キャラクタープロフィール
名前:悲鳴嶼歳玄(としはる)
年齢:14歳
身長:178センチ
体重:70キロ
容姿: 無駄のない長身細身の体躯であり暗めの桜色の長髪を白いリボンで高く結い上げ、鋭く刃のような切れ長の蒼の双眸を持つ美青年である。前世の影響からか常に蒼色の羽織を着用している。
使用呼吸:桜の呼吸
《技名・概要》
壱ノ型・"桜花一閃"(おうかいっせん)…桜の呼吸の始まりの型にして一閃神速の抜刀術である。静寂を裂く一太刀は、まるで咲き誇る桜が散る瞬間の如く、気配すら残さず敵を断つ。
弐ノ型・"散華"(さんげ)…振り抜かれた刀から無数の細かい斬撃を“散りゆく花びら”のように浴びせ、気づいた時には斬られた獲物が全身を切り裂かれている乱撃技である。
参ノ型・“花影・連斬"(かえい・れんざん)… 踏み込みと同時に間合いへ溶け込み、実体と“影”を錯覚させる軌道で刃を走らせ一太刀ごとに残る残像はまるで花弁の影のように無数の刃を宿す連続斬撃である。
肆ノ型・"薄紅流し"(うすべにながし)… 触れた刃、すべてを抗わず、受け流す。
その一振りは花弁の如く軽やかに、あらゆる攻撃の軌道を狂わせる。
伍ノ型・"流桜"(りゅうおう)… 平青眼に近い構えから一気に回転し刀を滑らかに振り続けることで、周囲に“桜の結界”のような斬撃の壁を形成する。舞う刃は絶えず巡り、触れた攻撃をすべて弾き、逸らす。踏み込めば裂かれ、離れれば間合いを許さぬ――攻防一体の円環であり誰一人として侵せぬ領域と成る。
触れた瞬間に排される、“絶対拒絶の桜”。歳玄にとって最強の防御技である。
淕ノ型・"宵桜・断"(よいざくら・だん)… 獲物の頭上より降り注ぐ、終焉の桜雨。幾千の刃は閃光となり、逃げ場を奪い、四肢を刻む。散るは桜か、命か。
宵に咲いた刃は、ただ静かに終わりを告げる。
◆
とある日の任務の合間ーー
その日は珍しく穏やかな昼下がりのことであった。
「……で?今日は何の用ですか」
そう言い放ち腕を組み、少しだけ不機嫌そうに目を細めるのは胡蝶姉妹の妹…しのぶ
「…なぜそんなに不機嫌なんだ…はぁ…まぁいいか――今日はお前の誕生日だろ」
「……覚えてたんですか」
一瞬だけ驚いた顔を見せてから、すぐに視線を逸らす。
「そこまで武直なつもりはねぇよ」
短く言い切る歳玄に、しのぶはふん、と小さく鼻を鳴らした。
「別に、祝われなくても困りませんけど?」
「そうか。じゃあ帰るか」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!誰も“いらない”なんて言ってないでしょ!」
その言葉に、歳玄はわずかに口元を緩める。
「はっ…なら行くぞ」
差し出された手には触れず、少し前を歩くしのぶ。
だが、その歩幅はどこか自分に合わせているように見えた歳玄であった
◆
ここは街の中心街…賑わう街の中…
団子を手にしたしのぶは、ぷいと横を向きながら一口。
「……まあ、悪くないですね」
「素直にうまいって言えよ」
「言いません」
即答だったが、その頬はほんの少し緩んでいる。
しばらく歩いた後――
とある風情のあるお店の前で歳玄は足を止めた。
「……ここって…」
「せっかくの記念だ。着替えろ」
「は?」
「そのままでもいいが、偶にはいいだろ」
「……意味が分かりません」
そう言いつつも店の奥へ通され、しばらくして戻ってくる。
現れたしのぶに、歳玄は一瞬だけ言葉を失った。
淡い桜色の着物を纏い、下地が風に揺れるたび、花弁のように柔らかく光を受ける。
「……何ですか、その顔」
「いや……似合ってるぞ」
短い言葉ではあったが普段の歳玄からは思いもよらぬ言葉に
それだけで、しのぶの視線が泳ぐ。
「……当然です」
小さく言い返しながらも、どこか嬉しそうに袖を整える。
街へ戻る頃には、昼の賑わいは最高潮だった。
屋台の香ばしい匂い、行き交う人々の声。
雑貨屋に入ってみたり、道端で芸をする芸人を眺めてみたり…
少し時間が過ぎれば
甘味処で休み、温かい茶や甘い和菓子を嗜み寛ぐ。
「……こういうの、嫌いじゃないんですね」
ふと、しのぶが呟く。
「何がだ」
「こういう、普通の時間ですよ」
歳玄は少しだけ考える。
「……悪くねぇな」
「ふふ、でしょうね」
歳玄の返答に小さく笑うしのぶ。
その笑顔は、普段見せるものよりもずっと柔らかかった。
◆
やがて、日が傾き始める。
空は橙から群青へと変わり、街の灯りが一つ、また一つと灯る。
「……ねぇ」
「なんだ」
「どこに向かっているんですか?家は逆方向ですよ?」
その問いに、歳玄は首を横に振る。
「まだだ…もう一つ…もう一つだけ連れて行きたい所がある」
「……?」
どこか含みのある言い方を告げる歳玄。
「ついて来い」
短く告げ、歩き出す歳玄にしのぶは一瞬だけ首を傾げながらも、その背を追った。
時間が経つにつれ次第に街の喧騒が遠ざかる。
足元は石畳から土へ。
灯りも少なくなり、代わりに月の光が世界を照らし始める。
「……こんなところに何があるんですか」
「もうすぐだ」
やがて――視界が開けた。
小高い丘の上…そこには、一面の桜が広がっていた。
夜風に揺れ、花弁が舞う。
月明かりに照らされたそれは、昼とは違う静かな美しさを持っていた。
「……綺麗」
しのぶの口から、自然と零れる。
ゆっくりと歩み寄る。
「こんな場所……」
「任務の帰りに見つけたんだ」
「……それで?どうして私をここに?」
しのぶがゆっくりと振り返る。
その瞳は、どこか期待を含んでいた。
歳玄は、静かに懐へ手を入れる。
取り出したのは、小さな包み。
「誕生日だろ」
差し出される"それ"を見つめながら
しのぶはしばらく動かない。
「……別に、こんなの」
「いらねぇなら戻す」
「……もらいます」
「…ふっ」
その回答が分かっていたのかしのぶの顔を覗いた歳玄は笑みを溢す
そしてしのぶは小さく呟き、受け取りゆっくりと開く。
中に包まれていたのはあったのは――桜を模した髪飾り。
月明かりを受け、淡く輝く。
「……綺麗」
今度は、隠さなかった。指先でそっと触れる。
「たまたま目に留まったんだが…しのぶに似合うと思ってな」
「……また…そう言う所が…本当に…」
次第にしのぶの声が小さくなっていく。
そして
「…つけさせてあげてもいいですよ」
「は?」
「自分でやるの面倒なんで。ほら」
背を向け、少しだけ身をかがめる。
歳玄は一瞬だけ黙り、そして手を伸ばす。
しのぶの髪に触れる。とめどなく優しく…花を愛でるように…愛おしく
「……変なことしたら斬りますからね」
「しねぇよ」
もはや"それ"が強がりなのは誰の目からも明らかでかるが
歳玄はいつものように返しながら、丁寧に飾りを留める。
風が優しく吹き桜が舞う。
その中で、しのぶが振り返る。
「……どうですか」
「……似合ってるよ…凄く」
短い言葉ながらいつもの歳玄よりも優しが溢れているのが分かる
「……そう」
そっけなく返しながらも、その頬はほんのり赤いのが見て取れる
夜風が、二人の間をすり抜ける。
舞い散る桜の花弁が、静かに時を刻む。
「……なぁ」
歳玄が口を開きかけた、その時――
「……少し屈んで、目閉じてくれます?」
「は?」
唐突な言葉に、歳玄は眉をひそめる。
「いいから」
少しだけ強い口調で急かすように…恥ずかしむように口にする
「……なんだそれ」
「いいから、早くしてください」
有無を言わせぬ声音で口にするしのぶに
歳玄は小さく息を吐くと、観念したように少し屈んで目を閉じた。
その瞬間――
ふわり、と近づく気配と落ち着く香りを感じ取る
そして
一瞬だけ口に触れる、柔らかな感触
「……っ」
しかし"それ"はすぐに離れる。
何が起きたのか理解するより早く、歳玄は目を開ける。
そこには――
顔を背け、耳まで真っ赤に染めたしのぶ。
「……何してんだお前」
わずかに動揺を含む上擦った声
「……今日のお礼です」
小さく呟く。
「頑張ってくれたので」
それだけ言って、さらに顔を逸らす。
「……意味分かんねぇな」
「分からなくていいです」
即答だったが、その声はどこか震えているのが分かる。おそらく相当緊張したに違いない。
しばらくの沈黙が訪れる
風の音と、桜の舞う気配だけが流れる。
やがて――
「……嫌でしたか」
ぽつりと、弱く零れる。
その言葉に、歳玄は少しだけ目を細めた。
「……いや」
その一言に、しのぶの肩がわずかに揺れる。
「……そうですか」
小さく息を吐き、ゆっくりと顔を上げる。
月に照らされ、まだ赤い頬が見え、化粧がより華麗に写り行く…
その瞳には、ほんの少しだけ勇気が宿っていた。
「……なら、いいです」
そう言って、ふっと微笑む。
ーー夜桜の下
進み始めた二人の距離は――
もう、戻ることはなかった。