「ありがとうございます、ヨウ」
「あー、いいよ。おかげで寝れるしな」
ドアをぶっ壊した後、ヨウは保健室のベットで寝ていた。
殴った拳は血だらけで、切り傷がいっぱいあるし魔力を一気に消耗して力がはいらなくなったようだ。
「ヨウ、俺も今日の学校生活でなんもなかったらまた来るよ。ま、なくても来るけど」
「あぁ、ないときに来てくれ…」
「んじゃな!」と言いながら出ていくアラタとそれに着いていくリリスを見送って布団に潜ると急激な眠気に誘われて眠りに入る。
目をつむるとそこはまるで、”楽園”の様だった…
そこは、大きな木があってその木の下には人がいる。
呼ばれているような感覚に囚われて無意識にその木の下に運ばせてしまう、よく見るとそれはイヴに似てるようでどこか違うような容姿をしている。
小さくて髪は長いし、でも一つだけ違うのはあった。それは髪の色…
あと数メートルというとこでこっちを振り向く。
「あなたが、私たちの最初の英雄?」
首を傾げ、可愛らしく聞いてくる。そこには軽い気持ちも重い気持ちもどちらも含まれていないような声で尋ねてくる
「そうらしいなー、俺はそう言われたぜ?イヴに」
「そう、やっぱり。イヴがあなたと私を繋いだのね。」
「いや、わからんがな」
首を振り、寝そべり始める。
ここは国中、どこを探しても見つかることはないほどの安らぎを感じる場所だった。
「夢の中でも、寝る人なのね?」
「まぁ、疲れてるしな」
「あなたは、”天国と地獄”を両方兼ね揃えた人ね。あなたは自分のことを何も分かっていない…、どれだけ危険でどれだけ自身を滅ぼしているか…」
「どうでもいいよ。そんなこと」
「あなたは、力を使いすぎると死んでいまうのよ?イヴだけが力の制御をしても、抑制をしてもあなたは止められない…。あなたは、そんな存在なのよ?」
「俺はいつからそんな化けもんになったんだよ?」
「あの少年が【崩壊現象】を起こしたときからよ」
「で、何で俺の死に繋がるんだよ…」
「自分の命を糧に魔力を消し去る魔力の持ち主だから、それで”英雄候補”に選ばれたの」
「俺は人間なのか?」
「この世界にはただの人間なんていない。誰もが才能を持ち、誰もが魔力を持つ世界。その世界で力がある人間がこの学園にいるのよ」
「そうかー、俺にはそんな力が…」
「だから、ちゃんとイヴの力を使ってあげて。あと私の力も…」
「ん、分かった。よし…、そろそろ起きようかな、でお前の名前は?」
「私は、アダム。イヴとの双子の姉妹」
「これから、よろしくね。あなた」
そういって、俺の中に消えていく…
力が安定していく感覚がする、そうして世界が変わってくいつもの日常に…
そう思った俺が馬鹿だった…
目を開ける、顔がビリビリがするほどの魔力が俺の近くで渦巻いている…
横に目を向けると苦しそうに蹲っているアラタがいた。
「ぐぅ!!あぁあああああ!!!!」
「おい?!どうした?」
「アリンさんが、アラタを暴走させてしまいました!!」
呻きながら、必死に魔力を抑えつけているアラタ。
そしてまた事件が起こる…
壁がいきなり粉々にされる、土煙が舞う砂埃が舞う。
二人の人影が見える。
「全く、一仕事終わってまた事件かよ」
「しかたないでしょ、アキオ。この不浄な存在を消さないと学園が滅びるんですから」
何か女が増えた。しかも恐ろしいことを簡単に口にして…
「アキオ、早くその不浄な存在を殺しなさい…」
「あいよ、大将。」
そう言って、足に力を込める。
あいつの足に魔力が集中していくのが分かった俺は、すぐさまアラタの前に行く。
「アラタ!!聞こえてるか?。お前、そんな魔力に手こずってんじゃねぇよ!そんくらい自分のものにしてみろ!!」
「これは、流石に…。む、無理があるだろっ」
「お前ならやれる、俺はそう思っているからな。」
目の前を振り向く、蹴りが飛んでくる。受けてはいけない蹴りが、受けたら簡単に人を殺せてしまう蹴りが…
「まっ、やるしかないか…」
受けの構えを取る。
受けてはいけないのに…、やるしかないと勝手な理由をつけて!
段々、あたりがスローモーションになっていく。
すべて見えるがもう遅い…、蹴りが目の前まできている。
「もう終わりか…」
「ヨウ!!!」
自分の人生の終わりを悟った瞬間、意識を失ったような感覚に囚われた…
あれ、温かいなここ。俺ホントに天国でも来ちゃったの?
目を開けずとも分かるこの温さ。寝るには持って来いだ。そうだこのまま寝たら、起きたときにはもう全てが終わってます的な奴だな。よし寝よう!
そう思ったのもつかの間…
「ヨウ!起きて、ヨウ!!」
「ん、なんだよ?」
「あなた、早くしないとあの変態がしんでしまうわよ」
そこにはアダムとイヴがいた。
ベットもあり、ぬいぐるみもあり。まるで女の子でも住んでるかのような…
「こんにちは。お兄さん」
ホントにいた。
もうホントに寝てるだけでイベントが発生すんのやめてくんねぇかなー
髪を上にあげている、可愛い少女がいた。
「ん、きみ何してんの?」
「それはこっちのセリフだよ?何で死のうとしてるの?」
「いや、死んでねぇし…。てか、あの女にギャフンと言わせねぇと!」
「どうやって?」
「それは…、ねぇ?」
「お兄さん、テーマは決めたの?」
「何の?」
俺が素で、いや真顔でその問いに答えて少女は驚いていた。
え、バカなんじゃないの?みたいな顔で…
「お兄さんは何も知らないんだね?なら私が教えてあげる。まずはお兄さんの書庫(アーカイブ)とテーマを決めないとね」
「書庫(アーカイブ)ってあの、なんですか?」
「えーとね、傲慢(スペルビア)・嫉妬(インウィディア)・憤怒(イラ)・怠惰(アケディア)・強欲(アワリティア)・暴食(グラ)・色欲(ルクスリア)の、7種類の力があってね。普通なら、書庫(アーカイブ)および後述のテーマは、基本的に本人から一番遠いものを選択する場合が多いかな」
「おけ、全部わかった。おいイヴ、アダム」
「はい、なんでしょう?」
「俺に一番近い罪は?」
「「強欲(アワリティア)」」
「で、テーマは?」
「「真実(ウェールム)」」
「おけ、それで決まり!!。んじゃ、行ってくるよ。大逆転しに」
「うん、お兄さん。いってらっしゃい。」
「お前、名前は?」
「倉田ユイだよ、よろしくね」
「あぁ、また会おう」
そう言って、夢から覚める。