無限書庫、ソコは時空管理局が管理するアナログデータベース。今日も司書業務に勤しむ1人の少年が、ソコには居た。
「えっと、あと必要な資料は──」
「ゆーのー!遊びに来たぞ〜!」
「おわっ!?って、レヴィ!?」
「へへへ、遊びに来ちゃった」
僕の背中に飛び付いてきたのは青のコーディネートが似合っている少女──レヴィだった。
「わざわざこんな所に、どうしたのレヴィ?」
「そんなの遊びに誘いに来たに決まってんじゃん!」
そういうとレヴィはポッケから何かのチケットを2枚、見せてきた。
「じゃじゃーん!」
「……これは?」
「えっとね、ゆうえんちっていう場所のチケット。さっきエイミィから貰ったんだ!〝働き詰めのユーノくんを連れ出してあげて〟ってね、明日から休みって聞いてるけど、どうかな」
そういうレヴィは目をキラキラさせていて、行きたいという想いがヒシヒシと伝わってくる。
「全く、そういう事は事前に相談して欲しいんだけどなぁ」
「えっ?!あっえっとその……ごめん」
「……ふふっごめんごめん、いじわるな言い方だったね」
「へ?……あっもしかしてボクのことからかったなユーノ!」
「だって急に言ってくるんだもん、今回は良かったけど別の時にまた遊べるか分からないじゃん」
「ぶぅ……」
「僕だってレヴィと遊びに行きたいからさ、今度からはちゃんと連絡してね」
「はーい」
♢
「と〜ちゃく!ゆうえんち!」
「いやぁ、チケット貰った時に気づいてたけどまさか地球の遊園地だったとはね」
地球の遊園地、僕はもちろんレヴィは遊園地自体が新鮮そのものだからか目を輝かせている。
「おっ!アレ何!」
「お土産屋さんだね、あとマスコットキャラモチーフの帽子とかカチューシャとかも売ってるみたいだね」
「皆が着けてる奴ボクも着けたい!」
「じゃ一緒に選ぼっか」
商品棚には動物モチーフのキャラクターが多く、帽子やカチューシャ両方にケモ耳が付いているのが多い。
「へぇ、スカーフなんてのもあるんだ」
イタチのキャラクターが付けている青いスカーフ、傷を持っているキャラクターでそのギザギザの傷もスカーフに刺繍されていた。
「僕はコレにしようかな」
「ねぇねぇユーノ、どうかなコレ!」
レヴィは猫耳が付いている緑の帽子を被っていた、帽子というのは普段のレヴィの服装とも合ってて、且つ猫耳が可愛らしくてドキっとした。
「似合ってるよレヴィ、すごく可愛い」
「ほんと!?ならコレにしちゃおっかなぁ〜、ユーノもそのスカーフ似合ってるよ!イカすね」
「ありがとうレヴィ」
僕らは会計を済ませて、園内奥へと進んだ。
入口付近で頒布されている地図を見ながら何処に行くか話す。
「まず何処に行こっか」
「ボク、ジェットコースターって奴に乗ってみたい!」
「結構種類あるみたいだね、じゃあいちばん近い所から行ってみる?」
「うん!じゃあしゅっぱ〜つ!」
着いたジェットコースターはトロッコをモチーフとした物だった。
「わっ見て見てユーノ!アレ!」
「え?」
レヴィに促されて向いた方向にはちょうど走っているコースターが連続で2回転し、キャーキャーと悲鳴が上がっていた。
「楽しみだねぇユーノ!」
「ははは、そうだね。あっでもあんだけ激しいなら帽子とかは乗る時外しといた方がいいね」
「えー、そのまま乗りたい〜。帽子くらい魔法で固定できるよ」
「他のお客さんは魔法が使えないからね、基本的には使わないようにしないと」
「はーい……」
レヴィはしょんぼりとしてしまった、帽子がソレだけ気に入ったんだろう。
「アトラクション乗ってない時は被ってて平気だからさ、ね?」
「うん……」
「いぃぃぃぃぃぃぃぃやっほォォォォォォォォ!!!」
「やぁぁぁぁぁあ!?」
「面白かったねユーノ!自分で空飛ぶのとは違った疾走感!魔法で体保護しないから体で風切る快感……いやぁ良かった」
「楽しかったねレヴィ」
「うん!次のアトラクション早く乗りたい!」
元気になってくれて良かった、やっぱりレヴィは元気な笑顔が似合うな。
「ん?ボクの顔になにか付いてる?」
「いや、レヴィが嬉しそうで僕も嬉しいなって」
「フフッ変なユーノ」
「っ!」
そう笑うレヴィは、妖精のような小悪魔のように見えて思わずドキっとした。
♢
「うおお……うおおおおお!」
「結構緩急あるねコレ」
今度はバイキングというアトラクションに乗ってみた、緩急ある振り子運動がジェットコースターとは違うスリルがあった。
「うぅ〜……ん、はぁ。やっぱりアトラクションって自分で飛ぶのとは違う爽快感があっていいね」
「そろそろいい時間だしお昼にしよっか」
「ご飯!ボクさっき見かけたハンバーガー屋さん行きたいな、でっかいハンバーガー食べてる人見かけたんだよね」
「ハンバーガー、いいね。僕もたまにあーいうジャンクな食べ物食べたくなるんだよね」
僕らはハンバーガー屋さんへと向かった。
♢
「お待たせしました、デラックスチリバーガーのセットと、アウトロー・チリBBQバーガーのセットになります」
「ありがとうございます」
「キタキター!いっただきます!ふぉ〜でっかいッあ〜む!……〜ん、美味しい!」
レヴィが頼んだデラックスチーズバーガーは、僕の頼んだ物よりも1.5倍位大きくてデラックスの名に恥じないハンバーガーだ。
「ハンバーガー美味しいねユーノ」
「うん、このお店にして正解だったよ」
ピリ辛甘いチリBBQソースがスモーキーなお肉にベストマッチの仕上がりで、食べれば食べる程お腹が空くようだった。
「こんだけ美味しいと他のハンバーガーも食べたくなってきちゃうよ」
「流石にソレはお腹壊しちゃうから、今度また来よっか。僕もここのハンバーガー気に入っちゃった」
「……また、一緒に来てくれるの?」
「え、うん」
そう言うとレヴィはパァっと顔が輝いて身を乗り出してくる。
「ぜ、絶対だよ!絶対また一緒に来ようね!」
「うん、絶対また来よう」
♢
昼食後もアトラクションを一通り乗り夕暮れ時、最期に観覧車に乗っている。
「なんか意外だね」
「えっ何が?」
観覧車の向かいの座席に乗ってるレヴィを見ながら、僕はそう呟いた。
「レヴィって絶叫系のアトラクションばっかに興味ありそうで、こういうゆったりするアトラクションには興味無いと思ってた」
「あーまぁね、ただ何となく乗ってみたいなって思ったんだ」
「そうなんだ」
レヴィの少し様子が何時もと違う気がするけど、どうしたのかな。
僕らは風景をゆっくり楽しんでいた。
「ねぇ、ユーノ……そっち、ユーノの隣に座っても良いかな」
「え、うっうん」
「ありがとう」
隣に──と言うよりも、すぐ側と言って差し支えない距離感でレヴィは座り、僕の手を取った。
「れ、レヴィ?」
「ボクね──ユーノが、好きなんだ」
「ッ!」
ソレは決して友達に対するモノでは無い、そうは言わせないモノだった。
「優しいユーノが好き、キミの暖かさに包まれると凄く安心するから。難しい事を考えてるユーノが好き、いつもと違ったキリッとした雰囲気がカッコイイから。遊んでくれるユーノが好き、まっすぐボクを見てくれるから」
「レヴィ……」
「ボクはね、ユーノの事が大好きなんだ」
そう言って、レヴィはボクの手からそっと離れる。
「ユーノも、ボクと同じ気持ちだと……嬉しいな」
そう笑うレヴィは、何時もよりもぎこちなさそうに不安そうに笑った。
「僕も……」
彼女にここまで勇気を振り絞らせてしまった、そんな僕に出来る事は僕もまた彼女の様に、真っ直ぐ想いを伝える事だ。
「僕も、レヴィが好きだ」
「えっ」
離れた手を握り直し、僕が好きな瞳を見つめた。
「元気なレヴィが好き、その姿に元気を貰えるから。レヴィの笑顔が好きだ、綺麗と可愛さが合わさった笑顔にときめかなかった時は無いよ」
「あっぅあ」
「僕は、レヴィが好きだ。大好きだ!」
「あっあれ」
レヴィは驚き、そして流れる涙に困惑していた。ソレを僕は指で拭いながら、もう片方の腕で抱き寄せた。
「ユーノ、ボクね……今、すっごく嬉しいや」
「僕もだよ、レヴィ」
「ふふっ好きだって、想いを伝えるって、怖かったけど……伝えてよかった」
「ありがとう、好きだって言ってくれて、気持ちを伝えてくれて」
「うん、ボクもありがとうだよ」
しばらく抱き合って居ると、少し顔を赤らめながらレヴィが口を開ける。
「ね、ねぇユーノ」
「なに?」
「コレでさ、晴れてボク達って恋人にさ、なった……じゃん」
「うっうん、そうだね……言葉にしてみるとまだ少し恥ずかしいかもだけど」
「だからさ、その……してみたいなって」
「なにを?」
「……ちゅー」
「え!?」
そっぽを向きながら、普段とは違ってしおらしくそういうレヴィがとても可愛く思えて、心臓が一段と大きくドクンッと跳ねたのがわかった。
「……レヴィ」
「あっ」
僕はレヴィの肩掴み、ゆっくりと顔を近づけた。触れる瞬間、目を閉じてそっと唇をくっつけ、少ししたら離す。ソレだけなのに胸が破裂しそうなほどドキドキする。
「ねぇ、ユーノ」
「レヴィ?」
「もっかい、して」
レヴィも緊張してるのか、はたまた興奮してるのか少しだけ潤んだ瞳に上気した顔に釘付けになってしまう。
♢
観覧車から降りた、僕らは……ぎくしゃくしていた。
「ユーノって、ケダモノなんだね」
「うぐっいや、それはレヴィがさ」
「ボクが……なに?」
「……僕はケダモノです」
「やーいケダモノ〜」
理不尽だと、僕は思った。好きな女の子のあんな姿見たらケダモノにもなろうものだろうと。
「えへへ、ねぇユーノ」
「……なに?」
「今日さ、ユーノのお家……泊まって良い?」
「へ?」
「ボクさ、色々とこのデート本気出してきたんだよ。ソレこそ、ユーノが見えない所までしっかりと」
「…………」
「ねっダメかな」
「……どうなっても知らないからね」
「ユーノにどうにかして欲しいんだよ、ボクは」