まのさば とある少女の事件譚   作:フリッカ・ウィスタリア

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眠るように死んでいた溝倉シズカ。囚人全員が使用している監房での犯行に戸惑いつつも少女達は捜査を開始した。誰かを殺すための3度目の裁判が開かれようとしていた


君の瞳はスモーキー

B1F 監房

私達からの連絡を受け、各少女達とゴクチョー達がシズカとカオリの牢の前に集まった

「ええ、確かに彼女はもう亡くなっているようですね。心臓は動いていませんし、呼吸だって止まってますね。

ハァ…やっぱりまた起きちゃいましたね。殺人」

しかし慣れとは怖いもので、私を含め現状を理解し既に動きだそうとしている者もいた

「ふむ…見た限り外傷はないですね。毒でも盛られたんでしょうか」

「うげー…死んでるって分かっててそんなベタベタ触る普通?」

「拙達は医者じゃないんですからこうでもしないとシズカさんがどうして亡くなったか分かりませんよ。それにもうここで亡くなった人は3人目です。犯人を見つけるためには細かい証拠でも見つけないとですからね。綺麗事を言うのはやめましょう」

「何それ、優等生ぶってキッショ」

「あのー…喧嘩なら他所でやってくれます?とりあえず、裁判は12時からにしましょう。今は外出禁止時間ですが、裁判までは屋敷内を自由に出入りしてもらって構いませんよ」

こんな状況でも他人に喧嘩を吹っ掛ける彼女は何がしたいのだろう

「(まさか、図書室で神戸サクラが言っていた筆者って時雨アヤなのかしら)」

黒い感情と共に昼間にサクラと話していた日記の筆者について思考を走らせるが、まだ妄想の域を出なかった

「(いや、今は溝倉シズカの事件を解決するのが先ね)」

疑念を振り払い、私も事件現場に踏み入った

 

 

「(遺体の状態は特に変わった所はないわね。さっき神戸サクラも言っていたけれど、毒か持病が死因かしら)」

一応服をめくってもみたが、やはり外傷らしいものは何処にもなかった

「死後硬直は完全にしてるし、かなり前に亡くなったようね」

その時、私は違和感を覚えた

「ん?溝倉シズカって、こんな目の色だったかしら」

うっすら開いた瞼を開けてみると、茶色の眼球が覗いていた。しかし、記憶が正しければシズカの眼は蒼色だったはずだ

「瞳の変色…死後何時間かすると眼球が濁るのはなんとなく聞いたことがあるけど、色が変わるなんて聞いたことないわ…それに死後数時間は経ってるはずなのに混濁してる感じもないし…」

とはいっても私も医療に詳しい訳ではない。単に知らないだけかもしれないし、何かしらの病気の兆候だったのかも知れない。これ以上は考えるだけ無駄だろう

ここは視点を変える必要がありそうだ

「天音カオリ、何か見つかったかしら?」

「うーん、私も何かあるかなって探してるんだけど、何もないよー」

「溝倉シズカは何か持病があるような事を言っていた記憶はあるかしら?」

彼女は同室者だ。もしかしたら何か知っているかもしれない

「ううん、特に何も言ってなかったと思うよー。それに、昨日は元気そうだったし」

確かに昨晩一緒に天体観測をした時にシズカに病気の兆候や体に不調を抱えているような様子は感じなかった

「となるとやっぱり毒か何かを…でもいつどうやって?…」

今回の事件、何もかもが不明瞭で分からない事ばかりだ

「(まずい…もう裁判まであまり時間もないのに、大した手掛かりも見つかってない。このままじゃ事故なのか事件なのかすら分からないわ)」

 

 

1F 中庭

「もし凶器があるなら、隠せる場所の多いここだろうけど…」

見渡す限り何かが落ちている様子はなかった

「…植木や茂みにも怪しい物はないわね」

どうやら中庭に何かを隠した可能性はハズレだったようだ

物を埋めて隠した可能性まで考えれば絶対にないとは言い切れないが、複数個所から見られるリスクを負ってまで中庭に物を埋めに来るとは考えにくい。

「他を探しましょう」

 

B1F 焼却炉

「証拠隠滅する気ならここに来てるはずだけど」

この牢屋敷に来て初めての事件の時の光景がフラッシュバックし、焼却炉に続く扉の前で立ち竦んでしまったが、勇気を出し、焼却炉のある室内へ足を運んだ

「焼却炉の中には…何もないわね」

周囲もライトで照らしながら探したが、何も落ちている様子はなかった

「(ここも無駄足だったわね…)」

 

ゴーン ゴーン

集合時間となり、ぞろぞろと少女達が裁判所へ姿を現す

「(結局、手掛かりらしい物は何も見つからなかった。他の子が何か見つけててくれると助かるのだけれど…)」

「はい。全員お揃いのようなので、さっそく裁判を開始したいと思います」

「今回の被害者は溝倉シズカちゃん。自分の牢で亡くなっているのをカオリちゃんが発見したんだったわね」

「う、うん。そうだよー」

「その時の状況をおしえてもらえる?」

「えっと…私が朝ごはんを食べて戻って来たらいつもは起きてるシズカちゃんが寝てて、珍しいなーって思って起こそうとしたらもう息してなくてー…だから私、急いで医務室にいってメルルちゃんを読んだんだけど、助けられなかったんだ」

「なるほど…まず死亡推定時刻だけれど、かなり時間が経っているということ以外は分からないわね」

「最後に生きているシズカさんを見たのは誰なんでしょう。拙達が朝食を食べている時は来てませんでしたよね」

「私も溝倉は見てないわね。時雨なら外の木陰でなんかしてるのをみたけど」

「最近、館内何処にいても誰かがうろついてて落ち着かないからね。外で図書館の本を読んでたのよ」

「私はずっと医務室にいましたけど、シズカさんは来ませんでしたね」

どうやら、誰もシズカを見た記憶がないようだ

「…ちょっと待って。おかしくないかしら。天音カオリ、貴女は同室なのだから、少なくとも朝は彼女と会っているはずよね」

「まさか死んでるなんて思ってなかったから、私が起きた時も息をしてるかなんて確認してないし…。で、でも、昨日の夜はおやすみを言ったから確実に生きてたよー」

「そうなると、犯行時刻が特定しづらいですね…朝の段階で生きていたならカオリさんが朝起きた後でしょうし、そうでないなら、昨日の夜間からカオリさんが起きるまでの間ってことになりますよ」

「とりあえず、午前中のみんなの動向を聞かせて。ちなみに私は朝8時頃に起きて朝食。その後は神戸サクラと一緒に図書室でいつもの本の解読作業をしていたわ。結構集中してたから特に物音とかを聞いた記憶はないけど…」

「拙も同じですね。特に部屋の外から物音を聞いた記憶はありません」

「私は7時半位に起きてサキと一緒に食堂で朝食をとっていたわ。その後はしばらく食堂に来たメンバーと喋ってて、その後は……ああそうだ、8時半ぐらいに自分の部屋に戻って久遠も含めた3人で新作の銃を造ってたわ」

「新しい銃って…物騒ですね」

「別に敵対したいわけじゃないけど、もしもの時の為に自分の身は守りたいからね。今この話をしたのも敢えての牽制よ」

多少過激な方法ではあるが、理には叶っている。ここへ来た初日の私なら猛抗議していたところだろうが、今の私も抗議するほど皆を信じられなくなっている。

「(信じたい…でも、どうしても心の奥でもしかしたらなんて考えてしまうわ)」

私も徐々にこの牢屋敷に侵されているのを感じる

「つまり、樋口マドカ、卜部サキ、久遠エツコの3人は概ね8時半以降一緒にいたという事ね」

「そうやな。途中1回ウチは手洗いに行ったけど、10分もせんうちに戻ったはずやし」

何かしらの犯行は絶対無理というわけではないだろうが、10分程度ですぐ近くの現場で音も痕跡もなく殺人を行うのは現実的ではないだろう

「アヤは7時過ぎには起きてさっさと朝ごはん食べたよ。あっ、でも、メルルも同じ時間にご飯食べてたわね」

「ええ、私は元から朝早い方なので。目が覚めてしまうんです」

「いや別に聞いてないけど。んで、最初は中庭で図書室から持ってきた本読んでたんだけど、雨降って来たから医務室に行ったよ」

「それって何時位なの?」

「そんなん覚えてないよ。暇潰してただけだから時間見てなかったし」

「えっと…医務室に来た時間なら、多分8時20分頃だったと思いますよ」

「じゃあ、そこからずっと医務室で静かに読書タイムしてたわ。途中でメルルも出て行ったから、そこからはアリバイはないわ」

「私は繰り返しになっちゃいますけど、アヤさんと同じくらいの時間で朝ごはんを食べて、その後はいつも通り医務室に居ました。そうしてたら8時20分位にアヤさんが来て、その後は…9時ぐらいだったと思うんですけど、カオリさんが医務室に来て、シズカさんが息をしていないって…私、いっぱい考えてどうにかしてシズカさんを助けられないか考えたんですけど…やっぱりダメで…」

メルルは話し続けるにつれて涙声になり、最後は消え入るように口をつぐんだ

「あのさぁ、カオリが見つけた段階で息してなかったんなら、もう何しても手遅れだっただけでしょ。何メソメソしてんのさ」

「うぅ…ごめんなさい」

「時雨、今のはちょっと私もカチンときたよ。一生懸命な人間の気持ちを踏みにじるような発言はやめな」

「はいはい、そうですねー、人の心がない性悪女は黙ってますよー」

「えっと、あとはカオリやな。おおまかな事はさっき聞いたけど、詳しい時間とか分かる?」

「確かー…8時過ぎくらいに私は起きて、すぐ食堂で朝ごはんを食べたよ。それで、8時40分くらい?に牢に戻ったら、まだシズカちゃんが寝てたから、起こそうと思って…あとはさっき話した通りだよー」

全員のアリバイが出揃い整理してみると、どうやら溝倉シズカが亡くなったのは天音カオリが起床した8時過ぎ~遺体発見までの30分弱。または半数以上が起きていないか朝食で牢から離れていた7時~8時の1時間が濃厚だろう

「(でも、仮に7時台の犯行だとしたら、一応誰でも可能だけれど、真横に天音カオリがいた状態で犯行に及んだことになる…決して起き難い時間じゃないのに、そんなリスクを負ってまで事を起こすかしら)」

それに、結果論として誰も8時まで誰も牢に戻ってこなかっただけで、犯行途中に誰かが戻ってきてしまえば溝倉シズカ達の牢は一番手前にあるのだから、犯行を見られる可能性は十分あり得る。殺害を行うには不安要素が多すぎるだろう

「(じゃあやっぱり、8時台の犯行?)」

その場合、アリバイが明確でないのは時雨アヤ、氷上メルル、第一発見者の天音カオリの3人だ

「現状、7時台に運よく誰にも見つからず犯行に及べたって可能性を除けば、開錠前に天音が溝倉を殺したか、8時~8時半までの間に時雨、氷上のどっちかが殺した可能性がある…のかしら?」

「カオリが嘘言ってなければって大前提だけどね。まあ、当たり前だけど私は殺してないって言うしかないけど」

「わ、私もシズカさんを殺してなんかいません!」

「私だってそうだよ。た、確かに昨日の朝にちょっと喧嘩しちゃったけど、ちゃんと仲直りしたし、そんな事で殺さないよ」

これ以上は証言のみでは平行線だろう

「皆、捜査の時間で他に何か見つけた人はいないかしら?今回の件、私はほとんど何も見つけられなくて、証拠品がないの。このままじゃ論議が平行線だわ」

私の声掛けに皆こちらを見るが、誰一人として証拠品の提示をする者はいなかった

「(皆、何も見つけられていないというの…)」

こんな事は初めてだ。前回も前々回も何かしらの証拠品や手掛かりが各方面から提示され、解き明かしてきたというのに、今回はそれがない

すなるとこの議論はここで行き詰ってしまうことになる。そうなればだれが犯人か分からず投票がバラけて全員処刑という事になりかねない

「(…いや、一つだけ、明らかにおかしな事があった)」

今回の件で私が唯一見つけた違和感

「私、今思い出したのだけれど、溝倉シズカの眼の色が変わっていたの」

「亡くなったから目が濁ったんじゃないの?」

「いいえ、むしろ何かの結晶のようになっていたわ」

その場の全員が私が提示した写真と魔女図鑑の溝倉シズカの写真を見比べ、その違いに気が付いた

「ほんまや、目が青色に変わっとる。魔女図鑑の方は茶色やのに」

「でも、これが何の手掛かりになるのかしら」

「それは私にも分からないわ。でも、自然にこうなったとは考えづらいと考えているわ」

「うぅ…私も多少は医学の知識がありますけど、こんな現象はじめてです」

その後、しばしの静寂が訪れ、ついに一人の少女が口を開いた

「あの、可能性の話をしてもよろしいでしょうか?」

以外にも、静寂を破ったのはメルルだった

「何かしら」

「今回の件。事故だったのではないでしょうか」

「どういう事でしょう。どういった事故でシズカさんは亡くなったと思ったんですか?」

「えっと、先に確認したいんですけど、カオリさん」

「えっ…私?」

「はい、昨日の夜、牢に戻る時にシズカさんに確か言ってましたよね『もし眠れなくても私の魔法を使えば眠れるよ』って」

「それって…」

「ええ。昨晩、カオリさんは不眠症に悩まされているシズカさんに『催眠』の魔法を試してあげたんじゃないでしょうか」

「た、確かに昨日の晩にシズカちゃんにも『催眠』の魔法をかけたけどー…もしかして、それで眠りすぎて死んじゃったって言いたの?でも、それだったら私も死んでないとおかしいよー!」

「世の中には毒をもつ植物もあります。でも、自分の毒で枯れたり傷んでしまったりはしません。でも、周りの植物は違います。その花の毒性にやられて枯れてしまうんです。もしかしたらシズカさんはそれと同じで…」

「同じ効果を受けても耐性の違いで亡くなってしまった…ありえない話ではないですが…」

「そういえばここに来た初日にほとんど自分にしか使った事あらへんって言ってたな」

「一応、何度かはあるよー。ここに来るより前に何度かだけだけどー」

「魔女化が進行すると魔法も強くなる…だったわよね。なら、知らず知らずのうちに天音の魔法も強化されて加減しないと永眠させてしまうほどに成長した可能性も否定はできないわね」

マズい。場の空気は完全に天音カオリが犯人である前提で進んでいる。過失か意図的かは分からないが本当に天音カオリが溝倉シズカを殺したのだろうか

「じゃ、じゃー、さっきの眼の件はどう説明するの?催眠の魔法で目を結晶にする事なんてできないよー!?」

確かにその通りだ。天音カオリの魔法はあくまで催眠。眠らせる事は出来ても目を結晶化させる事は出来ないはず

「私もそこが疑問でした」

しかし、その言葉に返答したのは、またしても氷上メルルだった

「さっきの話でも少し出てきましたけど、カオリさんの魔法は自分にしかほとんど使った事がないんですよね?」

「そ、そうだけどー…でも、何度かは他人にも使った事はあるよー?」

「その時はうまくいったのか、そもそも私の推論が間違っているのかは言い合いしてもどうしようもないので置いておきます。私も本で読んだ程度の知識なんですけど、世の中には乾燥状態で生命活動を停止する動物がいるそうです。カオリさんの魔法は本当はそっちなんじゃないかって思ったんです」

「クマムシとか、一部のカエルみたいにって事かいな」

「ええ、もしそうなら、シズカさんの眼がああなってしまったのは乾眠状態で目の水分がなくなって固まった結果なんじゃないかと」

「多少強引な説だけど…一応理には叶ってる…かな?」

「えっと…ここまで言っておいてなんですけど、今のは私の勝手な推測なので…それにもし推測が当たっていたとしても今回の件は不運な事故だと思います。だって、昨日あんなに楽しそうに話し合った二人の間にまだ大きなヒビがあったなんて思えないです」

「あのー…もう裁判の終了時間過ぎているんですけど、投票に移っても良いですか?」

議論に夢中になるあまり、その場にいる少女の誰もが時間を忘れていた

その結果、最悪のタイミングでタイムリミットを迎えてしまった

「えっ…あ…」

ゴクチョーの言葉を聞き、天音カオリは青ざめていた

 

 

投票の結果、最多数の票を集めたのは天音カオリだった

何人かは溝倉シズカに投票されていたため、事故であることを信じて投票した者もいたようだったが、少女達の過半数は『溝倉シズカは天音カオリの魔法によって死んでしまった』と考えているようだった

だが、今回ばかりは少女達も中々処刑ボタンを押しあぐねていた

「皆さん?早く処刑ボタンを押してください。そうしないと裁判も終わらないんですから」

「もう処刑は覆らないんだから、早く…早く殺して」

シズカを自身の魔法で殺してしまったかもしれないという事実にカオリは逃げたい一心で一刻も早い処刑を望んだ

その言葉に後押しされたのか、震える手で一人、また一人と処刑ボタンを押していく

全員の処刑ボタンが押されたのち、いつもの様に中央の台座が開き、処刑台がせり上がって来た

「今回は断頭台なのね…相変わらず趣味の悪い」

しかし、一瞬で終わる処刑方法という意味では先の2件よりは良心的であろう

看守がカオリの手を引き、処刑台に拘束すると、キリキリとギロチンが上方に上っていく

「いつも消極的な私だったから、これからは頑張って人と関わろうって思ったのに、頑張って出した勇気でこんな事になるくらいなら出さなきゃよかったよ…」

 

 

ある所に眠り姫がいました

彼女は眠るのが大好きで、暇を見つけては眠ってばかり

だって、眠っている間は嫌な現実を忘れることが出来るから

同級生にいじめられている事も、その所為で実は学校には登校せず、母親が仕事に出た後にこっそり帰宅している事も、それを隠して家族に学校での作り話をしている事も、本当は両親もその事に気付いてて私が打ち明けるのを待っている事も

彼女は全て知っていたが、言い出せなかった

自分の情けなさ、卑怯さ、申し訳なさが彼女を更に自身の殻に閉じ込め他者に打ち明ける機会を奪っていったのだ

だから少女は眠りにつく。自身の殻にこもり、夢の世界に堕ちて、現実から自身を分離するために

決して覚めない深い深い眠りにつくことを願って

 

 

ギロチンがセットされ、後は断頭するのみの状態となった

「は…はは…やっぱり慣れない事はするもんじゃないねー。結局誰も幸せになんかならないんだから!」

拘束されている手が徐々に黒ずんでいき、爪も鉤爪状になり伸びていく

次第に顔にも変化が訪れ、頭蓋から羊の角の様な物がせり出してきた

「ねぇ…みんなせめて笑ってよぅ…こんな情けない姿見せてるんだから、笑ってくれなきゃヤだよぉ」

「こんな状況で、拙はとても笑えません」

その言葉にカオリは俯き静かに涙を落した

「そう…だよねー…笑えないよね。私はいつも余計な事を言って場の空気を悪くしちゃうんだ。今回もただ、黙ってれば…そうすれば、もう少しだけでもシズカちゃんとも、皆とも、いられたのかな…シズカちゃん、ごめ」

瞬間、ギロチンが落下し、カオリの命と共に言葉も途切れた

「はい、これにて魔女裁判終了です。皆さんお疲れさまでした。各自ご自分の牢に戻ってくださいね」

あまりの居た堪れなさに、全員そそくさと自身の牢へ戻りその日は誰も積極的に会話をしようとしなかった

本当に…本当にこれで良かったのだろうか。私はそう思わずにはいられなかった

 

To Be Continued

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