其れは、『最高』の【例外】 作:『墓場に非らず』(はかばにあらず)
「そういえば、あなたはどうしてそうなったの?」
幼子のいたいけな声が響くその一室は、隅々まで手の込んだ一部屋だった。
家具や調度の一つ一つが細やかな手間を掛けられた一級品であり、床にも壁にも埃一つ無い。
仕掛けられた結界は病原菌や大気の汚れを余さず除去し、人里離れた高原を思わせる澄んだ空気を室内に満たしている。
「どうして、と言うと……。……ああ、
「──畏まらなくていいわ、話し易い喋り方で」
──そして何より、部屋の主の付き人という存在こそが『付き人を雇える』という意味で最も手の込んだ代物だった。
「──なら、その言葉に甘えよう」
──それは、昔々、1000年は昔の事だった。
「…………うぅ……」
東の方にあったとある村を、小さな子供が歩いていた。
「…………」
「わー!」
「こっちこっち‼︎」
……村の広場で遊ぶ子供達を遠くに見ながら。
……彼女は最近、家族と共にこの村に移住して来たばかりで友達が居なかった。
……そして、人見知りな性格をしていたので村の子供達の中に入って行く事もできなかった。
「…………」
……一人は寂しく、悲しかった。
とぼとぼと、見慣れぬ村の中を歩いて行く。
──自分の家以外で唯一、場所が分かる所へ。
「…………」
──そこは、半分地下に埋もれた巨大な空洞だった。
広過ぎて篝火を焚き続ける事もできず、その大半は暗闇に満たされている。
だが村人達にできる限りの手入れが為され、ごろつきの類が居着く事も無い。
「…………」
広い空間を歩いて来た子供が見上げる先には、この村では珍しいお供物の光り続ける鉱石に照らされて、この村の『守り神』が居た。
「…………」
巨大な空間の中で尚巨大な、体躯。
恐ろしげでありながら荘厳な造形。
金とも銀ともつかない不可思議な光沢。
──それは物言わぬ巨像であった。
「…………」
この巨像がいつからあるのかは誰も知らない。
だがその存在感は人を惹きつけ、いつしかこの村の守り神として扱われるようになった。
何を隠そう、ぼぅっと巨像を見上げる子供を連れて来た家族も巨大な守り神の噂を聞き付けこの村に移り住んだのだ。
収穫の祭りなど、折に触れて村人達はこの巨像に願いを捧げるのだと言う。
「…………まもりがみさま」
だから、子供も巨像への願いを口にする。
「わたしと、ともだちになってくれませんか……?」
──世界を変える、願い事を。
「──それは『叶えられる願い』だった。だが少し気遣いの要る願いだった。だからこうなった」
騎士が語り終える。
……不思議な人物である。
【
──そう、その人物は美しかった。
「あぁ、
「そうだ。《ハイパー・バイブレーション》を応用すれば喋れなくは無かったが、『友達』とは遊び回りもするものだと記憶していた。
「……とんでもない話ね。確かにあなたは長く人を見ていたし、【人造】はあなたの
「それは不思議な事では無いさ」
「──この身は『最高』なのだから」
傲岸とも取れる言が、何一つ飾らない“当然”となるくらい。
「それで、その子のお願いがあったからずっと友達を作り続けてるの?」
「──いいや、エメはずっと前に死んでいる。……エメの願いはエメが連れてってしまった」
……翳り差しても尚、曇らない程に。
「……もし、エメの願いが残っていたら。我が心はとっくに軋んで、壊れていただろうとも。……悲しい事は多かった」
……その人物は多くを見送って来た。
人と獣のあわいに立ち、幾多の戦いと、幾多の命と、幾多の死に触れて来た。
初めて死にかけた時、助けてくれた友はもういない。
理不尽にして正当なる脅威に、共に立ち向かった友はもういない。
我が子を可愛がり、腕に抱かせてくれた友はもういない。
……友達となれなかった者もまた、幾多居る。
「──だけどエメがくれた暖かさは此処に残っている。だから私は友達をやめないんだ」
それでも、その人物は歩み続けて来た。
『最高』とは、積み重ねている今この時、と示すように。
「あなたとも、友達になりたいと思っているよ。テレジア」
「……友達なら、
「
『…………あれはあれで可愛げがあるのではないか?』
「そう言う者も居るだろうな」
「でしょうね。……まぁ、それなら仕方ないわね。……この格好も、可愛げが無い訳でも無いし」
部屋の主──アルター王国第三王女、テレジア・C・アルターは照れ隠しのように付き人
『テレジア様』
そこにドアのノックと、呼び声が届く。
「──わかったわ。いきましょう、ドー、『さいこう』さん」
見た目通りの精神年齢ではないテレジアは即座に年相応の幼子の様を繕い、無言で頷く付き人達を促す。
──アルター王国第三王女テレジアの一行はかなり“変”な一行だ。
「…………」
──まず主のテレジアが子供が書いた落書きのような、モンスターの着ぐるみを着ている。
丸く、飛び出た目玉のモンスターがぐわ、っと口を開けた中に幼い顔を出して、包まれている。
病弱な彼女を助ける高性能な装備品らしいが、式典などに出る必要がある時も『……やっ』と駄々をこねて脱ぎたがらないお気に入りの格好であるようだ。
『…………』
そして、着ぐるみ姿のテレジアが乗るドーもまた奇妙な生き物だ。
『……強いて言えば丸々太ったネズミ』としか形容できない、他のモンスターとも似つかない謎の四足歩行生物である。
いつからかアルテア城内に居付きテレジアのペット兼乗り物をしているその正体は王族や城の高官も知らない。
「…………」
……それだけであれば〈マスター〉達の間で『着ぐるみ王女とマスコット』とセットで愛でられるように統一感もあったが……。
……護衛の騎士は普通に全身鎧兜だ。
……いや、見る者が見れば
一応顔は出ているし、たまには着ぐるみを脱いでいるテレジアや、見ての通りの四足歩行なドーとは違い、全く容貌が分からない。
(『……ドーも着ぐるみじゃね?』と疑う〈マスター〉も一定数居るが)
身元や人品は国王や近衛騎士団長、【大賢者】に保証されており、ごくごく少数の者は素顔を見たらしいが……、……広く知られてはいない。
まるでゴーレムの如く必要が無ければ喋りもしないが……。
……この護衛の騎士、いや【聖騎士】は奇妙なる第三王女一行の一員としてのものとは別の、広く知られた逸話が有り、二つ名が在る。
鍛練に於いては他の【聖騎士】達を纏めて返り討ちにし。
不埒の〈マスター〉を幾人も、傷一つ負わず監獄送りにし。
神話級の〈
──その聖騎士を、人は“
……SP3で【グレイテスト・ワン】がまだまだ成長の可能性を秘めていたという事実を読んで、『1000年以上経験積んだ【グレイテスト・ワン】』が下りてきた。
人と共存もできそうだし。
……違和感あっても『レオナルド・フィリップス師の最高傑作は正に“最高”なのだ』と受け流してくださると嬉しいです。
:『最高』
異なる可能性に於いて【一騎当千 グレイテスト・ワン】と呼ばれた存在。
とある子供の「友達になってほしい」という願いを聞き、その願いを叶える為人間大の活動体を作った。
──そしてその活動体がアーキタイプシステムに人間と認められ、ジョブに就ける完成度であった為、モンスターでもあり人でもあり器物でなくもない最高の『
(オリ主・オリキャラ部分はそうして形作られた人間・人格部分)
(ちゃんとあの悪魔像も存在しているのでご安心を)
色々あって今はアルター王国で【聖騎士】やってる。
【聖騎士】になったきっかけは怨念への対策、決め手となったのは怨念に狂った
ヤバい親に作られた心優しいヤバい子。
経験豊富で強い。
友達が多い。(※チェシャの増殖にあらず)
:エメ
『最高』を変えた幼女。
オリキャラ。
名前はゴーレムを動かす呪文『Emeth』から、……仮に『E』を削られても『meth』とならないように。
異なる世界では巨像見守る村に移住しなかったかもしれないし、先に村の子供と友達になってたかもしれない。
……この世界では枕元で友達と家族に見守られながら、87歳で大往生を迎えた。
:テレジア
この話の中でずっと着ぐるみ着てた第三王女。
アメリカっぽいデフォルメ/デザインのモンスターな着ぐるみの見た目をどうかと思ってる、……けど若干気に入りだしてもいる。
└着ぐるみ
周囲のリソースを吸収する機能のある着ぐるみ。
(着ぐるみパジャマではなく、子供サイズではあるけどがっつり着ぐるみ)
様々な機能を備えた防護服でもある。
【■■】であるテレジアの覚醒を防ぐ立役者の一人。
……鎧やパワードアーマーにする案もあったが、要らぬ勘ぐりを受けないよう子供のわがままで押し通せる着ぐるみになった。
:ドーマウス
庇護者の会話を邪魔しない保護者。
『最高』の旧友でもある。
……自分でも真の姿を可愛いとは思ってないが、他者に言及されるのは、なんか、心のすり傷になる。
:チェシャ
当然『最高』とは友達。
数百年前、【龍帝】【天神】【地神】【海神】【■■■】【■■■■■■】らと共に【覇王】と戦った戦友でもある。
:ベル
『最高』の旧友。
『最高』にとって意外と珍しい『自分と等しい』友達。
ベルは愛称。
テレジアの着ぐるみを手掛けた。