石の世界でアニメの技を使える俺   作:8アイス8

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学校忙しすぎですね。ヤヴァイです。
最低でも月1で出せるように努力します。

かなり遅れてしまい申し訳ありません。


第5話

《告。西暦5738年4月1日まであと1時間》

 

智慧之王(ラファエル)の声で深海にいる凜の目が覚める。

それはストーンワールドがまもなく始まるという知らせだった。

 

《地上への瞬間移動を実行しますか?》

 

ーyes

 

凜は迷わず答える。

 

そして次の瞬間、パキリ石がひび割れる音が聞こえた。

ひびは瞬く間に全身に広がり、数千年もの間、凜を閉じ込めていた石の殻が剥がれ落ちていく。

 

「…………ぷはっ!」

 

肺に流れ込んできたのは、春の風。

瞬間移動はいつの間にかされていたようだ。

 

「……でも智慧之王(ラファエル)?今ってまだ深夜……」

 

凜のまっとうな質問に智慧之王(ラファエル)は答えない。

どうやら久しぶりの出番で張り切りすぎたようだ。

 

「とりあえず、服を作って今夜はここにいよう」

 

智慧之王(ラファエル)が瞬間移動した先は、千空から離れるために移動した無人島だった。

半径1kmという非常に小さな島だが動物はいる。

 

「たしか千空は、シカの皮を使って服を作ってた。なめこ?なしめ?作業だっけ」

 

《なめしです》

 

「そうそれ。やろうか」

 

凜はそういって森の中へと入った。

月明かりがわずかに差し込むだけの森の中、凜は一歩ずつ足を進める。

視界は悪いが、そこらへんはチートでどうにかなる。

 

「……いた」

 

暗闇の向こう、ガサリと草木を揺らす音とともに、一頭のシカが姿を現す。

 

「……悪いけど。素材になってもらう」

 

凜は“”杖を右手に持ち“”シカに狙いを定める。

 

一般攻撃魔法(ゾルトラーク)

 

瞬間、杖の先にあつ魔法陣から光線が放たれる。

光線は、見事にシカの頭部に命中した。

 

「……ふぅ。流石ボク。狙い通り」

 

《告。後ろにある森が消し飛んでいます》

 

シカの頭部に命中した光線は後ろの森まで消し飛ばしていた。

 

「……私はいつもやりすぎてしまう」

 

《……はぁ》

 

「……呆れないでよ、智慧之王(ラファエル)

 

凜は、少しだけ肩を落としながら呟いた。

 

「それに、智慧之王(ラファエル)だって起きる時間、間違えたじゃん」

 

《……》

 

「わかったよ。とりあえず今は服を作るよ」

 

凜は倒れたシカの前にしゃがみ込み、その温かい毛皮に手をかざした。

イメージするのは、あのアニメの形状変化魔術。

 

「……チェルーシル」

 

だが、何も起きない。

正確には、シカの皮がぴくりと震えただけで、服へと形を変える気配がなかった。

 

「……あ」

 

そこで、凜は思い出した。

チェルーシルは、今着ている服や既存の布の見た目を書き換える魔術。生身のシカの皮、ましてや「なめし」もされていない素材から服を作り出す術ではない。

 

……失敗した。

 

深夜の無人島。全裸のまま、シカの死体を前に固まる凜。

その沈黙に、脳内の智慧之王(ラファエル)が、待ってましたと言わんばかりに割り込んできた。

 

《……解。現時点での素材の状態では、魔術『チェルーシル』の発動条件を満たしません。代替案として、個体名:リムル=テンペストが使用した構成技術の再現を推奨します》

 

「……だよね。最初からそうすればよかった。っていうか、気づいてたなら言ってよ」

 

《……告。マスターが自信満々に手をかざしていたため、あえて静観していました》

 

「……性格悪いぞ、智慧之王(ラファエル)

 

凜は少しだけ頬を膨らませて抗議したが、今は言い合っている場合ではない。全裸で深夜の森に立ち尽くすのは、いくらチート能力を持っていても精神的にくるものがある。

 

気を取り直して、凜はシカの死体から一歩離れた。

もう素材(シカ)は必要ない。

 

「やるよ……。再現、『粘鋼糸』」

 

凜が指先に意識を集中させると、そこから魔力が形を成し、月の光を弾くほど鋭く、そして強靭な銀色の糸が溢れ出した。

 

糸は瞬く間に布になり、服になる。

 

出来上がったのは、152cmの小柄な体にぴったりと合う、漆黒のサバイバルウェアだ。

動きやすさを重視したミニ丈のスタイルが、凛の幼い容姿をどこか「戦う少女」のように引き立てている。

 

「…………よし。これでいい」

 

凛は自分の腕を包む生地の感触を確かめ、小さく頷いた。

修行を飛ばしたチートの成果。

一刻も早く、自分の愛した物語の真っ只中へ合流するための最速手段。

 

「……さて。服はできた」

 

足元には、ゾルトラークで仕留めたシカ。

視線の先には、同じくゾルトラークで更地にしてしまった元・森。

 

「……次は寝床。智慧之王(ラファエル)、今度は本当に『加減』して。この島ごと消し飛ばしたら、寝る場所がなくなるから」

 

《解。出力の再調整は完了しています》

 

「……それ、さっきも聞いた気がするけど」

 

凛はジト目で空中の見えない相棒を睨んだ。

でも、頼りになるのは確かだ。

 

さて、次は何を再現しようか。

更地になってしまったこの場所に、一晩過ごすための拠点を一瞬で作り上げなければならない。

 

「……建築系のスキル。……何がいいかな」

 

小さな指先を顎に当てて、凛は脳内にある「アニメの知識」を検索し始めた。




これから智慧之王(ラファエル)は、ラファエルと書くことにします。
ルビが大変でした。
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