まのさば とある少女の事件譚   作:フリッカ・ウィスタリア

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愛がしまいには呪いとなる

空き部屋に入り改めてアヤの遺体を確認すると先程サクラが言ったとおり、後頭部に何かで殴られたような痕があった

「争った形跡はない…ということは、不意打ちの1発で殴り殺されたという事かしら」

「おそらく…でもそんな事、拙達の誰かが出来るでしょうか」

「生き残っている子の魔法は『錬金』『電磁力』『エンチャント』『透視』『治癒』『変身』よね。使いようによっては出来ない事もない子はいるけれど…」

あくまで一例ではあるが、樋口マドカ、久遠エツコの2人ならそれぞれ自分の魔法で武器を造るなり特性を付与するなり出来るだろうし、卜部サキなら金属の塊でもあればそれを飛ばして致命傷を与える事は可能だろう。しかし、私視点だとあの三人はずっと中庭にいた。犯行は不可能だろう。

「一応魔法なしで考えても条件さえそろえば撲殺は可能だと思いますけど、拙も現実的ではないと思います」

「他に不審な物は…なさそうね。他の部屋を探しましょう」

「そうですね」

 

 

2F 娯楽室

「ここには…特に怪しい物はないですね。バルコニーにも怪しい物は見当たりませんね」

中庭を挟んで空き部屋の対面に位置する娯楽室にやってきたが、こちらの部屋にも時にこれと言って不審な物や仕掛けは見当たらなかった

「あの部屋とここは対面だから何か仕掛けがあるかと思ったけど、期待外れね」

「やはり単純な撲殺なんでしょうか」

「さあね。でも他殺なのは確実でしょうから探索を続けましょう」

 

 

2F 図書室

「ホノカさん?ここは犯行現場と関係ないのでは?」

「一応ね。私が彼女を最後に見たのはここだったから。とはいっても、お互い干渉しないようにしてたから望み薄だけど」

その考え通り、図書室もこれと言って手掛かりは見当たらなかった

「これは…」

「なにか見つけたの?」

「え?…あぁ、ここもハズレですね…ん?」

図書室の探索を終え、先に廊下に出て行こうとしたサクラが立ち止まった

「どうかしたの?」

「いえ、さっき入って来た時は気づかなかったんですけど、この扉の境界に血痕の様な物がありました」

私も扉の下を確認してみると、確かに血痕と思われる赤い液体が落ちていた

「でも何でこんな所に…。現場は空き部屋のはずじゃ」

「この血痕が今回の件に関係ない可能性もあるけど、そもそも犯行現場はあの部屋じゃなくて、廊下か図書室だった可能性もあるわね。何にせよ、有用な情報をやっと見つけることが出来たわね」

「そうですね」

 

1F 中庭

ガサガサ

「そっちは何かありました?」

中庭に出るとマドカとサキが茂みをかき分けて何かないか探していた

「いや、何にもないよ。そっちは?」

「小さな手掛かりは見つけたけれど、まだまだ証拠品が不足してるわね」

「こっちはサッパリね。まあ、自由時間中私ら3人はここにいたんだし、証拠品を隠したり捨てたりできる状況じゃなかったから当たり前だろうけど」

「じゃあ、ここの探索はお二人に任せて他の場所を探しましょうか」

「そうね」

 

 

1F 牢屋敷前

概ね室内を探索し終えた二人は外に足を運んでみた

すると、牢屋敷の片隅には古くなって壁面が崩れたのだろうか、瓦礫がいくつか散らばっていた

「(ここは、あの日に天音カオリ達と天体観測をした場所だったわね)」

不意に物思いに耽ってしまったが、ふと我に返り探索にもどった

「この瓦礫のどれかを持っていけば1発で撲殺は可能だったかもしれないわね」

「確かに少女の力とはいえ建築物を構成してるコンクリートやレンガの類で殴られたら当たり所次第では即死もありえますね」

「まあ、それでもそれなりのパワーも技術もいるでしょうけどね」

「でも、見た所ここにある瓦礫には彼女の血らしき物は付着してませんね」

「流石に凶器を元の場所にわざわざ戻さないでしょ。大方どこかに捨てたか隠したんでしょうけど、見つからないわね」

 

 

その後はこれと言って新たな手掛かりが見つかることもなく、19時を迎えた

定刻となり、ゾロゾロと裁判所へ少女達が集まると、看守が扉を閉める

「皆さんお揃いですね。それでは魔女裁判開廷です」

「今回の被害者は時雨アヤ。2階の空き部屋で発見されたのよね」

「第一発見者は誰なんや?」

「拙です。いつも図書室でホノカさんが本の解読をしているので、進捗を聞こうと思って行ったら居なかったんです。だから房に戻ろうとしたら空き部屋の扉が開いていて、覗いたら中でアヤさんが死んでいたんです」

「それは何時頃なの?」

「えっと…14時50分くらいでしょうか。自由時間の終わり頃だったと思います」

「逆に生きてる時雨アヤを最後に見たのは誰かしら」

「少なくともうちら3人は中庭に文句垂れに来たから見たで。確か14時頃やったと思う」

「…その後は誰か見てないのかしら」

「私は見てません。用事があって食堂にいたので…」

「拙も午後からはアヤさんの姿を見てませんでしたね。という事は、14時から14時50分までのおおよそ1時間の間が犯行時刻という事でしょうか」

「そうなるわね」

「ならアリバイの論点はそこね。私と久遠とサキの3人はその時間ずっと中庭で銃の試し撃ちをしてたわ」

「私は昼食を食べた後少ししてから、ずっと食堂で看守さんとお茶をしてました」

メルルの発言に、一同は固まった

「ちょっと待って?どういう事かしら?」

「え?何か変でしたか?」

「いや、明らかに変な所あったやろ。看守とお茶?そないな優雅な事する奴ちゃうやろ」

「私も最初は怖かったんですけど、敵意さえ向けなければ案外私達にも優しい…ですよ?」

看守が業務の妨げにならない程度なら友好的だったなんて考えてもみなかった

「あのー、メルルさん?貴女は囚人なのですからあまり看守と仲良くしないでください」

「あっ、いえ、毎日お掃除とか料理とかして頂いてるので…何か手伝えたらと」

「ハァ…まあいいですよ、邪魔になってないなら」

ゴクチョーも説明が面倒なのか諦めたように黙った

「ま、まあ、今は看守が友好的かどうかなんてどうでもええわ」

「えっと、次は拙ですね。拙は確か昼食後は牢屋敷の外をぶらついて、14時過ぎくらいに戻ってきた所でメルルさんと会って、一緒に食堂でお茶してました。さっきメルルさんが言ってたように看守もいましたけど、無言でお茶を飲んでいましたよ」

「はい、確かに14時過ぎ…正確には14時10分ぐらいだったと思います。その後はサクラさんがホノカさんがしてる解読の進捗を聞きに行くと言うまでずっと居ました」

「最後は私ね。とはいっても、時雨アヤと別れた後、しばらくは娯楽室で解読作業して、中庭で何かしてる感じだったから息抜きに見に行って、その後はずっと中庭にいたわ」

全員のアリバイが出揃い時系列に並べると、やはりというべきかおかしな点が浮かび上がった

「これじゃ、誰も時雨を殺せないわ」

全員相互アリバイを立証できる時間帯を省くと予測される犯行時刻に誰も動ける状態になかった

私とサクラ、メルルは僅かながらアリバイの隙間があるものの、いずれも10分程度だ。理論上殺す事は出来ても凶器を隠したり、他の囚人に見つからず行動というのはほぼ不可能だろう

「…いや、まさかね」

「なんや、何か思いついたんか」

「まあ、思いついてはいるけど、正直違うだろうなとは思ってるわ」

「何や、言うてみぃや」

「樋口マドカ、貴女達が作った銃、装填数は何発かしら」

「え?6発だけど」

「そのうち撃った数は覚えてる?」

「そりゃ覚えてるわよ。7発よ」

「あの、それだと装填数を超えてるんじゃ」

「マドカ、その言い方だと分からないわよ。予備の弾もあったからね。4発予備を造って、管理しやすいように合計で10発にしたの。途中で装填しなおして合計7発撃ったのよ」

サキは話しながら的に使っていた箱を取り出し、自身の裁判机に中身を広げた

「確かに薬莢と箱の穴は両方7つね。弾倉は?」

「ほら、ちゃんと3発よ。もしかしてこの銃で時雨を撃ったと思ったの?」

「意図してはないでしょうけど、跳弾した可能性を考えたのよ。あの部屋は中庭の上なのだし、跳弾すれば運悪く当たった可能性もあるしね。でも、弾数を見る限り、不審な点もないし、やっぱり違うみたいね」

「そうなると、やっぱり誰にもアヤさんを殺害することは無理なんじゃ…」

「何か、前提条件が違うのでしょうか」

このままでは犯人不明で全員が処刑されてしまうだろう。4回目にして初めて完全に議論が止まってしまい、少女達の眼には焦りが見え始めた

「そもそも時雨アヤを最後に見たのが14時じゃないんじゃないかしら。もしそうならアリバイを確認しなおさなきゃいけないけど」

「いや、ラウンジかどこかの古時計の音が聞こえてたから、14時で間違いないと思うよ」

「ならあれや、アヤが鈍臭くてどっかに頭ぶつけて一人で死んだんとちゃうか?」

「後頭部をあんなに強く打ち付けるのは階段下とかでないと説明がつかないと思います」

「そうだ!私達以外に魔女が潜伏してて、そいつが時雨を殺したんだ!」

焦りで皆思いついたことを口々に発言しているが、どれも突拍子の無い事だった

「…ちょっと待ってください。もしかしたらそうかもしれません」

「え?」

「今マドカさんが言った、ここの誰でもない誰かがアヤさんを殺した可能性。もしかしたらそうかもしれません」

「で、でも、もうこの島で暫く過ごしていますけど、そんな人、影の一つも見たことないですよ」

「いえ、見た事はあるはずです。拙が言っている人というのは看守。貴方ですから」

少女達の視線を受け、看守はゆっくり首をかしげる

「どうゆう事や?看守がアヤを殺したってことか?それこそ変な話やろ。運営側が囚人殺すなんて、規則違反でもしたなら別やけど」

「それに、看守さんは私とお茶をしてたのでどこにも行っていなかったはずですよ」

「はい、さっきの話を聞く限りそうでしょうね。でも、拙思い出したんです」

「思い出した?」

「ええ、さっきは関係ないと思って説明を省いたんですけど、牢屋敷に戻る30分ぐらい前、塀の近くで看守の姿を見たんですよ」

「30分前っていうと…13時40分頃ね。何のために塀の近くに行ってたの?」

「いつも通り塀の向こうを透視できる場所がないかと思ってぶらついてただけですよ。その時に、看守らしき人が見えたので、木の陰から様子をうかがってたんです。脱獄容疑をかけられたら大変ですからね」

「確かにそれはそうね」

「その時の動画がこれです」

サクラがスマホを操作するとグループチャットに動画が共有された

動画内では確かに塀の近くで何かを探している看守の姿が映っていた

「た、たしかにこれは看守さんです。でも、おかしいですよ。その時間、私と看守さんは食堂にいたはずです」

「この看守か、メルルさんといた看守、どちらかが偽物。あるいは魔法で分身しているんでしょう」

この牢屋敷を管理してるのだ、分身程度ならしていてもおかしくはないだろう

そんな考えを読んだのか、ゴクチョーが口をはさんできた

「えっと、一応弁明しておきますと、看守は敵対しない限り貴女達囚人を襲いませんし、その看守は『分身』とかそれに類する魔法は持っていませんよ。そもそも、なれはてはもう魔法を使えませんし」

「そうなると、どっちかの看守が偽物って事ね。でも、そんな魔法誰が…まさか」

「ええ、一人いますよね」

少女達の視線が一人に集まる

「黒部ホノカさん、貴女の魔法なら看守に変身することが出来ますよね」

「まあ、確かにやってやれない事はないけど。それと今回の事件は関係ないんじゃないかしら」

「いえ、確かにまだ仮説の状態ですが、貴女の魔法ならさっき話したアリバイも簡単に崩すことが出来ます。拙の推理を話しても良いですか?」

「…聞かせてちょうだい」

「貴女は何かしらの恨みをアヤさんに抱き、殺意を覚えた。計画したのか、衝動的なのかまでは分かりませんが、貴女は看守に変身することで、拙達の眼から逃れたんです。看守であれば牢屋敷内のどこにいても違和感がないですからね」

「まあ、確かにそうでしょうね」

「貴女は外で凶器となる岩か瓦礫かを拾い、再度牢屋敷に戻って来た。そして図書室で時雨アヤさんを撲殺した」

「…あれ?犯行現場は空き部屋だったはずだよね。何で図書室なの?」

「出入り口の扉下に血痕が残ってたんです。なので、おそらく犯行現場は図書室で、遺体を後から空き部屋に運んだんだと思います」

「な、何でそんな手間のかかることを…もし殺すならそのままでいいじゃないですか」

「まあ、もし私が犯人なら、普段入り浸ってる場所に遺体は置いておかないでしょうね。真っ先に疑われるのがオチだもの」

「それは拙も同感です。彼女を殺した後、貴女はアヤさんに成りすまし中庭の3人の前に現れ、アヤさんの生存を偽装した。その後変身を解いて自分が姿を現せばアリバイ工作が出来ますよね」

「なるほど、確かに筋は通ってるわ。私なら確かに今の犯行を再現できるでしょうね。でも、その凶器はどこにいったのかしら?図書室で殺したなら扉の所以外の血痕はどう隠したのかしら?」

「凶器の方は分かりません。でも、図書室の血痕は見つけました」

「…なんですって」

サクラは再びスマホで写真を共有すると、そこには図書室の床が一部禿げ、血痕が露出している所が映っていた

「これは図書館の床じゃない。でも、私とあなたが入った時、こんなの無かったわよ」

「貴女と一緒に図書室に入った時、床に血痕はありませんでした。でも、何か落ちてないか注意して探してるうちに床が血塗れになってる事に気づいたんです。でも、貴女はその事を指摘しなかった。つまり、これは拙にしか見えてなかったんです。だから、近くにあった金定規で床を削ってみたら、拙に見えた血痕が出てきたんです」

「でも、それを私の魔法でやった証拠はないんじゃないのかしら」

「ここで初めて会った時にホノカさん、拙達に言ってましたよね。動かなければ背景と同化できるって。貴女はその魔法を床に対して使ったんです」

「どういう事や、ホノカ。アンタまさかホンマに…」

「誰か私がそんな事が出来る所を見た事があるのかとか、結局凶器は何処に行ったんだとか、色々言いたい事はあるけれど」

私は他の囚人達を見渡しながら短く息を吐き、皆に笑いかける

「バレちゃったわね。そうよ。私が時雨アヤを殺したの」

 

 

 

うまく躱したつもりだった。実際、図書室を出る時までは殺意を抑え込めていた

「家族なんて血が繋がってるだけの他人じゃない」

その言葉で私の理性は吹っ飛んでしまったんでしょうね

気が付くと、私は看守の姿になって塀の近くで角材を持って立ち尽くしていた

「(私は何をしようと…)」

ふと冷静になって角材を捨てようとしたけれど、頭の中では彼女を殺せと喚く声に支配されていた

そのまま私は図書室に戻り、後ろから時雨アヤを殴りつけた

でも、たかが角材。致命傷にはならなかったようで、振り返った彼女の眼には困惑の色が見えた

当たり前よね。敵対の意思を示したわけでもないのに急に看守に襲われたのだもの

彼女が逃げようと扉の方に走っていったから、私も追いかけて2度3度と角材を振り下ろしたら、いつの間にか時雨アヤは動かなくなっていたわ

彼女を空き部屋に放り込んで、角材と図書室の床には『変身』の魔法で元の色にコーティングし直したんだけれど、結局神戸サクラの魔法の前では無意味だったみたいね

後は神戸サクラの推理通り、『変身』の魔法で時雨アヤに変身して死亡時間を偽装したわ

これが今回の事件の真相。家族を馬鹿にされた事で激昂した馬鹿な女の殺人劇よ

 

 

 

投票の結果は『黒部ホノカ』が最多数票であった

「なんでそんなアホな事したんや。絶対生きて帰るって言うとったアンタが」

「返す言葉もないわ。自分でも馬鹿なことしたと思ってるもの」

「お喋りはそれくらいにして、処刑執行のボタンをお願いしますね」

相変わらず囚人達の気持ちなど気にしないゴクチョーの言葉に従い、全員の処刑ボタンが押されると中央の台座が開き、今回の処刑台が現れた

「ハハハ…私の処刑方法はコレなのね」

姿を現したのは、ボトルシップの瓶をそのまま大きくしたような巨大な瓶だった

看守に促され私が瓶の中へ入ると、看守が出入口となる瓶の口に何かの管が繋がっているコルクを詰めた

「何が始まるって言うのよ」

「おそらく、ガス室刑だと思います。運営側は本当に趣味が悪いですね」

その答え合わせと言わんばかりに、管から何やら煙のような物が噴き出した

「でも、やっぱり悪い事はするものじゃないわね。こんなすぐにバレちゃうんだもの」

まだガスの濃度が薄く話す余裕もあるのかホノカが事件についてポツリとこぼした

「それは違いますホノカさん。貴女は罰されたがっていました」

「いやいや、そんな訳…」

「いいえ、そうでなければ探索の時、『透視』の魔法を持ってる私と一緒に図書室に行く訳がありません」

「もしかしたら、バレない自信があったのかもしれないわよ」

「それだけじゃありません。今回のアリバイ工作だって、1回目の裁判の時に桐本姉妹が話していた物をそのまま使っていますし、普段閉まっている空き部屋の扉をわざわざ開けて見つかりやすくしていた。普段のホノカさんの慎重さが全然感じません」

「私も冷静じゃなかったからね」

「だから…だから貴女じゃないと信じたかった!でも、調べれば調べるほど貴女が犯人である証拠が出てきた!」

「期待を裏切って…ゴフッ…悪かったわね」

ガスの濃度が高まってきて、視界が霞んできた

その時、その霞んだ視界にあり得ないモノが映った

「ナノ…ちゃん?」

目の前に大好きな妹、黒部ナノカがいるのである

「ナノちゃん、何でこんな所にいるの!?早く…ゴホッ…逃げて!ゴクチョー!ナノちゃんは…オェ…私の処刑と関係ないでしょ!?出してあげ…テよ!」

「ホ、ホノカは、何を言うとるんや。ナノちゃんって、確か妹ちゃんの名前やんな」

「おそらく、ガスによる幻覚を見ているのでしょうね。痛ましい限りですね」

幻覚による急激なストレスでホノカの顔は見る見るうちにひび割れ、手は細く長く変貌し、6本となった腕で瓶を叩く

しかし、瓶はビクともせず、瓶の内側には叩きつけた腕や顔面から噴き出す血がベッタリと付いていく

髪を掻き乱して虚空に叫び続ける内に、ハラリと髪に付けていたリボンが解け落ちた

「アァッ!ナノちゃん!何でなんデェ!来チャダメだっテ言ったのニィィ!」

魔女化とガスによる幻覚で、既にホノカの眼には他の囚人は映っていなかった

程なくして、目から、鼻から、口から体液を溢しながら床を這いずる事しかしなくなった彼女を確認し、やっと処刑は終わった

「結構かかったようですが、無事魔女のなれはてとなったようですね。それでは、これにて魔女裁判閉廷です」

ゴクチョーの合図で処刑台は地下へ収納され、ホノカの姿も見えなくなった

 

 

To Be Continued

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