 『ギーツ!!』

 『ガヴ!!』

 

 

 起動したスフィアをベルトにはめ込み引き金を引き刀を開く。

 

 

 『MY LOCK GEATS!!』

 『MAGNUM』 『READY FIGHT!』

 

 

 ロックの上半身を以前ビギンズが使用したのと同じ装備が纏われる。しかし、ツルギの方は違う。

 

 

 『START ABILITY GAVV!!』

 『ザクザクチップス!ザックザク〜!』

 

 

 ツルギのほとんど装甲のない身体にポテトチップスをもした胸部装甲と肩部装甲が纏われる。全て纏われたあと最後にスライスされたジャガイモが目の位置にくっつく。ツルギの適性に合わせてフォームが選択された『ガヴセレクト ザクザクチップス』にフォームチェンジする。

 

 

 「なんか優二くんと違うな」

 「いいじゃん、うまそう」

 「噛じんないでよ?」

 

 

 軽口を叩いたあと2人はそれぞれ戦闘員に向かって走り出す。

 

 

 『マグナムシューター40X!!』

 「ダダダダダダ!!」

 

 

 両手に構えた銃と装甲に備わった銃口、4つの銃口から弾丸が連射される。戦闘員が次々と身体に穴を空け消滅していく。意気揚々と攻めているとその背後に脅威が迫る。

 

 

 「っ危なっ!」

 『REVOLVE ON』

 

 

 後ろから近寄ってきていた怪人からの攻撃を回避しようとするとベルトから謎の音声がなる。するとロックの身体が180°回転し上半身と下半身が入れ替わる

 

 

 『…!?』

 「なにこれ…きしょ!」

 

 

 戦闘員もロック自身も困惑しながらも足に移動した銃口を向け射撃する。そこからは両手両足から射撃を繰り出しながら戦闘員を殲滅していく。

 

 

 「案外いい感じだ!」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 「さて、行こうか!ハァ!」

 

 

 一方ツルギも同じような困惑を体験するはめになっていた。手に持ったザクザクチップスラッシャーを敵に向かって振るう、そして刀身が粉々になる。

 

 

 「?」

 『?』

 

 

 理解が及ばず二人とも首を傾げる。しばらく固まるがいち早く正気に戻ったツルギがグリップを持った腕で殴る。

 

 

 『ぐぇ!』

 「なにこれ、使い物にならないんだけど」

 

 

 ベルトを開閉すると刀身は戻るが威力はお粗末なままだ。使い方が間違っているのか?剣のほかの使い方とは?首をかしげていると後ろから戦闘員が襲いかかる。

 

 

 「今ちょっと考えてるから!」

 『ぎゃあ!?』

 「え?」

 

 

 何も考えずに振るうと戦闘員が真っ二つになる。まるで違う反応に戦闘員相手に何度も振るう、割れる、切れる、直す、割れる、割れる、直す、直す、切れる、切れる、切れる。

 

 

 「コツがいるなぁこれ」

 

 

 通常でも剣は2本出せるのだからメリットが迷子だ。貸してくれた優二には悪いが戻そうかと考えていると後ろから来た戦闘員二人をきり裂く。

 

 

 「まぁ慣れてきたし、連続記録にでも挑戦する?」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 「ハァ、ハァ、思ったより遠い…」

 『剣たちは変身して向かった距離だからな』

 「納得…」

 

 

 セカイから出て優二たちを追いかけ始めたのはいいが一向に近づいている気がしない。最初に目的地を聞いてから向かえば良かったと後悔する。

 

 

 「ねぇ、あれ…」

 「ふぇ?どうしたの?」

 

 

 志歩が信じられないものを見るような声で前を指す。その声に顔をあげて前を見ると…

 

 

 「ウホッ!ウホッ!」

 「「「うわぁぁぁぁぁぁ!!?」」」

 

 

 突然こちらに向かって走ってくるビックフット、下手なB級映画のような光景が迫ってくる。その剛腕がこちらに向かって振るわれようとしたとき、その肩に手が置かれる。振り返るとそこには拳を握りしめたデュアルがいる。

 

 

 「ライダーパンチ!」

 「ウホォォォォ!?」

 「あ!みんな!なんでここに!?」

 

 

 デュアルがビックフットを殴り飛ばすとビギンズが追いかけてくる。

 

 

 「二人とも!一緒に居るってことは…仲直り出来たんだ」

 「おかげさまでな」

 「…そっちも上手くいったらしいな。詳しく聞きたいが…話は後にしたほうが良さそうだ」

 

 

 視線の先でビックフットが立ち上がっている。どうやら逃げるのは無理と判断し向かってくるようだ。それをみたデュアルは2つのスフィアを取り出す。

 

 

 「優二、これを。お前探してたら拾った、どうもセカイ以外にも転がってるみたいだ」

 「まじか!それじゃ使って一気に決めるか!」

 

 

 そういうと2人はスフィアを起動させベルトに装填する。

 

 

 『1号!!』

 『2号!!』

 『CHANGE THE ICHIGO!!』

 『LETS ACTIVE NIGO!!』

 

 

 二人が再びエネルギーにより姿をかえる。ビギンズはライダーセレクトに酷似しているが全身深い青色になりデュアルはライダーセレクトのマスクが黒くなり手足に赤い手袋とブーツが装着されその上からパワードアンクルが巻かれている。

 『1号セレクト』と2二号セレクト』に変わった2人はビックフットに向かって走り出す。

 

 

 「ウホォォォォ!!」

 

 

 ビックフットは両手を掲げ地面に叩きつけることで炎攻撃を繰り出そうとする、それをみたデュアルは思いっきりビックフットに向かって跳び両腕を掴む。

 

 

 「いい加減に飽きたぞそれには…」

 

 

 元々のパワーが力の二号によりさらに強化された結果ビックフットは抜け出せない。そこから手を下に引っ張りながら逆に引き上げる。

 

 

 「ライダー投げ!」

 「ウホォォォォ!?」

 

 

 ビックフットの身体が空中に投げ飛ばされる。地面がどんどん小さくなるのを感じていると何かが視線の端を横切る。

 

 

 「ライダーチョォップ!」

 

 

 ビックフットを跳び越えたビギンズが脳天にチョップを当てビックフットを地面に叩きつける。フラフラとするビックフットを前に2人はベルトを操作し必殺技を発動させる。

 

 

 『FINISH THE ICHIGO!!』

 『FULL  ACTIVE NIGO!!』

 「とぉっ!」

 

 

 2人のライダーが同時に跳び蹴りの体勢をとり叫ぶ。由緒正しき伝統の技。

 

 

 「「ライダー!ダブルキィック!」」

 

 

 2人同時のライダーキックが炸裂しビックフットが爆散する。同じ頃、ツルギとロックの戦いも終わろとしていた。

 

 

 『ENEMY LOCK GUN!!』

 『MASTER ABILITY SWORD!!』

 「いつものが一番!」

 「だね!」

 

 

 通常形態に戻った2人の武器にそれぞれエネルギーが充填され同時に解放される。

 

 

 「ライダーブラスト!」

 「ライダースライス!」

 

 

 同時に放たれたエネルギー弾と斬撃波にのみ込まれ戦闘員が全て吹き飛ぶ。何とか終わったことに安堵するとスマホからセカイが出てくる。

 

 

 『二人とも!あっちも終わったからセカイに集合だってよ!』

 「お、サンキュー!」

 「それじゃ、向かおうか」 

 

 

 変身を解除しUntitledを再生する。セカイに入ると教室を回り優二たちを発見する。

 

 

 「二人とも!大丈夫だった」

 「相手したの雑魚だったし大丈夫だよ。優二くん、これ返すね」

 「お、どうだった?」

 「二度と使わない」

 「新一〜!穂波〜!バンドやる気になったのかー!?」

 「…まあな」

 「心配かけちゃってごめんね?」

 

 

 会話をする幼なじみたちをミクたちが見つめる。

 

 

 「良かった…皆がまた一緒にバンド出来て」

 「そうだな…てことは、言ってたあれが出来るのか」

 「あれ?」

 

 

 ミクたちの言葉に首をかしげているとスマホが光り始める。

 

 

 「え!?なに!?」

 「Untitledが…」

 

 

 Untitledのタイトルが変わっていく。変わったそのタイトルを皆で確認する。

 

 

 「『Needle』?」

 「なんでタイトルが…?」

 「…そういや最初に言ってたな」

 「本当の想いを見つけたらUntitledが変わるってやつか」

 「うん、皆が本当の想いを見つけたからUntitledが曲になったんだ」

 「…改めて聞いても意味わからんな」

 「ねぇねぇ!再生してみようよ!」

 「確かに、聞いてみたいよね」

 「それなら…」

 

 

 ミクが突然ギターを取り出す。

 

 

 「一回聞いてみて、演奏もしてみない?」

 「一回で覚えるの?さすがに無茶じゃない?」

 「大丈夫、皆の想いで出来た曲だもん。きっとできるよ」

 「根拠にするには弱い気がするが」

 「私もやってみたいな」

 「一歌まで…?もう、しょうがないな」

 

 

 ストイックな志歩からすればきちんと練習したいようだが熱意に押されたのか了承する。曲を流し、頭に叩き込む。一度聞いただけなのに不思議と頭に入ってきて演奏の仕方も浮かんでくるようだ。曲を聴き終えると位置につき演奏を始める。その演奏を聞きながら新一は優二と話し出す。

 

 

 「俺たちの曲もできりゃよかったんだがな」

 「作れば良いんじゃないか、自分たちで」

 「それもそうだな」

 

 

 これからいくらでも時間はある。今までを取り返して、これからを彩れる時間がある。そう考えていると線記たちが呼んでいる。

 

 

 「二人とも、ちょっとちょっと」

 「僕らも今後どういう感じの活動するとか決めようよ」

 「ふ、どうする?」

 「いいじゃん、話そうぜ」

 

 

 4人集まってこれからを話す。一歌たちの演奏を始まりの合図にして。初めてなのに何処か懐かしい音色を聞きながら新一は呟く。

 

 

 「これで心スッキリだ」

 




設定
 仮面ライダービギンズ ガヴセレクト グルキャン
  仮面ライダーガヴグルキャンフォームの力を宿した姿。ビックフットノーネイムの爆炎から身を守るために使用した。

 仮面ライダービギンズ ガヴセレクト ふわマロ
  仮面ライダーガヴふわマロフォームの力を宿した姿。高所からの落下速度を和らげるために使用した。

 仮面ライダービギンズ 1号セレクト
  仮面ライダー1号の力を宿した姿。技の1号の多彩な必殺技を使って戦う。

 仮面ライダーデュアル 2号セレクト
  仮面ライダー2号の力を宿した姿。力の2号の筋力を得ることが出来る。

 仮面ライダーロック ギーツセレクト
  仮面ライダーギーツマグナムフォームの力を宿した姿。ビギンズ使用時と得られる能力は変わらないがロック自身の能力と相性がいいためより高い戦闘力を発揮する。

 仮面ライダーツルギ ガヴセレクト ザクザクチップス
  仮面ライダーガヴザクザクチップスフォームの力を宿した姿。武器としてザクザクチップスラッシャーを召喚可能だが脆いため難易度は高い。実は必殺技で破片を操作可能だがツルギは知らないため使わなかった。

 
 ビックフットノーネイム
  ビックフット型の怪人。剛腕を使ったパワータイプの戦闘と地面から炎を吹き出させる攻撃を得意とする。最近生まれた怪人のなかでは戦闘力にスペックが割かれ過ぎており知能が低い。スワンプに使われたあとは放置され目的もなく街で暴れた。


次回予告

 『第七話 RE'BEGINS始動編エピローグ&おまけ短編集』
 
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