転生した。
その事実に彼――いや、彼女が気づいたのは、五歳の時だった。
転生して最初、もっとも気になったのは「ここがどういう世界なのか」ということだ。
過去か、未来か、あるいはアニメの世界か。
結論から言えば、そこは不自由のない現代日本だった。
しかし、一つだけ大きな不便がある。
「…なんで、女なんだよ」
鏡の中に立っているのは、可憐だが、どこか浮世離れした少女だった。
今世の自分は、どう見ても美少女という枠に収まっていたが、中身が男の彼女にとっては不便極まりない。
何より目を引くのは、その髪だ。
全体は雪のように白いのに、毛先に向かって、鮮やかな水色に近い青へとグラデーションしている。その独特な色合いは、どこか科学使いの少年を彷彿とさせた。
さらに、その瞳。
右目は深く澄んだ緑、左目は神秘的な紫、そしてその奥に微かに青が混じる。
この異質な姿を鏡で見たとき、彼女は考えた。
ここは普通の世界じゃない。アニメの世界なんじゃないかと、八割方の確信を持っていた。
鏡の中の自分の姿に驚いて一年後、彼女は引っ越しをした。なんでも親が転勤するらしい。
小学校も変わる。正直なところ彼女は精神年齢が大人なため小学校は苦手だった。
しかしその考えは、新しい小学校に行ったときに変わった。
「嘘だろ!?」
声が漏れた。いや出た。
そこにいたのは、まだ幼い、けれど間違いなく後に世界を救う科学使い、石神千空だった。
ネギみたいな髪の毛をした少年。
彼が実在しているということは、ここは間違いなくあの世界。
「Dr.STONEだ」
彼女は必死に生き残るための計画を立て始めるのであった。
色々考えた結果、これは逆にチャンスなんじゃないかと彼女は考えた。
主人公の幼馴染とかになることにより、3700年後優先的に起こしてもらえる可能性がある。
よし、この作戦で行こう。
そうと決まれば即行動。ネギ頭の少年、もとい石神千空に近づいて話しかける。
「あの、えっと、友達になって?」
それを聞いた彼は持っていた鉛筆を置き、こちらを見た。
六歳児にしては、その眼光はあまりに鋭く、そして知的だ。
「……友達だぁ? 悪いが、俺は今、宇宙へ行くためのロードマップを書いている途中だ。ままごとをやってる暇はねぇぞ」
「手伝うから、友達になって」
半場ごり押しで頼む。こうでもしないと彼女は生存できない可能性があるのだ。
「手伝うって、お前文字書けるのかよ」
「文字?…あたりまえ、書けるに決まってる。何なら計算もできるよ」
千空の眉がピクリと動く。
先ほどは媚びを売るように近づいたが、千空は能力主義なため、自分はできるということを伝えたほうがいいだろう。
「……ほう。ククク、大きく出たな」
千空はそう言って一枚の紙と鉛筆を渡してきた。
おそらくここに文字を書けということだろう。
「何を書けばいい?」
「なんでもいい。文字が書けることが分かればいいだけだしな。計算の問題は後で出す」
なるほど、実に彼らしく合理的な意見だ。
「……はい。書けたよ」
千空に文字を書いた紙を渡す。
しかし、その紙を見た千空は少し眉を顰める。
「……英語?」
あえて英語で、そして大人顔負けの流麗な筆致で書いた。
これには千空も認めてくれるだろう。
「すごいでしょ。少しだけなら書けるよ」
「ククク、いいじゃねぇか。じゃあ次は計算だな。その紙よこせ」
そう言った千空は、先ほど彼女が文字を書いた紙に何やら計算を書き始めた。
「ほら」
渡された紙を見ると、1年生には到底無理であろう計算が5問ほど書かれていた。
しかし、内容は小学校でやるものだけだ。いける。
「解き終わったよ」
「はえーな。………全問正解だ。……ククク、100億%ただのガキじゃねぇな」
千空には言われたくない言葉だな。
「いいぜ。友達になってやる。名前は?」
「……神代 凛。よろしく、千空」
これは、人類にとっては小さな一歩だが、私にとっては大きな飛躍だ。
性転換は、完全に自分の趣味です。この後色々チートが出てくると思います。
幼少期はあと1,2話続く予定です。